【課題】製品価格を安価に抑えつつ、保管時の安定性・安全性を確保したうえで、小さな衝撃力により容易に消火剤2を散布させることができるとともに、容器本体10を把持し易く投げ易い構造とすることにより、誰でも簡単に火元に向かって投てきすることができ、確実に消火することができる。
【解決手段】開口を有する袋状の容器本体10と、開口部12の内面部に形成され貼り合わせることで、容器本体10を密封する密封部13と、容器本体10の一部に連結された容器本体10の太さよりも細く形成されたグリップ部20とを有する消火用具1を用い、容器本体10内に消火剤2を充填し、密封部13により容器本体10を密封して、消火剤2を容器本体10内に封入し、消火剤2が封入された状態の消火用具1を火災発生場所近傍に投入することにより、容器本体10に衝撃を加え、密封部13を開放させて、消火剤2を散布する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、投てき消火用具は、通常、火災の初期消火に用いられるため、誰でも、容易に掴んで火元に投てきするのに適する形状とする必要がある。また、投てきされた容器が確実に破壊し、内部の消火剤が火元のまわりに飛散することが要求される。
【0006】
しかしながら、上述した従来の投てき消火用具では、容器の形状がボトル状を呈しているため、把持しにくく、しかもその中に初期消火に必要な量の消火剤を充填すると、重量が増すため、投てき力の弱い老人や子供等が投てきした際に、火元からそれたり、火元に届かなかったりして、初期消火に効を奏さないことがある。
【0007】
また、合成樹脂製の容器を用いた前者の消火用具において、投てき力が弱いと、容器が全壊に至ることなく、消火剤の飛散効果が薄れることがある。その一方で、容器を破壊し易い素材とすると、平常時に保管している間に、破損して、内部の消火剤が漏出する惧れもある。そして、破壊し易さと、保管時の安定性・安全性を両立させようとする場合には、その構造が複雑になり、製品の製造コストが増大し、製品価格が高くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような従来の上記問題点に鑑みてなされたもので、製品価格を安価に抑えつつ、保管時の安定性・安全性を確保したうえで、小さな衝撃力により容易に消火剤を散布させることができるとともに、容器を把持し易く投げ易い構造とすることにより、誰でも簡単に火元に向かって投てきすることができ、確実に消火することができる消火用具及びこれを用いた消火方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、投てきすることにより、容器内部に充填された消火剤により消火を行う消火用具及びこの消火用具を用いた消火方法であって、
開口を有する袋状の容器本体と、
前記開口の内面部に形成され貼り合わせることで、前記容器本体を密封する密封部と、
前記容器本体の一部に連結された前記容器本体の太さよりも細く形成されたグリップ部と、
を有する消火用具を用い、
前記容器本体内に消火剤を充填し、前記密封部により前記容器本体を密封して、前記消火剤を前記容器本体内に封入し、
前記消火剤が封入された状態の前記消火用具を火災発生場所近傍に投入することにより、前記容器本体に衝撃を加え、前記密封部を開放させて、前記消火剤を散布することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、容器本体の一部に連結された容器本体の太さよりも細く形成されたグリップ部を備えているので、把持しやすく、火災現場において投てきして物体に衝突させて、消火を行うことができる。このとき、コントロールミスや火災現場に衝突させる物体がない場合でも、容易に密封部を開放させ、内部の消火剤を散布させて消火を行うことができ、消火活動におけるミスの発生を防止できる。
【0011】
また、他の発明は、投てきすることにより、容器内部に充填された消火剤により消火を行う消火用具、及びこの消火用具を用いた消火方法であって、
複数の面が連結されて形成された閉じた形状をなし、気密性が維持された容器本体を有し、複数の面が相互に連結された連結部分は、他の部分よりも肉薄に形成された消火用具を用い、
容器本体内に消火剤を充填し、消火剤を容器本体内に封入し、
消火剤が封入された状態の前記消火用具を火災発生場所近傍に投入することにより、容器本体に衝撃を加え、衝撃による変形を連結部分に生じさせて容器本体を分解させ、消火剤を散布することを特徴とする。
【0012】
なお、本発明において「複数の面」とは、平面であってもよく、曲面であってもよい。従って、容器本体は、平面により閉じた形状を構成した場合には多面体となり、曲面により閉じた形状を構成した場合には、球面や筒状、カプセル状となる。
【0013】
このような本発明によれば、複数の面が連結されて形成された多面体の形状をなしているので、把持しやすく、火災現場で投てきすることにより、消火用具を対象物に衝突させて、消火を行うことができる。このとき、容器本体に形成された各面の連結部分は、他の部分よりも肉薄に形成されていることから、火災発生場所近傍に投入して、容器本体に衝撃を加えると、その衝撃による歪みや応力が連結部分に集中するので、衝撃による変形が連結部分に生じ、連結部分が破壊されて、容器本体を分解させることができる。これにより、容易に容器本体内部の消火剤を効果的に散布させて消火を行うことができる。
【0014】
上記発明において、前記容器本体内において対抗する面と面との間に配置される複数の軸部材を有し、複数の軸部材は、相互に連結されて固定されていることが好ましい。この場合、容器本体内には、対向する面同士の間に軸部材が配置されていることとなり、火災発生場所近傍に投入され、容器本体に衝撃が加えられると、衝突した面側から、軸部材の一端に衝撃が伝わり、その後、その衝撃は軸部材を介して、反対側の面に伝達されるため、容器本体の内部から、衝突した面とは反対側に向けて容器本体を分解させることができ、容器内部の消火剤を広範囲に散布させることができる。特に、本発明では、複数の軸部材を有し、各軸部材は連結されて固定されているので、衝撃に対する反力は、異なる軸方向に延びた他の軸部材にも伝達されるため、より容器内部の消火剤を多方向に向けて散布することができ、広範囲に散布させることができる。
【0015】
また、これらの本発明の消火用具によれば、平常時における保管に際しては、容器本体を閉じた形状として気密性を確保するか、若しくは、密封部により容器内部が密封されているため、運搬や日常の取り扱いにおける耐久強度を確保できる。小型化、軽量化が容易な簡易な構造を有しており、設置スペースの低減や形状の多様化が可能である。さらには、本発明の消火用具は簡易な構成であるため、製品コストを抑えて、製品の低価格化が可能であり、一般家庭への普及にも適している。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、この発明によれば、投てきすることにより、容器内部に充填された消火剤により消火を行う消火用具及びこの消火用具を用いた消火方法において、製品価格を安価に抑えつつ、保管時の安定性・安全性を確保したうえで、小さな衝撃力により容易に消火剤を散布させることができるとともに、容器を把持し易く投げ易い構造とすることにより、誰でも簡単に火元に向かって投てきすることができ、確実に消火することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下に添付図面を参照して、本発明に係る消火用具及びそれを用いた消火方法の実施形態を詳細に説明する。先ず、投てき式消火用具の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る消火用具1の全体構成を示す概念図であり、
図2は、消火用具の全体構成を示す斜視図である。
【0019】
(投てき式消火用具)
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る消火用具1は、容器内部に充填された消火剤2により消火を行う投てき式の消火用具1であって、開口部12を有する袋状の容器本体10と、容器本体10の一部に連結されたグリップ部20とから概略構成される。
【0020】
容器本体10は、気密性を有するシート材15としては、表裏一対のシート材15a,15bをもって所定形状の袋状に形成され、その一端に内部空間(収容空間)11と連通する開口部12を有している。この気密性を有するシート材15(15a,15b)としては、例えば塩化ビニル樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレンなどの周知の合成樹脂材料や、軟質ゴム製シート,ラテックス製シート、アルミシートなどの周知の材質を用いることができる。さらに好ましくは、破砕した容器の破片が自燃しない難燃材料が推奨される。また、シート材15a,15bとしては、透明・半透明あるいは不透明のシートのいずれをも用いることができる。なお、シート厚・シート硬軟は特に限定されず任意である。
【0021】
容器本体10の全体形状は、特に限定解釈されるものではなく、開口部12と連通する内部空間11を有するものであれば、一端に開口を有した平面矩形状・平面円形状などの種々の形状とすることができる。
【0022】
別体として形成されるものは、例えば同一大きさの自己密着性を有するシート材15,15を二枚重ね合わせ、その左右の周縁部10a,10bを熱溶着(ヒートシール)して両端開放状に形成し、その開放一端側10dに凹凸噛み合わせ密封部13を設けると共に、開放他端側10cを袋状物の内部空間11と連通状に一体的に固着(接着・熱溶着等の所望固着手段)する。袋状物の開口をそのまま開口部12とするものは、自己密着性を有するシート材15,15で袋状物全体を形成するか、あるいは袋状物の開口部12相当部分(開口側付近)のみを自己密着性を有するシート材15,15で形成し、その袋状物の開口部12側付近に凹凸噛み合わせ密封部13を設けるものとする。
【0023】
容器本体10は、容積が500〜5000cc、好ましくは600〜2000ccの範囲となるように形成される。容器本体10内には、後記する組成の消火剤2が充填されている。なお、後述する投てき装置を利用することにより、容器本体の容積を増大させることが可能であり、その場合には、例えば、1500〜2000cc程度の大きさが望ましい。
【0024】
グリップ部20は、容器本体10の一部に連結された、容器本体10の太さよりも細く形成された部位であり、このグリップ部20を掴むことにより、当該消火用具1を投てきする。具体的に、本実施形態に係る消火用具1は、次のように構成される。先ず、同一形状に形成された二枚のシート材15,15を重ね合わせ、その開口部12以外の周縁部10a,10b,10cを溶着(ヒートシール)して、内部中空状の袋体を密閉形成する。
【0025】
また、上記開口部12には、開口部12の内面に形成され貼り合わせることで、容器本体10の内部中空を密封する密封部13が設けられている。密封部13は、容器本体10の一部に衝撃力が作用すると、その部分が容易に開放されて、内部の消火剤2が飛散するようになっている。詳述すると、開口部12は、袋状物の内部空間11と連通するものであって、開口部12は、二枚の重なり合うシート材15a,15bの両端部をもって形成すると共に、凹凸形状を噛み合わせ密封する密封部13を有している。
【0026】
密封部13は、相互に嵌合可能な一対の凹状部13aと凸状部13bとを、開口部12内面に形成して構成される。この凹状部13aと凸状部13bとは、開口部12の幅方向に設けられ、両シート材15a,15bが重なり合ったときに、相対向する位置に形成されている。なお、開口部12に樹脂製ジッパーを備えた合成樹脂製袋(例えば、旭化成工業株式会社,エス・シー・ジョンソン・ホーム・ストーリッジインコーポレーテッド所有登録商標「ジップロック」で知られている合成樹脂製袋など)がある。
【0027】
消火剤2としては、水溶液の場合次のような組成のものを用いることができる。例えば、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸カリウム、第二リン酸アンモニウム、重炭酸ナトリウムなどよりなる薬剤混合物を溶解させた水溶液が用いられる。このような組成の消火剤2は、燃焼物の熱により化学反応を起こして、熱と酸素を奪い、かつ水蒸気の発生により空気を遮断して、火災を消失させる。また、粉体消火材の場合、炭酸水素ナトリウム、リン酸アンモニウム]])、炭酸水素カリウム、炭酸水素カリウムなどの粉末が単独または混合して用いられる。
【0028】
(消火方法)
このような構成を有する消火用具1を用いることにより、本発明の消火方法を実施することができる。
図3は、本実施形態に係る消火方法の概要を示す説明図である。
【0029】
同図に示すように、先ず、容器本体10内に液状又は粉状の消火剤2を充填し、密封部13により容器本体10を密封して、消火剤2を容器本体10内に封入しておく。この状態で、例えば不燃性の素材で構成された箱などに収納しておく。
【0030】
そして、火災発生時には、消火剤2が封入された状態の消火用具1を火災発生場所近傍に投入することにより、容器本体10に衝撃を加え、密封部13を開放させて、消火剤2を散布する。
【0031】
(作用・効果)
上述した本実施形態に係る消火用具1及び消火方法によれば、火災現場において投てきして物体に衝突させて、消火を行うことができる。このとき、コントロールミスや火災現場に衝突させる物体がない場合でも、容易に密封部13を開放させ、内部の消火剤2を散布させて消火を行うことができ、消火活動におけるミスの発生を防止できる。
【0032】
すなわち、グリップ部20を片手で掴んで投てきできるので、投てき方向が大きくそれることはなく、火元への命中率は高く、また遠心力を十分利用して投てきしうるので、投てき力の弱い老人や子供でも、離れた火元へ向かって投げることができる。そして、開口部12が衝撃により容易に開放するため、効果的な初期消火を行うことができる。
【0033】
また、平常時における保管に際しては、密封部13により内部が密封されているため、運搬や日常の取り扱いにおける耐久強度を確保できる。また、小型化、軽量化が容易な簡易な構造を有しており、設置スペースの低減や形状の多様化が可能である。
【0034】
さらには、簡易な構成であるため、製品コストを抑えて、製品の低価格化が可能であり、一般家庭への普及にも適している。なお、例えば、開口部12部分において、密封部13の外方を溶着し、切り取り線14に沿って外方部分を切り取るようにすれば、保管時における安定性及び安全性をより高めることができるとともに、極めて簡単な操作によって、より確実な消火作業を実施できる。
【0035】
これらの結果、本実施形態によれば、製品価格を安価に抑えつつ、保管時の安定性・安全性を確保したうえで、小さな衝撃力により容易に消火剤2を散布させることができるとともに、容器を把持し易く投げ易い構造とすることにより、誰でも簡単に火元に向かって投てきすることができ、確実に消火することができる。
【0036】
[第2実施形態]
次いで、投てき式消火用具の第2実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係る消火用具1aの全体構成を示す概念図であり、同図(a)は、消火用具1aを分解した状態の斜視図であり、同図(b)は、組み立て後の斜視図である。また、
図5は、容器本体30の係合状態を示す一部断面図であり、
図6は、容器本体30の切欠部34aを示す一部断面図である。
【0037】
(投てき式消火用具)
図4(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る消火用具1aは、内部中空の容器本体30から構成される。この容器本体30は、容器本体30内部に消火剤を充填するための内部空間32を有する立体形状をなしており、本実施形態では、複数の面31が連結されて形成された閉じた形状をなした34面体に形成される。
【0038】
この容器本体30としては、塩化ビニル樹脂、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの周知の熱可塑性樹脂を用いることができる。さらに好ましくは、破砕した容器の破片が自燃しない難燃材料が推奨される。また、容器本体30は、透明・半透明あるいは不透明のいずれをも用いることができる。なお、容器本体30は、運搬や日常の取り扱いにおける耐久強度を確保できる程度の厚みとなっている。
【0039】
本実施形態において、容器本体30は、
図4(a)に示すように、一方に開口を有する椀状の上部30a及び下部30bから構成されている。本実施形態では、上部30a及び下部30bとは、それぞれ17個の面を有しており、各面31は連結部分31aを介して連結されている。そして、上部30a及び下部30bの開口部分が対向するように配置され、各部材の開口部分の縁同士が係合されることで、内部空間32の気密性が維持されるようになっている。
【0040】
上部30a及び下部30bの縁部分は、
図5に示すように、上部30aの縁において下方に突出した凸部33aが設けられているとともに、下部30bの縁に凸部33aと係合する凹部33bが設けられている。そして、凹部33bに凸部33aが差し込まれることで上部30a及び下部30bが係合される。なお、上部30a及び下部30bが係合された後、係合部分は、粘着テープ若しくは接着剤等の固定部材で固定することもできる。
【0041】
また、上部30aの一面31には、外部と内部空間32とを連通する開口部35を有しており、上部30a及び下部30bが係合された後、その開口部35を通じて容器本体30の内部32に消火剤2が充填される。なお、消火剤2が充填された後には、開口部35の孔と同径の凸部を有するピンなどで開口部分を塞ぎ、容器本体30内部の気密性を確保する。
【0042】
また、容器本体30には、複数の面31が相互に連結された連結部分31aには、その連結部分31aの線上に一部を切り欠く切欠部34が形成されている。切欠部34は、
図6(a)に示すように、容器本体30の内部から外部に向かって所定深さの溝が形成されており、この溝によって、連結部分31aは、他の部分である面31の厚さよりも肉薄に形成されている。このような構成により、容器本体30に衝撃が加えられると、その応力が肉薄の連結部分31aに集中することとなり、衝撃による変形を連結部分31aに生じさせ易くなっている。これにより、連結部分31aは衝撃によって破壊され、容器本体30は分解される。なお、切欠部としては、
図6(b)に示すように、容器本体30の外方から内部に向かって形成された溝であってもよい。
【0043】
(投てき装置の構成)
次いで、消火用具1aを投てきする投てき装置5の構成について説明する。
図7(a)〜(c)は、第2実施形態に係る投てき装置の構成及びその動作を示す説明図である。
【0044】
図7(a)に示すように、投てき装置5は、金属、又は合成樹脂等によって形成され、地面に配置される基部51と、基部51に軸支されるハンドル部52と、基部51に軸支されるペダル部55と、消火用具1aを保持するアーム部56と、基部51に軸支されて、アーム部56を回動可能に支持する支持部材53と、ペダル部55とアーム部56とに係止され、一定の弾性力を有するバネ部材54とを有している。
【0045】
基部51は、地面上に設置される部材であり、平面視では、T字状若しくはY字状に形成されて安定性を確保している。この基部51には、使用者の立ち位置側(
図7中左側、以下、後方と称する。)にハンドル部52が形成されている。ハンドル部52は、棒状の部材であり、基部51設けられた回転軸51cを中心として回動可能に支持されている。本実施形態において、ハンドル部52は、地面に対して垂直方向から後方側に向かって所定角度回動可能となっている。ハンドル部52の上端には、使用者が把持するゴム製の把持部52aが形成されている。
【0046】
また、基部51には、使用者の立ち位置とは反対側(
図7中右側、以下、前方と称する。)に、支持部材53が支持軸51aに軸支されて形成される。支持部材53は、上端が後方に向かうように所定角度で傾斜しており、基部51に固定され、その角度が維持されている。支持部材53の上部には、回転軸53bを介してアーム部56が連結されている。
【0047】
アーム部56は、板状に形成されており、前方寄りの中間位置に回転軸53bが設けられおり、回転軸53bを介して支持部材53に支持され、この回転軸53bを中心として回転可能となっている。アーム部56の後方側の端には、消火用具1aと同径の窪みを有する凹状の保持部56bを有している。アーム部56は、この保持部56bの窪みに消火用具1aを設置することで、消火用具1aを保持している。
【0048】
また、アーム部56の後方端には、ハンドル部52と係合する手段を有している。具体的に、アーム部56には、
図7(a)に示すように、長手方向に突出する凸部56aが形成されている。また、ハンドル部52には、ハンドル部52が地面に対して垂直状態である場合、凸部56aと対応する位置に凸部と係合する係止孔52bが設けられている。この係止孔52bに凸部56aが差し込まれることで、アーム部56はハンドル部52に係止される。
【0049】
また、アーム部56の前方側の端部分には、バネ部材54が係止されている。バネ部材54は、一端がアーム部56に接続され、他端がペダル部55に接続されており、その弾性力で、長手方向に伸縮可能となっている。ペダル部55は、前方側の端が基部51の回転軸51bによって支持されており、この回転軸51bを中心として回動可能となっている。また、ペダル部55は、後方側の所定位置に、バネ部材54が係止されている。
【0050】
本実施形態では、
図7(a)に示すように、ハンドル部52とアーム部56とが係止されている場合、バネ部材54の弾性力によってペダル部55の先端55bを持ち上げるような伸縮長となっている。そして、
図7(b)に示すように、ペダル部55を使用者が踏みつけると、バネ長が伸びて付勢され、バネ部材54と係止されたアーム部56には、その付勢に対する復元力がかかる。ここで、ハンドル部52とアーム部56とが係止されている状態では、
図7(b)に示すように、アーム部56は地面に対して平行状態は維持されるが、係止状態を解除すると、復元力によってアーム部56の前方側の端が下方に引っ張られることで、アーム部56の保持部56b側が回転軸53bを中心として上方に向けて回動する。これにより、保持部56bに保持された消火用具1aは、前方斜め上方に向けて投てきされる。
【0051】
(消火方法)
このような構成を有する消火用具1aを用いることにより、本発明の消火方法を実施することができる。先ず、上部30aの開口部分と、下部30の開口部分を向かい合わせた状態で、凹部33bの孔に凸部33aを噛み合わせて上部30a及び下部30bとを係合させる。その後、係合部分は、例えば、粘着テープ若しくは、接着剤等で固定する。
【0052】
その後、開口部35の孔から容器本体30内に液状の消火剤2を充填して、開口部35をピン等で塞いで、容器本体30内部の気密性を維持して、消火剤2を容器本体10内に封入しておく。この状態で、例えば不燃性の素材で構成された箱などに収納しておく。なお、本実施形態において、容器本体30内には少量の空気が含まれるように消火剤2を充填する。
【0053】
そして、火災発生時において、使用者が直接火災発生場所に投入する場合には、消火剤2が封入された状態の消火用具1aを手に持ち、火災発生場所近傍に投入することにより、容器本体30に衝撃を加える。このとき、連結部分31aは、切欠部34,34aによって、各面31より肉薄となっているため、衝撃による変形が連結部分31aに生じ、連結部分31aが破壊される。これにより、容器本体30が分解されて、内部の消火剤2が散布される。
【0054】
一方、投てき装置5を用いる場合には、使用者は、先ず、投てき装置5を火災発生場所の方向に向けて、配置するとともに、アーム部56の凸部56aをハンドル部52の係止孔52bに差し込んで、アーム部56をハンドル部52に係止させる。その後、消火剤2が封入された状態の消火用具1aを投てき装置5の保持部56bに設置する。そして、使用者は、
図5(a)に示すように、ペダル先端55bの下面が地面と接するようにペダル部55を踏む。この際、ペダル部55に係止されたバネ部材54には弾性力による付勢が生じる。
【0055】
そして、
図5(b)に示すように、ペダル部55を踏み込んだ状態で、ハンドル部52を手前に回動させることで、アーム部56とハンドル部52との係止状態が解除される。アーム部56の係止状態が解除されると、
図7(c)に示すように、バネ部材54の付勢に対する復元力によって、アーム部56の後端56cは、斜め下方に引っ張られる。これにより、アーム部56は、支持部材53の回転軸53bを支点として、保持部56b側が上方に向け回動し、保持部56bに設置された消火用具1aに運動エネルギーを与えて消火用具1aを飛ばす。
【0056】
ここで、本実施形態において、支持部材53は、基部51に対してハンドル部52側に所定角度に傾いて形成されているとともに、支持部材53の上端側部には、アーム部56の回動を停止させるストッパー53aが設けられていることにより、アーム部56は、地面に対して垂直となる状態前に回動動作が停止されるため、消火用具1aを斜め上方に向けて飛ばすことができる。
【0057】
そして、投てき装置5によって投てきされた消火用具1aは、火災発生場所近傍に投入されることにより、容器本体30に衝撃を加えられる。このとき、連結部分31aは、切欠部34によって各面31より肉薄となっているため、その衝撃による応力が連結部分に集中するので、衝撃による変形が連結部分31aに生じ、連結部分31aが破壊される。これにより、容器本体30が分解されて、内部の消火剤2が散布される。
【0058】
(作用・効果)
上述した第2実施形態に係る消火用具1a及び消火方法によれば、火災現場において投てきして物体に衝突させて、消火を行うことができる。このとき、コントロールミスや火災現場に衝突させる物体がない場合でも、容易に容器本体30を開放させ、内部の消火剤2を散布させて消火を行うことができ、消火活動におけるミスの発生を防止できる。
【0059】
すなわち、本実施形態における容器本体30は、複数の面31が連結されて形成された多面体の形状をなしているので、地域の防災を支える老人でも火災現場まで安全に運搬しやすく、把持しやすいので、投てき器による消火が有効となる。このようにして、火災現場において投てきして物体に衝突させて、消火を行うことができる。このとき、容器本体30における複数の面31の連結部分31aは、他の部分よりも肉薄に形成されていることから、火災発生場所近傍に投入され、容器本体30に衝撃を加えられると、その衝撃による応力が連結部分に集中するので、衝撃による変形が連結部分31aに生じ、連結部分31aが破壊される。これにより、容器本体30が分解されるので、容易に容器本体の気密性を開放させ、内部の消火剤を散布させて消火を行うことができ、消火活動におけるミスの発生を防止できる。特に、本実施形態では、容器本体30は、多面体で形成されているため、連結部分31aで形成される角部分を多く含むため、火災発生場所近傍に投入した際、より破壊され易く、内部の消火剤を散布させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、投てき装置5を用いて、消火用具1aを遠投することができるので、火元が遠い位置にある場合であっても、消火用具1aを火元に対して消火剤を散布させることができる。また、本実施形態において、投てき装置5は、電力を用いることなく、バネ部材54の付勢を利用して遠投することができるので、火災場所時など電力が供給されていない場所でも利用可能である。
【0061】
また、平常時における保管に際しては、容器本体30は、上部30a及び下部30bの係合状態を粘着テープ等で固定するとともに、開口部35をピンで塞いで粘着テープ等で塞いで内部の気密性を確保しているため、運搬や日常の取り扱いにおける耐久強度を確保できる。また、小型化、軽量化が容易な簡易な構造を有しており、設置スペースの低減や形状の多様化が可能である。さらには、簡易な構成であるため、製品コストを抑えて、製品の低価格化が可能であり、一般家庭への普及にも適している。
【0062】
これらの結果、本実施形態によれば、製品価格を安価に抑えつつ、保管時の安定性・安全性を確保したうえで、小さな衝撃力により容易に消火剤2を散布させることができるとともに、容器を把持し易く投げ易い構造とすることにより、誰でも簡単に火元に向かって投てきすることができ、確実に消火することができる。
【0063】
(変形例)
次に、第2実施形態の変形例について説明する。本変形例では、容器本体30の内部空間32に、消火剤の拡散を補助する拡散補助部材40を備えることを特徴とする。
図8は、本変形例に係る消火用具の全体構成を示す概念図であり、同図(a)は、消火用具を分解した状態の斜視図であり、同図(b)は、投てき式消火用具の組み立て後の斜視図である。また、
図9(a)及び(b)は、変形例に係る拡散補助部の機能を示す説明図である。
【0064】
本変更例において、消火容器1bの容器本体30内部には、拡散補助部材40を有している。この拡散補助部材40は、容器本体30内において対抗する面31と面31との間に配置される複数の軸部材41を有している。具体的に、は、
図8に示すように、x軸方向に延設される軸部材41aと、y軸方向に延設される軸部材41bと、z軸方向に延設される軸部材41cとを有し、各軸部材41a〜41cは、3軸状であって、6方向に向けて放射するように突出されている。また、各軸部材41a〜41cは、各部材の中間部分において、相互に連結されて固定されている。
【0065】
各軸部材41(41a〜41c)は、容器本体30と同様に、塩化ビニル樹脂、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの周知の熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、各軸部材41は、所定の太さを有し、消火用具1aが壁等に衝突した際、破壊されることなく、投てきされた消火用具1aの推進力に対する反力が伝達されるようになっている。また、各軸部材41a〜41cは、対向する面31,31間の長さと合致する長さを有し、その端部が容器本体30の内面と接触するようになっている。さらに、両端部は内面に向かって突出する湾曲状をなしている。
【0066】
このような形状の拡散補助部材40を有していることで、火災発生場所近傍に消火用具1aを投てきして壁9等に衝突させることで、内部の消火剤をより広範囲に散布させて消火を行うことができる。以下に、壁9等に消火用具1aを衝突させた場合について説明する。
【0067】
初めに、
図9(a)に示すように、消火用具1bの軸部材41の軸方向が壁9の面に対して垂直状態で衝突した場合について説明する。ここで、消火用具1bが壁に衝突すると、その消火用具1bの推進力P1に対する反力P2が消火用具1bに生じる。ここでは、軸部材41は、壁9に対して垂直状態となっているため、生じた反力P2は、軸部材41の壁9側の端から、壁9とは反対の他端側に伝達される。これにより、容器本体30の内部から外方(壁9とは反対方向)に向けた反力P3が他端に接触する面31及び連結部分31aに伝達され、その反力P3による変形を連結部分31aに生じさせて容器本体30を分解させるので、消火剤2を壁9とは反対方向に向けて散布することができる。
【0068】
次いで、
図9(b)に示すように、軸部材41の軸方向が壁9の面に対して垂直でない状態で衝突した場合について説明する。この場合、先ず、消火用具1aに働いていた壁9側への推進力P1により、壁9側の容器本体30一部は、連結部分31aから分解される。その後、壁9と2つの軸部材41,41の一端が接触することで、各軸部材41,41には、反力P2が伝達されて、各軸部材41,41の壁9側の端から、各軸部材の他端へ伝達される。これにより、容器本体30の内部から外方(壁9とは反対方向)に向けた反力P3が他端に接触する面31及び連結部分31aに伝達され、その反力P3による変形を連結部分31aに生じさせて容器本体30を分解させるので、消火剤2を壁9とは反対方向に向けて散布することができる。
【0069】
このように、容器本体30内部に拡散補助部材40を配置させることで、消火用具1aの推進力に対する反力を伝達して、容器本体30の内部から壁9とは反対方向に押し出す力で容器本体30を分解するので、内部の消火剤2をより広範囲に散布させて消火を行うこうことができる。特に、本実施形態では、複数の軸部材41a〜41cを有し、各軸部材41a〜41cは連結されて固定されているので、衝撃に対する反力は、異なる軸方向に延びた他の軸部材41にも伝達されるため、より容器本体30内の消火剤2を多方向に向けて散布することができるので、広範囲に散布させることができる。
【0070】
なお、第2実施形態において、消火用具1aの容器本体30は、34の面を有する34面体で構成したが、本発明は、これに限定するものではなく、容器本体の内部の気密性が維持することができればよく、その面数は限定されるものではなく各種の多面体を用いることができる。また、多面体に限定されるものではなく、例えば、
図10(a)に示すように球体の容器本体30a、
図10(b)に示すように楕円体の容器本体30bなど種々の形状とすることもできる。
【0071】
この場合においても、容器本体の内面若しくは外面に、他の部分よりも肉薄となるように一部を切り欠いた連結部分31bを形成させる。また、このような形状であっても、容器本体30a,30bの内部には、容器本体30a,30bの内部空間に応じた形状の拡散補助部材40を収納可能である。また、容器本体の表面に凹凸を設け、握り易くしてコントロールを向上させてもよい。
【0072】
さらに、上述した第2実施形態において、拡散補助部材40は、3本の軸部材41a〜41cを用いて3軸上に突出する構成としたが、本発明は、これに限定するものではなく、例えば、多面体の全面に向かって突出するようにより複数の軸部材を設けるなど種々変更可能である。また、各軸部材41の形状は、棒状に限定されるものではなく、対向する面に亘って形成されていればよく、例えば、楕円体としてもよく、また、軸部材41の表面に凹凸や径方向に延出する羽根などを設けるなど種々変更可能である。なお、上記拡散補助部材40を第1実施形態の容器本体10に収納させることも可能である。