【解決手段】点火が連続する気筒の排気ポートを貨幣する排気弁を備えた直列四気筒のエンジンにおいて、排気ポートから排気集合部に向かう排気流れが対向する1番気筒#1,3番気筒#3間で、後に排気する3番気筒#3の排気弁の開弁速度を先に排気する1番気筒の開弁速度よりも遅く設定したので、後に排気する気筒から排出される排ガスの初期流れが抑制され、先に排気する気筒の排気流れへの影響を小さくできる。
前記後に排気する気筒の点火に対する排気弁の開放タイミングを前記先に排気する気筒の点火に対する排気弁の開放タイミングよりも早めたことを特徴とする請求項1に記載の直列四気筒のエンジン。
先に排気する気筒は、点火順が1番となる気筒配列方向1番目の1番気筒であり、前記後に排気する気筒は、点火順が2番となる気筒配列方向3番目の3番気筒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の直列四気筒のエンジン。
先に排気する気筒は、点火順が3番となる気筒配列方向4番目の4番気筒であり、前記後に排気する気筒は、点火順序が4番となる気筒配列方向2番目の2番気筒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の直列四気筒のエンジン。
前記排気弁の開弁速度は上り前記排気弁のリフトする速度であり、前記排気弁が上昇する区間を下降する区間よりも長く設定することで、前記開弁速度を遅くすることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の直列四気筒のエンジン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された直列四気筒のエンジンでは、先に排気する気筒(1番気筒)の排気が完全に終了する前に、次に排気する気筒(3番気筒)の排気を開始するので、先に排気する気筒(1番気筒)の排気を次に排気する気筒(3番気筒)の排気が阻害することがある(排気干渉)。この場合には、排気効率が損なわれ、エンジンの出力トルクを増大させることができない。
また、特許文献2に記載された直列四気筒のエンジンでは、第1の排気系と第2の排気系との間に隔壁を設ける必要があるので、排気抵抗を低減することができない。これにより、排気効率が損なわれ、エンジンの出力トルクを増大させることができない。
本発明は、上記実情に鑑みて、排気効率を向上させることができる直列四気筒のエンジンを提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、点火が連続する気筒の排気ポートを開閉する排気弁を備えた直列四気筒のエンジンにおいて、前記排気ポートから排気集合部に向かう排気流れが対向する気筒間で、後に排気する気筒の排気弁の開弁速度を先に排気する気筒の排気弁の開弁速度よりも遅く設定したことを特徴とする。
本発明によれば、後に排気する気筒から排出される排ガスの初期流れが抑制され、先に排気する気筒の排気流れへの影響を小さくできる。これにより、排気効率を向上させることができる。
【0007】
本発明の一態様では、前記後に排気する気筒の点火に対する排気弁の開放タイミングを前記先に排気する気筒の点火に対する排気弁の開放タイミングよりも早めることが好ましい。
このようにすれば、後に排気する気筒から先に排気する気筒に向かう排ガスの流れが抑制され、先に排気する気筒に残留するガスの量を抑制できる。
【0008】
本発明の一態様では、先に排気する気筒は、点火順が1番となる気筒配列方向1番目の1番気筒であり、前記後に排気する気筒は、点火順が2番となる気筒配列方向3番目の3番気筒であることが好ましい。
このようにすれば、3番気筒から1番気筒に向かう排ガスの圧力が抑制され、1番気筒に残留するガスの量を抑制できる。
【0009】
本発明の一態様では、先に排気する気筒は、点火順が3番となる気筒配列方向4番目の4番気筒であり、前記後に排気する気筒は、点火順序が4番となる気筒配列方向2番目の2番気筒であることが好ましい。
このようにすれば、2番気筒から4番気筒に向かう排ガスの圧力が抑制され、4番気筒に残留するガスの量を抑制できる。
【0010】
本発明の一態様では、前記排気集合部がシリンダヘッドに内蔵されることが好ましい。
このようにすれば、排気ポートから排気集合部に向かう排気流れが対向する気筒間において吹き返しを効果的に抑制できる。また、これにより、直列四気筒のエンジンを小型にできる。
【0011】
本発明の一態様では、前記排気集合部の下流に排気ターボを備えることが好ましい。
このようにすれば、排気ポートから排気集合部に向かう排気流れが対向する気筒間において吹き返しを効果的に抑制できる。これにより、内部EGRを抑制でき、ノック制約による出力低下を免れることができる。
【0012】
本発明の一態様では、前記排気弁の開弁速度は上り前記排気弁のリフトする速度であり、前記排気弁が上昇する区間を下降する区間よりも長く設定することで、前記開弁速度を遅くすることが好ましい。
このようにすれば、後に排気する気筒から先に排気する気筒に向かう排ガスの流れが抑制され、先に排気する気筒に残留するガスの量を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、後に排気する気筒から先に排気する気筒に向かう排ガスの流れが抑制され、先に排気する気筒に残留する排ガスの量を抑制できる。これにより、排気効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る直列四気筒のエンジンの好適な実施の形態を詳細に説明する。尚、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図4は、本発明の実施の形態であるエンジンの構成を示す模式図である。
図4に示すように、本発明の実施の形態であるエンジン1は、その周辺機器として、排気ターボ2と可変バルブタイミング機構3とを備えている。排気ターボ2は、排気エネルギーにより駆動される排気ターボ過給器で、吸気系統4に設けられたコンプレッサ21と排気系統5に設けられたタービン22とにより構成される。
【0017】
可変バルブタイミング機構3は、通常は固定されているバルブの開閉タイミングやリフト量を可変とするもので、本発明の実施の形態では、吸気側と排気側とに設けられている。吸気側に設けられた可変バルブタイミング機構(吸気側VVT31)は、吸気弁311の開閉タイミング、リフト量を任意に設定可能であり、排気側に設けられた可変バルブタイミング機構(排気側VVT32)は、排気弁321の開閉タイミング、リフト量を任意に設定可能である。これにより、排気弁321の開閉タイミングは、上述したように、2番気筒#2と3番気筒#3は、一方の排気弁Fと他方の排気弁Rの開放タイミングを異ならせることができる。
【0018】
吸気系統4は、気筒#1〜#4に空気を供給するためのもので、エアフィルタ41、吸気ダクト42,43、コンプレッサ21、インタクーラ44、インテークマニホールド45を備えている。吸気ダクト42,43は、外部から空気を取り入れるためのもので、エアフィルタ41とコンプレッサ21とを接続するとともに、コンプレッサ21とインタクーラ44とを接続している。また、エアフィルタ41とコンプレッサ21とを接続する吸気ダクト42の内部には、エアフロセンサ421、吸気温センサ422が設けられ、取り入れた空気の量、取り入れた空気の温度を監視している。コンプレッサ21は、タービン22によって駆動される過給器であって、外部から取り入れた空気はコンプレッサ21で圧縮され、インタクーラ44に供給される。また、コンプレッサ21の上流側と下流側とは、通気通路を構成するバイパスダクト46によって接続されている。バイパスダクト46には、バイパスバルブ461が設けられている。バイパスバルブ461は、バイパスダクト46に回動可能に支持され、バイパスダクト46の開度が調整される。
【0019】
インタクーラ44は、空気を冷却するためのもので、コンプレッサ21で加熱された空気が冷却される。インテークマニホールド45は、インタクーラ44で冷却された空気を気筒#1〜#4に分配するためのもので、その中程にサージタンク451が設けられ、その後、各気筒#1〜#4に向けて分岐している。また、サージタンク451の上流側には、スロットルバルブ452が設けられている。スロットルバルブ452は、インテークマニホールド45に回動可能に支持され、インテークマニホールド45の開口面積が調整される。
【0020】
排気系統5は、各気筒#1〜#4から外部に排ガスを排出するもので、後述する排気集合部EMと排気通路Wと排気口Vを含むエキゾーストマニホールド51、タービン22、排気管52,53、触媒(TWC)54を備えている。エキゾーストマニホールド51は、排ガスをタービン22に供給するためのもので、本発明の実施の形態であるエンジン1は、シリンダヘッドに形成され、後述する各気筒のポートPから排気集合部EMを経て排気口Vへ繋がる。
【0021】
排気口Vの下流にはタービン22が設けられている。タービン22は、上述したコンプレッサ21を駆動するためのもので、エキゾーストマニホールド51の出口となる排気口Vに設けられている。排気管52は、一端がタービンに接続され、他端が触媒54に接続されている。触媒54の入口側には、LAFS541が設けられ、出口側には、O
2センサ542が設けられている。これにより、触媒54を通過する前の排ガスの空燃比、触媒54を通過した後の空燃比が監視される。
【0022】
また、タービン22の上流側と下流側とは、ウェイストゲート55によって接続されている。ウェイストゲート55は、タービン22をバイパスする通路であって、ウェイストゲートバルブ551が設けられている。ウェイストゲートバルブ551は、ウェイストゲート55に回動可能に支持され、ウェイストゲート55の開口面積が調整される。
【0023】
このように、排気口Vとタービン22と触媒54を排気ポートPと接近させることで、排気系の熱容量を低減することができる。すなわち、エンジン1を冷態状態から始動させると、触媒54が活性化するまで吸入空気量を増やし点火リタード等を行う触媒昇温制御を行い、排気系統に送る熱量を増やして触媒を早期に活性化させる必要がある。この際に排気系統の熱容量によって奪われる熱量が多くなると、触媒暖機に必要な熱量が排気系統により奪われ、結果として触媒昇温制御の時間が長くなる。このように暖機時間が長くなると燃料が多く使われ燃費が悪くなる。排気口Vとタービン22と触媒54を排気ポートPと接近させることでこれを防止することができる。
【0024】
一方、排気口Vが排気ポートPに近接することにより、残留ガスによる排気効率が悪化するという課題がある。これについてより詳しく説明する。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態と比較する直列四気筒のエンジンのクランク角とバルブリフト量及び排気量との関係を示す図である。また、
図6は、
図5に示した特性を有するエンジンにおいて1番気筒から排出された排ガスの流れと3番気筒から排出された排ガスの流れを示す模式図であり、
図7は、
図5に示した特性を有するエンジンにおいて3番気筒から排出された排ガスの流れと4番気筒から排出された排ガスの流れを示す模式図である。
【0026】
図6及び
図7に示すように、直列四気筒のエンジンは、気筒(シリンダ)が車両前後方向に一列に設けられている。直列四気筒のエンジンの気筒は、車両前方側から後方側に向けて、それぞれ、1番気筒#1、2番気筒#2、3番気筒#3、4番気筒#4と称される。また、
図5に示すように、ここで説明する直列四気筒のエンジンは、点火順序が1番気筒#1、3番気筒#3、4番気筒#4、2番気筒#2の順であり、排気順序も1番気筒#1、3番気筒#3、4番気筒#4、2番気筒#2の順である。
【0027】
また、
図6及び
図7に示すように、ここで説明する直列四気筒のエンジンは、気筒ごとに二つの排気ポートPが設けられ、これらは、車両前後方向に一列に整列している。また、排気ポートPには、それぞれ、排気弁F,Rが設けられている。また、直列四気筒のエンジンは、気筒ごとに排気弁F,Rが開放され、同じ気筒に設けられた二つの排気弁F,Rは同じタイミングで開閉される。
【0028】
図6及び
図7に示すように、直列四気筒のエンジンにおいて、シリンダヘッドに排気集合部EMを形成すると、排気通路Wが短くなり、排気通路Wは気筒列方向になり、#1、#2からEMまでの区間と#3、#4からEMまでの区間の排気通路Wは概ね対向した形状になる。したがって、
図6に示すように、3番気筒#3から排出された排ガスは、排気口Vから排出されずに、排気を終了する前の1番気筒#1に向かう。これにより、3番気筒#3から排出された排ガスE3は、1番気筒#1の排ガスE1の排出を阻害し、
図5に示すように、1番気筒#1の排気流量を減少させる。このように、1番気筒#1の排気流量が減少すると、1番気筒#1に排ガスE1が残留し、1番気筒#1の排気効率が損なわれることになる。同様に、2番気筒#2から排出された排ガス(図示せず)は、排気口Vから排出されずに、排気を終了する前の4番気筒#4に向かう。これにより、2番気筒#2から排出された排ガス(図示せず)は、4番気筒#4の排ガス(図示せず)の排出を阻害し、
図5に示すように、4番気筒#4の排気流量を減少させる。このように、4番気筒#4の排気流量が減少すると、4番気筒#4に排ガスが残留し、4番気筒#4の排気効率が損なわれることになる。
【0029】
一方、
図7に示すように、4番気筒#4は、3番気筒#3が排気を終了する前に排気を開始するが、4番気筒#4から排出された排ガスE4は、3番気筒#3から排出された排ガスE3と同様、排気口Vに向かって流れる。これにより、4番気筒#4から排出された排ガスE4は、3番気筒#3の排気効率を大きく損なうことはない。同様に、1番気筒#1は、2番気筒#2が排気を終了する前に排気を開始するが、1番気筒#1から排出された排ガス(図示せず)は、2番気筒#2から排出された排ガス(図示せず)と同様、排気口Vに向かって流れる。これにより、1番気筒#1から排出された排ガスは、2番気筒#2の排気効率を大きく損なうことはない。
【0030】
以上説明したように、本発明の実施の形態と比較する直列四気筒のエンジンは、シリンダヘッドに排気集合部EMを形成すると、排気通路Wが短くなり、排気通路Wは気筒列方向になり、#1、#2からEMまでの区間と#3、#4からEMまでの区間の排気通路Wは概ね対向した形状になる。これにより、3番気筒#3から排出された排ガスE3が1番気筒#1の排ガスの排出を阻害し、1番気筒#1の排気効率が損なわれる。同様に、2番気筒#2から排出された排ガスが4番気筒#4の排ガスの排出を阻害し、4番気筒#4の排気効率が損なわれる。排気効率が損なわれると内部EGRが増大し,筒内温度上昇によるノックで点火時期に制約が生じ、熱効率低下により出力や燃費性能が悪化する。
【0031】
しかしながら、以下に説明する本発明の実施の形態であれば、1番気筒#1及び4番気筒#4の排気効率が損なわれるという問題を解決できる。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態である直列四気筒のエンジンのクランク角とバルブリフト量及び排気量との関係を示す図である。また、
図2は、
図1に示した特性を有するエンジンにおいて3番気筒から排出された排ガスの流れと4番気筒から排出された排ガスの流れを示す模式図であり、
図3は、3番気筒か排出された排ガスの流れと4番気筒から排出された排ガスの流れを示す模式図である。
【0033】
図2及び
図3に示すように、本発明の実施の形態である直列四気筒のエンジンは、気筒が車両前後方向に一列に設けられている。直列四気筒のエンジンの気筒は、車両前方側から後方側に向けて、それぞれ、1番気筒#1、2番気筒#2、3番気筒#3、4番気筒#4と称される。また、
図1に示すように、ここで説明する直列四気筒のエンジンは、点火順序が1番気筒#1、3番気筒#3、4番気筒#4、2番気筒#2の順であり、排気順序も1番気筒#1、3番気筒#3、4番気筒#4、2番気筒#2の順である。
【0034】
また、
図2及び
図3に示すように、ここで説明する直列四気筒のエンジンは、気筒ごとに二つの排気ポートPが設けられ、これらは、車両前後方向に一列に整列している。また、排気ポートPには、それぞれ、排気弁F,Rが設けられている。また、直列四気筒のエンジンは、気筒ごとに排気弁F,Rが開放され、同じ気筒に設けられた二つの排気弁F,Rは同じタイミングで開閉される
【0035】
また、本発明の実施の形態である直列四気筒のエンジンは、排気ポートPから排気集合部EMに向かう排気流れが対向する気筒間で、後に排気する気筒の点火に対する排気弁F,Rの開放タイミングを先に排気する気筒の点火に対する開放タイミングよりも早めるとともに、後に排気する気筒の排気弁F,Rの開弁速度を先に排気する気筒の排気弁F,Rの開弁速度よりも遅く設定してある。
【0036】
具体的には、
図1に示すように、3番気筒#3の排気弁F,Rの排気タイミングを
図1において二点鎖線で示す従来のものよりも5°〜10°早めるとともに、3番気筒#3の開弁速度を従来のものよりも遅くする。このようにすれば、3番気筒#3の点火に対する排気弁F,Rの排気タイミングは、1番気筒#1の点火に対する排気弁F,Rの排気タイミングよりも早くなり、3番気筒#3の開弁速度は、1番気筒#1の開弁速度よりも遅くなる。
【0037】
例えば、1番気筒#1で点火から200°で排気弁F,Rの開放を開始するとすれば、3番気筒#3は点火から190°〜195°で排気弁F,Rの開放を開始することになる。これにより、3番気筒#3の排気弁F,Rは、1番気筒#1の排気弁F,Rよりもゆっくり開くことができる。
【0038】
この結果、3番気筒#3の排気流量のピーク(最大値)が1番気筒#1や4番気筒#4のピークよりも下がり、
図2に示すように、3番気筒#3から排出された排ガスE3が1番気筒#1の排ガスの排出を阻害する事態が緩和される。また、3番気筒#3の排気弁F,Rの排気タイミングは、従来のものよりも早めてあるので、3番気筒#3に排ガスが残留することもない。
【0039】
同様に、
図1に示すように、例えば、カムプロフィールのバルブリフト特性を上り区間(バルブが上昇する区間)を下り区間(バルブが下降する区間)よりも長くなるように、2番気筒#2の排気弁F,Rの排気タイミングを
図1において二点鎖線で示す従来のものよりも5°〜10°早めるとともに、2番気筒#2の開弁速度を従来のものよりも遅くなるように排気弁F,Rを駆動するカムのプロフィールを調整する。このようにすれば、2番気筒#2の点火に対する排気弁F,Rの排気タイミングは、4番気筒#4の点火に対する排気弁F,Rの排気タイミングよりも早くなり、2番気筒#2の開弁速度は、4番気筒#4の開弁速度よりも遅くなる。
【0040】
例えば、4番気筒#4で点火から200°で排気弁F,Rの開放を開始するとすれば、2番気筒#2は点火から190°〜195°で排気弁F,Rの開放を開始することになる。これにより、2番気筒#2の排気弁F,Rは、4番気筒#4の排気弁F,Rよりもゆっくり開くことができる。
【0041】
この結果、2番気筒#2の排気流量のピーク(最大値)が1番気筒#1や4番気筒#4のピークよりも下がり、2番気筒から排出された排ガスが4番気筒#4の排ガスの排出を阻害する事態が緩和される。また、2番気筒#2の排気弁F,Rの排気タイミングは、従来のものよりも早めてあるので、2番気筒#2に排ガスが残留することもない。
【0042】
以上説明したように、本発明の実施の形態である直列四気筒のエンジンは、3番気筒#3から1番気筒#1に向かう排ガスの流れが抑制され、1番気筒#1に残留する排ガスの量を抑制できる。また、2番気筒#2から4番気筒#4に向かう排ガスの流れも抑制され、4番気筒#4に残留する排ガスの量も抑制できる。
【0043】
また、本発明の実施の形態である直列四気筒のエンジンは、3番気筒#3及び2番気筒#2の排気弁F,Rは1番気筒#1及び4番気筒#4の排気弁F,Rよりもゆっくり開くので、3番気筒#3及び2番気筒#2の筒内から排出される排ガスの初期流れが抑制され、先に排気する1番気筒#1及び4番気筒#4の排気流れへの影響を小さくできる。これにより、内部EGRを抑制できるため、ノック抑制ができ、より最適な点火時期を設定することで熱効率が高められ、出力や燃費を高めることができる。
【0044】
さらに、本発明の実施の形態である直列四気筒のエンジンは、触媒の早期暖機を実現するためシリンダヘッドに排気集合部EMを形成しつつ、排気ポートPから排気集合部EMに向かう排気流れが対向する気筒間(1番気筒#1と3番気筒#3、4番気筒#4と2番気筒#2)において吹き返しを効果的に抑制できる。すなわち、排気集合部EMをシリンダヘッドに設けることで、排気管から触媒までの距離を短くし触媒の早期暖機を行えるというメリットの反面で、排気干渉による吹き返しが多くなるデメリットがあったが、排気弁F,Rのタイミングを変更することによって、このデメリットを抑制できる。また、排気管が短く出来る結果、直列四気筒のエンジンを小型にできる。
【0045】
上述した本発明の実施の形態である直列四気筒のエンジン1は、排気集合部EMの下流に排気ターボ2を備え、さらにその下流に触媒54を備えることで、タービンと排気集合部EMが近接することでタービン22に入る排気エネルギー効率を高めるとともに、その下流の触媒54を早期に活性化でき、さらに排気集合部EMをシリンダヘッドに備えることによってより顕著に発生する排気ポートPから排気集合部EMに向かう排気流の吹き返しを効果的に抑制できる。これにより、内部EGRを抑制でき、触媒の早期活性化、過給レスポンスの向上およびノック制約による出力低下を免れることができる。
【0046】
尚、上述した本発明の実施の形態では、後に排気する気筒の点火に対する排気弁の開放タイミングを先に排気する気筒の点火に対する排気弁の開放タイミングを早めるものとして説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。例えば、後に排気する気筒の上死点(TDC(Top Dead Center))あるいは下死点(BDC(Bottom Dead Center)に対する排気弁の開放タイミングを先に排気する気筒の上死点(TDC)あるいは下死点(BDC)に対する排気弁の開放タイミングを早めるものとしてもよい。