【解決手段】ピストン弁16が弁本体12に形成した弁座34に対して離間する方向に移動して、弁座34に設けた弁ポート34aを開放するように構成した開閉弁10であって、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、一次側流路28の一次側ポート26と対向するピストン弁16の主弁部が、弁ポート34aに向かって径が縮小するテーパ傾斜面54で構成されている。
前記複数段のテーパ傾斜面が、前記ピストン弁の主弁部の基端側のテーパ傾斜面が、先端側のテーパ傾斜面よりもその傾斜角度αが大きく形成されていることを特徴とする請求項5に記載の開閉弁。
前記複数段のテーパ傾斜面が、前記ピストン弁の主弁部の基端側のテーパ傾斜面が、先端側のテーパ傾斜面よりもその傾斜角度αが小さく形成されていることを特徴とする請求項5に記載の開閉弁。
前記ピストン弁が、前記弁座に形成した弁ポートを開閉する主弁部と、流路に連通するパイロット通路を開閉するパイロット弁とを備えたパイロット式の開閉弁であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の開閉弁。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉弁、例えば、パイロット弁を備えたパイロット式の電磁弁は、特許文献1(実公昭61−41015号公報)に開示されるように構成されている。
【0003】
図11は、この特許文献1の従来のパイロット式の電磁弁100において、一次側流路から二次側流路に流体を流す場合の状態を示す従来のパイロット式の電磁弁100の縦断面図、
図12は、従来のパイロット式の電磁弁100において、二次側流路から一次側流路に流体を流す場合の状態を示す従来のパイロット式の電磁弁100の縦断面図、
図13は、従来のパイロット式の電磁弁100の閉止状態の縦断面図である。
【0004】
すなわち、
図11〜
図13に示したように、従来のパイロット式の電磁弁100は、弁本体102を備えている。この弁本体102には、上下方向に、すなわち、
図11〜
図13において、軸線Y方向に形成された略円筒形状のシリンダ室104が形成されている。
【0005】
そして、このシリンダ室104内には、上下方向に、すなわち、
図11〜
図13において、軸線Y方向に摺動可能なピストン形状の弁体を構成するピストン弁106が装着されている。
【0006】
また、ピストン弁106は、シリンダ室104の側周壁108の内周壁110を摺動する大径部112を備えており、この大径部112の下方には、大径部112より小径で、弁体を構成する弁体部114が形成されている。
【0007】
さらに、シリンダ室104の側周壁108には、
図11〜
図13において、右側に一次側ポート116が形成されており、この一次側ポート116に、継手形状の一次側流路118が装着されている。
【0008】
また、シリンダ室104の下方には、二次側ポート120が形成されており、この二次側ポート120に、継手形状の二次側流路122が装着されている。そして、二次側ポート120の上方には、弁座124が形成されているとともに、この弁座124に弁ポート124aが形成されている。
【0009】
一方、弁本体102のシリンダ室104には、ピストン弁106を挟んで、ピストン弁106の弁座124の側に形成された弁室aと、ピストン弁106の弁座124の側と反対側に形成された弁室bとが形成されている。
【0010】
また、ピストン弁106の大径部112には、その内周側に弁室bの一部の空間を形成する凹部130が形成されており、この凹部130には、径が小さくなった段部132が形成されている。
【0011】
そして、ピストン弁106の弁体部114には、この弁室bの一部の空間を形成する凹部130と、ピストン弁106の弁座側に形成された弁室aとを連通する弁体連通路134が形成されている。
【0012】
すなわち、
図11〜
図13に示したように、弁体連通路134は、ピストン弁106の凹部130の底部の中央に、ピストン弁106の軸線方向に形成した軸方向連通路136と、この軸方向連通路136の下端部から、ピストン弁106の弁体部114の半径方向外側に延びる2つの半径方向連通路138とから形成されている。
【0013】
また、これらの半径方向連通路138の開口部140は、ピストン弁106の弁体部114の鉛直方向の側壁142に開口しており、
図11、
図12に示したように、ピストン弁106の開弁状態において、一次側流路118の一次側ポート116に対向する位置に形成されている。
【0014】
さらに、ピストン弁106の弁体部114の鉛直方向の側壁142の先端側には、
図13に示したように、閉弁状態において、弁座124に着座し、弁ポート124aを閉止する、弁ポート124aに向かって径が縮小するテーパ傾斜面144が形成されている。
【0015】
また、ピストン弁106の軸方向連通路136内には、ボール形状の逆止弁146が装着されており、ピストン弁106の凹部130の底部の中央に装着されたリング形状の逆止弁シート148に、接離することによって逆止弁の作用をするように構成されている。なお、符号141は、逆止弁56を逆止弁シート58側に付勢する付勢コイルバネ141を示している。
【0016】
また、この逆止弁シート148は、ピストン弁106の凹部130の底部の中央に形成された軸方向連通路136の開口部の周壁をカシメ加工150することによって固定されている。
【0017】
さらに、弁本体102のシリンダ室104の上部には、開口部152が形成されており、この開口部152を介して、ピストン弁106をシリンダ室104に装着した後、この開口部152を蓋部材154によって閉蓋するように構成されている。
【0018】
なお、この蓋部材154は、シリンダ室104の上部の開口部152の側周壁108をカシメ加工156することによって固定されている。
【0019】
また、ピストン弁106の大径部112の凹部130の段部132と、蓋部材154との間には、圧縮状態でスプリング158が介装されており、これにより、ピストン弁106を弁座124の方向に付勢するように構成されている。
【0020】
一方、
図11〜
図13に示したように、弁本体102には、左右方向に、すなわち、
図11〜
図13において、軸線Y方向に対して直交する方向である軸線X方向に、
図11〜
図13において左側に、パイロット弁室160が形成されている。
【0021】
そして、弁本体102の下方の側壁には、パイロット弁座162が形成され、このパイロット弁座162には、パイロットポート164が形成されている。また、パイロット弁室160と二次側ポート120とを連通するパイロット通路166が形成されている。
【0022】
さらに、弁本体102のシリンダ室104の側周壁108には、
図11〜
図13において、軸線Y方向に、シリンダ室104の弁室bと、パイロット弁室160とを連通する連通路168が形成されている。
【0023】
また、パイロット弁室160の側周壁170には、円筒形状のプランジャケース172が固定されている。このプランジャケース172内に、プランジャケース172の軸線X方向に左右に移動可能なプランジャ174を備えている。
【0024】
そして、プランジャケース172のパイロット弁室160と反対方向の端部には、吸引子176が固定されており、この吸引子176とプランジャ174との間に、プランジャ174を右方向に、すなわち、パイロット弁座162の方向にプランジャ174を付勢するコイルバネ178が介装されている。
【0025】
すなわち、コイルバネ178は、プランジャ174の吸引子176の側に形成されたバネ装着孔180と吸引子176との間に介装されている。
【0026】
さらに、プランジャ174の先端には、パイロット弁座162に離間する球状のパイロット弁182が設けられている。
【0027】
すなわち、パイロット弁182は、プランジャ174の先端174aをカシメ加工することによって、プランジャ174の先端174aからパイロット弁座162の方向に突出する状態で取り付けられている。
【0028】
また、このプランジャ174の外周には、電磁コイル184からなる制御部186が設けられている。なお、制御部186は簡略化して示しており、図示しないが、制御部186には、磁路を構成する磁気フレームなどを備えている。
【0029】
なお、ピストン弁106の上部に形成された大径部112と、シリンダ室104の側周壁108の内周壁110との間のクリアランスにより、環状の副流路188が形成されている。
【0030】
このように構成される従来のパイロット式の電磁弁100は、下記のように作動される。
【0031】
例えば、電磁弁100を、エアコン・冷凍機などの空気調和機の冷媒循環回路などに用いる場合に、仮に、一次側流路118から二次側流路122への流れ方向(
図11の矢印Kの流れ)を暖房運転とすると、
図13の状態から、制御部186の電磁コイル184に通電することによって、
図11に示したように、プランジャ174が、コイルバネ178の付勢力に抗して吸引子176の方向に(
図11において左側に)移動する。
【0032】
これにより、
図11に示したように、プランジャ174の先端174aに装着されたパイロット弁182が、弁本体102に形成されたパイロット弁座162から離間する方向に移動して、パイロット通路166が開かれることになる。
【0033】
そして、制御部186の電磁コイル184に通電直後は、シリンダ室104に形成された弁室bに残存する高圧流体は、
図11の矢印Jで示したように、弁本体102のシリンダ室104の側周壁108に形成された連通路168を介して、パイロット弁室160へと流入する。
【0034】
さらに、パイロット弁室160へと流入した、高圧流体は、パイロット弁座162に形成されたパイロットポート164、パイロット通路166を介して、二次側ポート120を通り、二次側流路122を介して排出される。このため、弁室bが低圧の状態となる。
【0035】
これにより、弁室aが高圧で、弁室bが低圧になり、この圧力差によって、スプリング158の付勢力に抗して、ピストン弁106が弁座124から離間する方向に移動して、弁座124に形成された弁ポート124aが開放される。
【0036】
これにより、
図11の矢印Kで示したように、一次側流路118の一次側ポート116から、弁室a、弁座124に形成された弁ポート124a、二次側ポート120を通り、二次側流路122に至る流体の流れが形成されることになる。
【0037】
なお、制御部186の電磁コイル184に通電した状態において、弁室bへは、一次側流路118の一次側ポート116、シリンダ室104の弁室aから、シリンダ室104の側周壁108の内周壁110との間の副流路188を介して、多少の高圧流体が流入するが、パイロット通路166、二次側流路122を介して排出される。このため、弁室bが低圧の状態が維持され、ピストン弁106の開弁状態が維持される。
【0038】
逆に、例えば、冷房運転時には、制御部186の電磁コイル184への通電はせず、プランジャ174は、コイルバネ178の付勢力によって、吸引子176から離間する方向に(
図11において右側に)位置する。これにより、プランジャ174の先端174aに装着されたパイロット弁182が、弁本体102に形成されたパイロット弁座162に当接して、パイロット通路166を閉止する。
【0039】
そして、高圧側である二次側流路122から二次側ポート120、弁座124に形成された弁ポート124aを介して弁室aに流れ込む高圧流体の作用によって、スプリング158の付勢力に抗して、ピストン弁106が弁座124から離間する方向に移動する。これにより、弁座124に形成された弁ポート124aが開放され、
図12の矢印Lで示したように、一次側ポート116から一次側流路118へ排出される。
【0040】
この際、高圧側である二次側流路122からパイロット通路166に流れ込んだ高圧流体の圧力が、プランジャ174のコイルバネ178の付勢力より大きい場合には、プランジャ174が、コイルバネ178の付勢力に抗して、吸引子176の方向に(
図12において左側に)移動する。
【0041】
従って、
図12の矢印Qで示したように、プランジャ174の先端174aに装着されたパイロット弁182が、弁本体102に形成されたパイロット弁座162から離間する方向に移動して、パイロット通路166が開放されることになる。
【0042】
これにより、二次側流路122からパイロット通路166に流れ込んだ高圧流体は、
図12の矢印Pで示したように、パイロット弁室160へと流入し、弁本体102のシリンダ室104の側周壁108に形成された連通路168を介して、弁室bに流入する。
【0043】
しかしながら、弁室bに流入した高圧流体は、
図12の矢印Oで示したように、逆止弁146が逆止弁シート148から離間して、ピストン弁106の弁体部114に形成された軸方向連通路136から、半径方向連通路138を介して、弁室aに戻り、一次側ポート116から一次側流路118へ排出される。
【0044】
これにより、
図12の矢印Lで示したように、二次側流路122の二次側ポート120から、弁室a、弁座124に形成された弁ポート124aを通り、一次側流路118の一次側ポート116に至る流体の流れが形成されることになる。
【0045】
なお、
図12の矢印Lで示したように、二次側流路122が高圧で、二次側流路122から低圧側である一次側流路118へ流れる流体流れ方向の場合には、スプリング158の付勢力に抗して、ピストン弁106を弁座124から離間する方向に移動するだけの圧力差が発生すると、制御部186の電磁コイル184によるピストン弁106の開閉制御はできず、圧力差のみで開弁状態を維持するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
しかしながら、このような従来のパイロット式の電磁弁100では、
図11の矢印Kに示したように、例えば、暖房運転時に、弁体であるピストン弁106が弁座124から離間した開弁状態において、一次側流路118の一次側ポート116を介して、弁本体102のシリンダ室104の弁室aに流入する高圧側の流体が、弁体部114の鉛直方向の側壁142に当接して、90°流れの向きが変更されて、弁座124に形成された弁ポート124a、二次側ポート120を通り、二次側流路122に至る流体の流れが形成されることになる。
【0048】
このため、このような流れによって、乱流が生じて、圧力損失により流量が低下して、大きな流量を制御することができないことになる。
【0049】
本発明は、このような現状に鑑み、内部構造の工夫により乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、大きな流量を制御することが可能な開閉弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0050】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の開閉弁は、
ピストン弁が弁本体に形成した弁座に対して離間する方向に移動して、前記弁座に設けた弁ポートを開放するように構成した開閉弁であって、
前記ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、一次側流路の一次側ポートと対向する前記ピストン弁の主弁部が、前記弁ポートに向かって径が縮小するテーパ傾斜面で構成されていることを特徴とする。
【0051】
これにより、例えば、暖房運転時に、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、一次側流路の一次側ポートを介して流入する高圧側の流体が、このテーパ傾斜面に沿って、弁ポートに向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、大きな流量を制御することが可能である。
【0052】
また、例えば、冷房運転時に、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、二次側流路の二次側ポート、弁ポートを介して流入する高圧側の流体が、このテーパ傾斜面に沿って、弁ポートから一次側ポートに向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、大きな流量を制御することが可能である。
【0053】
また、本発明の開閉弁は、前記弁本体には、前記ピストン弁の弁座側に形成された弁室aと、前記ピストン弁の弁座側と反対側に形成された弁室bとが形成され、
前記ピストン弁には、前記弁室bと弁室aとを連通する弁体連通路が形成され、
前記ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、前記弁室aに連通する前記弁体連通路の開口部が、前記一次側流路の一次側ポートよりも開弁方向に設けられていることを特徴とする。
【0054】
このように構成することによって、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、弁室aに連通する弁体連通路の開口部が、一次側流路の一次側ポートよりも開弁方向に設けられているので、一次側流路の一次側ポートからの高圧流体が、弁体連通路内に流入する量が少なくなる。
【0055】
また、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、二次側流路の二次側ポートを介して流入する高圧流体の負圧の作用によって、弁室bに流入した高圧の流体が、弁室bから弁体連通路を介して弁室aに円滑に排出され易くなる。
【0056】
これにより、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、弁室bに流入した高圧の流体が、弁室bから弁体連通路を介して弁室aに円滑に排出されることになるので、弁室b内が低圧になるので、ピストン弁が弁座に当接して弁ポートを閉止することがなく、流体を円滑にしかも流量が低下することなく流すことができる。
【0057】
また、本発明の開閉弁は、前記弁本体には、前記ピストン弁の弁座側に形成された弁室aと、前記ピストン弁の弁座側と反対側に形成された弁室bとが形成され、
前記ピストン弁には、前記弁室bと弁室aとを連通する弁体連通路が形成され、
前記ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、前記弁室aに連通する前記弁体連通路の開口部が、前記テーパ傾斜面に設けられていることを特徴とする。
【0058】
このように構成することによって、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、弁室aに連通する弁体連通路の開口部が、テーパ傾斜面に設けられているので、一次側流路の一次側ポートからの高圧流体が、テーパ傾斜面に沿って案内されて、弁ポートに向かって案内されることになり、弁体連通路内に流入する量が少なくなる。
【0059】
これにより、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、弁室bに流入した高圧の流体が、弁室bから弁体連通路を介して弁室aに円滑に排出されることになるので、弁室b内が低圧になるので、ピストン弁が弁座に当接して弁ポートを閉止することがなく、流体を円滑にしかも流量が低下することなく流すことができる。
【0060】
また、本発明の開閉弁は、前記弁室aに連通する前記弁体連通路の開口部が、前記ピストン弁の周方向に複数個形成されていることを特徴とする。
【0061】
このように構成することによって、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、弁室bに流入した高圧の流体が、弁室bからピストン弁の周方向に複数個形成された弁室aに連通する弁体連通路の開口部、弁体連通路を介して弁室aに円滑に排出されることになるので、弁室b内が低圧になるので、ピストン弁が弁座に当接して弁ポートを閉止することがなく、流体を円滑にしかも流量が低下することなく流すことができる。
【0062】
また、本発明の開閉弁は、前記テーパ傾斜面が、傾斜角度αが異なる複数段のテーパ傾斜面で形成されていることを特徴とする。
【0063】
このように構成することによって、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、一次側流路の一次側ポートを介して流入する高圧側の流体が、傾斜角度αが異なる複数段のテーパ傾斜面に沿って、弁ポートに向かってより円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、さらに大きな流量を制御することが可能である。
【0064】
また、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、二次側流路の二次側ポート、弁ポートを介して流入する高圧側の流体が、この傾斜角度αが異なる複数段のテーパ傾斜面に沿って、弁ポートから一次側ポートに向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、さらに大きな流量を制御することが可能である。
【0065】
また、本発明の開閉弁は、前記複数段のテーパ傾斜面が、前記ピストン弁の主弁部の基端側のテーパ傾斜面が、先端側のテーパ傾斜面よりもその傾斜角度αが大きく形成されていることを特徴とする。
【0066】
このように構成することによって、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、一次側流路の一次側ポートを介して流入する高圧側の流体が、ピストン弁の主弁部の基端側のテーパ傾斜面が、先端側のテーパ傾斜面よりもその傾斜角度αが大きく形成された複数段のテーパ傾斜面に沿って、弁ポートに向かってより円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、さらに大きな流量を制御することが可能である。
【0067】
また、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、二次側流路の二次側ポート、弁ポートを介して流入する高圧側の流体が、ピストン弁の主弁部の基端側のテーパ傾斜面が、先端側のテーパ傾斜面よりもその傾斜角度αが大きく形成された複数段のテーパ傾斜面に沿って、弁ポートから一次側ポートに向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、さらに大きな流量を制御することが可能である。
【0068】
また、本発明の開閉弁は、前記複数段のテーパ傾斜面が、前記ピストン弁の主弁部の基端側のテーパ傾斜面が、先端側のテーパ傾斜面よりもその傾斜角度αが小さく形成されていることを特徴とする。
【0069】
このように構成することによって、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、一次側流路の一次側ポートを介して流入する高圧側の流体が、ピストン弁の主弁部の基端側のテーパ傾斜面が、先端側のテーパ傾斜面よりもその傾斜角度αが小さく形成された複数段のテーパ傾斜面に沿って、弁ポートに向かってより円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、さらに大きな流量を制御することが可能である。
【0070】
また、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、二次側流路の二次側ポート、弁ポートを介して流入する高圧側の流体が、ピストン弁の主弁部の基端側のテーパ傾斜面が、先端側のテーパ傾斜面よりもその傾斜角度αが小さく形成された複数段のテーパ傾斜面に沿って、弁ポートから一次側ポートに向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じず、圧力損失が低減して、流量を向上することが可能である。
【0071】
また、本発明の開閉弁は、前記ピストン弁が、前記弁座に形成した弁ポートを開閉する主弁部と、流路に連通するパイロット通路を開閉するパイロット弁とを備えたパイロット式の開閉弁であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0072】
本発明によれば、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、一次側流路の一次側ポートと対向するピストン弁の主弁部が、弁ポートに向かって径が縮小するテーパ傾斜面で構成されている。
【0073】
これにより、例えば、暖房運転時に、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、一次側流路の一次側ポートを介して流入する高圧側の流体が、このテーパ傾斜面に沿って、弁ポートに向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、大きな流量を制御することが可能である。
【0074】
また、例えば、冷房運転時に、ピストン弁が弁座から離間した開弁状態において、二次側流路の二次側ポート、弁ポートを介して流入する高圧側の流体が、このテーパ傾斜面に沿って、弁ポートから一次側ポートに向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、大きな流量を制御することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0077】
図1は、本発明の開閉弁10において、一次側流路から二次側流路に流体を流す場合の状態を示す本発明の開閉弁10の縦断面図、
図2は、本発明の開閉弁10において、二次側流路から一次側流路に流体を流す場合の状態を示す本発明の開閉弁10の縦断面図である。
【0078】
図1〜
図2において、符号10は、全体で本発明の開閉弁10を示している。
【0079】
なお、
図1〜
図2は、本発明の開閉弁10を、パイロット弁を備えたパイロット式の電磁弁に適用した実施例を示している。
【0080】
図1〜
図2に示したように、本発明の開閉弁10は、弁本体12を備えている。この弁本体12には、上下方向に、すなわち、
図1〜
図2において、軸線Y方向に形成された略円筒形状のシリンダ室14が形成されている。
【0081】
そして、このシリンダ室14内には、上下方向に、すなわち、
図1〜
図2において、軸線Y方向に摺動可能なピストン形状の弁体を構成するピストン弁16が装着されている。
なお、符号11は、大径部22の外周に装着され、ピストン弁16をシリンダ室14内に軸線Y方向に真っ直ぐに摺動させるための摺動リング11を示している。
【0082】
また、ピストン弁16は、シリンダ室14の側周壁18の内周壁20を摺動する大径部22を備えており、この大径部22の下方には、大径部22より小径で、弁体を構成する小径の弁体部24が形成されている。
【0083】
さらに、シリンダ室14の側周壁18には、
図1〜
図2において、右側に一次側ポート26が形成されており、この一次側ポート26に、継手形状の一次側流路28が装着されている。
【0084】
また、シリンダ室14の下方には、二次側ポート30が形成されており、この二次側ポート30に、継手形状の二次側流路32が装着されている。そして、二次側ポート30の上方には、弁座34が形成されているとともに、この弁座34に弁ポート34aが形成されている。
【0085】
一方、弁本体12のシリンダ室14には、ピストン弁16を挟んで、ピストン弁16の弁座34の側に形成された弁室aと、ピストン弁16の弁座34の側と反対側に形成された弁室bとが形成されている。
【0086】
また、ピストン弁16の大径部22には、その内周側に弁室bの一部の空間を形成する凹部40が形成されており、この凹部40には、径が小さくなった段部42が形成されている。
【0087】
そして、ピストン弁16の弁体部24には、この弁室bの一部の空間を形成する凹部40と、ピストン弁16の弁座側に形成された弁室aとを連通する弁体連通路44が形成されている。
【0088】
すなわち、
図1〜
図2に示したように、弁体連通路44は、ピストン弁16の凹部40の底部の中央に、ピストン弁16の軸線方向に形成した軸方向連通路46と、この軸方向連通路46の下端部から、ピストン弁16の弁体部24の半径方向外側に延びる半径方向連通路48とから形成されている。
【0089】
また、これらの半径方向連通路48の開口部50は、ピストン弁16の弁体部24の鉛直方向の側壁52に開口しており、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、弁室aに連通する半径方向連通路48の開口部50が、一次側流路28の一次側ポート26よりも開弁方向に設けられている(
図1〜
図2において、Z線の位置より開弁方向の位置に設けられている)。
【0090】
このように構成することによって、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、弁室aに連通する半径方向連通路48の開口部50が、一次側流路28の一次側ポート26よりも開弁方向に設けられているので、一次側流路28の一次側ポート26からの高圧流体が、弁体連通路44(軸方向連通路46、半径方向連通路48)内に流入する量が少なくなる。
【0091】
また、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、二次側流路32の二次側ポート30、弁ポート34aを介して弁室aに流入する高圧流体の負圧の作用によって、弁室bに流入した高圧の流体が、弁室bから弁体連通路44(軸方向連通路46、半径方向連通路48)を介して弁室aに円滑に排出され易くなる。
【0092】
これにより、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、弁室bに流入した高圧の流体が、弁室bから弁体連通路44(軸方向連通路46、半径方向連通路48)を介して弁室aに円滑に排出されることになるので、弁室b内が低圧になり、ピストン弁16が弁座34に当接して弁ポート34aを閉止することがなく、流体を円滑にしかも流量が低下することなく流すことができる。
【0093】
この場合、半径方向連通路48の弁室aに開口する開口位置(半径方向連通路48の開口部50)が、弁体であるピストン弁16の周方向に複数個形成されているのが望ましい。例えば、
図4に示したように、ピストン弁16の周方向に中心角度180°離間して2つの半径方向連通路48を形成してもよく、また、
図5に示したように、中心角度90°離間して4つの半径方向連通路48を形成してもよく、その数、位置などは適宜変更することができる。
【0094】
このように構成することによって、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、弁室bに流入した高圧の流体が、弁室bからピストン弁16の周方向に複数個形成された半径方向連通路48を介して弁室aに円滑に排出されることになる。弁室b内が低圧になるので、ピストン弁16が弁座34に当接して弁ポート34aを閉止することがなく、流体を円滑にしかも流量が低下することなく流すことができる。
【0095】
さらに、ピストン弁16の弁体部24の鉛直方向の側壁52の先端側には、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、一次側流路28の一次側ポート26と対向するピストン弁16の主弁部であり、弁ポート34aに向かって径が縮小するテーパ傾斜面54が形成されている。
【0096】
すなわち、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、一次側流路28の一次側ポート26と対向するピストン弁16の主弁部は、全てこのテーパ傾斜面54であって、ピストン弁16の弁体部24の鉛直方向の側壁52の部分は、一次側流路28の一次側ポート26と対向しない位置に形成されている。
【0097】
なお、このテーパ傾斜面54は、閉弁位置において、弁座34に着座し、弁ポート34aを閉止する。
【0098】
この場合、テーパ傾斜面54の傾斜角度αは、特に限定されるものではなく、60°程度にするのが望ましい。
【0099】
このように構成することにより、例えば、暖房運転時に、弁体であるピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、一次側流路28の一次側ポート26を介して、弁室aに流入する高圧側の流体が、このテーパ傾斜面54に沿って、弁ポート34aに向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、大きな流量を制御することが可能である。
【0100】
また、例えば、冷房運転時に、弁体であるピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、二次側流路32の二次側ポート30、弁ポート34aを介して、弁室aに流入する高圧側の流体が、このテーパ傾斜面54に沿って、弁ポート34aから一次側ポート26に向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、大きな流量を制御することが可能である。
【0101】
また、ピストン弁16の軸方向連通路46内には、ボール形状の逆止弁56が装着されており、ピストン弁16の凹部40の底部の中央に装着されたリング形状の逆止弁シート58に、接離することによって逆止弁の作用をするように構成されている。なお、符号51は、逆止弁56を逆止弁シート58側に付勢する付勢コイルバネ51を示している。
【0102】
なお、この逆止弁シート58は、ピストン弁16の凹部40の底部の中央に形成された軸方向連通路46の開口部の周壁をカシメ加工60することによって固定されている。
【0103】
さらに、弁本体12のシリンダ室14の上部には、開口部62が形成されており、この開口部62を介して、ピストン弁16をシリンダ室14に装着した後、この開口部62を蓋部材64によって閉蓋するように構成されている。
【0104】
なお、この蓋部材64は、シリンダ室14の上部の開口部62の側周壁18をカシメ加工66することによって固定されている。
【0105】
一方、
図1〜
図2に示したように、弁本体12には、左右方向に、すなわち、
図1〜
図2において、軸線Y方向に対して直交する方向である軸線X方向に、
図1〜
図2において左側に、パイロット弁室70が形成されている。
【0106】
そして、弁本体12の下方の側壁には、パイロット弁座72が形成され、このパイロット弁座72には、パイロットポート74が形成されている。また、パイロット弁室70と二次側ポート30とを連通するパイロット通路76が形成されている。
【0107】
さらに、弁本体12のシリンダ室14の側周壁18には、
図1〜
図2において、軸線Y方向に、シリンダ室14の弁室bと、パイロット弁室70とを連通する連通路78が形成されている。
【0108】
また、パイロット弁室70の側周壁80には、円筒形状のプランジャケース82が固定されている。このプランジャケース82内に、プランジャケース82の軸線X方向に左右に移動可能なプランジャ84を備えている。
【0109】
そして、プランジャケース82のパイロット弁室70と反対方向の端部には、吸引子86が固定されており、この吸引子86とプランジャ84との間に、プランジャ84を右方向に、すなわち、パイロット弁座72の方向にプランジャ84を付勢するコイルバネ88が介装されている。
【0110】
すなわち、コイルバネ88は、プランジャ84の吸引子86の側に形成されたバネ装着孔90と吸引子86との間に介装されている。
【0111】
さらに、プランジャ84の先端には、パイロット弁座72に離間する球状のパイロット弁92が設けられている。
【0112】
すなわち、パイロット弁92は、プランジャ84の先端84aをカシメ加工することによって、プランジャ84の先端84aからパイロット弁座72の方向に突出する状態で取り付けられている。
【0113】
また、このプランジャ84の外周には、電磁コイル94からなる制御部96が設けられている。なお、制御部96は簡略化して示しており、図示しないが、制御部96には、磁路を構成する磁気フレームなどを備えている。
【0114】
なお、ピストン弁16の上部に形成された大径部22と、シリンダ室14の側周壁18の内周壁20との間のクリアランスにより、環状の副流路98が形成されている。
【0115】
このように構成される本発明の開閉弁10は、下記のように作動される。
【0116】
例えば、開閉弁10を、エアコン・冷凍機などの空気調和機の冷媒循環回路などに用いる場合に、仮に、一次側流路28から二次側流路32への流れ方向(
図1の矢印Cの流れ)を暖房運転とすると、
図3の状態から、制御部96の電磁コイル94に通電することによって、
図1に示したように、プランジャ84が、コイルバネ88の付勢力に抗して吸引子86の方向に(
図1において左側に)移動する。
【0117】
これにより、
図1に示したように、プランジャ84の先端84aに装着されたパイロット弁92が、弁本体12に形成されたパイロット弁座72から離間する方向に移動して、パイロット通路76が開かれることになる。
【0118】
そして、制御部96の電磁コイル94に通電直後は、シリンダ室14に形成された弁室bに残存する高圧流体は、
図1の矢印Bで示したように、弁本体12のシリンダ室14の側周壁18に形成された連通路78を介して、パイロット弁室70へと流入する。
【0119】
さらに、パイロット弁室70へと流入した、高圧流体は、パイロット弁座72に形成されたパイロットポート74、パイロット通路76を介して、二次側流路32を介して排出される。このため、弁室bが低圧の状態となる。
【0120】
これにより、弁室aが高圧で、弁室bが低圧になり、この圧力差によって、ピストン弁16が弁座34から離間する方向に移動して、弁座34に形成された弁ポート34aが開放される。
【0121】
これにより、
図1の矢印Cで示したように、一次側流路28の一次側ポート26から、弁室a、弁座34に形成された弁ポート34a、二次側ポート30を通り、二次側流路32に至る流体の流れが形成されることになる。
【0122】
なお、制御部96の電磁コイル94に通電した状態において、弁室bへは、一次側流路28の一次側ポート26、シリンダ室14の弁室aから、シリンダ室14の側周壁18の内周壁20との間の副流路98を介して、多少の高圧流体が流入するが、パイロット通路76、二次側流路32を介して排出される。このため、弁室bが低圧の状態が維持され、ピストン弁16の開弁状態が維持される。
【0123】
逆に、例えば、冷房運転時には、制御部96の電磁コイル94への通電はせず、プランジャ84は、、コイルバネ88の付勢力によって、吸引子86から離間する方向に(
図1において右側に)位置する。これにより、プランジャ84の先端84aに装着されたパイロット弁92が、弁本体12に形成されたパイロット弁座72に当接して、パイロット通路76を閉止する。
【0124】
そして、高圧側である二次側流路32から二次側ポート30、弁座34に形成された弁ポート34aを介して弁室aに流れ込む高圧流体の作用によって、ピストン弁16が弁座34から離間する方向に移動する。これにより、弁座34に形成された弁ポート34aが開放され、
図2の矢印Dで示したように、一次側ポート26から一次側流路28へ排出される。
【0125】
この際、高圧側である二次側流路32から二次側ポート30に流れ込んだ高圧流体の圧力が、プランジャ84のコイルバネ88の付勢力より大きい場合には、プランジャ84が、コイルバネ88の付勢力に抗して、吸引子86の方向に(
図1において左側に)移動する。
【0126】
従って、
図2の矢印Fで示したように、プランジャ84の先端84aに装着されたパイロット弁92が、弁本体12に形成されたパイロット弁座72から離間する方向に移動して、パイロット通路76が開放されることになる。
【0127】
これにより、二次側流路32からパイロット通路76に流れ込んだ高圧流体は、
図2の矢印Gで示したように、パイロット弁室70へと流入し、弁本体12のシリンダ室14の側周壁18に形成された連通路78を介して、弁室bに流入する。
【0128】
しかしながら、弁室bに流入した高圧流体は、
図2の矢印Eで示したように、逆止弁56が逆止弁シート58から離間して、ピストン弁16の弁体部24に形成された軸方向連通路46から、半径方向連通路48を介して、弁室aに戻り、一次側ポート26から一次側流路28へ排出される。
【0129】
この場合、半径方向連通路48の開口部50は、ピストン弁16の弁体部24の鉛直方向の側壁52に開口しており、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、一次側流路28の一次側ポート26よりも開弁方向に設けられている。
【0130】
この際、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、二次側流路32の二次側ポート30、弁ポート34aを介して弁室aに流入する高圧流体の負圧の作用によって、弁室bに流入した高圧の流体が、弁室bから弁体連通路44(軸方向連通路46、半径方向連通路48)を介して弁室aに円滑に排出され易くなる。
【0131】
これによって、弁室bに流入した高圧流体の圧力によって、主弁14が弁座34方向に移動して、ピストン弁16によって弁ポート34aが閉止されるのが効果的に防止されるようになっている。
【0132】
これにより、、
図2の矢印Dで示したように、二次側流路32の二次側ポート30から、弁室a、弁座34に形成された弁ポート34aを通り、一次側流路28の一次側ポート26に至る流体の流れが形成されることになる。
【0133】
なお、
図2の矢印Dで示したように、二次側流路32が高圧で、二次側流路32から低圧側である一次側流路28へ流れる方向の場合には、スプリング68の付勢力に抗して、ピストン弁16を弁座34から離間する方向に移動するだけの圧力差が発生すると、制御部96の電磁コイル94によるピストン弁16の開閉制御はできず、開弁状態を維持するようになっている。
【0134】
この場合、
図6に示したように、弁体であるピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、ピストン弁16の必要リフト量eは、下記のように決定すればよい。
【0135】
すなわち、
図6(A)(B)に示したように、開口面積は、ピストン弁16の底面55の半径rと、弁座34の弁ポート34aの半径Rと、ピストン弁16の底面55と弁座34との間に形成される円錐の側長Lからなる、円錐の側面積になる。
なお、下記の式において、Dは、二次側ポート30の直径を示している。
【0136】
従って、円錐の側面積A1=π・L(r+R)である。
一方、ピストン弁16の弁リフトeと開口面積A1の関係は、下記のように決定される、
【0137】
ピストン弁16の弁リフトeと円錐の側長Lの関係は、L=f(e)の関係式とすると、弁リフトeに対する開口面積A1の関係は、下式になる。
A1=π・(r+R)×f(e)
【0138】
また、ピストン弁16の必要とする弁リフトeは、開口面積A1が、弁ポート34aの口径面積よりも大きいことが望ましい。
この場合、口径面積A2=πD
2/4
【0139】
従って、
A1>A2
よって、π・(r+R)×f(e)>πD
2/4
【0140】
従って、f(e)>(πD
2/4)/(π×(r+R))
よって、この関係式を満たすピストン弁16の弁リフトeが必要となる。
【0141】
このように構成される本発明の開閉弁10は、
図11に示した従来のパイロット式の電磁弁100と、
図7に示した本発明の開閉弁10において、ピストン弁16を取り除いた構造(
図1〜
図3の実施例と同じ構成部材には同じ参照番号を付しておいた)の比較例よりも、流量において、10%向上する。
なお、比較例の流量と、従来のパイロット式の電磁弁100の流量は、ほぼ同量である。
(実施例2)
【0142】
図8は、本発明の開閉弁10の別の実施例を示すピストン弁16のみを示す縦断面図である。
【0143】
この実施例の開閉弁10は、
図1〜
図5に示した実施例1の開閉弁10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0144】
この実施例の開閉弁10では、弁体であるピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、半径方向連通路48の弁室aに開口する開口位置(半径方向連通路48の開口部50)が、テーパ傾斜面54に設けられている。
【0145】
すなわち、
図8に示したように、半径方向連通路48が、下方に傾斜して形成されており、テーパ傾斜面54に開口するように構成されている。
【0146】
このように構成することによって、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、半径方向連通路48の弁室aに開口する開口位置(半径方向連通路48の開口部50)が、テーパ傾斜面54に設けられているので、一次側流路28の一次側ポート26からの高圧流体が、テーパ傾斜面54に沿って案内されて、弁ポート34aに向かって案内されることになり、弁体連通路44(軸方向連通路46、半径方向連通路48)内に流入する量が少なくなる。
【0147】
これにより、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、弁室bに流入した高圧の流体が、弁室bから弁体連通路44(軸方向連通路46、半径方向連通路48)を介して弁室aに円滑に排出されることになるので、弁室b内が低圧になるので、ピストン弁16が弁座34に当接して弁ポート34aを閉止することがなく、流体を円滑にしかも流量が低下することなく流すことができる。
(実施例3)
【0148】
図9は、本発明の開閉弁10の別の実施例を示す
図8と同様なピストン弁16のみを示す外観側面図である。
【0149】
この実施例の開閉弁10は、
図1〜
図5に示した実施例1の開閉弁10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0150】
この実施例の開閉弁10は、テーパ傾斜面54が、傾斜角度αが異なる複数段のテーパ傾斜面で形成されている。
【0151】
すなわち、この実施例の開閉弁10では、複数段のテーパ傾斜面が、ピストン弁16の弁体部24の基端側のテーパ傾斜面54aが、先端側のテーパ傾斜面54bよりもその傾斜角度α(α1>α2)が大きく形成されている。なお、この実施例では、2つのテーパ傾斜面54a、テーパ傾斜面54bから構成したが、複数であれば特にその数は限定されるものではない。
【0152】
このように構成することによって、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、一次側流路28の一次側ポート26を介して弁室aに流入する高圧側の流体が、ピストン弁16の弁体部24の基端側のテーパ傾斜面54aが、先端側のテーパ傾斜面54bよりもその傾斜角度αが大きく形成された複数段のテーパ傾斜面(54a、54b)に沿って、弁ポート34aに向かってより円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、さらに大きな流量を制御することが可能である。
【0153】
また、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、二次側流路32の二次側ポート30、弁ポート34aを介して弁室aに流入する高圧側の流体が、ピストン弁16の弁体部24の基端側のテーパ傾斜面54aが、先端側のテーパ傾斜面54bよりもその傾斜角度αが大きく形成された複数段のテーパ傾斜面(54a、54b)に沿って、弁ポート34aから一次側ポート26に向かって円滑に案内されることになる。乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、さらに大きな流量を制御することが可能である。
(実施例4)
【0154】
図10は、本発明の開閉弁10の別の実施例を示す
図8と同様なピストン弁16のみを示す外観側面図である。
【0155】
この実施例の開閉弁10は、
図1〜
図5に示した実施例1の開閉弁10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0156】
この実施例の開閉弁10は、テーパ傾斜面54が、傾斜角度αが異なる複数段のテーパ傾斜面で形成されている。
【0157】
すなわち、この実施例の開閉弁10では、複数段のテーパ傾斜面が、ピストン弁16の弁体部24の基端側のテーパ傾斜面54aが、先端側のテーパ傾斜面54bよりもその傾斜角度α(α1<α2)が小さく形成されている。なお、この実施例では、2つのテーパ傾斜面54a、テーパ傾斜面54bから構成したが、複数であれば特にその数は限定されるものではない。
【0158】
このように構成することによって、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、一次側流路28の一次側ポート26を介して弁室aに流入する高圧側の流体が、ピストン弁16の弁体部24の基端側のテーパ傾斜面54aが、先端側のテーパ傾斜面54bよりもその傾斜角度αが小さく形成され複数段のテーパ傾斜面(54a、54b)に沿って、弁ポート34aに向かってより円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、さらに大きな流量を制御することが可能である。
【0159】
また、ピストン弁16が弁座34から離間した開弁状態において、二次側流路32の二次側ポート30、弁ポート34aを介して弁室aに流入する高圧側の流体が、ピストン弁16の弁体部24の基端側のテーパ傾斜面54aが、先端側のテーパ傾斜面54bよりもその傾斜角度αが小さく形成され複数段のテーパ傾斜面(54a、54b)に沿って、弁ポート34aから一次側ポート26に向かって円滑に案内されることになる。従って、乱流が生じ難く、圧力損失を少なくするとともに、さらに大きな流量を制御することが可能である。
【0160】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例の軸線Y方向にシリンダ室14が形成され、シリンダ室14内に軸線Y方向に摺動可能なるピストン弁16が装着されるとともに、軸線Y方向にパイロット弁室70が形成されている構成の開閉弁に適用することも可能である。
【0161】
さらに、上記実施例では、ピストン弁16の軸方向連通路46内には、ボール形状の逆止弁56が装着されているが、逆止弁56を設けないようにすることも可能である。
【0162】
また、弁閉状態で完全に流量が遮断されるもの以外にも、弁閉状態で絞り流路(溝)が形成されている開閉弁にも適用可能である。
【0163】
さらに、本発明の開閉弁は、上記実施例では、パイロット弁を備えたパイロット式の電磁弁に適用した実施例を示しているが、図示しないが、いわゆる「直動式の開閉弁」にも適用することが可能である。
【0164】
すなわち、シリンダ室14をプランジャケース82から構成し、ピストン弁16をプランジャ84から構成するとともに、弁体部24をプランジャ84の先端に設けたニードル弁から構成した直動式の開閉弁にも適用可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。