【課題】簡易な構成で、入力電圧波形の振幅に関わらず、一定の振幅で入力電圧波形の再現性の良好な振幅正規化回路、およびその振幅正規化回路を搭載し、ラインレギュレーション(入力電源電圧特性)が良好な電源装置を提供する。
前記MOSFETは、前記RSフリップフロップのセット動作タイミングで導通制御され、前記RSフリップフロップのリセット動作タイミングで非導通制御されることを特徴とする請求項13に記載の電源装置。
前記電源装置は、PFC降圧型LED照明装置、PFC昇圧型LED照明装置、PFCフライバック型LED照明装置のいずれかであることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の電源装置。
前記電子機器は、モニタ、外部ハードディスクドライブ、セットトップボックス、ラップトップPC、タブレットPC、スマートホン、バッテリーチャージャーシステム、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、プリンタ、掃除機、冷蔵庫、ファクシミリ、電話機、通信機器、サーバのいずれかであることを特徴とする請求項16に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0013】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
以下の説明において、時間変化する波形は、小文字で表現し、その波高値に対応する振幅値は、大文字で表現することにする。例えば、ダイオードブリッジ(DB)14出力の全波整流電圧は、v
pk1(t)で表し、その波高値に対応する振幅値は、大文字で電圧V
pk1と表現する。以下同様である。
【0015】
[振幅正規化回路]
(比較例)
比較例に係る振幅正規化回路40Aの模式的回路ブロック構成は、
図1に示すように表される。
【0016】
比較例に係る振幅正規化回路40Aは、
図1に示すように、ダイオードブリッジ(DB)14によって交流電圧v
in(t)を全波整流した全波整流電圧v
pk1(t)を、抵抗R1・R2によって分圧し、全波整流電圧v
pk2(t)に減衰する減衰器80と、減衰された全波整流電圧v
pk2(t)のアナログ量をディジタル量に変換するA/Dコンバータ100と、A/Dコンバータ100によりA/D変換されたディジタルデータをディジタル演算処理するディジタル演算回路120と、ディジタル演算回路120においてディジタル処理されたディジタルデータをアナログ量に変換すると共に、振幅電圧V
DDを有する出力電圧v
out(t)として出力するD/Aコンバータ140とを備える。ここで、出力電圧v
out(t)の振幅は、全波整流電圧v
pk2(t)によらず振幅電圧V
DDで一定である。
【0017】
ここで、減衰器80は、
図1に示すように、抵抗R1・R2の直列回路によって構成可能であり、交流電圧v
in(t)を全波整流した全波整流電圧v
pk1(t)を、抵抗R1・R2の抵抗分割によって、減衰可能である。
【0018】
比較例に係る振幅正規化回路40Aにおいて、振幅電圧V
DDを一定にして交流電圧v
in(t)の全波整流電圧v
pk1(t)の「波形」のみを生成するには、
図1に示すように、A/Dコンバータ100によって量子化を行い、ディジタル演算回路120によって波形を振幅正規化して、D/Aコンバータ140にてアナログ量に戻している。
【0019】
このため、比較例に係る振幅正規化回路40Aにおいては、D/Aコンバータ140およびA/Dコンバータ100と、複雑なディジタル演算回路120によって、回路規模が増大する。また、生成される波形は、D/Aコンバータ140およびA/Dコンバータ100の分解能に依存するため、「波形」の再現性には、限界がある。
【0020】
(実施の形態)
実施の形態に係る振幅正規化回路40の模式的ブロック構成は、
図2に示すように表される。また、実施の形態に係る振幅正規化回路40の詳細な回路構成は、
図3に示すように表される。
【0021】
実施の形態に係る振幅正規化回路40は、
図2に示すように、全波整流電圧v
pk1(t)の減衰器8と、減衰器8によって減衰された全波整流電圧v
pk2(t)のピーク値V
pk2を検出するピーク検出回路6と、全波整流電圧v
pk2(t)がピーク値V
pk2に対して何%のレベル値にあるかに従ってレベル値をパルス幅変調(PWM)信号に変換するPWM変換手段(4、16)とを備え、PWM信号をフィルタリングすることによって、全波整流電圧v
pk2(t)の振幅V
pk2に関わらず、一定の振幅V
DDで全波整流電圧v
pk2(t)の波形のみを生成する。ここで、出力電圧v
out(t)の振幅値V
DDは、全波整流電圧v
pk1(t)の振幅値V
pk1によらず一定である。
【0022】
PWM変換手段(4、16)は、
図2に示すように、ピーク値V
pk2を有する三角波電圧v
TR(t)を発生する三角波発振器4と、三角波発振器4および減衰器8に接続され、全波整流電圧v
pk2(t)と三角波電圧v
TR(t)とを比較し、PWM信号を出力する比較回路16とを備えていても良い。
【0023】
また、実施の形態に係る振幅正規化回路40は、
図2に示すように、PWM変換手段(16)に接続され、PWM信号を波形変換して、一定振幅V
DDの出力電圧v
out(t)を出力する波形変換回路24を備えていても良い。
【0024】
以上をまとめると、実施の形態に係る振幅正規化回路40は、
図2に示すように、交流電圧v
in(t)の全波整流電圧v
pk1(t)を入力する減衰器8と、減衰器8に接続され、減衰器8により減衰された全波整流電圧v
pk2(t)のピーク値V
pk2を検出するピーク検出回路6と、ピーク検出回路6に接続され、ピーク値V
pk2を有する三角波電圧v
TR(t)を発生する三角波発振器4と、三角波発振器4および減衰器8に接続され、全波整流電圧v
pk2(t)と三角波電圧v
TR(t)とを比較し、PWM信号を出力する比較回路16と、PWM信号を波形変換して、一定振幅V
DDの出力電圧v
out(t)を出力する波形変換回路24とを備える。
【0025】
また、実施の形態に係る振幅正規化回路40において、波形変換回路24は、
図2に示すように、PWM信号をレベルシフトするレベルシフタ20と、レベルシフタ20に接続され、レベルシフトされたPWM信号をフィルタリングするためのローパスフィルタ(LPF)22とを備えていても良い。
【0026】
また、実施の形態に係る振幅正規化回路40において、ピーク検出回路6は、
図3に示すように、減衰器8にアノードが接続されたダイオードD1と、ダイオードD1のカソードと接地電位との間に直列接続されたキャパシタC1とを備えるピーク検出部10と、ピーク検出部10のダイオードD1とキャパシタC1の接続点に接続され、ピーク値V
pk2に等しい値の電圧を出力可能なバッファ回路12とを備えていても良い。
【0027】
ここで、減衰器8は、
図3に示すように、抵抗R1・R2の直列回路によって構成可能であり、交流電圧v
in(t)を全波整流した全波整流電圧v
pk1(t)を、抵抗R1・R2の抵抗分割によって、全波整流電圧v
pk2(t)に減衰可能である。すなわち、ダイオードD1のアノードは、抵抗R1・R2の接続点に接続される。
【0028】
また、バッファ回路12の動作電源電圧は、電圧V
pk2に等しく設定可能である。バッファ回路12の正入力は、ダイオードD1とキャパシタC1の接続点に接続されている。バッファ回路12の負入力と出力間には、ダイオードD4・抵抗R4の並列回路が接続されている。また、バッファ回路12の負入力と接地電位間には、抵抗R3が接続されている。
【0029】
また、実施の形態に係る振幅正規化回路40において、三角波発振器4は、
図3に示すように、ピーク検出回路6に接続された電流源I
Tと、電流源I
Tと接地電位との間に直列接続されたリセット用キャパシタC
Rと、電流源I
Tに接続され、リセット信号SRを出力するリセット用コンパレータ18と、リセット用キャパシタC
Rに並列接続され、リセット信号SRによってオン/オフ制御されるリセット用MOSトランジスタQ
Rとを備えていても良い。ここで、三角波発振器4は、PWM制御のサンプリング周波数f
Sに等しい周波数を有する三角波電圧v
TR(t)を発生することができる。
【0030】
リセット用コンパレータ18の動作電源電圧は、電圧V
pk2に等しく設定可能である。リセット用コンパレータ18の正入力には、リセット用キャパシタC
Rの電圧(三角波電圧v
TR(t)に等しい)が入力され、負入力には、参照電圧V
pkが入力されている。リセット用キャパシタC
Rの電圧が参照電圧V
pkを超えると、リセット用コンパレータ18からリセット信号SRが出力され、リセット用MOSトランジスタQ
Rをオンし、リセット用キャパシタC
Rが放電し、三角波電圧v
TR(t)=0Vとなる。リセット用キャパシタC
Rには、常時電流源I
Tから一定電流が充電されるため、再びリセット用キャパシタC
Rの両端の電圧が上昇し、リセット用キャパシタC
Rの電圧が参照電圧V
pkを超えると、リセット用コンパレータ18からリセット信号SRが出力され、上記と同様の動作が繰り返される。
【0031】
比較回路16は、
図3に示すように、正入力に入力された全波整流電圧v
pk2(t)と、負入力に入力された三角波電圧v
TR(t)を比較すると共に、一定の振幅値V
DDのPWM信号を出力可能なPWMコンパレータを備えていても良い。
【0032】
レベルシフタ20は、
図3に示すように、一定の振幅値V
DDに等しい値の電源電圧と接地電位との間に直列接続され、電源電圧(V
DD)にソースが接続されたpチャネルMOSトランジスタQ
pと、接地電位にソースが接続されたnチャネルMOSトランジスタQ
nとを有するCMOS回路を備えていても良い。ここで、pチャネルMOSトランジスタQ
pのドレインとnチャネルMOSトランジスタQ
nのドレインとの接続点において、レベルシフトされたPWM信号を出力可能である。
【0033】
また、LPF22は、レベルシフタ20を構成するCMOS回路(Q
p・Q
n)の出力と接地電位との間に直列接続されたフィルタ用抵抗R
Fとフィルタ用キャパシタC
Fとを備えていても良い。また、フィルタ用キャパシタC
Fに並列にハイインピーダンスの抵抗R
Mを接続しても良い。抵抗R
Mの値は、例えば、約2MΩ程度である。
【0034】
PWMのサンプリング周波数f
Sは、交流電圧v
in(t)の周波数に対して3桁以上高いことが望ましい。例えば、交流電圧v
in(t)の周波数50Hz、全波整流電圧v
pk1(t)や全波整流電圧v
pk2(t)の周波数100Hzに対して、使用しているPWMサンプリング周波数f
Sは、例えば、約200kHz〜約500kHz程度である。三角波電圧v
TR(t)を発生する三角波発振器4の発振周波数は、PWMサンプリング周波数f
Sに等しく、例えば、約200kHz〜約500kHz程度である。
【0035】
全波整流電圧v
pk2(t)の振幅値V
pk2と、一定の振幅値V
DDとの間の大小関係は、V
pk2>V
DDであり、V
pk2の値は、例えば、4V程度、V
DDの値は、例えば、2V程度である。
【0036】
尚、減衰器8の減衰率は、1に等しく設定されていても良い。
【0037】
実施の形態に係る振幅正規化回路40においては、出力電圧v
out(t)の振幅は、ピーク値V
pk2によらず振幅電圧V
DDで一定であり、波形のみ生成することができる。特に、比較回路16への全波整流電圧v
pk2(t)の振幅が小さい場合でも比較回路16は、例えば、パルス幅の狭いPWM信号を追随させて出力することができる。また、逆に、比較回路16への全波整流電圧v
pk2(t)の振幅が大きい場合でも比較回路16は、例えば、パルス幅の広いPWM信号を追随させて出力することができる。
【0038】
すなわち、実施の形態に係る振幅正規化回路40においては、出力電圧v
out(t)の振幅は、ピーク値V
pk2によらず振幅電圧V
DDで一定であり、しかも全波整流電圧v
pk2(t)の振幅が、例えば、0%〜100%まで変動したとしても振幅正規化された出力電圧v
out(t)を生成可能である。出力電圧v
out(t)の波形再現性は、比較回路16の波形再現性能に依存し、PWMサンプリング周波数f
Sが交流電圧v
in(t)の周波数に比較して、高ければ高いほど良い。
【0039】
実施の形態に係る振幅正規化回路40においては、全波整流電圧v
pk2(t)の振幅が、0%〜100%、例えば0V〜100Vまで変化したとしても出力電圧v
out(t)は、例えば、振幅値V
DD=1Vで正規化された全波整流電圧が得られ、更に、LPF22を通過させることで、振幅値V
DDの一定電圧が得られる。
【0040】
実施の形態に係る振幅正規化回路40の動作波形であって、ダイオードブリッジ(DB)14の出力における全波整流電圧v
pk1(t)を減衰後の全波整流電圧v
pk2(t)およびそのピーク検出電圧pv
pk2(t)は、
図4(a)に示すように模式的に表され、PWMコンパレータ16への入力波形であって、全波整流電圧v
pk2(t)および三角波電圧v
TR(t)は、
図4(b)に示すように模式的に表される。交流電圧v
in(t)の周波数50Hz、全波整流電圧v
pk1(t)や全波整流電圧v
pk2(t)の周波数100Hzに対して、周期T=20msecである。一方、PWMサンプリング周波数f
Sは、例えば、約200kHz〜約500kHz程度であるため、三角波電圧v
TR(t)の周期は、例えば、約2μsec〜約5μsecである。
図4(b)に示された三角波電圧v
TR(t)は模式的に図示されたものであり、実際上は、周期は、約2μsec〜約5μsecであるため、非常に細かい三角波の連続波形となる。
【0041】
実施の形態に係る振幅正規化回路40においては、ピーク検出回路6によって検出されたピーク値V
pk2を有する三角波電圧v
TR(t)と全波整流電圧v
pk2(t)とを比較する比較回路16より出力されたPWM信号を、波形変換回路24によって波形変換して、振幅値V
DDの出力電圧v
out(t)として出力する。このため、交流電圧v
in(t)の全波整流電圧v
pk1(t)の「波形」のみを振幅値V
DDを一定にして生成することができる。
【0042】
また、実施の形態に係る振幅正規化回路40においては、比較例に係る振幅正規化回路40Aのように複雑なディジタル演算を必要とせず、相対的に簡単な回路構成で、入力電圧によらず一定振幅の波形を抽出する可能であり、良好な「波形」再現性を実現可能である。
【0043】
特に、実施の形態に係る振幅正規化回路40を大規模集積回路(LSI:Large Scale Integration)によって実現する場合には、チップ面積の削減により、コスト削減効果がある。
【0044】
実施の形態に係る振幅正規化回路40の動作波形であって、PWMコンパレータ16への三角波電圧v
TR(t)をハイレベル一定電圧V
Hおよびローレベル一定電圧V
Lで比較する場合の模式図は、
図5(a)に示すように表される。また、三角波電圧v
TR(t)とローレベル一定電圧V
Lを比較した場合のPWMコンパレータ出力電圧v
out_L(t)波形例は、
図5(b)に示すように模式的に表され、PWMコンパレータ16への三角波電圧v
TR(t)とハイレベル一定電圧V
Hを比較した場合のPWMコンパレータ出力電圧v
out_H(t)波形例は、
図5(c)に示すように模式的に表される。
【0045】
実施の形態に係る振幅正規化回路40の動作波形であって、100%・63%・45%・27%の振幅を有する全波整流電圧v
pk2(t)と三角波電圧v
TR(t)を比較する場合の模式図は、
図6(a)に示すように表される。また、27%の振幅高さを有する全波整流電圧0.27v
pk2(t)と三角波電圧v
TR(t)を比較したPWMコンパレータ出力電圧波形例(PWM1)は、
図6(b)に示すように模式的に表され、45%の振幅高さを有する全波整流電圧0.45v
pk2(t)と三角波電圧v
TR(t)を比較したPWMコンパレータ出力電圧波形例(PWM2)は、
図6(c)に示すように模式的に表され、63%の振幅高さを有する全波整流電圧0.63v
pk2(t)と三角波電圧v
TR(t)を比較したPWMコンパレータ出力電圧波形例(PWM3)は、
図6(d)に示すように模式的に表され、100%の振幅高さを有する全波整流電圧v
pk2(t)と三角波電圧v
TR(t)を比較したPWMコンパレータ出力電圧波形例(PWM4)は、
図6(e)に示すように模式的に表される。
【0046】
図6(a)に示された波形例では、三角波電圧v
TR(t)のピーク値V
Rは、全波整流電圧v
pk2(t)のピーク値V
pk2よりも低く設定された例が示されている。三角波電圧v
TR(t)のピーク値V
Rは、
図3に示されたバッファ回路12の電源電圧によって調整可能である。三角波電圧v
TR(t)のピーク値V
Rは、
図4(b)に示すように、全波整流電圧v
pk2(t)のピーク値V
pk2に等しく設定されていても良い。
【0047】
[電源装置]
(比較例)
比較例に係る電源装置50Aであって、PWM周波数固定制御の降圧型LED照明装置の模式的回路構成は、
図7に示すように表される。
【0048】
比較例に係る電源装置50Aは、
図7に示すように、交流電圧v
in(t)に接続されたダイオードブリッジ(DB)14と、ダイオードブリッジ(DB)14に接続された小さな容量値の電界コンデンサC
Eと、負荷(LED)を介して交流ライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、LED導通電流i
LED(t)のPWM周波数固定制御可能な電源制御回路2とを備える。
【0049】
負荷(LED)には、並列に回生用のスナバキャパシタC
Cが接続され、負荷(LED)とインダクタンスL
pの直列回路には、回生用のスナバダイオードD
Cが接続され、結果として、降圧型LED照明装置が構成されている。
【0050】
ここで、電源制御回路2は、電流センス抵抗R
Sに接続されたエラーアンプ42Aと、PWM信号発生器44Aおよびエラーアンプ42Aの出力に接続され、MOSFETQ
Sの制御信号を出力するRSフリップフロップ36Aと、RSフリップフロップ36Aの出力に接続され、MOSFETQ
Sを駆動するバッファ38Aとを備える。ここで、エラーアンプ42Aの正入力には電流センス電圧v
CS(t)が入力され、エラーアンプ42Aの負入力には、一定電圧レベルの参照電圧V
refが入力される。
【0051】
PWM周波数固定制御動作においては、RSフリップフロップ36Aのセット端子Sに固定周波数のPWM信号が入力される。また、RSフリップフロップ36Aのリセット端子Rには、エラーアンプ42Aの出力が入力される。
【0052】
MOSFETQ
Sは、RSフリップフロップ36Aのセット動作タイミングで導通制御され、RSフリップフロップ36Aのリセット動作タイミングで非導通制御される。
【0053】
また、比較例に係る電源装置50Aの動作波形であって、ゲート電圧v
G(t)波形例は、
図8(a)に示すように表され、電流センス電圧v
CS(t)波形例は、
図8(b)に示すように表され、LED導通電流i
LED(t)波形例は、
図8(c)に示すように表される。
【0054】
ゲート電圧v
G(t)は、PWM信号発生器44Aより出力されたPWM信号に同期したPWM波形であり、このPWM波形に対応して、MOSFETQ
Sがオン/オフ制御される。
【0055】
ゲート電圧v
G(t)は、
図9(a)に示すように、固定周期T
f(FIXED)を有する。PWM固定周波数は、例えば、約200kHz〜約500kHz程度であり、対応する固定周期T
f(FIXED)は、例えば、約2μsec〜約5μsec程度である。
【0056】
まず、時刻t1において、
図8(a)に示すように、ゲート電圧v
G(t)がオン状態になると、MOSFETQ
Sは導通状態となり、電流センス電圧v
CS(t)は
図8(b)に示すように増加し、LED導通電流i
LED(t)も
図8(c)に示すように増加する。
【0057】
次に、時刻t2において、PWM信号がオフになり、
図8(a)に示すように、ゲート電圧v
G(t)がオフ状態になると、エラーアンプ42Aにおいて参照電圧V
refと比較される電流センス電圧v
CS(t)も
図8(b)に示すように、急峻に減少する。一方、MOSFETQ
Sがオフ状態になると、インダクタンスL
pに逆起電力が発生するため、LED導通電流i
LED(t)は、
図8(c)に示すように、時刻t2における電流値I
L1から時刻t2〜時刻t21まで緩やかに減少し、時刻t21において、LED導通電流i
LED(t)がゼロになる。
【0058】
次に、固定周期T
f(FIXED)で決定される一定時間の経過後、再び時刻t3において、ゲート電圧v
G(t)がオン状態になり、以下、時刻t1〜時刻t3間と同様の動作が繰り返される。
【0059】
また、比較例に係る電源装置50Aの動作波形であって、LED導通電流i
LED(t)は、
図9(a)に示すように表され、ダイオードブリッジ(DB)14の出力における全波整流電圧v
pk1(t)は、
図9(b)に示すように表される。
【0060】
比較例に係る電源装置50Aであって、PWM周波数固定制御の降圧型LED照明装置においては、
図9(a)および
図9(b)に示すように、全波整流電圧v
pk1(t)波形に対して、LED導通電流i
LED(t)のピーク値I
L1は、一定電流値である。すなわち、LED導通電流i
LED(t)は、全波整流電圧v
pk1(t)波形の変化に追随したものではなく、全波整流電圧v
pk1(t)波形の変化に関わらず一定電流値I
L1となる。このため、比較例に係る電源装置50Aの力率(PF:Power Factor)は、後述する実施の形態に係る電源装置50に比べ低く改善の余地がある。
【0061】
(実施の形態)
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50であって、シングルステージ(Single-Stage)力率改善(PFC:Power Factor Correction)降圧型LED照明装置の模式的回路ブロック構成は、
図10に示すように表される。
【0062】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50は、
図10に示すように、交流電圧v
in(t)に接続されたダイオードブリッジ(DB)14と、ダイオードブリッジ(DB)14に接続された小さな容量値の電界コンデンサC
Eと、負荷(LED)を介してACライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、LED導通電流i
LED(t)のPFC制御可能なPFCコントローラ30を備える。
【0063】
負荷(LED)には、並列に回生用のスナバキャパシタC
Cが接続され、負荷(LED)とインダクタンスL
pの直列回路には、回生用のスナバダイオードD
Cが接続され、結果として、PFC降圧型LED照明装置が構成されている。
【0064】
また、実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50は、
図10に示すように、交流電圧v
in(t)の全波整流電圧v
pk1(t)を全波整流電圧v
pk2(t)に減衰するための減衰器8を備えていても良い。
【0065】
ここで、PFCコントローラ30は、
図10に示すように、減衰器8に接続された振幅正規化回路40と、振幅正規化回路40および電流センス抵抗R
Sに接続されたエラーアンプ42と、PWM信号発生器44およびエラーアンプ42の出力に接続され、MOSFETQ
SのPWM制御信号を出力するRSフリップフロップ36と、RSフリップフロップ36の出力に接続され、MOSFETQ
Sを駆動するバッファ38とを備える。
【0066】
ここで、振幅正規化回路40は、
図2および
図3に示したように、全波整流電圧v
pk2(t)のピーク値V
pk2を検出するピーク検出回路6と、三角波電圧v
TR(t)を発生する三角波発振器4と、全波整流電圧v
pk2(t)と三角波電圧v
TR(t)とを比較し、PWM信号を出力する比較回路16と、PWM信号を波形変換して、一定振幅V
DDの出力電圧v
out(t)を出力する波形変換回路24とを備える。また、波形変換回路24は、PWM信号をレベルシフトするレベルシフタ20と、レベルシフトされたPWM信号をフィルタリングするためのLPF22とを備えていても良い。
【0067】
MOSFETQ
Sは、RSフリップフロップ36のセット動作タイミングで導通制御され、RSフリップフロップ36のリセット動作タイミングで非導通制御される。
【0068】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50の動作波形であって、ゲート電圧v
G(t)波形例(PWM)は、
図11(a)に示すように表され、交流電圧v
in(t)波形例(ハイレベルHとローレベルL)は、
図11(b)に示すように表され、交流電圧v
in(t)波形例(ハイレベルHとローレベルL)に対応した電流センス電圧v
CS(t)波形例(ハイレベルHのピーク値は、V
DDに対応)は、
図11(c)に示すように表され、LED導通電流i
LED(t)波形例(ハイレベルHとローレベルL)は、
図11(d)に示すように表される。
【0069】
図11(c)において、破線で示された包絡線は、参照電圧V
ref’に等しい。
図10に示すように、エラーアンプ42の正入力には、電流センス電圧v
CS(t)が供給され、エラーアンプ42の負入力には、参照電圧V
ref’が供給される。したがって、電流センス電圧v
CS(t)が参照電圧V
ref’を超えると、
図11(c)に示すように、電流センス電圧v
CS(t)波形は、急激にゼロ電位に減衰する。
【0070】
一方、LED導通電流i
LED(t)波形例は、
図11(d)に示すように、インダクタンスL
pに蓄積されたエネルギーが放電するまで所定の時間を要するため、
図11(d)に示すように、所定の時間だけ遅延した後、ゼロレベルに減衰する。
【0071】
LED導通電流i
LED(t)波形の破線の包絡線は、全波整流電圧v
pk1(t)に同位相で対応する。
【0072】
電流センス電圧v
CS(t)のハイレベルHのピーク値はV
DDに対応し、LED導通電流i
LED(t)のハイレベルHのピーク値はI
DDに対応している。
【0073】
交流電圧v
in(t)および負荷(LED)(LED導通電流i
LED(t))に接続されたPFC電源回路60は、模式的に
図12に示すように表される。PFC電源回路60は、
図10に示された電源装置50において、交流電圧v
in(t)と負荷(LED)との間の回路系に対応する。
【0074】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50の動作波形であって、交流電圧v
in(t)波形例は、
図13(a)に示すように表され、ダイオードブリッジ(DB)14の出力における全波整流電圧v
pk1(t)波形例は、
図13(b)に示すように表され、LED導通電流i
LED(t)波形例は、
図13(c)に示すように表される。
図13(c)に示すように、LED導通電流i
LED(t)波形の包絡線(破線)は、全波整流電圧v
pk1(t)波形に同位相で対応する。すなわち、LED導通電流i
LED(t)波形は、全波整流電圧v
pk1(t)波形に同位相で、しかも全波整流電圧v
pk1(t)波形に追随した波形を有する。このため、比較例に係る電源装置50Aに比べ、実施の形態に係る電源装置50の力率(PF)は改善されている。
【0075】
さらに、実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50のラインレギュレーション(入力電源電圧特性)は、
図14に示すように模式的に表される。ここで、交流電圧v
in(t)の振幅値V
in(V)の値は、日本では、例えば、約100(V)であり、欧州では、例えば、約230Vである。
【0076】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50のラインレギュレーション(入力電源電圧特性)は、
図14のラインBに示すように、交流電圧v
in(t)の振幅値V
in(V)が増加したとしても、略一定である。すなわち、LED導通電流i
LED(t)の値はI
LED1であり、良好なラインレギュレーション(入力電源電圧特性)を示す。
【0077】
一方、比較例では、
図14のラインAに示すように、交流電圧v
in(t)の振幅値V
in(V)が増加すると、LED導通電流i
LED(t)の振幅値I
LEDは、上昇してしまう。
【0078】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50であって、シングルステージPFC降圧型LED照明装置においては、交流電圧v
in(t)の振幅値V
in(V)によらず、振幅正規化回路40の出力電圧v
out(t)の振幅値V
DDが一定となるので、良好なラインレギュレーション(入力電源電圧特性)が得られる。
【0079】
(昇圧型LED照明装置)
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用したPFCコントローラ30を備える電源装置50は、さまざまな電源装置に適用可能である。上記の降圧型LED照明装置以外にも、例えば、昇圧型LED照明装置、フライバック型LED照明装置などに適用可能である。
【0080】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用したPFCコントローラ30を備える電源装置50であって、昇圧型LED照明装置の模式的回路構成は、
図15に示すように表される。
【0081】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50は、
図15に示すように、ACライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、負荷(LED)に流れるLED導通電流i
LED(t)のPFC制御可能なPFCコントローラ30を備える。
【0082】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50においては、インダクタンスL
pは、
図15に示すように、直列接続された回生用キャパシタC
B・回生用ダイオード(スナバダイオード)D
Bに並列接続され、回生用キャパシタC
Bは、負荷(LED)に並列接続されて、昇圧型LED照明装置が構成されている。
【0083】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50は、
図15に示すように、交流電圧v
in(t)に接続されたダイオードブリッジ(DB)14と、負荷(LED)を介して交流ライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、振幅正規化回路40を備え、MOSFETQ
Sおよび電流センス抵抗R
Sに結合され、負荷(LED)に流れるLED導通電流i
LED(t)のPFC制御可能なPFCコントローラ30とを備える。
【0084】
ここで、PFCコントローラ30は、
図15に示すように、PWM信号発生器44と、正入力が電流センス抵抗R
Sに接続され、負入力が振幅正規化回路40の出力(V
ref’)に接続されたエラーアンプ42と、PWM信号発生器44の出力およびエラーアンプ42の出力に接続され、MOSFETQ
SのPWM制御信号を出力するRSフリップフロップ36と、RSフリップフロップ36の出力に接続され、MOSFETQ
Sを駆動するバッファ38とを備える。
【0085】
MOSFETQ
Sは、RSフリップフロップ36のセット動作タイミングで導通制御され、RSフリップフロップ36のリセット動作タイミングで非導通制御される。その他の構成は、
図10に示された実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50と同様であるため、説明は省略する。
【0086】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50であって、昇圧型LED照明装置においても、交流電圧v
in(t)の振幅値V
in(V)によらず、振幅正規化回路40の出力電圧v
out(t)の振幅値V
DDが一定となるので、良好なラインレギュレーション(入力電源電圧特性)が得られる。
【0087】
(フライバック型LED照明装置)
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用したPFCコントローラ30を備えるフライバック型LED照明装置の模式的回路ブロック構成は、
図16に示すように表される。
【0088】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50は、
図16に示すように、交流ライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、負荷(LED)に流れるLED導通電流i
LED(t)のPFC制御可能なPFCコントローラ30とを備える。
【0089】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50において、インダクタンスL
pは、
図16に示すように、フライバックトランス15の1次側インダクタンスを構成する。また、フライバックトランス15の2次側インダクタンスL
Sには、ダイオードD2およびキャパシタC2からなるダイオード整流回路(D2・C2)が接続され、更にキャパシタC2には並列に負荷(LED)が接続されている。さらに、
図16に示すように、インダクタンスL
pにはダイオードD3・抵抗R3・キャパシタC3からなるスナバ回路(D3・R3・C3)が並列接続されている。その他の構成は、
図15に示された実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50と同様であるため、説明は省略する。
【0090】
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50であって、フライバック型LED照明装置においても、交流電圧v
in(t)の振幅値V
in(V)によらず、振幅正規化回路40の出力電圧v
out(t)の振幅値V
DDが一定となるので、良好なラインレギュレーション(入力電源電圧特性)が得られる。
【0091】
(電子機器)
実施の形態に係る振幅正規化回路40を適用した電源装置50は、電子機器に内蔵可能である。電子機器としては、例えば、スマートホン、ラップトップPC、タブレットPC、モニタ若しくはTV、外部ハードディスクドライブ、セットトップボックス、掃除機、冷蔵庫、洗濯機、電話器、ファクシミリ、プリンタ、レーザディスプレイ、通信機器、サーバなどさまざまな機器において適用可能である。
【0092】
実施の形態に係る振幅正規化回路40は、簡易な構成で、入力電圧波形の振幅に関わらず、一定の振幅で入力電圧波形の良好な再現性を実現可能である。
【0093】
また、実施の形態に係る振幅正規化回路を搭載した電源装置50は、簡易な構成で、入力電圧波形の振幅に関わらず、一定の振幅で良好なラインレギュレーション(入力電源電圧特性)を実現可能である。
【0094】
また、実施の形態に係る振幅正規化回路を適用した電源装置50としては、実施の形態に係る振幅正規化回路を適用したPFCコントローラを備える降圧型LED照明装置・昇圧型LED照明装置・フライバック型LED照明装置を実現可能である。
【0095】
以上説明したように、本発明によれば、簡易な構成で、入力電圧波形の振幅に関わらず、一定の振幅で入力電圧波形の再現性の良好な振幅正規化回路、およびその振幅正規化回路を搭載し、ラインレギュレーション(入力電源電圧特性)が良好な電源装置および電子機器を提供することができる。
【0096】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0097】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。