特開2015-123025(P2015-123025A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-123025(P2015-123025A)
(43)【公開日】2015年7月6日
(54)【発明の名称】納豆分離方法および納豆回収装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 1/20 20060101AFI20150609BHJP
【FI】
   A23L1/20 109A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-270599(P2013-270599)
(22)【出願日】2013年12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】512239653
【氏名又は名称】株式会社アイム
(71)【出願人】
【識別番号】000116622
【氏名又は名称】愛知県
(71)【出願人】
【識別番号】512313540
【氏名又は名称】株式会社エイゼン
(71)【出願人】
【識別番号】514002433
【氏名又は名称】有限会社竹内総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】桜井 亨
(72)【発明者】
【氏名】森川 豊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅子
(72)【発明者】
【氏名】永田 幹人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一浩
【テーマコード(参考)】
4B020
【Fターム(参考)】
4B020LB13
4B020LC08
4B020LY05
(57)【要約】
【課題】操業コストを抑えつつ容器と納豆の確実な分離を可能とする。
【解決手段】納豆が収容され開放された容器11を載置して振動を与えつつ搬送することによって搬送の間に納豆を容器11から分離させる振動直進フィーダ7と、納豆が分離した上記容器11を反転させて納豆を当該容器11内から落下排出させる納豆排出機8を備える。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器入り納豆に50回/分〜5000回/分の振動を10秒〜300秒間与えて容器と当該容器内に収容された納豆を分離することを特徴とする容器入り納豆の納豆分離方法。
【請求項2】
納豆が収容され開放された容器を載置して振動を与えつつ搬送することによって搬送の間に納豆を容器から分離させる振動式搬送機を備える納豆回収装置。
【請求項3】
納豆が分離した前記容器を反転させて納豆を当該容器内から落下排出させる納豆排出機をさらに備える請求項2に記載の納豆回収装置。
【請求項4】
搬送に先立って、開放された前記容器内に分離液を供給する分離液供給機構をさらに備える請求項2又は3に記載の納豆回収装置。
【請求項5】
前記容器内に収容された納豆を覆うシートを掴みだすシート除去機構をさらに備える請求項2ないし4のいずれかに記載の納豆回収装置。
【請求項6】
前記容器およびその開口を覆う蓋体を備え、これら容器および蓋体は発泡樹脂製又は紙製で、前記蓋体の外周縁が前記容器の開口縁に接着されており、前記容器の開口周縁を切断して前記蓋体と前記容器を分離することにより前記容器を開放可能とする切断機構をさらに備える請求項2ないし5のいずれかに記載の納豆回収装置。
【請求項7】
納豆が排出された前記容器を容器集積部へ気体ブローで吹き飛ばすブロー機構をさらに備える請求項2ないし6のいずれかに記載の納豆回収装置。
【請求項8】
前記振動式搬送機は、10秒〜300秒に設定された搬送時間中に50回/分〜5000回/分の振動を前記容器に与えるように設定されている請求項2ないし7のいずれかに記載の納豆回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は納豆分離方法および納豆回収装置に関し、特に容器内から納豆を簡易かつ容易に分離して回収できる納豆分離方法および納豆回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発泡樹脂製のパック等の容器に詰めて売られる納豆は需要量を予測して一週間程度前から材料納豆に納豆菌を入れて発酵させる見込み生産品であり、実際の需要より大目に製造するのが常である上に、天候等によって需要が変動しやすく、日常的に多くの廃棄品が生じている製品である。そして、このような容器詰め納豆は粘着性のある納豆が比較的薄く破損しやすい発泡樹脂容器にくっついているため両者の分離が困難で、殆どが焼却処分されている。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、容器詰め納豆を冷凍庫に収納して−20℃で凍結させることによって納豆の粘着性を無くし、その後全体を破砕して風力選別によって納豆と容器を分離する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−62554
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の方法では凍結のための比較的大型の冷凍庫を必要とし、大きな電力消費により操業コストが過大になるという問題がある上に、風力選別の確実性にも問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、操業コストを抑えつつ容器と納豆の確実な分離が可能な納豆分離方法と納豆回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本第1発明の容器入り納豆の納豆分離方法では、容器入り納豆(1)に50回/分〜5000回/分の振動を10秒〜300秒間与えて容器(11)と当該容器(11)内に収容された納豆を分離することを特徴とする。
【0008】
本第1発明によれば、容器内の納豆に振動を与えることによって容器との分離を確実に行うことができる。したがって、大型の冷凍庫の電力消費によって操業コストが過大になるという問題がないとともに、従来の風力選別と異なって納豆と容器の確実な分離が可能となる。
【0009】
本第2発明の納豆回収装置では、納豆が収容され開放された容器(11)を載置して振動を与えつつ搬送することによって搬送の間に納豆を容器(11)から分離させる振動式搬送機(7)を備える。
【0010】
本第2発明によれば、振動式搬送機によって、容器入り納豆を搬送する間にこれに振動を付与して容器内の納豆を容器と確実に分離することができる。
【0011】
本第3発明の納豆回収装置では、納豆が分離した前記容器(11)を反転させて納豆を当該容器(11)内から落下排出させる納豆排出機(8)をさらに備える。
【0012】
本第4発明の納豆回収装置では、搬送に先立って、開放された前記容器(11)内に分離液を供給する分離液供給機構(62)をさらに備える。
【0013】
本第4発明によれば、分離液を容器内へ供給することによって容器と納豆の分離を促進し、より確実な容器からの納豆の分離を実現することができる。分離液としては温水を使用することができる。
【0014】
本第5発明の納豆回収装置では、前記容器(11)内に収容された納豆を覆うシートを掴みだすシート取出し機構をさらに備える。
【0015】
本第6発明の納豆回収装置では、前記容器(11)およびその開口を覆う蓋体(12)を備え、これら容器(11)および蓋体(12)は発泡樹脂製又は紙製で、前記蓋体(12)の外周縁が前記容器(11)の開口縁に接着されており、前記容器(11)の開口周縁を切断して前記蓋体(12)と前記容器(11)を分離することにより前記容器(11)を開放可能とする切断機構(3,4)をさらに備える。
【0016】
本第7発明の納豆回収装置では、納豆が排出された前記容器(11)を容器集積部(85)へ気体ブローで吹き飛ばすブロー機構(84)をさらに備える。
【0017】
本第8発明の納豆回収装置では、前記振動式搬送機は、10秒〜300秒に設定された搬送時間中に50回/分〜5000回/分の振動を前記容器(11)に与えるように設定されている。
【0018】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、操業コストを抑えつつ容器と納豆の確実な分離が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の納豆回収装置を使用して内部の納豆を回収する容器入り納豆の上下反転状態での斜視図である。
図2】本発明の一実施形態を示す納豆回収装置の前半部の概略平面図である。
図3】納豆回収装置の前半部の概略側面図である。
図4】納豆回収装置の後半部の概略平面図である。
図5】納豆回収装置の後半部の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の方法を装置化した納豆回収装置についてその詳細を説明する。なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
【0022】
図1には本発明の装置で納豆の分離と回収を行う容器入り納豆1の外観を示し、図1は上下を反転させた状態を示す。容器11は略四角形で反転状態では下方へ開放しており、開口縁には全周に幅広のフランジ部111が形成されている。容器11の開口は略四角形の板状蓋体12によって閉鎖されている。すなわち、蓋体12の外周縁が容器フランジ部111の外周縁に接着されて容器11が密閉されている。これら容器11および蓋体12は発泡樹脂製又は紙製である。
【0023】
図2には納豆回収装置Eの前半部の概略平面図を示す。納豆回収装置Eの前半部は投入装置2、切断機構としての第1カット装置3および第2カット装置4、第1反転装置5等で構成されている。投入装置2では、コンベア搬送方向(図1中の矢印)の前後位置に平行にサバキストッパ21,22が設けられ、これらサバキストッパ21,22が交互にコンベア23上に進出させられることによって、反転状態でコンベア上に連続的に置かれている容器入り納豆1の、先頭のものだけが一つづつ下流側の第1カット装置3へ送られる。
【0024】
第1カット装置3では、投入装置2から送られてきた容器入り納豆1を、下流側のストッパ31を進出させて位置決めし、この状態で、当該カット装置3に内設された一対のカッター(図示略)を上下動させて容器入り納豆1の容器11の、対向する二辺を容器フランジ部111の内周縁位置で切断する(図1のX1,X2線)。対向する二辺が切断された容器詰め納豆は下流のストッパ32まで移動して位置決めされる。そして、プッシャ33の進出によって、上記コンベア23に対し直交するように配設されたコンベア41(図3)上に押し出され、当該コンベア41に沿って設けられた第2カット装置4に供給される。
【0025】
第2カット装置4では、投入装置2から送られてきた容器入り納豆1を、下流側のストッパ42を進出させて位置決めし、この状態で、当該カット装置4に内設された一対のカッター43(図3)を上下動させて容器入り納豆1の容器1の、残った対向する二辺を容器フランジ部111の内周縁位置で切断する(図1のY1,Y2線)。これによって、蓋12が容器11と分離された状態になる。なお、切断された蓋12の外周縁と容器フランジ部111の外周縁は下方の収容ボックス43(図3)内に落下回収される。
【0026】
第2カット装置4からさらに下流側へ搬送された容器入り納豆1は、進出したストッパ51に当接して位置決めされ、この状態で第1反転装置5が軸55回りに下流側から上流側へ反転して(図3の矢印)、その把持アーム52(図2)で容器入り納豆1の容器11が左右から把持される。そして、第1反転装置5が再び下流側へ反転する過程で、容器11と分離されている蓋12は下方へ落下してシュート531を経て収容ボックス53(図3)内へ回収される。これにより、容器入り納豆1は容器11が上方へ開放した状態でさらに下流位置に配置されたコンベア54上へ送られる。
【0027】
第1反転装置5の下流位置では、コンベア54に沿って上流側にシート取出し機構たるシート取出し装置61が設けられ、その下流側には分離液注入装置62が設けられている。シート取出し装置61は下方へ突出する一対のピン611を備えており(図3)、これらピン611が下降させられるとともに互いに接近移動させられて容器11内の納豆を覆うシート(図示略)を摘み、この状態で上記ピン611が上昇させられる。ピン611はさらにコンベア54の側方へ移動させられて(図2の鎖線)、ここでピン611が互いに離間移動させられることによってシートが放されて下方の収容ボックス63へ落下回収される。なお、シートが設けられていない容器入り納豆では本取出し装置61は使用されない。
【0028】
また、分離液注入装置62には下方へ向けて多数の分離液(本実施形態では温水)注入用細管621(図3)が突設されている。分離液注入装置62では、シート取出し装置61を経て至った、上方へ開放している容器11内に分離液注入用細管621を下降させて、その先端から温水を容器11内へ注入する。なお、上記シート取出し装置61および分離液供給機構としての分離液注入装置62で容器入り納豆1を一つづつ確実に処理するために、コンベア54上へ所定のタイミングで進出させられるサバキストッパ64,65,66がコンベア54に沿って間隔をおいて三台設けられている(図2)。
【0029】
分離液注入装置62から下流側へ送出された容器入り納豆1は図3図4に示す納豆回収装置Eの後半部へ向かう。納豆回収装置Eの後半部には下流側へ所定長で延びる振動式搬送機としての振動直進フィーダ7が設けられている。容器入り納豆1は振動直進フィーダ7上をその下流側へ送られる。振動直進フィーダ7では搬送される間に50回/分〜5000回/分の振動が容器入り納豆1に付与されるようになっており、また振動直進フィーダ7の長さは、容器入り納豆1が上記フィーダ7の上流端から下流端へ至るまでに10秒〜300秒を要するように設定してある。このような振動を加えることによって、容器11内の納豆は当該容器11から完全に分離される。
【0030】
振動直進フィーダ7の下流端に至った容器入り納豆1は交互に進出させられる一対のサバキストッパ71,72(図3)によって一つづつ、ここで待ち受ける第2反転装置8上へ供給される。そして納豆排出機としての第2反転装置8の把持アーム81で容器の両側面が把持され、当該反転装置8が軸82回りに上流側から下流側へ反転すると(図5の矢印)、容器入り納豆1の容器11もその開放部が下方へ向く反転状態となり、容器11と分離されている納豆が容器11内から下方の収容ボックス83内へ落下回収される(図5の黒矢印)。反転状態で第2反転装置8の把持アーム81による容器11の把持を解消し、この付近に設置されたブロー機構たるエアブロー管84(図3)から圧縮空気を噴射して、空になった軽量の容器11を容器集積部たる収容ボックス85へ吹き飛ばして回収する。
【0031】
このような構造の納豆回収装置によれば、容器詰め納豆の納豆を全自動で容器と確実に分離して回収することができ、回収した納豆を家畜の餌等に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…容器入り納豆、11…容器、12…蓋体、3,4…カット装置(切断機構)、62…分離液注入装置(分離液供給機構)、7…振動直進フィーダ(振動式搬送機)、8…反転装置(納豆排出機)。
図1
図2
図3
図4
図5