【解決手段】キーレスオペレーション装置10は、車両20の搭乗者Pが携帯する通信機器50との通信による認証が成立、かつ車両20外部に設けられたスイッチ24への搭乗者Pによる操作が検知された場合に、車両20のドア22の開閉錠を行う。報知手段410は、車両20の全てのドア22が閉められてから所定時間以内にスイッチ24への操作が検知され、かつ通信機器50との通信が成立しない場合に、搭乗者Pに対してドア22の閉錠が完了していない旨の報知を行う。
車両の搭乗者が携帯する通信機器との通信による認証が成立、かつ前記車両外部に設けられた操作部への前記搭乗者による操作が検知された場合に、前記車両のドアの開閉錠を行うキーレスオペレーション装置であって、
前記車両の全てのドアが閉められたことを検知するドア閉検知手段と、
前記車両の全てのドアが閉められてから所定時間以内に前記操作部への操作が検知され、かつ前記通信機器との通信が成立しない場合に、前記搭乗者に対して前記ドアの閉錠が完了していない旨の報知を行う報知手段と、
を備えたことを特徴とするキーレスオペレーション装置。
前記報知手段は、前記ドアの開閉錠が完了した場合に当該開閉錠が完了した旨の報知を行うとともに、前記開閉錠が完了した旨の報知と前記閉錠が完了していない旨の報知との態様を異ならせる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1記載のキーレスオペレーション装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信機器とキーレスオペレーション装置との間の通信は、無線通信によって行われるが、周囲に電波妨害の要因となる物(たとえば電波妨害装置など)がある場合、通信不良によって施錠(閉錠)が行えない場合がある。この時、搭乗者は施錠操作の完了によって車両を施錠できたと思い込む可能性があり、かつ車両からの施錠されてないことの報知手段が無いため、施錠されてないことに気付きにくく、そのまま車両から離れてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、通信不良により車両のドアの閉錠を行えない旨を搭乗者に報知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるキーレスオペレーション装置は、車両の搭乗者が携帯する通信機器との通信による認証が成立、かつ前記車両外部に設けられた操作部への前記搭乗者による操作が検知された場合に、前記車両のドアの開閉錠を行うキーレスオペレーション装置であって、前記車両の全てのドアが閉められたことを検知するドア閉検知手段と、前記車両の全てのドアが閉められてから所定時間以内に前記操作部への操作が検知され、かつ前記通信機器との通信が成立しない場合に、前記搭乗者に対して前記ドアの閉錠が完了していない旨の報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明にかかるキーレスオペレーション装置は、前記報知手段は、前記所定時間経過後に前記操作部への操作が検知され、かつ前記通信機器との通信が成立しない場合には、前記報知を行わない、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかるキーレスオペレーション装置は、前記搭乗者が前記車両の全てのドアを閉めてから前記操作部への操作を行うまでの所要時間を記録する記録手段を備え、前記報知手段は、前記記録された所要時間の履歴に基づいて前記所定時間を変更する、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかるキーレスオペレーション装置は、前記報知手段は、前記ドアの開閉錠が完了した場合に当該開閉錠が完了した旨の報知を行うとともに、前記開閉錠が完了した旨の報知と前記閉錠が完了していない旨の報知との態様を異ならせる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、車両の全てのドアが閉められてから所定時間以内に操作部への操作が検知され、かつ通信機器との通信が成立しない場合に、搭乗者に対してドアの閉錠が完了していない旨の報知を行う。これにより、搭乗者は通信不良によりドアの閉錠が行えないことを認識することができ、ドアを閉錠するために必要な対策(たとえば通信不良の改善や物理的な鍵による閉錠など)を講じることができる。たとえば、ドアを開錠したまま車両を離れて盗難に合うなどの不利益が生じる可能性を低減することができる。
請求項2の発明によれば、車両の全てのドアが閉められてから所定時間経過後は報知を行わないので、施錠から一定時間経過後は、搭乗者以外の第三者が操作を行った際にドアの閉錠が完了していないことを報知してしまう可能性を低減することができる。
請求項3の発明によれば、報知を行う時間(所要時間)を搭乗者の乗降ペースに合わせることができ、所要時間をより適切な時間に搭乗者の操作無しで設定することができる。
請求項4の発明によれば、開閉錠が完了した旨の報知と、閉錠が完了していない旨の報知との態様を異ならせるので、通信不良により閉錠が完了していないことを、搭乗者がより認識しやすくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるキーレスオペレーション装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかるキーレスオペレーション装置10の構成を示すブロック図である。
図2は、キーレスオペレーション装置10が搭載された車両20の開閉錠操作を説明する図である。
キーレスオペレーション装置10は、車両20のドア22の開閉錠や車両20の起動操作等を、物理的な鍵の操作なしで行うための装置である。本実施の形態では、キーレスオペレーション装置10のドア開閉錠機能についてのみ説明し、
図1でもドア開閉錠機能に関する構成のみを示している。
図1に示すように、車両20には複数(
図1には2つのみ図示)のドア22が設けられている。複数のドア22とは、たとえば5人乗りの普通乗用車であれば、前後左右の乗員乗降用ドアおよび後部トランクの開閉用ドア等である。
【0011】
車両20のドア22の開閉錠を行う場合、
図2に示すように、搭乗者Pは通信機器50(キーレスオペレーションキー)を携帯して、ドア22に設けられた操作部であるスイッチ24を押下する。
キーレスオペレーション装置10は、スイッチ24の押下を受けて通信機器50との間で通信を行い、通信機器50から送信された認証コードを用いて認証処理を行う。認証コードの認証が成立した場合は、正規の搭乗者による開閉錠操作であるとしてドア22の開閉錠を行う。
なお、車両20のドア22の形態(たとえば電動スライドドアなど)によっては、開閉錠のみならず、キーレスオペレーション装置10によってドア22の開閉操作を行う場合もあるが、以下の実施の形態ではドア22の開閉錠に関してのみ説明する。
また、通信機器50は、キーレスオペレーションキーに限らず、たとえばキーレスオペレーション装置10との間の認証用プログラムがインストールされた携帯通信装置(たとえばスマートホンや携帯電話、PDAなど)であってもよい。
【0012】
図1に示すように、車両20のドア22には、操作部であるスイッチ24、開閉センサ26、ロック機構28が設けられている。
スイッチ24は、ドア22の車外側に設けられており、搭乗者Pからのドア22の開閉錠操作を受け付ける。スイッチ24は、たとえば押しボタンであり、搭乗者Pからの押下操作があった場合は、後述する制御部40に対して、スイッチ24への操作があったことを示す操作信号を出力する。また、スイッチ24は、たとえば、押下できる構造を持たない静電式のスイッチなどでも良い。すなわち、スイッチ24は、その形態にかかわらず、搭乗者の操作を制御部40に伝える手段全般を指す。
開閉センサ26は、ドア22の開閉状態を検知する。開閉センサ26は、ドア22の開状態にあるか閉状態にあるかを示すドア開閉信号を制御部40に出力する。
ロック機構28は、ドア22を閉状態に固定するドアロック(錠)を行う。ロック機構28は、制御部40からの制御によって、ドアロックの施錠(開錠)および解除(閉錠)を行う。なお、ロック機構28は、キーレスオペレーションキー等に設けられた物理的な鍵を用いた操作によっても開閉錠が可能である。
また、車両20には、通信機器50との間で無線通信によるデータ授受を行うアンテナ30が設けられている。アンテナ30は、車外の車両20近傍に位置する通信機器50との間で通信可能であれば、車両20のいずれの箇所に設けられていてもよい。たとえば、アンテナ30を各ドア22に設けてもよい。アンテナ30は、受信したデータを制御部40に出力する。
【0013】
制御部40は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成されるマイクロコンピュータであり、車両各部を制御するECUである。
以下に説明する制御部40の処理は、単体のECUで行ってもよいし、複数のECUが共同で行ってもよい。
キーレスオペレーション装置10は、制御部40によって
図1に示す車両20の各部を制御することによって実現する。
【0014】
制御部40は、上記制御プログラムを実行することにより、ドア開閉検知手段402、認証手段404、開閉錠制御手段406、記録手段408、報知手段410を実現する。
ドア開閉検知手段402は、車両20の全てのドア22が閉められたことを検知する。具体的には、ドア開閉検知手段402は、車両20の全ての開閉センサ26からドア閉信号が出力されているか否かを検知する。
認証手段404は、ドア開閉検知手段402により車両20の全てのドア22が閉められたことが検知され、かつスイッチ24に操作があった場合に、通信機器50との間で通信を行い、通信機器50から送信された認証コードを用いて認証処理を行う。認証手段404は、たとえば通信機器50から送信された認証コードが認証手段404で記憶している認証コードと一致するか否かを判断し、認証コードが一致する場合は認証成立、一致しない場合は認証不成立とする。
開閉錠制御手段406は、認証手段404による認証が成立した場合に、ロック機構28に対してドアロックの施錠(開錠)または解除(閉錠)を指示する制御信号を出力する。
記録手段408は、搭乗者Pが車両20の全てのドア22が閉めてからスイッチ24(操作部)への操作を行うまでの所要時間を記録する。記録手段408は、たとえばドア開閉検知手段402により車両20の全てのドア22が閉められたことが検知された時点でタイマーを起動し、スイッチ24に操作があった時点でタイマーをオフして、この間の時間を測定し、記録する。
このように、記録手段408で所要時間の記録を行うのは、搭乗者Pの属性により当該所要時間に差があるものと考えられるためである。たとえば、搭乗者Pが乳幼児を持つ親などであれば、たとえば子供をベビーカーへ乗せてから閉錠操作を行うなど、所要時間が長くなる可能性が高いと考えらえる。
【0015】
報知手段410は、車両20の全てのドア22が閉められてから所定時間以内にスイッチ24(操作部)への操作が検知され、かつ通信機器50との通信が成立しない場合に、搭乗者Pに対してドアの閉錠が完了していない旨の報知を行う。
すなわち、報知手段410は、搭乗者Pがスイッチ24を操作したことからドア22を閉錠する意図があることを検知する一方で、電波妨害などにより通信機器50との通信が成立せずに閉錠が行えない場合には、報知を行ってドア22の閉錠が完了していないことを搭乗者Pに認識させる。
報知手段410は、具体的には、たとえば車両20のランプ類32(ハザードランプや室内灯、ヘッドライト、バックライト等)を点灯させたり、スピーカ34から音声(たとえば「ピピッ」などの電子音や「鍵を確認して下さい」などのメッセージ)を出力させる。
【0016】
なお、報知手段410は、ドア22の開閉錠が完了した場合に当該開閉錠が完了した旨の報知を行ってもよい。この場合、開閉錠が完了した旨の報知と閉錠が完了していない旨の報知との態様を異ならせる。
具体的には、たとえば、開閉錠が完了した旨の報知ではランプ類32を1回点灯させるのに対して、閉錠が完了していない旨の報知ではランプ類32を複数回点灯させる、また、開閉錠が完了した旨の報知では「ピッ」という電子音を出力するのに対して、閉錠が完了していない旨の報知では「ピピピッ・ピピピッ」や「ピー」という電子音を出力するなど、搭乗者Pが明らかに違いを認識できるように報知の態様を変更する。
【0017】
また、報知手段410は、車両20の全てのドア22が閉められてから所定時間経過後にスイッチ24(操作部)への操作が検知され、かつ通信機器50との通信が成立しない場合には、上記の報知を行わない。
これは、全てのドア22が閉められてから所定時間経過後には、搭乗者Pは既に車両20の近傍から離れているものと考えられ、所定時間経過後にスイッチ24の操作を行うのは、他人(たとえば盗難等を目的とする者)である可能性が高いためである。このような他人の操作に対して報知を行うと、車両20の閉錠がなされていないことがわかってしまい好ましくないため、所定時間経過後には報知を行わないようにしている。
なお、上記所定時間(スイッチ24に操作がなされた際に報知を行う時間)は、たとえば記録手段408に記録された所要時間(全てのドア22が閉めてからスイッチ24(操作部)への操作を行うまでの所要時間)に基づいて変更する。具体的には、たとえば、所定時間=記録された所要時間の最大値(または平均値)+αとする方法がある。これにより、搭乗者Pの乗降ペースに合わせて報知を行う時間を変更することができる。
なお、記録手段408を設けずに、所定時間を一律の値としてもよいことは無論である。また、所定時間を搭乗者Pにより設定可能としてもよい。
【0018】
図3は、キーレスオペレーション装置10による処理を示すフローチャートである。
図3のフローチャートでは、車両20が停車状態(主電源オフ状態)にあるものとする。
キーレスオペレーション装置10は、まず、ドア開閉検知手段402によって車両20の全てのドア22が閉められるまで待機する(ステップS10:Noのループ)。車両20の全てのドア22が閉められると(ステップS10:Yes)、全てのドア22が閉められてからの時間を計時して、全てのドア22が閉められてから所定時間経過しているか否かを判断する(ステップS12)。
所定時間経過しないうちに(ステップS12:No)、スイッチ24への操作があった場合は(ステップS14:Yes)、通信機器50との通信が成立したか否かを判断する(ステップS16)。
通信機器50との通信が成立した場合は(ステップS16:Yes)、通信機器50への認証処理を行い、ロック機構28を動作させてドア22を閉錠する(ステップS18)。このとき、報知手段410によりドア22の閉錠完了を報知してもよい。
一方、通信機器50との通信が成立しない場合は(ステップS16:No)、報知手段410によりドア22の閉錠が完了していない旨の報知を行うとともに、ドア22の閉錠は行われない(ステップS20)。搭乗者Pは、報知によって閉錠が完了していないことを認識することができ、たとえば周囲に電波を妨害する装置等がないかを確認したり、物理的な鍵を用いて施錠をすることができる。
なお、ステップS14でスイッチ24への操作がない場合は(ステップS14:No)、ステップS12に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0019】
また、ステップS12で所定時間が経過した場合は(ステップS12:Yes)、キーレスオペレーション装置10は、スイッチ24への操作があるまで待機し(ステップS22:Noのループ)、スイッチ24への操作があった場合には(ステップS22:Yes)、通信機器50との通信が成立したか否かを判断する(ステップS24)。
通信機器50との通信が成立した場合には(ステップS24:Yes)、通信機器50への認証処理を行い、ロック機構28を動作させてドア22を閉錠する(ステップS26)。このとき、報知手段410によりドア22の閉錠完了を報知してもよい。
一方、通信機器50との通信が成立しない場合は(ステップS24:No)、報知手段410による報知を行わずに、また、ドア22の閉錠も行われない(ステップS28)。これは、上述のように、全てのドア22が閉められてから既に所定時間以上が経過しているため、ステップS22における操作は搭乗者P以外によるものと考えられ、閉錠が完了していない旨の報知を行うことは、返って搭乗者Pの不利益となる可能性があるためである。
なお、ステップS16およびS24で通信機器50との通信が成立したものの、認証が成立しない場合(たとえば間違った通信機器50を用いている場合など)は、ドア22の閉錠を行わない。また、このとき、報知手段410から報知を行ってもよい。この場合、報知の態様は、開閉錠が完了した旨の報知および閉錠が完了していない旨の報知と異ならせることが好ましい。
【0020】
以上説明したように、実施の形態にかかるキーレスオペレーション装置10は、車両20の全てのドア22が閉められてから所定時間以内に操作部(スイッチ24)への操作が検知され、かつ通信機器50との通信が成立しない場合に、搭乗者Pに対してドア22の閉錠が完了していない旨の報知を行う。
これにより、搭乗者Pは通信不良によりドア22の閉錠が行えないことを認識することができ、ドア22を閉錠するために必要な対策(たとえば通信不良の改善や物理的な鍵による閉錠など)を講じることができる。よって、ドア22を開錠したまま車両20を離れて盗難に合うなどの不利益が生じる可能性を低減することができる。
また、キーレスオペレーション装置10は、車両20の全てのドア22が閉められてから所定時間経過後は報知を行わないので、搭乗者P以外の第三者が操作を行った際にドア22の閉錠が完了していないことを知られる可能性を低減することができる。
また、キーレスオペレーション装置10は、報知を行う時間(所要時間)を搭乗者Pの乗降ペースに合わせることができ、所要時間をより適切な時間に設定することができる。
また、キーレスオペレーション装置10は、開閉錠が完了した旨の報知と、閉錠が完了していない旨の報知との態様を異ならせるので、通信不良により閉錠が完了していないことを、搭乗者Pがより認識しやすくすることができる。
なお、本実施例では、報知手段は、記録された所要時間の履歴に基づいて所定時間を変更するとしているが、これに限られるものではなく、例えば所定時間変更用の操作手段(例えばインパネスイッチやCAN通信によるECU変更手段など)を備え、該操作手段を操作することによって所定時間を変更するようにしても良い。このようにすることで、搭乗者の好みに合わせて所定時間を変更することが出来、利便性が向上する。