(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-128401(P2015-128401A)
(43)【公開日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】釣り用ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/18 20060101AFI20150619BHJP
A01K 85/16 20060101ALI20150619BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20150619BHJP
【FI】
A01K85/00 M
A01K85/00 F
A01K85/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-2272(P2014-2272)
(22)【出願日】2014年1月9日
(71)【出願人】
【識別番号】513223884
【氏名又は名称】白川友也
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】白川 友也
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リールの巻き速度を速くしても水面からの飛び上がりを抑えることができる釣り用ルアーを提供する。
【解決手段】魚形状をした魚形状体4を備え、この魚形状体4の先端部に設けられたアイ部26に釣り糸32が結び付けられる釣り用ルアー。魚形状体4は、その後端部に設けられた尾びれ部38を有し、前記魚形状体4の前部にはリップ部34が設けられ、この尾びれ部38が魚形状体4に水平状に設けられている。この尾びれ部38は、魚状本体部4の後端部に前後方向に延びる前後軸線を中心として所定角度範囲にわたって旋回自在に取り付けられるのが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚形状をした魚形状体を備え、前記魚形状体の先端部に設けられたアイ部に釣り糸が結び付けられる釣り用ルアーにおいて、
前記魚形状体は、その後端部に設けられた尾びれ部を有し、前記魚形状体の前部にリップ部が設けられ、前記尾びれ部が前記魚形状体に水平状に設けられていることを特徴とする釣り用ルアー。
【請求項2】
前記尾びれ部は、前記魚形状体の前記後端部に前後方向に延びる前後軸線を中心として所定角度範囲にわたって旋回自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の釣り用ルアー。
【請求項3】
前記尾びれ部は、前記魚形状体に取り付けられる取付部と、前記取付部から後方に延びるひれ部とを有し、前記取付部の少なくとも一側部に旋回拘束部が設けられており、前記取付部の前記旋回拘束部が前記魚形状体の前記後端部に当接することによって、前記尾びれ部の前記前後軸線を中心とする旋回動が拘束されることを特徴とする請求項2に記載の釣り用ルアー。
【請求項4】
前記尾びれ部の前記ひれ部は、前記取付部の下端部から後方に向けて下方に傾斜して延びていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の釣り用ルアー。
【請求項5】
前記尾びれ部の前記ひれ部は、前記魚形状体の幅方向両側に延びており、前記ひれ部の両側部は、その中央部から両側に向けて上方に傾斜して延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の釣り用ルアー。
【請求項6】
前記魚形状体は、前記アイ部及び前記リップ部が設けられたヘッド部と、前記尾びれ部が設けられたテール部とを備え、前記ヘッド部と前記テール部とが上下方向に延びる上下軸線を中心として所定範囲にわたって旋回自在に連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の釣り用ルアー。
【請求項7】
前記尾びれ部は、前記魚形状体に取り付けられる取付部と、前記取付部から後方に延びるひれ部とを有し、前記ひれ部は、前記魚形状体の幅方向両側に延び、その両側部が中央部から両側に向けて上方に傾斜して延びる第1取付状態と、その両側部が前記中央部から両側に向けて下方に傾斜して延びる第2取付状態に選択的に取付可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の釣り用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに用いる釣り用ルアー(所謂、疑似餌)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、魚(例えば、ブラックバスなど)を釣るのに釣り用ルアーを用いたルアーフィッシングが広く行われている。このルアーフィッシングでは、釣る魚の種類に応じて種々のルアーが使用されており、例えばブラックバス用のものとして魚形の釣り用ルアーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この釣り用ルアーは、軟質ゴム又は軟質樹脂で成形された魚形状体を備え、この魚形状体の先端部に、フック(所謂、釣り針)を上から下に向けて通過させるための金属製コイルが埋め込まれている。また、尾びれ部は魚形状体の後端部に一体的に設けられ、また背びれ部が魚形状体の背部に一体的に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−44972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の釣り用ルアーでは、魚形状体自体が魚の外形に似るように形成され、その尾びれ部が魚形状体の後端部に上下方向に設けられており、このことに関連して、次の通りの問題がある。
【0006】
一般的に、ブラックバスなどの肉食魚では、釣り用ルアーを魚と間違えて食いつくために、この釣り用ルアーを魚が泳いでいるように動かすことによって食いつきが良く、魚(例えば、ブラックバス)が良く釣れるようになる。
【0007】
例えば、リールを巻くと、この釣り糸とともに釣り用ルアーが引っ張られて動き、その巻き速度が遅いと、釣り用ルアーは魚がゆっくり泳いでいるように見え、その巻き速度が速いと、釣り用ルアーは魚が速く逃げるように泳いでいるように見え、このような動きによって、魚(例えば、ブラックバス)は、生きた魚と見間違えて釣り用ルアーに食いつくようになる。
【0008】
しかし、従来の釣り用ルアーでは、尾びれ部が上下方向に設けられているために、上下方向に対する水の抵抗が小さく、リールの巻き速度を速くして魚が逃げるように動かそうとすると、釣り用ルアーが水面から飛び上がるようになり、魚(例えば、ブラックバスなどの肉食魚)は、釣り用ルアーのこのような動きでもって魚でないことを見破り、このような釣り用ルアーには食いつかなくなる。
【0009】
本発明の目的は、リールの巻き速度を速くしても水面からの飛び上がりを抑えることができる釣り用ルアーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の釣り用ルアーは、魚形状をした魚形状体を備え、前記魚形状体の先端部に設けられたアイ部に釣り糸が結び付けられる釣り用ルアーにおいて、
前記魚形状体は、その後端部に設けられた尾びれ部を有し、前記魚形状体の前部にリップ部が設けられ、前記尾びれ部が前記魚形状体に水平状に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の釣り用ルアーでは、前記尾びれ部は、前記魚形状体の前記後端部に前後方向に延びる前後軸線を中心として所定角度範囲にわたって旋回自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の釣り用ルアーでは、前記尾びれ部は、前記魚形状体に取り付けられる取付部と、前記取付部から後方に延びるひれ部とを有し、前記取付部の少なくとも一側部に旋回拘束部が設けられており、前記取付部の前記旋回拘束部が前記魚形状体の前記後端部に当接することによって、前記尾びれ部の前記前後軸線を中心とする旋回動が拘束されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載の釣り用ルアーでは、前記尾びれ部の前記ひれ部は、前記取付部の下端部から後方に向けて下方に傾斜して延びていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項5に記載の釣り用ルアーでは、前記尾びれ部の前記ひれ部は、前記魚形状体の幅方向両側に延びており、前記ひれ部の両側部は、その中央部から両側に向けて上方に傾斜して延びていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項6に記載の釣り用ルアーでは、前記魚形状体は、前記アイ部及び前記リップ部が設けられたヘッド部と、前記尾びれ部が設けられたテール部とを備え、前記ヘッド部と前記テール部とが上下方向に延びる上下軸線を中心として所定範囲にわたって旋回自在に連結されていることを特徴とする。
【0016】
更に、本発明の請求項7に記載の釣り用ルアーでは、前記尾びれ部は、前記魚形状体に取り付けられる取付部と、前記取付部から後方に延びるひれ部とを有し、前記ひれ部は、前記魚形状体の幅方向両側に延び、その両側部が中央部から両側に向けて上方に傾斜して延びる第1取付状態と、その両側部が前記中央部から両側に向けて下方に傾斜して延びる第2取付状態に選択的に取付可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に記載の釣り用ルアーによれば、魚形状体の尾びれ部がこの魚形状体に水平状に設けられているので、リールの巻き速度を速くして釣り用ルアーを速く動かしても尾びれ部の抵抗によって魚形状体の水面上への飛び上がりを抑えることができる。従って、例えばリールを速く巻くことによって、魚が速く逃げるような動きを見せることができ、このような動きは、肉食魚(例えば、ブラックバス)にとっては本物の魚のように見え、肉食魚の食いつきが良い釣り用ルアーを提供することができる。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載の釣り用ルアーによれば、尾びれ部は、魚形状体の後端部に前後方向に延びる前後軸線を中心として所定角度範囲にわたって旋回自在に取り付けられているので、リールを巻いて釣り用ルアーを動かした際に、魚形状体のローリングが抑えられ、これによって、実際の魚が泳ぐように見せることができる。
【0019】
また、本発明の請求項3に記載の釣り用ルアーによれば、尾びれ部は、魚形状体に取り付けられる取付部と、この取付部から後方に延びるひれ部とを有し、取付部の少なくとも一側部に旋回拘束部が設けられているので、この旋回拘束部の上端部が魚形状体に当接する角度からその下端部が魚形状体に当接する角度の範囲にわったって旋回し、この旋回角度範囲を越える旋回動を確実に阻止することができる。
【0020】
また、本発明の請求項4に記載の釣り用ルアーによれば、尾びれ部のひれ部は、取付部の下端部から後方に向けて下方に傾斜して延びているので、リールを回して釣り用ルアーを動かした際に、このひれ部が抵抗となって魚形状体の動きを激しくすることができる。特に、魚形状体が上下軸線を中心として相互に横方向に旋回自在に連結されたヘッド部及びテール部から構成された形態のものにおいては、ヘッド部に対してテール部が上下軸線を中心として激しく横方向に動いて魚が激しく跳ねるように見え、これによって、肉食魚(例えば、ブラックバスなど)の食いつきを良くすることができる。
【0021】
また、本発明の請求項5に記載の釣り用ルアーによれば、尾びれ部のひれ部の両側部は、その中央部から両側に向けて上方に傾斜して延びているので、リールを巻いた際の抵抗を適度に逃がすことができ、これによって、リールを巻くときの負荷を適度にして巻くときの疲れを少なくすることができる。
【0022】
また、本発明の請求項6に記載の釣り用ルアーによれば、魚形状体のヘッド部とそのテール部とが上下軸線を中心として所定範囲にわたって旋回自在に連結されているので、リールを巻いて釣り用ルアーを動かした際に、ヘッド部に対してテール部が横方向に動いて実際の魚が動くように見せかけることができる。
【0023】
更に、本発明の請求項7に記載の釣り用ルアーによれば、魚形状体の尾びれ部は、ひれ部の両側部が中央部から両側に向けて上方に傾斜して延びる第1取付状態と、その両側部が中央部から両側に向けて下方に傾斜して延びる第2取付状態に選択的に取付可能であるので、リールを巻いて動かした際に、魚形状体に2種類の動きをさせることができる。特に、魚形状体が上下軸線を中心として相互に横方向に旋回自在に連結されたヘッド部及びテール部から構成された形態のものにおいては、第1取付状態においては、尾びれ部の抵抗によりヘッド部とテール部が上下軸線を中心として旋回するように動くのに対し、第2取付状態においては、尾びれ部の抵抗が小さくなってヘッド部とテール部との旋回動が抑えられるようになり、このように2種類の釣り用ルアーとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に従う釣り用ルアーの一実施形態を示す側面図。
【
図2】
図1の釣り用ルアーのヘッド部及びテール部の連結構造を示す断面図。
【
図3】
図1の釣り用ルアーにおける尾びれ部を展開して示す展開図。
【
図4】
図1の釣り用ルアーの尾びれ部を示す斜視図。
【
図7】
図1の釣り用ルアーにおける尾びれ部の取付構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う釣り用ルアーの一実施形態について説明する。
図1において、図示の釣り用ルアー2(所謂、疑似餌)は、魚形状をした魚形状体4を備え、この魚形状体4は、魚形状体4の前部であるヘッド部6と、その後部であるテール部8とから構成され、ヘッド部6とテール部8とが連結機構10を介して所定範囲にわたって旋回自在に連結されている。これらヘッド部6及びテール部8は、例えば、合成樹脂、木などから形成することができる。
【0026】
図2をも参照して連結機構10を説明すると、図示の連結機構10は、ヘッド部6に設けられた一対の連結ピン12と、テール部8に設けられた連結ねじ14とから構成されている。この形態では、一対の連結ピン12はヘッド部6の後端面16に上下方向(
図1において上下方向、
図2において紙面に垂直な方向)に間隔をおいて設けられ、それらの先端側がヘッド部6に埋設されている。各連結ピン12の他端側にはリング状の連結頭部18が設けられ、これら連結頭部18がヘッド部6から後方に突出している。また、テール部8の前端部には、一対の連結ピン12に対応して上下方向に間隔おいて一対の収容凹部20が設けられている。
【0027】
ヘッド部6とテール部8とは、次のようにして連結される。即ち、一対の連結ピン12がヘッド部6の後端面16に取り付けられ、これら連結ピン12の連結頭部18がテール部8の対応する収容凹部20内に位置付けられ、かかる状態にてテール部8の前端部に、連結ねじ14が腹部側から背部側に向けて一対の連結ピン12の連結頭部18を通して埋設される。
【0028】
この連結状態においては、連結ねじ14が上下方向に延びる上下軸線を構成し、ヘッド部6とテール部8とはかかる上下軸線を中心として相互に旋回自在に連結され、テール部8が相対的に矢印22で示す方向(
図2において時計方向)に旋回してヘッド部6の後端部の左側端に当接する左旋回角度位置8Aと、相対的に矢印24で示す方向(
図2において反時計方向)に旋回してヘッド部6の後端部の右側端に当接する右旋回角度位置8Bとの間を旋回自在となる。尚、上述とは反対に、テール部8の前端面に一対の連結ピン12を設け、ヘッド部6の後端部に収容凹部を設け、かかる収容凹部に連結ピン12の連結頭部18を位置付けた状態にてヘッド部6の後端部に連結ねじ14を埋設して連結するようにしてもよい。
【0029】
ヘッド部6の前端部にはアイ部26が設けられている。この形態では、取付ピン28の先端側がヘッド部6の前端部に埋設され、この取付ピン28のリング状の取付頭部30がアイ部26として機能する。このアイ部26には、釣り竿(図示せず)に取り付けられたリール(図示せず)からの釣り糸32が結び付けられ、リールを巻く(又は釣り竿を引く)ことによって、釣り糸32を介して釣り用ルアー4を移動させることができる。
【0030】
このヘッド部6には、更に、リップ部34が設けられている。このリップ部34は、合成樹脂製のプレートなどから構成され、ヘッド部6の前下部に設けられたスリット36に挿入して接着剤などにより固着される。このようにリップ部34を設けることにより、釣り糸32を引いて(例えば、リールを巻く)釣り用ルアー2を動かすと、このリップ部34に作用する水の抵抗によって魚本体部4が水中に潜るように動くとともに、ヘッド部6が左右に動き、釣り用ルアー2を魚が動くように見せかけることができる。特に、ヘッド部6及びテール部8を連結機構10を介して旋回自在に連結した形態のものでは、ヘッド部6の動きによってテール部8にも水の抵抗が作用し、これによって、ヘッド部6に対して上下軸線(連結ねじ14)を中心としてテール部8が相対的に所定範囲にわたって旋回し、その結果、魚がくねくねと泳ぐように見せかけることができ、この釣り用ルアー2を生きた魚の動きにより近づけることができる。
【0031】
また、テール部8の後端部には尾びれ部38が設けられ、この尾びれ部38が水平状に設けられている。このように尾びれ部38を水平状に設けることによって、リールを速く巻くなどして釣り用ルアー2を速く動かした際にも、この尾びれ部38に作用する水の抵抗によって、魚形状体4の水面上への飛び上がりを抑えることができ、これによって、魚が速く逃げるような動きに見せかけることができる。この尾びれ部38については、後に詳述する。
【0032】
魚形状体4には、二つのフック39,40が設けられている。フック39,40は実質上同一の構成であり、リング状連結部42と、このリング状連結部42からJ字状に延びる三つの針部44を有し、これら針部44は、周方向に間隔て配設されている。この形態では、一方のフック39はヘッド部6の前下腹部に設けられ、この前下腹部に取り付けられた取付ピン46の取付リング部48に、フック39のリング状連結部42が連結されている。また、他方のフック40は後下腹部に設けられ、この後下腹部に取り付けられた取付ピン50の取付リング部52に、フック40のリング状連結部50が連結されている。このようなフック39,40は、それ自体周知の他の形態のものを用いるようにしてもよい。
【0033】
次に、
図1とともに
図3〜
図7を参照して、尾びれ部38及びこれに関連する構成について説明する。図示の尾びれ部38は、テール部8の後端部に取り付けられる取付部54と、この取付部54から後方に延びるひれ部56とを有し、このひれ部56の両側部、即ち左側部58及び右側部60はその中央部80から両側に延びている。また、取付部54の両側部には左旋回拘束部62及び右旋回拘束部64が設けられ、これら左右旋回拘束部62,64は、
図1及び
図7に示すように、テール部8の両側において前方に突出して配設されている。
【0034】
このような尾びれ部38は、次のようにしてテール部8の後面に取り付けられる。この取付けには取付ねじピン68が用いられ、その先端側にはねじ部70が設けられ、その後端側にはリング状頭部72が設けられている。尾びれ部38は、その取付部54の貫通孔66を通して取付ねじピン68のねじ部70をテール部8に螺着することによって、このテール部8に取り付けられる。
【0035】
この尾びれ部38は、取付ねじピン68の螺着状態によって第1装着状態と第2装着状態とにすることができる。取付ねじピン68のリング状頭部72が尾びれ部38の取付部54を圧接する(即ち、取付ねじピン68を強く螺着する)第1装着状態(
図1参照)においては、この取付部54はテール部8の後面と取付ねじピン68のリング状頭部72との間に挟持されて固定的に取り付けられ、尾びれ部38はテール部8に対して相対的に旋回することはない。一方、取付ねじピン68のリング状頭部72と尾びれ部38の取付部54との間に少しの隙間が生じる(即ち、取付ねじピン68を隙間が生じるように少し緩く螺着する)第2装着状態(
図7参照)においては、この取付部54はテール部8と取付ねじピン68のリング状頭部72との間に固定的に挟持されず、尾びれ部38のテール部8に対する相対的な旋回動が許容される。
【0036】
この第2装着状態においては、尾びれ部38は、取付ねじピン68のねじ部70(このこのねじ軸70が前後方向に(
図1において左右方向、
図7において上下方向)に延びる前後軸線を構成する)を中心として旋回するが、この尾びれ部38の旋回動を所定角度範囲に拘束するために、次のように構成されている。再び、
図1及び
図7を参照して、尾びれ部38の左旋回拘束部62は、テール部8の左側面より幾分間隔をおいて外側に配置され、またその右旋回拘束部64は、テール部8の右側面より幾分間隔をおいて外側に配置されている。加えて、左右旋回拘束部62,64の幅W(
図1における上下方向の幅W)は、テール部8の後端部の高さ方向の長さL(
図1における上下方向の長さL)よりも小さく(W<L)形成されている。
【0037】
このように構成されているので、魚形状体4の後方(即ち、
図7において矢印74で示す方向)から見て、尾びれ部38の時計方向の旋回動は、左旋回拘束部62の上側端部がテール部8の左側面に当接する、又は右旋回拘束部64の下側端部がテール部8の右側面に当接することによって拘束され、かかる角度位置を越える時計方向の旋回動が阻止される。また、尾びれ部38の反時計方向の旋回動は、左旋回拘束部62の下側端部がテール部8の左側面に当接する、又は右旋回拘束部64の上側端部がテール部8の右側面に当接することによって拘束され、かかる角度位置を越える時計方向の旋回動が阻止され、このように左右旋回拘束部62,64を設けることによって、尾びれ部38は、前後軸線を中心として所定角度範囲にわたって旋回自在となる。
【0038】
このように尾びれ部38を旋回自在にすることによって、リールを巻くなどして釣り用ルアー2を動かした際に、ひれ部56の左右側部58,60に受ける水抵抗が適度にバランスされ、魚形状体4のローリングを抑えることができる。加えて、ヘッド部6に対してテール部8が上下軸線を中心として相対的に大きく旋回した際に、ひれ部56の左右側部58,60における水の抵抗が変動し、この抵抗変動がテール部8の上下軸線を中心とする相対的旋回動を小さくするように作用し、これによって、魚形状体4の動きを実際の魚のように見せかけることができる。
【0039】
この尾びれ部38は、合成樹脂、金属プレート、木などから構成することができ、ひれ部56の傾斜角度及び/又はひれ部56の左右側部58,60の傾斜角度を調整可能にするためには、金属プレート(例えば、ステンレス製プレートなど)から形成するのが望ましい。
【0040】
この尾びれ部38のひれ部56は、
図1、
図4及び
図5に示すように、その取付部54の下端部から後方に向けて下方に傾斜して延びるのが好ましく、このひれ部56の傾斜角度α(前後軸線と平行である水平軸線に対する下方への傾斜角度)(
図5参照)は、5〜50度(5度≦α≦50度)程度に設定され、10〜35度(10度≦α≦35度)程度であるのが好ましい。ひれ部56の傾斜角度αが大きくなると、ひれ部56に対する水の抵抗が大きくなり、釣り用ルアー2が水面付近を動くようになり、またこの傾斜角度αが小さくなると、ひれ部56に対する水の抵抗が小さくなって水面深くを動くようになる。尾びれ部38を例えば金属プレートから形成した場合、ひれ部56の基部(具体的には、取付部54とひれ部56との接続部位)を変形させてこの傾斜角度αを容易に調整することが可能となる。
【0041】
また、尾びれ部38のひれ部56における左右側部58,60は、
図1及び
図4〜
図6に示すように、その中央部80から両側に向けて上方に傾斜するように構成するのが好ましく、この左右側部58,60の傾斜角度β(中央部80に対する上方への傾斜角度)(
図6参照)は、10〜50度(10度≦α≦50度)程度に設定され、20〜35度(20度≦α≦35度)程度であるのが好ましい。左右側部58,60の傾斜角度βが大きくなると、両側部58,60に対する水の抵抗が小さく、魚形状体4のローリング抵抗が小さくなり、リールを巻いて釣り用ルアー2を動かす際の負荷が小さくなり、またこの傾斜角度βが大きくなると、両側部58,60に対する水の抵抗が大きく、魚形状体4のローリング抵抗が大きくなり、リールを巻いて動かす際の負荷が大きくなる。この尾びれ部38を例えば金属プレートから形成した場合、ひれ部56の基部と同様に、その両側部58,60の基部(具体的には、中央部80と左右の側部58,60との接続部位)を変形させてこの傾斜角度βを容易に調整することができる。
【0042】
この尾びれ部38では、更に、ひれ部56の中央部80は、取付部54側から先端側に向けてその幅(左右方向の幅であって、左側部58と右側部60との間の部位の幅方向の長さ)が漸減するように構成され、このように構成することによって、ひれ部56の上面側において、左側部58と右側部60との間の水が後方にスムースに流れ、尾びれ部38が安定するようになる。
【0043】
この釣り用ルアー2を用いると、魚形状体4の後端部に取り付けられる尾びれ部38が水平状に設けられるので、釣り用ルアー2を速く動かした際にも、魚形状体4の水面上への飛び上がりが抑えられ、これによって、魚が速く逃げるような動きに見せかけることができ、魚(特に、ブラックバスなどの肉食魚)の食いつきを良くすることができる。
【0044】
この尾びれ部38は、上述した取付状態(第1取付状態)と上下逆に裏返した状態で取付ねじピン68によりテール部8に取り付けることができる。この取付状態(第2取付状態)においては、上述したと反対に、尾びれ部38の左旋回拘束部62は、テール部8の右側面の外側に位置し、その右旋回拘束部64は、テール部9の左側面の外側に位置する。また、尾びれ部38のひれ部56は、後方に向けて上方に傾斜して延び、その両側部58,60は、両側に向けて下方に傾斜して延びる。
【0045】
この第2取付状態においては、尾びれ部38に作用する水の抵抗によって、テール部8はヘッド部6と同じように移動し、ヘッド部6及びテール部8は、連結機構10を介して相互に旋回自在に連結されているにもかかわらずあたかも一体的であるかのように移動し、ヘッド部6及びテール部8が一体的に形成された魚形状体として使用することができ、尾びれ部38の取付状態によって2種類の釣り用ルアー2として用いることができる。
【0046】
以上、本発明に従う釣り用ルアーの一実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0047】
例えば、上述した実施形態では、ヘッド部6とテール部8とを連結機構10を介して旋回自在に連結しているが、このような構成に限定されず、連結機構を省略し、ヘッド部6とテール部8とを一体的に形成するようにしてもよく、このような形態の釣り用ルアーにも同様に適用することができる。
【0048】
また、上述した実施形態では、尾びれ部38に左右旋回拘束部62,64を設けているが、必ずしも左右の旋回拘束部62,64を設ける必要はなく、左旋回拘束部62及び右旋回拘束部64のいずれか一方のみを設けることによって上述したと同様の効果を達成することができる。
【0049】
また、例えば、上述した実施形態では、フック39,40をヘッド部6及びテール部8に取り付けているが、このような構成に限定されず、フック39,40に加えて、尾びれ部8を取り付ける取付ねじピン68のリング状頭部72にフック(図示せず)を取り付けるようにしてもよく、或いはフック40に代えて、取付ねじピン68にフックを取り付けるようにしてもよく、1個又は2個以上のフックを魚形状体4の適宜の箇所に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0050】
2 釣り用ルアー
4 魚形状体
6 ヘッド部
8 テール部
10 連結機構
26 アイ部
34 リップ部
38 尾びれ部
54 取付部
56 ひれ部
58,60 側部
62,64 旋回拘束部