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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-124586(P2015-124586A)
(43)【公開日】2015年7月6日
(54)【発明の名称】舗装用バインダ及び舗装用混合物
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/30 20060101AFI20150609BHJP
   C08L 95/00 20060101ALI20150609BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20150609BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20150609BHJP
   C08L 77/12 20060101ALI20150609BHJP
【FI】
   E01C7/30
   C08L95/00
   C08L77/00
   C08K3/00
   C08L77/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-272090(P2013-272090)
(22)【出願日】2013年12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】390019998
【氏名又は名称】東亜道路工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100153866
【弁理士】
【氏名又は名称】滝沢 喜夫
(72)【発明者】
【氏名】平戸 利明
(72)【発明者】
【氏名】村山 雅人
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真
【テーマコード(参考)】
2D051
4J002
【Fターム(参考)】
2D051AG19
2D051AH02
2D051AH03
2D051EA06
2D051EB06
4J002AG001
4J002CL002
4J002CL042
4J002DJ006
4J002FD016
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】従来と同様の機械編成や施工体勢によって施工できるという施工上の利便性を確保しつつ、過酷な温度条件や荷重条件に対する耐性を改良した舗装用バインダを提供すること。
【解決手段】本発明に係る舗装用バインダは、舗装を形成する舗装用混合物に用いられ、ポリアミド樹脂とアスファルトとの混合物を含む舗装用バインダであって、該ポリアミド樹脂の重量平均分子量が8千以上3万以下であり、該舗装用バインダ全量基準における該ポリアミド樹脂の含有量が10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装を形成する舗装用混合物に用いられ、ポリアミド樹脂とアスファルトとの混合物を含む舗装用バインダであって、
該ポリアミド樹脂の重量平均分子量が8千以上3万以下であり、
該舗装用バインダ全量基準における該ポリアミド樹脂の含有量が10質量%以上50質量%以下である舗装用バインダ。
【請求項2】
前記ポリアミド樹脂が植物油脂由来のダイマー酸の脱水縮合反応により得られる重合脂肪酸を用いてなる請求項1に記載の舗装用バインダ。
【請求項3】
前記アスファルトが、ポリマー改質アスファルトである請求項1又は2に記載の舗装用バインダ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の舗装用バインダと、骨材と、を含む舗装用混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装を形成する舗装用混合物に用いられる舗装用バインダ、及び該舗装用バインダを用いて形成される舗装用混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
舗装を形成する舗装用混合物は、夏季の環境下及び交通荷重により軟化することなく、施工温度において作業性が良好であることが求められる。舗装用材料としては、主に、舗装用石油アスファルトと、セメントコンクリートが挙げられる。
舗装用石油アスファルトを用いた舗装は、施工性が良好であるが、温度条件又は荷重条件が過酷になると軟化する場合がある。また、セメントコンクリートを用いた舗装は、舗装用石油アスファルトを用いた舗装に比べて、冬季の低温から夏季の高温まで幅広い温度域において高い強度を有する。しかし、セメントコンクリートを用いた舗装は、舗装用石油アスファルトを用いた舗装よりも撓み性に劣るため、温度変化によるひび割れが生じないように、所定間隔でひび割れ防止のための目地を施工する必要がある。また、セメントコンクリートは、硬化までに1週間程度の養生期間を必要とするため、施工作業性及び施工期間の点では、舗装用石油アスファルトを用いた舗装に劣る。
【0003】
このように、一長一短ある舗装用混合物に対して、本発明者らは、舗装用石油アスファルトの施工作業性及び施工期間と同等であって、セメントコンクリートに遜色ない強度を有する舗装用混合物を提案してきた(特許文献1,2参照)。これらの舗装用混合物は、舗装用石油アスファルトのほかに、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリアミド樹脂及びポリアミド樹脂から選ばれる縮重合系樹脂を含有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−13403号公報
【特許文献2】特開2010−236345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した舗装用混合物であっても、さらに過酷な温度条件や交通荷重の条件に対する耐性の向上と、優れた耐性を備えながらも従来と同様の機械編成や施工体制によって施工できるという施工上の利便性の両立という観点では、依然として開発の余地が残されていた。
そこで、本発明は、舗装用バインダとして石油アスファルトを含む従来の舗装用混合物よりも耐流動性及び疲労抵抗性に優れた舗装路面が得られ、且つ従来のセメントコンクリートよりも施工性に優れる舗装用バインダ及び該舗装用バインダを用いる舗装用混合物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂とアスファルトの混合物からなる舗装用バインダのうち、特定の分子量を有するポリアミド樹脂を特定の比率で含む舗装用バインダが上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のことを要旨とする。
<1>舗装を形成する舗装用混合物に用いられ、ポリアミド樹脂とアスファルトとの混合物を含む舗装用バインダであって、該ポリアミド樹脂の重量平均分子量が8千以上3万以下であり、該舗装用バインダ全量基準における該ポリアミド樹脂の含有量が10質量%以上50質量%以下である舗装用バインダ、
<2>前記ポリアミド樹脂が植物油脂由来のダイマー酸の脱水縮合反応により得られる重合脂肪酸を用いてなる上記<1>に記載の舗装用バインダ、
<3>前記アスファルトが、ポリマー改質アスファルトである上記<1>又は<2>に記載の舗装用バインダ、
<4>上記<1>〜<3>のいずれかの舗装用バインダと、骨材と、を含む舗装用混合物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来の舗装用混合物よりも耐流動性及び疲労抵抗性に優れた舗装路面が得られ、且つ従来のセメントコンクリートよりも施工性に優れる舗装用バインダ及び該舗装用バインダを用いる舗装用混合物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施形態において、舗装用混合物とは、舗装用バインダと、骨材とを含み、舗装施工に供することのできる状態のものである。舗装用混合物は、これ以外に、例えば、剥離防止剤と、中温化剤のようなアスファルト添加剤と、その他の成分とを含んでいてもよい。また、舗装用バインダとは、骨材同士を結合するためのものを示し、例えば、アスファルト、タール、セメント、各種樹脂成分、また本発明で例示されるポリアミド等の単独あるいは任意の混合物、またこれらの水性分散体等が含まれる。
【0009】
[舗装用バインダ]
本発明の実施形態に係る舗装用バインダは、舗装を形成する舗装用混合物に用いられ、ポリアミド樹脂とアスファルトとの混合物を含む舗装用バインダであって、該ポリアミド樹脂の重量平均分子量が8千以上3万以下であり、該舗装用バインダ全量基準における該ポリアミド樹脂の含有量が10質量%以上50質量%以下である。
本発明の実施形態において使用されるポリアミドとアスファルトとの混合物を含む舗装用バインダは、効果の発現機構は定かでないが、以下の如く推定している。すなわち、本実施形態に係る舗装用バインダでは、撹拌条件下では、大部分のポリアミド樹脂がアスファルトの連続相に球状分散しており、撹拌停止後に、徐々に相分離する特徴を有する。
したがって、本実施形態に係る舗装用バインダは、連続相を形成するアスファルトが低粘性を有する。このことから、本実施形態に係る舗装用バインダに骨材等を加えて混練し舗装用混合物を得る際、或いはこの舗装用混合物を施工する際に、優れた施工性を示す。
一方で、施工完了後には、本実施形態において使用したポリアミド樹脂が、アスファルトと相分離して骨材表面に吸着されて、ポリアミド樹脂が連続相を形成する。これにより、舗装路面に交通が開放される際には、舗装用混合物が高い耐流動性と高い耐疲労性を発揮するものと考えられる。
なお、本発明の効果発現機構は、以上の推定に限定されるものではない。
【0010】
[ポリアミド樹脂]
<ポリアミド樹脂の性状>
本発明の実施形態として示す舗装用バインダに使用可能なポリアミド樹脂を説明する。
ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、8千以上3万以下である。ここで、ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミションクロマトグラフィーにより測定したものである。
ポリアミド樹脂の重量平均分子量が8千以上であると、曲げ歪みが良好となり、低温においてひび割れなどが発生少なく、3万以下であると、分散しない一部のポリアミドの影響が無視できるようになるため、施工温度における溶融粘度が好適となり、作業性が良好となる。
この観点から、ポリアミド樹脂の重量平均分子量の好ましい下限値は、0.8万であり、より好ましくは、1.0万である。また、好ましい上限値は、3.0万であり、より好ましくは、2.5万である。なお、上述した上限値と下限値は、任意の組み合わせが可能である。
ポリアミド樹脂の該舗装用バインダ全量基準における該ポリアミド樹脂の含有量は、10質量%以上50質量%以下である。
ポリアミド樹脂の舗装用バインダ全量基準における該ポリアミド樹脂の含有量が10質量%以上であると耐流動性が向上し、50質量%以下であると、作業性が向上するため好ましい。
この観点から、舗装用バインダ全量基準における該ポリアミド樹脂の含有量の好ましい下限値は、10質量%であり、より好ましくは、15質量%である。また、好ましい上限値は、50質量%であり、より好ましくは、30質量%である。なお、上述した上限値と下限値は、任意の組み合わせが可能である。
【0011】
また、舗装用バインダの180℃における溶融粘度は、作業性の観点から1500mPa・s以下であることが好ましい。舗装用バインダの180℃における溶融粘度は、好ましくは、800mPa・s以下であり、さらに好ましくは、300mPa・s以下である。
舗装用バインダの180℃における溶融粘度が1500mPa・s以下であると、骨材等との混合性を確保しつつ、良好な施工性を得ることが可能となり、骨材などとともに均一な舗装用混合物を形成することが容易となる。未硬化の舗装混合物の形状保持性を向上させる観点から、好ましい下限値は、100mPa・sである。なお、使用に際しては、ポリアミド樹脂の熱劣化を考慮すると180℃以下で加熱することが好ましい。
【0012】
ポリアミド樹脂は、上記性状を有していればよく、1種単独であってもよいし、分子量分布の異なる複数種類のものを組み合わせて使用することができる。組み合わせて使用する場合には、混合後の重量平均分子量が8千以上3万以下になれば、どのような組合せであってもよい。
【0013】
<ポリアミド樹脂の構造>
上述した性状を有しておりアミド結合(−CONH−)を有する高分子化合物であれば、いかなる化学構造を有するポリアミド樹脂を使用することもできる。ポリアミド樹脂は、例えば、主として脂肪族骨格からなるナイロンであってもよいし、主として芳香族骨格をもつアラミドであってもよい。さらにはこの両者以外の骨格構造を有するものでもよい。一方で好適に用いられる構造体としては、ジアミンと、モノカルボン酸及びジカルボン酸乃至重合脂肪酸とからなるポリアミドが挙げられる。
【0014】
ポリアミド樹脂は、通常、環状ラクタムの開環重合反応や、アミノ酸やその誘導体の自己縮合反応、カルボン酸とアミン化合物との縮重合反応などにより得られる。カルボン酸とアミン化合物との縮重合反応によるポリアミド樹脂は、例えば、カルボン酸とアミン化合物とを縮合(縮重合)反応させて得ることができる。
縮重合反応の一方の原料であるカルボン酸においては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、重合脂肪酸を好適に用いることができる。
モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギジン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。また、不飽和脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルシン酸、天然油脂より得られる混合脂肪酸(トール油脂肪酸、米ヌカ脂肪酸、大豆油脂肪酸、牛脂脂肪酸等)などが挙げられ、これらは単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、及びアルケニルコハク酸が挙げられる。アルケニルコハク酸としては、好ましくは、アルケニル基が炭素数4〜20のものが好ましい。
【0015】
重合脂肪酸は、不飽和結合を有する一塩基性脂肪酸を重合して得られる重合物、または不飽和結合を有する一塩基性脂肪酸のエステル化物を重合して得られる重合物である。重合脂肪酸としては、植物油脂由来のダイマー酸の脱水縮合反応により得られる構造物が挙げられる。
当該不飽和結合を有する一塩基性脂肪酸としては、通常1〜3の不飽和結合を有する総炭素数が8〜24の不飽和脂肪酸が用いられる。これらの不飽和脂肪酸として、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、天然の乾性油脂肪酸、天然の半乾性油脂肪酸などが挙げられる。また、不飽和結合を有する一塩基性脂肪酸のエステルとしては、上記不飽和結合を有する一塩基性脂肪酸と脂肪族アルコール、好ましくは、炭素数1〜3の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。前記不飽和結合を有する一塩基性脂肪酸を重合して得られる重合物、または不飽和結合を有する一塩基性脂肪酸のエステル化物を重合して得られる重合物である重合脂肪酸は、二量体を主成分とするものが好ましい。例えば、炭素数18の不飽和脂肪酸の重合物として、その組成が、炭素数18の一塩基酸(単量体)0〜10質量%、炭素数36の二塩基酸(二量体)60〜99質量%、炭素数54の三塩基酸以上の酸(三量体以上)30質量%以下のものが市販品として入手できる。
さらに、カルボン酸成分としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸及び重合脂肪酸のほか、舗装用混合物の物性を阻害しない範囲で、その他のカルボン酸を加えてもよい。
これらカルボン酸においては、モノカルボン酸と重合脂肪酸の組み合わせが特に好適に用いられる。
【0016】
カルボン酸成分を構成するモノカルボン酸と重合脂肪酸とを組み合わせて使用する場合には、その配合割合は、カルボン酸成分全量基準で、前者が0〜50モル当量%、後者が100〜50モル当量%であることが好ましく、前者が0〜10モル当量%、後者が100〜90モル当量%あることがより好ましい。
【0017】
また、縮重合反応の他方の原料であるアミン化合物としては、ポリアミン、アミノカルボン酸、アミノアルコールなどが挙げられる。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミンなどの脂肪族トリアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミンなどの芳香族ジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミンが挙げられる。アミノカルボン酸としては、メチルグリシン、トリメチルグリシン、6−アミノカプロン酸δ−アミノカプリル酸、ε−カプロラクタムなどが挙げられる。アミノアルコールとしては、エタノールアミン、プロパノールアミンなどが挙げられる。
これら原料として使用される各化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0018】
また、アミン化合物として、ポリアミンを含むアミン成分、特に好ましくは、前記アミン化合物として2種以上の脂肪族ジアミンを含むアミン成分を用いることができる。
【0019】
これらのカルボン酸成分とアミン成分とを縮合して得られるポリアミド樹脂であれば、本発明に用いるポリアミド樹脂に要求される分子量、分子量分布、軟化点や溶融粘度などの特性を満たすものを容易に見出すことができる。分子量及び分子量分布については、主にモノカルボン酸と重合脂肪酸を含むカルボン酸成分等それ以外のカルボン酸との仕込み比率により調整できる。モノカルボン酸の仕込み比率を減少させると重量平均分子量が高くなり、そのためゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおける分子量2万以上50万以下の面積比率も大きくできる。一方でこの場合、溶融粘度も合わせて向上する傾向にある。しかしながら、構造の異なるアミン成分を2種類以上併用して得られたポリアミドは、重量平均分子量が一定の場合、単一のアミンを使用して得られたポリアミドと比較して、溶融粘度を下げることが可能となる。この理由については、分子間のアミド結合力が低下するためだと考えられる。また単一のアミンを使用して得られたポリアミドは高い軟化点を示すが、構造の異なるアミン成分を2種類以上併用して得られたポリアミドは、軟化点も下げることが可能となる。
アミン化合物として2種以上の脂肪族ポリアミンを含むアミン成分、最も好ましくは2種以上の脂肪族ジアミンから選ばれるアミン成分を用いて得られたポリアミド樹脂は、上述の性能に特に優れる。例えば、カルボン酸成分としてモノカルボン酸と重合脂肪酸とを用いることによって、得られるポリアミド樹脂の重量平均分子量及び溶融粘度を調整することが容易となる。
このポリアミド樹脂、骨材などを含む舗装用混合物によれば、舗装のわだち掘れやねじれ破壊の防止、及び耐油性の向上を一層図ることができる
【0020】
次に、前記カルボン酸成分とともに用いるアミン成分に含まれるポリアミンとしては、脂肪族ジアミン及び芳香族ジアミンを用いることができる。この場合、ポリアミド樹脂として好ましい180℃粘度と軟化点を得る観点から、アミン成分における前記各ポリアミンの配合割合が、アミン成分全量基準で、脂肪族ジアミンが20〜100モル当量%、芳香族ジアミンが0〜20モル当量%であることが好ましい。その他のアミン成分としては、好ましい180℃粘度と軟化点範囲に入る範囲で市販のモノアミンやトリアミン、テトラミン等のポリアミンをジアミンに併用することができる。
【0021】
前記脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜6の脂肪族ジアミンが好ましく、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが例示できる。また、芳香族ジアミンとしてはキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、メチレンビスクロロアニリン等を用いることができる。本発明においては特に2種以上の上述アミンを併用することが好ましく、これによってポリアミド分子同士のアミド基の配向性を調整することができ、これによって結晶性や分子間相互作用が低減できることから、軟化点や180℃溶融粘度の調製を容易に達成できる。中でもエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびm−キシリレンジアミンから選ばれる2種以上を含むことが好ましい。
【0022】
ポリアミド樹脂は、前記各原料化合物を公知の反応条件下で縮合反応させることにより製造することができる。例えば、カルボン酸成分とポリアミン化合物などのアミン成分とをモル当量比(カルボン基/アミノ基)1.0/1.2〜1.2/1.0で混合、加熱し、例えば、180〜250℃で縮合反応させればよい。
【0023】
[アスファルト]
舗装用バインダは、アスファルトを含有する。使用可能なアスファルトとしては、舗装用石油アスファルトであるストレートアスファルトのほか、スチレン・ブタジエン・ブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・ブロック共重合体(SIS)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などの熱可塑性エラストマーなどの高分子材料で改質したポリマー改質アスファルトなどが挙げられる。アスファルトは、JIS K2207(1996)や、日本改質アスファルト協会規格に準拠するものであれば使用できる。また、既設のアスファルト舗装に含まれる舗装用バインダ、及び骨材から再生されたアスファルトも用いることができる。
【0024】
[舗装用混合物]
本発明の実施形態に係る舗装用混合物は、骨材と、舗装用バインダとを有する。舗装用バインダは、上述したポリアミド樹脂とアスファルトとの混合物を含むものである。
<骨材>
本発明の実施形態に係る舗装用混合物に用いることのできる骨材としては、舗装設計施工指針(日本道路協会)に記載された砕石、砂、スクリーニングス、石粉及び再生骨材が挙げられる。これ以外の骨材を用いることも可能である。骨材には、繊維補強材や、舗装用充填材などを適宜添加することもできる。
<骨材と舗装用バインダの混合比>
舗装用バインダの量は、舗装施工便覧(日本道路協会)に記載されている各種アスファルト混合物の配合設計に基づいて求められる最適アスファルト量を、最適バインダ量に決定することが望まれる。
【0025】
本発明の実施形態に係る舗装用混合物は、施工現場での敷き均しに、従来の舗装用石油アスファルトと同様の機械編成や施工体勢で施工することができる。また、本実施形態に係る舗装用混合物は、舗装用石油アスファルトを主成分とする従来の舗装用バインダと同様に、温度の低下によって硬化する。
本実施形態に係る舗装用混合物によれば、高強度及び優れた施工性という観点から、道路に架かる橋の床版上に施工される舗装にも好適に用いられる。橋の構造に強度を付与することができる。また、施工も短期間で完了できるため、道路のように迂回路を容易にできない橋の修繕工事に有利である。
【実施例】
【0026】
次に、本発明を、実施例を用いて、さらに詳細に説明する。本発明は、これらの例によって限定されない。
[評価方法]
実施例と比較例の舗装用混合物の物性及び作業性を下記の方法に従って評価した。
(1)GPC測定条件
以下の合成例及び比較合成例により得られた重合体の重量平均分子量は、下記条件のゲルパーミションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算で算出された値である。
GPC測定条件
・カラム:カラム1+カラム2+カラム3をこの順番に連結して使用した。
カラム1:Shodex社製 有機溶媒系SEC用ガードカラム 製品名「K−G」
カラム2、3:Shodex社製 有機溶媒系SEC用カラム 製品名「K−804L」
・溶離液:1mmol/L 有機アミン(花王株式会社製 商品名「ファーミンDM2098」)/クロロホルム
・流速:1.0mL/min
・測定温度:40℃
・検出器:RI
・標準物質:ポリスチレン(下記の第1表のものを使用した)
【0027】
【表1】
【0028】
(2)施工時の作業性
150℃に加熱した状態の供試体について、スコップを用いて舗装を施工した場合の作業性を以下の基準により判定した。
A:一般の密粒度アスファルト混合物と比較して、作業性が良好である
B:一般の密粒度アスファルト混合物と比較して、施工可能であるが、作業が困難と感じる
C:一般の密粒度アスファルト混合物と比較して、施工可能であるが、作業がかなり困難と感じる
D:施工不可能
【0029】
(3)耐流動性の評価
耐流動性については、社団法人日本道路協会出版の「舗装調査・試験法便覧」に記載される「B003ホイールトラッキング試験」に基づいて評価し、その試験結果から、以下の基準により判定した。
A:10000回/mm以上
B:5000回/mm以上10000回/mm以下
C:3000回/mm以上5000回/mm以下
D:3000回/mm未満
【0030】
(4)疲労抵抗性の評価
疲労抵抗性については、社団法人日本道路協会出版の「舗装調査・試験法便覧」に記載れる「B018Tアスファルト混合物の曲げ疲労試験方法」に基づいて、繰り返し4点曲げ試験を実施し、疲労破壊が生じるまでの回数を測定した。測定条件は次のとおりである。
アスファルト混合物から幅4cm×高さ4cm×長さ40cmの直方体の供試体を形成し、試験温度20℃において、400×10-6の歪み制御で疲労破壊に至るまでの回数を測定した。疲労破壊が生じるまでの回数から、以下の基準により分類した。
A:10000回以上
B:5000回以上10000回以下
C:2000回以上5000回以下
D:2000回未満
【0031】
[ポリアミド樹脂の製造方法と物性]
<ポリアミド樹脂1>
ポリアミド樹脂1は、トール油脂肪酸及び重合脂肪酸(ハリマ化成社製、「ハリダイマー250」)を含むカルボン酸成分と、エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンからなるアミン成分とを縮合させて得られたものである。ポリアミド樹脂1は、特許文献2の[0032]に記載された製造方法に準拠して合成した。
すなわち、原料となる、トール油脂肪酸、及び重合脂肪酸を含むカルボン酸成分と、アミン成分との混合物を温度計、撹拌系、脱水管及び窒素吹き込み管を備えた四つ口丸底フラスコに入れ、該混合物を撹拌し、着色防止のために僅かの窒素を流した後、210℃で3時間反応させた。さらに減圧下(13.3kPa)で2時間反応させた後、冷却し、粉砕してポリアミド樹脂1を得た。
それぞれの含有割合は、カルボン酸成分については、カルボン酸成分1モル当量あたりトール油脂肪酸が0.30モル当量(全体原料に占める割合15モル当量%、括弧内、以下同じ)、重合脂肪酸が0.70モル当量(35モル当量%)であり、アミン成分については、アミン成分1モル当量あたりエチレンジアミンが0.50モル当量(25モル当量%)、ヘキサメチレンジアミンが0.50モル当量(25モル当量%)である。また、カルボン酸成分とアミン成分の割合は、モル当量比(カルボン酸成分/アミン成分)で、1.0/1.0である。
ポリアミド樹脂1の物性は、軟化点82℃、180℃溶融粘度70mPa・sであった。また、ポリアミド樹脂1の数平均分子量は1992であり、重量平均分子量は3852であった。なおトール油脂肪酸や重合脂肪酸のモル当量については、以下同様にJIS常法の酸価の測定結果から算出した。
【0032】
<ポリアミド樹脂2>
ポリアミド樹脂2は、トール油脂肪酸及び重合脂肪酸(ハリマ化成社製、「ハリダイマー250」)を含むカルボン酸成分と、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンからなるアミン成分とを縮合させて得られたものである。ポリアミド樹脂2は、特許文献2の[0032]に記載された製造方法に準拠して合成した。
すなわち、原料となるトール油脂肪酸、及び重合脂肪酸を含むカルボン酸成分と、アミン成分との混合物を温度計、撹拌系、脱水管及び窒素吹き込み管を備えた四つ口丸底フラスコに入れ、該混合物を撹拌し、着色防止のために僅かの窒素を流した後、210℃で3時間反応させた。さらに減圧下(13.3kPa)で2時間反応させた後、冷却し、粉砕してポリアミド樹脂2を得た。
それぞれの含有割合は、カルボン酸成分については、カルボン酸成分1モル当量あたりトール油脂肪酸が0.04モル当量(2モル当量%)、重合脂肪酸が0.96モル当量(48モル当量%)であり、アミン成分については、アミン成分1モル当量あたりエチレンジアミンが0.55モル当量(27.5モル当量%)、ヘキサメチレンジアミンが0.45モル当量(22.5モル当量%)である。また、カルボン酸成分とアミン成分の割合は、モル当量比(カルボン酸成分/アミン成分)で、1.0/1.0である。
ポリアミド樹脂2の物性は、軟化点89℃、180℃溶融粘度4375mPa・sであった。また、ポリアミド樹脂2の重量平均分子量は9320であった。
【0033】
<ポリアミド樹脂3>
ポリアミド樹脂3は、プロピオン酸、トール油脂肪酸及び重合脂肪酸(ハリマ化成社製、「ハリダイマー250」)を含むカルボン酸成分と、エチレンジアミンからなるアミン成分とを縮合させて得られたものである。ポリアミド樹脂3は、特許文献2の[0032]に記載された製造方法に準拠して合成した。
すなわち、原料となるトール油脂肪酸、及び重合脂肪酸を含むカルボン酸成分と、アミン成分との混合物を温度計、撹拌系、脱水管及び窒素吹き込み管を備えた四つ口丸底フラスコに入れ、該混合物を撹拌し、着色防止のために僅かの窒素を流した後、210℃で3時間反応させた。さらに減圧下(13.3kPa)で2時間反応させた後、冷却し、粉砕してポリアミド樹脂3を得た。
それぞれの含有割合は、カルボン酸成分については、カルボン酸成分1モル当量あたりプロピオン酸が0.07モル当量(3.5モル当量%)、トール油脂肪酸が0.05モル当量(2.5モル当量%)、重合脂肪酸が0.88モル当量(44モル当量%)であり、アミン成分については、エチレンジアミンを単独で用いた。また、カルボン酸成分とエチレンジアミンの割合は、モル当量比(カルボン酸成分/エチレンジアミン)で、1.0/1.0である。
ポリアミド樹脂3の物性は、軟化点119℃、180℃溶融粘度1350mPa・sであった。また、ポリアミド樹脂3の重量平均分子量は10550であった。
【0034】
<ポリアミド樹脂4>
ポリアミド樹脂4は、重合脂肪酸(高純度ダイマー酸、モノマー酸3質量%、ダイマー酸94質量%、トリマー酸3質量%、HPLC法による分析値)と、エチレンジアミン及びm−キシレンジアミンからなるアミン成分とを縮合させて得られたものである。ポリアミド樹脂4は、特許文献2の[0032]に記載された製造方法に準拠して合成した。
すなわち、原料となる重合脂肪酸と、アミン成分との混合物を温度計、撹拌系、脱水管及び窒素吹き込み管を備えた四つ口丸底フラスコに入れ、該混合物を撹拌し、着色防止のために僅かの窒素を流した後、210℃で3時間反応させた。さらに減圧下(13.3kPa)で2時間反応させた後、冷却し、粉砕してポリアミド樹脂4を得た。
それぞれの含有割合は、カルボン酸成分については、カルボン酸成分1モル当量あたり重合脂肪酸が1.0モル当量(50モル当量%)であり、アミン成分については、アミン成分1モル当量あたりエチレンジアミンが0.5モル当量(25モル当量%)、m−キシレンジアミンが0.5モル当量(25モル当量%)である。また、カルボン酸成分とアミン成分の割合は、モル当量比(カルボン酸成分/アミン成分)で1.0/1.0である。
ポリアミド樹脂4の物性は、軟化点102℃、180℃溶融粘度26000mPa・sであった。また、ポリアミド樹脂4の重量平均分子量は21565であった。
【0035】
<ポリアミド樹脂5>
ポリアミド樹脂5は、重合脂肪酸(ハリマ化成社製、「ハリダイマー250」)と、エチレンジアミン及びm−キシレンジアミンからなるアミン成分とを縮合させて得られたものである。ポリアミド樹脂4は、特許文献2の[0032]に記載された製造方法に準拠して合成した。
すなわち、原料となる重合脂肪酸と、アミン成分との混合物を温度計、撹拌系、脱水管及び窒素吹き込み管を備えた四つ口丸底フラスコに入れ、該混合物を撹拌し、着色防止のために僅かの窒素を流した後、210℃で3時間反応させた。次に13.3kPaまで減圧させたところ、本ポリアミドについてはゲル化したため反応を中止した。これを冷却し、粉砕してポリアミド樹脂5を得た。
それぞれの含有割合は、カルボン酸成分については、カルボン酸成分1モル当量あたり重合脂肪酸が1.0モル当量(50モル当量%)であり、アミン成分については、アミン成分1モル当量あたりエチレンジアミンが0.5モル当量(25モル当量%)、m−キシレンジアミンが0.5モル当量(25モル当量%)である。また、カルボン酸成分とアミン成分の割合は、モル当量比(カルボン酸成分/アミン成分)で1.0/1.0である。
ポリアミド樹脂5は、溶剤に不溶であり、且つ加熱しても液状とならず、軟化点、180℃粘度、重量平均分子量の測定が不可能であった。
【0036】
[実施例及び比較例]
ポリアミド樹脂1〜5を用いて、実施例及び比較例の舗装用混合物を作製した。なお、ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、各実施例において混合して使用したものについては、混合後に、ゲルパーミションクロマトグラフィーにより測定した。
<実施例1>
ポリアミド樹脂1を5質量%、ポリアミド樹脂2を5質量%からなるポリアミド樹脂と、改質II型アスファルト90質量%とを含む舗装用バインダと、最大粒径が13mmの粗骨材とをミキサーにて150℃で混合した。
混合により得られた舗装用混合物を110℃で締固めて、実施例1の供試体を得た。なお、締固め温度は、舗装施工便覧(平成18年版)p.112に記載のあるアスファルト混合物の初転圧温度の下限値を参考にして決めた。
また、ポリアミド樹脂1を85質量%、ポリアミド樹脂2を15質量%からなるポリアミド樹脂の舗装用混合物に対する配合比率は、5.1質量%であった。
【0037】
<実施例2>
ポリアミド樹脂1を25質量%、ポリアミド樹脂2を25質量%からなるポリアミド樹脂と、改質II型アスファルト50質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の供試体を得た。
<実施例3>
ポリアミド樹脂3を10質量%からなるポリアミド樹脂と、改質II型アスファルト90質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の供試体を得た。
<実施例4>
ポリアミド樹脂3を25質量%からなるポリアミド樹脂と、改質II型アスファルト75質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の供試体を得た。
<実施例5>
ポリアミド樹脂3を25質量%からなるポリアミド樹脂と、ストアス60/80を75質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の供試体を得た。
<実施例6>
ポリアミド樹脂3を50質量%からなるポリアミド樹脂と、改質II型アスファルトを50質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の供試体を得た。
<実施例7>
ポリアミド樹脂として、ポリアミド樹脂4を10質量%、改質II型アスファルトを90質量%含む舗装用バインダを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の供試体を得た。
<実施例8>
ポリアミド樹脂として、ポリアミド樹脂4を50質量%、改質II型アスファルトを50質量%含む舗装用バインダを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例8の供試体を得た。
【0038】
<比較例1>
ポリアミド樹脂1を4質量%、ポリアミド樹脂2を4質量%からなるポリアミド樹脂と、改質II型アスファルト92質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の供試体を得た。
<比較例2>
ポリアミド樹脂1を27.5質量%、ポリアミド樹脂2を27.5質量%からなるポリアミド樹脂と、改質II型アスファルト45質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の供試体を得た。
<比較例3>
ポリアミド樹脂4を8質量%と、改質II型アスファルト92質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の供試体を得た。
<比較例4>
ポリアミド樹脂4を55質量%と、改質II型アスファルト45質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の供試体を得た。
<比較例5>
ポリアミド樹脂1を16.2質量%、ポリアミド樹脂2を8.8質量%からなるポリアミド樹脂と、改質II型アスファルト75質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例5の供試体を得た。
<比較例6>
ポリアミド樹脂5を25質量%と、改質II型アスファルト75質量%とを含む舗装用バインダを使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例6の供試体を得た。
【0039】
[評価結果]
実施例及び比較例の舗装用混合物を、上述した評価方法により評価した。結果を第2表に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例1〜8のように、ポリアミド樹脂の重量平均分子量が8千以上3万以下であり、舗装用バインダ全量基準におけるポリアミド樹脂の含有量が10質量%以上50質量%以下であり、アスファルト成分を残部とするような舗装用バインダを用いた舗装用混合物の供試体は、スコップ作業性、耐流動性、及び疲労抵抗性がともに良好であった。
これに対して、舗装用バインダ全量基準におけるポリアミド樹脂の含有量が10質量%未満である比較例1の舗装用混合物は、耐流動性が要求性能を満たさないことがわかった。比較例3によれば、1種類のポリアミド樹脂を使用したものは、さらに疲労抵抗性も要求性能を満たさないことがわかった。また、比較例4のように、ポリアミド樹脂の含有量が50質量%を超えるものは、作業性が低下する。また、重量平均分子量が8千未満のものは、疲労抵抗性が悪い。