【解決手段】検査結果を含む情報を蓄積する情報蓄積部24と、その蓄積情報の一部を出力データとして外部の情報記憶媒体51に出力する制御部23とを備えた物品検査装置であって、制御部23は、外部の情報記憶媒体51がアクセス可能に接続されたとき、その情報記憶媒体51中の記憶情報から情報蓄積部24内の蓄積情報の一部を識別可能な識別情報を検出する識別情報検出部43と、識別情報が検出されたとき、その検出情報に基づいて情報蓄積部24内の蓄積情報の一部を抽出する情報抽出部44と、抽出した情報を情報記憶媒体51に書き込み可能な出力形式の出力データとして作成する出力データ作成部45とを有している。
検査結果を含む情報を蓄積する情報蓄積手段と、前記情報蓄積手段に蓄積された蓄積情報の一部を出力データとして外部の情報記憶媒体に出力する情報出力手段と、を備えた物品検査装置であって、
前記情報出力手段は、
前記外部の情報記憶媒体がアクセス可能に接続されたとき、前記外部の情報記憶媒体中の記憶情報から前記蓄積情報の一部を識別可能な識別情報を検出する識別情報検出部と、
前記識別情報検出部で前記識別情報が検出されたとき、前記識別情報検出部の検出情報に基づいて前記蓄積情報の一部を前記情報蓄積手段から抽出する情報抽出部と、
前記蓄積情報の一部を前記外部の情報記憶媒体に書き込み可能な出力形式の前記出力データとして作成する出力データ作成部と、を有することを特徴とする物品検査装置。
前記出力データ作成部は、前記蓄積情報の一部を前記外部の情報記憶媒体に書き込み可能な出力形式の出力データとして作成するとき、該出力データ中に前記識別情報を包含させ、
前記識別情報検出部は、前記外部の情報記憶媒体に記憶された前記出力データを参照して前記識別情報を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の物品検査装置。
前記情報抽出部は、前記識別情報検出部によって前記外部の情報記憶媒体から前記識別情報および前記時間情報が検出されたとき、前記識別情報および前記時間情報を基に前記出力データを補完する未出力補完データを前記情報蓄積の一部として抽出することを特徴とする請求項4に記載の物品検査装置。
前記出力データ作成部は、前記識別情報検出部によって前記外部の情報記憶媒体から前記識別情報および前記時間情報が検出された場合であって、前記識別情報により特定される前記蓄積情報の一部が定期的に出力される定期情報であるとき、前記時間情報に基づいて前記定期情報についての最新の出力データの出力時期が到来しているか否かを判定し、該判定結果に応じ、前記情報抽出部と協働して前記定期情報についての最新の出力データを選択的に出力することを特徴とする請求項4又は5に記載の物品検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の物品検査装置においては、例えば日々の検査結果に関する報告書類を作成する際に、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の情報記憶媒体を物品検査装置に接続し、その書類作成に必要な統計データや動作確認の記録、日報データ等を出力させていた。
【0006】
そのため、複数の物品検査装置を含む製造ラインの管理者等が、そのようなデータの出力作業を行う場合には、個々の物品検査装置に対してUSBメモリ等を接続し、表示画面を参照しながら出力すべきデータを選択して、データ出力ボタンを操作するといった複数のアクションが必要になり、データ出力作業に手間がかかるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、情報記憶媒体をアクセス可能に接続するだけで、ユーザが要求する出力要求データを自動的に出力できるようにして、データ出力作業の容易な物品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る物品検査装置は、上記目的達成のため、(1)検査結果を含む情報を蓄積する情報蓄積手段と、前記情報蓄積手段に蓄積された蓄積情報の一部を出力データとして外部の情報記憶媒体に出力する情報出力手段と、を備えた物品検査装置であって、前記情報出力手段は、前記外部の情報記憶媒体がアクセス可能に接続されたとき、前記外部の情報記憶媒体中の記憶情報から前記蓄積情報の一部を識別可能な識別情報を検出する識別情報検出部と、前記識別情報検出部で前記識別情報が検出されたとき、前記識別情報検出部の検出情報に基づいて前記蓄積情報の一部を前記情報蓄積手段から抽出する情報抽出部と、前記蓄積情報の一部を前記外部の情報記憶媒体に書き込み可能な出力形式の前記出力データとして作成する出力データ作成部と、を有することを特徴とする。
【0009】
この構成により、外部の情報記憶媒体がアクセス可能に接続されると、その媒体中の出力データに関連する識別情報が識別情報検出部により検出され、その識別情報で識別される情報蓄積手段の蓄積情報の一部が特定される。そして、特定された蓄積情報の一部が情報抽出部によって情報蓄積手段から抽出され、その抽出された蓄積情報の一部が出力データ作成部により所定の出力形式の出力データにされ、その出力データが外部の情報記憶媒体に書き込まれる。したがって、外部の情報記憶媒体をアクセス可能に接続するだけで、ユーザが要求する出力要求データを外部の情報記憶媒体に自動的に出力できることになり、データ出力作業の容易な物品検査装置となる。
【0010】
本発明の物品検査装置は、(2)前記蓄積情報の一部を前記外部の情報記憶媒体に出力することを要求する出力要求を入力可能な出力要求入力手段をさらに備え、前記出力データ作成部は、前記出力要求入力手段に前記出力要求が入力されたとき、前記出力要求操作により指定された前記蓄積情報の一部と該蓄積情報の一部を識別可能な前記識別情報とを前記出力データとして作成するものであってもよい。
【0011】
この構成により、識別情報が記憶されていない外部の情報記憶媒体を用いる場合や、外部の情報記憶媒体内に識別情報が記憶されていない新たな種別や出力形態のデータ出力を行いたい場合に、手動操作等による出力要求を行って一度必要な出力データを外部の情報記憶媒体に出力させると、次回からは、その情報記憶媒体を物品検査装置に接続するだけで対応する出力データを自動出力させることができる。したがって、外部の情報記憶媒体として専用品でない市販の情報記憶媒体を容易に利用でき、しかも、個々のユーザからの手動による出力要求通りの多様な出力形態で、必要な出力データを的確に出力できる。
【0012】
なお、本発明において、予め物品検査装置の個別識別コードや特定の蓄積情報の種別を指定する識別コード等が記憶された専用の情報記憶媒体を用いるように構成すると、特定の蓄積情報について初回から自動出力可能にすることができる。
【0013】
本発明の物品検査装置においては、(3)前記出力データ作成部は、前記蓄積情報の一部を前記外部の情報記憶媒体に書き込み可能な出力形式の出力データとして作成するとき、該出力データ中に前記識別情報を包含させ、前記識別情報検出部は、前記外部の情報記憶媒体に記憶された前記出力データを参照して前記識別情報を検出するという構成であってもよい。
【0014】
この構成により、出力データが識別情報を含むような出力形態をとるだけで済み、識別情報を別個に作成する必要がないとともに、識別データだけが消失したりすることがなく、出力データの作成時および利用時の双方で作業性がよい。
【0015】
本発明の物品検査装置においては、(4)前記出力データ作成部は、前記出力データを作成するとき、前記蓄積情報の一部と関連付けた時間情報を作成し、前記識別情報検出部は、前記外部の情報記憶媒体に記憶された前記識別情報および前記時間情報を検出するものであってもよい。
【0016】
この場合、時間情報を利用して記憶済みの出力データを補完する未出力のデータのみを抽出して出力させたり、定期的に出力すべき定期情報を的確な出力形態で出力させたりすることが可能になる。
【0017】
本発明の物品検査装置においては、(5)前記情報抽出部は、前記識別情報検出部によって前記外部の情報記憶媒体から前記識別情報および前記時間情報が検出されたとき、前記識別情報および前記時間情報を基に前記出力データを補完する未出力補完データを前記情報蓄積の一部として抽出するものであるとよい。
【0018】
この場合、出力データ作成部は、未出力補完データのみを外部の情報記憶媒体に追記される出力データとして作成可能となる。勿論、未出力補完データと外部の情報記憶媒体に書き込み済の出力データとを結合した出力データも作成可能である。また、識別情報および時間情報により新たに特定された蓄積情報の一部によって、記憶済みの出力データを更新することも可能である。
【0019】
本発明の物品検査装置においては、(6)前記出力データ作成部は、前記識別情報検出部によって前記外部の情報記憶媒体から前記識別情報および前記時間情報が検出された場合であって、前記識別情報により特定される前記蓄積情報の一部が定期的に出力される定期情報であるとき、前記時間情報に基づいて前記定期情報についての最新の出力データの出力時期が到来しているか否かを判定し、該判定結果に応じ、前記情報抽出部と協働して前記定期情報についての最新の出力データを選択的に出力する構成でもよい。
【0020】
この構成により、定期的に出力すべき定期情報を適時に的確な出力形態で出力させることが可能になる。
【0021】
なお、前記識別情報は、予め設定された物品検査装置識別コードを含んでいるとよい。物品検査装置識別コードとは、物品検査装置を一意に特定可能な識別番号や識別名称等である。そのようにすると、誤った出力を確実に防止できる。
【0022】
また、前記識別情報は、前記外部の情報記憶媒体中における前記出力データの格納先フォルダ名、ファイル名または前記出力データファイル中の特定の識別コードを含んでいてもよい。そのようにすると、より多様な出力形態で、必要な出力データを作成できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、情報記憶媒体をアクセス可能に接続するだけで、ユーザが要求する出力要求データを自動的に出力できるようにして、データ出力作業の容易な物品検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1および
図2は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置を装備した物品検査システムを例示している。この物品検査システムは、検査対象物品の搬送経路中で複数種の検査を実行するものであり、そのいずれか1種類の検査を実行する検査機として一実施形態に係る物品検査装置が構成されている。
【0027】
まず、本実施形態の構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の物品検査システム1は、被検査物品であるワークWを予め設定された搬送経路で同図中の矢印A方向に搬送するコンベア11と、コンベア11によるワーク搬送経路の途中に配置された重量選別機12(物品検査装置)と、コンベア11によるワーク搬送経路中で重量選別機12より下流側に配置されたX線異物検出機13(物品検査装置)と、進入検知センサ14、15とを備えている。
【0029】
コンベア11は、投入されるワークWを重量選別機12に進入させる前段コンベア11aと、重量選別機12を通過した計量後のワークWをX線異物検出機13に受け渡す中継コンベア11bと、X線異物検出機13による検査後のワークWを下流側に搬送する後段コンベア11cとを含んで構成されている。
【0030】
重量選別機12は、計量コンベア21とその下流側の公知の選別機25を有しており、計量コンベア21は、計量器22に支持されている。そして、計量コンベア21の重量とこの計量コンベア21上に投入されたワークWの重量とが、計量器22に負荷されるようになっている。
【0031】
計量器22は、進入検知センサ14で検知されたワークWの重量を風袋となる計量コンベア21の重量と共に計量し、そのワークWおよび計量コンベア21の重量に対応する計量信号を出力するようになっている。
【0032】
この計量器22は、例えば公知の歪ゲージロードセルで構成されており、計量器22から出力される計量信号は、制御部23に取り込まれて高周波成分を除去するフィルタ処理等を施されるようになっている。
【0033】
この場合、制御部23は、その処理後の計量信号に基づいてワークWおよび計量コンベア21の重量の計量値を算出し、図示しない減算器によりワークWおよび計量コンベア21の重量の計量値から計量コンベア21の重量分の計量値を差し引く減算処理等を実行して、最終的にワークWの質量を算出するようになっている。なお、計量器22は、電磁平衡式の秤(はかり)や差動トランス式等でもよく、制御部23における質量算出手法が計量器22のタイプによって相違することはいうまでもない。
【0034】
制御部23は、また、前述のように算出したワークWの質量が許容範囲内か否かを判定し、その判定結果に応じて、ワークWの質量の過不足が生じたときには、選別機25に選別指令信号を出力するようになっている。
【0035】
この制御部23は、詳細なハードウェア構成を図示しないが、例えばCPU、ROM、RAMおよびI/Oインターフェースを有するマイクロコンピュータと、ハードディスク等の補助記憶装置からなる情報蓄積部24とを有している。
【0036】
X線異物検出機13は、中継コンベア11bから受け渡されるワークWを搬送するX線検出コンベア31と、ワークWが進入検知センサ15により検知されたとき、搬送中のワークWにX線を照射するX線源32と、ワークWを透過したX線を検出してワークWの品質状態を表す検出信号を出力するX線検出器33と、X線検出コンベア31、X線源32およびX線検出器33の動作を制御する制御部34とを含んで構成されている。
【0037】
制御部34は、進入検知センサ15によりワークWが検知される度に公知の異物判定や画像処理を実行させて、ワークW中の異物の有無を判定するようになっている。例えば、制御部34は、X線検出器33からのX線透過量のライン検出信号を順次蓄積してワークWについてのX線透過量データを記憶し、その記憶データを基にX線透過量に対応する濃度分布を有するX線画像を作成する。そして、そのX線画像に対する対数変換や微分処理等を行なってX線吸収量が急峻に変化する部分を抽出して、異物の有無を判定する。
【0038】
この制御部34は、詳細なハードウェア構成を図示しないが、例えばCPU、ROM、RAMおよびI/Oインターフェースを有するマイクロコンピュータと、ハードディスク等の補助記憶装置からなる情報蓄積部35とを有している。
【0039】
X線異物検出機13には、また、公知の選別機36が付設されており、X線異物検出機13によってワークW中に異物が検出されたときには、そのワークWが選別機36によってコンベア11によるワーク搬送経路から選別排出されるようになっている。
【0040】
ところで、重量選別機12の制御部23における情報蓄積部24には、所定の重量選別制御プログラム、運転条件の設定プログラム、統計処理プログラム等が格納されているとともに、それらのプラグラムに関連する各種パラメータ設定情報や検査結果、動作確認情報、統計情報、生産管理情報、使用状況、来歴情報等の情報が、少なくとも予め設定された検査機シリアル番号や品種等の識別情報によって(さらには検査日時を示す時間情報によって)識別可能な単位で読出し可能に蓄積記憶される。
【0041】
これと略同様に、X線異物検出機13の制御部34における情報蓄積部35には、所定のX線検査プログラム、運転条件の設定プログラム、統計処理プログラム等が格納されているとともに、それらのプラグラムに関連する各種パラメータ設定情報や検査結果、動作確認情報、統計情報、生産管理情報、使用状況、来歴情報等の情報が、少なくとも予め設定された検査機シリアル番号や品種等の識別情報、さらには検査日時を示す時間情報によって、識別可能な単位で読出し可能に蓄積記憶されるようになっている。
【0042】
そして、物品検査システム1を使用するユーザは、重量選別機12およびX線異物検出機13における検査結果やそれに関連する情報のうち必要な情報を、制御部23、34から画面表示出力、プリント出力あるいはデータ出力の形で出力させる。
【0043】
必要な蓄積情報をデータ出力させる場合、重量選別機12の制御部23とX線異物検出機13の制御部34とに、例えばネットワーク接続ポートを通して外部のPC(パーソナルコンピュータ)にデータ転送可能にする機能や、RS232C等の通信ポートを介してノート型PCにデータ転送可能にする機能を付加することもできるが、小規模の製造ラインで頻繁にデータ出力させるような場合には、不向きである。
【0044】
そこで、重量選別機12の制御部23およびX線異物検出機13の制御部34には、それぞれの情報蓄積部24、35に蓄積された蓄積情報の一部を出力データとして外部の情報記憶媒体に自動出力可能な情報出力手段としての機能が付加されている。
【0045】
なお、ここでは、重量選別機12の制御部23を例に、その機能に係る構成を詳述するが、X線異物検出機13の制御部34についても、重量選別制御部に代わるX線異物検出制御部を有する以外は、同様に構成される。
【0046】
図2に示すように、重量選別機12の制御部23は、重量選別制御部41(物品検査の制御部)に加えて、外部の情報記憶媒体51にアクセス(情報の読出し/書込み)可能に接続される接続インターフェース42を有している。
【0047】
外部の情報記憶媒体51は、制御部23からアクセス可能な媒体、例えばFAT(File Allocation Table)、FAT32、exFAT(Extended FAT)またはNTFS(NT File System)等のファイルシステムにフォーマットされた小型のメモリ・ストレージデバイスであるが、携帯可能な情報通信端末等に内蔵されているデバイスであってもよい。ここにいう小型のメモリ・ストレージデバイスとは、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリである。
【0048】
また、外部の情報記憶媒体51は、USBポート等の接続インターフェース42に機械的に接続される接続端子部を有するものに限らず、非接触ICカード等のような近接型の通信接続形態でデータを授受するもの、あるいは、公知の近距離無線通信等による無線通信型の接続形態でデータを授受するものであってもよい。すなわち、接続インターフェース42は、USB規格等の特定の接続規格に限定されるものではない。
【0049】
情報出力手段としての制御部23は、重量選別制御部41および接続インターフェース42に加えて、データ出力の制御に関連する複数の制御プログラムで実現される複数の機能部として、識別情報検出部43と、情報抽出部44と、出力データ作成部45とを含んでいる。
【0050】
識別情報検出部43は、接続インターフェース42を介して外部の情報記憶媒体51がアクセス可能に接続されたとき、その情報記憶媒体51中に予め設定された出力形式で書き込まれている記憶情報から、出力が要求される情報蓄積部24内の蓄積情報の一部を識別可能な識別情報を検出する識別情報検出手段となっている。
【0051】
ここにいう識別情報は、例えば検査機シリアル番号、データ出力を要求するユーザの識別コード、ワークWの品種コードその他の識別コードで構成される。そして、その識別情報は、情報記憶媒体51中に、出力データの格納先フォルダ名、ファイル名または出力データファイル中の特定の識別コード等の形で記憶される。この識別情報は、検査機シリアル番号のように少なくともの各物品検査装置に一意に設定される検査機識別コードを含むのが好ましいが、それに代わる製造ラインやユーザ識別情報を含むものでもよいし、勿論、それらの識別コードをすべて含んだものでもよい。
【0052】
情報抽出部44は、識別情報検出部43で情報記憶媒体51中に予め記憶された識別情報が検出されたとき、識別情報検出部43の検出情報に基づいて情報蓄積部24内の蓄積情報の一部を抽出する情報抽出手段となっている。すなわち、情報抽出部44は、過去に情報記憶媒体51中に出力され記憶された書込み済み(既出力)の情報に基づいて、新たに出力すべき情報を特定するようになっている。
【0053】
過去に出力された情報とは、例えば生産管理に必要な統計や日報(生産実績)等のデータ、NG来歴、検査条件パラメータ(例えば異物判定用のリミット値)、動作確認の結果等である。
【0054】
情報蓄積部24内の蓄積情報は、前述の通り、識別情報および時間情報により識別可能な単位で読出し可能に蓄積記憶されるので、識別情報および時間情報によって出力すべき情報が特定されると、特定された情報(蓄積情報の一部)の出力が可能となる。
【0055】
情報抽出部44は、また、識別情報検出部43によって情報記憶媒体51から識別情報および時間情報が検出されたとき、それら識別情報および時間情報を基に、少なくとも書き込み済みの出力データを補完する未出力補完データを、出力すべき情報蓄積部24内の情報蓄積の一部として抽出するようになっている。
【0056】
なお、情報抽出部44は、識別情報および時間情報で特定される情報の種別や出力形態に応じて、未出力補完データのみを出力データとして抽出するか、未出力補完データと情報記憶媒体51に書き込み済の出力データ分とを含んだものを出力データとして抽出するかを、選択するように構成してもよい。
【0057】
出力データ作成部45は、情報抽出部44によって抽出された情報蓄積部24内の蓄積情報の一部を、情報記憶媒体51に書き込み可能な出力形式の出力データとして作成するとともに、その出力データ中に識別情報を包含させるよう予め設定された出力規則に従って出力データの作成および情報記憶媒体51への書込み処理を実行する。
【0058】
具体的には、出力データの格納先フォルダ名、ファイル名または出力データファイル中に、その出力データの種別や対応する検査対象のワークの種別、検査期間を特定可能な識別コード等を含めるようになっている。
【0059】
また、出力データ作成部45は、識別情報検出部43によって情報記憶媒体51から識別情報および時間情報が検出された場合であって、その識別情報により特定される情報蓄積部24内の蓄積情報の一部が定期的に出力される定期情報(日報、週報、月報等)であるときには、時間情報を基に定期情報についての最新の出力データの出力時期が到来しているか否かを判定する。そして、その判定結果に応じ、出力データ作成部45は、情報抽出部44と協働して定期情報についての最新の出力データを選択的に出力するようになっている。例えば、統計情報やNG来歴の場合、前回の出力から一定時間が経過するまでは次の自動データ出力を規制し、一定時間が経過してから自動データ出力を許可する。
【0060】
制御部23は、さらに、情報蓄積部24内の蓄積情報の一部を情報記憶媒体51に出力することを要求する出力要求操作を入力可能な操作器等の出力要求操作入力部46(出力要求入力手段)と、その操作画面や出力情報画面を表示可能な表示出力部47とを備えている。そして、制御部23は、情報記憶媒体51内の識別情報に基づく自動的なデータ出力を実行する際に、情報記憶媒体51内の記憶情報と関連付けられた出力データの作成中であることや、その自動出力の結果、例えば自動出力の成否や出力データの種別等を表示出力部47に表示させるようになっている。
【0061】
また、制御部23は、情報記憶媒体51内の識別情報に基づく自動的なデータ出力を実行する際に、情報抽出部44と協働して、情報記憶媒体51中に記憶されている検査機シリアル番号に対応する物品検査装置のうちデータが未出力(今回のデータ出力の対象外)である装置の一覧情報を表示出力部47から表示出力させるとともに、自動出力の停止や一時停止を要求する停止要求操作入力、あるいは、情報蓄積部24内の蓄積情報のうち出力済みのデータとは種別の異なる未出力データや出力形態の異なるデータ出力を要求する出力要求操作が可能であることを表示出力させる。
【0062】
そして、制御部23は、情報記憶媒体51が接続された検査機(例えば、重量選別機12)に対して、その検査機の出力要求操作入力部46に手動で出力済みのデータとは種別の異なる未出力データや出力形態の異なるデータ出力を要求する出力要求操作がされたときや、情報記憶媒体51が接続された検査機(例えば、X線異物検出機13)に対して、出力要求操作入力部46に手動で出力要求の操作入力がなされた場合であって、情報記憶媒体51内に要求された出力データに対応する識別情報が記憶されていないときには、出力データ作成部45は、出力要求操作により指定された情報蓄積部24内の蓄積情報の一部と、その蓄積情報の一部を識別可能な識別情報とを、出力データとして作成するようになっている。また、出力データ作成部45は、このような手動の出力要求操作入力に対応する出力データ作成時にも、出力データ中に識別情報を包含させるよう前述の予め設定された出力規則に従って出力データの作成および書込みを実行する。さらに、出力データ作成部45は、出力データを作成するとき、蓄積情報の一部と関連付けた時間情報を作成し、出力データと時間情報の書込みを実行する。
【0063】
一方、識別情報検出部43は、情報記憶媒体51に記憶された出力データを参照して、前述の出力規則に従って階層的に書き込まれた出力データの最上位の階層から識別情報および時間情報を階層順に検出する。
【0064】
そして、既に出力データが一度記憶された情報記憶媒体51が制御部23の接続インターフェース42に再度接続されたときには、識別情報検出部43により、出力要求される情報の識別情報および時間情報が自動的に検出される。そして、その検出情報に基づいて、情報抽出部44により情報蓄積部24内の蓄積情報の一部が抽出され、抽出された情報が出力データ作成部45によって識別情報を包含する出力データとして作成され、情報記憶媒体51に自動書き込みされる。
【0065】
情報記憶媒体51に書き込まれた出力データは、
図3に一例を示すように、階層構造を有するものとなる。
【0066】
図3においては、情報記憶媒体51をメディアM1として図示しており、その最上位階層側に重量選別機12およびX線異物検出機13の検査機シリアル番号(図中のSERIAL NO.001およびSERIAL NO.002)をフォルダ名とする上位階層の2つの検査機識別フォルダ71、72が形成されている。
【0067】
また、重量選別機12の検査機シリアル番号に対応する検査機識別フォルダ71の下位に、フォルダ名"PARAM"の第1データ識別フォルダ73と、フォルダ名"STATS"の第2データ識別フォルダ74と、フォルダ名"HIST"の第3データ識別フォルダ75が形成されている。
【0068】
そして、第1データ識別フォルダ73には、パラメータ類の設定ファイル等が所定のファイル形式で記憶保存され、第2データ識別フォルダ74には、ステータス情報ファイルや統計データファイル等が所定のファイル形式で記憶保存され、第3データ識別フォルダ75には、来歴情報ファイル等が所定のファイル形式で記憶保存されている。
【0069】
X線異物検出機13の検査機シリアル番号に対応する検査機識別フォルダ72の下位にも、略同様に、フォルダ名"PARAM"の第1データ識別フォルダ76と、図示しないフォルダ名"STATS"の第2データ識別フォルダおよびフォルダ名"HIST"の第3データ識別フォルダ等が形成されている。
【0070】
このように情報記憶媒体51に書き込まれた出力データは、最上位の格納先フォルダ名で各物品検査装置を識別でき、それらの下位の階層中の格納先フォルダ名、ファイル名または出力データファイル中の特定の識別コード等によって、データ出力を要求するユーザ、ワークWの品種その他の情報種別、検査時間等を特定できるようになっている。
【0071】
一方、本実施形態の重量選別機12の制御部23においては、出力要求された蓄積情報の一部を情報記憶媒体51にデータ出力する際、それぞれ出力を要求するユーザに応じて蓄積情報の出力可能な範囲を相違させる出力条件が設定されている。
【0072】
制御部23は、例えば出力を要求するユーザが製造ラインの作業者である場合には、検査結果の蓄積情報を基に統計手法を用いて定量化したりグラフ化したりした統計データの出力を実行可能とする。また、制御部23は、設定された出力条件に従って、出力を要求するユーザが製造ラインの管理者である場合には、日報、週報、月報等の作成に適したデータ、NG来歴データ、動作来歴データ等の出力を実行可能とし、メンテナンス作業等のためにサービスマンが出力要求する場合には、内部ステータスや設定パラメータに関するデータの出力を実行可能とするようになっている。
【0073】
なお、前述のように、X線異物検出機13の制御部34は、
図2に示す制御部23の構成に対し、重量選別制御部41に代わるX線異物検出制御部を有し、情報蓄積部35に蓄積される情報が相違する以外は、重量選別機12の制御部23と略同様の構成を有するものとなり、外部の情報記憶媒体51は、重量選別機12の制御部23およびX線異物検出機13の制御部34にそれぞれ接続できる。
【0075】
図4は、重量選別機12の制御部23あるいはX線異物検出機13の制御部34で実行されるデータ出力制御プログラムの概略処理手順を示している。なお、ここでは、重量選別機12の制御部23に外部の情報記憶媒体51が接続される場合を例に説明する。
【0076】
同図において、まず、外部の情報記憶媒体51が制御部23の接続インターフェース42に接続されデバイスとして認識されたか否かが判断され(ステップS11)、まだ接続されていなければ(ステップS11でNOの場合)、情報記憶媒体51が接続インターフェース42に接続されるまで、この判定処理が短周期で繰り返される。
【0077】
そして、外部の情報記憶媒体51が接続インターフェース42に接続されると(ステップS11でYESの場合)、そのデバイス認識に次いで、外部の情報記憶媒体51内の記憶情報の読出しが行われる(ステップS12)。
【0078】
この記憶情報の読出しは、ここでは全データの読出しとするが、上位階層のフォルダから一定の範囲内としてもよいし、出力規則に従って生成される特定のフォルダ名やファイル名のみを先に読み出すものであってもよい。
【0079】
次いで、情報記憶媒体51から読み出されたデータについて、識別情報検出部43によって、識別情報が上位階層から階層順に探索される(ステップS13)。
【0080】
図3に例示する既出力(書込み済み)の出力データの場合、情報記憶場板51が重量選別機12の制御部23の接続インターフェース42に接続されると、例えば重量選別機12に対応する上位階層中の検査機シリアル番号"SERIAL NO.001"の検査機識別フォルダ71が検出され、その検査機識別フォルダ71中に存在するデータ種別で分類されたフォルダ名"PARAM"、"STATS"および"HIST"の第1ないし第3データ識別フォルダ73〜75が検出され、それらのフォルダ中から識別情報や時間情報を含むファイル名と、特定の識別コードを含む特定の種別のファイルが検出される。
【0081】
次いで、情報記憶媒体51から読み出されたデータについて、識別情報検出部43により識別情報が検出されたか否かが判定される(ステップS14)。このとき、自動出力可能な出力データの識別情報が検出されなければ(ステップS14でNOの場合)、今回のデータの自動出力処理は終了することになるが、この場合、情報蓄積部24内の蓄積情報のうち未出力のデータの出力を要求する出力要求操作が可能であることを表示出力部47から表示出力させ(ステップS18)、その出力後に今回の処理を終了する。
【0082】
この表示出力がなされた場合、例えば出力要求操作入力部46に未出力のデータについての手動の出力要求操作入力を行うことで、その出力要求操作により指定された情報蓄積部24内の蓄積情報の一部と、その蓄積情報の一部を識別可能な識別情報とを、出力データ作成部45により情報記憶媒体51に書き込み可能な出力データとして作成させ、その書込みを実行させることができる。したがって、次回からは、情報記憶媒体51を物品検査装置に接続するだけで、対応する種別や出力形態のデータを自動出力させることができる。
【0083】
一方、情報記憶媒体51から読み出されたデータについて、識別情報検出部43により何らかの識別情報が検出された場合(ステップS14でYESの場合)には、次いで、その識別情報に基づいて、情報抽出部44により情報蓄積部24内の蓄積情報の一部が抽出される(ステップS15)。
【0084】
そして、抽出された情報が、出力データ作成部45によって識別情報を包含する出力データとして作成され(ステップS16)、情報記憶媒体51に自動書き込みされる(ステップS17)。また、このとき、情報記憶媒体51内の記憶情報と関連付けられた出力データの作成中であることの表示に次いで、その自動出力の成否やデータ種別等の出力結果情報が表示出力部47から表示出力される(ステップS18)とともに、その自動出力の停止や一時停止を要求する停止要求操作入力や、情報記憶媒体51内の出力済みのデータとは種別の異なる未出力データや出力形態の異なるデータ出力を要求する出力要求操作入力が可能であることが表示される。さらに、情報記憶媒体51への出力データの自動書き込みが終了するときまでに、情報記憶媒体51中に記憶されている検査機シリアル番号に対応する物品検査装置のうち今回は情報記憶媒体51が接続されていない等の理由でデータ出力可能でも未完了である装置等の一覧情報が表示出力部47から表示出力される。なお、新たな種別や出力形態のデータの出力要求操作入力が可能であることの表示出力は、自動データ出力の開始後でなく、開始前に実行してもよいし、開始前後にそれぞれ実行してもよい。
【0085】
このように、本実施形態では、外部の情報記憶媒体51が接続インターフェース42にアクセス可能に接続されると、その媒体51中の出力データに関連する識別情報が識別情報検出部43により検出され、その識別情報で識別される情報蓄積部24内の蓄積情報の一部が特定される。そして、特定された情報蓄積部24内の蓄積情報の一部が情報抽出部44によって情報蓄積部24または35から抽出され、その抽出された蓄積情報の一部が出力データ作成部45により所定の出力形式の出力データにされ、その出力データが外部の情報記憶媒体51に書き込まれる。したがって、外部の情報記憶媒体51をアクセス可能に接続するだけで、重量選別機12およびX線異物検出機13の検査機毎の、さらにはユーザ毎等の出力要求データを、外部の情報記憶媒体51に容易に自動的に出力させることができる。よって、物品検査システム1におけるデータ出力作業が容易化される。
【0086】
また、本実施形態では、情報記憶媒体51にデータが出力されたことが無く識別情報が記憶されていない場合や、情報記憶媒体51内に識別情報が記憶されていない新たな種別や出力形態のデータ出力を行いたい場合に、手動操作等による出力要求を行って一度必要な出力データを外部の情報記憶媒体51に出力させると、次回からは、その情報記憶媒体51を重量選別機12やX線異物検出機13等の物品検査装置に接続するだけで、対応する出力データを自動出力させることができる。したがって、外部の情報記憶媒体51として専用品でない市販の情報記憶媒体を容易に利用できるし、個々のユーザからの手動による出力要求通りの多様な出力形態で、必要な出力データを的確に出力できることになる。
【0087】
さらに、本実施形態においては、出力データ中に識別情報を包含させ、識別情報検出部43が情報記憶媒体51中の既出力の出力データを参照して識別情報を検出するので、識別情報を別個に作成する必要がないとともに、識別データだけが消失したりすることがなく、出力データの作成時および利用時の双方で作業性がよい。
【0088】
加えて、本実施形態では、出力データ作成部45が、出力データ作成時に情報蓄積部24内の蓄積情報の一部と関連付けた時間情報を作成し、識別情報検出部43が情報記憶媒体51中の識別情報および時間情報を検出するので、時間情報を利用して記憶済みの出力データを補完する未出力のデータのみを抽出して出力させたり、定期的に出力すべき定期情報を的確な出力形態で出力させたりすることが可能になる。
【0089】
そして、識別情報および時間情報を基に出力データを補完する未出力補完データを出力すべき情報蓄積部24内の情報蓄積の一部として抽出する場合、出力データ作成部45が、未出力補完データのみを外部の情報記憶媒体51に追記される出力データとして作成可能となる。この場合、未出力補完データと情報記憶媒体51に書き込み済の出力データとを結合した出力データも作成できる。また、識別情報および時間情報により新たに特定された蓄積情報の一部によって、過去の記憶済みの出力データと未出力補完データの双方を含む最新の単独のファイルに上書きする更新処理も可能である。
【0090】
また、情報記憶媒体51から識別情報および時間情報が検出された場合であって、その識別情報により特定される情報蓄積部24内の蓄積情報の一部が定期的に出力される定期情報であるとき、検出された時間情報に基づいてその定期情報についての最新の出力データの出力時期が到来しているか否かを判定することが可能なる。そして、その判定結果に応じ、情報抽出部44と出力データ作成部45を協働させて、定期情報についての最新の出力データを選択的に出力する構成とすれば、定期的に出力すべき日報、週報、月報等の定期情報を適時に的確な出力形態で出力させることができる。
【0091】
例えば、日時や曜日、予め決められた集計期間を基に出力すべき情報の抽出を行って出力したり、夕方であれば、その日の日報を出力対象にしたりすることができる。
【0092】
さらに、本実施形態では、識別情報が予め設定された重量選別機12やX線異物検出機13の識別コードを含んでいるので、出力が許可させるべき情報記憶媒体以外への誤った出力を未然に確実に防止できる。
【0093】
また、識別情報が外部の情報記憶媒体51中における出力データの格納先フォルダ名、ファイル名または出力データファイル中の特定の識別コード等を含んでいるので、より多様な出力形態で、必要な出力データを作成可能となる。
【0094】
このように、本実施形態においては、情報記憶媒体をアクセス可能に接続するだけで、検査機毎のさらにはユーザ毎等の出力要求データを自動的に出力できるようにして、データ出力作業の容易な物品検査装置を提供することができる。
【0095】
なお、上述の一実施形態においては、外部の情報記憶媒体51を制御部23または34に最初に接続し、初回は必要な情報について手動による出力要求操作を行って、その出力要求操作入力に対応する出力データの作成および書き込み時に対応する識別情報や時間情報を出力させ、次回以降の接続時に未出力の出力データを自動出力させることができるようにしていた。しかし、予め物品検査装置の個別識別コードや特定の蓄積情報の種別を指定する識別コード等が記憶された情報記憶媒体を用いるようにすれば、初回の手動による出力要求操作入力を実行しないでも、予め設定された特定の情報を自動出力させることが考えられる。
【0096】
また、上述の一実施形態においては、物品検査装置として重量選別機12およびX線異物検出機13を例示したが、物品検査装置の検査機能が特定のものに限定されないことはいうまでもない。さらに、本発明が、1台のみの物品検査装置についても、ユーザの多様な出力形態に応じて最適な出力データを出力させることができ、その種別に応じて定期出力情報を適時に自動出力させることができる。
【0097】
以上のように、本実施形態に係る物品検査装置は、情報記憶媒体をアクセス可能に接続するだけで、ユーザが要求する出力要求データを自動的に出力できるようにして、データ出力作業の容易な物品検査装置を提供することができものであり、検査結果を含む情報を蓄積しその蓄積情報を外部に出力する機能を有する物品検査装置全般に有用である。