特開2015-124722(P2015-124722A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015124722-エジェクタ 図000003
  • 特開2015124722-エジェクタ 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-124722(P2015-124722A)
(43)【公開日】2015年7月6日
(54)【発明の名称】エジェクタ
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/44 20060101AFI20150609BHJP
   F04F 5/16 20060101ALI20150609BHJP
【FI】
   F04F5/44 B
   F04F5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-270614(P2013-270614)
(22)【出願日】2013年12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今川 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】谷村 竜一
【テーマコード(参考)】
3H079
【Fターム(参考)】
3H079AA18
3H079CC19
3H079DD02
(57)【要約】
【課題】低圧流体であってもノズル部の噴射速度を高め、吸引力、混合性を向上させたエジェクタを提供すること。
【解決手段】第1流体を噴出するノズル部5と、第1流体をノズル部5へ供給する供給ポート7a,7bと、第1流体の噴出によりノズル部5の周囲で生じる圧力低下を利用して第2流体を吸引する吸引ポート9と、第1流体と第2流体の混合体を吐出するディフューザ部6とを備えるエジェクタ1において、供給ポート7a,7bは、ノズル部5の中心軸に対して傾斜する方向に延び、第1流体を旋回流としてノズル部5へ供給するように構成されたエジェクタ1による。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体を噴出するノズル部と、第1流体を前記ノズル部へ供給する供給ポートと、第1流体の噴出により前記ノズル部の周囲で生じる圧力低下を利用して第2流体を吸引する吸引ポートと、前記第1流体と第2流体の混合体を吐出するディフューザ部とを備えるエジェクタにおいて、
前記供給ポートは、ノズル部の中心軸に対して傾斜する方向に延び、第1流体を旋回流としてノズル部へ供給するように構成されていることを特徴とするエジェクタ。
【請求項2】
前記ノズル部の先端部を前記ディフューザ部に僅かに挿入し、当該ノズル部の外周面とディフューザ部の内周面との隙間が、第2流体をディフューザ部へ吸引するための流路となっていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ。





















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンチュリーの法則に基づき、第1流体が噴出するノズル周囲の圧力低下を利用して第2流体を吸引し、第1流体と第2流体の混合流体を吐出するエジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧流体を減圧膨張させるノズル部から噴射される高速度の噴射流体の吸引作用によって、流体吸引口から流体を吸引するエジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のエジェクタでは、噴射流体と流体吸引口から吸引された吸引流体とを混合部にて混合し、混合された流体の運動エネルギーを昇圧部にて圧力エネルギーに変換して、エジェクタから流出する流出流体の圧力を吸引流体の圧力よりも上昇させている。また、液体用のエジェクタは、流体を絞る細孔から成るノズル部と、当該ノズル部と連通したディフューザ部とから構成される。このノズル部の直径、ディフューザ部の喉部の直径、喉部の平行部の長さなどがエジェクタの性能に影響する要素となる。これらの要素を一定の計算式により算出して、エジェクタを製作している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−064021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のエジェクタにおいては、吸引性能がノズルから噴射する流体の速度に依存する。高い吸引力を発揮するためには流体をノズル部から高速噴射させるのだが、これには流体を高圧でノズル部へ供給しなければならない。そのため、相応の設備が必要になり、使用環境が限定的になるという問題を有していた。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、低圧流体であってもノズル部からの噴射速度を高め、吸引力、混合性を向上させたエジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、第1流体を噴出するノズル部と、第1流体を前記ノズル部へ供給する供給ポートと、第1流体の噴出により前記ノズル部の周囲で生じる圧力低下を利用して第2流体を吸引する吸引ポートと、前記第1流体と第2流体の混合体を吐出するディフューザ部とを備えるエジェクタにおいて、前記供給ポートは、ノズル部の中心軸に対して傾斜する方向に延び、第1流体を旋回流としてノズル部へ供給するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、前記ノズル部の先端部を前記ディフューザ部に僅かに挿入し、当該ノズル部の外周面とディフューザ部の内周面との隙間が、第2流体をディフューザ部へ吸引するための流路とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエジェクタによれば、ノズル部を流れる第1流体を旋回流にすることで、ノズル部から噴出される第1流体の速度が高められ、ノズル部周囲の負圧が高くなる。このため、吸引ポートから吸引される第2流体の吸引量が多くなり、第1流体と第2流体の混合性が高められる。また、ディフューザ部においても、混合体が旋回流となり攪拌されるため、より混合性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るエジェクタの横断面図。
図2図1の左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、本実施形態のエジェクタ1は、本体2が上流側本体3と下流側本体4から成る分割構造であり、この中にノズル部5とディフューザ部6が収納されている。具体的には、上流側本体3は有底筒状を成しており、この中にノズル部5が挿入されている。また、ノズル部5には、外周にフランジ部5aが形成されており、ノズル部5を挿入するとき、当該フランジ部5aが上流側本体3の開口面に当接する。このような構成により、ノズル部5は上流側本体4によって支持されている。
【0011】
一方、下流側本体4は無底筒状を成し、下流側の開口部から挿入されたディフューザ部6を支持している。このようにして、ノズル部5及びディフューザ部6を各々支持する上流側本体3と下流側本体4とを嵌め合わすことで、ノズル部5とディフューザ部6が連通させてある。また、下流側本体4において上流側の開口部には内周面に段付き部4aが形成されており、上流側本体3と下流側本体4を嵌め合わせたとき、ノズル部5のフランジ部5aが当該段付き部4aに当接するため、ノズル部5の先端部5bとディフューザ部6の上流側端部6aとの位置関係が決定される。
【0012】
前記ノズル部5の先端部5bは、外周が先細りになっており、かつ通路断面積が小さく絞られ第1流体を高速噴射するように構成されている。
【0013】
前記ディフューザ部6は、流路面積が下流に従って徐々に大きくなるように形成されており、流体の流れを減速して圧力を上昇させる作用、つまり、速度エネルギーを圧力エネルギーに変換する作用を果たす。
【0014】
図2に示すように、前記ノズル部5へ第1流体を供給するための流路として、上流側本体3の有底部には供給ポート7a,7bが設けてある。供給ポート7a,7bは、入口穴と出口穴がずれた位置関係にあり、つまり、ノズル部5の中心軸延長線に対して傾斜する方向に流路が延びている。この構成により、供給ポート7a,7bからノズル部5へ供給された第1流体は、旋回流となってノズル部5を流れる。なお、供給ポートの個数は、二個に限定されるものではなく、ノズル部5を流れる第1流体が旋回流になるのであれば、一個又は三個、四個であってもよい。
【0015】
図1に示すように、ノズル部5の先端部5bとディフューザ部6の上流側端部6aとは、下流側本体4の内部に設けられた真空室4bで近接しており、ノズル部5の先端部5bは、ディフューザ部6の上流側端部6aに僅かに挿入されている。そして、先端部5bの外周面と上流側端部6aの内周面との間には隙間が設けてあり、この隙間が第2流体の流路である吸引部8となる。
【0016】
下流側本体4には、内部の真空室4bと連通する吸引ポート9が設けてあり、この吸引ポート9から第2流体が吸引される。第2流体は、第1流体の噴出によって前記ノズル部5の先端部5bの周囲で生じる圧力低下により、真空室4b及び吸引部8を通過してディフューザ部6へ吸引される。こうして、ディフューザ部6は、前記第1流体と第2流体との混合流体を吐出する。
【0017】
本発明のエジェクタ1によれば、供給ポート7a,7bが中心軸に対して傾斜する方向に延びており、第1流体はノズル部5へ斜め方向から進入する。このため、ノズル部5を流れる第1流体は旋回流となり、噴出速度が高まる。したがって、第2流体の吸引量が多くなり、第1流体と第2流体の混合性を高めることができる。また、ディフューザ部6においても、混合流体は旋回流となるので、第1流体と第2流体とが攪拌されるため、より混合性を高めることができる。
【0018】
また、ノズル部5の先端部5bの外径φ1と、ディフューザ部6の上流側端部6aの内径φ2との寸法関係は、φ2>φ1となっている。このため、ノズル部5の先端部5bとディフューザ部6の上流側端部6aとは、先端部5bを上流側端部6aへ僅かに挿入した位置関係にあることで隙間が形成され、この隙間が第2流体の流路として吸引部8となる。このような構成からなる吸引部8によって、第2流体がディフューザ部6へ流入するときには、エネルギー損失が抑えられている。
なお、各部の具体的な構成は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 エジェクタ
2 本体
3 上流側本体
4 下流側本体
4a 段付き部
4b 真空室
5 ノズル部
5a フランジ部
5b 先端部
6 ディフューザ部
6a 上流側端部
6b 内面取り部
7a,7b 供給ポート
8 吸引部
9 吸引ポート
図1
図2