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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-122489(P2015-122489A)
(43)【公開日】2015年7月2日
(54)【発明の名称】太陽電池パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/20 20060101AFI20150605BHJP
   H01L 31/0392 20060101ALI20150605BHJP
【FI】
   H01G9/20 111B
   H01L31/04 284
   H01G9/20 111A
   H01G9/20 111C
   H01G9/20 111E
   H01G9/20 111D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-238535(P2014-238535)
(22)【出願日】2014年11月26日
(31)【優先権主張番号】201310705805.1
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】513235681
【氏名又は名称】群▲マイ▼通訊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】簡 浩文
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151BA11
5F151FA06
5F151GA02
5F151GA05
(57)【要約】
【課題】柔軟性、良好な導電性及び光透過率を有し、且つプラスチック基板を採用した太陽電池パネル及びこの太陽電池パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る太陽電池パネルは、プラスチック基板と、前記プラスチック基板の表面にマトリックス状に配列された光電極と、を備え、光電極は、プラスチック基板に固定された導電片及び導電片の1つの表面を被覆している二酸化チタン薄膜を含む。また、本発明に係る太陽電池パネルの製造方法は、ナノ粒子化された二酸化チタンと分散剤とが混合されてなるパルプを導電片の一側の表面に均一に塗布して前記導電片の上面に二酸化チタン薄膜を形成する工程と、前記二酸化チタン薄膜が塗布されている前記導電片を焼結して前記導電片及び前記導電片の一側の表面を被覆する前記二酸化チタン薄膜により構成される光電極を得る工程と、前記光電極をプラスチック基板の表面に固定する工程と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック基板と、前記プラスチック基板の表面にマトリックス状に配列された光電極と、を備える太陽電池パネルであって、
前記光電極が、前記プラスチック基板に固定された導電片及び前記導電片の1つの表面を被覆している二酸化チタン薄膜を含むことを特徴とする太陽電池パネル。
【請求項2】
前記プラスチック基板が、透明な導電性プラスチックからなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項3】
前記導電片の材料が、ステンレス、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、チタン、グラフェン又は合金であり、前記導電片の厚さが、0.001μm〜10mmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項4】
前記導電片の形状が、円形、三角形、正方形及び正多角形のうちの何れか1種であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項5】
前記導電片の二酸化チタン薄膜がコーティングされている表面の面積が、0.01cm〜400cmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項6】
ナノ粒子化された二酸化チタンと分散剤とが混合されてなるパルプを提供する工程と、
複数の導電片を提供する工程と、
前記パルプを前記導電片の一側の表面に均一に塗布して前記導電片の上面に二酸化チタン薄膜を形成する工程と、
前記二酸化チタン薄膜が塗布されている前記導電片を焼結して前記導電片及び前記導電片の一側の表面を被覆する前記二酸化チタン薄膜により構成される光電極を得る工程と、
前記光電極をプラスチック基板の表面に固定する工程と、
を備えることを特徴とする太陽電池パネルの製造方法。
【請求項7】
前記焼結する過程が、前記二酸化チタン薄膜が塗布されている前記導電片をオーブンの中に入れて高温焼結することによって、前記パルプの中に混合されている分散剤を除去することを特徴とする請求項6に記載の太陽電池パネルの製造方法。
【請求項8】
前記光電極が、前記プラスチック基板の表面にマトリックス状に配列され、且つ接着剤を介して前記プラスチック基板の表面に接着されることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック基板を用いた太陽電池パネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、色素増感太陽電池(Dye Sensitized Solar Cell,DSSC)は、コストが低く、プロセスが簡単であり、また、製造機械に対する要求が低い等の利点を有するため、広範囲に使用されている。色素増感太陽電池は、主に透明導電ガラス基板、二酸化チタン(TiO)ナノ結晶多孔質薄膜、染料、電解質溶液及び対向電極により構成される。エネルギーが半導体ナノ結晶二酸化チタンのバンドギャップより低いが、染料分子の特徴的な吸収波長に等しい入射光が太陽電池の電極を照射する場合、電極の表面に吸着されている染料分子中の電子は、誘起されて励起状態に遷移した後、二酸化チタンの伝導帯に注入されて、染料分子自体は酸化状態にある。二酸化チタンの中に注入された電子は、拡散によって導電ガラス基板に集まって、外部回路に入る。酸化状態にある染料分子は、電解質溶液の中から電子を取得して基底状態に戻り、電解質の中の酸化された電子は対向電極まで拡散される。このようにして、1つの光電化学反応のサイクルが完成する。上記の過程において、二酸化チタンに対して450℃〜500℃のアニールを行って、二酸化チタン電極が製造過程において使用した有機添加物を除去することによって、二酸化チタン粒子同士を頸を結ぶように連接させる。
【0003】
従来のDSSC太陽電池パネルは、一般的に透明導電ガラス基板からなる。しかし、ガラス基板は脆くて硬いため、使用が制限されている。従って、近年、フレキシブルなプラスチック基板又は丈夫な金属基板を採用して、太陽電池パネルを製造する提案が出された。しかし、フレキシブルなプラスチック基板を採用する場合、プラスチック自体の耐熱性が悪いため、高温処理を行なって二酸化チタンを焼結結合させることができない。また、低温焼結では、二酸化チタン粒子同士を頸を結ぶように連接させることができないので、残った有機物は電極のインピーダンスを増大させて、燃料の吸着量を減らして、電子の複合確率を増加させる。さらには、太陽電池全体の安定性、導電性及び光透過率に影響を与える。
【0004】
また、金属基板を採用する場合、太陽電池パネルに対して高温焼結することができるが、基板の光透過度を低下させる欠点がある上に、金属基板の柔軟度はプラスチック基板より低いため、応用範囲は大きく制限される。
【0005】
最近、ステンレスネット対向電極構造を採用して、フレキシブルな太陽電池パネルを製造する技術が開発されたが、網状構造のしなやかさ及び光透過率は、相変わらず好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、柔軟性、良好な導電性及び光透過率を有し、且つプラスチック基板を採用した太陽電池パネル及びこの太陽電池パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る太陽電池パネルは、プラスチック基板と、プラスチック基板の表面にマトリックス状に配列された光電極と、を備え、光電極が、プラスチック基板に固定された導電片及び導電片の1つの表面を被覆している二酸化チタン薄膜を含む。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る太陽電池パネルの製造方法は、ナノ粒子化された二酸化チタンと分散剤とが混合されてなるパルプを提供する工程と、複数の導電片を提供する工程と、パルプを導電片の一側の表面に均一に塗布して導電片の上面に二酸化チタン薄膜を形成する工程と、二酸化チタン薄膜が塗布されている導電片を焼結して導電片及び導電片の一側の表面を被覆する二酸化チタン薄膜により構成される光電極を得る工程と、光電極をプラスチック基板の表面に固定する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
従来の技術と異なり、本発明は、二酸化チタンパルプを導電片の上面に塗布して、二酸化チタン薄膜を形成した後に、二酸化チタン薄膜が塗布された導電片を400〜500℃の温度下で焼結させて、光電極を得る。次いで、光電極をマトリックス状に配列した後にプラスチック基板に固定する。これにより、柔軟性及び光透過率の要求を満たす太陽電池パネルが得られる。従って、従来、プラスチック基板が高温焼結される際に溶解され易いという問題を防ぐだけでなく、金属基板を採用することに起因する低光透過率の問題も解決することができる。また、本発明は、導電片の形状、サイズ、及び互いに隣接した導電片間の間隔を変えることによって、太陽電池パネルの光透過率及び柔軟度をさらに制御することができる。つまり、本発明の設計は、プラスチック材料の高光透過率及び金属材料の耐高温の特性を十分に利用して、太陽電池の基板に半透過型の効果を与えて、従来の色素増感太陽エネルギーの技術を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る太陽電池パネルの斜視図である。
図2図1に示した太陽電池パネルの平面図である。
図3図2に示した太陽電池パネルのIII−III線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2に示すように、本発明に係る太陽電池パネル100は、主にプラスチック基板10及び複数の光電極20を含む。光電極20は、マトリックス状に配列することによって、プラスチック基板10の一側の表面に形成されている。
【0012】
プラスチック基板10は、透明な導電性プラスチックシートであり、その導電性能は、ポリマー分子構造自体により決まる。構造型導電性プラスチック(constructural conductive plastics)の例としては、ポリアセチレン、ポリ炭化水素、ポリ雑炭化水素類の線形共役高分子、ポリマー及び各種の導電物質(金属及びカーボンブラック等)により製造された複合型導電性プラスチック等が挙げられる。通電される際、プラスチック基板10は、内部の粒子の移動又は導電物質を介して導電する。また、本発明のプラスチック基板10は、優れた透明性、導電性及び柔軟性を有する。
【0013】
図3に示すように、光電極20は、導電片21及び導電片21の表面にコーティングされている二酸化チタン薄膜22を備える。導電片21の材料は、ステンレス、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、チタン、グラフェン及び合金等の導電性を有する耐高温材料である。また、導電片21の形状は、円形、三角形、又は、正方形正五角形及び正六角形等の正多角形のうちの何れか1種である。導電片21の厚さは、0.001μm〜10mmである。導電片21の二酸化チタン薄膜22がコーティングされている表面の面積は、約0.01cm〜400cmである。
【0014】
本発明において、複数の光電極20を、プラスチック基板10の表面にマトリックス状に配列させて、光電極20の二酸化チタン薄膜22が被覆されていない表面をプラスチック基板10の表面に接触させ、且つ導電片21のプラスチック基板10と接触する周縁部に接着剤を塗布して、光電極20をプラスチック基板10に固定させる。このような構成によって、導電性を有するプラスチック基板10は、導電片21とプラスチック基板10との接触面を介して電流を導電片21に流して、導電片21を経由して電流を導出させる。接着剤は、導電性のある銀テープ又はUV接着剤、二液混合硬化接着剤等の非導電性接着剤である。隣り合う光電極20間の距離は、実際の必要性に応じて設定できる。この距離が大きいほど、太陽電池パネル100の透明度は増す。
【0015】
本発明の太陽電池パネル100は、透明な導電性プラスチックを基板の材料とするので、良好な光透過率及び柔軟性を有する。また、導電片21のサイズ、形状及び互いに隣接する2つの導電片21間の距離を制御することによって、プラスチック基板10の光透過率を制御して、プラスチック基板10の柔軟性を増強させることができる。
【0016】
本発明に係る太陽電池パネル100の製造方法は、以下の工程を備える。
【0017】
第一工程において、パルプを提供する。このパルプは、ナノ粒子化された二酸化チタンと分散剤とを混合させた後に、ボールグラインダー(ball grinder)を介して調製されたものである。分散剤は、無機系、有機系、無機系と有機系との複合剤のうちの何れか1種である。
【0018】
第二工程において、導電片21を提供する。導電片21の材料は、ステンレス、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、チタン、グラフェン及び合金等の導電性を有する耐高温材料である。また、導電片21の形状は、円形、三角形、又は、正方形、正五角形及び正六角形等の正多角形のうちの何れか1種である。導電片21の厚さは、0.001μm〜10mmである。
【0019】
第三工程において、パルプを導電片21の一側の表面に均一に塗布して、導電片21の上面に二酸化チタン薄膜を形成する。
【0020】
第四工程において、二酸化チタン薄膜22が塗布された導電片21をオーブンの中に入れて、該導電片21を焼結する。この際、焼結温度を400〜500℃にして、パルプの中に混合されている分散剤を除去する。これによって、二酸化チタン粒子同士及び二酸化チタン粒子と導電片21との間は完全に結合して、光電極20が得られる。
【0021】
第五工程において、光電極20をプラスチック基板10の表面にマトリックス状に配列する。この時、光電極20の二酸化チタン薄膜22が被覆されていない表面は、プラスチック基板10の表面に接触している。次いで、導電片21のプラスチック基板10と接触する周縁部に接着剤を塗布して、光電極20をプラスチック基板10に固定させる。これによって、導電性を有するプラスチック基板10は、導電片21とプラスチック基板10との接触面を介して電流を導電片21に流して、さらには導電片21を経由して電流を導出させる。
【0022】
上記の実施形態から分かるように、本発明は、二酸化チタンパルプを導電片21の上面に塗布して、二酸化チタン薄膜22を形成した後に、二酸化チタン薄膜22が塗布された導電片21を400〜500℃の温度下で焼結させて、光電極20を得る。次いで、光電極20をマトリックス状に配列した後にプラスチック基板10に固定する。これにより、柔軟性及び光透過率の要求を満たす太陽電池パネル100が得られる。従って、従来、プラスチック基板が高温焼結される際に溶解され易いという問題を防ぐだけではなく、金属基板を採用することに起因する低光透過率の問題も解決することができる。また、本発明は、導電片21の形状、サイズ及び互いに隣接する導電片21間の間隔を変えることによって、太陽電池パネル100の光透過率及び柔軟度をさらに制御することができる。つまり、本発明の設計は、プラスチック材料の高光透過率及び金属材料の耐高温の特性を十分に利用して、太陽電池の基板に半透過型の効果を与えて、従来の色素増感太陽エネルギーの技術を促進することができる。
【符号の説明】
【0023】
10 プラスチック基板
20 光電極
21 導電片
22 二酸化チタン薄膜
100 太陽電池パネル
図1
図2
図3