特開2015-12856(P2015-12856A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-12856(P2015-12856A)
(43)【公開日】2015年1月22日
(54)【発明の名称】動物用装着具
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/04 20060101AFI20141219BHJP
   A61D 9/00 20060101ALI20141219BHJP
【FI】
   A01K15/04
   A61D9/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-211042(P2013-211042)
(22)【出願日】2013年10月8日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3186008号
【原出願日】2013年7月3日
(11)【特許番号】特許第5522763号(P5522763)
(45)【特許公報発行日】2014年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】513168345
【氏名又は名称】山田 浩恵
(74)【代理人】
【識別番号】100126402
【弁理士】
【氏名又は名称】内島 裕
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩
(57)【要約】      (修正有)
【課題】折り曲げが可能であり動物の飲食や睡眠の際に妨げとならなく、また、視界を狭めることがなく、素早く装着でき、取り扱いが容易で、ファッション性が高く、かつ、低コストな動物用装着具を提供する。
【解決手段】動物の口が胴部へ近づくことを制限するための動物用装着具であって、可撓性を有する素材を動物の首周りに対応する大きさの略円形の切欠部を設けて所定の厚みを有する略馬蹄形に形成し、前記略円形に沿った内周円部の左側、右側、下側のそれぞれに1つ以上の筒状の挿通部であって前記動物の首に着脱自在に嵌められる略環状部材が通される挿通部を備え、前記略環状部材を前記各挿通部に通して自動物用装着具を前記動物の首に装着すると、前記略馬蹄形の外周円に沿った外周円部下部が、前記動物の頭部下方に前記動物がその縁辺を踏まない範囲で垂下する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の口が胴部へ近づくことを制限するために前記動物の頭部と前記胴部との間に装着される動物用装着具であって、
可撓性を有する素材を動物の首周りに対応する大きさの略円形の切欠部を設けて所定の厚みを有する略馬蹄形に形成し、前記略円形に沿った内周円部の左側、右側、下側のそれぞれに1つ以上の筒状の挿通部であって前記動物の首に着脱自在に嵌められる略環状部材が通される挿通部を備え、
前記下側の挿通部は径が前記略環状部材より略一回り大きい筒状であり、かつ、前記左側及び右側の挿通部は前記下側の挿通部より径が大きい筒状であり、
前記略環状部材を前記各挿通部に通して自動物用装着具を前記動物の首に装着すると、前記略馬蹄形の外周円に沿った外周円部下部が、前記動物の頭部下方に前記動物がその縁辺を踏まない範囲で垂下することを特徴とする動物用装着具。
【請求項2】
前記動物の手足が頭部へ近づくことを制限するための頭部保護部材を脱着可能に備えることを特徴とする請求項1に記載の動物用装着具。
【請求項3】
前記略馬蹄形の上縁部に前記動物の略耳型の凸状部が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の首の周りに装着し、胴体や手足などを舐めたり、噛んだりできないようにする動物用装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫、鳥、家畜などの動物(以下では、犬や猫などの哺乳動物に限らず、鳥類、爬虫類、両生類などの脊椎動物などを広く含むものとする。)が怪我をしたり、手術を受けたり、皮膚疾患がある場合や、脳神経疾患や病気、怪我などの後遺症による肢体の麻痺、また、飼育環境によるストレスなどがある場合、これらの動物は自身の、胴体部の手足、尾などを皮膚が破れるほど舐めたり、噛んだりしてしまうことがある。
【0003】
このような刺激は、怪我や皮膚疾患を悪化させたり、手術後の回復を遅らせたりする原因となるため、動物病院などでは、このような場合、動物の口部から動物の身体を保護するために、いわゆるエリザベスカラーという傷舐め防止用器具が装着されることが一般的である。
【0004】
この従来の傷舐め防止用器具は、可撓性を有する合成樹脂製の薄板材料により、内径及び外径をそれぞれ所要の寸法としたリング形状の部材の1箇所を、所定角度範囲にわたって切り欠いた馬蹄形状のシート部材であって、そのシート部材の両端部に、互いに連結可能な連結機構を設けたものである。
このシート部材の両端部を、連結機構を介して連結すると、シート部材は、全体がラッパ状の中空截頭円錐形となる。
この傷舐め防止用器具を使用するときには、展開されたシート部材の内周縁を動物の首に当て、その両端を引っ張って、中空截頭円錐形状に変形させ、連結機構を係止させ、動物の頭部の周囲を中空截頭円錐形状のカラーで動物の顔回りを立体的に囲むようにする。
【0005】
しかし、従来の傷舐め防止用器具に関しては、以下のような問題点が指摘されていた。
第1の問題点は、視界が狭くなることである。すなわち、傷舐め防止用器具が装着された動物は、違和感を覚えたり、視界が狭くなり周りを見渡すことができず不安になり暴れたり、遮蔽された視野にある障害物に衝突したりすることがあった。
【0006】
第2の問題点は、通気性が悪いことである。すなわち、耳が蒸れ耳ダニが増殖するなど、通気性の悪さが原因で起こる二次的感染が生じることがあった。
【0007】
第3の問題点は、軽量化の対策がなされていないことである。すなわち、大きく重たいと引きずったり、老化などによる頚椎への負担等が生じることがあった。
【0008】
第4の間題点は、餌・水やりの際の利便性、機能性が考慮されていないことである。すなわち、可撓性のある硬質のシート部材で構成されているため飲食の際に、皿に頭を近づけ難く、また顎の下の首周りが濡れ湿気による菌などの増殖にも繋がることがあった。
【0009】
第5の問題点は、デザイン性が乏しいことである。すなわち、デザイン性を持たせることで飼い主等の趣向に資することや見守る者を癒す効果が発揮されていなかった。
【0010】
第6の問題点は、再使用可能な、洗浄や消毒が繰り適しできる衛生的な、耐久性に富んだものではないことである。
【0011】
第7の問題点は、慣れないとスムーズに装着することが難しいことである。
【0012】
第8の問題点は、可撓性の合成樹脂シートは、比較的硬いことである。すなわち、角部分が動物の皮膚を傷つけたり、長期間の使用により、固い縁辺が毛や皮膚と擦れ、その刺激によって、脱毛したり、皮膚炎を発症したりすることがあった。
【0013】
第9の問題点は、可撓性を有する素材で大きな空間にわたって立体的に構成されていることである。すなわち、動物を病院に連れて行くときなどに、ケースに入れると、ケースに当たったり、邪魔になって、ケースに入れられなかったりすることがあった。
【0014】
また、従来の傷舐め防止用器具として、ドーナツ形状のクッションとしたもの、首部に装着するコルセット形状のもの、装着感や通気性を考慮したメッシュ素材で形成されたものなどがある。
しかし、クッション式のものは、首の短い動物には不向きで、使用対象となる動物が限定されるという問題があった。また、クッション式のものは、その厚みと嵩のために動物が寝そべったときに、頭部の置き所が安定しないという問題があった。さらに、ドーナツ形状のものの場合、首を後に向け、口で胴体を刺激することを制限するに過ぎず、その効果範囲が極めて限定されるという問題があった。そして、構造を複雑にせざるを得ないと共に、嵩張るため、製造コストや流通コストが増加するという問題があった。
【0015】
一方、関連技術として以下のようなものが提案されている。
例えば、動物の首回りを周回する部位と、動物の顔回りを囲むように首回りを周回する部位より広角に広がるように立上げた部位と、この広角に広がる部位の先端より緩やかな角度修正した部位とを一体にし、小型で動物の口から傷口を守る効果が得られ、脱着を簡単に行えるようにした保護カラーに関する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0016】
また、折り曲げたときにラッパ状となるように、内周縁部と外周縁部を有する合成樹脂等よりなるシート状の保護カラー本体と、該保護カラー本体に取り付ける固定用ベルトからなり、保護カラー本体は、両端部に係止手段を有して、両端部を係止させることにより使用状態のラッパ状になり、両端部の係止状態を解くことにより平面状に展開できるようにしてあると共に、さらに、両端部に固定用ベルト係止手段を有しており、全体として保護カラー本体の両端部における内周縁部と外周縁部との間の幅寸法を、中央部や両側部における内周縁部と外周縁部との間の幅寸法に比して小さくするようにしてある。一方、固定用ベルトは、柔らかな素材の紐状の1本の首輪部と2本の胴輪部からなる構成としてあり、首輪部に、上記保護カラー本体の固定用ベルト係止手段を通すようにするための挿通部を有して、固定用ベルト付動物保護カラーとした技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】実用新案登録第3108095号公報
【特許文献2】特開2006−230239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記の関連技術は、ほぼ合成樹脂材で形成されているため、通気性がない、蒸れやすい、清潔が保ちにくい、堅く折り曲げが容易でない、重い、滑りやすく外れやすい、製造コストが高い、お洒落なデザインではなくファッション性が低いなどの問題があった。
【0019】
本発明の目的は、折り曲げが可能であり動物の飲食や睡眠の際に妨げとならなく、また、視界を狭めることがなく、素早く装着でき、取り扱いが容易で、ファッション性が高く、かつ、低コストな動物用装着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の動物用装着具は、動物の口が胴部へ近づくことを制限するために前記動物の頭部と前記胴部との間に装着される動物用装着具であって、可撓性を有する素材を動物の首周りに対応する大きさの略円形の切欠部を設けて所定の厚みを有する略馬蹄形に形成し、前記略円形に沿った内周円部の左側、右側、下側のそれぞれに1つ以上の筒状の挿通部であって前記動物の首に着脱自在に嵌められる略環状部材が通される挿通部を備え、前記下側の挿通部は径が前記略環状部材より略一回り大きい筒状であり、かつ、前記左側及び右側の挿通部は前記下側の挿通部より径が大きい筒状であり、前記略環状部材を前記各挿通部に通して自動物用装着具を前記動物の首に装着すると、前記略馬蹄形の外周円に沿った外周円部下部が、前記動物の頭部下方に前記動物がその縁辺を踏まない範囲で垂下することを特徴とする。
このように可撓性を有する素材(一例として、ビニルとそれにくるまれた柔らかなスポンジなど)により構成されているので、折り曲げが可能となり、動物が飲食する際の妨げにならなくまた、装着したままの睡眠も可能となる。
また、下側の挿通部は径が略環状部材(首輪など)より略一回り大きいに過ぎない筒状であるので動物の首・下顎部分に密着することとなり、安定性が向上し、一方、左右側の挿通部は、それよりも大きい径(例えば、3〜4cm程度の余裕があり、略環状部材が動くことができる。)であるので、動物の大きさに柔軟に対応して汎用性を持たせることができる。
また、動物の首周りに対応する大きさの略円形の切欠部を設けて略馬蹄形に形成し、動物の首輪などの環状部材をその切欠部に対応させて、略馬蹄形の外周円に沿った外周円部を動物の頭部下方に垂下させる構造・使用態様であるので、動物の視界を大きく遮らない構造のため、動物が閉塞感を感じることがなく、また自らの呼吸による蒸れなどの心配もなくなる。
また、略円形の切欠部の内周円部の左側、右側、下側に筒状の挿通部を備え、首輪などの略環状部材を各挿通部に通して動物用装着具を動物の首に装着する構成であるので、装着の際の着脱が容易・簡便に行うことができる。
安価な素材(一例として、ビニルとそれにくるまれた柔らかなスポンジなど)により構成することができるので、低価格で購買者に提供することができる。
【0021】
また、本発明の動物用装着具は、前記動物の手足が頭部へ近づくことを制限するための頭部保護部材を脱着可能に備えることであってもよい。
このように、動物の手足が頭部へ近づくことを制限するための別体の頭部保護部材を追加する構成であるので、動物が手足で頭部の患部等を引っ掻いたりして刺激しようとすることを防ぐことが後付の部材により簡易に実現できる。また、患部が、動物の耳などの頭部にあり、動物用装着具を頭部の先端から挿入孔などに通すことが困難である場合に、そのような必要がないので安全に装着できるという利点を有する。
【0022】
また、本発明の動物用装着具は、前記略馬蹄形の上縁部に前記動物の略耳型の凸状部が形成されることであってもよい。
動物の耳型部分を設けるなど、見た目にも比重を置いているので、従来品よりもかなり可愛くお洒落で、ファッション感覚での着用が可能なる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、折り曲げが可能であり動物の飲食や睡眠の際に妨げとならなく、また、視界を狭めることがなく、素早く装着でき、取り扱いが容易で、ファッション性が高く、かつ、低コストな動物用装着具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る動物用装着具の正面図及び背面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る動物用装着具のA−A´線断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る動物用装着具の頭部保護部材の正面図及び背面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る動物用装着具(頭部保護部材付き)の正面図及び背面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る動物用装着具(頭部保護部材なし)を猫に装着した使用状態を示す図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る動物用装着具(頭部保護部材付き)を猫に装着した使用状態を示す図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係る動物用装着具(紐付き)の正面図及び背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施の形態の動物用装着具Cは、切欠部10、挿通部20a、20b、20c(以下、総称して「挿通部20」ということがある。)、略馬蹄形に形成される本体部30を備え、動物100に装着される。
なお、切欠部10や本体部30の外径のサイズをSサイズ、Mサイズ、Lサイズ、LLサイズのように、各サイズで形成し、動物100の首回りに対応する外径の大きさを選べるようにしてもよい。
切欠部10は、半径約3cmの略円形であり、動物(ここでは猫とする。)の首輪の大きさに対応した程度の大きさである。円形のみならず、U字型等の種々のものであってよい。
挿通部20a、20b、20cは、切欠部10の内周円部の左側、右側、下側のそれぞれに1つ筒状(リング状)に形成されている。長さ寸法は約2cmで若干の余裕があることで、首輪のサイズの相違に対応することができる。幅寸法は約1cmである。ここでは本体部30と同様の素材とするが別の素材であってもよく、本体部30と一体に形成されることに限らず、縫製等により本体部30に付加されることであってもよい。挿通部20の数は、左側、右側、下側のそれぞれに少なくとも1つあればよく、その他の部分に追加して設けられてもよい。なお、左側及び右側の挿通部のいずれかは本発明の機能・効果を奏する限り省略されてもよい。
【0026】
この動物用装着具Cを動物100に装着するときには、動物100の首輪110を外して、首輪110を動物用装着具Cの挿通部20a、20b、20cにそれぞれ挿通して、切欠部10にセットして、そのうえで首輪110を動物100の首に嵌めればよい。首輪110を介して動物100の首に装着された動物用装着具Cは、動物100自身の動作によって、その頭部から脱落することはない。
【0027】
動物用装着具Cの本体部30はカバー31と心材32から構成されている(図2図1おけるA−A´線断面図も参照)。カバー31は可撓性のある厚さ約2mmの爪により破れることのないビニル製シートなどであり、表面は、動物の爪などが引っ掛からない程度に平滑に仕上げられている。カバー31は色や図形・柄などが付されており、従来品よりもかなり可愛くお洒落で、ファッション感覚での着用が可能となっている。
カバー31は、心材32の外表面に略合致する袋体により形成され、心材32を包んでいる。
心材32は、クッション性のある、5mm〜20mm程度の厚さに設定されるスポンジ・発泡ウレタン(長尺直方体状の柔らかい発泡合成樹脂)等であってカバー31に介装されている。このように構成することにより、適度な弾力性が確保できて快適性が向上する。なお、心材32は、動物に対する当たり具合が柔らかいものであれば、種々のものが採用でき厚手の不織布や綿などにより構成してもよい。
なお、カバー31又は心材32には、通気性を良くするために複数の小さな穴が設けられてもよい。
動物用装着具Cを動物100の首に装着すると、略馬蹄形円板の本体部30の半径約15cmの外周円に沿った外周円部の下部が、動物100の頭部下方に垂下し、その長さ寸法は動物100がその縁辺を踏まない程度である。ここでは約20cmとする。なお、可撓性の程度は柔軟ではあるが、柔軟すぎると頭部の動きに同調して口が胴部に届いてしまうおそれがあるので、そのようなことがない程度に形状を保持できる柔軟性を備えることが必要である。
ここで、本体部30を略馬蹄形というのは、特に上縁部に動物100の略耳型の凸状部が形成されるからである。このように、動物の耳型部分を設けることで外観上も猫っぽくなり楽しめるなど、見た目にも比重を置いているので、従来品よりもかなり可愛くお洒落で、ファッション感覚での着用が可能となっている。
【0028】
図1(b)の動物用装着具Cの本体部30の裏面側の内部には連結部40a、40b(以下、総称して「連結部40」ということがある。)が設けられている。連結部40は、動物100の手足が頭部へ近づくことを制限するための頭部保護部材50を脱着可能に連結する機能を有している。ここでは、本体部30の裏面側の切欠部10の左右に位置する領域に所定の手法により固定される縦横の寸法が約7cm・2.5cmの縦長の磁石から構成される。連結部40は、頭部保護部材50を本体部30へ連結させることができれば、内部に設けられた磁石に限られず、外部に設けられる面ファスナー・粘着テープ・磁石・スナップボタンなど種々の構造が採用されてよい。連結部40は、縦長であることにより、連結位置上下にずらすことで、動物100の首周りの大小に合わせて調節できるようにしている。
【0029】
本体部30は、柔軟なビニル製シート・スポンジ等で構成されているので、切欠部10の略円形に沿った内周円部の形状を首輪110と共に、動物100の頭部・首の形状に合わせて嵌め易いように大きくねじったりして変形させることができる。また、装着された動物用装着具Cは、首輪110を外すことで、簡単に動物100から取り外すことができる。このように、簡単かつ迅速に着脱できるようになるため、着脱時の動物100に対するストレスや着脱作業をする飼い主等の負担を低減することができる。
また、動物用装着具Cの本体部30は、動物100がその縁辺を踏まない程度の長さ寸法で垂下しているが、柔軟な素材で形成されているため、装着中に、動物100の移動により、動物用装着具Cが障害物にぶつかっても、本体部30が変形し、動物100の移動を阻害することがない。
また、動物用装着具Cの構成は、極めてシンプルであり、軽量な素材であり軽量化を図ることができ、装着時の重心の偏りも少ないため、動物100が装着中に違和感を覚えることもなく、さらに、頭部を上下左右に振る動作を行っても、遠心力に振り回されることもなく、動物100に余計なストレスを与えることはない。
また、動物用装着具Cは、首輪110を介しているため、装着中の首との接触部に、大きな負荷が集中することがなく、局所的に摩擦による刺激を直接与えることも少ない。また、動物用装着具Cは、は、装着中の動物100の視野を不必要に狭めることがなく、動物の不快感や不安感を低減させることができる。
なお、必ずしもシートの表面が平面である必要はなく、例えば、シートに凹凸加工や、折り曲げ加工、皺加工、リブ加工などが施されていてもよい。動物の爪などが引っ掛からない程度の平滑性がある方が望ましいが、本発明の効果を奏する限り平面シートの表面に所定の凹凸があってもよい。
また、本体部30の外周の形状は、略円弧状に限定されず、扁平な円形や、周縁が波状にカットされたもの、丸みを帯びた略多角形状のものなど、任意の形状とすることであってよい。なお、長方形だと、障害物や床などにひっかかってしまう角度となってしまう。また、床をこすってしまうこともあるので、このような状況を改善するためには、丸みを帯びた形状であることが望ましい。
【0030】
次に、図3を参照して、頭部保護部材50について説明する。図3に示すように、頭部保護部材50は、正面視において円弧状の上縁部に耳型の凸部を2つ備える略半円形に略長方形の切欠部が設けられた厚み寸法約数mmの可撓性のある樹脂製であるビニル製シートなどが、本体部30の上縁部に形成された動物100の略耳型の凸状部を上から覆って包みこみ、かつその略耳型の凸状部の外表面に略合致して安定して位置するような形状である袋体に形成され、本体部30とマッチ(同一でもよい)するような色や図形・柄などが付されている。
頭部保護部材50が本体部30に装着されている状態で、頭部保護部材50の下部は本体部30と略同一形状となり、重なるようになること(図4も参照。)であってもよく、動物100が前脚で頭部を掻いたり、前脚先を舐めたりするために、前肢を持ち上げると、柔軟な平面シートが持ち上げた前脚を覆うようにその上側に載った状態となり、前脚の先端が頭部に届くときには、前脚の先端と頭部との間に頭部保護部材50が挟まった状態(手足と胴部を遮蔽)になって、掻くことができない。
頭部保護部材50の裏面側の内部の左右に位置する領域であって本体部30の連結部40に対応する位置に固定される被連結部60が、縦横の寸法が約7cm・2.5cmの縦長の磁石から構成される。被連結部60は、頭部保護部材50を本体部30へ連結させることができれば、磁石に限られず、外部に設けられる面ファスナー・粘着テープ・磁石・スナップボタンなど種々の構造が採用されてよい。被連結部60は、縦長であることにより、連結位置上下にずらすことで、動物100の首周りの大小に合わせて調節できるようにしている。
なお、頭部保護部材50は、板状体であってもよい。
【0031】
以下、上述のような構成を有する動物用装着具Cの使用方法について説明する。ここでは、動物100として猫100を想定し、猫の首には所定の首輪110が嵌められているものとし、その猫の大きさに応じた適宜のサイズの動物用装着具Cが用意されていることを前提とする。
【0032】
まず、猫100の首から首輪110を外し、動物用装着具Cの挿通部20に首輪110を通した状態とする。
そして、猫100の首の下前面に本体部30が垂下するように、切欠部10にほぼ沿って用意されている首輪110を再び猫100の首に嵌める。このとき、左右側の挿通部20a、20bは径が大きく、3〜4cmの余裕(遊び)があるので、猫100の首の太さがある程度異なっていても、対応できる。一方、下側の挿通部20cは径が小さいので挿通された首輪110が動く自由度は極めて小さく、動物用装着具Cの本体部30は、首輪110を介して猫100の首に密着することとなる。
こうすると、本体部30の略馬蹄形の外周円に沿った外周円部下部が、猫100の頭部下方に猫が足(脚)でその縁辺を踏まない範囲で垂下するので、猫100が下や横を向いた際に、頭部と胴部を遮蔽でき、動物用装着具Cの本体部30に阻まれ、口で胴体を刺激することはできない(図5も参照)。
一方、動物用装着具Cを装着した猫100が寝る動作を行っても、可撓性を有する素材で形成されているので折り曲り、不便なく支障とならない。
【0033】
このように軽量素材を少量しか使用しない動物用装着具Cにより、従来の重たい製品よりも、格段に軽量化が図られるので、動物の負担が軽減される。また、かわいらしさも実現されている。さらに、病気・老犬などの食い溢しによるあごの下の汚れなどの防止のよだれ掛けとしても使用できる。
【0034】
次に、動物用装着具Cの本体部30に頭部保護部材50を後付けで付加して使用する場合について説明する。
動物用装着具Cの本体部30の上方から頭部保護部材50により覆って猫の耳型の部分に被せるようにし、本体部30の内部の連結部40としての縦横の寸法が約7cm・2.5cmの縦長の磁石に、頭部保護部材50の内部の被連結部60としての寸法が約7cm・2.5cmの縦長の磁石をくっつけて連結させる。このとき、猫100の首の太さに応じて隙間が生じないように適宜間隔を調整しながら頭部保護部材50の位置を決定する。
頭部保護部材50の上縁部に猫の耳型の凸部が2つ形成されているので、頭部保護部材50が連結されている状態で、例えば、前脚で頭部や耳を掻いたりするために、前肢を持ち上げると、前脚の先端と頭部との間に頭部保護部材50が挟まった状態(手足と胴部を遮蔽)になって、傷などのある部分を掻くことが防止される(図6も参照)。
【0035】
なお、頭部保護部材50を動物用装着具Cの本体部30から外す場合には、磁石による連結を解除して、上方に持ち上げることで簡単に分離することができる。また、動物用装着具Cの本体部30を猫100から外す場合には、首輪110を一旦外して、首輪110を通していた挿通部20から首輪を外すことで、容易に取り外しが完了する。
【0036】
上記の本実施の形態によれば、折り曲げが可能であり動物の飲食や睡眠の際に妨げとならなく、また、視界を狭めることがなく、素早く装着でき、取り扱いが容易で、ファッション性が高く、かつ、低コストな動物用装着具を実現することができる。
すなわち、動物が飲食をする場合、その素材が柔軟であるため、餌皿と頭部の間につっかかって、飲食を阻害するということもない。また、柔軟なシートであるので、製造も極めて簡単で、また、コンパクトに収納できるので、需要者に対し、低コストで提供できる。また、構造が単純なので、汚れた場合、極めて簡単に洗浄でき、衛生的に使用し続けることができる。また、動物を病院に運ぶとき等、ケースに入れる必要がある場合でも、特段の支障がなく、装着させたままケースに入れることができる。平面状であるので、その視界をさえぎることはなく、装着中の動物のストレスを軽減させることができる。また、柔軟で薄手又は扁平なものであるため、寝そべったときに、つっかえるなどの障害にならず、動物は何の抵抗も感じることなく頭部を地面に置いてリラックスすることができる。また、耳型のデザインや色・柄などにより、ファッション性やかわいらしさも実現できる。
【0037】
さらに、動物100の病気・老いなどの食い溢しによる顎の下の汚れなどの防止のよだれ掛けとしても使用できる。これまではそのような状況を回避する場合には、動物100の首の周りにタオルを巻き付けて対応するしかなかった。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図7に示すように、本実施の形態の動物用装着具Cは、上記の第1の実施の形態の動物用装着具Cと、首輪110でなく、紐120を用いる点で異なる。その他の基本的な構成は同様であるので、重複する説明は省略する。
【0039】
市販の首輪などに限定されずに、紐120のデザイン・色・柄・長さなども使用者の自由に適宜選択・調整することができ、装着時の快適性や、ファッション性・かわいらしさも実現できる。また、お洒落な感覚を大事にする飼い主などの使用者にも満足感をもたらし、動物に対する愛着も増大する。
【0040】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、各構成部分の材質・大きさや形状を含む種々の変更が加えられて実施されてよい。
【符号の説明】
【0041】
C 動物用装着具
10 切欠部
20 挿通部
30 本体部
40 連結部
50 頭部保護部材
60 被連結部
100 動物
110 首輪
120 紐
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2014年3月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明の動物用装着具は、動物の口が胴部へ近づくことを制限するために前記動物の頭部と前記胴部との間に装着される動物用装着具であって、可撓性を有する素材を動物の首周りに対応する大きさの略円形の切欠部を設けて所定の厚みを有する略馬蹄形に形成し、前記略円形に沿った内周円部の左側、右側、下側のそれぞれに1つ以上の筒状の挿通部であって前記動物の首に着脱自在に嵌められる略環状部材が通される挿通部を備え、前記下側の挿通部は径が前記略環状部材より略一回り大きい筒状であり、かつ、前記左側及び右側の挿通部は前記下側の挿通部より径が大きい筒状であり、前記略環状部材を前記各挿通部に通して動物用装着具を前記動物の首に装着すると、前記略馬蹄形の外周円に沿った外周円部下部が、前記動物の頭部下方に前記動物がその縁辺を踏まない範囲で垂下することを特徴とする。
このように可撓性を有する素材(一例として、ビニルとそれにくるまれた柔らかなスポンジなど)により構成されているので、折り曲げが可能となり、動物が飲食する際の妨げにならなくまた、装着したままの睡眠も可能となる。
また、下側の挿通部は径が略環状部材(首輪など)より略一回り大きいに過ぎない筒状であるので動物の首・下顎部分に密着することとなり、安定性が向上し、一方、左右側の挿通部は、それよりも大きい径(例えば、3〜4cm程度の余裕があり、略環状部材が動くことができる。)であるので、動物の大きさに柔軟に対応して汎用性を持たせることができる。
また、動物の首周りに対応する大きさの略円形の切欠部を設けて略馬蹄形に形成し、動物の首輪などの環状部材をその切欠部に対応させて、略馬蹄形の外周円に沿った外周円部を動物の頭部下方に垂下させる構造・使用態様であるので、動物の視界を大きく遮らない構造のため、動物が閉塞感を感じることがなく、また自らの呼吸による蒸れなどの心配もなくなる。
また、略円形の切欠部の内周円部の左側、右側、下側に筒状の挿通部を備え、首輪などの略環状部材を各挿通部に通して動物用装着具を動物の首に装着する構成であるので、装着の際の着脱が容易・簡便に行うことができる。
安価な素材(一例として、ビニルとそれにくるまれた柔らかなスポンジなど)により構成することができるので、低価格で購買者に提供することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の口が胴部へ近づくことを制限するために前記動物の頭部と前記胴部との間に装着される動物用装着具であって、
可撓性を有する素材を動物の首周りに対応する大きさの略円形の切欠部を設けて所定の厚みを有する略馬蹄形に形成し、前記略円形に沿った内周円部の左側、右側、下側のそれぞれに1つ以上の筒状の挿通部であって前記動物の首に着脱自在に嵌められる略環状部材が通される挿通部を備え、
前記下側の挿通部は径が前記略環状部材より略一回り大きい筒状であり、かつ、前記左側及び右側の挿通部は前記下側の挿通部より径が大きい筒状であり、
前記略環状部材を前記各挿通部に通して動物用装着具を前記動物の首に装着すると、前記略馬蹄形の外周円に沿った外周円部下部が、前記動物の頭部下方に前記動物がその縁辺を踏まない範囲で垂下することを特徴とする動物用装着具。
【請求項2】
前記動物の手足が頭部へ近づくことを制限するための頭部保護部材を脱着可能に備えることを特徴とする請求項1に記載の動物用装着具。
【請求項3】
前記略馬蹄形の上縁部に前記動物の略耳型の凸状部が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用装着具。