特開2015-124918(P2015-124918A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-124918(P2015-124918A)
(43)【公開日】2015年7月6日
(54)【発明の名称】地中熱ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20150609BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20150609BHJP
   F25B 30/06 20060101ALI20150609BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20150609BHJP
【FI】
   F24F5/00 101A
   F25B27/00 P
   F25B30/06 T
   F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-268293(P2013-268293)
(22)【出願日】2013年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】横山 敬志
(72)【発明者】
【氏名】仲間 渉
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BF10
(57)【要約】
【課題】圧縮機や膨張弁に不具合が生じても、一方の室外機を運転して空調機として動作させる地中熱ヒートポンプ装置を提供する。
【解決手段】第1の圧縮機11と第1の膨張弁12を経由する第1の冷媒ガス循環路13と、上記第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスと地中熱との間で熱交換を行う地中熱用の熱交換器14を有する地中熱用室外機10と、
第2の圧縮機21と第2の膨張弁22を経由する第2の冷媒ガス循環路23と、上記第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスと空気熱との間で熱交換を行う空気熱用の熱交換器24を有する空気熱用室外機20と、
上記地中熱用室外機10において第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスに採取された熱と、上記空気熱用室外機20において第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスに採取された熱を、共通の熱媒体によって利用する室内機30とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の圧縮機と第1の膨張弁を経由する第1の冷媒ガス循環路と、上記第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスと地中熱との間で熱交換を行う地中熱用の熱交換器を有する地中熱用室外機と、
第2の圧縮機と第2の膨張弁を経由する第2の冷媒ガス循環路と、上記第2の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスと空気熱との間で熱交換を行う空気熱用の熱交換器を有する空気熱用室外機と、
上記地中熱用室外機において第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスに採取された熱と、上記空気熱用室外機において第2の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスに採取された熱を、共通の熱媒体によって利用する室内機とを備えた
ことを特徴とする地中熱ヒートポンプ装置。
【請求項2】
上記地中熱用の熱交換器は、上記第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスと、地中に埋設した循環パイプを循環する不凍液との間で熱交換を行うものである
請求項1記載の地中熱ヒートポンプ装置。
【請求項3】
上記室内機で熱を利用するための共通の熱媒体が不凍液であり、
上記共通の熱媒体である不凍液を循環させる室内機用循環路には、地中熱用室外機の第1の冷媒ガス循環路との間で熱交換する第1の熱交換器と、空気熱用室外機の第2の冷媒ガス循環路との間で熱交換する第2の熱交換器が配置されている
請求項1または2記載の地中熱ヒートポンプ装置。
【請求項4】
上記室内機で熱を利用するための共通の熱媒体が冷媒ガスであり、
上記共通の熱媒体である冷媒ガスを循環させる室内機用循環路には、地中熱用室外機の第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスと、空気熱用室外機の第2の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスが循環するようになっている
請求項1または2記載の地中熱ヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中熱を採熱して冷暖房などに利用する地中熱ヒートポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中熱ヒートポンプ装置は、地中に埋設した熱交換器で取り出した地中熱を、ヒートポンプで必要な温度領域の熱に変換して冷暖房や給湯などに利用するものである。地中から熱を取り出すための熱交換器は、樹脂製のチューブを地中に埋設し、熱媒体となる流体(不凍液などを用いる)を循環させ、上記流体によって地中熱を取り出す。上記熱交換器の施工は、ボアホールと呼ばれる穴を地中に掘削し、その穴にチューブを挿入して最終的にチューブを埋設することにより行われる。
【0003】
地中10m以上の深さになると、温度は年間を通してほぼ均一になる(15〜18℃)。外気に比べると夏は冷たく冬は暖かい。地中熱ヒートポンプ装置は、上記特性を有した再生可能エネルギーである地中熱を利用するものである。
【0004】
これに対し、冷暖房に広く用いられている空気熱ヒートポンプ装置(電気ヒートポンプ装置)は、外気の熱を熱交換で取り出して利用するものである。冬季においては、0℃程度あるいはそれ以下となった外気から熱を取り出す。夏季においては、30℃あるいはそれ以上となった外気から熱を取り出す。
【0005】
したがって、冬季において地中熱ヒートポンプ装置は、0℃以下となりうる外気よりも暖かい15〜18℃の地中熱を暖房に利用する。また、夏季において地中熱ヒートポンプ装置は、30℃以上となりうる外気よりも冷たい15〜18℃の地中熱を冷房に利用する。このように、地中熱ヒートポンプ装置は、空気熱ヒートポンプ装置よりもエネルギー効率が高く、ランニングコストは半分程度であるといわれている。したがって、地中熱ヒートポンプ装置は、空気熱ヒートポンプ装置よりも消費エネルギーが低く、環境負荷の低いエコロジカルなシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−125814号公報
【特許文献2】特開2008−275214号公報
【特許文献3】特開2006−284022号公報
【特許文献4】特開2009−250555号公報
【特許文献5】特開2009−276029号公報
【特許文献6】特開2010−216783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、地中熱ヒートポンプ装置は、ランニングコストや地球環境面で大きなメリットがあるにもかかわらず、一般的に普及しているとは言いがたい。その理由のひとつとして、イニシャルコストが過大であることがあげられる。
【0008】
すなわち、地中熱を採熱するために、地中に熱交換用のチューブ(一般にU−チューブといわれている)を埋設し、U−チューブに不凍液などの熱媒体となる流体を循環させ、不凍液と地中の間で熱交換を行う。充分に熱交換を行うためのボアホールの深さは、最低でも10m以上、一般には70〜80mないし150m程度が必要となる。このボアホールの掘削に費用が嵩み、特にイニシャルコストを引き上げる要因となっている。それに付随して、掘削作業に必要なエネルギーや手間、事後メンテナンスなどもコスト引き上げの要因となる。
【0009】
具体的な掘削コストの一例をあげると、現状では8〜15千円/m程度である。例えば深さ100mのボアホールを1本掘るのに80〜150万円かかることになる。これが半分で間に合うなら、非常に大きなメリットとなる。
【0010】
ここで、建物の冷暖房に用いる地中熱ヒートポンプ装置において、必要となるボアホールを設計することを考える。この場合、まず、設置対象とする地域における最低気温や最高気温を参考にし、建物の単位面積あたりの熱負荷を計算する。このとき、十数年に一度程度の最低気温や最高気温の値を用い、それに安全率をかけて計算する。この熱負荷から必要なボアホールの合計長さを計算し、それに応じてボアホールの深さと本数を決定する。
【0011】
さらに、掘削する地域の地中における熱伝導度をある程度知る必要がある。正確を期する場合は、あらかじめボアホールを1本掘削し、事前に熱応答試験を行なって実際の熱伝導度を計測する。実測値を用いれば、必要なボアホールの合計長さは正確に計算できる。
【0012】
ところが、ボアホールの掘削を伴う熱応答試験は、それ自体、非常にコストの高い評価方法である。具体的な試験コストの一例をあげると、現状では、およそ100万円程度の費用がかかる。したがって、例えば10本程度以上の多数のボアホールを掘削するような施工でなければ、コストメリットが出ない。コスト的な事情によって熱応答試験が実施できない場合、一般的には安全を考慮して、30〜40W/m程度の低い値を使用する。
【0013】
ボアホールの合計長さは、短いほうが掘削コストが低くてすむ。ところが、ボアホールの合計長さが短いと、U−チューブ内を循環させる流体と地中との熱交換が行われないことになる。したがって、短すぎると採熱が充分に行われず、冷暖房の能力が不足することになる。
【0014】
特に、厳冬季や酷暑季は、それ以外の時期よりも強力に冷暖房しなければならない。一年のあいだで、真冬の一時期と真夏の一時期だけ、特に高い冷暖房能力が必要とされる。言い換えると、それ以外の大部分の時期は、それほどまで大きな冷暖房能力は必要とされないのである。
【0015】
ボアホールの掘削費用を抑えようとして、ぎりぎりの設計で施工した後、採熱量が不足して冷暖房能力に不足があっては、利用者に迷惑がかかり、苦情やクレームにもなりかねない。そのような事態を避ける必要があるため、ボアホールの設計は、上述した厳冬季や酷暑季を見込んだ、かなりの安全率をかけて設計することになってしまう。したがって、現実の施工は、このようなかなりの安全率をみた全長となるように、ボアホールを掘削せざるをえないのが実情である。
【0016】
このような観点から提案された地中熱ヒートポンプ装置の従来技術として、上記特許文献1(特開2006−125814)、特許文献2(特開2008−275214)、特許文献3(特開2006−284022)などが開示されている。
これらの従来技術は、地中熱ヒートポンプ装置と空気熱ヒートポンプ装置を直列に配置し、地中熱ヒートポンプ装置単体では不十分な採熱に関して、空気熱ヒートポンプ装置で補うようにしている。これにより、ボアホールの深さと本数を理論値より削減したとしても、十分に採熱しようとするものである。
【0017】
また、特許文献4(特開2009−250555)、特許文献5(特開2009−276029)、特許文献6(特開2010−216783)なども開示されている。
これらの従来技術は、地中熱ヒートポンプ装置と空気熱ヒートポンプ装置を並列に配置し、必要に応じて切り換えて稼動する。これらは、地中熱ヒートポンプ装置において、成績係数(COP:Coefficient of Performance)の悪化を防止しようとするものである。
【0018】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載されたものはいずれも、一組の圧縮機と膨張弁に冷媒ガスを循環させる経路を1つ設けている。そして、この経路の途中に、地中熱と熱交換する地中熱用室外機と、空気熱と熱交換する地中熱用室外機を直列に配置したものである。
このため、圧縮機と膨張弁のいずれかにトラブルが生じた場合、地中熱ヒートポンプ装置としても動作しないし、空気熱ヒートポンプ装置としても動作せず、まったく空調機として機能しなくなる。
【0019】
また、上記特許文献4〜6に記載されたものはいずれも、一組の圧縮機と膨張弁に冷媒ガスを循環させる経路を2つ併設している。そして、一方の経路に地中熱と熱交換する地中熱用室外機を配置し、他方に空気熱と熱交換する地中熱用室外機を配置したものである。これにより、地中熱用室外機と空気熱用室外機を切り換え稼動させるのである。
このため、圧縮機と膨張弁のいずれかにトラブルが生じた場合、地中熱ヒートポンプ装置としても動作しないし、空気熱ヒートポンプ装置としても動作せず、まったく空調機として機能しなくなる。
【0020】
特に、圧縮機は、動作部分が多いため、部品の経年劣化や故障を避けることができない。また、膨張弁は、異物の詰まりによる不具合を完全に回避することは困難である。このように、圧縮機と膨張弁は、経年使用に伴うトラブルを完全になくすことができない。上記従来技術では、これら圧縮機と膨張弁にトラブルが生じたときに、空調機としてまったく機能しなくなるのが問題であった。
【0021】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、ボアホールの掘削費用を抑えながら、厳冬期や酷暑期の空調性能を確保でき、さらに、圧縮機や膨張弁のいずれかにトラブルが生じ、地中熱用室外機あるいは空気熱用室外機のいずれかが停止したとしても、他方の室外機が採熱しうる範囲内で空調機として動作させることができる地中熱ヒートポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の地中熱ヒートポンプ装置は、第1の圧縮機と第1の膨張弁を経由する第1の冷媒ガス循環路と、上記第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスと地中熱との間で熱交換を行う地中熱用の熱交換器を有する地中熱用室外機と、
第2の圧縮機と第2の膨張弁を経由する第2の冷媒ガス循環路と、上記第2の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスと空気熱との間で熱交換を行う空気熱用の熱交換器を有する空気熱用室外機と、
上記地中熱用室外機において第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスに採取された熱と、上記空気熱用室外機において第2の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスに採取された熱を、共通の熱媒体によって利用する室内機とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、第1の圧縮機と第1の膨張弁を経由する第1の冷媒ガス循環路を有する地中熱用室外機と、第2の圧縮機と第2の膨張弁を経由する第2の冷媒ガス循環路を有する空気熱用室外機を備えている。
このため、地中熱用室外機において、地中熱を採熱するためのボアホールの全長を短くすることができる。それによって厳冬期や酷暑期に地中熱用室外機の出力が不足したときには、その不足分を空気熱用室外機が補う。したがって、ボアホールの掘削費用という多大なイニシャルコストを抑えながら、厳冬期や酷暑期の空調性能を確保した快適な空調システムが構築できる。このように、地中熱用室外機を常時稼動させ、厳冬期や酷暑期等に補助的に空気熱用室外機を稼動させる。このとき、地中熱用室外機と空気熱用室外機は並列で両方稼動させることができる。したがって、地中熱を利用した地中熱用室外機を主体として運転し、補助的に空気熱用室外機を稼動させればよいため、ランニングコストにおいても大きなメリットがある。
また、上記地中熱用室外機において第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスに採取された熱と、上記空気熱用室外機において第2の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスに採取された熱を、共通の熱媒体によって利用する室内機とを備えている。
このため、地中熱用室外機を構成する第1の圧縮機か第1の膨張弁にトラブルが生じて地中熱用室外機が停止したときは、空気熱用室外機を稼動させて空調を稼動させることができる。あるいは、空気熱用室外機を構成する第2の圧縮機か第2の膨張弁にトラブルが生じて空気熱用室外機が停止したときは、地中熱用室外機を稼動させて空調を稼動させることができる。このように、圧縮機や膨張弁のいずれかにトラブルが生じ、地中熱用室外機あるいは空気熱用室外機のいずれかが停止したとしても、他方の室外機が採熱しうる範囲内で空調機として動作させることが可能となる。
【0024】
本発明において、上記地中熱用の熱交換器は、上記第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスと、地中に埋設した循環パイプを循環する不凍液との間で熱交換を行うものである場合には、
不凍液の循環パイプを地中に埋設するときに掘削するボアホールの全長を短くすることができる。それによって厳冬期や酷暑期に地中熱用室外機の出力が不足したときには、その不足分を空気熱用室外機が補う。したがって、ボアホールの掘削費用を抑えながら、厳冬期や酷暑期の空調性能を確保できる。
【0025】
本発明において、上記室内機で熱を利用するための共通の熱媒体が不凍液であり、
上記共通の熱媒体である不凍液を循環させる室内機用循環路には、地中熱用室外機の第1の冷媒ガス循環路との間で熱交換する第1の熱交換器と、空気熱用室外機の第2の冷媒ガス循環路との間で熱交換する第2の熱交換器が配置されている場合には、
上記室内機で熱を利用するための共通の熱媒体を不凍液とすることにより、一般に室内機の熱媒体として不凍液を用いる地中熱ヒートポンプ装置の構造体をそのまま利用することができる。すなわち、一般に市場に流通している地中熱ヒートポンプ装置においては、室内機用の熱媒体として不凍液を用いられたものが多いことから、その構造体をそのまま利用することができる。したがって、市場に流通している構造体を流用することによるコストダウンを図ることができる。
【0026】
本発明において、上記室内機で熱を利用するための共通の熱媒体が冷媒ガスであり、
上記共通の熱媒体である冷媒ガスを循環させる室内機用循環路には、地中熱用室外機の第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスと、空気熱用室外機の第2の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスが循環するようになっている場合には、
上記室内機で熱を利用するための共通の熱媒体を冷媒ガスとすることにより、室内機用循環路には、地中熱用室外機の第1の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスと、空気熱用室外機の第2の冷媒ガス循環路を循環する冷媒ガスをそのまま接続して循環させればよいことから、熱交換器等の構造物を節約することによるコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明を適用した地中熱ヒートポンプ装置の第1実施形態を示す構成図である。
図2】本発明を適用した地中熱ヒートポンプ装置の第2実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0029】
◆第1実施形態
図1は、本発明が適用される地中熱ヒートポンプ装置の第1実施形態を示す図である。
【0030】
〔全体の構成〕
この地中熱ヒートポンプ装置は、地中熱用室外機10と、空気熱用室外機20と、室内機30とを備えている。
【0031】
上記地中熱用室外機10と上記空気熱用室外機20は、共通の熱媒体を循環させる室内機用循環路31によってそれぞれ上記室内機30と熱的に連結されている。上記室内機用循環路31は、地中熱用室外機10に対して熱的に連結された地中熱側循環路31Aと、空気熱用室外機20に対して熱的に連結された空気熱側循環路31Bと、地中熱側循環路31Aと空気熱側循環路31Bが合流して室内機30に対して熱的に連結された共通循環路31Cとから構成されている。
【0032】
この例では、上記室内機用循環路31には、上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体として不凍液を循環させている。上記不凍液としては、例えばエチレングリコールを主成分として必要に応じて防食剤や消泡剤等を添加したものを用いることができる。
【0033】
〔地中熱用室外機の構成〕
上記地中熱用室外機10は、第1の圧縮機11と第1の膨張弁12を経由する第1の冷媒ガス循環路13と、上記第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスと地中熱との間で熱交換を行う地中熱用の熱交換器14を有する。
【0034】
上記第1の冷媒ガス循環路13には冷媒ガスを循環させる。上記冷媒ガスとしては、第1の圧縮機11によって圧縮されて熱交換により冷却されることにより液化し、その液体を第1の膨張弁12で膨張させることにより気化するガスが用いられる。具体的には、例えばクロロ・フルオロ・カーボン、ハイドロ・クロロフルオロ・カーボン、ハイドロ・フルオロ・カーボン等の各種の冷媒ガスを用いることができる。
【0035】
上記第1の冷媒ガス循環路13には、室内側で熱交換を行う第1の熱交換器32と、室外側で熱交換を行う地中熱用の熱交換器14が配置されている。
【0036】
上記地中熱用の熱交換器14は、上記第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスと地中熱との間で熱交換を行う。上記地中熱用の熱交換器14には、第1のポンプ17によって不凍液を循環させる循環パイプ15が接続されている。上記循環パイプ15は、地中に掘削したボアホール16内に挿入されて地中に埋設され、循環パイプ15を循環する不凍液と地中熱との間で熱交換を行う。上記不凍液としては、例えばエチレングリコールを主成分として必要に応じて防食剤や消泡剤等を添加したものを用いることができる。
【0037】
上記地中熱用の熱交換器14は、第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスと、地中に埋設した循環パイプ15を循環する不凍液との間で熱交換を行う。
【0038】
上記第1の熱交換器32は、室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液と、地中熱用室外機10の第1の冷媒ガス循環路13との間で熱交換を行う。
【0039】
上記地中熱用室外機10では、冷媒ガスを循環させるときに、上記冷媒ガスを第1の圧縮機11で圧縮し、熱交換により冷却されることにより液化し、その液体を第1の膨張弁12で膨張させることにより気化させる。気化した冷媒ガスは再び第1の圧縮機11で圧縮するサイクルを繰り返す。
【0040】
冷房運転を行うときは、冷媒ガスを図示の左回転(矢印Cの方向)に循環させる。このとき、冷媒ガスは、第1の圧縮機11で圧縮されて加熱され、地中熱用の熱交換器14によって地中熱と熱交換されてその熱を地中に放出し、冷却されて液化する。その液体を第1の膨張弁12で膨張させることにより気化させて冷却し、その冷熱を第1の熱交換器32で室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液と熱交換する。このようにして室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液に採取した熱を室内機30で冷房に利用するのである。
【0041】
暖房運転を行うときは、冷媒ガスを図示の右回転(矢印Hの方向)に循環させる。このとき、冷媒ガスは、第1の圧縮機11で圧縮されて加熱される。この熱を第1の熱交換器32で室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液と熱交換する。このようにして室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液に採取した熱を室内機30で暖房に利用する。第1の熱交換器32で熱交換が終わった冷媒ガスは、第1の膨張弁12で膨張させることにより気化させて冷却し、その冷熱を地中熱用の熱交換器14によって地中熱と熱交換させて地中に放出する。
【0042】
〔空気熱用室外機の構成〕
上記空気熱用室外機20は、第2の圧縮機21と第2の膨張弁22を経由する第2の冷媒ガス循環路23と、上記第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスと空気熱との間で熱交換を行う空気熱用の熱交換器24を有する。
【0043】
上記第2の冷媒ガス循環路23には冷媒ガスを循環させる。上記冷媒ガスとしては、第2の圧縮機21によって圧縮されて熱交換により冷却されることにより液化し、その液体を第2の膨張弁で膨張させることにより気化するガスが用いられる。具体的には、例えばクロロ・フルオロ・カーボン、ハイドロ・クロロフルオロ・カーボン、ハイドロ・フルオロ・カーボン等の各種の冷媒ガスを用いることができる。
【0044】
上記第2の冷媒ガス循環路23には、室内側で熱交換を行う第2の熱交換器33と、室外側で熱交換を行う空気熱用の熱交換器24が配置されている。
【0045】
上記空気熱用の熱交換器24は、上記第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスと空気熱との間で熱交換を行う。上記空気熱用の熱交換器24には、強制的に外気を送って熱交換を促進するファン25が付設されている。上記ファン25によって外気が送風されて、送風された外気の空気熱と第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスとの間で熱交換が行われる。
【0046】
上記第2の熱交換器33は、室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液と、空気熱用室外機20の第2の冷媒ガス循環路23との間で熱交換を行う。
【0047】
上記空気熱用室外機20では、冷媒ガスを循環させるときに、上記冷媒ガスを第2の圧縮機21で圧縮し、熱交換により冷却されることにより液化し、その液体を第2の膨張弁22で膨張させることにより気化させる。気化した冷媒ガスは再び第2の圧縮機21で圧縮するサイクルを繰り返す。
【0048】
冷房運転を行うときは、冷媒ガスを図示の左回転(矢印Cの方向)に循環させる。このとき、冷媒ガスは、第2の圧縮機21で圧縮されて加熱され、空気熱用の熱交換器24によって空気熱と熱交換されてその熱を空気中に放出し、冷却されて液化する。その液体を第2の膨張弁22で膨張させることにより気化させて冷却し、その冷熱を第2の熱交換器33で室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液と熱交換する。このようにして室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液に採取した熱を室内機30で冷房に利用するのである。
【0049】
暖房運転を行うときは、冷媒ガスを図示の右回転(矢印Hの方向)に循環させる。このとき、冷媒ガスは、第2の圧縮機21で圧縮されて加熱される。この熱を第2の熱交換器33で室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液と熱交換する。このようにして室内機用循環路31を循環する共通の熱媒体である不凍液に採取した熱を室内機30で暖房に利用する。第2の熱交換器33で熱交換が終わった冷媒ガスは、第2の膨張弁22で膨張させることにより気化させて冷却し、その冷熱を空気熱用の熱交換器24によって空気熱と熱交換させて空気中に放出する。
【0050】
上記空気熱用室外機20における第2の圧縮機21は、一般電力で稼動させてもよいし、図示しないガスエンジンと発電機によって発電した電力で稼動させるようにしてもよい。
【0051】
〔室内機の構成〕
上記室内機30は、上記地中熱用室外機10において第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスに採取された熱と、上記空気熱用室外機20において第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスに採取された熱を、共通の熱媒体によって利用するものである。
【0052】
この例では、上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体は不凍液である。したがって、上述したように、この例では、上記室内機用循環路31には、上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体として不凍液を循環させている。
【0053】
上記共通の熱媒体である不凍液を循環させる室内機用循環路31には、地中熱用室外機10の第1の冷媒ガス循環路13との間で熱交換する第1の熱交換器32と、空気熱用室外機20の第2の冷媒ガス循環路23との間で熱交換する第2の熱交換器33が配置されている。
【0054】
上記室内機用循環路31は、地中熱側循環路31Aと、空気熱側循環路31Bと、共通循環路31Cとが接続されて構成されている。
【0055】
上記地中熱側循環路31Aは、上記第1の熱交換器32を経由している。これにより、上記地中熱側循環路31Aは、内部を循環する不凍液を、地中熱用室外機10の第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスとの間で熱交換させる。上記地中熱側循環路31Aには、不凍液を循環させるための第2のポンプ37と、不凍液の逆流を防止する第1の逆止弁35が設けられている。
【0056】
上記空気熱側循環路31Bは、上記第2の熱交換器33を経由している。これにより、上記空気熱側循環路31Bは、内部を循環する不凍液を、空気熱用室外機20の第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスとの間で熱交換させる。上記空気熱側循環路31Bには、不凍液を循環させるための第3のポンプ38と、不凍液の逆流を防止する第2の逆止弁36が設けられている。
【0057】
上記共通循環路31Cは、地中熱側循環路31Aと空気熱側循環路31Bが合流して循環する不凍液を室内機30を経由させる。これにより、共通循環路31Cを循環する不凍液に採取した熱を室内機30で利用する。
【0058】
このような構造により、地中熱用室外機10を稼動させて地中熱から採取した熱を、地中熱側循環路31Aおよび共通循環路31Cを経由して室内機30で利用する。また、空気熱用室外機20を稼動させて空気熱から採取した熱を、空気熱側循環路31Bおよび共通循環路31Cを経由して室内機30で利用する。
【0059】
上記空気熱側循環路31Bには、開閉弁34が設けられている。
【0060】
上記開閉弁34を閉じると、空気熱側循環路31Bを循環する不凍液の循環が停止する。この状態では、空気熱用室外機20を稼動させて空気熱から採取した熱は室内機30で利用されない。もっぱら、地中熱用室外機10を稼動させて地中熱から採取した熱が室内機30で利用される。
【0061】
上記開閉弁34を開けると、空気熱側循環路31Bを不凍液が循環する。この状態では、地中熱用室外機10を稼動させて地中熱から採取した熱が室内機30で利用され、それと併せて、空気熱用室外機20を稼動させて空気熱から採取した熱が室内機30で利用される。
【0062】
〔制御〕
上記地中熱用室外機10、空気熱用室外機20、室内機30は、制御手段40によって制御され、上記地中熱ヒートポンプ装置はつぎのようにして運転される。
【0063】
まず、室内機30の運転モードの設定として、夏季の冷房運転モードを選択するか冬季の暖房運転モードを選択するかを設定する。つぎに、それぞれの運転モードにおいて、室内温度を所望の設定温度に設定する。
【0064】
夏季の冷房運転モードにおいても、冬季の暖房運転モードにおいても、まず常に、地中熱用室外機10を稼動させる。
【0065】
すなわち、制御手段40は、第1の圧縮機11、第1のポンプ17、第2のポンプ37を稼動させ、地中熱用室外機10による空調運転を行う。このとき、夏季の冷房運転モードでは、地中熱用室外機10における第1の冷媒ガス循環路13を冷媒ガスが矢印Cの方向に循環するよう、第1の圧縮機11を制御する。一方、冬季の暖房運転モードでは、地中熱用室外機10における第1の冷媒ガス循環路13を冷媒ガスが矢印Hの方向に循環するよう、第1の圧縮機11を制御する。
【0066】
上記制御手段40は、地中熱用室外機10の稼動で設定温度に対して熱の採取が足りているときは、開閉弁34を閉じ、第3のポンプ38、第2の圧縮機21およびファン25を停止し、空気熱用室外機20を停止する。
【0067】
上記制御手段40は、地中熱用室外機10の稼動で上記設定温度に対して熱の採取が足りないときに、開閉弁34を開き、第3のポンプ38、第2の圧縮機21およびファン25を稼動し、空気熱用室外機20を稼動する。
【0068】
つまり、常時、地中熱用室外機10を稼動し、地中熱から採取した熱を室内機30で利用し、地中熱からの熱の採取が足りなくなったと判断されたときのみ、自動的に空気熱用室外機20の運転を開始して、地中熱用室外機10を補助するのである。そして、地中からの採熱が足りると判断されると、自動的に空気熱用室外機20の運転を停止して、地中熱用室外機10だけの運転に戻す。このように、常に、地中熱用室外機10をメインに稼動することで、空調に係るエネルギーを最小限に抑えるのである。
【0069】
地中熱からの熱の採取が足りているか不足しているかの判断はつぎのようにして行うことができる。
【0070】
まず、上記制御手段40は、地中熱用室外機10から室内機30に送水される不凍液の温度(T1)と、地中熱用室外機10から地中へ戻される不凍液の温度(T2)とを監視する。
【0071】
そして、上記制御手段40は、冬季の暖房運転モードのときは、T1が設定温度の−5〜−10℃以上となった場合、あるいは、T2が−7〜−10℃以下となった場合に、地中熱からの熱の採取が不足したと判断し、空気熱用室外機20の運転を開始する。
また、上記制御手段40は、夏季の冷房運転モードのときは、T1が設定温度の+5〜+10℃以上となった場合、あるいは、T2が+40〜+50℃以上となった場合に、地中熱からの熱の採取が不足したと判断し、空気熱用室外機20の運転を開始する。
【0072】
冬季の暖房運転モードの場合、ファンコイルなどの室内機30へ送水する不凍液の温度(T1)は、一般に40℃〜60℃とする必要がある。40℃未満であると、体感的に室内機30から送風される温度が暖かく感じられない。反対に、60℃を超えると、室内機30の内部の部品(特に不凍液のシール部分)に問題が生じてくるからである。
【0073】
極寒期を考えた場合、地中から採取した熱が不足してくると、室内機30へ送水する温度が、設定範囲の40〜60℃にコントロールできなくなる。例えば、45℃に設定した場合、40℃以下で送水してしまうことになる。したがって、設定温度の−5℃〜−10℃以上の場合は、熱の採取が不足であると判断する。
【0074】
また、設定温度が上記の温度範囲内であったとしても、地中へ戻す不凍液の温度(T2)が−7℃〜−10℃であった場合は、ボアホール16のまわりの土の凍結が始まる。このような状況に陥った場合は、ボアホール16から、充分に熱を採取することが不可能となる。最悪の場合、ボアホール16全体が凍結してしまう。これを避けるためには、ボアホール16ヘ戻す不凍液の温度(T2)も監視しなければならない。その温度は−7℃〜−10℃とする必要がある。
【0075】
夏季の冷房運転モードの場合、室内機30へ送水する不凍液の温度(T1)は7℃〜20℃とする必要がある。7℃未満になると温度が低すぎて、体調を崩す恐れがある。また、7℃未満になると、第1の圧縮機11に大きな負荷がかかり、COPを悪化させ、地中熱を利用するメリットが薄れてしまう。20℃を超えると、涼しく感じられない。従って室内機30へ送水する不凍液の温度(T1)は、7℃〜20℃にする。
【0076】
酷暑期の場合、地中から採取する熱が不足すると、室内機30へ送水する不凍液の温度(T1)を7〜20℃にコントロールできなくなる。設定温度の+5℃〜+10℃以上となった場合、地中熱から採取した熱が不足したと判断できる。また、上記の温度範囲内であったとしても、地中へ戻す不凍液の温度(T2)が40℃〜50℃以上となった場合は、充分な冷熱が地中熱から採取できなくなる。凍結するといった事態は発生しないが、ボアホール16ヘ戻す不凍液の温度(T2)は40℃未満として監視する必要がある。
【0077】
また、上記制御手段40は、循環パイプ15から地中熱室外機10に導入する不凍液の温度(T3)を監視する。
【0078】
そして、上記制御手段40は、冬季の暖房運転モードのときは、T3が0℃以下となった場合に、地中熱からの熱の採取が不足したと判断し、空気熱用室外機20の運転を開始する。
また、上記制御手段40は、夏季の冷房運転モードのときは、T3が35℃以上となった場合に、地中熱からの熱の採取が不足したと判断し、空気熱用室外機20の運転を開始する。
【0079】
冬季の暖房運転モードのときに、T3が下降すると徐々にCOPが低下し、およそT3が0℃まで下がったときにはCOPが2程度まで低下するからである。
同様に、夏季の冷房運転モードのときに、T3が上昇すると徐々にCOPが低下し、およそT3が35℃まで上昇したときにはCOPが2程度まで低下するからである。
【0080】
以上の構成により、本実施形態では、ボアホール16を必要以上に掘削せずに、安全率を見越した設計(例えば従来の60%程度)の深さにとどめ、掘削費用の削減を図ることができる。すなわち、従来の60%程度の掘削でも、年間の9割程度の期間は地中熱からの採取した熱でまかなうことができ、地中熱用室外機10だけの稼動で充分な冷暖房を行うことができる。残りの約1割程度の期間の厳寒期や酷暑期において、地中から採取した熱では間に合わなくなると、空気熱用室外機20を稼動させ、地中熱用室外機10の不足分を補助し、充分な冷暖房を行うのである。
【0081】
したがって、ボアホール16の不必要なコストアップを抑え、地中熱用室外機10だけで十分な冷暖房ができなくなる期間を、空気熱用室外機20で補助的にバックアップしてその不足を補う。地中熱用室外機10をメインで稼動させるため、ランニングコスト的にもメリットが大きい。
【0082】
〔作用効果〕
以上に述べたように、上記第1実施形態では下記の作用効果を奏する。
【0083】
第1の圧縮機11と第1の膨張弁12を経由する第1の冷媒ガス循環路13を有する地中熱用室外機10と、第2の圧縮機21と第2の膨張弁22を経由する第2の冷媒ガス循環路23を有する空気熱用室外機20を備えている。
このため、地中熱用室外機10において、地中熱を採熱するためのボアホール16の全長を短くすることができる。それによって厳冬期や酷暑期に地中熱用室外機10の出力が不足したときには、その不足分を空気熱用室外機20が補う。したがって、ボアホール16の掘削費用という多大なイニシャルコストを抑えながら、厳冬期や酷暑期の空調性能を確保した快適な空調システムが構築できる。このように、地中熱用室外機10を常時稼動させ、厳冬期や酷暑期等に補助的に空気熱用室外機20を稼動させる。このとき、地中熱用室外機10と空気熱用室外機20は並列で両方稼動させることができる。したがって、地中熱を利用した地中熱用室外機10を主体として運転し、補助的に空気熱用室外機20を稼動させればよいため、ランニングコストにおいても大きなメリットがある。
また、上記地中熱用室外機10において第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスに採取された熱と、上記空気熱用室外機20において第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスに採取された熱を、共通の熱媒体によって利用する室内機30とを備えている。
このため、地中熱用室外機10を構成する第1の圧縮機11か第1の膨張弁12にトラブルが生じて地中熱用室外機10が停止したときは、空気熱用室外機20を稼動させて空調を稼動させることができる。あるいは、空気熱用室外機20を構成する第2の圧縮機21か第2の膨張弁22にトラブルが生じて空気熱用室外機20が停止したときは、地中熱用室外機10を稼動させて空調を稼動させることができる。このように、圧縮機や膨張弁のいずれかにトラブルが生じ、地中熱用室外機10あるいは空気熱用室外機20のいずれかが停止したとしても、他方の室外機が採熱しうる範囲内で空調機として動作させることが可能となる。
【0084】
上記地中熱用の熱交換器14は、上記第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスと、地中に埋設した循環パイプ15を循環する不凍液との間で熱交換を行うものであるため、
不凍液の循環パイプ15を地中に埋設するときに掘削するボアホール16の全長を短くすることができる。それによって厳冬期や酷暑期に地中熱用室外機10の出力が不足したときには、その不足分を空気熱用室外機20が補う。したがって、ボアホール16の掘削費用を抑えながら、厳冬期や酷暑期の空調性能を確保できる。
【0085】
上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体が不凍液であり、
上記共通の熱媒体である不凍液を循環させる室内機用循環路31には、地中熱用室外機10の第1の冷媒ガス循環路13との間で熱交換する第1の熱交換器32と、空気熱用室外機20の第2の冷媒ガス循環路23との間で熱交換する第2の熱交換器33が配置されているため、
上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体を不凍液とすることにより、一般に室内機30の熱媒体として不凍液を用いる地中熱ヒートポンプ装置の構造体をそのまま利用することができる。すなわち、一般に市場に流通している地中熱ヒートポンプ装置においては、室内機30用の熱媒体として不凍液を用いられたものが多いことから、その構造体をそのまま利用することができる。したがって、市場に流通している構造体を流用することによるコストダウンを図ることができる。
【0086】
◆第2実施形態
図2は、本発明の第2実施形態を示す。
【0087】
〔構成〕
この例は、上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体が冷媒ガスとしたものである。
【0088】
すなわち、室内機用循環路31には、冷媒ガスを循環させる。上記冷媒ガスとしては、圧縮機によって圧縮されて熱交換により冷却されることにより液化し、その液体を膨張弁で膨張させることにより気化するガスが用いられる。具体的には、例えばクロロ・フルオロ・カーボン、ハイドロ・クロロフルオロ・カーボン、ハイドロ・フルオロ・カーボン等の各種の冷媒ガスを用いることができる。
【0089】
この例では、上記共通の熱媒体である冷媒ガスを循環させる室内機用循環路31には、地中熱用室外機10の第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスと、空気熱用室外機20の第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスが循環するようになっている。
【0090】
すなわち、この例では、地中熱用室外機10の第1の冷媒ガス循環路13と地中熱側循環路31Aが連通するように直接接続されている。これにより、地中熱用室外機10の第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスを、直接、地中熱側循環路31Aを経由して共通循環路31Cに循環させる。
【0091】
また、この例では、空気熱用室外機20の第2の冷媒ガス循環路23と空気熱側循環路31Bが連通するように直接接続されている。これにより、空気熱用室外機20の第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスを、直接、空気熱側循環路31Bを経由して共通循環路31Cに循環させる。
【0092】
また、この例では、上記地中熱側循環路31Aに、不凍液を循環させるための第2のポンプ37と、不凍液の逆流を防止する第1の逆止弁35が設けられていない。また、上記空気熱側循環路31Bに、不凍液を循環させるための第3のポンプ38と、不凍液の逆流を防止する第2の逆止弁36が設けられていない。
【0093】
〔作用効果〕
この第2実施形態は、上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体を冷媒ガスとした以外は、上記第1実施形態と同様である。したがって、上記第1実施形態と同様の部分には同じの符号を付している。この第2実施形態は、上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体を冷媒ガスとしただけなので、基本的には、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
【0094】
この第2実施形態では、上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体が冷媒ガスであり、
上記共通の熱媒体である冷媒ガスを循環させる室内機用循環路31には、地中熱用室外機10の第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスと、空気熱用室外機20の第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスが循環するようになっているため、
上記室内機30で熱を利用するための共通の熱媒体を冷媒ガスとすることにより、室内機用循環路31には、地中熱用室外機10の第1の冷媒ガス循環路13を循環する冷媒ガスと、空気熱用室外機20の第2の冷媒ガス循環路23を循環する冷媒ガスをそのまま接続して循環させればよいことから、熱交換器等の構造物を節約することによるコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0095】
10:地中熱用室外機
11:第1の圧縮機
12:第1の膨張弁
13:第1の冷媒ガス循環路
14:地中熱用の熱交換器
15:循環パイプ
16:ボアホール
17:第1のポンプ
20:空気熱用室外機
21:第2の圧縮機
22:第2の膨張弁
23:第2の冷媒ガス循環路
24:空気熱用の熱交換器
25:ファン
30:室内機
31:室内機用循環路
31A:地中熱側循環路
31B:空気熱側循環路
31C:共通循環路
32:第1の熱交換器
33:第2の熱交換器
34:開閉弁
35:第1の逆止弁
36:第2の逆止弁
37:第2のポンプ
38:第3のポンプ
40:制御手段
図1
図2