特開2015-128300(P2015-128300A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-128300信号を送受信する回路のための動作試験
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-128300(P2015-128300A)
(43)【公開日】2015年7月9日
(54)【発明の名称】信号を送受信する回路のための動作試験
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/16 20150101AFI20150612BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20150612BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20150612BHJP
【FI】
   H04B17/16
   G01R29/08 A
   H04B17/29 100
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-27456(P2015-27456)
(22)【出願日】2015年2月16日
(62)【分割の表示】特願2010-153760(P2010-153760)の分割
【原出願日】2010年7月6日
(31)【優先権主張番号】09164691.9
(32)【優先日】2009年7月6日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596162740
【氏名又は名称】イーエム・ミクロエレクトロニク−マリン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】アーサー・デコンブ
(72)【発明者】
【氏名】ティンダロ・ピットトリノ
(57)【要約】
【課題】 信号を送受信する回路のための動作試験方法を提供する。
【解決手段】 試験方法は、送信器−受信器回路の処理ユニットに発信試験のために使用されるアンテナインピーダンスと同じインピーダンスを有する抵抗器(33)とこの抵抗器(33)を接続するためのスイッチ(31)と、受信試験のために使用される信号を供給するためのスイッチ(32)とを有する試験モジュールを電気的に接続するステップと、試験モジュールを使用して、データ送信モード又はデータ受信モードのいずれであってもよい第1の動作モードで前記送信器−受信器回路の動作を試験するステップと、試験モジュールを使用して、データ送信モード又はデータ受信モードのいずれであってもよい第2の動作モードで送信器−受信器回路の動作を試験するステップと、試験モジュールを処理ユニットから電気的に接断するステップと、を含む。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を受け取って該信号の周波数を変換するように構成された処理ユニット(7)に接続されたアンテナ(3)を含む送信器−受信器回路(1)のための試験方法であって、前記送信器−受信器回路が、前記アンテナに接続されて送信信号を送るように構成された電力増幅器(6)も含み、前記送信器−受信器回路が、動作が発信及び受信機能から独立し、かつ前記送信器−受信器回路の発信及び受信試験のために使用する試験モジュール(2)をさらに含み、この試験モジュールが、発信試験のために使用されるアンテナインピーダンスと同じインピーダンスを有する抵抗器(33)とこの抵抗器(33)を接続するためのスイッチ(31)と、受信試験のために使用される信号を供給するためのスイッチ(32)とを有し、該試験モジュールを使用した試験方法が、
a0) 前記アンテナを切断するステップと、
a) 前記送信器−受信器回路の前記処理ユニットに前記試験モジュールを電気的に接続するステップと、
b) 前記試験モジュールのスイッチ(32)を開、スイッチ(31)を閉にして、データ送信モードで前記送信器−受信器回路の動作を試験するステップと、
c) 前記試験モジュールのスイッチ(32)を閉、スイッチ(31)を開にして、データ受信モードで前記送信器−受信器回路の動作を試験するステップと、
d) 前記試験モジュールを前記処理ユニットから電気的に切断するステップと、
を含むことを特徴とする試験方法。
【請求項2】
信号を受け取って該信号の周波数を変換するように構成された処理ユニット(7)に接続されたアンテナ(3)を含む送信器−受信器回路(1)のための試験方法であって、前記送信器−受信器回路が、前記アンテナに接続されて送信信号を送るように構成された電力増幅器(6)も含み、前記送信器−受信器回路が、動作が発信及び受信機能から独立した前記送信器−受信器回路の発信試験のために使用されるアンテナインピーダンスと同じインピーダンスを有する抵抗器(33)とこの抵抗器(33)を接続するためのスイッチ(31)及び受信試験のために使用される信号を供給するためのスイッチ(32)とを有する試験モジュール(2)をさらに含み、
a0) 前記アンテナを切断するステップと、
a) 前記送信器−受信器回路の前記処理ユニットに前記試験モジュールを電気的に接続するステップと、
b) 前記試験モジュールのスイッチ(32)を閉、スイッチ(31)を開にして、データ受信モードで前記送信器−受信器回路の動作を試験するステップと、
c) 前記試験モジュールのスイッチ(32)を開、スイッチ(31)を閉にして、データ送信モードで前記送信器−受信器回路の動作を試験するステップと、
d) 前記試験モジュールを前記処理ユニットから電気的に切断するステップと、
を含むことを特徴とする試験方法。
【請求項3】
前記試験モジュールが前記処理ユニットに統合される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の試験方法。
【請求項4】
前記送信器−受信器回路のデータ送信モードにおける前記動作試験が、
送信信号強度インジケータ(5)を使用して送信電力を測定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の試験方法。
【請求項5】
前記送信器−受信器回路のデータ受信モードにおける前記動作試験が、
前記閉にされたスイッチ(32)を介して所定の基本周波数ftの信号を導入するステップと、
前記所定の周波数の信号の周波数高調波f0を選択して増幅し、周波数f0の増幅信号を供給するステップと、
混合器及び周波数f1の基準信号を使用して、前記周波数f0の増幅信号から周波数f0−f1の中間信号に変換することにより周波数変換を実施するステップと、
前記中間信号をフィルタリングして干渉を除去するステップと、
測定装置(8)を使用して前記中間信号の強度を測定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の試験方法。
【請求項6】
前記所定の周波数ftが前記送信器−受信器回路のクロック周波数である、
ことを特徴とする請求項5に記載の試験方法。
【請求項7】
前記選択された高調波周波数f0の値が2.4GHzである、
ことを特徴とする請求項5に記載の試験方法。
【請求項8】
前記送信器−受信器回路試験モジュールから前記試験モジュールを機械的に分離するステップであるステップe)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の試験方法。
【請求項9】
外部試験装置を使用して試験するステップである最終ステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の試験方法。
【請求項10】
送信器−受信器回路(1)のための試験モジュールであって、
該試験モジュール(2)が1つのモジュール入力において所定の周波数の信号を受け取り、前記モジュール入力が増幅器手段(34)に接続され、前記増幅器手段(34)が第1のスイッチ(32)を介してモジュール出力に接続され、
アースに接続されるとともに第2のスイッチ(31)を介して前記モジュール出力にも接続された抵抗器(33)を、前記試験モジュールがさらに含み、前記ジュール出力が、前記送信器−受信器回路(1)の処理ユニット(7)に接続され、
前記試験モジュールの第1のスイッチ(32)を開、第2のスイッチ(31)を閉にして、前記送信器−受信器回路のデータ送信試験を行い、
前記試験モジュールの第1のスイッチ(32)を閉、第2のスイッチ(31)を開にして、前記送信器−受信器回路のデータ受信試験を行うよう構成され、さらに、
前記データ送信および受信試験の終了後に、前記試験モジュールを前記処理ユニットから電気的に切断するよう構成されている、
ことを特徴とする試験モジュール。
【請求項11】
前記所定の周波数の信号が前記送信器−受信器回路のクロック信号(SH)である、
ことを特徴とする請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
前記第1及び第2のスイッチが、それらを同時には電流の通過ができる状態にならないように構成される、
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に送信器−受信器回路のための試験方法に関する。この送信器−受信器回路は、処理ユニットに接続されたアンテナを含み、その処理ユニットは信号を受けてこれらの信号の周波数を変換するよう構成される。送信器−受信器回路は、上記アンテナに接続されて送信信号を送るように構成された電力増幅器も含む。送信器−受信器回路は、試験モジュールをさらに含む。
【背景技術】
【0002】
送信器−受信器回路のための試験手順は、従来技術によって公知である。これらの試験手順の目的は、製造工程のいくつかのステップの後で及び製造工程の最後で、まだシリコン薄板又はウェハ上に乗ったままの回路が正しく動作しているかどうか、及び求められる特徴が実際に存在するかどうかをチェックすることである。従って、このチェックを行うために、回路が生産ラインから取り除かれ、試験装置内に置かれる。次に、回路の接触端子と接触するように電極が配置される。その後、これらの電極を通じて上記回路に様々な電気信号を印加して送信器−受信器回路を起動させ、このようにして回路の特徴を試験する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの手順の1つの欠点はコストがかかることである。実際には、この欠点は、ウェハ上の回路を試験するための既存の装置を、回路が作動しているかどうかのチェック、さらには送信器−受信器回路の固有の特徴が理論に従うものであるかどうかのチェックの両方に使用しているという事実から生じる。従って、このためには、特徴を全て試験することができる多目的装置が必要である。この多用途性は、これらの装置が最先端技術を必要とすることを意味する。従って、この複雑性及び多用途性が販売価格に影響を与える。
【0004】
さらに、この手順自体にもコストがかかる。使用する手順及び装置は、回路を完全に試験すること、すなわち回路が期待される仕様を満たしているかどうかを調べるために回路の特徴を全て試験することを意味する。このため、この手順では、回路機能が正しく作動しているかどうかを単純にチェックすることができない。必然的にこの機能試験では、完全な回路試験が行われる。しかしながら、故障回路を早めに検出するためには様々な製造段階で機能を試験することが有利である。
【0005】
従って、個々の回路機能の試験において回路の特徴を全て試験する必要がある場合、これにより少なからぬ時間の無駄、従って金銭的な無駄が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した従来技術の短所を克服するような送信器−受信器回路の動作を試験する方法、すなわち、送信器−受信器回路が作動しているかどうかを示すとともに安価でありかつ単純な送信器−受信器回路のための動作試験方法に関する。
【0007】
従って、本発明は、動作が発信及び受信機能から独立して送信器−受信器回路の発信及び受信を試験しやすい試験モジュールを有する送信器−受信器のための上述した試験方法に関し、
a) 送信器−受信器回路の処理ユニットに試験モジュールを電気的に接続するステップと、
b) この試験モジュールを使用して、データ送信モード又はデータ受信モードのいずれでもよい第1の動作モードで送信器−受信器回路の動作を試験するステップと、
c) この試験モジュールを使用して、データ送信モード又はデータ受信モードのいずれでもよいが、第1の動作モードとは逆の第2の動作モードで送信器−受信器回路の動作を試験するステップと、
d) 試験モジュールを処理ユニットから電気的に接断するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0008】
従属請求項2から従属請求項9には、この試験方法の特定の有利なステップを定める。
【0009】
本発明による方法の1つの利点は、この方法が特定の複雑なツールの使用を必要としない点である。実際には、本発明による方法は、送信器−受信器回路を作成する際にこの送信器−受信器回路内に、すなわち同じシリコン基板上に直接実装された試験モジュールを使用する。
【0010】
この試験モジュールが、回路が作動しているか否かをチェックする。従って、送信器−受信器回路が正しく作動しているかどうかを試験するために外部装置を使用する必要がない。
【0011】
外部試験装置を省くことにより、この種の方法によって生じるコストが削減されるという利点が得られる。実際には、外部装置を省いて予備試験を実施することにより、本発明による方法は、高価な装置への投資要件を払拭する。さらに、この方法は、故障回路が完全に出来上がる前にこれらを容易に識別できるようにし、従ってコストを削減する。
【0012】
この方法はまた、試験結果によって送信器−受信器回路の機能が作動しているか否かを示し、理論的な特徴が実際に存在するか否かを示すものではないので、単純かつ直接的であるという利点も有する。従って、固有の回路が欠陥を有するか否かを発見するためにこの回路の特徴を解明する必要がない。
【0013】
本発明はまた、上述した送信器−受信器回路に統合されることを特定の特徴とする、送信器−受信器回路のための試験モジュールにも関する。
【0014】
試験モジュールの有利な実施形態が、従属請求項11から従属請求項12の主題を形成する。
【0015】
送信器−受信器回路と同じ基板上に直接実装された試験モジュールの1つの利点は、この試験モジュールを上記送信器−受信器回路から分離できるという点である。実際に、試験モジュールの構成は、2つの導電経路によってのみ送信器−受信器回路に接続されているようなものである。従って、送信器−受信器回路の試験後には、試験回路を切断操作により電気的又は機械的に分離して、試験モジュールを送信器−受信器回路の残り部分から分離するようにすることができる。従って、これにより表面空間が節約され、試験モジュールが送信器−受信器回路の動作に干渉することが防がれる。
【0016】
単なる非限定的な例として示し添付図面に例示する本発明の少なくとも1つの実施形態の以下の詳細な説明において、送信器−受信器回路の動作試験方法及び関連する試験モジュールの目的、利点、及び特徴がより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による試験方法を実施するための送信器−受信器回路の概略図である。
図2】本発明による送信器−受信器回路の処理ユニットの概略図である。
図3】本発明による送信器−受信器回路のための試験モジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、送信器−受信器回路の当業者に周知の部分については全て簡略化して説明する。
【0019】
図1は、本発明による試験方法を実施するための送信器−受信器回路の図を示している。つまり、送信器−受信器回路1は、2.4GHzの周波数で動作する通信プロトコルを使用するように構成される。当然ながら、別の通信周波数を想定することもできる。
【0020】
まず、送信器−受信器回路1はアンテナ3を備える。このアンテナは、スイッチを介して接断できる統合アンテナであっても、又は減結合コンデンサ4の入力に接続された外部アンテナであってもよい。コンデンサ4の出力は電力増幅器6の出力に接続される。電力増幅器6の出力は、送信信号強度インジケータ(TSSI, Transmitted signal strength indicator) にも接続される。減結合コンデンサ4の出力は、送信器−受信器回路1の処理ユニット7にも接続される。
【0021】
受信信号強度インジケータ(RSSI, Received signal strength indicator)8は、その名前が示唆するように受信信号の強度を測定するために使用され、処理ユニット7の出力に接続される。当然ながら、送信器−受信器回路1自体は本発明の主題ではないので、その動作についてはこれ以上詳細には説明しない。
【0022】
図2を参照しながら以下で説明するこの処理ユニット7は、信号に含まれるデータを読み取るために、アンテナ3によって受信した信号の処理に使用される。処理ユニット7は、低ノイズ増幅器又は前置増幅器21の形をとる第1のステージを含む。増幅器21の目的は、受信した信号周波数帯域内の特定の周波数f0を選択してこれを増幅することにより弱信号を形成することである。一般に、この特定の周波数f0は、上記送信器−受信器の通信プロトコル周波数である。増幅器21の出力は混合器22に接続され、この混合器22は、前置増幅器21から出て行く増幅された選択信号f0を位相ロックループ23を出て行く周波数f1の信号と混合する。混合器22の出力は周波数変換された信号の供給に使用され、この信号の周波数は周波数f0より低くなり得る。混合器22の出力は、周波数がシフトされた周波数信号を増幅するという機能を持つ中間周波数増幅器24の入力に接続される。混合器の出力は、例えばバンドパスフィルタ25及びリミッタ増幅器26を含む組27に接続され、これらはそれぞれ、シフトされた周波数近辺の干渉周波数を除去し、増幅された正弦波信号を矩形又はパルス信号に変換する。つまり、増幅器26は、閾値を有する比較器のように動作する。当然ながら、送信器−受信器回路1内で使用するフィルタは、用途及び使用する周波数帯域に応じて選択される。
【0023】
図1に示す送信器−受信器回路1に属する要素に加え、送信器−受信器回路1はまた、図3を参照しながら以下で説明する試験モジュール2も含む。この試験モジュール2は、一方では減結合コンデンサ4の入力に接続され、他方ではクロック信号SHを上記送信器−受信器回路1に供給する水晶発振器9の出力に接続される。このクロック信号SHの周波数は、例えば26MHzである。図3を参照すると、試験モジュール2が、3状態バッファ34、抵抗器33、並びに、スイッチ、トランジスタ、又はこれらと同じ機能を有することができる他のいずれかの手段のような2つの制御手段31及び32を含む。水晶発振器9の出力は3状態バッファ34の入力に接続される。3状態バッファ34の出力は、第1のスイッチ32を介して減結合コンデンサ4の入力に接続される。アースと第2のスイッチ31との間には抵抗器33が配置され、第2のスイッチ31は減結合コンデンサ4の入力にも接続される。抵抗器33の値は、抵抗器33がアンテナのインピーダンスと同様のインピーダンスを有するように計算される必要がある。例えば、抵抗器33は50オームの値を有する。
【0024】
図1から図3を参照すると、送信器−受信器回路の動作試験中、第1のステップは、上記送信器−受信器回路1からアンテナ3を切断するステップである。これにより、アンテナ3が試験に干渉することが防がれる。このアンテナは、試験の継続時間全体にわたって切断される。
【0025】
次のステップは、上記送信器−受信器回路1の様々な動作モードを試験するステップである。実際には、送信器−受信器回路1は送信モード又は受信モードで動作し、これらはそれぞれデータを送信又は受信するためのものである。従って、これらの動作モードは、送信器−受信器回路1の異なる部分を使用する。
【0026】
第2のステップは、送信器−受信器回路1が実際にデータを送信できるかどうかを試験するステップである。これを行うために、電力増幅信号SMを送信することにより送信シミュレーションが実施される。このシミュレーションを行うために、第2のスイッチ31が閉位置に設定される一方で、第1のスイッチ32が開位置に設定される。これにより、抵抗器33を減結合コンデンサ4に電気的に接続できるようになる。次に、送信器−受信器回路1の送信モードがオンされる。その後、アンテナの代わりに接続された抵抗器33を使用して、データ送信を実施する際のアンテナインピーダンスをシミュレートする。これは、電力増幅器6を、作動するかどうかを確認するために試験できることを意味する。送信器−受信器回路1が信号(この場合は変調ループからの信号SM)を送信すると、アンテナ3のインピーダンスが変化し、これにより電力が消費される。従って、アンテナ3を抵抗器33に置き換えることにより、信号の送信中に発生する消費電力がシミュレートされる。次に、電力増幅器6の出力に位置する送信信号強度インジケータ5によって電力が測定される。測定された電力がある所定の閾値(この場合は−20dBm)未満の場合には送信器−受信器回路1がデータを送信できないことを意味し、逆に電力がこの閾値以上となった場合には送信モードが作動していることを意味する。
【0027】
第3のステップは、上記送信器−受信器回路1の受信モードを試験するステップである。このステップを行うために、第2のスイッチ31が開位置に設定され、第1のスイッチ32が閉位置に設定される。これにより、バッファ34と減結合コンデンサ4との間に接続が生じる。受信モード試験では、処理ユニット7内へ信号を送って処理ユニット7が作動しているかどうかを試験する。次に、周波数fHのクロック信号SHであるこの信号がバッファ34によって増幅される。バッファ34は、信号全体、すなわちこの例では周波数26MHzのクロック信号SHだけでなく、その高調波も増幅する。
【0028】
26MHzの信号では、通常、第1の高調波は52MHzの周波数になり、第2の高調波は78MHzの周波数になり、以降は同様、すなわち26MHzの倍数となる。このとき、送受信周波数f0である2.4GHz付近の高調波が見られる。この高調波は、信号強度が低いことにより試験中に増幅された場合にいずれの干渉も引き起こしにくいという理由で使用される。当然ながら、これは非限定的な例にすぎず、従って送信器−受信器回路1の特徴に応じてその他の周波数f0を選択することもできる。さらに、クロック信号SHの周波数は26MHzに限定されるものではなく、クロック信号SHが、送信器−受信器回路の周波数帯域内、すなわちこの場合であれば2.4GHzの周波数帯域内に高調波を有していなければならないということが唯一の制限である。当然ながら、送信器−受信器回路が別の周波数で動作している場合には、クロック信号はこの周波数帯域内に高調波を有していなければならない。
【0029】
次に、増幅されたクロック信号SHが処理ユニット7に入り、この処理ユニット7は、信号SRの特定の周波数f0を増幅する低ノイズ増幅器21を最初に含む。この低ノイズ増幅器21は、信号SRの2.4GHzの周波数帯域内の高調波を選択し、その後これを増幅するように調整される。次に、信号SRは、混合器22による周波数変換を受け、この混合器22は、周波数f0=2.4GHzの信号SRを位相ロックループ23からの周波数f1の変調信号と混合する。このとき、周波数f’=f0−f1の信号が結果として生じることにより、混合器の出力において信号スペクトル周波数が低くなることに起因して、より単純な増幅が可能となる。この低い周波数により、信号を低い干渉で増幅できるようになる。次に、信号が増幅され、フィルタリングされ、矩形信号に変換されて信号STが得られる。信号STは、データを読み取れるように復調される信号である。その後、RSSI8により信号STの強度が測定される。この結果、処理ユニット7が期待どおりに作動しているかどうかが示される。実際には、測定強度がある所定の閾値(この場合には−85dbm)未満である可能性もあり、これは送信器−受信器回路1が信号を送信していないことを意味する。このようにして、この試験は、受信ループが作動しているかどうかを容易に示す。
【0030】
第4のステップは、第1及び第2のスイッチ31、32を開位置に設定して試験手順を停止するステップである。これによって試験モジュール2を送信器−受信器回路1から分離できるようになり、従って試験モジュール2が干渉源になることを防ぐ。当然ながら、受信モード試験を送信モード試験よりも前に実施できることが明らかである。
【0031】
本発明の第1の変形例によれば、試験モジュール2を送信器−受信器回路1から分離することを目的とする第5のステップを設けることができる。前述したように、試験モジュール2は、送信器−受信器回路1と同時に及び同じ基板上に作成される。このため、同じ集合体の送信器−受信器回路1に対して同時に試験を実施できるようになる。従って、これらの試験を実施し終わると、試験モジュール2は無用となる。この機械的分離は、鋸引き、レーザ切断、又はこの用途で使用できるその他のあらゆる切断手段により行うことができる。1つの利点は、このステップにより、試験モジュール2が送信器−受信器回路1に干渉することが防がれ、また表面空間が節約されることにより回路のサイズが縮小されることである。当然ながら、このステップ中に、RSSI8及びTSSI5は送信器−受信器回路1から分離されず、従って引き続きこれらを再び使用することができる。
【0032】
本発明の第2の変形例によれば、送信器−受信器回路1の特徴をより詳細に試験することを目的とする同じく任意の第6のステップが存在してもよい。実際には、本発明による試験手順は、回路1の機能が正しく作動しているかどうかをチェックするために使用される。これは、回路1がアンテナ3を介して信号を送受信できるかどうかの試験を意味する。従って、この第6の任意のステップで提案される試験は、送信器−受信器回路1の特徴が理論に従うものであるかどうかを確認するためにこれらの特徴を厳密に試験するステップである。
【0033】
添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記説明した本発明の様々な実施形態に対して当業者には明白な様々な変更、改善、及び/又は組み合わせを行うことができることが明らかであろう。
【符号の説明】
【0034】
1 送信器−受信器回路; 2 試験モジュール; 3 アンテナ;
4 減結合コンデンサ; 5 送信信号強度インジケータ; 6 電力増幅器;
7 処理ユニット; 8 受信信号強度インジケータ; 9 水晶発振器。
図1
図2
図3