【実施例1】
【0013】
本発明のトレー挿入装置を備えた包装機を
図1ないし
図9に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の包装機Pは、
図1または
図9に示すように、グリップ対gを備えた移動体10を複数の工程に間欠停止して移動させ、グリップ対gにより垂直姿勢に支持された包装袋aに被包装物を充填して袋口を施封する包装機であって、包装機Pは、トレーtを挿入するためのトレー挿入工程を行うトレー挿入ステーション11を有し、トレー挿入ステーション11には、複数のトレーtを載置するためのトレー載置部2と、トレー載置部2から一枚ずつトレーtを捕捉すると共にトレーtを垂直姿勢で降下させるためのトレー捕捉機構3と、トレー載置部2の下方に設けられ、降下するトレーtを垂直姿勢で保持すると共に待機させるトレー待機機構4と、トレー載置部2の下方に設けられ、垂直姿勢で保持された包装袋a内に、降下するトレーtを挿入するためのトレーガイド機構5と、垂直方向に往復動可能に設けられトレーtを包装袋a内に押し込むためのトレー押し込み機構6とを備えたトレー挿入装置1が設けられている。以下、各構成について順次詳述する。
【0014】
包装機Pは、トレーtを挿入した後、被包装物を充填して施封する装置であり、
図9に示すように、それぞれのステーションにおいて、トレー挿入工程(1)、トレー押込み・脱酸素剤等の小袋充填工程(2)、袋開口工程(3)、被包装物充填・押込み工程(4)、押込み工程(5)、押込み工程(6)、カミコミ検知工程(7)、トップシール工程(8)、シール冷却および製品排出工程(9)、給袋工程(10)の10工程を行う装置である。
【0015】
なお、この実施例はロータリー方式の包装機Pであるが、本発明を公知の直線移動方式の包装機に適用することも可能である。
【0016】
この包装機Pは、
図1または
図9に示すように、縦方向に延在する間欠回転軸12を回転自由に支持するスタンド13を機台14上に設け、その間欠回転軸12の上部に取り付けられた移動体(円盤状回転体)10には、包装袋aを掴着又は釈放するための10個のグリップ対gが間欠回転軸12を中心として等角度間隔で放射方向に突出するように設けられた包装機である。
【0017】
包装機Pを包装工程の中で順次説明すると、まず、給袋工程(10)において、給袋装置15によって提供される包装袋aの袋取りが行われ、給袋ステーションに間欠移動してくるグリップ対gに包装袋aが順次、垂直姿勢で吊り下げ状に支持されて行く。
【0018】
トレー挿入工程(1)では、包装袋aの袋口が開口されてトレーtが挿入される。このトレー挿入は、トレー挿入ステーション11に配された本発明のトレー挿入装置1が行う。
【0019】
具体的には、トレー挿入装置1は、複数のトレーtを載置するためのトレー載置部2と、トレー載置部2から一枚ずつトレーtを捕捉すると共にトレーtを垂直姿勢で降下させるためのトレー捕捉機構3と、トレー載置部2の下方に設けられ、降下するトレーtを垂直姿勢で保持すると共に待機させるトレー待機機構4と、トレー載置部2の下方に設けられ、垂直姿勢で保持された包装袋a内に、降下するトレーtを挿入するためのトレーガイド機構5と、垂直方向に往復動可能に設けられトレーtを包装袋a内に押し込むためのトレー押し込み機構6とを有している。
【0020】
トレー載置部2は、複数のトレーtを載置するための部位であり、
図2または
図3に示すように、長方体形状の本体内に複数のトレーtを載置可能に構成されている。具体的には、この実施例のトレー載置部2は、トレー載置部2の底面を構成するトレー載置面21に対して直交する方向にトレーtが垂直姿勢で保持されており、さらに、トレーtの自重でトレー載置部2内を順次自然降下するようにトレー載置部2が傾斜して設けられている。これにより、トレーtがトレー載置部2内の最下部所定位置に順次自然に移動するため、トレー捕捉機構3によって、確実に垂直姿勢のトレーtを捕捉することができる。
【0021】
トレー載置部2の傾斜角度としては、トレーtの自重でトレー載置部2内を順次自然降下する角度であればよいが、この実施例では、
図1に示すように、水平方向に対して斜め上方30°に傾斜するよう構成されている。
【0022】
トレー捕捉機構3は、トレー載置部2から一枚毎にトレーtを捕捉すると共にトレーtを垂直姿勢で降下させるためのものであり、この実施例では、
図2または
図3に示すように吸盤にて構成されている。
【0023】
より具体的には、この実施例のトレー捕捉機構3は、トレーtの四方をそれぞれ吸着する4つの吸盤31と、吸盤31を往復動させるための駆動手段32と、駆動手段32および吸引装置(図示しない)を制御する制御部(図示しない)とから構成されている。
【0024】
そして、制御部は、駆動手段32により吸盤31を、トレー載置部2の延在方向に沿って斜め方向に移動させ、吸引装置を作動させることでトレーtを吸着し、その状態で初期位置に移動させ、さらに、吸引装置を停止させることでトレーtを垂直姿勢で下方に降下させるように制御する。そして、トレー捕捉機構3は、これらの動作を繰り返すことにより、トレー載置部2から一枚ずつトレーtを捕捉すると共にトレーtを垂直姿勢で降下させるように構成されている。
【0025】
トレー待機機構4は、トレー載置部2の下方付近に設けられ、降下するトレーtを垂直姿勢で保持すると共に待機させるためのものである。トレー挿入装置1がこのようなトレー待機機構4を有することにより、所要のタイミングでトレーtを降下させて的確に包装袋a内に挿入することができる。
【0026】
具体的には、この実施例のトレー待機機構4は、
図2または
図3に示すように、内部に略垂直方向に延在しトレーtの厚さより若干大きく形成されたトレー収容空間を備えた垂直姿勢保持用トレー待機部41と、垂直姿勢保持用トレー待機部41の下部において垂直姿勢保持用トレー待機部41へ投入されたトレーtの下端辺を支持するストッパー(長尺状板材)42と、ストッパー43を水平方向へ往復動させる駆動手段43と、駆動手段43を制御する制御部とを有している。
【0027】
そして、制御部は、トレーtを垂直姿勢保持用トレー待機部41内で待機させる時は、駆動手段43を制御することにより、ストッパー42を
図3中右側に移動させ、トレーtの下端辺を支持させて、
図4に示すように、下方への降下を抑止させる。他方、グリップ対gに両端が把持された包装袋a内にトレーtを挿入する時は、ストッパー42を
図3中左側に移動させ、トレーtの下端辺の支持を解除して、下方へ降下可能とするように構成されている。
【0028】
トレーガイド機構5は、垂直姿勢で保持された包装袋a内に降下するトレーtを挿入する際にトレーtを誘導するための機構であり、トレー載置部2(垂直姿勢保持用トレー待機部41)の下方に設けられている。このトレーガイド機構5により、トレーtが誘導されて包装袋a内により確実に挿入することができる。
【0029】
具体的には、この実施例のトレーガイド機構5は、
図2、
図5または
図6に示すように、誘導するトレーtの厚み方向に間隙を備えた一対のガイド板51a,51bと、ガイド板(略U字型板材)51a,51bを垂直方向に上下動させてガイド板51a,51bの下部を包装袋a内に侵入させるための駆動手段52と、包装袋aの袋口を開口させるための吸盤53と、吸引装置と、駆動手段52および吸引装置を制御する制御部を有している。
【0030】
そして、制御部は、トレーtを挿入する包装袋aがグリップ対gに把持されてトレー挿入ステーション11に間欠移動して停止する度に、まず、吸引装置と吸盤53を作動させて包装袋aを両側から吸引させて袋口を開口させる。つぎに、駆動手段52によりガイド板51a,51bを降下させ、
図6に示すように、その下部を包装袋a内に若干侵入させる。この状態で、トレー待機機構4のストッパー42を
図3中左側に移動させ、トレーtの下端辺の支持を解除して、トレーtを下方へ降下可能とするよう制御する。
【0031】
トレー押し込み機構6は、トレーtを包装袋a内に押し込むためのものであり、
図7または
図8に示すように、垂直方向に往復動可能に設けられトレーtを包装袋a内に押し込むためのトレー押し込み板61と、トレー押し込み板61を垂直方向に往復動するための垂直方向駆動手段62と、トレー押し込み板61を水平方向に往復動するための水平方向駆動手段63と、それらを制御する制御部を有している。トレー挿入装置1がこのようなトレー押し込み機構6を有することにより、トレーtを包装袋a内により確実に挿入することができる。
【0032】
そして、制御部は、垂直姿勢保持用トレー待機部41内に待機中のトレーtの上方に、水平方向駆動手段63によってトレー押し込み板61を移動させ、さらに、垂直方向駆動手段62によって降下させる。
【0033】
なお、
図2に示すように、垂直姿勢保持用トレー待機部41には第1トレー押し込み板縦断用切欠き部44が設けられ、ガイド板51a,51bには第2トレー押し込み板縦断用切欠き部54がそれぞれ設けられているため、トレー押し込み板61が降下すると、トレー押し込み板61が第1トレー押し込み板縦断用切欠き部43および第2トレー押し込み板縦断用切欠き部54内を縦断して、この動作に伴ってトレーtがその上端辺部を残して包装袋a内に挿入されるように構成されている(
図8参照)。
【0034】
その後、トレー押し込み板61は、水平方向駆動手段63によって
図7中右側に移動した後、垂直方向駆動手段62によって上昇して初期位置に戻るように構成されている。また、トレー押し込み機構6によるトレーtの挿入後は、駆動手段52によりガイド板51a,51bが上昇して初期位置に戻り、さらに、吸盤53による吸着が解除されて袋口が閉じるように構成されている。
【0035】
そして、次位の包装袋aがグリップ対gに把持されてトレー挿入ステーション11に至る度ごとに、これらの制御が繰り返されることにより、トレーtが包装袋a内に挿入されるように構成されている。
【0036】
以上のように、トレー挿入装置1およびそれを備えた包装機Pは、複数のトレーtを載置するためのトレー載置部2と、トレー載置部2から一枚ずつトレーtを捕捉すると共にトレーを垂直姿勢で降下させるためのトレー捕捉機構3とを有し、トレーtは垂直方向に移動して包装袋a内に挿入されるように構成されているため、設置面積を小さくすることができる。
【0037】
トレー押し込み工程(2)では、袋口より上方に若干突出したトレーtを押し込み棒(図示しない)にて包装袋a内に押し込んで収納する。具体的には、包装袋aの袋口付近を両側から吸盤(図示しない)で吸着して開口した後、上下動する押し込み棒の先端でトレーtの上端辺部を押圧して包装袋a内に収納する。
【0038】
袋開口工程(3)、被包装物充填・押込み工程(4)および押込み工程(5)、(6)では、被包装物が包装袋a内に投入された後、押し込まれて充填される。
【0039】
カミコミ検知工程(7)では、カミコミセンサがカミコミ片の検知を行い、トップシール工程(8)では、袋口付近が水平方向にシールされる。さらに、シール冷却および製品排出工程(9)を経て、内部に被包装物が包装された包装袋aが機外に排出される。