特開2015-124668(P2015-124668A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-124668(P2015-124668A)
(43)【公開日】2015年7月6日
(54)【発明の名称】車両のブレーキ負圧確保装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/04 20060101AFI20150609BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20150609BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20150609BHJP
【FI】
   F02D29/04 B
   F02D29/06 E
   F02D29/06 L
   F02D45/00 364D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-268836(P2013-268836)
(22)【出願日】2013年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】武田 淳
【テーマコード(参考)】
3G093
3G384
【Fターム(参考)】
3G093BA04
3G093DA03
3G093DB00
3G093DB25
3G093DB26
3G093EB04
3G384BA52
3G384BA54
3G384CA08
3G384DA44
3G384EB09
3G384FA00Z
3G384FA09B
3G384FA66Z
(57)【要約】
【課題】ブレーキブースタへの負圧を確保することができる車両のブレーキ負圧確保装置を提供する。
【解決手段】ブレーキブースタの負圧が閾値未満のとき(S1)、オルタネータのオフによる発生負圧とA/Cのオフによる発生負圧とを演算し(S2)、オルタネータのオフによりブレーキブースタの負圧確保が可能であり、かつ、A/Cのオフによりブレーキブースタの負圧確保が可能である場合には(S3→S7)、バッテリのSOCと、A/Cの目標室内温度と実室内温度との温度差とに基づいて、オルタネータ又はA/Cのいずれをオフとするか決定する(S8〜S16)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸気通路に発生する負圧が導入されるブレーキブースタと、
前記エンジンの動力で発電するオルタネータと、
前記オルタネータで発電した電力を蓄電するバッテリと、
前記バッテリに蓄電した電力で作動するエアコンと、
前記ブレーキブースタの負圧値を検出する負圧値検出手段と、
前記バッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、
前記エアコンの目標室内温度と実室内温度との温度差を検出する温度差検出手段と、
前記オルタネータと前記エアコンのオン又はオフを制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、
前記負圧値検出手段で検出した負圧値が所定の閾値未満のとき、前記オルタネータをオフとしたときに前記吸気通路で発生する第1の負圧値を求めると共に、前記エアコンをオフとしたときに前記吸気通路で発生する第2の負圧値を求め、前記第1の負圧値が前記閾値以上であり、かつ、前記第2の負圧値が前記閾値以上である場合には、前記充電量検出手段で検出した充電量と前記温度差検出手段で検出した温度差とに基づいて、前記オルタネータ又は前記エアコンのいずれをオフとするか決定する
ことを特徴とする車両のブレーキ負圧確保装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のブレーキ負圧確保装置において、
前記制御手段は、
前記充電量検出手段で検出した充電量が高いほど、前記オルタネータのオフを優先する
ことを特徴とする車両のブレーキ負圧確保装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両のブレーキ負圧確保装置において、
前記制御手段は、
前記温度差検出手段で検出した温度差が小さいほど、前記エアコンのオフを優先する
ことを特徴とする車両のブレーキ負圧確保装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の車両のブレーキ負圧確保装置において、
前記制御手段は、
前記第1の負圧値及び前記第2の負圧値が共に前記閾値未満のときには、前記オルタネータ及び前記エアコンの両方をオフとする
ことを特徴とする車両のブレーキ負圧確保装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車両のブレーキ負圧確保装置において、
前記制御手段は、
前記充電量検出手段で検出した充電量が所定の充電量範囲内にあり、且つ、前記温度差検出手段で検出した温度差が所定の温度差閾値以上のときは、前記オルタネータのオフを優先し、前記充電量が前記所定の充電量範囲内にあり、且つ、前記温度差が前記所定の温度差閾値よりも小さいときは、前記エアコンのオフを優先し、
前記充電量範囲は前記バッテリの充電可能量を分割して複数設定されており、
前記温度差閾値は複数の前記充電量範囲に応じて各々設定されると共に、前記充電量範囲の値が小さいほど大きく設定される
ことを特徴とする車両のブレーキ負圧確保装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキブースタを備えた車両のブレーキ負圧確保装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの吸気通路に発生する負圧を利用して、ブレーキペダルの踏み込み力を軽減するブレーキブースタを備えた車両が従来から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−208729号公報
【特許文献2】特開2005−264874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、エンジンの燃費の更なる向上が望まれており、燃費向上に伴い、アイドリング時であっても、エンジンとしては、吸気通路に負圧が発生しにくい仕様となっており、そのため、ブレーキブースタへの負圧が不足状態となるおそれがある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、ブレーキブースタへの負圧を確保することができる車両のブレーキ負圧確保装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する第1の発明に係る車両のブレーキ負圧確保装置は、
エンジンの吸気通路に発生する負圧が導入されるブレーキブースタと、
前記エンジンの動力で発電するオルタネータと、
前記オルタネータで発電した電力を蓄電するバッテリと、
前記バッテリに蓄電した電力で作動するエアコンと、
前記ブレーキブースタの負圧値を検出する負圧値検出手段と、
前記バッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、
前記エアコンの目標室内温度と実室内温度との温度差を検出する温度差検出手段と、
前記オルタネータと前記エアコンのオン又はオフを制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、
前記負圧値検出手段で検出した負圧値が所定の閾値未満のとき、前記オルタネータをオフとしたときに前記吸気通路で発生する第1の負圧値を求めると共に、前記エアコンをオフとしたときに前記吸気通路で発生する第2の負圧値を求め、前記第1の負圧値が前記閾値以上であり、かつ、前記第2の負圧値が前記閾値以上である場合には、前記充電量検出手段で検出した充電量と前記温度差検出手段で検出した温度差とに基づいて、前記オルタネータ又は前記エアコンのいずれをオフとするか決定する
ことを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決する第2の発明に係る車両のブレーキ負圧確保装置は、
上記第1の発明に記載の車両のブレーキ負圧確保装置において、
前記制御手段は、
前記充電量検出手段で検出した充電量が高いほど、前記オルタネータのオフを優先する
ことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する第3の発明に係る車両のブレーキ負圧確保装置は、
上記第1又は第2の発明に記載の車両のブレーキ負圧確保装置において、
前記制御手段は、
前記温度差検出手段で検出した温度差が小さいほど、前記エアコンのオフを優先する
ことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第4の発明に係る車両のブレーキ負圧確保装置は、
上記第1〜第3のいずれか1つの発明に記載の車両のブレーキ負圧確保装置において、
前記制御手段は、
前記第1の負圧値及び前記第2の負圧値が共に前記閾値未満のときには、前記オルタネータ及び前記エアコンの両方をオフとする
ことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第5の発明に係る車両のブレーキ負圧確保装置は、
上記第1〜第4のいずれか1つの発明に記載の車両のブレーキ負圧確保装置において、
前記制御手段は、
前記充電量検出手段で検出した充電量が所定の充電量範囲内にあり、且つ、前記温度差検出手段で検出した温度差が所定の温度差閾値以上のときは、前記オルタネータのオフを優先し、前記充電量が前記所定の充電量範囲内にあり、且つ、前記温度差が前記所定の温度差閾値よりも小さいときは、前記エアコンのオフを優先し、
前記充電量範囲は前記バッテリの充電可能量を分割して複数設定されており、
前記温度差閾値は複数の前記充電量範囲に応じて各々設定されると共に、前記充電量範囲の値が小さいほど大きく設定される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ブレーキブースタへの負圧を確保することができると共に、冷房性能も可能な限り確保することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る車両のブレーキ負圧確保装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。
図2図1に示した車両のブレーキ負圧確保装置における制御を説明するフローチャートである。
図3図2に示したフローチャートを説明する図であり、エンジン回転数とインテークマニホールド負圧とエンジントルクとの関係を示すマップ図である。
図4図2に示したフローチャートを説明する図であり、エンジン回転数と発電電流(電力)とオルタネータ負荷トルクとの関係を示すマップ図である。
図5図2に示したフローチャートを説明する図であり、エンジン回転数と冷媒圧とエアコン負荷トルクとの関係を示すマップ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図5を参照して、本発明に係る車両のブレーキ負圧確保装置の実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本実施例の車両のブレーキ負圧確保装置を示す概略構成図であり、図2は、図1に示した車両のブレーキ負圧確保装置における制御を説明するフローチャートである。又、図3図5は、図2に示したフローチャートを説明する図であり、図3は、エンジン回転数とインテークマニホールド負圧とエンジントルクとの関係を示すマップ図、図4は、エンジン回転数と発電電流(電力)とオルタネータ負荷トルクとの関係を示すマップ図、図5は、エンジン回転数と冷媒圧とエアコン負荷トルクとの関係を示すマップ図である。
【0015】
本実施例の車両のブレーキ負圧確保装置において、車両にはブレーキブースタ10が備えられている。ブレーキブースタ10は、ダイヤフラム11により第一室12と第二室13とに区画されている。そして、エンジン16の吸気通路17のスロットルバルブ18より下流側が、連結管19により第一室12と連結されて、吸気通路17に発生する負圧を第一室12へ導入する構成となっている。又、連結管19の途中にチェックバルブ(逆止弁)20を設けており、これにより、第一室12へ導いた負圧の逆流を防止している。
【0016】
このような構成により、ブレーキペダル14が踏まれていないときに、エンジン16の吸気通路17に発生する負圧を、チェックバルブ20を経て、ブレーキブースタ10の第一室12及び第二室13へ導いて、第一室12及び第二室13を所定の閾値以上の負圧にしておく。一般的には、エンジントルクが小さいとき(例えば、アイドリングのとき)、つまり、スロットルバルブ18を閉じたときに大きな負圧が発生しやすい。ブレーキブースタ10の負圧値は、連結管19のチェックバルブ20よりブレーキブースタ10側に設けた負圧センサ21(負圧値検出手段)により検出されている。
【0017】
そして、ブレーキペダル14が踏まれると、第二室13のみに大気圧が導入されて、第二室13内の大気圧と第一室12内の負圧との差がブレーキ補助力として作用して、ブレーキペダル14の踏力を軽減させながら、車両のブレーキ15を作動させることになる。
【0018】
又、車両には、エンジン16の動力を用いて発電を行うオルタネータ(発電機)22と、オルタネータ22で発電した電力を蓄電するバッテリ23が備えられており、オルタネータ22で発電した電力やバッテリ23に蓄電した電力は、車両に備えられた電装品、例えば、エアコン(以降、A/C)24等の作動に用いられている。このA/C24に対して、目標室内温度を設定する室温スイッチ27と、室内の実室内温度を検出する室温センサ28も備えられている。本実施例では、室温スイッチ27で設定した目標室内温度と室温センサ28で検出した実室内温度との温度差を検出している(温度差検出手段)。
【0019】
そして、車両に備えられ、制御手段となるECU(Electronics Control Unit)25が、後述する制御に従って、オルタネータ22とA/C24のオン又はオフを制御している。この際、ECU25は、負圧センサ21による負圧値だけでなく、オルタネータ22での発電電流(電力)、バッテリ23のSOC(State of Charge;充電量、充電状態)、A/C24の冷媒圧、A/C24に対する冷房性能の要求レベル(例えば、上述した温度差)、エンジン16の運転状態(エンジン回転数、インテークマニホールド負圧)などを検出している。バッテリ23のSOCについては、ECU25がバッテリ23の電圧を直接検出して、SOCを算出しても良いし、又、SOC検出用の装置を設け、当該装置を介して、ECU25がSOCを検出しても良い(充電量検出手段)。
【0020】
次に、図2のフローチャートと共に図3図5のマップ図も参照して、本実施例の車両のブレーキ負圧確保装置における制御を説明する。
【0021】
(ステップS1)
ECU25が、負圧センサ21を用いて、ブレーキブースタ10の負圧値を検出し、その負圧値が閾値以上であればスタートへ戻り、閾値未満であれば、ステップS2へ進む。
【0022】
(ステップS2)
検出した負圧値が閾値未満である場合には、オルタネータ22、A/C24をオフとしたときの発生負圧を各々演算する。
【0023】
ここで、図3図4のマップ図を参照して、オルタネータ22をオフとしたときに吸気通路17で発生する発生負圧の演算について説明する。図3に示すように、エンジン16のエンジントルクは、そのエンジン回転数とインテークマニホールド負圧のマップ図から求めることができる。又、図4に示すように、オルタネータ22の負荷トルクは、エンジン16のエンジン回転数とオルタネータ22の発電電流(電力)のマップ図から求めることができる。従って、図4のマップ図から、オルタネータ22をオフとしたときの負荷トルクの変化値(減少値)を求めることができる。そして、図3において、現在のエンジン回転数とインテークマニホールド負圧から求めた現在の運転点をPONとすると、運転点PONのトルクから、図4で求めた負荷トルクの変化値を減算すると、オルタネータ22をオフとしたときの運転点POFFを求めることができ、この運転点POFFでの負圧が、オルタネータ22オフでの発生負圧(第1の負圧値)となる。
【0024】
同様に、図3図5のマップ図を参照して、A/C24をオフとしたときに吸気通路17で発生する発生負圧の演算について説明する。図3については上述した通りである。そして、図5に示すように、A/C24の負荷トルクは、エンジン16のエンジン回転数とA/C24の冷媒圧のマップ図から求めることができる。従って、図5のマップ図から、A/C24をオフとしたときの負荷トルクの変化値(減少値)を求めることができる。そして、図3において、現在の運転点をPONとすると、運転点PONのトルクから、図5で求めた負荷トルクの変化値を減算すると、A/C24をオフとしたときの運転点POFFを求めることができ、この運転点POFFでの負圧が、A/C24オフでの発生負圧(第2の負圧値)となる。
【0025】
(ステップS3)
演算したオルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能か判定し、確保可能な場合にはステップS7へ進み、確保できない場合にはステップS4へ進む。
【0026】
(ステップS4)
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保できない場合、更に、演算したA/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能か判定し、確保可能な場合にはステップS6へ進み、確保できない場合にはステップS5へ進む。
【0027】
(ステップS5)
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保できない場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧でも閾値以上の負圧が確保できない場合、つまり、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保できず、かつ、A/C24単独オフでも閾値以上の負圧が確保できない場合である。このような場合には、オルタネータ22及びA/C24を両方ともオフとすることで、閾値以上の負圧を確保するようにして、スタートへ戻る。なお、閾値以上の負圧を確保するために、オルタネータ22及びA/C24の両方をオフする時間は、数秒〜十数秒程度で十分である。オルタネータ22及びA/C24の両方をオフすることは、通常は少ないと思われるが、安全に係るブレーキ15の性能を確保するため、このような場合には、できるだけ無条件でオルタネータ22及びA/C24の両方をオフとする。
【0028】
(ステップS6)
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保できない場合であって、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合、つまり、オルタネータ22単独オフでは閾値以上の負圧が確保できないが、A/C24単独オフで閾値以上の負圧が確保可能である場合には、A/C24のみをオフとして、スタートへ戻る。なお、閾値以上の負圧を確保するために、A/C24のみをオフする時間も、数秒〜十数秒程度で十分である。
【0029】
(ステップS7)
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合、更に、演算したA/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能か判定し、確保可能な場合にはステップS8へ進み、確保できない場合にはステップS15へ進む。
【0030】
(ステップS8)
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合、更に、ECU25は、バッテリ23のSOCを検出し、そのSOCがバッテリ23の充電可能量の95%(第1の充電量閾値)より大きければステップS15へ進み、95%以下であれば、ステップS9へ進む。
【0031】
(ステップS9)
SOCが95%以下の場合、更に、そのSOCが90%(第2の充電量閾値<第1の充電量閾値)より大きければステップS10へ進み、90%以下であれば、ステップS11へ進む。
【0032】
(ステップS10)
SOCが95%以下の場合であって、90%より大きい場合、更に、ECU25は、室温スイッチ27での目標室内温度と室温センサ28による実室内温度から温度差を演算し、その温度差が3℃(第1の温度差閾値)より小さければステップS16へ進み、3℃以上であれば、ステップS15へ進む。
【0033】
(ステップS11)
SOCが90%以下の場合、更に、そのSOCが85%(第3の充電量閾値<第2の充電量閾値)より大きければステップS12へ進み、85%以下であれば、ステップS13へ進む。
【0034】
(ステップS12)
SOCが90%以下の場合であって、85%より大きい場合、更に、温度差が5℃(第2の温度差閾値>第1の温度差閾値)より小さければステップS16へ進み、5℃以上であれば、ステップS15へ進む。
【0035】
(ステップS13)
SOCが85%以下の場合、更に、そのSOCが80%(第4の充電量閾値<第3の充電量閾値)より大きければステップS14へ進み、80%以下であれば、ステップS16へ進む。
【0036】
(ステップS14)
SOCが85%以下の場合であって、80%より大きい場合、更に、温度差が7℃(第3の温度差閾値>第2の温度差閾値)より小さければステップS16へ進み、7℃以上であれば、ステップS15へ進む。
【0037】
(ステップS15)
以下の場合には、オルタネータ22のみをオフとして、スタートへ戻る。なお、閾値以上の負圧を確保するために、オルタネータ22のみをオフする時間も、数秒〜十数秒程度で十分である。
【0038】
「ステップS7→ステップS15」
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であって、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保できない場合である。つまり、A/C24単独オフでは閾値以上の負圧が確保できないが、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保可能であるので、オルタネータ22のみをオフとしている。
【0039】
「ステップS8→ステップS15」
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であって、SOCがバッテリ23の充電可能量の95%よりも大きい場合、即ち、第1の充電量範囲内である場合である。つまり、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保可能であり、又、A/C24単独オフでも閾値以上の負圧が確保可能であるが、この場合、SOC>95%であるので、オルタネータ22よりA/C24の動作を優先して、オルタネータ22を優先してオフとしている。
【0040】
「ステップS10→ステップS15」
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であって、95%≧SOC>90%(SOCが第2の充電量範囲内)であり、かつ、温度差が3℃(第1の温度差閾値)以上の場合である。つまり、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保可能であり、又、A/C24単独オフでも閾値以上の負圧が確保可能であるが、この場合、95%≧SOC>90%であり、かつ、温度差が3℃以上あるので、オルタネータ22よりA/C24の動作を優先して、オルタネータ22を優先してオフとしている。
【0041】
「ステップS12→ステップS15」
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であって、90%≧SOC>85%(SOCが第3の充電量範囲内)であり、かつ、温度差が5℃(第2の温度差閾値)以上の場合である。つまり、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保可能であり、又、A/C24単独オフでも閾値以上の負圧が確保可能であるが、この場合、90%≧SOC>85%であり、かつ、温度差が5℃以上あるので、オルタネータ22よりA/C24の動作を優先して、オルタネータ22を優先してオフとしている。
【0042】
「ステップS14→ステップS15」
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であって、85%≧SOC>80%(SOCが第4の充電量範囲内)であり、かつ、温度差が7℃(第3の温度差閾値)以上の場合である。つまり、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保可能であり、又、A/C24単独オフでも閾値以上の負圧が確保可能であるが、この場合、85%≧SOC>80%であり、かつ、温度差が7℃以上あるので、オルタネータ22よりA/C24の動作を優先して、オルタネータ22を優先してオフとしている。
【0043】
このように、上記ステップS9〜S14では、温度差が大きいとき、言い換えると、冷房性能要求レベルが高く、冷房性能が必要なときに、オルタネータ22を優先してオフとし、A/C24の動作を優先している。又、バッテリ23のSOCが十分に高いときには、オルタネータ22をオフとしても問題ないため、オルタネータ22を優先してオフとしている。
【0044】
(ステップS16)
以下の場合には、A/C24のみをオフとして、スタートへ戻る。なお、閾値以上の負圧を確保するために、A/C24のみをオフする時間も、数秒〜十数秒程度で十分である。
【0045】
「ステップS10→ステップS16」
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であって、95%≧SOC>90%(SOCが第2の充電量範囲内)であり、かつ、温度差が3℃(第1の温度差閾値)未満の場合である。つまり、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保可能であり、又、A/C24単独オフでも閾値以上の負圧が確保可能であるが、この場合、95%≧SOC>90%であり、かつ、温度差が3℃未満あるので、A/C24の動作を停止しても、ドライバへの影響は小さいため、A/C24を優先してオフとしている。
【0046】
「ステップS12→ステップS16」
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であって、90%≧SOC>85%(SOCが第3の充電量範囲内)であり、かつ、温度差が5℃(第2の温度差閾値)未満の場合である。つまり、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保可能であり、又、A/C24単独オフでも閾値以上の負圧が確保可能であるが、この場合、90%≧SOC>85%であり、かつ、温度差が5℃未満あるので、A/C24の動作を停止しても、ドライバへの影響は小さいため、A/C24を優先してオフとしている。
【0047】
「ステップS14→ステップS16」
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であって、85%≧SOC>80%(SOCが第4の充電量範囲内)であり、かつ、温度差が7℃(第3の温度差閾値)未満の場合である。つまり、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保可能であり、又、A/C24単独オフでも閾値以上の負圧が確保可能であるが、この場合、85%≧SOC>80%であり、かつ、温度差が7℃未満あるので、A/C24の動作を停止しても、ドライバへの影響は小さいため、A/C24を優先してオフとしている。
【0048】
「ステップS13→ステップS16」
オルタネータ22オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であり、かつ、A/C24オフでの発生負圧で閾値以上の負圧が確保可能な場合であって、80%≧SOC(SOCが第5の充電量範囲内)の場合である。つまり、オルタネータ22単独オフで閾値以上の負圧が確保可能であり、又、A/C24単独オフでも閾値以上の負圧が確保可能であるが、この場合、80%≧SOCであるので、バッテリ23への充電を優先して、つまり、A/C24よりオルタネータ22の動作を優先して、A/C24を優先してオフとしている。
【0049】
このように、上記ステップS9〜S14では、温度差が小さいとき、言い換えると、冷房性能要求レベルが低いときに、A/C24を優先してオフとして、オルタネータ22の動作を優先している。又、バッテリ23のSOCが低いときには、バッテリ23への充電が必要であるため、オルタネータ22を優先して動作し、A/C24を優先してオフとしている。
【0050】
以上説明したように、上記ステップS8〜S14では、バッテリ23の充電可能量に対して複数の充電量範囲(第1〜第5の充電量範囲)を設定すると共に、温度差に対しても複数の温度差閾値(第1〜第3の温度差閾値)を設定している。この際、温度差閾値は複数の充電量範囲に応じて各々設定しており、さらに、充電量範囲の値が小さいほど大きく設定している。そして、検出したSOCが該当する充電量範囲において、検出した温度差が設定した所定の温度差閾値より大きい場合、オルタネータ22のオフを優先している。このようにして、温度差の大小(冷房性能要求レベルの高低)、SOCの高低に基づいて、オルタネータ22とA/C24のいずれを優先してオフとするか判定している。本実施例では、SOCが高いほど、オルタネータ22のオフを優先し、又、温度差が大きいほど、A/C24のオフを優先しているが、第1〜第5の充電量範囲(第1〜第4の充電量閾値)及び第1〜第3の温度差閾値を適宜に設定することにより、A/C24よりオルタネータ22を優先してオフとして、発電による負荷トルクを抑制するようにしている。
【0051】
なお、図2のフローチャートでは、第1の充電量範囲及び第5の充電量範囲に対する所定の温度差閾値を設定していないが、設定するとなれば、例えば、第1の充電量範囲では所定の温度差閾値が0℃であり、又、第5の充電量範囲では所定の温度差閾値が∞℃である。第1の充電量範囲において、温度差閾値が0℃未満の場合にA/C24をオフとする必要はなく、又、第5の充電量範囲において、温度差閾値が∞℃以上となることはなく、オルタネータ22をオフとすることはない。つまり、第1の充電量範囲及び第5の充電量範囲に対する所定の温度差閾値を設定してもしなくても、制御に違いはないので、図2のフローチャートには、当該所定の温度差閾値を明示していない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、ブレーキブースタを備えた車両に好適である。
【符号の説明】
【0053】
10 ブレーキブースタ
16 エンジン
21 負圧センサ
22 オルタネータ
23 バッテリ
24 エアコン(A/C)
25 ECU
27 室温スイッチ
28 室温センサ
図1
図2
図3
図4
図5