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特開2015-12821連続集合鉢体の展開装置および展開方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-12821(P2015-12821A)
(43)【公開日】2015年1月22日
(54)【発明の名称】連続集合鉢体の展開装置および展開方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/10 20060101AFI20141219BHJP
   A01G 9/00 20060101ALI20141219BHJP
【FI】
   A01G9/10 A
   A01G9/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-140771(P2013-140771)
(22)【出願日】2013年7月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000231981
【氏名又は名称】日本甜菜製糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(72)【発明者】
【氏名】川本 靖信
(72)【発明者】
【氏名】石原 利美
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327NC02
2B327NC23
2B327ND01
2B327ND03
2B327NE01
2B327NE09
2B327RD10
2B327VA20
(57)【要約】
【課題】連続集合鉢体の展開作業を作業者が一人で効率化することが可能な展開装置および展開方法を提供する。
【解決手段】連続集合鉢体13の両端部のラベル14に挿通された一対の展開クシ12を、起立させた一対の回動アーム21および41の支持部材28によって支持し、一対の回動アーム21および41を相互に反対方向へ回動させることにより、一対の展開クシ12を左右対称な円弧軌道で移動させる。これにより、連続集合鉢体13は、垂直に下降しながら展開され、展開台3上に載置された突起板2にセットされる。このように、一対の回動アーム21および41の一連の動作で、連続集合鉢体13を展開させて突起板2に手直しすることなくセットすることが可能であり、連続集合鉢体13の展開作業を効率化することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続集合鉢体の展開方向両端部に装着された一対の展開クシを操作して前記連続集合鉢体を展開させる装置であって、
突起板が載置される展開台と、前記展開台に設けられて前記展開方向に一対で配置される回動アームと、を備え、
前記一対の展開クシを前記一対の回動アームで支持し、前記一対の回動アームを相互に反対方向へ回動させて前記一対の展開クシを相互に対称な円弧軌道で移動させることにより、前記一対の展開クシの間隔が拡大されて前記連続集合鉢体が展開されるとともに、展開された前記連続集合鉢体が前記展開台上に載置された前記突起板にセットされる、ことを特徴とする展開装置。
【請求項2】
前記連続集合鉢体は、
前記一対の回動アームが回動される過程で、設計上の展開長さよりも既定長さ分だけ長い延長された展開長さまで展開される、ことを特徴とする請求項1に記載の展開装置。
【請求項3】
前記一対の回動アームの前記展開方向への間隔を調節する機構を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の展開装置。
【請求項4】
連続集合鉢体の展開方向両端部に装着された一対の展開クシを操作して前記連続集合鉢体を展開させる方法であって、
展開台に前記展開方向へ間隔をあけて配置される展開装置の一対の回動アームを起立させるステップと、
前記一対の展開クシを相対する前記一対の回動アームに係合させて前記連続集合鉢体を前記一対の回動アームで支持するステップと、
前記一対の回動アームを相互に反対方向へ回動させて前記一対の展開クシを相互に対称な円弧軌道で移動させることにより、前記連続集合鉢体を下降させながら展開させるステップと、
前記一対の回動アームを回動させる過程で、前記連続集合鉢体を設計上の展開長さよりも既定長さ分だけ長い延長された展開長さまで展開させるステップと、
前記連続集合鉢体を前記延長された展開長さまで展開させた後、前記一対の回動アームをさらに回動させて前記連続集合鉢体を下降させることにより、前記設計上の長さに展開された前記連続集合鉢体を、前記連続集合鉢体の下方の展開台上に載置された突起板にセットするステップと、
前記連続集合鉢体を前記突起板にセットした後、前記一対の回動アームをさらに回動させることにより、前記一対の展開クシと相対する前記一対の回動アームとの係合を解除させるとともに前記一対の回動アームを前記突起板よりも下方の位置まで移動させるステップと、
を含む、ことを特徴とする連続集合鉢体の展開方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続集合鉢体の展開方向両端部に装着された一対の展開クシを操作して連続集合鉢体を展開させる装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、連続集合鉢体は、連結片によって連結された個別鉢体(紙筒)を水溶性接着剤で接着して集合させたものであり、ビート(砂糖大根)等の紙筒移植栽培に適用される。従来、連続集合鉢体の展開は、連続集合鉢体の展開方向両端部に貼付された両ラベルに展開クシを挿通し、一対の展開クシを紙筒が破損しないようにゆっくりと相互に反対方向へ引張ることで展開されていた。この連続集合鉢体の展開は、二人一組で行われており、作業の合理化が求められている。そこで、連続集合鉢体の展開作業を一人の作業者で行えるようにした展開装置が開発されている。例えば、特許文献1記載の展開器具では、作業者は、一方の展開クシを枠クシ止め板に引掛けた後、他方の展開クシを手前に引張って台板の展開クシ止め板に引掛ける。次に、展開器具枠を180°回転させた後、枠クシ止め板に掛けてある一方の展開クシを手前に引張って台板の展開クシ止め板に引掛けることにより、連続集合鉢体が展開されていた。
【0003】
展開作業を一人で行う別の事例として、特許文献2に記載された展開装置は、引掛具を左右に押し開いて育苗容器(連続集合鉢体)を所定(設計上)の展開長さに展開させた後、展開された育苗容器を引き落とすことで突起板にセットするように構成されたものであり、育苗容器を所定の展開長さよりも長い展開長さ、すなわち、育苗容器を設計上の展開長さを超えて展開するように構成されていない。したがって、特許文献2記載の展開器具では、連続集合鉢体の展開後、ラベルが寄らない、すなわち、ラベルに元に戻る力(広がろうとする力)を十分に作用させることができず、その結果、個別鉢体の位置を突起板の突起の位置に一致させるための手直しが発生して、作業効率が低下することがある。
【0004】
しかしながら、連続集合鉢体を展開させると、ラベルには内側に寄る力(縮ませようとする力)が作用する。他方、展開された連続集合鉢体を縮長させる(戻す)と、ラベルには元に戻る力(広がろうとする力)が作用する。そして、連続集合鉢体は、展開後に、ラベルが寄ることで、個別鉢体の位置が突起板の突起の位置に一致するように設計されている。しかしながら、使用される紙の材料特性やラベルと展開クシとの摩擦に起因して、ラベルが寄らないことがある。この場合、作業者は、展開された連続集合鉢体の個別鉢体の位置を突起板の突起の位置に一致させるため、連続集合鉢体を手直しする必要がある。そこで、展開された連続集合鉢体の個別鉢体の位置を突起板の突起の位置に一致させるため、展開時に、連続集合鉢体を設計上の展開長さよりも長い延長された展開長さまで展開させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平1−8110号公報
【特許文献2】実用新案登録第2581861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、連続集合鉢体の展開作業が効率化される展開装置および展開方法を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の連続集合鉢体の展開装置は、連続集合鉢体の展開方向両端部に装着された一対の展開クシを操作して前記連続集合鉢体を展開させる装置であって、突起板が載置される展開台と、前記展開台に設けられて前記展開方向に一対で配置される回動アームと、を備え、前記一対の展開クシを前記一対の回動アームで支持し、前記一対の回動アームを相互に反対方向へ回動させて前記一対の展開クシを相互に対称な円弧軌道で移動させることにより、前記一対の展開クシの間隔が拡大されて前記連続集合鉢体が展開されるとともに、展開された前記連続集合鉢体が前記展開台上に載置された前記突起板にセットされる、ことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の連続集合鉢体の展開方法は、連続集合鉢体の展開方向両端部に装着された一対の展開クシを操作して前記連続集合鉢体を展開させる方法であって、展開台に前記展開方向へ間隔をあけて配置される展開装置の一対の回動アームを起立させるステップと、前記一対の展開クシを相対する前記一対の回動アームに係合させて前記連続集合鉢体を前記一対の回動アームで支持するステップと、前記一対の回動アームを相互に反対方向へ回動させて前記一対の展開クシを相互に対称な円弧軌道で移動させることにより、前記連続集合鉢体を下降させながら展開させるステップと、前記一対の回動アームを回動させる過程で、前記連続集合鉢体を設計上の展開長さよりも既定長さ分だけ長い延長された展開長さまで展開させるステップと、前記連続集合鉢体を前記延長された展開長さまで展開させた後、前記一対の回動アームをさらに回動させて前記連続集合鉢体を下降させることにより、前記設計上の長さに展開された前記連続集合鉢体を、前記連続集合鉢体の下方の展開台上に載置された突起板にセットするステップと、前記連続集合鉢体を前記突起板にセットした後、前記一対の回動アームをさらに回動させることにより、前記一対の展開クシと相対する前記一対の回動アームとの係合を解除させるとともに前記一対の回動アームを前記突起板よりも下方の位置まで移動させるステップと、を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、連続集合鉢体の展開作業を効率化することが可能な展開装置および展開方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の展開装置の正面図であり、特に、一対の回動アームが起立された状態を示す図である。
図2】本実施形態の展開装置の平面図である。
図3】連続集合鉢体の説明図であり、両端部のラベルに展開クシが挿通された連続集合鉢体を示す図である。
図4】本実施形態の展開装置の回動アームを構成する支持部材の説明図である。
図5】本実施形態の展開方法の説明図であり、連続集合鉢体を起立された一対の回動アームで支持するステップを説明するための図である。
図6】本実施形態の展開方法の説明図であり、展開の初期状態における連続集合鉢体および一対の回動アームを示す図である。
図7】本実施形態の展開装置の正面図であり、特に、一対の回動アームが水平に配置された状態を示す図である。
図8】本実施形態の展開方法の説明図であり、図7に対応する連続集合鉢体および一対の回動アームを示す図である。
図9】本実施形態の展開装置の正面図であり、特に、展開クシが回動アームの支持部材から突起板のフックへ受け渡される時点の図である。
図10】本実施形態の展開装置の正面図であり、特に、一対の回動アームが突起板よりも下方まで回動された状態を示す図である。
図11】本実施形態の展開方法の説明図であり、図10に対応する連続集合鉢体および一対の回動アームを示す図である。
図12】本実施形態の展開方法の説明図であり、図11に示される状態を展開装置の右側から見た場合の連続集合鉢体および一対の回動アームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
以下、紙筒移植栽培に適用される連続集合鉢体を展開して突起板にセットする装置を説明する。なお、連続集合鉢体は、連結片によって連結された個別鉢体(紙筒)を水溶性接着剤で接着して集合させたものである。また、突起板は、土詰時に各個別鉢体の育苗土に一定の深さの播種穴を形成するための道具である。ここで、本実施形態における連続集合鉢体および突起板は、当業者に周知のものがそのまま適用される。したがって、明細書の記載を簡潔にするため、連続集合鉢体および突起板の詳細な説明を省略する。
【0012】
図1に本実施形態の展開装置1の正面図を示す。また、図2に本実施形態の展開装置1の平面図を示す。なお、以下の説明において、便宜上、図1および図2における左方向(左側)および右方向(右側)をそのまま左方向(左側)および右方向(右側)と定義する。また、図1における上方向(上側)および下方向(下側)をそのまま上方向(上側)および下方向(下側)と定義する。さらに、図2における下方向(下側)を前方向(前側)と定義するとともに図2における上方向(上側)を後方向(後側)と定義する。
【0013】
図1および図2に示されるように、展開装置1は、突起板2が載置される展開台3を備える。展開台3は、梯子形のフレーム4と、フレーム4の左右方向両端部に一対で設けられるストッパ51および52と、フレーム4から延びる4本の脚15と、を有する。フレーム4は、フレーム4の前後を構成する一対のメンバ10および11と、一対のメンバ10および11によって軸の両端部が支持されて左右方向へ一定の間隔をあけて配置される複数個(本実施形態では5個)のフリーローラ5と、を有する。左側に配置されるストッパ51は、メンバ10の左側端部とメンバ11の左側端部との間に架設され、前後方向両端部がフレーム4に対してピボットP5を中心に回動可能に取り付けられる。
【0014】
ストッパ51は、ストッパ51の前後に一対で設けられて突起板2の左側端部が突き当てられる突当部53と、突当部53に連続するようにしてストッパ51の前後に一対で設けられて左下がりに一定の角度で傾斜する傾斜部54と、を有する。また、ストッパ51は、ストッパ51の前後に一対で設けられて一端部がフレーム4から前後方向へ突出した軸56に接続されるとともに他端部がストッパ51から前後方向へ突出した軸57に接続される引張りコイルばね55を有する。ストッパ51は、一対の引張りコイルばね55のばね力によってピボットP5を中心に図1における時計回り方向へ付勢され、一対の突当部53が垂直の状態で位置決めされるように構成される。
【0015】
ここで、右側に配置されるストッパ52は、左側に配置されるストッパ51に対して左右対称に構成される。以下の説明において、右側に配置されるストッパ52の各構成要素には、左側に配置されるストッパ51の対応する構成要素と同一の名称および符号を付与する。また、明細書の記載を簡潔にするため、左側に配置されるストッパ51と重複する右側に配置されるストッパ52の詳細な説明を省略する。
【0016】
図1および図2に示されるように、展開装置1は、展開台3に設けられて左右方向(展開方向)に一対で配置される回動アーム21および41を有する。左側に配置される回動アーム21は、フレーム4の前側を構成するメンバ10に取り付けられる第1リンク機構22と、フレーム4の後側を構成するメンバ11に取り付けられる第2リンク機構23と、第1リンク機構22と第2リンク機構23との間に架設される連結部材24と、を有する。第1リンク機構22は、ブラケット25、外側のアーム26、内側のアーム27および支持部材28を有する。ブラケット25は、左右方向へ間隔をあけて配置される2個のボルト29によってメンバ10に固定される。
【0017】
なお、メンバ10の前側面には左右方向へ延びるスロット(図示省略)が形成されており、各ボルト29は、スロット内を左右方向へ移動可能な相対する各ナット(図示省略)に螺合される。すなわち、ブラケット25は、フレーム4に対して左右方向へ位置調整可能である。また、ブラケット25をフレーム4に対して左右方向へ位置調整するための構造は、前述したボルト29とスロットナットとによるものの他、例えば、ブラケット25に形成するボルト29の挿通穴を左右方向へ延びる長穴とすることで実現することができる。この場合、装置をよりシンプル且つ安価に構成することが可能である。
【0018】
図1に示されるように、外側のアーム26は、ブラケット25に対してピボットP1を中心に回動可能なリンクである。内側のアーム27は、ブラケット25に対してピボットP2を中心に回動可能なリンクである。支持部材28は、外側のアーム26に対してピボットP4を中心に回動可能であるとともに内側のアーム27に対してピボットP3を中心に回動可能なリンクである。第1リンク機構22は、ピボットP1、P2、P3およびP4を頂点とする平行四辺形を構成する。すなわち、第1リンク機構22は、平行リンク機構である。これにより、外側のアーム26および内側のアーム27がピボットP1およびピボットP2を中心に回動されると、支持部材28は、一定の姿勢を維持しながら一定の平面(鉛直面)上を円弧軌道で移動する。なお、ピボットP1、P2、P3およびP4は、例えば、ストリッパボルトが適用される。
【0019】
支持部材28は、一定の板厚を有する板部材によって構成される。支持部材28は、外側のアーム26および内側のアーム27の後側の側面に対向するように配置される。図4に示されるように、支持部材28は、先端部、すなわち、第1リンク機構22に組付けられた状態(図1参照)における上側の部分、が楔形に形成される。支持部材28の先端部に形成される楔形は、第1リンク機構22に組付けられた状態で左下がりの斜辺30と、斜辺30との挟角θが鋭角をなし第1リンク機構22に組付けられた状態で鉛直線に対して平行に配置される内側の辺31と、によって形成される。支持部材28の外側には、斜辺30に連続するL形の切欠き32が形成される。なお、支持部材28は、第1リンク機構22に組付けられた状態における下側の部分が後方向へ向けてL形に折り曲げられている。
【0020】
本実施形態において、回動アーム21の第2リンク機構23は、第1リンク機構22に対して前後対称(すなわち、図2において上下対称)に構成される。すなわち、第1リンク機構22の構成要素と第2リンク機構23の構成要素とは一対一に対応する。以下の説明において、第2リンク機構23の各構成要素には、第1リンク機構22の対応する構成要素と同一の名称および符号を付与する。また、明細書の記載を簡潔にするため、第1リンク機構22と重複する第2リンク機構23の詳細な説明を省略する。
【0021】
連結部材24は、前後方向へ延びるバー33と、一端部がバー33の前側の端部に接合されるとともに他端部が第1リンク機構22の外側のアーム26の先端部に接合される前側のステー34と、一端部がバー33の後側の端部に接合されるとともに他端部が第2リンク機構23の外側のアーム26の先端部に接合される後側のステー35と、を有する。前側のステー34には、断面がV形に形成されてステー34に沿って延びる前側の位置決め部材36が接合される。また、後側のステー35には、前側の位置決め部材36に対して前後対称(すなわち、図2において上下対称)に形成された後側の位置決め部材37が接合される。
【0022】
本実施形態において、右側に配置される回動アーム41は、左側に配置される回動アーム21に対して左右対称に構成される。すなわち、左側に配置される回動アーム21の構成要素と右側に配置される回動アーム41の構成要素とは一対一に対応する。以下の説明において、回動アーム41の各構成要素には、回動アーム21の対応する構成要素と同一の名称および符号を付与する。また、明細書の記載を簡潔にするため、第1リンク機構22と重複する第2リンク機構23の詳細な説明を省略する。
【0023】
展開装置1は、一対の回動アーム21および41の左右方向(展開方向)への間隔、本実施形態では、左側の回動アーム21のブラケット25と右側の回動アーム41のブラケット25との左右方向への間隔を調整するための調整機構を備える。該調整機構は、周知の如何なる機構を適用してもよいが、例えば、図1に示されるようなボルトアンドナット機構42を適用することができる。また、展開装置1は、一対の回動アーム21および41を回動させる時に、展開装置1の正面(図2における下側)に立つ作業者によって操作される一対のハンドル43および43を有する。左側のハンドル43は、回動アーム21の外側のアーム26のピボットP1とピボットP4との間に配置される。右側のハンドル43は、回動アーム41の外側のアーム26のピボットP1とピボットP4との間に配置される。
【0024】
次に、図3に示される折り畳まれた状態の連続集合鉢体13を本実施形態の展開装置1を使用して展開させる方法を説明する。
なお、図3に示されるように、連続集合鉢体13の展開方向(図3における左右方向)両端部に貼付された両ラベル14には、予め、展開クシ12および12が挿通されている。以下、同一の符号が付与された相対関係にある構成要素の重複する符号を省略し、例えば、「一対の展開クシ12および12」を「一対の展開クシ12」のように記載する。また、展開台3(ローラ5)上には、四隅にフック6ないし9が固定された突起板2が載置される。展開台3上に載置された突起板2は、左側端部がストッパ51の前後方向一対の突当部53に突き当てられるとともに右側端部がストッパ52の前後方向一対の突当部53に突き当てられることにより、展開台3に対して左右方向へ位置決めされる。さらに、展開台3上に載置された突起板2は、一対のメンバ10および11に取り付けられた一対のガイドプレート(図示省略)によって、展開台3に対して前後方向へ位置決めされる。
【0025】
まず、図1に示されるように、展開装置1の一対の回動アーム21および41を起立させる。起立させた回動アーム21は、ピボットP4がピボットP1に対して内側(右側)に位置するとともに、ピボットP3がピボットP2に対して内側(右側)に位置する。換言すると、起立させた回動アーム21における外側のアーム26と内側のアーム27とは、直立させた状態に対して内側(図1における時計回り方向)へ傾倒して相互の対向面が接触される。他方、起立させた回動アーム41は、ピボットP4がピボットP1に対して内側(左側)に位置するとともにピボットP3がピボットP2に対して内側(左側)に位置する。換言すると、起立させた回動アーム41における外側のアーム26と内側のアーム27とは、直立させた状態に対して内側(図1における反時計回り方向)へ傾倒して相互の対向面が接触される。
【0026】
このように、一対の回動アーム21および41は、起立された状態で保持される。この状態では、図1に示されるように、一対の回動アーム21および41の前側に配置された一対の支持部材28および後側に配置された一対の支持部材28は、相互の内側の辺31が合一されるが、図5に示されるように、機能上支障がない範囲内(例えば、折り畳まれた状態の連続集合鉢体13における一対の展開クシ12間の距離よりも小さい範囲内)で、相対する支持部材28間に一定の間隔があくように、一対の回動アーム21および41を構成してもよい。また、一対の回動アーム21および41の各支持部材28の高さは、作業者が連続集合鉢体13をセットし易い高さ(例えば、作業者の胸の高さ)に予め設定されている。
【0027】
次に、折り畳まれた状態の連続集合鉢体13を、起立された一対の回動アーム21および41で支持する。このステップでは、作業者は、図5に示されるように、両展開クシ12の端部を相対する支持部材28の斜辺30に当接させ、この状態で、連続集合鉢体13を下降させる。これにより、一方の展開クシ12の両端部は、回動アーム21の相対する両支持部材28の斜面30によって案内され、斜面30に連続する切欠き32に係合される。この時、一方の展開クシ12の両端部は、回動アーム21の相対する位置決め部材36および37によって前後方向へ位置決めされる。同時に、他方の展開クシ12の両端部は、回動アーム41の相対する両支持部材28の斜面30によって案内され、斜面30に連続する切欠き32に係合される。この時、他方の展開クシ12の両端部は、回動アーム41の相対する位置決め部材36および37によって前後方向へ位置決めされる。
【0028】
次に、一対の回動アーム21および41の両ハンドル43を操作して、一対の回動アーム21および41を相互に反対方向へ回動させる。これにより、回動アーム21の支持部材28および回動アーム41の支持部材28、延いては、一対の展開クシ12は、左右対称な円弧軌道で移動される。このステップでは、作業者は、展開装置1の正面に立ち、両手で両ハンドル43を把持する。この時、両ハンドル43は、作業者の肩幅程度の間隔で支持部材28より低い位置にあるため、作業者に無理な姿勢を強いることがない。そして、作業者は、両ハンドル43を操作して、回動アーム21を図1における反時計回り方向へ回動させると同時に、回動アーム41を図1における時計回り方向へ回動させる。
【0029】
ここで、両回動アーム21および41が回動を開始してから直立状態(鉛直)に至るまでの間、連続集合鉢体13は僅かに上昇するが、両回動アーム21および41が直立状態を過ぎると、連続集合鉢体13は垂直方向へ下降する。そして、回動アーム21の支持部材28および回動アーム41の支持部材28が相互に対称な円弧軌道で移動される過程、延いては、一対の展開クシ12が相互に対称な円弧軌道で移動される過程で、一対の回動アーム21および41間の相対する(対をなす)支持部材28間の左右方向の距離、延いては、一対の展開クシ12間の距離が増大され、これにより、連続集合鉢体13は、垂直に下降しながら展開される。
【0030】
ここで、連続集合鉢体13が展開される間、一対の展開クシ12には、連続集合鉢体13の展開張力が作用する、換言すると、連続集合鉢体13に作用させる展開力の反力が作用する。このため、連続集合鉢体13を展開させる途中で、一対の展開クシ12が一対の回動アーム21および41の支持部材28の切欠き32から外れることはない。また、図6は、展開初期段階の連続集合鉢体13および一対の回動アーム21および41を示す。
【0031】
次に、一対の回動アーム21および41は、図7および図8に示されるように、水平に配置される。換言すると、一対の両回動アーム21および41は、一直線上に配置される。このステップでは、連続集合鉢体13は、設計上の展開長さに対して既定長さ分だけ長く設定された延長された展開長さ(以下、延長された展開長さ)まで展開される。これにより、連続集合鉢体13は、突起板2にセットされる時(図9参照)の展開長さよりも既定長さ分だけ長い展開長さまで展開される。
【0032】
なお、回動アーム21の第1リンク機構22および第2リンク機構23ならびに回動アーム41の第1リンク機構22および第2リンク機構23には、一端がブラケット25に接続されるとともに他端が相対する外側のアーム26に接続された合計で4本の引張りコイルばね44(図8参照)が設けられる。図8に示されるように、各引張りコイルばね44は、回動アーム21および41が水平に配置された状態で、相対する外側のアーム26に沿う(正面から見て重なる)ように配置される。これにより、各引張りばね44は、一対の回動アーム21および41が回動される過程でばね力が立ち上がり、回動アーム21および41が水平に配置された状態でばね力が最大となる。なお、各引張りコイルばね44は、回動アーム21および41が水平に配置された状態で、必ずしも水平に配置されていなくてもよい。
【0033】
次のステップでは、展開された連続集合鉢体13を、展開台3上に載置された突起板2にセットする。このステップでは、一対の回動アーム21および41の両ハンドル43を操作して、水平に配置された一対の回動アーム21および41をさらに相互に反対方向へ回動させる。これにより、一対の回動アーム21および41の相対する支持部材28間の左右方向の距離、延いては、一対の展開クシ12間の距離が減少する。その結果、連続集合鉢体13は、垂直に下降しながら、延長された展開長さから設計上の展開長さまで縮長される。そして、設計上の展開長さの連続集合鉢体13の各個別鉢体に突起板2の各突起を挿入させる。
【0034】
次のステップでは、一対の展開クシ12が、一対の回動アーム21および41から突起板2へ受け渡される。このステップでは、連続集合鉢体13が突起板2にセットされた後、一対の回動アーム21および41の両ハンドル43を操作して、一対の回動アーム21および41をさらに相互に反対方向へ回動させる。これにより、回動アーム21が回動される過程で、回動アーム21の前側の支持部材28が、突起板2に配置されたフック6の前側を一定の間隔をあけて通過すると同時に、回動アーム21の後側の支持部材28が、突起板2に配置されたフック7の後側を一定の間隔をあけて通過する。このように、回動アーム21の支持部材28と突起板2の相対するフック6および7とが擦れ違い、これにより、左側の展開クシ12と支持部材28との係合が解除されることにより、回動アーム21によって支持されていた展開クシ12が突起板2へ受け渡される。
【0035】
同様に、回動アーム41が回動される過程で、回動アーム41の前側の支持部材28が、突起板2に配置されたフック8の前側を一定の間隔をあけて通過すると同時に、回動アーム41の後側の支持部材28が、突起板2に配置されたフック9の後側を一定の間隔をあけて通過する。このように、回動アーム41の支持部材28と突起板2の相対するフック8および9とが擦れ違い、これにより、右側の展開クシ12と支持部材28との係合が解除されることにより、回動アーム41によって支持されていた展開クシ12が突起板2へ受け渡される。
【0036】
このように、一対の展開クシ12と相対する一対の回動アーム21および41との係合を解除して、一対の展開クシ12を一対の回動アーム21および41から突起板2へ受け渡した後、図10図11および図12に示されるように、一対の回動アーム21および41は、回動端位置、すなわち、支持部材28が突起板2よりも下方に配置される位置まで回動される。なお、例えば、左側に配置されたストッパ51を、ピボットP5を中心に図10における反時計回り方向へ回動させることにより、ストッパ51(突当部53)をローラ5のレベルよりも下方へ押し込むことができる。これにより、連続集合鉢体13がセットされた突起板2を左方向へ移動させて取り出すことが可能である。また、連続集合鉢体13は、上述した各ステップで段階的に展開されるのではなく、一対の回動アーム21および41の一連の動作によって展開される。
【0037】
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態では、連続集合鉢体13の両端部のラベル14に挿通された一対の展開クシ12が、起立させた一対の回動アーム21および41の支持部材28によって支持される。この状態で、各回動アーム21および41のハンドル43が操作され、一対の回動アーム21および41が相互に反対方向へ回動される。これにより、一対の展開クシ12は、左右対称な円弧軌道で移動され、一対の展開クシ12が左右対称な円弧軌道で移動する過程で、連続集合鉢体13は、垂直に下降しながら展開され、展開台3上に載置された突起板2にセットされる。
【0038】
本実施形態によれば、ハンドル43を操作することによる一対の回動アーム21および41の一連の動作で、連続集合鉢体13を展開させて突起板2にセットすることができるので、作業者は、他の作業者の手を借りることなく、連続集合鉢体13の展開作業を簡単に実施することが可能であり、連続集合鉢体13の展開作業を効率化することができる。また、展開作業を通して作業者に無理な姿勢を強いることがないので、作業者への負担を軽減することができる。さらに、簡単な機構、すなわち、展開台3の前後左右に配置した平行リンク機構によって、連続集合鉢体13の展開から突起板2へのセットまでの作業を実施することができるので、展開装置1をシンプルな構造で構成することが可能であり、展開装置1の製造コストを抑えることができる。
【0039】
また、一対の回動アーム21および41が回動される過程、すなわち、連続集合鉢体13が展開される過程で、連続集合鉢体13は、設計上の展開長さよりも既定長さ分だけ長く設定された延長された展開長さまで展開され、延長された展開長さまで展開された後、設計上の展開長さまで戻される。このように、連続集合鉢体13を延長された展開長さまで展開させることでラベル14が十分に寄り(縮まり)、連続集合鉢体13を延長された展開長さから設計上の展開長さまで戻すことでラベル14が元に戻る(広がる)ので、個別鉢体の位置を突起板2の突起の位置に一致させるための手直しが不要であり、連続集合鉢体13の展開作業を効率化することができる。
【0040】
また、一対の展開クシ12を一対の回動アーム21および41から突起板2へ受け渡し後、一対の回動アーム21および41は、支持部材28およびバー33が突起板2よりも下方に配置されるので、突起板2にセットされた連続集合鉢体13を展開台3から容易に取り出すことができる。さらに、左側の回動アーム21のブラケット25と右側の回動アーム41のブラケット25との間隔を調整する機構を有するので、連続集合鉢体13に使用される紙の材料特性等に応じて、一対の回動アーム21および41の左右方向(展開方向)への間隔を調整することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 展開装置、2 突起板、3 展開台、12 展開クシ、13 連続集合鉢体、21 回動アーム、41 回動アーム
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12