特開2015-123525(P2015-123525A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-123525(P2015-123525A)
(43)【公開日】2015年7月6日
(54)【発明の名称】自動ねじ締め機
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20150609BHJP
【FI】
   B23P19/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-268471(P2013-268471)
(22)【出願日】2013年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇野 穣
(72)【発明者】
【氏名】島田 史恭
(57)【要約】
【課題】ねじの斜め締め付けを低減する自動ねじ締め機の提供。
【解決手段】モータ6aの駆動を受けて回転するビット連結軸9と、このビット連結軸9に接続されねじに嵌合可能なビット3と、前記ビット連結軸9を回転自在に支持するとともに所定の位置まで往復移動自在な往復移動手段とを備えた自動ねじ締め機において、前記往復移動手段は、前記ビット連結軸を回転自在に支持する内筒2aと、この内筒2aを覆う外筒2bとを備え、前記内筒2aは、前記外筒2bから突出あるいは復帰する可動部を成し、その軸線が前記ビット連結軸9の軸線に一致するよう配されて成ることを特徴とする。これにより、ビット下降時の推力を高く設定してもねじ螺入時のビット3に大きな曲げモーメントが生じない。よって、ビット3が反らずねじの斜め締めが発生し難い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動源の駆動を受けて回転するビット連結軸と、このビット連結軸に接続され締結部品に嵌合可能なビットと、前記ビット連結軸を回転自在に支持するとともに所定の位置まで往復移動自在な往復移動手段とを備えた自動ねじ締め機において、
前記往復移動手段は、前記ビット連結軸を回転自在に支持する内筒と、この内筒を覆う外筒とを備え、
前記内筒は、前記外筒から突出あるいは復帰する可動部を成し、その軸線が前記ビット連結軸の軸線に一致するよう配されて成ることを特徴とする自動ねじ締め機。
【請求項2】
前記往復移動手段は、圧縮空気の供給により前記内筒を往復駆動する中空シリンダであることを特徴とする請求項1に記載の自動ねじ締め機。
【請求項3】
前記回転駆動源は、前記外筒の一端に固定して成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動ねじ締め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークにねじを締結する自動ねじ締め機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動ねじ締め機は、特許文献1に開示されており、図2を用いて以下に説明する。従来の自動ねじ締め機101は、ねじを吸引してワークに螺入するねじ締めユニット6と、このねじ締めユニット6を昇降自在に支持する往復移動手段102と、前記ねじを一時的に保持するチャックユニット10とを備えて成る。
【0003】
前記往復移動手段102は、ベース103上部の上ブラケット103aに設置した往復駆動源の一例であるエアシリンダ106と、このエアシリンダ106のロッド106aに連結したドライバ台105と、前記ドライバ台105を鉛直方向に案内する案内軸104と、この案内軸104の下部を支持する下ブラケット103bと、この下ブラケット103bの下方に配され前記案内軸104の一端に固定したチャック台109とを備えて成る。
【0004】
前記ねじ締めユニット6は、前記ドライバ台105の上面に固定したモータ6aと、前記ドライバ台105の下部に固定した中空の案内スリーブ15と、この案内スリーブ15から脱落しないように係止されかつ案内スリーブ15内を摺動自在に配された摺動スリーブ16と、この摺動スリーブ16の先端に連結した吸着パイプ19と、前記案内スリーブ15内に配され前記摺動スリーブ16を常時下方へ付勢するばね(図示せず)とを備える。さらに、ねじ締めユニット6の内部には、前記モータ6aの駆動軸に接続され前記ばねに内包されたモータ連結軸と、前記モータ連結軸に接続されねじに係合するビットとが配されており、前記ビットは前記吸着パイプ19に内包されている。また、前記摺動スリーブ16には、エアホース20が接続され、このエアホース20にはエア吸引装置(図示せず)が接続されている。よって、前記エア吸引装置が作動することで、前記吸着パイプ19の先端からエアを吸引可能となる。
【0005】
前記チャックユニット10は、前記チャック台109に固定されており、外部のねじ供給装置(図示せず)から送られたねじが通過する連結具13と、この連結具13と常時は連通する揺動パイプ14と、この揺動パイプ14を通過した前記ねじが一時的に保持される一対のチャック爪12(図面では片側しか示さず)とを備えて成る。前記チャック爪12は、爪ばね(図示せず)により常時閉じる方向へ付勢されており、その内部を前記吸着パイプ19により押されることで開くように構成されている。
【0006】
このように構成した従来の自動ねじ締め機101は、前記ねじが前記チャック爪12に保持されると、前記モータ6a、前記エア吸引装置、前記エアシリンダ2がそれぞれ一斉に作動するため、前記ビットの回転、エアの吸引、ドライバ台105の下降動作を一斉に開始する。これにより、前記ドライバ台105、前記吸着パイプ19および前記ビットは一体に下降し、前記吸着パイプ19が前記揺動パイプ14に当接する。これにより前記揺動パイプ14が揺動するため、吸着パイプ19はチャック爪12へ接近する。よって、チャック爪12に保持されたねじは、上述のエアの吸引によって吸着パイプ19内へ吸引される。前記吸着パイプ19は、その後も下降するため前記チャック爪12を開き図示しないワークの上面に当接する。この当接により前記吸着パイプ19の下降は停止するものの前記エアシリンダ2が引き続き作動しているため、上述した案内スリーブ15内の前記ばねが圧縮する。これにより、前記ビットは、前記吸着パイプ19の先端側へ移動して、前記ねじに係合するとともにこのねじを前記吸着パイプ19から押し出しつつ前記ワークへ螺入する。
【0007】
またこの時、特に先端が十字に形成されたビットであれば、ねじ頭部の着座後等、ビットに掛かるトルクの急上昇によりビットのカムアウトが発生し易い。つまり、このカムアウトを防止するためには、ねじ締め時におけるビットの押付力(以下、推力という)を高く設定しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-5948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の自動ねじ締め機は、ビットへ推力を付与するエアシリンダがねじ締めユニットから大きく離れた位置に配されオフセット(図2の距離L)しており、しかもビットを回転自在に支持する前記ドライバ台は、その昇降方向のスムーズな動作を実現するために前記案内軸との間に所定の隙間(図示せず)を有している。これにより、前記ビットに高い推力が設定されていると、ねじの先端がワークに当接した時点において、ビットには曲げモーメントが生じる。つまり、前述のオフセットおよび隙間の影響を受けてビットが傾き、ビットに係合するねじが傾いてしまうため、従来の自動ねじ締め機は、所謂斜め締めを生じやすい問題があった。また、従来の自動ねじ締め機は、前述のような斜め締めを生じるため、ビットが反り易く、ビットの寿命が短くなる問題もあった。さらに、従来の自動ねじ締め機は、上述の通りエアシリンダとビットとが所定の間隔をあけて配されるため、ビットの軸線と直交する方向の寸法、つまり自動ねじ締め機の幅寸法が大きくなり小型化が図れない問題もあった。
【0010】
また、従来の自動ねじ締め機は、ドライバ台が案内軸に沿って上下方向に可動する機構のため、例えば可動部であるドライバ台と固定部である前記下ブラケット3bとの間に前記エアホースなどの比較的柔軟性の高い部材が挟み込まれ損傷する問題もあった。
【0011】
さらに、従来の自動ねじ締め機は、ドライバ台の上昇・下降動作に伴ってビットも同様に昇降するため、ドライバ台に固定したモータは、毎回のねじ締め時に上下方向に移動するため、モータに接続したケーブルも同様に上下方向へ移動する。よって、従来の自動ねじ締め機は、前記ケーブルが毎回のねじ締め時に繰り返し屈曲するため、前記ケーブルの断線が発生し易いという問題もあった。また、モータがねじ締め時に上下方向へ移動することを考慮して前記ケーブルを配線する必要がある。つまり、モータの下降距離に併せてケーブルが下方へ引っ張られないようにあらかじめケーブルをいくら弛ませるかについて検討しなければならなかった。つまり、従来の自動ねじ締め機の据え付けには作業者がケーブルの固定位置等について慎重に検討しなければならず、作業者に掛かる負担が大きいという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題に鑑みて創成されたものであり、ねじの斜め締め付けを低減する自動ねじ締め機の提供を目的とする。
【0013】
この目的を達成するため、本発明の自動ねじ締め機は、回転駆動源の駆動を受けて回転するビット連結軸と、このビット連結軸に接続され締結部品に嵌合可能なビットと、前記ビット連結軸を回転自在に支持するとともに所定の位置まで往復移動自在な往復移動手段とを備えた自動ねじ締め機において、前記往復移動手段は、前記ビット連結軸を回転自在に支持する内筒と、この内筒を覆う外筒とを備え、前記内筒は、前記外筒から突出あるいは復帰する可動部を成し、その軸線が前記ビット連結軸の軸線に一致するよう配されて成ることを特徴とする。なお、前記往復移動手段は、圧縮空気の供給により前記内筒を往復駆動する中空シリンダであることが望ましい。また、前記回転駆動源は、前記外筒の一端に固定して成ることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自動ねじ締め機は、締結部品に係合するビットを接続したビット連結軸と前記ビットに推力を付与する前記内筒との軸線を一致するように配置できる。これにより、前記ビットに高い推力が加わってもビットに曲げモーメントが生じ難いので、従来のような隙間の影響によりビットが傾くような状態になり難い。よって、本発明の自動ねじ締め機は、ねじの斜め締めの発生を低減できる利点がある。また、このように、斜め締めの発生を低減できることから、従来のようなビットの反りも低減されるので、ビットの寿命が長くなる利点もある。さらに、前記内筒とビット連結軸の軸線を一致させることができるため、自動ねじ締め機の幅寸法を小さくできる利点もある。
【0015】
また、本発明の自動ねじ締め機は、圧縮空気の供給により外筒から内筒が突出する中空シリンダを備えているため、ビットを昇降させるための機構部を従来よりも簡素化できる利点もある。なぜならば、従来であればビットの昇降にはエアシリンダ、ドライバ台、案内軸、この案内軸を支持する下ブラケット等の部材を必要としたが、本発明の自動ねじ締め機では、これら複数の部材を1つの中空シリンダで担うことが可能となるからだ。これにより、本発明の自動ねじ締め機は、従来に比べて軽量となるため、例えば可搬重量の低い多関節ロボットに搭載できる等、この自動ねじ締め機を搭載するロボットの選択肢を増やすことができる利点もある。また、上述のように本発明の自動ねじ締め機は、従来のドライバ台や下ブラケット等の部材が不要となることから、上述したエアホースなどが挟み込まれて破損する問題が低減する利点もある。
【0016】
また、本発明の自動ねじ締め機は、前記回転駆動源を前記外筒の一端に固定して成るため、前記ビットが往復方向へ動作しても回転駆動源は往復方向へ移動せず一定の位置に留まっている。よって、前記回転駆動源は、ビットの往復移動時に毎回生じる加速度の影響を全く受けることがなく、この加速度による回転駆動源の故障が大幅に低減する利点もある。このように、ビットが往復移動しても回転駆動源は所定の位置に留まっているため、回転駆動源に接続したケーブルも従来のようにビットの往復移動に伴って移動することがない。これにより、回転駆動源に接続したケーブルは、毎回のねじ締め時に引っ張られたり屈曲したりすることもないため、ビットの往復移動に伴うケーブルの断線が従来に比べて大幅に低減する利点もある。さらに、回転駆動源のケーブルがビットの往復移動に伴って移動しないため、据え付け時のケーブルの固定位置も従来のように慎重に検討する必要がない。よって、本発明の自動ねじ締め機は、従来のように据え付け時における作業者への負担を軽減できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る自動ねじ締め機の一実施形態を示す一部切欠断面図である。
図2】従来の自動ねじ締め機を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の自動ねじ締め機について、図1を用いて以下に説明する。本発明の自動ねじ締め機1は、回転駆動源の一例であるACサーボモータ(以下、単にモータ6aという)の駆動により回転するビット3を備えたねじ締めユニット6と、前記ビット3を回転自在に支持可能な内筒2aを備えた往復移動手段と、前記往復移動手段の一端に固定され前記ビット3を挿通可能なバキューム手段4とから成る。
【0019】
まず、前記ねじ締めユニット6は、外部に設置されたモータ制御装置(図示せず)からの駆動信号等を伝送するケーブル6bを備えて成るモータ6aと、このモータ6aの駆動により回転する駆動軸6bと、この駆動軸6bの一端に取り付けられたモータ連結軸7と、このモータ連結軸7の先端部を内包しモータ連結軸7に対して摺動自在なビット連結軸9と、このビット連結軸9に直結された締結部品の一例であるねじ(図示せず)に係合するビット3とを備えて成る。
【0020】
前記ビット3は、前記ねじに係合する係合部と、前記ビット連結軸9の一端に配されためねじにねじ込み可能なおねじ部と、前記係合部および前記おねじ部を一体に繋ぐシャフト部とから構成される。また、前記係合部は、断面十字形状に形成されており、前記ねじに形成された十字穴と嵌合することで前記ねじへ回転力を伝達できる。
【0021】
前記モータ連結軸7は、その先端部が四角柱で形成される一方、前記ビット連結軸9は、前記モータ連結軸7の先端部に係合可能な四角穴が穿設されている。また、前記ビット連結軸9の四角穴には、前記モータ連結軸7の四角柱が常時係合しているため、前記ビット連結軸9に前記モータ連結軸7のトルクが確実に伝達されそれぞれが同一の回転数で回転する。しかも、前記ビット連結軸9は、前記モータ連結軸7に対して摺動自在な構成のため、前記四角穴と前記四角柱との係合が解かれるまでは、前記吸着パイプ19の先端側へ摺動しながらも前記モータ連結軸7と同一の回転数で回転する。これにより、前記ビット3は、その延びる方向に摺動しつつ前記駆動軸6bと同一の回転数で回転できる。
【0022】
前記往復移動手段は、その一例である中空シリンダ2で構成される。この中空シリンダ2は、圧縮空気の通過可能な通気口を上部および下部に備えた外筒2bと、この外筒2bに内包され前記圧縮空気の供給により外筒2bの下端側から突出および復帰する可動部の内筒2aとを備えて成る。
【0023】
前記外筒2bの上端には前記モータ連結軸7を回転自在に支持する上蓋2cが取り付けられており、この上蓋2cに前記モータ6aが固定される一方、前記外筒2bの下端には前記内筒2aを摺動自在に支持する下蓋2dが取り付けられている。さらに、前記内筒2aの下部には、前記ビット連結軸9を回転自在に支持するベアリング30,31が配されており、前記ビット連結軸9は、このベアリング30,31から抜け落ちないように取り付けられている。つまり、前記ビット連結軸9は、前記内筒2aに対して回転自在かつ内筒2aと一体に摺動するように取り付けられている。また、前記内筒2aの軸線は、前記ビット連結軸9、前記ビット3のそれぞれの軸線と一致しており、前記モータ連結軸7の軸線とも一致している。さらに、図示しないが前記内筒2aは、その軸線を中心に回転しないよう構成されている。なお、前記中空シリンダ2の詳細構造については、特開2002−39115に開示されているため説明を省略する。
【0024】
前記バキューム手段4は、前記外筒2bの下端に固定され前記内筒2aを挿通可能な案内スリーブ15と、この案内スリーブ15の一端に取り付けられ前記ビット3を挿通可能な吸引穴19aを備えた吸着パイプ19とから成る。
【0025】
前記案内スリーブ15は、前記内筒2aの摺動時に干渉しない有底の挿通穴15aを備えており、この挿通穴15aの前方には前記吸着パイプ19が取り付けられている。また、前記案内スリーブ15の先端には、エア配管継手21が取り付けられ、このエア配管継手21にエアホース20が接続されている。さらに、このエアホース20には、図示しないエアを吸引するエア吸引装置が接続されている。
【0026】
また、前記吸引穴19aは、前記ねじの頭径よりも若干大きな寸法で設定され、この吸引穴19aの内壁面と前記ビット3の外周面には若干の隙間を有しており、前記隙間は、前記エア配管継手21の内部に連通している。これにより、前記エア吸引装置が作動すると、吸着パイプ19の先端側から前記吸引穴19内へエアが流入するため、前記吸引穴19aの先端側からねじを吸引することができる。
【0027】
次に、本発明の自動ねじ締め機1の作用について説明する。本発明の自動ねじ締め機1は、前記モータ制御装置および前記エア吸引装置の作動とともに前記外筒2bへの圧縮空気の供給が一斉に開始されることで、前記ねじ締めユニット6の駆動軸6bが回転するとともに前記バキューム手段4の前記吸着パイプ19にエアが流入し、さらに、前記中空シリンダ2の前記内筒2aが下方へ摺動する。
【0028】
これにより、前記駆動軸6bに接続された前記モータ連結軸7は、前記ビット連結軸9に駆動軸6bの回転を伝達するため、前記ビット3が駆動軸6bと同一の回転数で回転する。
【0029】
またこの時、前記吸着パイプ19には、前記ねじが供給されているため、前記エア吸引装置の作動によって発生したエアとともに前記ねじがその頭部から前記吸引穴19aの内部へ吸引される。
【0030】
さらに、前記中空シリンダ2に圧縮空気が供給されているので、この圧縮空気が前記通気口の上部側を通過し、これが前記外筒2bの内部に流れ込む。よって、前記内筒2aが流れ込んだ圧縮空気の圧力によって下方へ押されるため、前記内筒2aは、前記案内スリーブ15の挿通穴15a内へ入り込み摺動する。この時、前記内筒2aの摺動に併せて前記ビット連結軸9が前記モータ連結軸7と係合する範囲を減らすように前記内筒2aと一体に下降する一方、前記上蓋2cは下降しないので前記モータ6aおよび前記ケーブル6c、前記モータ連結軸7は、垂直方向へ移動せず所定の位置に留まっている。したがって、前記モータ6aに垂直方向の加速度が加わったり、前記ケーブル6cが引っ張られることもない。よって、モータ6aの破損やケーブル6cの断線の発生を大幅に低減できる。
【0031】
また、前述の内筒2aの摺動により、前記ビット連結軸9と一体に回転する前記ビット3は、前記案内スリーブ15に取り付けた前記吸着パイプ19から突出する方向へ移動する。この時、前述したように前記吸着パイプ19には、前記ねじが吸引されているので、このねじが下降する前記ビット3に係合し、ビット3とともに回転する。
【0032】
さらに、前記ビット3が下降すると前記ねじは、ビット3により下方へ押され図示しないワークに当接する。この当接により前記ビット3は、前記ねじに推力を付与することになり、この時のビット3の推力は、摺動する前記内筒2aによって付与される。また、このビット3の推力を付与する前記内筒2a、前記ビット連結軸9、前記ビット3は、それぞれの軸線が何れも一致するように配されているため、前記ねじにビット3の推力が作用する際、ビット3に作用する曲げモーメントを極めて小さくできる。これにより、前記ビット3およびこのビット3に係合するねじが何れも傾き難いため、従来発生していたねじの斜め締めの発生が大幅に低減する。
【0033】
なお、本実施例において、前記ビット3の係合部は、断面十字形状としたがこれに限定されるものではなく、前記締結部品の前記駆動穴の形状に併せて設定すればよい。また、前記モータ連結軸7およびビット連結軸9は、それぞれ前述の四角柱あるいは四角穴としたがこれに限定されるものではなく、しかもそれぞれが入れ替わってもよい。つまり、モータ連結軸7およびビット連結軸9は、一方の回転を他方へ伝達可能かつ互いに摺動自在な形状であればよく、例えば、一方の軸を二面幅に形成し、他方の軸を前述の軸に係合かつ摺動するように形成されていればよい。さらに、前記モータ6aは、その軸線が前記モータ連結軸7の軸線に一致するよう配され、前記モータ連結軸7に直結されているが、これに限定されるものではなく、例えばそれぞれの軸線をオフセットさせ、歯車等を用いてモータ6aの回転を前記モータ連結軸7に伝達するよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 自動ねじ締め機
2 中空シリンダ
2a 内筒
2b 外筒
3 ビット
4 バキューム手段
6 ねじ締めユニット
6a モータ
7 モータ連結軸
9 ビット連結軸
図1
図2