特開2015-123883(P2015-123883A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015123883-フューエルフィラーリッド装置 図000003
  • 特開2015123883-フューエルフィラーリッド装置 図000004
  • 特開2015123883-フューエルフィラーリッド装置 図000005
  • 特開2015123883-フューエルフィラーリッド装置 図000006
  • 特開2015123883-フューエルフィラーリッド装置 図000007
  • 特開2015123883-フューエルフィラーリッド装置 図000008
  • 特開2015123883-フューエルフィラーリッド装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-123883(P2015-123883A)
(43)【公開日】2015年7月6日
(54)【発明の名称】フューエルフィラーリッド装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20150609BHJP
【FI】
   B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-269972(P2013-269972)
(22)【出願日】2013年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】若松 篤志
(72)【発明者】
【氏名】藤原 雄高
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC16
3D038CD03
3D038CD06
(57)【要約】
【課題】部品点数を抑えてコンパクトな構成で給油リッドの開状態及び閉状態の両方を検出可能とする。
【解決手段】突出移動可能に車体に備えられ、フックリターンスプリング88によって伸長方向に付勢されて給油リッド23を閉状態でロックし、ドアモータ86によって縮作動されることで給油リッド23のロックを解除するドアフック85を有するフューエルフィラーリッド装置70において、閉位置においてドアフック85によって係止された状態でドアフック85の伸長を第1の位置で規制する左右壁部81が給油リッド23に備えられ、ドアフック85の突出位置を検出するドア開閉センサ62によってドアフック85が第1の位置であることを所定時間検出した場合には給油リッド23は閉状態であると判定し、ドアフック85が第1の位置よりも突出した第2の位置であることを所定時間検出した場合には給油リッド23は開状態であると判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の燃料タンクの給油口を開閉する給油リッドと、
車体に備えられ前記車体から前記給油リッド側に突出する方向へ可動する係止部と、
前記係止部を可動させる可動部と、
前記給油リッドに備えられ、前記給油リッドが閉位置において前記係止部の突出位置を第1の位置で規制する規制部と、
前記係止部の突出位置を検出する検出部と、
前記検出部によって前記係止部が前記第1の位置であることを所定時間検出した場合に前記給油リッドは閉状態と判定し、前記係止部が前記第1の位置よりも突出した第2の位置であることを所定時間検出した場合には前記給油リッドは開状態と判定する判定部とを備えた、
ことを特徴とするフューエルフィラーリッド装置。
【請求項2】
前記給油リッドにはブラケットが備えられ、
前記ブラケットは屈曲部を有し、
前記規制部は前記屈曲部に前記係止部が当接することで前記係止部を規制するとともに前記給油リッドを閉状態でロックすることを特徴とする請求項1に記載のフューエルフィラーリッド装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記第1の位置よりも短い突出量の第3の位置で前記ブラケットの係止を解除し、
前記判定部は、前記検出部によって前記第3の位置を検出した際に前記給油リッドが開作動中であることを判定することを特徴とする請求項2に記載のフューエルフィラーリッド装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記第1の位置で第1の出力を出力し、前記第2の位置または前記第3の位置で第2の出力を出力し、
前記第2の出力は、前記第1の出力より高出力であることを特徴とする請求項3に記載のフューエルフィラーリッド装置。
【請求項5】
前記フューエルフィラーリッド装置は、前記給油リッドを開方向へ付勢する第1の付勢部を備え、
前記可動部は前記係止部を突出方向に付勢する第2の付勢部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフューエルフィラーリッド装置。
【請求項6】
前記可動部は、前記第2の付勢部の付勢力に反して前記係止部を反突出方向へ作動させるアクチュエータを有し、
前記判定部は、前記検出部からの出力と前記アクチュエータの作動に基づいて前記給油リッドの開閉状態を判定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフューエルフィラーリッド装置。
【請求項7】
前記燃料タンクは前記燃料タンクを密閉する密閉弁を備え、
ロック解除操作部が操作された際は、前記密閉弁を開作動し前記燃料タンク内の圧力を所定値以下に低減し、前記係止部を反突出方向へ作動させて前記給油リッドのロックを解除するロック解除制御部を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフューエルフィラーリッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フューエルフィラーリッド装置に係り、詳しくは、給油リッドの開閉検出部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に搭載された燃料貯留装置では、燃料タンク内で蒸発した燃料蒸発ガスの大気への放出を防止する技術として、燃料タンクと連通するキャニスタと、燃料タンクとキャニスタとを連通する経路に燃料タンクを密閉するように制御される密閉弁とを備え、給油時には密閉弁を開き燃料蒸発ガスをキャニスタに向けて流出するようにし、燃料蒸発ガスをキャニスタにて吸着させるようにしている。
【0003】
ところでこの燃料貯留装置のように、密閉弁により燃料タンクが密閉されていると、外気温の上昇に伴い燃料タンク内の燃料が蒸発し、燃料蒸発ガスにより燃料タンク内の圧力が高圧となることがある。そして、給油時の燃料タンクの給油口の蓋の開放に伴って燃料蒸発ガスが大気中へ放出される虞がある。
そこで、給油に伴う燃料蒸発ガスの大気中への放出を防止するために、燃料タンクの給油口を覆う給油リッド(フューエルフィラーリッド)を閉状態でロック可能なフューエルフィラーリッド装置を備え、スイッチ等により給油リッドの開操作を行った場合に、給油リッドのロック解除前に密閉弁を開いて燃料蒸発ガスを流出させて燃料タンク内の圧力を十分に低下させるようにしている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4082263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給油リッドを有する車両において、給油リッドの開閉を検出する開閉センサを有するものがある。例えば、車両走行時のような給油以外のときに、給油リッドが開状態であることを検出した場合、給油リッドの閉を促す警告表示を行う。
そして、上記特許文献1のように、給油リッドの開閉をロック可能なフューエルフィラーリッド装置において、部品点数を抑えコンパクトな構成で給油リッドの開状態及び閉状態の両方を検出可能にすることが望まれている。
【0006】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、部品点数を抑えてコンパクトな構成で給油リッドの開状態及び閉状態の両方を検出可能なフューエルフィラーリッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1のフューエルフィラーリッド装置では、車両の燃料タンクの給油口を開閉する給油リッドと、車体に備えられ前記車体から前記給油リッド側に突出する方向へ可動する係止部と、前記係止部を可動させる可動部と、前記給油リッドに備えられ、前記給油リッドが閉位置において前記係止部の突出位置を第1の位置で規制する規制部と、前記係止部の突出位置を検出する検出部と、前記検出部によって前記係止部が第1の位置であることを所定時間検出した場合に前記給油リッドは閉状態と判定し、前記係止部が前記第1の位置よりも突出した第2の位置であることを所定時間検出した場合には前記給油リッドは開状態と判定する判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2のフューエルフィラーリッド装置では、請求項1において、前記給油リッドにはブラケットが備えられ、前記ブラケットは屈曲部を有し、前記規制部は前記屈曲部に前記係止部が当接することで前記係止部を規制するとともに前記給油リッドを閉状態でロックすることを特徴とする。
また、請求項3のフューエルフィラーリッド装置では、請求項2において、前記係止部は前記第1の位置よりも短い突出量の第3の位置で前記ブラケットの係止を解除し、前記判定部は、前記検出部によって前記第3の位置を検出した際に前記給油リッドが開作動中であることを判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4のフューエルフィラーリッド装置では、請求項3において、前記検出部は、前記第1の位置で第1の出力を出力し、前記第2の位置または前記第3の第3の位置で第2の出力を出力し、前記第2の出力は、前記第1の出力より高出力であることを特徴とする。
また、請求項5のフューエルフィラーリッド装置では、請求項1から4のいずれか1項において、前記フューエルフィラーリッド装置は前記給油リッドを開方向へ付勢する第1の付勢部を備え、前記可動部は前記係止部を突出方向に付勢する第2の付勢部を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6のフューエルフィラーリッド装置では、請求項1から5のいずれか1項において、前記第2の付勢部の付勢力に反して前記係止部を反突出方向へ作動させるアクチュエータを有し、前記判定部は、前記検出部からの出力と前記アクチュエータの作動に基づいて前記給油リッドの開閉状態を判定することを特徴とする。
請求項7のフューエルフィラーリッド装置では、請求項1から6のいずれか1項において、前記燃料タンクは前記タンクを密閉する密閉弁を備え、ロック解除操作部が操作された際は、前記密閉弁を開放し前記燃料タンク内の圧力を所定値以下に低減し、前記係止部を反突出方向へ作動させて前記給油リッドのロックを解除するロック解除制御部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、係止部が第1の位置である場合には給油リッドは係止部によって係止されており、給油リッドが閉状態であると判定することができる。また、係止部が第1の位置よりも突出した第2の位置である場合には給油リッドが規制部によって伸長を規制されておらず、よって給油リッドは係止部によって係止されていないと判定することができる。したがって、検出部によって係止部が第1の位置であることを所定時間検出した場合には、給油リッドが閉状態であると判定することができ、係止部が第2の位置であることを所定時間検出した場合には、給油リッドが開状態であると判定することが可能となり、1つの検出部によって給油リッドの開状態及び閉状態の両方を検出することができる。
【0012】
また、検出部が係止部の突出位置を検出することで、リッドの係止と給油リッドの開閉の検出を纏めてできるので、給油リッド部に新たなセンサ等を設ける必要がなく、コンパクトな構成でコストの増加を抑えることができる。
請求項2の発明によれば、ブラケットと規制部を簡単に形成することができ、部品点数を低減して、簡単な構成にすることができるとともに、係止部が屈曲部に係止されるため給油リッドが確実にロックされる。
【0013】
請求項3の発明によれば、係止部が第3の位置である場合には、給油リッドのロックを解除すべく縮作動されていることが推定されるので、給油リッドが開作動中であると判定することができる。したがって、例えば給油リッドが開作動中であることを表示することで、給油リッドのロック解除に多少時間が経過しても故障であると誤認することを防止することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、給油リッドが閉状態であるときの検出部からの出力は低出力である第1の出力であるので、通常時での検出部からの出力を抑え消費電力を抑制することができる。
請求項5の発明によれば、給油リッドが係止部されていない状況では第1の付勢部の付勢力によって簡単に給油リッドを開放できるとともに、第2の付勢部の付勢力により係止部が屈曲部に押し当てられるため、振動等の外乱によりロックが解除されることを防止できる。
【0015】
請求項6の発明によれば、第1の出力及び第2の出力の2つの出力値を出力する検出部によって、第1の位置とそれ以外の位置とが区別して出力され、この出力値とアクチュエータの作動とに基づいて、第2の位置と第3の位置との区別も可能となる。したがって、出力が2種類の簡単な構成の1つの検出部によって、係止部の突出位置が第1の位置、第2の位置及び第3の位置のいずれかを判定することができ、給油リッドの開閉状態を詳しく判定することができる。
【0016】
請求項7の発明によれば、密閉弁を備えた燃料タンクにおける給油リッドの開閉状態を、1つの検出部で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るフューエルフィラーリッド装置を備えた車両の燃料貯留装置の概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るフューエルフィラーリッド装置の構造を示す横断面図である。
図3】ドアフックの位置とドア開閉センサの出力との関係を示す説明図である。
図4】給油リッド全閉状態におけるドアフックの移動状態を示す説明図である。
図5】給油リッドの閉から開への切換状態におけるドアフックの移動状態を示す説明図である。
図6】給油リッド開作動中におけるドアフックの移動状態を示す説明図である。
図7】給油リッド開状態におけるドアフックの移動状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のフューエルフィラーリッド装置70を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るフューエルフィラーリッド装置70を備えた車両の燃料貯留装置の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料貯留装置は、大きく車両に搭載されるエンジン(内燃機関)10、燃料を貯留する燃料貯留部20、燃料貯留部20で蒸発した燃料の蒸発ガスである燃料蒸発ガスを処理する燃料蒸発ガス処理部30、車両の総合的な制御を行うための制御装置である電子コントロールユニット(以下、ECUという)(判定部、ロック解除制御部)50、車両の車体に設けられる燃料給油口22の蓋である給油リッド23、給油リッド23の開作動を操作するモーメンタリ動作式の給油リッドスイッチ61(ロック解除操作部)、給油リッド23の開閉を検出するドア開閉センサ62(検出部)、車両状態等を表示するディスプレイ63、車両の主電源の断接を行うモーメンタリ動作式のメインスイッチ64、給油リッド23を閉状態でロックするリッドロック機構65を備えている。
【0019】
エンジン10は、吸気通路噴射型(Multi Point Injection:MPI)のガソリンエンジンである。エンジン10には、エンジン10の燃焼室内に空気を取り込む吸気通路11が設けられている。そして、吸気通路11には、吸気通路11の内圧を検出する吸気圧センサ14が設けられている。また、吸気通路11の下流には、エンジン10の吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射弁12が設けられている。燃料噴射弁12には、燃料配管13が接続され、燃料が供給される。
【0020】
燃料貯留部20は、燃料を貯留する燃料タンク21と、燃料タンク21への燃料注入口である燃料給油口22と、燃料を燃料タンク21から燃料配管13を介して燃料噴射弁12に供給する燃料ポンプ24と、燃料タンク21の内圧を検出する圧力センサ25と、内部に図示しないフロート弁を有し、フロート弁の作用により燃料タンク21から燃料蒸発ガス処理部30への燃料の流出を防止する燃料カットオフバルブ26と、給油時に燃料タンク21内の液面を制御するレベリングバルブ27と、後述するベーパ配管38やパージ配管39等の配管の内径よりも小さい内径のオリフィス(例えばφ1.0mm)を有し、燃料タンク21が燃料で満タン状態であるときの給油、即ち継ぎ足し給油での給油量を制限する2ウェイバルブ28と、図示しない燃料タンク21内の燃料量を検出する燃料量検出装置とで構成されている。また、燃料タンク21内で発生した燃料蒸発ガスは、レベリングバルブ27の下部より燃料タンク21外に、或いは燃料カットオフバルブ26より2ウェイバルブ28とレベリングバルブ27とを経由して、燃料タンク21外に排出される。
【0021】
燃料蒸発ガス処理部30は、キャニスタ31と、バイパス弁32と、密閉弁33と、安全弁34と、エアフィルタ35と、パージバルブ37と、ベーパ配管38と、パージ配管39とで構成されている。
キャニスタ31は、内部に活性炭を有している。また、キャニスタ31には、燃料タンク21内で発生した燃料蒸発ガス或いは活性炭に吸着した燃料蒸発ガスが流通する蒸発ガス流通孔31aが設けられている。また、キャニスタ31には、活性炭に吸着した燃料蒸発ガスを放出するときに外気を吸入する外気吸入孔31bが設けられている。また、外気吸入孔31bは、外部からのゴミの侵入を防ぐ一方を大気に開放されたエアフィルタ35の他方に連通するように接続されている。
【0022】
バイパス弁32には、キャニスタ31の蒸発ガス流通孔31aに連通するように接続されるキャニスタ接続口32aが設けられている。また、バイパス弁32には、一端が燃料タンク21のレベリングバルブ27と連通するように接続されるベーパ配管38の他端が連通するように接続されるベーパ配管接続口32bと、一端がエンジン10の吸気通路11に連通するように接続されるパージ配管39の他端が連通するように接続されるパージ配管接続口32cとが設けられている。そして、バイパス弁32のベーパ配管接続口32bとパージ配管接続口32cとは、それぞれベーパ配管38とパージ配管39とに接続されている。また、バイパス弁32は、無通電の状態で開弁し、外部から駆動信号が供給され通電の状態となることにより閉弁状態となる常時開タイプの電磁弁である。そして、バイパス弁32は、無通電状態で開弁状態であるときには、キャニスタ接続口32aとベーパ配管接続口32bとパージ配管接続口32cとを連通するようにして、キャニスタ31への燃料蒸発ガスの流出入と、エアフィルタ35より吸入される大気のベーパ配管38及びパージ配管39への流入とを可能とする。また、バイパス弁32は、外部から駆動信号が供給され通電状態で閉弁状態であるときには、キャニスタ接続口32aが封鎖され、ベーパ配管接続口32bとパージ配管接続口32cのみを連通にして、キャニスタ31への燃料蒸発ガスの流出入とエアフィルタ35からベーパ配管38及びパージ配管39への大気の流入を不可とする。即ち、バイパス弁32は、閉弁状態であれば、キャニスタ31を封鎖し、開弁状態ではキャニスタ31を開放する。
【0023】
密閉弁33は、ベーパ配管38に介装されている。また、密閉弁33は、無通電の状態で閉弁し、外部から駆動信号が供給され通電の状態となることにより開弁状態となる常時閉タイプの電磁弁である。そして、密閉弁33は、無通電状態で閉弁状態であるとベーパ配管38を封鎖し、外部から駆動信号が供給され通電状態で開弁状態であるとベーパ配管38を開放する。即ち、密閉弁33は、閉弁状態であれば燃料タンク21を密閉状態に封鎖し、燃料タンク21内で発生した燃料蒸発ガスの燃料タンク21外への流出を不可とし、開弁状態であればキャニスタ31への燃料蒸発ガスの流出を可能とする。
【0024】
安全弁34は、密閉弁33と並列にベーパ配管38に介装されている。そして、安全弁34は、燃料タンク21の内圧が上昇すると開弁し、圧力をキャニスタ31へ逃がして燃料タンク21の破裂を防止するものである。
パージバルブ37は、エンジン10の吸気通路11とバイパス弁32との間のパージ配管39に介装されている。また、パージバルブ37は、無通電の状態で閉弁し、外部から駆動信号が供給され通電の状態となることにより開弁状態となる常時閉タイプの電磁弁である。そして、パージバルブ37は、無通電状態で閉弁状態であるとパージ配管39を封鎖し、外部から駆動信号が供給され通電状態で開弁状態であるとパージ配管39を開放する。即ち、パージバルブ37は、閉弁状態であれば燃料蒸発ガス処理部30よりエンジン10への燃料蒸発ガスの流出を不可とし、開弁状態であればエンジン10へ燃料蒸発ガスの流出を可能とする。
【0025】
ディスプレイ63は、車両状態を表示するものであり、例えば、給油リッドスイッチ61の操作から給油リッド23がロック解除されるまでの時間、給油リッド23の開放操作の中止、給油リッド23の開閉状態等を表示するものである。
ECU50は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成される。
【0026】
ECU50の入力側には、上記吸気圧センサ14、圧力センサ25、給油リッドスイッチ61、ドア開閉センサ62、メインスイッチ64が接続されており、これらのセンサ類からの検出情報が入力される。
一方、ECU50の出力側には、上記燃料噴射弁12、燃料ポンプ24、バイパス弁32、密閉弁33、パージバルブ37、ディスプレイ63、リッドロック機構65に備えられたドアモータ86(アクチュエータ、可動部)が接続されている。
【0027】
ECU50は、各種センサ類からの検出情報に基づいて、給油リッド23の作動制御や、バイパス弁32、密閉弁33及びパージバルブ37の開閉を制御し、燃料タンク21内と、密閉弁33とパージバルブ37との間のベーパ配管38、パージ配管39の圧力の制御、燃料蒸発ガスのキャニスタ31への吸着及びキャニスタ31に吸着された燃料蒸発ガスのエンジン10の吸気通路11への流出等の燃料蒸発ガス流れを制御するものである。
【0028】
特に、ECU50は、給油リッド23を開くべく給油リッドスイッチ61が操作されたときに、ドアモータ86を作動させて給油リッド23のロックを解除するが、このとき圧力センサ25によって検出された燃料タンク21内の圧力が大気圧よりも所定値以上高圧である場合には、密閉弁33を開弁し、燃料タンク21内の燃料蒸発ガスをキャニスタ31に流出させて圧力を大気圧近くの所定値以下に低下させてから、ドアモータ86を作動させてロックを解除して給油リッド23を開作動させる。
【0029】
次に、本発明に係るフューエルフィラーリッド装置70について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るフューエルフィラーリッド装置70の構造を示す横断面図である。
図2に示すように、本実施形態のフューエルフィラーリッド装置70は、車両の車体に設けられる燃料給油口22を収納するための蓋である給油リッド23と、前述のリッドロック機構65及びドア開閉センサ62を備えている。
【0030】
燃料給油口22は、車両のリヤフェンダ8に設けた収容室71内に突設するように配置されている。燃料給油口22は解除可能に締結される燃料キャップ72で常閉され、開放時において給油ガンのノズルを接続し、給油を可能とする。
収容室71は、リヤフェンダ8に設けられた開口部73の内側に設けられている。収容室71は、筐体状の収容筐体74と、開口部73を開放可能に閉鎖する蓋板状の給油リッド23とよって、囲まれて形成されている。
【0031】
給油リッド23は、リヤフェンダ8の内側で車両上下方向に延びる回転軸76に、回転軸ブラケット23aを介して回転可能に支持されている。また、回転軸ブラケット23aと収容筐体74との間にはスプリング75(第1の付勢部)が設けられ、当該スプリング75は給油リッド23が開口部73を閉鎖する閉位置において、給油リッド23を開方向に付勢するように設けられている。
【0032】
給油リッド23には、平板を屈曲して形成されたドアブラケット80(ブラケット)が後方部に固定されている。ドアブラケット80は、給油リッド23の閉時に収容室71内に位置するように配置され、横断面で給油リッド23の延びる方向と略垂直な左右壁部81(規制部、屈曲部)と、左右壁部81の内側端部から後方に垂直に曲げて給油リッド23の延びる方向と略平行に伸びる前後壁部82(屈曲部)と、前後壁部82の後端から略45度曲げて内側かつ前方に延びる斜壁部83とを有している。
【0033】
リッドロック機構65は、収容筐体74の後方側に設けられている。リッドロック機構65には、車両前後方向に移動可能に支持された棒状のドアフック85(係止部)と、ドアフック85を車両前後方向に移動させる前述のドアモータ86と、ドアフック85を手動で強制的に前後方向に移動可能なエマージェンシーレバー87と、を備えている。また、ドア開閉センサ62は、リッドロック機構65と一体に構成されており、ドアフック85の移動位置(突出位置)を検出可能となっている。
【0034】
リッドロック機構65のドアフック85は、フックリターンスプリング88(第2の付勢部、可動部)により車両前方側(給油リッド23側)に付勢されて車両前方側へ向かって伸長し、先端85aが収容室71内に突出するように構成されている。ドアモータ86に通電(ON)することで、ドアフック85はフックリターンスプリング88の付勢に抗して車両後方側へ移動する。
【0035】
そして、給油リッド23の閉時には、車両前方側に突出したドアフック85の側面が、ドアブラケット80の前後壁部82の外側面に沿って略隙間なく位置するように、ドアブラケット80とドアフック85の位置が設定されている。したがって、このときドアブラケット80の前後壁部82がドアフック85の側面に当接して給油リッド23の開移動が規制される。また、給油リッド23の閉時には、ドアモータ86への通電がOFFにされて、フックリターンスプリング88によって、ドアフック85の先端85aが車両前方側に突出するように付勢されるが、ドアブラケット80の左右壁部81の後面に当接して、ドアフック85の突出量が中間位置(第1の位置)で規制されるように設定されている。
【0036】
一方、ドアモータ86に通電して、ドアフック85を縮作動させたときには、ドアフック85の先端85aが前後壁部82の後端よりも後方へ移動するように、ドアブラケット80の前後方向の長さ及びドアフック85の移動可能位置が設定されている。
図3は、ドアフック85の位置とドア開閉センサ62の出力信号との関係を示す説明図である。
【0037】
図3に示すように、ドア開閉センサ62は高電圧Hi(第2の出力、例えばバッテリ電圧)と低電圧Lo(第1の出力、例えば0より若干大きい値)の2種類の出力が可能になっている。
ドア開閉センサ62は、ドアフック85の先端85aが、閉状態でのドアブラケット80の左右壁部81より若干前方の位置Aと前後壁部82の後端より若干前方の位置Bとを境にして、位置Aよりも車両前方に位置する場合(第2の位置)には高電圧Hiを出力し、位置Aと位置Bとの間(第1の位置)では低電圧Loを出力し、位置Bよりも車両後方に位置する場合(第3の位置)には、高電圧Hiを出力する。なお、ドア開閉センサ62は、低電圧Loの代わりに出力0としてもよいが、低電圧Loにしておくことで、出力が0の場合に断線を検出することが可能となる。また、高電圧Hiと低電圧Loを逆にしてもよいが、通常時である給油リッド23閉状態、即ち位置Aと位置Bとの間、での出力を低電圧Loにすることで消費電力を低下させることができる。
【0038】
図4〜7は、給油リッド23の開閉状態とドアフック85の移動状態との関係を示す説明図であり、図4は給油リッド23閉状態、図5は給油リッド23の閉から開への切換状態(ドアモータ86ON時)、図6は給油リッド23開作動中、図7は給油リッド23開状態を示す。
図4に示すように、ドアモータ86OFF時ではフックリターンスプリング88によりドアフック85が車両前方側に突出するが、給油リッド23閉状態ではドアフック85の先端85aがドアブラケット80の左右壁部81に当接して突出量が規制される。このとき、ドアフック85の先端85aは位置Aと位置Bとの間の第1の位置になるので、ドア開閉センサ62の出力は低電圧Loになる。そこで、ECU50は、ドアモータ86OFF及びドア開閉センサ62の出力が低電圧Loにより、給油リッド23が閉状態であると判定する。また、給油リッド23が閉状態であるとドア開閉センサ62の出力は低電圧Loを維持するので、ECU50は、ドア開閉センサ62の出力が低電圧Loを所定時間継続した場合には、給油リッド23が閉状態であると判定する。
【0039】
図5に示すように、給油リッド23のロックを解除すべくドアモータ86をONにして、ドアフック85の先端85aがドアブラケット80の前後壁部82の後端部付近まで車両後方側に移動すると、ドアフック85の先端85aが位置Bよりも車両後方側になり、ドア開閉センサ62の出力は高電圧Hiになる。したがって、ECU50は、ドアモータ86ON及びドア開閉センサ62Hiにより、給油リッド23の閉から開への切り換え作動中であると判定する。
【0040】
ドアモータ86が所定時間ONになって、ドアフック85の先端85aがドアブラケット80の前後壁部82の後端よりも車両後方に移動すると、ドアフック85によるドアブラケット80の係止が外れ、スプリング75によって給油リッド23が開き始める。そして、図6に示すように、ドアフック85の先端85aがドアブラケット80の斜壁部83に当接しながら給油リッド23の開移動とともに車両前方へ移動して、ドアフック85の先端85aが位置Aと位置Bとの間の第1の位置となり、ドア開閉センサ62の出力は低電圧Loになる。このときドアモータ86はOFFになっており、ECU50は、ドアモータ86OFF及びドア開閉センサ62の出力が低電圧Loにより、給油リッド23が開作動中であると判定する。
【0041】
図7に示すように、給油リッド23が開状態になると、ドアフック85の先端85aが斜壁部83から離れる。ドアモータ86がOFFであるのでフックリターンスプリング88によりドアフック85が車両前方側に移動して、先端85aが位置Aよりも車両前方側の位置になり、ドア開閉センサ62の出力は高電圧Hiになる。したがって、ECU50は、ドアモータ86OFF及びドア開閉センサ62Hiにより、給油リッド23が開状態であると判定する。また、給油リッド23が開状態であるとドア開閉センサ62の出力は高電圧Hiを維持するので、ECU50は、ドア開閉センサ62の出力が高電圧Hiを所定時間継続した場合には、給油リッド23が開状態であると判定する。
【0042】
以上のように、ECU50は、ドア開閉センサ62の出力から、給油リッド23の開閉状態を判定する。
また、ドアフック85の閉から開への切り換え作動中や給油リッド23の開作動中においても、その状態をドアモータ86の作動とドア開閉センサ62の出力とにより判定することができる。このように、閉から開への切り換え作動中であることを検出することができるので、リッドロック機構65の作動確認も行うことができるとともに、例えば給油リッド23が開作動中であることをディスプレイ63に表示することで、給油リッド23のロック解除に多少時間がかかっても故障であると誤認することを防止することができる。
【0043】
本実施形態では、ドア開閉センサ62が高電圧Hiと低電圧Loの2種類の出力を可能であればよいので、ドア開閉センサ62を安価なものにすることができる。そして、1つのドア開閉センサ62によって給油リッド23の開状態及び閉状態の両方を検出することが可能となる。
更に、ドア開閉センサ62がドアフック85の突出位置を検出するものであるので、ドアフック85及びドアモータ86を含むリッドロック機構65とまとめてユニット化することができる。これにより、給油リッド23の取り付け部に新たなセンサ等を設ける必要がなく、給油リッド23の開閉を検出可能なフューエルフィラーリッド装置70をコンパクトな構成とし、コストの増加を抑えることができる。
【0044】
また、本実施形態では、平板を屈曲して形成したドアブラケット80を給油リッド23に設けることで、ドアフック85の突出位置を中間位置(第1の位置)で規制する左右壁部81と、給油リッド23を閉状態でロックする前後壁部82とが給油リッド23に備えられる。したがって、左右壁部81とドアフック85を簡単に形成することができ、部品点数を低減して、簡単な構成にすることができるとともに、ドアフック85がドアブラケット80の前後壁部82に係止されるため給油リッドを確実にロックすることができる。また、ドアフック85のロック時には、フックリターンスプリング88の付勢力によりドアフック85の先端がドアブラケット80の左右壁部81に押し当てられるため、振動等の外乱によりロックが解除されることを防止できる。
【0045】
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の形態は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、密閉タンクの給油フューエルフィラーリッド装置に本願発明を適用しているが、密閉タンクでないタンクのフューエルフィラーリッド装置に本願発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
21 燃料タンク(密閉タンク)
23 給油リッド
50 ECU(判定部、ロック解除制御部)
61 給油リッドスイッチ(ロック解除操作部)
62 ドア開閉センサ(検出部)
75 スプリング(第1の付勢部)
80 ドアブラケット(ブラケット)
81 左右壁部(規制部、屈曲部)
82 前後壁部(屈曲部)
85 ドアフック(係止部)
86 ドアモータ(アクチュエータ、可動部)
88 フックリターンスプリング(第2の付勢部、可動部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7