特開2015-12799(P2015-12799A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-12799回転子位置検出回路、これを用いたモータ駆動制御装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-12799(P2015-12799A)
(43)【公開日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】回転子位置検出回路、これを用いたモータ駆動制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/18 20060101AFI20141216BHJP
【FI】
   H02P6/02 371T
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-193171(P2013-193171)
(22)【出願日】2013年9月18日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0076026
(32)【優先日】2013年6月28日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コ、ジョー ユル
(72)【発明者】
【氏名】リム、タエ ホ
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560BB04
5H560BB12
5H560DA14
5H560DC12
5H560DC13
5H560EB01
5H560HA09
5H560RR03
5H560SS06
5H560TT15
(57)【要約】
【課題】本発明は、回転子位置検出回路、これを用いたモータ駆動制御装置及び方法に関する。
【解決手段】本発明の一具現例による回転子位置検出回路は、モータの複数の相にそれぞれ流れる複数の相電流をサンプリングして提供するサンプリング部と、サンプリングされた上記複数の相電流を相互比較することで、最大値または最小値を有する相を決定する比較部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの複数の相にそれぞれ流れる複数の相電流をサンプリングして提供するサンプリング部と、
サンプリングされた前記複数の相電流を相互比較することで、最大値または最小値を有する相を決定する比較部と、を含む、回転子位置検出回路。
【請求項2】
前記比較部は、
前記複数の相電流のうちいずれか一つが第1信号として入力され、残りの複数の相電流のうち他の一つが第2信号として入力される比較器を含む、請求項1に記載の回転子位置検出回路。
【請求項3】
前記比較部は、
所定の比較アルゴリズムを用いることで、前記複数の相電流のうち前記比較器に入力される前記第1信号及び前記第2信号を決定する状態マシンをさらに含む、請求項2に記載の回転子位置検出回路。
【請求項4】
前記比較部は、
前記サンプリング部及び前記比較器に直列連結され、前記状態マシンの制御によって前記複数の相電流のうち一部が前記比較器に入力されるようにスイッチング動作するスイッチアレイをさらに含む、請求項3に記載の回転子位置検出回路。
【請求項5】
前記サンプリング部は、
予め設定された基準によって前記複数の相電流をそれぞれサンプリングして維持する複数のサンプルアンドホルダを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の回転子位置検出回路。
【請求項6】
前記回転子位置検出回路は、
前記モータの複数の相で感知された相電圧を所定のレベル範囲に変換するレベル調整部をさらに含み、
前記複数の相電流は前記レベル調整部から出力された相電圧に対応する、請求項1から5のいずれか一項に記載の回転子位置検出回路。
【請求項7】
短パルス列を含む初期駆動信号を提供する駆動信号生成部と、
前記初期駆動信号に対応する駆動電流を生成してモータに提供するインバータ部と、
前記駆動電流によって発生する前記モータの相電流を相互比較することで、前記モータの回転子位置を検出する回転子位置検出部と、を含む、モータ駆動制御装置。
【請求項8】
前記回転子位置検出部は、
モータの複数の相にそれぞれ流れる複数の相電流をサンプリングして提供するサンプリング部と、
サンプリングされた前記複数の相電流を相互比較することで、最大値または最小値を有する相を決定する比較部と、を含む、請求項7に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項9】
前記比較部は、
前記複数の相電流のうちいずれか一つが第1信号として入力され、残りの複数の相電流のうち他の一つが第2信号として入力される比較器を含む、請求項8に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項10】
前記比較部は、
所定の比較アルゴリズムを用いることで、前記複数の相電流のうち前記比較器に入力される前記第1信号及び前記第2信号を決定する状態マシンをさらに含む、請求項9に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項11】
前記比較部は、
前記サンプリング部及び前記比較器に直列連結され、前記状態マシンの制御によって前記複数の相電流のうち一部が前記比較器に入力されるようにスイッチング動作するスイッチアレイをさらに含む、請求項10に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項12】
前記回転子位置検出部は、
前記モータの複数の相で感知された相電圧を所定のレベル範囲に変換するレベル調整部をさらに含み、
前記複数の相電流は前記レベル調整部から出力された相電圧に対応する、請求項8から11のいずれか一項に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項13】
前記モータ駆動制御装置は、
前記回転子位置検出部によって前記回転子の位置が確認されると、確認された前記回転子の位置を用いて前記モータの駆動を制御する制御部をさらに含む、請求項7から12のいずれか一項に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記回転子の位置が確認されると、前記制御部の制御によって駆動信号を生成し、前記初期駆動信号を代替して生成された前記駆動信号を提供する、請求項13に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項15】
モータの駆動を制御するモータ駆動制御装置において行われるモータ駆動制御方法であり、
前記モータに所定の初期駆動信号を提供する段階と、
前記初期駆動信号によって前記モータの複数の相に流れる複数の相電流をサンプリングする段階と、
サンプリングされた前記複数の相電流を相互比較して最大値または最小値を有する相を確認し、これを用いて前記モータの回転子位置を検出する段階と、を含む、モータ駆動制御方法。
【請求項16】
前記複数の相電流をサンプリングする段階は、
前記複数の相で感知された相電圧を所定のレベル範囲に変換する段階と、
変換された前記相電圧に対応する前記複数の相電流を用いてサンプリングを行う段階と、を含む、請求項15に記載のモータ駆動制御方法。
【請求項17】
前記サンプリングを行う段階は、
予め設定された時間に前記複数の相電流をそれぞれサンプリングする段階と、
サンプリングされた前記複数の相電流のぞれぞれを維持して出力する段階と、を含む、請求項16に記載のモータ駆動制御方法。
【請求項18】
前記モータの回転子位置を検出する段階は、
所定の比較アルゴリズムを用いることで、前記複数の相電流のうち所定の比較器に入力される第1信号及び第2信号を決定する段階と、
前記比較器を用いることで、前記複数の相電流のうち最大値または最小値を有する相を確認する段階と、を含む、請求項15から17のいずれか一項に記載のモータ駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転子位置検出回路、これを用いたモータ駆動制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ技術の発展に伴い、幅広い技術分野において多様なサイズのモータが用いられている。
【0003】
一般に、モータは、永久磁石と印加電流によって極性を変えるコイルとを用いることで、回転子(Rotor)が回転して駆動される。最初のモータ形態は、回転子にコイルが備えられたブラシタイプのモータであったが、モータの駆動によってブラシが磨耗したり、スパークが発生したりするなどの問題点があった。
【0004】
これにより、最近は、多様な形態のブラシレスモータが広く用いられている。ブラシレスモータは、ブラシや整流子などの機械的な接触部を除去し、その代わりに電子的な整流器具を用いて駆動する直流モータであり、永久磁石からなる固定子と、複数の相に対応する固定子と、を備えることで、各固定子のコイルの相電圧により発生する磁気力によって回転子を回転させることができる。
【0005】
このため、このようなブラシレスモータを正確に駆動させるためには、回転子の位置を確認することが非常に重要である。
【0006】
従来は、このような回転子の位置を把握するために、ホールセンサなどが用いられたセンサモータを用いたが、センサモータの場合、モータサイズが大きくなり、構成が複雑になるという限界性があるため、最近のようなモータの小型化の傾向下においては用いることができないという問題があった。
【0007】
これにより、最近は、初期駆動時に、モータに電流を無作為に提供して強制的に回転を誘発し、上記回転によって回転子の位置を決定する技術が開発されている。しかし、このような技術の場合、無作為的な電流提供によってモータの逆方向回転が発生する可能性があり、このような逆方向回転によってモータの損傷が発生するという問題がある。
【0008】
下記特許文献は、SRMの回転子位置整列方法及びそれを具現するためのSRM駆動回路に関するものであるが、上記問題点を解決できないという限界性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第2001−0100648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点を解決するためのもので、初期駆動信号によるモータの相電流を、比較器を用いて比較することで、小さい面積及び簡単な回路構成でも回転子の位置を確認することができる回転子位置検出回路、これを用いたモータ駆動制御装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1技術的な側面は、回転子位置検出回路を提案する。上記回転子位置検出回路は、モータの複数の相にそれぞれ流れる複数の相電流をサンプリングして提供するサンプリング部と、サンプリングされた上記複数の相電流を相互比較することで最大値または最小値を有する相を決定する比較部と、を含む。
【0012】
一実施形態において、上記比較部は、上記複数の相電流のうちいずれか一つが第1信号として入力され、残りの複数の相電流のうち他の一つが第2信号として入力される比較器を含むことができる。
【0013】
一実施形態において、上記比較部は、所定の比較アルゴリズムを用いることで、上記複数の相電流のうち上記比較器に入力される第1及び第2信号を決定する状態マシンをさらに含むことができる。
【0014】
一実施形態において、上記比較部は、上記サンプリング部及び上記比較器に直列連結され、上記状態マシンの制御によって上記複数の相電流のうち一部が上記比較器に入力されるようにスイッチング動作するスイッチアレイをさらに含むことができる。
【0015】
一実施形態において、上記サンプリング部は、予め設定された基準によって上記複数の相電流をそれぞれサンプリングして維持する複数のサンプルアンドホルダを含むことができる。
【0016】
一実施形態において、上記回転子位置検出回路は、上記モータの複数の相で感知された相電圧を所定のレベル範囲に変換するレベル調整部をさらに含むことができる。ここで、上記複数の相電流は、上記レベル調整部から出力された相電圧に対応することができる。
【0017】
本発明の第2技術的な側面は、モータ駆動制御装置を提案する。上記モータ駆動制御装置は、短パルス列を含む初期駆動信号を提供する駆動信号生成部と、上記初期駆動信号に対応する駆動電流を生成して モータに提供するインバータ部と、上記駆動電流によって発生する上記モータの相電流を相互比較して上記モータの回転子位置を検出する回転子位置検出部と、を含むことができる。
【0018】
一実施形態において、上記回転子位置検出部は、モータの複数の相にそれぞれ流れる複数の相電流をサンプリングして提供するサンプリング部と、サンプリングされた上記複数の相電流を相互比較して最大値または最小値を有する相を決定する比較部と、を含むことができる。
【0019】
一実施形態において、上記比較部は、上記複数の相電流のうちいずれか一つが第1信号として入力され、残りの複数の相電流のうち他の一つが第2信号として入力される比較器を含むことができる。
【0020】
一実施形態において、上記比較部は、所定の比較アルゴリズムを用いることで、上記複数の相電流のうち上記比較器に入力される第1及び第2信号を決定する状態マシンをさらに含むことができる。
【0021】
一実施形態において、上記比較部は、上記サンプリング部及び上記比較器に直列連結され、上記状態マシンの制御によって上記複数の相電流のうち一部が上記比較器に入力されるようにスイッチング動作するスイッチアレイをさらに含むことができる。
【0022】
一実施形態において、上記回転子位置検出部は、上記モータの複数の相で感知された相電圧を所定のレベル範囲に変換するレベル調整部をさらに含むことができる。ここで、上記複数の相電流は、上記レベル調整部から出力された相電圧に対応することができる。
【0023】
一実施形態において、上記モータ駆動制御装置は、上記回転子位置検出部によって上記回転子の位置が確認されると、確認された上記回転子の位置を用いて上記モータの駆動を制御する制御部をさらに含むことができる。
【0024】
一実施形態において、上記制御部は、上記回転子の位置が確認されると、上記制御部の制御によって駆動信号を生成し、上記初期駆動信号を代替して生成された上記駆動信号を提供することができる。
【0025】
本発明の第3技術的な側面は、モータ駆動制御方法を提案する。上記モータ駆動制御方法は、モータの駆動を制御するモータ駆動制御装置において行われる。上記モータ駆動制御方法は、上記モータに所定の初期駆動信号を提供する段階と、上記初期駆動信号によって上記モータの複数の相に流れる複数の相電流をサンプリングする段階と、サンプリングされた上記複数の相電流を相互比較して最大値または最小値を有する相を確認し、これを用いて上記モータの回転子位置を検出する段階と、を含む。
【0026】
一実施形態において、上記複数の相電流をサンプリングする段階は、上記複数の相で感知された相電圧を所定のレベル範囲に変換する段階と、変換された上記相電圧に対応する上記複数の相電流を用いてサンプリングを行う段階と、を含むことができる。
【0027】
一実施形態において、上記サンプリングを行う段階は、予め設定された時間に上記複数の相電流をそれぞれサンプリングする段階と、上記それぞれサンプリングされた複数の相電流を維持して出力する段階と、を含むことができる。
【0028】
一実施形態において、上記モータの回転子位置を検出する段階は、所定の比較アルゴリズムを用いることで、上記複数の相電流のうち所定の比較器に入力される第1及び第2信号を決定する段階と、上記比較器を用いることで、上記複数の相電流のうち最大値または最小値を有する相を確認する段階と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施形態によると、初期駆動信号によるモータの相電流を比較器を用いて比較することで、小さい面積及び簡単な回路構成でも回転子の位置を確認することができる効果がある。また、比較器を用いた簡単な回路構成が可能であるため、集積回路を容易に具現することができ、生産費用を効率的に減らすことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明によるモータ駆動制御装置の一実施形態を示した構成図である。
図2図1のインバータ部の一実施形態を示した回路図である。
図3図1の回転子位置検出部の一実施形態を説明するための回路図である。
図4】本発明によるモータ駆動制御装置の信号を説明するタイミング信号図である。
図5】本発明によるモータ駆動制御方法の一実施形態を説明するための順序図である。
図6図3の状態マシンにおいて行われる比較アルゴリズムを示した順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。なお、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0032】
以下では、説明の便宜のために、ブラシレスモータを基準に本発明について説明する。しかし、これは、説明の便宜のためのもので、本発明の権利範囲は必ずブラシレスモータに限定されない。
【0033】
図1は本発明によるモータ駆動制御装置の一実施形態を説明するための構成図である。
【0034】
モータ200は、駆動信号によって回転動作を行うことができる。例えば、インバータ部130から提供される駆動電流により、モータ200の各コイルに磁場が発生することができる。このようなコイルにおいて発生する磁場によってモータ200に備えられた回転子が回転することができる。
【0035】
モータ駆動制御装置100は、モータ200に駆動信号を提供することでモータ200の駆動を制御することができる。
【0036】
具体的には、モータ駆動制御装置100は、電源供給部110、駆動信号生成部120、インバータ部130、回転子位置検出部140及び制御部150を含むことができる。
【0037】
電源供給部110は、モータ駆動制御装置100の各構成要素に電源を供給することができる。例えば、電源供給部110は、商用電源の交流電圧を直流電圧に変換して供給することができる。図面において点線で示された線は、電源供給部110から提供される所定の電源を意味する。
【0038】
駆動信号生成部120は、インバータ部130に駆動信号を提供することができる。
【0039】
一実施形態において、駆動信号生成部120は、インバータ部130に初期駆動信号を提供することができる。初期駆動信号は、モータ200の停止状態において回転子の位置を確認するために提供される所定の信号である。一実施形態において、初期駆動信号は、短パルス列(short pulse train)を含むことができる。
【0040】
インバータ部130は、モータ200を動作させるための駆動電流を生成することができる。
【0041】
例えば、インバータ部130は、駆動信号に応じて直流電圧を複数の相(例えば、3相または4相)電圧に変換することで、モータ200のコイル(上記複数の相に対応)にそれぞれ印加して磁場を発生させることができる。
【0042】
インバータ部130は、駆動信号生成部120から初期駆動信号が提供されると、それに対応する駆動電流を生成してモータ200に提供することができる。
【0043】
回転子位置検出部140は、インバータ部130から提供された駆動電流によってモータ200の相電流が発生すると、上記相電流を相互比較して上記モータの回転子位置を検出することができる。
【0044】
一実施形態において、モータ200は、複数の相を備えることができ、それぞれの複数の相における+端子及び−端子に駆動電流が供給されることができる。回転子位置検出部140は、このような複数の相にそれぞれ流れる複数の相電流をサンプリングし、サンプリングされた複数の相電流を相互比較して最大値または最小値を有する相を決定して回転子の位置を検出することができる。
【0045】
以下では、回転子位置検出部140の多様な実施形態については図3を参照して詳細に説明する。
【0046】
制御部150は、回転子位置検出部140によって回転子の位置が確認されると、確認された回転子の位置を用いてモータ200の駆動を制御することができる。
【0047】
モータ200の駆動を制御するにあたり、制御部150は、モータ200の相転換時点を確認し、確認された相転換時点を用いて駆動信号を生成するように駆動信号生成部120を制御することができる。例えば、制御部150は、逆起電力の零交差(Zero−Crossing)時点において相転換が行われるように駆動信号生成部120を制御することができる。
【0048】
図2図1のインバータ部の一実施形態を示した回路図である。
【0049】
図2をさらに参照すると、インバータ部130は、+電源端に連結される複数の上位スイッチ素子(SW1〜SW3)と、それぞれの上位スイッチ素子(SW1〜SW3)及び電源端の間に備えられる複数の下位スイッチ素子(SW4〜SW6)と、を含む。各上位スイッチ素子(SW1〜SW3)と下位スイッチ素子(SW4〜SW6)との接点はモータ200の各コイル(A、B、C)に連結される。
【0050】
インバータ部130の上位スイッチ素子(SW1〜SW3)は順にターンオンし、下位スイッチ素子(SW4〜SW6)は連結された上位スイッチ素子(SW1〜SW3)とは反対の状態でオン/オフ動作する。このとき、スイッチ素子SW1がターンオンすると、モータ200のAコイルに+電圧が印加され、動作中にスイッチ素子SW6がターンオンするようになって、Cコイルには−電圧が印加される。このため、AコイルとCコイルとの間に反対極性の磁気力が発生し、磁気力の相互作用によって回転子が60度回転する。次に、スイッチ素子SW1はオフし、スイッチ素子SW2がオンするようになって、Cコイルに発生した磁気力とは反対極性の磁気力がBコイルに発生し、この磁気力によってモータ200がさらに60度回転する。同様に、スイッチ素子SW2がオン状態の間にスイッチ素子SW6がオフし、スイッチ素子SW4がオンするようになって、AコイルにBコイルの磁気力とは反対極性の磁気力が発生して回転子がさらに60度回転する。上記のような過程が繰り返し行われ、回転子が引き続き回転してモータ200は動作する。
【0051】
回転子位置検出部140は、このような複数の相に流れる電流または電圧を用いることで、回転子の位置を検出することができる。図面には、3相モータ200に対するインバータ部130が示されている。これにより、回転子位置検出部140に用いられる複数の相電流または相電圧は6個になる。
【0052】
図3図1の回転子位置検出部の一実施形態を説明するための回路図である。回転子位置検出部140は、図3に示されているように、所定の回路(回転子位置検出回路)で構成されることができる。
【0053】
図3をさらに参照すると、回転子位置検出部140は、サンプリング部320及び比較部330を含むことができる。実施形態によって、回転子位置検出部140は、レベル調整部310をさらに含むことができる。
【0054】
レベル調整部(Level Shifter)310は、モータ200の複数の相で感知された相電圧VCを所定のレベル範囲に変換することができる。これは、検出された電圧レベルが比較するのに十分ではないほど小さい場合に、比較可能な水準の電圧レベルに変更するためのものである。ここで、複数の相電流は、レベル調整部310から出力された相電圧に対応することができる。
【0055】
サンプリング部320は、モータ200の複数の相にそれぞれ流れる複数の相電流をサンプリングして提供されることができる。
【0056】
一実施形態において、サンプリング部320は、サンプルアンドホルダ320を含むことができる。
【0057】
サンプルアンドホルダ320は、予め設定された基準によって複数の相電流をそれぞれサンプリングして維持することができる。
【0058】
一実施形態において、サンプルアンドホルダ320は、複数の相の個数に該当する個数で構成されることができる。図面には、3相モータの場合が示されていることから、総6個のサンプルアンドホルダが用いられることが分かる。
【0059】
一実施形態において、サンプルアンドホルダ320は、個別に提供されるクロック入力信号の入力を受け、入力されたクロック入力信号に予め設定された基準を適用することで、個別にサンプリングを行うことができる。
【0060】
比較部330は、サンプリングされた複数の相電流を相互比較することで、最大値または最小値を有する相を決定することができる。
【0061】
比較部330は、スイッチアレイ340、比較器350及び状態マシン360を含むことができる。
【0062】
スイッチアレイ340は、サンプリング部320及び比較器350に直列連結されることができる。スイッチアレイ340は、状態マシン360の制御により、複数の相電流のうち一部が比較器350に入力されるようにスイッチング動作することができる。
【0063】
比較器350は、複数の相電流のうちいずれか一つが第1信号として入力され、残りの複数の相電流のうち他の一つが第2信号として入力されることで、これを比較することができる。ここで、第1信号及び第2信号は、スイッチアレイ340のスイッチング動作によって選択または変更されることができる。
【0064】
ここで、比較器350は、二つの入力によって異なる相電流が入力されることが分かる。即ち、一般的な比較器の場合は、一つの入力によってリファレンス信号が入力されるのに対し、本発明の比較器350では、スイッチアレイ340を通じて複数の相電流から選択された二つの相電流が入力信号として入力される。このような特徴により、本発明では、一つの比較器350によっても多様な比較アルゴリズムによる最大値または最小値を有する相を簡単な構成で確認することができる。
【0065】
状態マシン360は、所定の比較アルゴリズムを用いることで、複数の相電流のうち比較器350に入力される第1及び第2信号を決定することができる。ここで、比較アルゴリズムとしては、トーナメント方式や順次比較方式などの多様な比較アルゴリズムが用いられることができるため、本発明では比較アルゴリズムを特定のアルゴリズムに限定しない。
【0066】
図4は本発明によるモータ駆動制御装置の信号を説明するタイミング信号図である。
【0067】
図4において、CKSHはサンプルアンドホルダ320に入力されるクロック入力信号、SHはサンプルアンドホルダ320の出力信号を意味する。GSWで示される信号はモータ200に入力される駆動信号を意味し、小さい添え字はモータ200の該当相を示す。
【0068】
図面に示されているように、サンプルアンドホルダ320に入力されるクロック入力信号がハイからローに変わる時点において、サンプルアンドホルダ320は該当電圧をサンプリングしてそれに相応する電流(相電流)を出力する。
【0069】
図5は本発明によるモータ制御方法の一実施形態を説明するための順序図である。
【0070】
以下では、図5を参照し、本発明によるモータ駆動制御方法の一実施形態を説明する。本発明によるモータ駆動制御方法の一実施形態は、図1から図4を参照して上述したモータ駆動制御装置100において行われるため、上述した説明と同一またはそれに相応する内容については繰り返し説明しない。
【0071】
図1から図5を参照すると、モータ駆動制御装置100は、モータ200に所定の初期駆動信号を提供することができる(S510)。
【0072】
その後、モータ駆動制御装置100は、初期駆動信号により、モータ200の複数の相に流れる複数の相電流をサンプリングすることができる(S520)。
【0073】
次いで、モータ駆動制御装置100は、サンプリングされた複数の相電流を相互比較して最大値または最小値を有する相を確認し(S530)、これを用いてモータ200の回転子位置を検出することができる(S540)。
【0074】
段階S520に対する一実施形態において、モータ駆動制御装置100は、複数の相で感知された相電圧を所定のレベル範囲に変換する段階を行い、変換された相電圧に対応する複数の相電流を用いてサンプリングする段階を行うことができる。
【0075】
ここで、サンプリングを行う段階は、予め設定された時間に複数の相電流をそれぞれサンプリングする段階及びそれぞれサンプリングされた複数の相電流を維持して出力する段階を含むことができる。
【0076】
段階S530及びS540に対する一実施形態において、モータ駆動制御装置100は、所定の比較アルゴリズムを用いることで、複数の相電流のうち所定の比較器に入力される第1及び第2信号を決定する段階を行うことができる。その後、モータ駆動制御装置100は、比較器を用いることで、複数の相電流のうち最大値または最小値を有する相を確認する段階を行うことができる。
【0077】
図6図3の状態マシンにおいて行われる比較アルゴリズムを示した順序図である。また、下記表1は図6の比較アルゴリズムを説明するための参考表である。
【0078】
【表1】
【0079】
図6及び上記表1において、SHは図3のサンプルアンドホルダ320を意味する。ここでは、図3のように、6個(SHからSH)のサンプルアンドホルダを備えた例に基づいて状態マシンの比較アルゴリズムを説明する。
【0080】
まず、状態マシン360は、比較する二つのサンプルアンドホルダ(SH、SH)を決定する(S610)。
【0081】
その後、状態マシン360は、二つのサンプルアンドホルダ(SH、SH)の値を比較し(S620)、大きい値を有するサンプルアンドホルダは維持し、小さい値を有するサンプルアンドホルダは他のものに代替する段階を繰り返し行う(S630、S640)。このような各段階が行われる例は表1に示されている。
【0082】
このような繰り返しを行う中で、いずれか一つのサンプルアンドホルダが最後のサンプルアンドホルダSHに該当したとき、比較段階(S620)から終了するか否かを判断する(S650)段階に移行する。
【0083】
図面において、終了処理は定数Nの値を比較することで行われており、一回の比較が完了するとき、定数Nを1増加させ(N++)、増加した定数Nの値がしきい値(図面に示された例では2)に該当するかを判断して終了するか否かを判断する。
【0084】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0085】
100 モータ駆動制御装置
110 電源供給部
120 駆動信号生成部
130 インバータ部
140 回転子位置検出部
150 制御部
200 モータ
310 レベル調整部
320 サンプリング部
330 比較部
340 スイッチアレイ
350 比較器
360 状態マシン
図1
図2
図3
図4
図5
図6