【解決手段】巻線2Wを巻回してなるコイル2と、前記コイル内に配置される部分を有する磁性コアと、前記巻線の端部2eが直接接合された接合端部を有する導体線8と、前記導体線の他端部に取り付けられて、前記コイルに電力供給を行う外部装置に接続される端子部80とを備えるリアクトル1A。前記磁性コアは、前記コイルから突出され、磁路となるサイド本体部32と、前記サイド本体部の外周の少なくとも一部を覆って前記サイド本体部と前記導体線との間を絶縁するサイド樹脂モールド部320mと、前記サイド樹脂モールド部に設けられ、前記導体線を固定する導体固定部321とを備える外側コア部品320を含む形態とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施の形態の説明]
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。
(1) 実施形態に係るリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、上記コイル内に配置される部分を有する磁性コアと、上記巻線の端部が直接接合された接合端部を有する導体線と、上記導体線の他端部に取り付けられて、上記コイルに電力供給を行う外部装置に接続される端子部とを備える。
【0013】
実施形態のリアクトルにおいて、巻線の端部と導体線とが「直接接合されている」とは、巻線と導体線との間に丸型端子やバスバなどの端子金具を介することなく電気的に接続された状態をいい、半田やロウ材などの巻線や導体線と実質的に不可分な導電性接合材料を含む場合を許容する。
【0014】
実施形態のリアクトルは、丸型端子やバスバといった、ボルトなどの締結部材を貫通する貫通孔が直接設けられた端子金具を介することなく、コイルを構成する巻線の端部と導体線とが直接接合された構成である。この導体線は線材であり、上述の板状のバスバに比較して可撓性に優れていることから、取り回しを容易に行える。そのため、実施形態のリアクトルは、上記導体線を取り回して、導体線の端部に設けられた端子部を外部装置側の端子金具に精度よく配置できる。また、実施形態のリアクトルは、巻線の端部と導体線との接合の際にも、導体線を取り回せるため、両者を容易に接合できる。更に、実施形態のリアクトルは、導体線を押し潰したり、溶融したり、撚線の場合には撚りを解したりなどすることで、導体線における巻線の端部との接合面積、更には端子部との接合面積をも十分に確保できて強固に接合できる。加えて、実施形態のリアクトルは、巻線の端部と導体線との接続部分にボルト及びナットといった締結部材が不要であり、部品点数を削減できる上に、巻線の端部近傍に設けられる接続部分が小型であり、上述の固定部材を別途配置しなくても十分に安定することができる。これらの点から、実施形態のリアクトルは、コイルと外部装置との接続作業性に優れる。
【0015】
(2) 実施形態に係るリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、上記コイル内に配置される部分を有する磁性コアと、上記巻線の端部が直接接合された接合端部を有する導体線と、上記導体線の他端部に取り付けられて、上記コイルに電力供給を行う外部装置に接続される端子部と、上記コイルの設置面に配置される放熱板とを備える。
【0016】
この放熱板を備える実施形態のリアクトルは、上述の(1)の実施形態のリアクトルと同様の効果を奏することに加えて、コイルの設置面とリアクトルの設置対象との間に介在される放熱板をコイルの放熱経路に利用することで、放熱性にも優れる。
【0017】
(3) 実施形態のリアクトルの一例として、上記磁性コアが以下の外側コア部品を含む形態が挙げられる。外側コア部品は、上記コイルから突出され、磁路となるサイド本体部と、上記サイド本体部の外周の少なくとも一部を覆って上記サイド本体部と上記導体線との間を絶縁するサイド樹脂モールド部と、上記サイド樹脂モールド部に設けられ、上記導体線を固定する導体固定部とを備える。
【0018】
上記形態は、導体固定部によって導体線が固定されることで、導体線の過度の移動や揺動が規制されることから、リアクトルの使用時に振動などが与えられても、導体線が過度に移動したり揺動したりすることを抑制できる。そのため、上記形態は、導体線の過度の移動や揺動に起因する巻線と導体線との接合状態の緩みや両者の剥離、巻線の端部への過度の応力付与などを抑制できる。導体固定部は、サイド樹脂モールド部に一体に成形された形態(後述)、サイド樹脂モールド部とは独立した部材であって、サイド樹脂モールド部に取り付けられる形態のいずれでもよい。その他、上記形態は、サイド本体部がサイド樹脂モールド部に覆われていることで、機械的保護、環境からの保護、コイルとの間の絶縁性の向上などを図ることができる。
【0019】
(4) 実施形態のリアクトルの一例として、上述の導体固定部を備える場合に、上記導体固定部が上記サイド樹脂モールド部に一体に成形された形態が挙げられる。
【0020】
上記形態は、導体固定部によって、上述のように導体線の過度の移動や揺動の抑制、上記過度の移動などに起因する不具合の抑制を図ることができる。更に、上記形態は、導体固定部がサイド樹脂モールド部に一体の部材であるため、導体固定部がサイド樹脂モールド部とは独立した別部材である場合に比較して、部品点数を少なくできる上に、小型に成形し易い。また、上記別部材を外側コア部品に取り付けるための部材も不要である。
【0021】
(5) 実施形態のリアクトルの一例として、上記巻線の導体が平角線である形態が挙げられる。
【0022】
上記形態は、巻線における導体線との接合面積を十分に確保することができ、巻線の端部と導体線との接合作業性に優れる。
【0023】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
【0024】
[実施形態1]
図1〜
図5を参照して、実施形態1のリアクトル1Aを説明する。
【0025】
(リアクトル)
・全体構成
リアクトル1Aは、
図1に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなるコイル2と、コイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3とを備える。リアクトル1Aは、コンバータケースなどの設置対象(図示せず)に取り付けられて使用される。例えば、後述するように液体冷媒4L(
図5)に直接曝される箇所に取り付けられて使用される。実施形態1のリアクトル1Aは、コイル2を構成する巻線2wの端部2eに、丸型端子やバスバといった端子金具を介することなく、導体線8が直接接合されている点を特徴の一つとする。以下、リアクトル1Aの主要な構成部材であるコイル2及び磁性コア3の概略、特徴点であるコイル2と導体線8との接続構造及び特徴点に基づく主要な効果をまず説明し、その後、リアクトル1Aの使用例や各構成の詳細を順に説明する。
【0026】
・コイルの概略
この例に示すコイル2は、
図1〜
図3に示すように一対のコイル素子2a,2bと、両コイル素子2a,2bを接続する連結部2rとを備える。各コイル素子2a,2bは、巻線2wを螺旋状に巻回して形成された筒体(ここでは角部を丸めた矩形筒状体)である。各コイル素子2a,2bは、各軸方向が平行するように並列(横並び)されている。連結部2rは、コイル素子2a,2bを形成する巻線2wの一部がU字状に屈曲されて形成されている。
【0027】
巻線2wは、銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金といった導電性に優れる金属からなる導体と、その外周に設けられた絶縁材料(代表的にはポリアミドイミド)からなる絶縁被覆(図示せず)とを備える被覆線を好適に利用できる。導体は、平角線や丸線などが挙げられる。この例に示す巻線2wは、導体が平角線である被覆線であり、コイル素子2a,2bはエッジワイズコイルである。
【0028】
巻線2wの両端部2e,2eはいずれも、コイル素子2a,2bのターン部分から引き出されている。この例では、両端部2e,2eは、コイル素子2a,2bの一端面(
図1では紙面手前の面)からその軸方向に引き出されて、磁性コア3(ここでは後述する外側コア部品320)の外形から突出している(
図5の側面図も参照)。これら巻線2wの両端部2e,2eは、導体線8,8がそれぞれ接合される領域として機能する。両端部2e,2eは絶縁被覆が剥がされて導体(ここでは平角線)が露出されており、この導体部分に導体線8,8が接合されている。
【0029】
・磁性コアの概略
この例に示す磁性コア3は、
図4に示すように一対の柱状のミドル本体部31,31と、一対の柱状のサイド本体部32,32とを主体とし、これらの本体部31〜32は、主として軟磁性材料によって構成されて磁路を構築する。各ミドル本体部31,31はそれぞれ、横並びされたコイル素子2a,2b内に挿通配置されて、コイル2内に配置される部分として利用される。各サイド本体部32,32はそれぞれ、コイル2が実質的に配置されずにコイル2から突出された部分である。横並びされた両ミドル本体部31,31を繋ぐようにサイド本体部32,32を組み付けて、これらの本体部31〜32は環状に配置される。この例に示す磁性コア3は、これらの本体部31〜32の少なくとも一つと、その外周を覆う樹脂とを備える複数のコア部品を備える。具体的には、
図3に示すように一対の柱状のミドル本体部31,31と一方のサイド本体部32とが樹脂によってU字状に一体成形されたU字コア部品30Uと、他方のサイド本体部32が樹脂で覆われた外側コア部品320とを備える。各コア部品30U,320の詳細は後述する。
【0030】
・導体線
導体線8は、コイル2と、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)との間を電気的に接続する導電部材であり、その一端部を巻線2の端部2eが接合される接合端部とし、その他端部に端子部80(後述)が取り付けられる接続領域を備える。導体線8は、銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金といった導電性に優れる金属によって構成された単一の線材、又は複数の線材を撚り合わせた撚線、又は撚線を圧縮成形した圧縮線が挙げられる。撚線や圧縮線は、単線に比較して曲げ易く可撓性に優れることから、取り回しをより容易に行える。単線でも、細径であったり、軟銅といった伸びに優れる材質であったりするものであれば、可撓性に優れて取り回しを良好に行える。
【0031】
導体線8が単線や圧縮線の場合には、導体線8は、断面円形状の丸線が代表的である。導体線8が撚線の場合には、導体線8は、撚線を構成する各素線の形状に応じた断面形状を有する。各素線は、断面円形状の丸線が代表的である。丸線(単線)や丸線を用いた撚線は、矩形状などの角張った断面形状を有する線材や上述のバスバと比較して曲げ易く可撓性に優れることから、取り回しを容易に行える。
【0032】
導体線8の線径(外径)は、所望の導体断面積(巻線2wの導体断面積と同等又はそれ以上)を有するものを利用することができる。導体線8の長さは、少なくとも導体線8に接続される端子部80(後述)を外部装置側の端子金具に容易に配置可能な長さとする。更に余長を見込むことで、導体線8の取り回しを容易に行えて好ましい。導体線8の長さは、余長が邪魔にならない程度に調整する。導体線8には、公知の導体用線材、市販の導体用線材を利用することができる。
【0033】
導体線8は、
図1に示すように絶縁被覆を有していない裸線でも利用できる。その他、導体線8として、導体(図示せず)と、この導体の外周に設けられた絶縁層(図示せず)とを備える電線(図示せず)を利用することができる。電線に備える導体を導体線8として利用することで、磁性コア3(特にサイド本体部32)及びリアクトル1Aの周辺部品(図示せず)と導体線8との間の絶縁性を高めたり、導体線8の機械的保護や環境からの保護(例えば、液体冷媒4Lなどとの接触による腐食防止)を図ったりすることができる。
【0034】
絶縁層の構成材料、厚さは、所望の絶縁強度を考慮して適宜選択することができる。構成材料は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン系樹脂をベースとしたハロゲンフリーの樹脂組成物、難燃性組成物などの絶縁材料が挙げられる。絶縁層の厚さは、例えば、0.1mm以上1mmm以下程度が挙げられる。公知の電線、市販の電線を利用することができる。
【0035】
電線を用いる場合には、電線の各端部において絶縁層を剥がして導体(導体線8)を露出させて、巻線2w(の導体)や端子部80を電気的に接続可能にする。電線の一端部において絶縁層が除去された部分を巻線2wの端部2eとの接合領域(接合端部)とし、他端部において絶縁層が除去された部分を端子部80との接続領域とする。絶縁層が除去された露出部分の大きさは、巻線2wとの接合及び端子部80との接続に必要な大きさを有し、かつ絶縁層を備える効果(上述)を損なわない程度に適宜選択するとよい。
【0036】
・端子部
端子部80は、外部装置側の端子金具に接続される導電部材であり、同端子金具に接続可能であれば、種々の材料、形状、大きさのものが利用できる。代表的には、端子部80は、銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金といった導電性に優れる金属によって構成された金属板を
図1などに示すように所定の大きさ、形状に打ち抜いた板材が挙げられる。このような端子部8は、従来のバスバと同様にして製造することができる。
【0037】
この例に示す端子部80は、長方形状の平板に丸い貫通孔80hを有する導電板であり、一端側領域を導体線8との接続領域とする。貫通孔80hには、端子部80と外部装置側の端子金具とを接続するボルトなどの締結部材(図示せず)が挿通される。
【0038】
・コイルと導体線との接続構造
コイル2を構成する巻線2wの端部2eと導体線8との接合には、抵抗溶接、レーザ溶接、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接などの各種の溶接、半田付け、ロウ付け、圧着、振動溶着などを利用することができる。列挙した接合方法によって、バスバなどの端子金具を介することなく、巻線2wの構成材料と導体線8の構成材料とが直接接合される、又は半田などの導電性接合材料を含んで実質的に直接接合される。ここでは、抵抗溶接を行っている。
【0039】
コイル2を構成する巻線2wの端部2eと導体線8との接合面積は、適宜選択することができ、大きいほど、両者を強固に接合できる。巻線2wや導体線8の導体断面積(横断面積)と接合面積とが同程度以上であると、両者を強固に接合できると期待される。
【0040】
導体線8と端子部80との接続にも、上述の各種の接合方法を利用して、導体線8と端子部80とが直接接合された形態とすると、締結部材などが不要であり、締結部材の利用に伴う上述の不具合が生じずに好ましい。ここでは、抵抗溶接を行っている。導体線8と端子部80との接続は、コイル2を構成する巻線2wの端部2eと導体線8との接合前でも、接合後でもいずれに行ってもよい。巻線2wと導体線8との接合と、導体線8と端子部80との接合とに同じ接合方法を利用する場合には、連続して行うと作業性がよい。
【0041】
コイル2を構成する巻線2wの端部2eと導体線8との接合箇所、及び導体線8と端子部80との接合箇所は、
図1に示すようにそのままでもよいが、その外周を絶縁材料(図示せず)で覆うと、上記接合箇所とリアクトル1Aの周辺部品との間の絶縁性を高められる。例えば、上記接合箇所に絶縁テープなどを巻回すると、上記接合箇所の外周に絶縁層を容易に形成できる。
【0042】
(リアクトルの製造方法)
リアクトル1Aは、代表的には、組合体10の作製⇒コイル2と導体線8との接合、という過程を経て製造することができる。具体的には、コイル2、磁性コア3(ここでは、U字コア部品30U,外側コア部品320)、導体線8を用意する。
図3に示すようにコイル2と磁性コア3とを組み付けて組合体10を作製する。この例では、U字コア部品30Uにコイル2を支持させた状態でU字コア部品30Uと外側コア部品320とを接続可能であり、組み付け作業を容易に行える。また、この例では、両コア部品30U,320がスライド連結部303s,323s(後述)を有することで、両コア部品30U,320の位置決めを精度よく行えながら、コイル2と磁性コア3とを容易に組み付けられる。更に、この例では、磁性コア3の主要構成部品がU字コア部品30Uと外側コア部品320との二つであるため、磁性コア3の組立部品点数が少なく、組立作業性に優れる。
【0043】
なお、コイル2と導体線8とを接合してから組合体10を作製してもよいが、上述のように組合体10を先に作製すると、コイル2と磁性コア3との組み付けにあたり、導体線8(特に外側コア部品320に固定されていない端子部80側領域)が邪魔にならず、組立作業性に優れる。また、組合体10の作製後にコイル2と導体線8との接合を行うことで、上記組み付けにあたり、コイル2と導体線8との接合箇所を損傷する恐れもない。
【0044】
(主要な効果)
リアクトル1Aは、以下の理由によって、コイル2と外部装置との接続作業性に優れる。
(1) 端子部80が接合された導体線8を、コイル2と外部装置とを電気的に接続する介在部材にすることで、導体線8が板状のバスバよりも可撓性に優れるため、このバスバを介在部材にする場合と比較して、導体線8を適宜折り曲げるなどして、端子部80を所望の位置に容易に、かつ精度よく配置できる。
(2) 導体線8が可撓性に優れるため、コイル2を構成する巻線2wの端部2eと導体線8との接合時にも導体線8を容易に取り回せるため、この接合も容易に行える。この例では、特に巻線2wの導体が平角線であることで接合面積を十分に広く確保できる点からも、上記接合を容易に行える。
(3) コイル2を構成する巻線2wの端部2eと導体線8との電気的接続にあたり、ボルトなどの締結部材が不要であり、部品点数を削減できる。
【0045】
その他、リアクトル1Aは、導体線8を取り回すことでコイル2などの公差を導体線8の撓みで十分に吸収することができる。従って、リアクトル1Aは、コイル2と外部装置との接続を高精度に行える上に、この接続に起因するコイル2への不可避的な応力付与を回避できる。また、導体線8は可撓性に優れるものの金属を主体とすることから、曲げなどを行うと塑性変形によってある程度その形状を維持できる。曲げの一例を
図2に二点鎖線で示す。例えば、導体線8において、接合端部及び端子部80の接続箇所を除く中間部分を外側コア部品320の外表面に沿わせて屈曲させると、リアクトル1Aの使用時に振動が加えられても、導体線8自体の過度の移動を抑制できると期待される。この点から、リアクトル1Aは、導体固定部321(後述、
図1など)を有していなくても、コイル2を構成する巻線2wの端部2eと導体線8との接合状態を良好に維持できると期待される。
【0046】
(使用状態)
図5を参照してリアクトル1Aの使用状態の一例を説明する。
図5は、分かり易いように冷却ケース4を断面で示し、リアクトル1Aは側面を示す。リアクトル1Aは、例えば、コイル2と磁性コア3との組合体10が冷却ケース4に収納され、ケース4内に固定されて利用される。ケース4は、その内部に液体冷媒4Lが供給及び排出される容器であり、液体冷媒4Lをケース4内に供給する供給口40iと、ケース4内の液体冷媒4Lをケース4外に排出する排出口40oと、組合体10を収納しかつ液体冷媒4Lを貯留可能な空間と、組合体10を固定する固定部(ここではボルト45が取り付けられるボルト穴を有するボス42)とを備える。液体冷媒4Lは、外部の冷却器(図示せず)によって適宜冷却され所定の温度にされて、ポンプなどの供給機構(図示せず)によって供給口40iからケース4内に供給される。ケース4内に導入された液体冷媒4Lは、組合体10に接触して、リアクトル1Aを冷却する。組合体10に接触して昇温した液体冷媒4Lは、排出口40oからケース4外へ排出され、上述の冷却器などに戻される。このように適宜な供給機構を利用することで、液体冷媒4Lをケース4内に循環供給することができる。
【0047】
図5に示す例では、冷却ケース4は、断面矩形状の容器であり、平面で構成される取付面(内底面)41に組合体10が載置される領域と、組合体10の取付部305,325(後述)が配置される複数のボス42(ここでは4個)とを有する。取付部305,325のボルト孔305h,325h(
図3)と、ボス42のボルト穴とに連通するようにボルト45をそれぞれねじ込むことで、ケース4内に組合体10を固定できる。ケース4は、ボス42を有していない場合がある。ボス42を有することで、ケース4の底面全体を厚くしなくても、ボルト45の締結長を十分に確保でき、組合体10を強固に固定できる。このようなケース4は、例えば、コンバータケースに一体に形成される。
【0048】
この例に示すリアクトル1Aは、その設置面(ここではコイル2の下面,U字コア部品30Uの下面及び外側コア部品320の下面)と冷却ケース4の取付面41との間に介在される接合層62(後述)を備える。この接合層62によって、ボルト45による固定に加えて、組合体10とケース4とを強固に固定することができる。特に、この例に示すリアクトル1Aの設置面は、実質的に平面で構成されていることから(後述)、ケース4の取付面41に面接触することができ、組合体10が安定して固定される。また、上記設置面が平面的であることで、接合層62との接合面積を十分に確保できることからも、組合体10は安定して固定される。更に、上述のように面接触できることから、ケース4を金属製とする場合、リアクトル1Aの熱をケース4に良好に伝えられてケース4を放熱経路に利用できる。そのため、この形態は、放熱性に優れる。なお、
図5では分かり易いように接合層62を誇張して厚く示しているが、実際には薄くてよい。
【0049】
供給口40i及び排出口40oの開口部の大きさ、形成箇所は、適宜選択できる。これらを調整したり、液体冷媒4Lの輸送条件などを調整したりすることで、例えば、組合体10を液体冷媒4Lに浸漬させた状態としたり(
図5)、組合体10が順次供給された液体冷媒4Lに接触できる状態としたりすることができる。ここでは、組合体10を冷却ケース4に収納して固定した状態において、供給口40iをケース4の上方(組合体10から離れる側)に設け、排出口40oをケース4の取付面41の近く(組合体10の固定領域の近く)に設けている。また、排出口40oの口径φ
oを供給口40iの口径φ
iよりも小さくし、組合体10におけるケース4の取付面41との接触領域を除く実質的に全体が液体冷媒4Lに常時浸漬されるようにしている。
【0050】
冷却ケース4の構成材料は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金といった金属が挙げられる。金属は、熱伝導率が一般に高く放熱性に優れる、組成によっては液体冷媒4Lに対する耐食性や耐薬品性に優れる、耐熱性に優れる、機械的強度に優れるといった利点を有する。一方、ケース4の構成材料は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂といった非金属材料が挙げられる。樹脂は、軽量である他、組成によっては液体冷媒4Lに対する耐食性や耐薬品性に優れるといった利点を有する。
【0051】
液体冷媒4Lは、リアクトル1Aの使用時の最高到達温度によって形態が変化しないもの(気化しないもの)であると、冷却能力が高く、好適に利用できる。具体的には、オートマチックトランスミッションの潤滑油であるATF(Automatic Transmission Fluid)、フロリナート(登録商標)などのフッ素系不活性液体、HCFC−123やHFC−134aなどのフロン系冷媒、メタノールやアルコールなどのアルコール系冷媒、アセトンなどのケトン系冷媒などが挙げられる。リアクトル1Aが自動車などの車両の車載用部品といった用途では、ATFを流用すると、液体冷媒4Lを別途用意しなくてよく、ATFの循環供給機構を利用して、液体冷媒4Lによるリアクトル1Aの放熱構造を簡単に形成できる。
【0052】
リアクトル1Aがこのような液体冷媒4Lが供給される環境に設置される場合、その実質的に全体が液体冷媒4Lに接触できる。特にリアクトル1Aの使用時に発熱するコイル2が液体冷媒4Lに直接接触できるため、液体冷媒4Lの高い冷却能力を利用して効果的に放熱でき、放熱性に優れる。なお、導体線8が裸線の場合には、液体冷媒4Lとの接触個所を、絶縁テープを巻回するなどして絶縁材料で覆うことが好ましい。
【0053】
(構成の詳細など)
以下、リアクトル1Aの各構成の詳細、その他の利用可能な構成などを列挙して説明する。
【0054】
・コイル
コイル2は、代表的には、接続部の無い1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回して構成される。各コイル素子2a,2bは互いに同一の巻数であり、両コイル素子2a,2bは電気的に直列に接続される。コイル素子2a,2bの端面形状は、上述の角筒状などの他、円環状など、適宜変更することができる。
【0055】
各コイル素子を別々の巻線によって作製し、各コイル素子の巻線の他端部同士を上述の各種の溶接や半田付け、圧着などによって直接接合されたコイルや、別途用意した連結部材(例えば、板材)を介して接合されたコイルとすることができる。
【0056】
・磁性コア
この例に示す磁性コア3は、上述のように磁路を構築する部分(ここではミドル本体部31,31、サイド本体部32,32)が樹脂(ここでは連結樹脂モールド部30m、サイド樹脂モールド部320m)で覆われたコア部品を構成要素とする。具体的には、磁性コア3は、コイル2の一端(
図3では左端)から露出される外側コア部品320と、コイル2内に配置される部分を有するU字コア部品30Uとを備える。まず、
図4を用いて磁性コア3の主体となるミドル本体部31及びサイド本体部32を説明し、
図3を用いてコア部品を説明する。
【0057】
・・ミドル本体部、サイド本体部
この例に示すミドル本体部31,31はそれぞれ、軟磁性材料を用いた複数のコア片31mと、コア片31mよりも比透磁率が低い材料から構成される複数のギャップ材31gとの組物である。この例に示すサイド本体部32,32は、軟磁性材料を用いたコア片32mである。ここでは、各コア片31m,32mは、軟磁性金属粉末を用いた圧粉成形体としている。ギャップ材31gには、アルミナなどの非金属無機材料や不飽和ポリエステルなどの樹脂といった非金属有機材料に代表される非磁性材料の他、鉄粉などの軟磁性材料と樹脂などの非磁性材料とを混合した低透磁率材などが利用できる。
【0058】
磁性コア3において磁路を構築する部分は、ギャップ材31gを備える形態の他、エアギャップを備える形態、コア片31m,32mの比透磁率によってはギャップを備えていない形態(ギャップレス構造)とすることができる。コア片31m,32m及びギャップ材31gの数は適宜選択することができ、
図4は例示である。ギャップ材31gは、連結樹脂モールド部30m(
図3)の構成樹脂によってコア片31mと一体に保持可能であるが、適宜、接着剤や粘着テープなどでコア片31mとギャップ材31gとを接合することができる。この接合によって樹脂モールド部30mの形成にあたり、コア片31mとギャップ材31gとの組物が取り扱い易い上に、強固な固定状態が維持できる磁性コア3とすることができる。
【0059】
コア片31m,32mの主成分である軟磁性材料には、鉄や鉄合金(Fe−Si合金など)といった金属、フェライトといった非金属などが挙げられる。コア片31m,32mは、上記軟磁性材料からなる軟磁性粉末を用いた成形体や、絶縁被膜を有する電磁鋼板を複数積層した積層体を利用できる。上記成形体は、圧粉成形体(圧粉磁心)の他、焼結体、軟磁性粉末と樹脂とを含む複合材料などが挙げられる。
【0060】
圧粉成形体は、代表的には、上記軟磁性材料と、適宜バインダ(樹脂など)や潤滑剤とを含む原料粉末を成形した後、成形に伴う歪みの除去などを目的とした熱処理を施して得られる。この熱処理によってバインダや潤滑剤は代表的には消失されることから、圧粉成形体は、複合材料よりも飽和磁束密度及び比透磁率が高いものを得易い。
【0061】
複合材料は、射出成形などを利用することで、複雑な立体形状であっても、容易に成形できる。複合材料中のバインダとなる樹脂は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂などの熱可塑性樹脂を利用することができる。複合材料中の軟磁性粉末の含有量は、複合材料を100体積%とするとき、20体積%以上75体積%以下、更に30体積%以上65体積%以下が挙げられる。残部は、主として上記樹脂といった非金属有機材料が挙げられる。残部は、上記樹脂に加えて更にアルミナやシリカなどのセラミックスといった非金属無機材料などを含むことができる(例えば、複合材料を100体積%として0.2体積%以上20体積%以下)。複合材料は、軟磁性粉末、樹脂、非金属無機材料などの配合量を調整することで、磁気特性を容易に調整することができる。複合材料は、樹脂などの非磁性材料を含むことで、比透磁率が低いものを得易い。複合材料からなるコア片を含むミドル本体部31の表面やサイド本体部32の表面に連結樹脂モールド部30mなどの樹脂モールド部を成形する場合には、複合材料中の樹脂は、樹脂モールド部の成形時の熱や圧力などで劣化などし難いものを適宜選択するとよい。
【0062】
磁性コア3において磁路を構築する部分は、ギャップ材を除いて一様な材料からなる形態の他、コア片の構成材料、製造方法などを適宜変更して、磁気特性が異なる形態とすることができる。例えば、ミドル本体部31とサイド本体部32との磁気特性が異なる形態とすることができる。
【0063】
この例では、ミドル本体部31を直方体状、サイド本体部32を、その端面(
図4では上下面)がドーム形状である異形柱状体としているが、形状は適宜変更することができる。例えば、ミドル本体部31を円柱状など、サイド本体部32を直方体状などとすることができる。その他、磁路を構築する部分は、一対のミドル本体部31と一方のサイド本体部32とが一体に成形されたU字状体、一方のミドル本体部31と一方のサイド本体部32とが一体に成形されたL字状体などとすることができる。
【0064】
この例に示すリアクトル1Aは、設置状態でみると、サイド本体部32,32における設置対象に載置される側の領域(
図4において下方側の領域)がミドル本体部31,31よりも突出している。より具体的には、両サイド本体部32,32の設置面(
図4では下面)と、コイル2の設置面(
図2では下面)とが概ね面一となるように、サイド本体部32,32の大きさが調整されている(
図5の側面図も参照)。両サイド本体部32,32の設置面は、連結樹脂モールド部30m、サイド樹脂モールド部320m(
図3)の構成樹脂によって覆われており、U字コア部品30U、外側コア部品320の設置面は、上記構成樹脂で形成された平面としている。上記設置面を覆う構成樹脂の厚さは、2mm未満と薄く、両サイド本体部32,32は、ミドル本体部31,31よりも十分に突出している(
図3)。リアクトル1Aの設置面は、コイル2の設置面とサイド本体部32,32の設置面を覆う樹脂とで構成され、ここでは実質的に平面である。従って、リアクトル1Aは、コイル2だけでなく、磁性コア3(特にサイド本体部32,32)も設置対象に面支持される。
【0065】
一方、両サイド本体部32,32の設置面と対向する面(
図4では上面)は、ミドル本体部31,31と実質的に面一になるように、サイド本体部32,32の大きさが調整されている(
図5の側面図も参照)。そのため、コイル2を構成する巻線2wの端部2e及び連結部2rがサイド本体部32,32に邪魔されることなく、各サイド本体部32,32の上方に容易に配置させられる。
【0066】
・・連結樹脂モールド部、サイド樹脂モールド部
・・・構成材料
連結樹脂モールド部30m及びサイド樹脂モールド部320mの構成材料には、適宜な樹脂を利用できる。特に、磁性コア3は、コイル2の近傍に配置されることから、上記構成材料は絶縁性樹脂が好ましい。具体的な樹脂は、PPS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6、ナイロン66、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。上記樹脂に、窒化珪素(Si
3N
4)、アルミナ(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ほう素(BN)、炭化珪素(SiC)、ムライトなどのセラミックスからなるフィラーを含有することができる。列挙したセラミックスのフィラーを1種以上含有する樹脂とすることで、連結樹脂モールド部30m及びサイド樹脂モールド部320mの放熱性や絶縁性などを高められる。フィラーの組成によっては、振動・騒音抑制効果も期待できる。
【0067】
・・・被覆領域
U字コア部品30Uにおける連結樹脂モールド部30mによる被覆領域、及び外側コア部品320におけるサイド樹脂モールド部320mによる被覆領域は、適宜選択することができ、各樹脂モールド部30m,320mはミドル本体部31及びサイド本体部32の少なくとも一部を覆う。上記被覆領域が大きいほど、樹脂モールド部30m,320mを備える効果を得易い。即ち、ミドル本体部31やサイド本体部32の機械的保護、環境からの保護(例えば、液体冷媒4Lなどとの接触による腐食防止)、コイル2との間の絶縁性の向上、導体線8との間の絶縁性の向上などを図ることができる。
【0068】
この例に示すU字コア部品30Uでは、連結樹脂モールド部30mは、一方のサイド本体部32の内端面32e(
図4)と一対のミドル本体部31,31の一方の端面31e,31eとを
図4の矢印に示すように接合させて、U字状に組み付けた中間部品に対して、その全周を実質的に覆っている。そのため、U字コア部品30Uでは、各ミドル本体部31,31の他方の端面31e,31eと、サイド本体部32の内端面32eの一部とが連結樹脂モールド部30mの構成樹脂によって覆われて、この構成樹脂からなる端面30eが形成されている。ミドル本体部31,31の他方の端面31e,31eを覆う上記構成樹脂は、一般に非磁性材料であるため、ギャップ材として機能する。
【0069】
この例に示す外側コア部品320では、他方のサイド本体部32の内端面32eの一部(ミドル本体部31,31の端面31e,31eを覆う樹脂の端面30e,30eが接合される領域)がサイド樹脂モールド部320mに覆われず露出され、残部がサイド樹脂モールド部320mに覆われている。即ち、この例では、他方のサイド本体部32と連結樹脂モールド部30mの構成樹脂とが接合される。樹脂同士の接合ではなく、コア片と樹脂との接合とすることで、樹脂モールド部の成形公差に起因する接合箇所の誤差を低減し易く、U字コア部品30Uと外側コア部品320とを精度よく一体化することができる。ひいては、ミドル本体部31,31とサイド本体部32,32とを精度よく一体化することができ、所望のインダクタンスを良好に有することができる。
【0070】
外側コア部品320も、U字コア部品30Uと同様に、サイド本体部32の全体がサイド樹脂モールド部320mに覆われた形態とすることができる。また、U字コア部品30U及び外側コア部品320の一部、例えば設置面の一部などに樹脂モールド部を有しておらず、サイド本体部32などが露出された形態とすることができる。
【0071】
・・・厚さ
連結樹脂モールド部30mの構成樹脂の厚さ、サイド樹脂モールド部320mの構成樹脂の厚さはいずれも、適宜選択することができる。ここでは、連結樹脂モールド部30mにおける上述のU字状の中間部品の各面を覆う上記構成樹脂の厚さを概ね一様にしている。また、サイド樹脂モールド部320mにおけるサイド本体部32の各面を覆う上記構成樹脂の厚さを概ね一様にしている。その他、上記中間部品の面ごとやサイド本体部32の面ごとに、各面を覆う上記構成樹脂の厚さを異ならせることができる。例えば、サイド本体部32の設置面を覆う上記構成樹脂の厚さを他の面よりも薄くしたり、ミドル本体部31の端面31eを覆って上記ギャップ材として機能する上記構成樹脂の厚さを所望のギャップ長に応じて厚く又は薄くしたりすることができる。
【0072】
・・・導体固定部
この例に示す外側コア部品320は、サイド樹脂モールド部320mに導体線8を固定する導体固定部321を備える(
図1、
図3)。導体固定部321は、上述の接合に必要な導体線8の取り回しを可能にしながら、導体線8の過度の移動や揺動を規制する機能を有する。この機能を奏するように、導体固定部321は、導体線8の長手方向の中間部における任意の一部を保持可能な形状とするとよい。この例に示す導体固定部321は、導体線8を挟持可能なC字状の把持部としている。C字状の把持部は、外側コア部品320の外方に向かって(
図3では左側に向かって)開口しており、外側コア部品320の外方から導体線8の中間部を容易に挟み込ませられる。
図3に示す開口方向は例示であり、例えば、C字状の把持部を
図3において紙面手前側又は紙面奥側に向かって開口させることができる。
図3に示す例では、導体固定部321がサイド樹脂モールド部320mに一体に成形された形態としているため、導体固定部321を備えていながらも、(1)部品点数が増えず、外側コア部品320に取り付ける工程も不要である、(2)導体固定部が別部材である場合よりも小型にし易い、(3)導体線8が外側コア部品320に対して移動し難く、導体線8の過度の移動などを規制し易い、といった効果を奏する。その他、導体固定部321は、貫通孔を有する筒状体や環状体などとすることができる。導体固定部321を、貫通孔を有する形態とすると、リアクトル1Aの使用時に振動などが付与されても、外側コア部品320による導体線8の固定状態が解除され難く、導体線8の過度の移動などをより確実に規制し易い。この貫通孔の形態では、導体線8を導体固定部321の貫通孔に挿通してから、コイル2と導体線8との接合、又は導体線8と端子部80との接続を行うとよい。
図3では、1本の導体線8に対して、一つの導体固定部321を備える場合を示すが、複数の導体固定部321を備える形態とすることができる。
【0073】
・・・スライド連結部
その他、この例に示すU字コア部品30U及び外側コア部品320は、相互に係合するスライド連結部303s,323sを備える。スライド連結部303s,323sは、コイル2の軸方向及びコイル素子2a,2bの横並び方向(
図3では左右方向)の双方向に直交する方向(
図3では上下方向)にU字コア部品30U及び外側コア部品320をスライドさせることで両者の機械的な連結を可能にする部分である。この例では、U字コア部品30Uに備えるスライド連結部303sを上下方向に延びる溝とし、外側コア部品320に備えるスライド連結部323sを上下方向に延び、上記溝に嵌め込まれる突条としているが、両者が逆でもよい。また、この例では、
図3の上方から、U字コア部品30Uのスライド連結部303s(溝)を外側コア部品320のスライド連結部323s(突条)に沿わせたときに、U字コア部品30Uの位置決めを行う当たり止め突起(図示せず)を外側コア部品320の端面に備える。当たり止め突起は、外側コア部品320の端面からミドル本体部31側に向かって突出する突条であり、両コア部品30U,320を連結したとき、U字コア部品30Uの下方縁に接するように設けられている。この当たり止め突起に当接するまで、U字コア部品30Uを外側コア部品320に対してスライドすることで、両コア部品30U,320を容易に環状に組み付けられる。また、この連結によって両コア部品30U,320は、環状に組み付けた状態を維持できる。
【0074】
スライド連結部303s,323sによる機械的な係合だけでもよいが、更に接着剤などを適宜用いて、両コア部品30U,320を接合すると、より強固な一体物とすることができる。この例では、係合前にU字コア部品30Uの端面30eや外側コア部品320のサイド本体部32の内端面32eなどにシート状の接着剤を配置したり、接着剤を塗布やスプレーなどして接着剤層を形成したり、係合後にU字コア部品30Uの端面30eと外側コア部品320の端面(サイド本体部32の内端面32e)との間に液状の接着剤を充填したりして、その後、適宜硬化するとよい。接着剤は、(1)エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂、(2)PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂、(3)ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、エポキシアクリレートなどの紫外線(光)硬化型樹脂などの樹脂を主体としたもの、特に絶縁性樹脂を主体としたものが好適に利用できる。紫外線硬化型樹脂は、硬化に加熱が不要であり、コイル2や磁性コア3(特に連結樹脂モールド部30m,サイド樹脂モールド部320m)が接着剤の硬化に伴う熱を受けることを防止できる。従って、コイル2や磁性コア3(特に樹脂モールド部30m,320m)の熱損傷を抑制できる。コイル2と磁性コア3とを接着剤で接合してもよい。
【0075】
・・・取付部
その他、この例に示すU字コア部品30U及び外側コア部品320はそれぞれ、設置対象への取付部305,325を備える(
図5の側面図も参照)。ここでは、取付部305,325は、U字コア部品30Uのサイド本体部32の外方、及び外側コア部品320の外方に突出した突片であり、ボルト45(
図5)が挿通されるボルト孔305h,325hを備える。取付部305,325の個数(ここでは合計4個)、形成位置は適宜選択することができる。ここでは、取付部305,325はサイド本体部32,32における上下方向の中間部に設けられているが、例えば、U字コア部品30U及び外側コア部品320の設置面と面一になるように下方側に設けることができる。ここでは、ボルト孔305h,325hは、金属筒で形成している。金属筒は、連結樹脂モールド部30m、サイド樹脂モールド部320mの構成樹脂よりも高強度であるため、ボルト45からの締付力を十分に受けられる。
【0076】
・・・仕切り部
その他、この例に示すU字コア部品30U及び外側コア部品320はそれぞれ、サイド本体部32の内端面32eを覆う樹脂から構成される端面30eから突出し、コイル2を組み付けたとき、コイル素子2a,2b間に介在される仕切り部307,327を備える(
図3)。仕切り部307,327によって、コイル素子2a,2b間の絶縁性を高められる。
【0077】
上述の導体固定部321、スライド連結部303s・323s、取付部305・325、及び仕切り部307・327の少なくとも一つを省略することができる。例えば、スライド連結部303s・323sを省略することができる。又は、スライド連結部303s・323sに代えて、別の係合機構を備えることができる。連結樹脂モールド部30m及びサイド樹脂モールド部320mは、上述の種々の部材が一体成形された複雑な外形を有していても、インサート成形などの射出成形を利用することで容易に成形可能である。連結樹脂モールド部30mの成形は、
図4に示すように一方のサイド本体部32と一対のミドル本体部31,31とをU字状に組み付けた中間部品を中子としてインサート成形などを行うとよい。サイド樹脂モールド部320mの成形は、他方のサイド本体部32を中子としてインサート成形などを行うとよい。
【0078】
・接合層
リアクトル1Aは、その設置面のうち、少なくともコイル2の設置面に接合層62(
図5)を備える形態とすることができる。特に接合層62は、リアクトル1Aの設置面の実質的に全域に対して設けられていると、上述のように設置対象に対する安定した固定や放熱性の向上などが期待できて好ましい。接合層62の構成材料は、代表的には、リアクトル1Aの使用時における最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有する樹脂(接着剤)が好ましく、更にリアクトル1Aと設置対象との絶縁性を高めるために絶縁性樹脂が好ましい。具体的な樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性の絶縁性樹脂が挙げられる。この絶縁性樹脂に、上述のセラミックスのフィラーが含有された形態とすると、放熱性や絶縁性などを向上させられる。接合層62の熱伝導率は、0.1W/m・K以上、更に1W/m・K以上、特に2W/m・K以上であると、熱伝導性に優れて好ましい。接合層62は、例えばシート状のものを用いたり、塗布やスプレーしたりして形成するとよい。リアクトル1Aを設置対象に接合するまでの間には、接合層62の表面に離型材を取り付けておくと、接合層62の表面を清浄に維持できて好ましい。設置対象にリアクトル1Aを設置するときに離型材を外し、接着剤に応じた硬化処理(不要な場合もある)を行うとよい。
【0079】
接合層62を備えることで、ボルト45による締結などを省略した形態としても、リアクトル1Aを設置対象に十分に固定できる。また、接合層62によってコイル2を設置対象に固定できることで、リアクトル1Aの使用時に振動などが与えられた場合でもコイル2が伸縮したり、コイル2のターン同士が擦れ合ったりするなどの挙動を防止できる。特に、この例では、コイル素子2a,2bの全長に亘って接合層62を備えることで、上述のコイル2の挙動をより防止できる。更に、この例に示すリアクトル1Aでは、コイル素子2a,2bがエッジワイズコイルであることから占積率が高く小型である上に、角筒状であるためコイル2の設置面を平面状にし易く、コイル2と設置対象との接触面積を大きく確保し易い。この点から、コイル2と設置対象とを接合層62によって十分に固定できる。接合層62の厚さ(設置前)は、2mm未満、更に1mm以下、特に0.5mm以下が挙げられる。リアクトル1Aを設置した後では、接合層62の厚さが薄くなる(例えば、0.1mm程度となる)場合がある。
【0080】
・センサ
リアクトル1Aの動作時の物理量を測定するためのセンサ7を備える形態とすることができる(
図3)。センサ7は、例えば、温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサ、加速度センサなどが挙げられる。この例に示すセンサ7は、サーミスタといった感熱素子を備える温度センサであり、感熱素子を保護する保護部(例えば、樹脂などのチューブ)と、感熱素子からの情報を外部に伝える配線72とを備える一体部材としている。ここでは、センサ7の配置位置を両コイル素子2a,2bの間とし、リアクトル1Aは、上記一体部材を上記の所定の配置位置に保持するセンサ保持部材75を備える。センサ保持部材75は、
図3に示すように仕切り部307,327に掛止される爪部を有しており、センサ保持部材75をコイル素子2a,2bの間に挿入し、上記爪部を仕切り部307,327に引っ掛けることで、上記一体部材の配置位置が実質的にずれず、所定の配置位置を良好に維持できる。また、センサ保持部材75によってセンサ7の一部が覆われる構成としている。こうすることで、センサ7は、例えば、液体冷媒4Lに接触し難く、リアクトル1Aの物理量を適切に測定し易い。センサ7を更にエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤などの接着剤によってセンサ保持部材75の所定の配置位置に固定する形態としたり、センサ保持部材75を用いずにセンサ7を上記接着剤のみで所定の配置位置に固定する形態としたりすることができる。センサ保持部材75は、サイド樹脂モールド部320mなどと同様に絶縁性樹脂で構成されることで、仕切り部307,327と同様にコイル素子2a,2bの間の絶縁性を高められる。
【0081】
[実施形態2]
実施形態1のリアクトル1Aに対して、更に放熱板を備える形態とすることができる。放熱板は、例えば、使用時に発熱するコイル2の任意の箇所に備えることができる。
図6に示す実施形態2のリアクトル1Bは、コイル2の設置面に配置される放熱板6を備える。リアクトル1Bは、設置対象に取り付けると、コイル2の設置面と設置対象との間に放熱板6を介在できることから、コイル2の熱をリアクトル1Bの設置対象に効率よく、均一的に伝えられる。従って、実施形態2のリアクトル1Bは、実施形態1のリアクトル1Aが奏する上述の効果に加えて、放熱性にも優れる。
【0082】
放熱板6の構成材料には、金属や、上述のセラミックスといった非金属材料が挙げられる。具体的な金属は、アルミニウムやアルミニウム合金、マグネシウムやマグネシウム合金、銅や銅合金、銀や銀合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼などが挙げられる。金属は、熱伝導性に優れる上に、特にアルミニウムやその合金は、軽量で加工性にも優れる。放熱板6の厚さは、適宜選択することができ、例えば、2mm以上5mm以下程度が挙げられる。
【0083】
放熱板6は、コイル2の設置面に接触可能な大きさを有していればよく、その大きさ、形状は適宜選択することができる。この例に示す放熱板6は、コイル2だけでなく、コイル2と磁性コア3との組合体10の設置面に接触可能な大きさを有している。そのため、リアクトル1Bは、コイル2の熱に加えて、磁性コア3の熱をも設置対象に良好に伝えられる。また、放熱板6は、組合体10の設置面よりも十分に大きいことで、例えば、組合体10を一体に支持する支持部材として機能させられて、搬送などが行い易いと期待される。この例に示す放熱板6は、矩形状であるが、例えば、その四隅にボス42(
図5)を挿通可能な貫通孔(図示せず)を有する形態などとすることができる。
【0084】
この例に示すリアクトル1Bは、更に、組合体10の設置面と放熱板6とが上述の接合層62(図示せず)によって固定されている。組合体10と放熱板6とを接合する接合層62(熱伝導率が0.1W/m・K以上が好ましい)を備えるリアクトル1Bは、コイル2などの熱を放熱板6や設置対象により確実に伝えられて、放熱性により優れる。更に、接合層62によって、コイル2と放熱板6とを強固に固定できるため、上述のように使用時の振動などに起因するコイルの伸縮やターン同士の擦れ合いなどの挙動を防止できる。
【0085】
[実施形態3]
実施形態1では、導体固定部321がサイド樹脂モールド部320mに一体に成形された形態を説明した。その他、導体固定部を樹脂などの絶縁性材料で別途形成し、この導体固定部がサイド樹脂モールド部に取り付けられる形態とすることができる。この場合、例えば、サイド樹脂モールド部が凹部及び凸部の少なくとも一方を取付部として備え、導体固定部が上記凹部又は凸部に嵌め込まれる係合凸部又は係合凹部を備えると、両者の嵌め合せを容易に行える上に、外側コア部品に取り付けるためのボルトなどの締結部材が不要であり、作業性にも優れる。特に、導体固定部及びサイド樹脂モールド部との双方が樹脂で構成される場合、このような凹部や凸部を容易に形成できて、製造性にも優れる。その他、取付部をボルト穴とし、ボルトを用いて導体固定部を外側コア部品に固定することができる。
【0086】
[実施形態4]
実施形態1では、磁性コア3が二つのコア部品を備える形態を説明した。その他、実施形態4のリアクトルとして、各ミドル本体部31,31がそれぞれミドル樹脂モールド部(図示せず)で覆われた一対の内側コア部品(図示せず)と、各サイド本体部32,32がそれぞれサイド樹脂モールド部で覆われた一対の外側コア部品とを備える形態とすることができる。即ち、磁性コア3が合計四つのコア部品を備える形態とすることができる。このバラバラの形態は、各コア部品を成形し易い。又は、実施形態4のリアクトルとして、一方のミドル本体部31と一方のサイド本体部32とがL状に組み付けられた状態で樹脂モールド部に覆われたL字コア部品と、他方のミドル本体部31と他方のサイド本体部32とがL状に組み付けられた状態で樹脂モールド部に覆われたL字コア部品とを備える形態とすることができる。即ち、磁性コア3が合計二つのL字コア部品を備える形態とすることができる。
【0087】
[実施形態5]
実施形態1では、リアクトル1Aの収納対象としてコンバータケースに一体に設けられた冷却ケース4を説明した。実施形態5のリアクトルとして、コンバータケースとは独立しており、コンバータケースに取り付けられる冷却ケース4を備える形態とすることができる。
【0088】
[実施形態6]
実施形態1では、磁性コア3が樹脂被覆(連結樹脂モールド部30m、サイド樹脂モールド部320m)を備える形態を説明した。その他、実施形態6のリアクトルとして、樹脂被覆を備えていない形態とすることができる。即ち、実施形態6のリアクトルとは、
図2に示すコイル2、及び端子部80を備える導体線8と、
図4に示すミドル本体部31,31及びサイド本体部32,32とを備える。
【0089】
特に、実施形態6のリアクトルでは、サイド本体部32,32を上述の複合材料で構成する場合、複合材料の製造条件などによって(例えば、樹脂よりも比重が大きい磁性成分を沈降させる、など)、複合材料中の樹脂成分によって実質的に形成される表面樹脂層を備えるものとすることができる。この場合、表面樹脂層(上述のセラミックスを含んでもよい)によって、磁性成分に対する環境からの保護を期待でき、樹脂被覆を別途備えていなくても、腐食抑制などの効果が期待できる。ミドル本体部31は、コイル2に覆われた状態になるため、磁心の組成に依らず、コイル2によって、腐食抑制などの効果をある程度期待できる。
【0090】
実施形態6のリアクトルでは、コイル2と磁性コア3との間にインシュレータ(図示せず)を別途介在させると、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高めたり、コイル2と磁性コア3との相互の位置をずれ難くしたりすることができる。インシュレータは、適宜な形状のものを利用でき、例えば、ミドル本体部31の外周に配置される筒状部と、サイド本体部32とコイル2との端面との間に配置される枠状部とを備える形態が挙げられる。インシュレータの構成材料は、樹脂モールド部30m,320mで述べた各種の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0091】
[実施形態7]
実施形態1〜6のリアクトル1Aなどは、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途に好適に利用できる。この用途の代表例として、実施形態1〜6のリアクトル1Aなどは、電気自動車やハイブリッド自動車などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品といった車載部品に好適に利用することができる。以下、
図6,
図7を参照して、実施形態1のリアクトル1Aなどを車載用電力変換装置に適用した例を簡単に説明する。
【0092】
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、
図6に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、
図6では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態とすることができる。
【0093】
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
【0094】
コンバータ1110は、
図7に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上記実施形態1〜6のリアクトル1Aなどを備える。特に、コンバータ1110内に液体冷媒4Lを供給可能な冷却ケース4を備える場合、このケース4内にリアクトル1Aの組合体10などを収納することで、放熱性にも優れる構造を容易に構築することができる。電力変換装置1100やコンバータ1110は、コイル2と外部装置との接続作業性に優れるリアクトル1Aなどを備えることで、コイル2と外部装置との接続作業性に優れる上に、上述のように放熱性にも優れる構造にすることができる。
【0095】
なお、車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施形態1〜6のリアクトル1Aなどと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上記実施形態1〜6のリアクトル1Aなどを利用することもできる。
【0096】
なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、コイル素子を一つのみ有するリアクトルとすることができる。例えば、コイルの外周に樹脂モールド部を形成したコイル成形体を構成要素とすることができる。