(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-12812(P2015-12812A)
(43)【公開日】2015年1月22日
(54)【発明の名称】発芽促進処理されたイチゴ種子の製造方法
(51)【国際特許分類】
A01C 1/00 20060101AFI20141219BHJP
【FI】
A01C1/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-139829(P2013-139829)
(22)【出願日】2013年7月3日
(71)【出願人】
【識別番号】399007992
【氏名又は名称】有限会社バイオ・ユー
(71)【出願人】
【識別番号】513168460
【氏名又は名称】宮脇 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105821
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 淳
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 義孝
(72)【発明者】
【氏名】氏家 正徳
【テーマコード(参考)】
2B051
【Fターム(参考)】
2B051AA01
2B051AB01
2B051BA02
2B051BB02
2B051BB04
(57)【要約】
【課題】発芽促進処理されたイチゴの種子を安全かつ比較的低コストで提供する。
【解決手段】発芽促進処理されたイチゴの種子を製造する方法であって、麹類を含む処理剤をイチゴ状果に接触させることにより種子の分離・発芽処理を行う工程を含む、イチゴの種子の製造方法に係る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発芽促進処理されたイチゴの種子を製造する方法であって、麹類を含む処理剤をイチゴ状果に接触させることにより果肉の溶解及び種子の発芽促進を行う工程を含む、イチゴの種子の製造方法。
【請求項2】
前記工程が、(1)イチゴ状果の細分化物を調製する工程及び(2)前記細分化物に前記処理剤を添加する工程を含む方法によって実施される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記処理剤が、麹類及び水を含む混合液である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程により、種子に結合している栄養導管を除去する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
麹類が、醤油醸造用麹、焼酎醸造用麹及び酒醸造用麹の少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
イチゴの種子が、機械播種のために用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの製造方法によって得られる、発芽促進処理されたイチゴの種子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発芽促進処理されたイチゴ種子の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イチゴは、代表的な野菜ないしはフルーツの一つとして知られており、例えば果物店、スーパーマーケット、百貨店等で販売され、家庭用、飲食店用、工業製品用等として大量に消費されている。最近では、消費者の嗜好の多様化等に伴って、さまざまな品種のイチゴが商品開発され、人気のある品種の安定的な供給を果たすため、生産業者においてもその栽培方法等について様々な工夫がこらされている。
【0003】
一般的に、イチゴの栽培においては、主として栄養繁殖(ランナー繁殖)という手法が採用されている。すなわち、1つの株から多数の株を発生させ、これらを個別に育苗することによって、イチゴを生産する方法が採用されている。ところが、ランナー繁殖の場合、親株が病原菌等を保有していた場合は、そこから派生する株も病原菌に冒されるおそれが高くなることから、厳格な親株の栽培管理が要請される。しかも、ランナー繁殖は、育苗と収穫時期が重なるため、生産者の労働負担が大きくなるという問題もある。そこで、イチゴの栽培において、ランナー繁殖における病気の感染の問題を解消し、さらに栽培の省力化を図るとともに、均一な種苗が得られる種子繁殖が脚光を浴びており、実用化されつつある。
【0004】
ところで、普段食用にされているイチゴの赤い部分は偽果と呼ばれ、花托が肥大化したものである。その花托表面にある多数の粒状物が果実であり、その果実の中に種子が含まれている。この肥大化した花托とその表面の果実とを包含して「イチゴ状果」とも呼ばれている(以下、イチゴ状果を便宜的に「イチゴ果実」ともいう。)。そして、イチゴの種子繁殖にあっては、花托表面の果実が必要となるが、その果実の中に含まれる種子が高確率で発芽することが要求される。
【0005】
これまでイチゴ又はその種子の処理に関する方法が種々提案されているが、以下に示すように、いずれも種子を分離又は除去する方法にとどまるものであって、イチゴの種子の発芽促進処理については何ら言及されていない。
【0006】
例えば、破砕したイチゴ果実に、ペクチナーゼを作用させた後、これを加熱し、得られる溶液をイチゴ種子を通過しない程度の篩いに通じ、次いで得られるイチゴ果実汁に糖類を添加、これを噴霧乾燥することを特徴とするイチゴの処理方法が開示されている(特許文献1)。
【0007】
また、Endo−ポリガラクチュロナーゼを主成分として含有し、ポテト切片マセレーション活性が300単位/g以上である酵素剤及びペクチナーゼ剤による酵素処理ならびに機械的分離処理をイチゴ果実又はその処理物に施すことを特徴とするイチゴ果実より果汁及び種子を得る方法が提案されている(特許文献2)。
【0008】
さらに、植物の種子群を選別用水に浸漬して、同種子群を構成する個々の種子の比重差を利用して、所定重量以下の軽量な非充実種子を同選別用水上に浮上させることにより、非充実種子と充実種子とを選別する種子の選別方法であり、前記選別用水として、揮発性ガスが過飽和状態に溶存するガス溶存水を採用することを特徴とする種子の選別方法が知られている(特許文献3)。
【0009】
これに対し、イチゴ果実(破砕されたものを除く)に酵素を添加し、残渣を除去し、水洗しながら沈殿した種子と浮遊した種子とを選別し、前記沈殿した種子を乾燥させて、発芽させるためのイチゴ種子を得る方法であって、前記水洗しながら沈殿した種子と浮遊した種子とを選別する際、目開き850μmのふるいを通らない種子を回収するイチゴ種子を得る方法も知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭51−1674
【特許文献2】特開昭61−247361
【特許文献3】特開2003−9611
【特許文献4】特許第4465498号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように、特許文献4の方法では発芽促進処理について言及されているものの、比較的高価な酵素を用いてイチゴ果肉を溶解し、種子を濃硫酸で発芽促進処理するものであって、果肉溶解工程と発芽促進処理との2段階の工程からなり、生産効率にもコスト的にも不利な方法である。
【0012】
しかも、酵素による分離処理で得られた種子は、速やかに発芽せず、発芽に1ヶ月以上を要する場合がある上、発芽率も高くない。その一方で、発芽率を高くしようとすれば、特許文献4のように、濃硫酸で処理することにより種子の殻を炭化することで発芽を促進できるものの、濃硫酸による処理条件が適切でないと変異が生じるため、たとえ発芽したとしても正常に育成することができなくなる。また、濃硫酸による処理は、品種によっては発根よりも先に発芽が起こる結果、新芽が転倒し、枯死又は壊死に至る場合もある。さらに、濃硫酸による処理は、作業環境を悪化させるおそれがある上、廃液処理の問題も生じる。
【0013】
従って、本発明の主な目的は、発芽促進処理されたイチゴの種子を安全かつ比較的低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の物質を発芽促進剤として採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、下記の発芽促進処理されたイチゴ種子の製造方法に係る。
1. 発芽促進処理されたイチゴの種子を製造する方法であって、麹類を含む処理剤をイチゴ状果に接触させることにより果肉の溶解及び種子の発芽促進を行う工程を含む、イチゴの種子の製造方法。
2. 前記工程が、(1)イチゴ状果の細分化物を調製する工程及び(2)前記細分化物に前記処理剤を添加する工程を含む方法によって実施される、前記項1に記載の製造方法。
3. 前記処理剤が、麹類及び水を含む混合液である、前記項1又は2に記載の製造方法。
4. 前記工程により、種子に結合している栄養導管を除去する、前記項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
5. 麹類が、醤油醸造用麹、焼酎醸造用麹及び酒醸造用麹の少なくとも1種である、前記項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
6. イチゴの種子が、機械播種のために用いられる、前記項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
7. 前記項1〜6のいずれかの製造方法によって得られる、発芽促進処理されたイチゴの種子。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によれば、麹類を発芽促進剤として使用するので、1段階の工程で果肉溶解処理と発芽促進処理とを一挙に行うことができる。その結果、比較的低コストで種子を提供することができる。また同時に、食品添加物である麹類の使用により、濃硫酸等のような薬品を使用せずに済むので、安全であり、環境保護等にも適した方法である。
【0017】
さらに、本発明では、イチゴ種子に付いている栄養導管を取り除くこともできる。栄養導管が除去されたイチゴ種子を用いることによって、機械播種を円滑に行うことができる。すなわち、本発明の製造方法により得られるイチゴ種子を用いることによって、植物工場的な大規模での種子繁殖型イチゴの栽培が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の製造方法は、発芽促進処理されたイチゴの種子を製造する方法であって、麹類を含む処理剤をイチゴ状果に接触させることにより果肉の溶解及び種子の発芽促進を行う工程(接触工程)を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明を適用できるイチゴの種類・品種は限定的でなく、市販されている品種であればいずれであっても良いし、一季成り性品種又は四季成り性品種のどちらでも良いし、さらに日本産又は外国産のいずれであっても良い。また、適用されるイチゴ状果の粒の大きさ、形状等も特に限定されない。
【0020】
イチゴは、イチゴ状果をそのまま使用することも可能であるが、その細分化物を使用することが好ましい。前記細分化物を調製する方法としては、イチゴ状果の果実(種子)の発芽に支障を与えない限りは特に限定されない。例えば、イチゴ状果を押しつぶす方法、イチゴ状果を刃物等で切り刻む方法、イチゴ状果を磨りつぶす方法等のいずれの方法であっても良い。これらは、例えばミキサー、ニーダー、カッター等の公知又は市販の加工装置を使用することもできる。また、使用するイチゴ状果にヘタ又は芯がある場合は、それらを予め除去してイチゴ状果のみにしておくことが、後工程の簡易化の上で望ましい。
【0021】
さらに、イチゴ状果の細分化物はそのまま使用することもできるが、処理剤との接触に先立ち、予め水等の液媒体に細分化物を分散又は溶解させて使用することもできる。液媒体の使用量は限定的ではないが、通常はイチゴ状果100重量部に対して50〜300重量部程度とすることが好ましい。本発明では、イチゴ状果(果肉)を例えば2〜20分割(特に2〜10分割)に切断することにより得られた細分化物をそのまま水に分散させた分散体を用いることが好ましい。すなわち、分散体の分散媒(水)の粘度が高くならないように果肉をつぶさずに分散させることによって、麹類との接触効率が上がり、より効果的に溶解・発芽促進を行うことができる。
【0022】
イチゴ状果に適用される処理剤は、麹類を含むものであれば良く、麹類をそのまま適用することもできる。本発明では、特に麹類及び水を含む混合液を処理剤として好適に用いることができる。換言すれば、麹類を水で希釈した混合液を適用することができる。水の配合量は特に制限されないが、通常は麹類100重量部(固形分)に対して1〜10000重量部程度とすることが好ましい。
【0023】
この場合、特に麹類及び水を含む混合液から、麹菌以外の不溶物を分離することにより得られた液体を処理剤(処理液)として適用することが好ましい。かかる処理剤を使用することにより、後工程をスムーズに進めることができる。前記の分離方法は特に制限されず、例えばろ過、遠心分離等の公知の方法を採用することができる。例えば、麹類及び水を混合・攪拌し、得られた混合液をろ過することによって得られる濾液を処理剤として使用することができる。
【0024】
麹類は、例えば黄麹菌、黒麹菌、白麹菌等の麹菌により調製されたものをいずれも使用することができる。また、麹類は、種麹をそのまま又は培養して使用することができるほか、醸造用麹を使用することもできる。これら麹類は、公知又は市販のものを使用することができる。製品別では、例えば日本酒、醤油、焼酎、みりん、味噌等を醸造する際に使用される麹類を適宜使用することができる。すなわち、醤油醸造用麹(醤油麹)、焼酎醸造用麹(麦麹)及び酒醸造用麹(米麹)の少なくとも1種を好適に用いることができる。本発明では、発芽率が高いうえ、イチゴの品種間による発芽率の差がより少なく、一般性が高いという点において、醤油麹及び米麹の少なくとも1種を好ましく使用することができ、特に醤油麹がより好ましい。
【0025】
麹類を含む処理剤をイチゴ状果に接触させることにより果肉の溶解・種子の発芽促進処理を行う接触工程に際し、処理剤の使用量は、例えば所望の発芽促進効果(発芽率、発芽速度)、イチゴの種類(品種)等に応じて適宜設定することができるが、特に種子に付いている栄養導管を除去するのに十分な量を使用することが望ましい。すなわち、本発明では、麹類を処理剤として使用することによって、イチゴ果実(肥大化花托)の溶解化及び発芽促進化を同時に実現することができるとともに、栄養導管の除去も行うことが可能である。種子から栄養導管を除去することによって、機械播種等をより円滑に行うことが可能となり、植物工場的なイチゴの生産に寄与することができる。かかる見地より、一般的にはイチゴ状果(固形分)100重量部に対して麹類(固形分)が1〜500重量部の範囲内で適宜定めることができる。従って、例えばイチゴ状果(固形分)100重量部に対して麹類5〜100重量部程度、特に50〜100重量部とすることもできる。
【0026】
接触工程は、例えばイチゴ状果と処理剤とを混合・攪拌することによって実行することができる。特に、前記のように、イチゴ状果の細分化物及び水を含むスラリーと、麹類及び水を含む処理剤とを用いる場合も、両者を混合・攪拌すれば良い。
【0027】
接触工程における温度は特に限定されず、通常は室温下で実施すれば良く、より具体的には10〜40℃の範囲内で適宜設定することができる。
【0028】
接触工程における時間(接触保持時間)も、イチゴの果肉の溶解と発芽促進とが十分達成できるような時間とすれば良く、例えば1〜48時間、特に1〜24時間の範囲内で決定すれば良い。とりわけ、本発明では、イチゴ種子の栄養給管が除去するのに十分な時間を確保することが望ましい。
【0029】
接触工程が完了した後は、例えば傾斜法、ろ過、遠心分離等の公知の固液分離方法に従ってイチゴ種子を回収すれば良い。このようにして、発芽促進処理がなされたイチゴ種子を得ることができる。
【0030】
発芽促進処理されたイチゴ種子は、通常のイチゴ種子の場合と同様にして育苗すれば良い。特に、種子の発芽に際しては、本発明の発芽促進処理された種子を水のみの培土で発芽育苗しても良いが、必要に応じて添加剤としてアスコルビン酸、メチオニン等のアミノ酸を添加した培土で発芽育苗するとより高い発芽促進効果を得ることもできる。また、カビ等の微生物による悪影響をより除くために、ベンレート等の農薬を利用することによって、より安定した発芽率が得られる。さらに、クエン酸、ピルビン酸の有機酸の添加によって発芽促進効果をよりいっそう高めることも可能である。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0032】
実施例1
種々の品種のイチゴを用いて発芽促進処理を行った。まず、市販されているイチゴ約20gのヘタを除去し、これを手で軽く押しつぶしたもの(細分化物)をサンプルとして用いた。一方、麹類として醤油醸造用麹(醤油麹)(市販の種麹を麦中で発酵増殖させたもの)とその10倍量(重量比)の水とを混合し、所定時間かけて攪拌し、得られた混合液を遠心沈降させた後にその上澄み液30mLを採取し、これをすべて前記サンプルに加えた。マグネチックスターラーを用いて室温下において500rpm程度で攪拌した。攪拌開始後2時間程度で果肉のほぼすべてが溶解し、攪拌開始後20時間程度経過した後には健全な種子が沈殿した。これを3倍量(重量比)程度の水で希釈し、浮上したゴミ等の浮遊物を傾斜法で上澄み液ごと捨て、沈殿している健全な種子を残すという工程を3回繰り返すことによって精製を行った。その後、種子を回収し、自然乾燥させた。醤油麹で処理されたイチゴ種子を目視で観察したところ、いずれも栄養導管が除去されていることが確認された。
【0033】
参考例1
参考例として、溶解処理(重曹処理、セルロシン処理)及び発芽促進処理(硫酸処理)を行うによってイチゴ種子を調製した。より具体的には、市販されているイチゴ約300gのヘタ及び芯を除去し、これを手で軽く押しつぶしたもの(細分化物)をサンプルとして用いた。これに水を加えて容量500mLとした。これに重曹5gを加えて1時間攪拌した後、得られた混合液を遠心沈降させた後にその上澄み液を捨て、さらに水を加えて攪拌し、遠心沈降させて上澄み液を取り除いた(重曹処理)。これによって未溶解繊維(栄養導管等)を含む種子が得られた。この種子に水500mL及び市販のセルラーゼ(セルロシン(エイチビィアイ社製))1gを配合し、室温で3時間攪拌した(セルロシン処理)。沈降した種子を傾斜法で分取し、さらに水を加えて上澄み液を捨てる操作を3回繰り返すことによって、繊維が取り除かれた種子を得た。さらに濃硫酸で処理を行う場合、種子を自然乾燥させた後、種子1gに対して濃硫酸10mLを加え、10分間浸漬させることによって種子外部(殻)を炭化させた(硫酸処理)。この種子を水300mLに分散させた後、ガーゼでろ過し、さらに水洗しながら揉むことにより、炭化された殻が除去されて綺麗な種子を得ることができた。
【0034】
試験例1
実施例1及び参考例1(一部は硫酸処理をしないサンプルも含む。)で得られた発芽促進処理済みのイチゴ種子の発芽状況を確認した。120mL容量のスチロール棒ビンに赤玉土20gを入れ、水を土表面に見えるまで加えた。次に、種子を1品種あたり10個播種し、12時間電照の培養室(25℃)中で発芽させた。蒸発する水分は毎日補充した。最初に発根が認められた日を発芽日とし、培養14日目の発芽率、培養30日目の発芽率、さらに培養30日目において5mm以上に健全に成長したものを健全育苗品として計数した。その結果を表1に示す。
なお、表1中の処理方法の醤油麹に併記されている時間は、前者は実施例1における醤油麹と水との攪拌時間を示し、後者は麹類による処理時間を示す。例えば「醤油麹30分/1日」とは、醤油麹と水とを30分混合し、それを用いて種子を1日かけて処理したことを意味する。また、撹拌時間の表記がないものは麹類を水と撹拌せずにそのまま使用したことを示す。
【0035】
【表1】
【0036】
試験例2
麹類の種類による発芽促進効果について調べた。その結果を表2に示す。なお、処理方法は、醤油麹を表2に示す麹類に代えたほかは、実施例1又は参考例1と同様にして行った。麹類は、いずれも市販品を用いた。
【0037】
【表2】
【0038】
試験例3
イチゴ品種として交雑種についての発芽促進効果について調べた。その結果を表3に示す。なお、処理方法は、実施例1と同様にして行った。
【0039】
【表3】
【0040】
以上の結果からも明らかなように、溶解処理及び発芽促進処理の2工程からなる参考例の方法に対し、麹類による処理で得られた実施例の種子は、参考例1で得られた種子と同等又はそれ以上の発芽率を達成できることがわかる。特に、醤油麹又は米麹で処理されたイチゴ種子は培養30日目の発芽率が90%以上を達成できることがわかる。