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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-128384(P2015-128384A)
(43)【公開日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】小豆選別方法及び小豆選別装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 1/20 20060101AFI20150619BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20150619BHJP
   B07C 5/10 20060101ALI20150619BHJP
【FI】
   A23L1/20 301Z
   A23L1/20 301A
   B07C5/342
   B07C5/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-973(P2014-973)
(22)【出願日】2014年1月7日
(71)【出願人】
【識別番号】300067284
【氏名又は名称】三幸食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】福島 明
【テーマコード(参考)】
3F079
4B020
【Fターム(参考)】
3F079AC13
3F079CA26
3F079CA32
3F079CA44
3F079CB29
3F079CC03
3F079DA12
4B020LB16
4B020LG08
4B020LK01
4B020LP02
4B020LP11
4B020LZ02
4B020LZ10
(57)【要約】
【課題】小豆の中から良品と石豆のような不良小豆とを精度良く選別することができる小豆選別方法及び小豆選別装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る小豆選別方法は、小豆に水分を含ませる工程(ステップS101)と、水分を含んだ小豆の映像を撮像部で取り込む工程(ステップS102)と、撮像部で取り込んだ映像の信号から小豆の大きさ及び色の少なくともいずれかを表す対象信号を抽出部で抽出する工程(ステップS103)と、予め設定された基準信号と対象信号とを比較して閾値判定を行い、その判定結果に基づき小豆を選別部で選別する工程(ステップS104)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小豆に水分を含ませる工程と、
水分を含んだ前記小豆の映像を撮像部で取り込む工程と、
前記撮像部で取り込んだ映像の信号から前記小豆の大きさ及び色の少なくともいずれかを表す対象信号を抽出部で抽出する工程と、
予め設定された基準信号と前記対象信号とを比較して閾値判定を行い、その判定結果に基づき小豆を選別部で選別する工程と、
を備えたことを特徴とする小豆選別方法。
【請求項2】
小豆に水分を含ませる浸漬槽と、
前記浸漬槽から出された前記小豆の映像を取り込む撮像部と、
前記撮像部で取り込んだ映像の信号から前記小豆の大きさ及び色の少なくともいずれかを表す対象信号を抽出する抽出部と、
予め設定された基準信号と前記対象信号とを比較して閾値判定する判定部と、
前記判定部の閾値判定の結果に応じて小豆を選別する選別部と、
を備えたことを特徴とする小豆選別装置。
【請求項3】
前記浸漬槽から前記撮像部へ前記小豆を搬送する搬送部をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の小豆選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小豆選別方法及び小豆選別装置に関し、特に小豆の中から石豆のような不良小豆を確実に除去することができる小豆選別方法及び小豆選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒あんなどの小豆製品の原料となる小豆の中には、石豆と呼ばれる吸水性の悪いものが含まれていることがある。石豆は水に浸しても膨潤せず、硬さが残りやすい。このような石豆が混入していると、小豆を煮た際の煮えむらの原因となり、味や食感の低下を招くとともに、特に粒あんにおいてはそれを食した消費者から製品への石の混入クレームに至る場合も報告されており、原料供給者および製品メーカーとしてその対策が切望されている。そのためには、小豆を加工する前に石豆などの不良小豆を選別して確実に除去しておくことが望ましい。
【0003】
従来、粒状物を選別する技術としては、特許文献1に記載されるベルト式光学選別機や、特許文献2に記載される穀粒の色彩によって選別を行う自動穀粒選別装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載されるベルト式光学選別機では、ベルトコンベアによって搬送された原料粒状物に光を照射し、その反射光を受光して、受光データに基づき粒状物を判別している。また、特許文献2に記載される自動穀粒選別装置では、装置に投入された穀粒の色によって良品・不良品を選別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−090197号公報
【特許文献2】特開2004−181271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2のいずれの技術においても、小豆の中から石豆のような不良小豆を正確に判別することは困難である。すなわち乾燥豆において、外観上、石豆と良品の小豆との区別は付きにくい。このため、反射光や色彩から良品の小豆と石豆とを精度良く判別することは非常に困難である。
【0007】
本発明は、小豆の中から良品と石豆のような不良小豆とを精度良く選別することができる小豆選別方法及び小豆選別装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る小豆選別方法は、小豆に水分を含ませる工程と、水分を含んだ小豆の映像を撮像部で取り込む工程と、撮像部で取り込んだ映像の信号から小豆の大きさ及び色の少なくともいずれかを表す対象信号を抽出部で抽出する工程と、予め設定された基準信号と対象信号とを比較して閾値判定を行い、その判定結果に基づき小豆を選別部で選別する工程と、を備える。
【0009】
このような構成によれば、小豆に水分を含ませることで、小豆の状態によって小豆の膨潤による大きさや小豆の表面の色に変化が現れる。このため、水分を含んだ小豆の映像を撮像部で取り込み、抽出した対象信号と予め設定された基準信号との比較、閾値判定によって、精度良く小豆の選別を行うことができるようになる。
【0010】
また、本発明に係る小豆選別装置は、浸漬槽と、撮像部と、抽出部と、判定部と、選別部と、を備える。浸漬槽は、小豆に水分を含ませる槽である。撮像部は、浸漬槽から出された小豆の映像を取り込む。抽出部は、撮像部で取り込んだ映像の信号から小豆の大きさ及び色の少なくともいずれかを表す対象信号を抽出する。判定部は、予め設定された基準信号と対象信号とを比較して閾値判定する。選別部は、判定部の閾値判定の結果に応じて小豆を選別する。
【0011】
このような構成によれば、浸漬槽で小豆に水分を含ませた状態で、撮像部によって水分を含んだ小豆の映像を取り込む。そして、水分を含んだ小豆の映像から、小豆の大きさ及び色の少なくともいずれかによって基準信号との閾値判定をすることにより、精度良く小豆の選別を行うことができるようになる。
【0012】
また、本発明に係る小豆選別装置において、浸漬槽から撮像部へ小豆を搬送する搬送部がさらに設けられていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、搬送部によって順次搬送されてくる小豆の映像を撮像部で取り込み、閾値判定の結果に応じて選別することで、小豆を連続的に自動選別できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小豆の中から石豆のような不良小豆と良小豆とを精度良く選別することができる小豆選別方法及び小豆選別装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る小豆選別方法を例示するフローチャートである。
図2】小豆を水に浸す前後の映像を例示する図である。
図3】小豆を水に浸す前後の2値画像を例示する図である。
図4】第2実施形態に係る小豆選別装置を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0017】
(第1実施形態)
先ず、第1の実施形態に係る小豆選別方法について説明する。
図1のフローチャートに表したように、本実施形態に係る小豆選別方法は、小豆に水分を含ませる工程(ステップS101)と、小豆の映像を取り込む工程(ステップS102)と、対象画像を抽出する工程(ステップS103)と、小豆を選別する工程(ステップS104)と、を備える。
【0018】
ステップS101に表した工程では、選別対象になる小豆を水に浸すことで小豆に水分を含ませる。例えば、小豆を常温の水に約12時間から16時間浸す。なお、ここでは常温の水を用いているが、所定の温度に設定された水や、何らかの溶質を含む溶液であってもよい。以下の説明では、これらを含めて「水」と言うことにする。小豆を約12時間水に浸すことで、良品な小豆は水を吸って膨らむとともに豆皮の色が薄くなる変化を生じるが、石豆は水を吸わないので膨らまず豆皮の色も変わらない。なお、ここで24時間を超える長時間の浸漬は小豆が過度に膨潤することで皮切れを起こすので、粒あんの製造には適さない。
【0019】
ステップS102に表した工程では、水分を含んだ小豆の映像をカメラ(撮像部)で取り込む。カメラとしては、例えば可視光の映像を取り込んで画像信号に変換するカラー撮像装置が用いられる。カメラは、選別対象になる小豆(水分を含んだ小豆)の映像を取り込んで、その映像に基づく画像信号を出力する。
【0020】
ステップS103に表した工程では、カメラで取り込んだ映像の画像信号から小豆の大きさ及び色の少なくともいずれかを表す対象信号を抽出部で抽出する。本実施形態では、小豆の大きさを表す対象信号を「第1対象信号」、小豆の色を表す信号を「第2対象信号」と言うことにする。抽出部は、カメラから出力された画像信号から小豆の領域を判別し、その領域の画像信号から第1対象信号及び第2対象信号の少なくともいずれかを抽出する。
【0021】
例えば、カメラから出力された画像信号を2値化し、画像信号の中から小豆の画像領域を抽出する。そして、抽出した小豆の画像領域の信号から、第1対象信号及び第2対象信号を抽出する。
【0022】
第1対象信号としては、例えば、小豆の画像領域の画素数を表す信号である。画素数が多いほど小豆の面積が大きいことを示す。第2対象信号としては、例えば、小豆の画像領域の画素の明度を表す信号である。第2対象信号は、例えば、小豆の画像領域の各画素の明度を平均した値である。
【0023】
ステップS104に表した工程では、予め設定された基準信号と対象信号とを比較して閾値判定を行い、その判定結果に基づき小豆を選別部で選別する。本実施形態では、小豆の大きさの基準を表す信号を「第1基準信号」、小豆の色の基準を表す基準を「第2基準信号」と言うことにする。閾値判定では、第1基準信号と、第1対象信号との比較、及び第2基準信号と、第2対象信号との比較、の少なくともいずれかを行う。
【0024】
そして、閾値判定の結果に基づき、選別部によって小豆の選別を行う。すなわち、対象信号が基準信号を超えているか否かによって小豆を選別する。選別部による小豆の選別としては、(1)小豆の大きさによる選別、(2)小豆の色による選別、(3)小豆の大きさ及び色の両方による選別が挙げられる。これら(1)〜(3)の選別のいずれを適用するかは、選別対象となる小豆の種類、選別精度などによって適宜決定される。
【0025】
このように、本実施形態に係る小豆選別方法では、選別対象となる小豆を水に浸して膨潤させた際の小豆の大きさや色の変化を利用することにより、精度良く小豆の選別を行うことができるようになる。
【0026】
本実施形態では、特に正常な小豆と、石豆とを精度良く選別することができる。図2(a)には、水に浸す前の小豆の外観が表される。図2(b)には、図2(a)に表した小豆を水に浸した後の外観が表される。図2(a)及び(b)に表したように、小豆は水分を含むことで膨潤するとともに、表面の色に変化が生じる。
【0027】
ここで、正常な小豆は石豆に比べて吸水性が高いため、石豆よりも大きく膨潤する。一方、石豆は、水に浸してもあまり膨潤しない。また、正常な小豆は、水分を含むことで豆皮の色が薄くなる。一方、石豆は吸水性が低いため、水に浸しても豆皮の色があまり薄くならない。本実施形態では、小豆を水に浸した際の正常な小豆と石豆との変化の相違を利用して、精度良く選別を行う。
【0028】
図3(a)には、水に浸す前の小豆の2値画像が表される。図3(b)には、図3(a)に表した小豆を水に浸した後の2値画像が表される。本実施形態では、小豆を水に浸した後、小豆の映像をカメラで取り込む。そして、取り込んだ映像の画像信号を2値化して、小豆の大きさを表す第1対象信号を得る。
【0029】
先に説明したように、小豆は水分を含むことで膨潤し、外観が大きくなる。このため、小豆の2値化した画像の面積は、図3(a)から図3(b)に表したように大きくなる。ここで、正常な小豆は、水分を含むことで石豆に比べて大きく膨潤する。
【0030】
本実施形態では、小豆を水に浸した後の映像を取り込み、正常な小豆と石豆との外観の相違に基づき、閾値判定を利用して正常な小豆と石豆とを的確に選別する。具体的には、図3(b)に表したような小豆の大きさ(面積)を表す信号、及び図2(b)に表したような小豆の色を表す信号の少なくともいずれかと、予め設定した基準とを比較することで、正常な小豆と石豆とを精度良く選別する。これにより、従来の手法では選別が困難であった石豆を的確に除外できるようになる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る小豆選別装置について説明する。
図4の模式図に表したように、本実施形態に係る小豆選別装置1は、浸漬槽10と、カメラ20と、抽出部31と、判定部32と、選別部40と、を備える。
【0032】
浸漬槽10は、水を溜められる容器11を有する。容器11に水を溜めた状態で、容器11内に小豆が投入される。容器11の底部分には排出路11aが設けられる。排出路11aの先には開閉弁12が設けられる。なお11cの浸漬液は一次ストックすることで、その後の煮込み汁として使用することができる。後述する制御コンピュータ30は、開閉弁12の開閉動作を制御してもよい。
【0033】
カメラ20は、浸漬槽10から出された小豆の映像を取り込む撮像部である。カメラ20としては、例えば可視光の映像を取り込んで画像信号に変換するカラー撮像装置が用いられる。カメラ20は、水分を含んだ小豆の映像を取り込んで、その映像に基づく画像信号を出力する。カメラ20は、小豆一つひとつの映像を取り込むことが望ましい。カメラ20は、例えば図2(b)に表したような画像信号を出力する。
【0034】
抽出部31は、カメラ20で取り込んだ映像の信号から小豆の大きさ及び色の少なくともいずれかを表す対象信号を抽出する。抽出部31は、画像信号を処理する演算部である。カメラ20で取り込んだ映像には、小豆の映像のほか、背景の映像も含まれる。抽出部31は、映像に基づく画像信号の中から小豆の画像領域を抽出し、抽出した画像領域の信号から小豆の大きさ及び色の少なくともいずれかを表す対象信号を抽出する。
【0035】
抽出部31は、図3(b)に表したように、画像信号を2値化して小豆の画像領域を抽出する。抽出部31は、画像信号から小豆の輪郭抽出を行って小豆の画像領域を抽出してもよい。抽出部31は、小豆の画像領域の信号から、小豆の大きさを表す第1対象信号や、小豆の色を表す第2対象信号を抽出する。
【0036】
第1対象信号は、例えば、小豆の画像領域の画素数を表す信号であり、小豆の面積に相当する。第1対象信号は、例えば、画像信号を2値化して小豆の画像領域を抽出した際、抽出された2値信号を含む画素の数をカウントして求められる。
【0037】
第2対象信号は、例えば、小豆の画像領域の各画素の明度を表す信号である。第2対象信号は、例えば、小豆の画像領域の各画素の色信号(例えば、R(赤)、G(緑)、B(青))から明度を算出し、各画素の明度を平均して求められる。なお、ここでは第2対象信号として明度を用いているが、彩度など他の色成分の値を用いてもよい。抽出部31は、制御コンピュータ30のプログラム処理によって実現される。抽出部31は、ハードウェアによって構成されていてもよい。
【0038】
判定部32は、予め設定された基準信号と、抽出部31で抽出された対象信号(第1対象信号及び第2対象信号の少なくともいずれか)とを比較して閾値判定を行う。本実施形態では、基準信号として、小豆の大きさの基準を表す第1基準信号と、小豆の色の基準を表す第2基準信号とが設定されている。
【0039】
判定部32は、対象信号が基準信号を超えているか否かを判定する。第1対象信号を用いる場合、判定部32は、第1対象信号と第1基準信号と比較して閾値判定を行う。第2対象信号を用いる場合、判定部32は、第2対象信号と第2基準信号と比較して閾値判定を行う。判定部32は、制御コンピュータ30のプログラム処理によって実現される。判定部32は、ハードウェアによって構成されていてもよい。
【0040】
選別部40は、判定部32の閾値判定の結果に応じて小豆の選別を行う。選別部40は、例えば空気を噴射するノズル41を有する。選別部40は、判定部32の閾値判定の結果に基づく信号を制御コンピュータ30から受けて、ノズル41から空気を噴射する。判定部32による閾値判定の結果、対象信号が基準信号を超えた(閾値を超えた)場合、または対象信号が基準信号を超えていない(閾値を超えていない)場合、制御コンピュータ30は選別部40に空気を噴射するための信号を送る。ノズル41から空気が噴射されると、小豆は空気の力によって飛ばされて選別される。
【0041】
本実施形態に係る小豆選別装置1は、ホッパ51及びベルトコンベア52をさらに備える。ホッパ51は、浸漬槽10から出された小豆を受け取って一時的に貯めておく容器である。ホッパ51は漏斗状になっており、小豆を一つずつベルトコンベア52の上に排出していく。
【0042】
ベルトコンベア52は小豆をカメラ20の撮像範囲へ搬送する搬送部である。回転するベルトの上に載置された小豆は、一つずつ搬送されてカメラ20の撮像範囲へ送られる。ベルトコンベア52の下流側には第1容器61と第2容器62とが配置される。ベルトコンベア52によって終端まで搬送されてきた小豆は、通常は自然落下して第1容器61内に収納される。一方、ノズル41から空気が噴射された場合、小豆の自然落下の軌道は空気の力によって変えられる。これにより、小豆は第2容器62内に収納されることになる。
【0043】
次に、本実施形態に係る小豆選別装置1の動作を説明する。
先ず、制御コンピュータ30によって浸漬槽10の開閉弁12を閉じておき、容器11内に水を溜める。次に、選別対象の小豆を容器11内に収納し、水に浸す。小豆は、例えば常温の水に約12時間から16時間浸される。制御コンピュータ30は、小豆の投入開始から浸漬時間をカウントし始め、上記の時間経過した後に排水ライン11cを開いて排水し、その後に開閉弁12を開く。
【0044】
開閉弁12が開くと、浸漬槽10に収納された小豆はホッパ51に投入される。そして、ホッパ51から小豆が一つずつベルトコンベア52の上に排出される。ベルトコンベア52によって小豆がカメラ20の撮像範囲まで搬送されると、カメラ20は小豆の映像を取り込み、画像信号を抽出部31へ送る。カメラ20は、ベルトコンベア52によって順次搬送される小豆一つひとつの映像を取り込み、画像信号を抽出部31へ送る。
【0045】
抽出部31で抽出された小豆の対象信号は判定部32に送られ、閾値判定される。閾値判定の結果に応じた信号は選別部40に送られる。制御コンピュータ30は、カメラ20による映像の取り込みタイミングと、ベルトコンベア52による小豆の搬送速度とから、カメラ20で映像を取り込んだ小豆がノズル41の前方を通過するタイミングを計算し、閾値判定の結果に基づく信号を選別部40に送る。
【0046】
閾値判定の結果、正常な小豆であると判断した場合、小豆はベルトコンベア52の終端から自然落下して第1容器61内に収納される。一方、閾値判定の結果、例えば石豆のような不良小豆であると判断した場合、制御コンピュータ30はその不良小豆の搬送タイミングに合わせて選別部40に信号を送る。この信号を受けた選別部40は、ノズル41から空気を噴射する。これにより、不良小豆は空気の力で飛ばされて、第2容器62に収納される。この動作を、ベルトコンベア52で搬送される小豆一つひとつに対して行うことで、正常な小豆は第1容器61に、不良小豆は第2容器62に自動的に選別されることになる。
【0047】
第1容器61に選別された正常な小豆は、小豆製品の加工工程に送られる。本実施形態では、小豆を水に浸しているため、直ぐに小豆製品の加工へ進める。例えば、粒あんを製造する場合には、改めて小豆を水で戻す必要はない。また、必要に応じて小豆は真空パックや冷凍保存される。
【0048】
ここで、具体的な選別例について説明する。
図2(a)に表した小豆A1〜A10は、正常と考えられる小豆のグループである。また、小豆B1〜B10は、石豆と考えられる小豆のグループである。これらの小豆A1〜A10及びB1〜B10を水に浸すと、図2(b)に表したように膨潤するとともに、表面の色に変化が現れる。
【0049】
図2(a)及び(b)に表した小豆A1〜A10及びB1〜B10の画像信号を2値化すると、図3(a)及び(b)のようになる。本実施形態では、図2(b)に表した膨潤後の小豆の色及び図3(b)に表した膨潤後の小豆の大きさ(面積)を閾値判断して正常な小豆と石豆との選別を行う。
【0050】
小豆の大きさ(面積)に関しては、大きさ(面積)の閾値(第1基準信号)を設定しておく。この図3(b)に表した小豆A1〜A10及びB1〜B10の大きさ(面積)と第1基準信号とを比較すると、正常と考えられる小豆A1〜A10のうち、小豆A1及びA2の大きさ(面積)は第1基準信号を超えていない。また、石豆と考えられる小豆B1〜B10のうち、小豆B9の大きさ(面積)は第1基準信号を超えている。
【0051】
小豆の色に関しては、色を表す値(例えば、明度)の閾値(第2基準信号)を設定しておく。図2(b)に表した小豆A1〜A10及びB1〜B10の色を表す明度と第2基準信号とを比較すると、正常と考えられる小豆A1〜A10のうち、小豆A1及びA4の明度は第1基準信号を超えていない。つまり、小豆A1及びA4については、水に浸してもあまり膨潤していない。
【0052】
また、石豆と考えられる小豆B1〜B10のうち、小豆B7及びB9の明度は第2基準信号を超えている。つまり、小豆B7及びB9については、水に浸した後の表面の色の変化が大きい。
【0053】
本実施形態では、これらの結果を用いて正常な小豆と石豆とを選別する。例えば、選別対象の小豆の大きさ(面積)が第1基準信号を超えていない、及び小豆の色(明度)が第2基準信号を超えていない、のいずれか一方を満たす場合、石豆であると判断する。また、選別対象の小豆の大きさ(面積)が第1基準信号を超えていない、及び小豆の色(明度)が第2基準信号を超えていない、の両方を満たす場合、石豆であると判断してもよい。
【0054】
判定部32は、石豆であるか否かの判定を、論理積や論理和によって行う。例えば、第1閾値判定として、小豆の大きさ(面積)が第1基準信号を超えていない場合を真(=1)、超えている場合を偽(=0)、第2閾値判定として、小豆の色(明度)が第2基準信号を超えていない場合を真(=1)、超えている場合を偽(=0)とする。判定部32は、第1閾値判定の結果と、第2閾値判定の結果との論理積や論理和によって石豆であるか否かの判定を行う。
【0055】
例えば、判定部32は、論理積が「1」の場合(第1、第2閾値判定ともに真(=1)の場合)、石豆であると判断する。また、判定部32は、論理和が「1」の場合(第1、第2閾値判定の少なくとも一方が真(=1)の場合)、石豆であると判断してもよい。
【0056】
判定部32は、石豆であるか否かの論理演算方法を切り替えられるようになっていてもよい。これにより、小豆の種類や選別精度などによって判定方法を切り替えて、より的確に石豆の除去を行うことができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る小豆選別方法及び小豆選別装置によれば、小豆の中から石豆のような不良小豆と良小豆とを精度良く選別することができるようになる。また石豆を含む不良小豆として選別された豆については、粒あん製品でない漉あん製品の
原料豆として用いることは可能である。
【0058】
なお、上記に本実施形態及び具体例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態及び具体例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものであっても、本発明の要旨を備えている限り本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0059】
1…小豆選別装置、10…浸漬槽、11…容器、11a…排出路、11b・・・給水ライン、11c・・・排水ライン(浸漬液の一次ストック)、12…開閉弁、20…カメラ、30…制御コンピュータ、31…抽出部、32…判定部、40…選別部、41…ノズル、51…ホッパ、52…ベルトコンベア、61・・・第1容器(良品小豆回収容器)、62・・・第2容器(石豆小豆回収容器)
図1
図2
図3
図4