特開2015-122304(P2015-122304A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-122304真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-122304(P2015-122304A)
(43)【公開日】2015年7月2日
(54)【発明の名称】真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/66 20060101AFI20150605BHJP
【FI】
   H01H33/66 S
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-206138(P2014-206138)
(22)【出願日】2014年10月7日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0160479
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】パク ウ チン
(57)【要約】
【課題】高圧真空回路遮断器の主回路部から発生する熱を効果的に放出して温度上昇を抑制する、真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部15のターミナル構造は、上下部を貫通して地面に対して垂直方向に形成される空気流動路が備えられ、内側面25に円形の放熱フィン50が備えられる円筒状のターミナル22と、箱状に形成され、上面、下面及び側面に放熱フィン40が備えられるバー状のターミナル21とを含む。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下部を貫通して地面に対して垂直方向に形成される空気流動路が備えられ、内側面に円形の放熱フィンが備えられる円筒状のターミナルと、
箱状に形成され、上面、下面及び側面に放熱フィンが備えられるバー状のターミナルとを含むことを特徴とする真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造。
【請求項2】
前記空気流動路は、前記円筒状のターミナルの上部に形成される上部開口部と、前記円筒状のターミナルの下部に形成される下部開口部とからなることを特徴とする請求項1に記載の真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造。
【請求項3】
前記上部開口部及び前記下部開口部は、互いに対称に形成されることを特徴とする請求項2に記載の真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造。
【請求項4】
前記上部開口部及び前記下部開口部は、前記円筒状のターミナルの内側面まで延設されることを特徴とする請求項2に記載の真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造。
【請求項5】
前記円形の放熱フィンは、前記円筒状のターミナルの内径より小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造。
【請求項6】
前記円形の放熱フィンは、前記空気流動路上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造。
【請求項7】
前記放熱フィンのフィン部は、前記空気流動路の長手方向に設置されることを特徴とする請求項1に記載の真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空回路遮断器の主回路部に関し、特に真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、真空回路遮断器は、高圧電力系統に設置されて短絡や過電流などの危険状況が発生した場合に回路を遮断して電力系統を保護するように構成された回路遮断器の一種であり、真空状態が絶縁性能とアーク消弧性能に優れることを活用して設計されたものである。
【0003】
真空回路遮断器は、固定形と引出形に分けられる。すなわち、遮断器本体のみで構成され、配電盤パネルに固定設置される固定形遮断器と、遮断器のメンテナンスが容易に行えるように、クレードルと呼ばれるケースが備えられ、クレードルに対して遮断器本体の引き込み/引き出しが行えるように構成される引出形遮断器に分けられる。
【0004】
図6は従来技術による引出形真空回路遮断器の遮断器本体を示す図である。従来技術による真空回路遮断器の遮断器本体1は、主回路部2、操作部3及び移送部4を含む。主回路部2は、回路内の電圧と電流を通電又は遮断する動作において中核となる構成要素であって、電源側に接続される上部ターミナル5と、負荷側に接続される下部ターミナル6とを備える。
【0005】
図7は従来技術による真空回路遮断器における電流の流れを示す図である。基本的に、電源側から入った電流は、上部ターミナル5と真空インタラプタ7を介して下部ターミナル6から出て負荷側に流れる。
【0006】
従来技術による真空回路遮断器の遮断器本体1の主回路部2を構成する上部ターミナル5及び下部ターミナル6は、銅材質からなり、通電容量が大きくなるほどそれに比例して断面積が大きくなる。しかし、銅材質は密度が高いことから重量が重いという欠点があるので、ほとんどの大容量真空回路遮断器のターミナルは中空状に構成されて通電断面積を最大限維持しながらも重量を最小限に抑えるようにしている。よって、クレードル(図示せず)に引き込まれて通電(運転)されている状態では、図8に示すようにターミナル5、6内に密閉空間A、Bが生じ、密閉空間A、Bの高温の空気は密閉されて流動しないのでターミナル5、6の温度を上昇させることになる。このようなターミナル5、6の温度上昇を防止するためには、ターミナル5、6の大きさをさらに大きくするか、冷却ファン8(クーラー)などの強制冷却機構を設置しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0950129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ターミナル5、6の大きさをさらに大きくした場合は、材料コストの上昇や占有空間の増大などの問題が生じるので非効率的であり、強制冷却機構を設置した場合は、遮断器本体1の内部設計が複雑になり、部品が増加し、電力消費も増大するという問題が生じる。
【0009】
なお、本発明の先行技術としては特許文献1の「真空回路遮断器の主回路ターミナルアセンブリ」を参照されたい。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、高圧真空回路遮断器の主回路部から発生する熱を効果的に放出して温度上昇を抑制する、真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造は、上下部を貫通して地面に対して垂直方向に形成される空気流動路が備えられ、内側面に円形の放熱フィンが備えられる円筒状のターミナルと、箱状に形成され、上面、下面及び側面に放熱フィンが備えられるバー状のターミナルとを含むことを特徴とする。
【0012】
前記空気流動路は、前記円筒状のターミナルの上部に形成される上部開口部と、前記円筒状のターミナルの下部に形成される下部開口部とからなることを特徴とする。
【0013】
また、前記上部開口部及び前記下部開口部は、互いに対称に形成されることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記上部開口部及び前記下部開口部は、前記円筒状のターミナルの内側面まで延設されることを特徴とする。
【0015】
さらに、前記円形の放熱フィンは、前記円筒状のターミナルの内径より小さく形成されることを特徴とする。
【0016】
さらに、前記円形の放熱フィンは、前記空気流動路上に配置されることを特徴とする。
【0017】
さらに、前記放熱フィンのフィン部は、前記空気流動路の長手方向に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造においては、主回路部のターミナルの密閉空間に空気流動路が備えられることにより、外部との空気循環が行われてターミナル内部の温度上昇が抑えられるという効果がある。
【0019】
また、円筒状のターミナルの内側面に備えられる円形の放熱フィンが空気流動路上に位置することにより、放熱性能が向上するという効果がある。
【0020】
これにより、ターミナルの体積を小さく設計してコンパクトな主回路部のターミナル構造を構成することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造を示す前面斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造を示す背面斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部を示す斜視図である。
図3B】本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部を示す平面図である。
図4図3の主回路部から放熱フィンが分離した状態を示す図である。
図5図4のターミナルの斜視図(a)、平面図(b)及び正面図(c)である。
図6】従来技術による真空回路遮断器を示す図である。
図7】従来技術による真空回路遮断器における電流の流れを示す図である。
図8】従来技術による真空回路遮断器における主回路部のターミナルの内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明するが、これらは本発明を詳細に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造は、上下部を貫通する空気流動路が備えられる円筒状のターミナルと、上面、下面及び側面に放熱フィンが取り付けられるバー状のターミナルとを含む。
【0024】
図1及び図2は本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造を示す前面斜視図及び背面斜視図である。図3A及び図3Bは本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部を示す斜視図及び平面図であり、図4図3の主回路部から放熱フィンが分離した状態を示す図である。図5図4のターミナルの斜視図(a)、平面図(b)及び正面図(c)である。以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による真空回路遮断器の主回路部のターミナル構造について詳細に説明する。
【0025】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態による真空回路遮断器の遮断器本体10の主回路部15には、上部ターミナル20と下部ターミナル30が突出形成されている。各ターミナル20、30には、大電流の通電により発生する熱を効果的に放出するための放熱フィン40が取り付けられている。基本的に、電源側から入った電流は、上部ターミナル20と真空インタラプタ41を介して下部ターミナル30から出て負荷側に流れる。真空インタラプタ41と下部ターミナル30との間には、真空インタラプタ41の可動部の動きにフレキシブルな遊びを持たせるように、フレキシブルシャント42が取り付けられてもよい。
【0026】
このような主回路部15は、遮断器本体10の三相(R相、S相、T相)の各相に備えられる場合がほとんどであるが、三相が同じ方式で構成されて動作するので1つの相についてのみ説明する。
【0027】
上部ターミナル20は、バー状のターミナル21と円筒状のターミナル22とからなる。バー状のターミナル21と円筒状のターミナル22とは、ろう付けにより結合されるようにしてもよい。
【0028】
バー状のターミナル21は、箱状に形成され、真空インタラプタ41の固定電極の上部に結合される。バー状のターミナル21の上面、下面及び側面には、通電時に発生する熱を放出するための複数の放熱フィン40が取り付けられる。
【0029】
円筒状のターミナル22は、略カップ状に形成される。円筒状のターミナル22には、円筒状のターミナル22の内部に形成される密閉空間の一部を開放して外部との空気循環が行われるようにする空気流動路が備えられる。本実施形態においては、空気流動路の一例として、円筒状のターミナル22の上部及び下部にそれぞれ上部開口部23及び下部開口部24が形成される。上部開口部23及び下部開口部24が形成されることにより、上部ターミナル20の下部から下部開口部24と上部開口部23を介して上部ターミナル20の上部に連通する空気流動路が形成され、空気流動路による自然対流現象が起こる。すなわち、円筒状のターミナル22の下部の冷たい空気が下部開口部24から円筒状のターミナル22の内部空間に流入し、内部空間の熱い空気は上部開口部23から円筒状のターミナル22の上部に流出する。これにより、円筒状のターミナル22の内部空間の熱が外部に放出される。このように、円筒状のターミナル22の上部及び下部にそれぞれ上部開口部23及び下部開口部24が形成され、空気流動路が地面に対して垂直方向に形成されることにより、空気の自然対流現象を利用できるようになる。
【0030】
ここで、上部開口部23と下部開口部24は、円筒状のターミナル22の上部と下部に対称に形成されてもよい。これにより、空気流動路を流れる空気の流れが一定に維持されるようにすることができる。
【0031】
また、上部開口部23と下部開口部24は、円筒状のターミナル22の内側面25まで延設されてもよい。上部開口部23と下部開口部24が円筒状のターミナル22の内側面25まで延設されることにより、下部開口部24からの外部空気の流入と上部開口部23からの内部空気の流出がより円滑になる。
【0032】
円筒状のターミナル22の内側面25には円形の放熱フィン50が結合される。このために、内側面25に締結孔26を形成し、ネジ59により円形の放熱フィン50を結合するようにしてもよい。図示していないが、円形の放熱フィン50の結合を容易にするために、円筒状のターミナル22の内側面25に取付部を形成してもよい。
【0033】
円形の放熱フィン50は、円形に形成されているので、円筒状のターミナル22の内部への挿入が容易である。また、円形の放熱フィン50は、円筒状のターミナル22の内径より小さく形成される。例えば、円形の放熱フィン50の外径を「D」、円筒状のターミナル22の内径を「d」とすると、D<4/5dとなるように設計してもよい。このような事項は流体力学的実験でより効果的に設定することができる。これにより、上部開口部23及び下部開口部24と円形の放熱フィン50との間に間隔が生じ、空気の流れが円滑になる。
【0034】
円形の放熱フィン50は、空気流動路上に配置されることが好ましい。これは、円形の放熱フィン50が空気流動路上に配置された場合、円形の放熱フィン50が空気流動路を流れる空気の流れにさらされ、放熱がより効果的に行われるからである。
【0035】
また、円形の放熱フィン50のフィン部は、空気流動路の長手方向に設置され、空気の流れに対する抵抗が最小限に抑えられるようにしてもよい。
【0036】
下部ターミナル30にも、上部ターミナル20と同じ方式で空気流動路と円形の放熱フィン50が形成される。
【0037】
このように形成された上部ターミナル20及び下部ターミナル30は、内部の熱を容易に発散し、通電による温度上昇を抑制するので、全体的な大きさをコンパクトにすることができる。
【0038】
また、円形の放熱フィン50は、円筒状のターミナル22の内部に設置されるので、絶縁性能の低下を起こさない。
【0039】
以上、本発明を好ましい実施形態により説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の要旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正や変形が可能であることを理解するであろう。また、これらの修正や変形が本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
10 遮断器本体
15 主回路部
20 上部ターミナル
21 バー状のターミナル
22 円筒状のターミナル
23 上部開口部
24 下部開口部
25 内側面
26 締結孔
30 下部ターミナル
40 放熱フィン
41 真空インタラプタ
42 フレキシブルシャント
50 円形の放熱フィン
59 ネジ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8