特開2015-128589(P2015-128589A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000003
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000004
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000005
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000006
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000007
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000008
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000009
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000010
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000011
  • 特開2015128589-ケーブルアレンジャー 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-128589(P2015-128589A)
(43)【公開日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】ケーブルアレンジャー
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/02 20060101AFI20150619BHJP
   A61B 1/00 20060101ALN20150619BHJP
【FI】
   A61M25/02
   A61B1/00 320Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-174(P2015-174)
(22)【出願日】2015年1月5日
(31)【優先権主張番号】14/147,831
(32)【優先日】2014年1月6日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヴ・リキテンスタイン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥドゥ・ハイモビッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ロイー・ハイモビッヒ
【テーマコード(参考)】
4C161
4C167
【Fターム(参考)】
4C161HH55
4C167AA05
4C167AA32
4C167AA33
4C167BB04
4C167BB11
4C167BB12
4C167BB19
4C167BB20
4C167BB22
4C167BB39
4C167BB40
4C167BB42
4C167BB44
4C167BB62
4C167CC04
4C167HH03
4C167HH08
(57)【要約】
【課題】 カテーテルから固定取付点まで延在するケーブルを用いたカテーテル挿入を行う。
【解決手段】 このカテーテル挿入は、その長手方向軸の周りのカテーテルの回転を検出するセンサーを提供することによって実行され、回転はケーブルに捻りを形成させる。ケーブルは、捻りを除去するように動作するケーブルアレンジャーを通って延在している。コントローラはセンサーから信号を受信し、センサーからの信号に応じてケーブルアレンジャーを作動させるための制御信号を生成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器であって、
生体内に挿入するように適応されているカテーテルであって、長手方向軸を有する、カテーテルと、
前記カテーテルに取り付けられている一端と、固定取付点に取り付けられている他方端と、を有するケーブルと、
前記長手方向軸の周りを前記カテーテルが回転したことを検出するためのセンサーであって、前記回転が為されると前記ケーブルの一区画によって前記ケーブルの一部分に捻りが形成されるようになっている、センサーと、
前記ケーブルの前記一部分から前記捻りを除去するケーブルアレンジャーと、
前記センサーから信号を受信し、前記センサーの前記信号に応じて前記ケーブルアレンジャーを作動させるための制御信号を生成すべく動作可能なコントローラと、
を具備する機器。
【請求項2】
前記センサーが磁場センサーである、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記センサーが、前記長手方向軸の周りの前記カテーテルの接線加速度を測定すべく適応された加速度計である、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記センサーが回転トルクトランスデューサである、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記ケーブルアレンジャーが、
前記ケーブルの一区画を保持するシャフトと、
前記シャフトを回転させる駆動モーターと、
を具備する、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記シャフトがルーメンを有し、前記ケーブルが前記ルーメンを通過して前記シャフトに接触し、前記シャフトと共に回転するようになっている、請求項5に記載の機器。
【請求項7】
前記駆動モーター及び前記シャフトに連結された歯車列を更に具備する、請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記歯車列が、前記駆動モーターに取り付けられた駆動歯車と、前記駆動歯車と噛み合う2つの連結歯車と、前記2つの連結歯車と噛み合うシャフト歯車と、を具備し、前記シャフト歯車が前記シャフトと同心であり、半径方向のスロットを有し、前記スロットを通して前記ケーブルの挿入及び除去を行えるようになっている、請求項7に記載の機器。
【請求項9】
前記ケーブルが前記シャフトの周りに巻きつけられている、請求項5に記載の機器。
【請求項10】
前記シャフトに螺旋状の溝が形成してあり、前記ケーブルがその溝内に入れられて運ばれるようになっている、請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記駆動モーターに取り付けられた駆動歯車を更に具備し、前記駆動歯車が、前記シャフト上に形成された歯車歯と噛み合い、かつ溝を有し、前記シャフトの前記螺旋状の溝及び前記駆動歯車の前記溝が整合したときに前記ケーブルが前記駆動歯車の前記溝と接触させられる、請求項10に記載の機器。
【請求項12】
前記ケーブルが一群の電気及び油圧チャネルを備える、請求項1に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療器具に関する。より具体的には、本発明は被検者の体内にプローブを留置し操作することに関する。
【背景技術】
【0002】
医師が医療処置の間にカテーテルを操作する際、カテーテルが、捻れるか又はもつれるようになる場合がある。そのような状況を探知するか又は回避するために、いくつかの方法及びシステムが提案されている。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,921,978号には、蛍光透視マーカーコンポーネントを含むカテーテルが記載されている。開示されるカテーテルの構成の一部は、カテーテルの遠位端の捻れの方向及び程度に関する視覚情報を、医師に提供するために使用される。
【0003】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,352,197号には、捻ることが可能な先端部を備えるカテーテル用の回動制限装置が記載されている。このカテーテルは、複雑に捻れている解剖学的構造内で使用するための可撓性の壁を有し、トルクワイヤ又はトルクを与えることが可能なガイドワイヤルーメンを含む。トルクワイヤ又はトルクを与えることが可能なガイドワイヤルーメンは、カテーテルの長さにわたって延在し、その遠位端で、又は遠位端付近で、カテーテルに取り付けられている。トルクワイヤの近位端は、カテーテルの近位端から突出し、回動制限装置に取り付けられている。回動制限装置によって、トルクワイヤ又はトルクを与えることが可能なガイドワイヤルーメンの近位端の、軸方向転位のない制限された回転が可能になる。
【0004】
本願と同一譲渡人に譲渡され、かつ参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0035467号には、カテーテルもつれ制限装置が記載されている。細長いプローブの手術者がプローブの近位端を操作して、その遠位端を患者の身体内部に移動させると、手術者が近位端に適用した累積回転角が自動的に測定される。累積回転角の指標が、手術者に提示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、生体内に挿入するように適応されているカテーテルであって、長手方向軸と、カテーテルに取り付けられている一端と固定点に取り付けられている他方端とを有するケーブルと、長手方向軸の周りのカテーテルの回転を検出するためのセンサーであって、回転によってケーブルの一部分に捻りを形成させるセンサーと、このケーブルの一部分から捻りを除去するケーブルアレンジャーと、センサーから信号を受信し、センサーの信号に応じてケーブルアレンジャーを作動させるための制御信号を生成するように動作可能なコントローラと、が提供されている。
【0006】
本機器の態様によれば、センサーは磁場センサーである。
【0007】
本機器の別の態様によれば、センサーは、長手方向軸の周りのカテーテルの接線加速度を測定するように適応された加速度計である。
【0008】
本機器の別の態様によれば、センサーは、回転トルクトランスデューサである。
【0009】
本機器の一態様によれば、ケーブルアレンジャーは、ケーブルの一区画を保持するシャフトと、シャフトを回転させる駆動モーターと、を含む。
【0010】
本機器の更なる態様によれば、シャフトはルーメンを有し、ケーブルがルーメンを通過してシャフトに接触し、シャフトと共に回転する。
【0011】
本機器の追加の態様は、駆動モーター及びシャフトに連結されている歯車列を含む。
【0012】
本機器の別の態様によれば、歯車列は、駆動モーターに取り付けられた駆動歯車と、駆動歯車と噛み合う2つの連結歯車と、2つの連結歯車と噛み合うシャフト歯車と、を含む。シャフト歯車は、シャフトと同心であり、半径方向のスロットを有し、このスロットを通してケーブルの挿入及び除去を行えるようになっている。ケーブルは、シャフトの周りに巻きつけられている。
【0013】
本機器の更に別の態様によれば、シャフトに螺旋状の溝が形成してあり、その溝内にケーブルが入れられて運ばれるようになっている。
【0014】
本機器の一態様は、駆動モーターに取り付けられた駆動歯車を含み、この駆動歯車は、シャフト上に形成された歯車歯と噛み合うようになっている。螺旋状の溝及び駆動歯車の溝が整合したときに、ケーブルが駆動歯車内の溝に接触させられる。
【0015】
本発明の実施形態によれば、カテーテルを生体内に挿入する工程と、カテーテルと固定取付点との間にケーブルを接続する工程と、長手方向軸の周りにカテーテルを回転させてケーブルの一部分に捻りを形成する工程と、長手方向軸の周りのカテーテルの回転を自動的に検出する工程と、回転の検出に応じてケーブルの部分から捻りを除去する工程と、によって実施される方法が更に提供される。
【0016】
本方法の更なる態様によれば、回転の検出は、磁場センサーを使用して実行される。
【0017】
本方法の一態様によれば、回転の検出は、長手方向軸の周りのカテーテルの接線加速度を測定するように適応された加速度計を使用して実行される。
【0018】
本方法の別の態様によれば、回転の検出は、トルクトランスデューサを使用して実行される。
【0019】
本方法の追加の態様によれば、ケーブルの一区画を保持するシャフトと、シャフトを回転させる駆動モーターと、を含むケーブルアレンジャーを操作し、ケーブルの長手方向軸の周りに補償的な回転をもたらすことによって、捻りの除去が実行される。
【0020】
本方法の更に別の態様は、内部に溝が形成してある駆動歯車を有するケーブルアレンジャーを提供する工程を含む。駆動歯車は駆動モーターに取り付けられて、ケーブルを運ぶための螺旋状の溝がシャフト内に形成してあり、この駆動歯車が、シャフト上に形成された歯車歯と噛み合い、シャフトの螺旋状の溝及び駆動歯車の溝が整合したときに、ケーブルが駆動歯車の溝と接触させられ、捻りの除去は、シャフトを回転させてケーブルアレンジャーを通してケーブルを変位させる工程を含む。
【0021】
本方法の更なる態様は、ケーブルが通って出入りするための半径方向のスロットを駆動歯車内に提供する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明をより深く理解するため、発明の詳細な説明を実例として参照するが、発明の詳細な説明は、同様の要素に同様の参照番号を付した以下の図面と併せ読むべきものである。
図1】本発明の実施形態に従った、位置追跡システムで用いられるケーブルアレンジャーの概略図。
図2】本発明の実施形態に従った、図1の実施形態を使用して補償されるケーブルの捻りの進行を示す一連の画像。
図3】本発明の実施形態に従った、ケーブルアレンジャーの上面斜視図。
図4】本発明の実施形態に従った、図3に示すケーブルアレンジャーのわずかに斜めから見た分解組立図。
図5】本発明の実施形態に従った、図3に示すケーブルアレンジャーのハウジングを除去して示した斜視図。
図6】本発明の実施形態に従った、図4に示す歯車の立面図。
図7】本発明の代替実施形態に従った、ケーブルアレンジャーの概略図。
図8図7に示すケーブルアレンジャーのハウジングを除去して示した概略図。
図9】本発明の実施形態に従って構成され、かつ動作する、ケーブルアレンジャー用の制御構成の概略図。
図10】本発明の代替実施形態に従った、回転トルクトランスデューサの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明では、本発明の様々な原理の深い理解を与えるため、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらの詳細は、必ずしも、本発明の実施のために常にすべてが必要とされるものではない点は当業者には明らかであろう。
【0024】
ここで図面を参照し、まず図1を参照すると、本発明の実施形態による位置追跡システム10の概略的な描図である。典型的に、ハンドル13で操縦できるカテーテル12は、医療従事者16によって実施される診断又は治療的処置(例えば、心臓内の電位の分布図の作成、又は心臓組織のアブレーションの実行など)に使用される。あるいは、カテーテル12、又は他の体内器具は、それ自体で又は他の治療器具と一緒に、他の用途に使用されてもよい。カテーテル12は、被験者14における挿入点30(この例では大腿の脈管)に入る。医療処置に関連するプロセッサ及び回路は、制御ユニット18内にある。システム10は典型的に、被験者14の体内部におけるカテーテル12の位置を追跡するためのサブシステムを含む。システム10の1つの追跡サブシステムは、有効電流局在化(active current localization)ACLサブシステム36として知られている。このサブシステムにおいて、複数の体表面電極を体表面(例えば、被験者14の皮膚)にガルバーニ電気接触させ、そこから体表面の電流を受け取る。追加的に又は代替的に、システム10は、カテーテル12追跡用の磁気センサーと磁界発生器とを具備する、磁気追跡サブシステム38を含んでもよい。サブシステム36、38用のプロセッサは典型的に、制御ユニット18内に位置付けられる。位置追跡用サブシステム36、38の周辺要素は、ケーブル32を介して制御ユニット18に概して接続されている。カテーテル12及びシステム10に関する操作情報は、モニター34上に表示されてもよい。システム10の上記の特徴を具体化する1つのシステムは、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)から入手可能な、CARTO(登録商標)3 Systemである。このシステムは、本明細書に記載される本発明の原理を具現化するように、当業者によって変更されることができる。
【0025】
捻れたケーブルが開業医16の邪魔になる場合に、カテーテル12のハンドル13付近のケーブルの一区画15の望ましくない捻り及びもつれを防止するようにケーブルアレンジャー40を動作可能である。このケーブルは、カテーテル12からケーブルアレンジャー40を通過して、制御ユニット18などの固定取付点まで至る。ケーブルは、1つ以上の油圧管路を含むか又は付属してもよい。
【0026】
ここで図2を参照すると、同図は、一端がカテーテルに取り付けられていて他方端が固定点(例えば制御ユニット18(図1))に取り付けられているケーブル44の捻りの進行を示す一連の画像である。そのような捻りは、ケーブルアレンジャー40を用いないカテーテル挿入セッション中に、その長手方向軸の周りのカテーテルの回転によって生じる可能性がある。最悪の事態46においては、ケーブル44はかなり厄介なことになり、開業医16が医療処置を施す際に深刻な妨げになる可能性もある。
【0027】
ここで図3を参照すると、同図は、本発明の実施形態に従ったケーブルアレンジャー40(図1)の変形である、ケーブルアレンジャー48、の上面斜視図である。カバー50及び基部52は、駆動アセンブリ(この図では不図示)用のハウジングを具備する。捻転ロッド54はカバー50から外向きに延出し、捻転ロッド54を潜り抜けるケーブル56を締め付ける。ケーブルアレンジャー48を便宜的な取付点に固着するためのクランプ58を設けることにより、機械的安定性が確保される。1つ以上の油圧管路(例えば、潅注チューブ)をケーブル56内に含んでもよく、又はケーブル56を、一群の電気及び油圧チャネルが形成される別個のチャネルとして付属させてもよい。
【0028】
捻転ロッド54は、継ぎ目60にて一体に接合された2つの部分を具備する。この2つの部分は、容易に一体に嵌めることが可能であり、それによって、手術者は基部52内に形成されたスロット62にケーブル56を横向きに適宜係合及び係脱することができる。
【0029】
ここで図4を参照すると、同図は、わずかに斜めから示したケーブルアレンジャー48(図3)の分解組立図である。基部52の下側には、モーターカバー64、モーター66、及び捻転ロッド54を回転させるための歯車列が装着してある。歯車列は、モーター66の駆動シャフト70を介して回転する駆動歯車68を具備する、遊星歯車装置に修正を施したものである。
【0030】
ここで図5を参照すると、同図は、ハウジングを除去して示したケーブルアレンジャー48の斜視図である。歯車列は、図5において最もよく認識される。駆動歯車68は連結歯車72、74と噛み合い、両方の連結歯車が歯車76と噛み合って、その長手方向軸の周りに捻転ロッド54を回転させる。
【0031】
歯車76にはスロット82が設けてあり、スロット82がスロット62(図3)と整合しているときに、このスロットを経由してケーブル56が横方向に出入りできるようになっている。歯車76を回転させたとき、スロット82が歯車72、74のうちの一方と対向し、したがってその歯と噛み合うことができない場合、歯車72、74のうちの他方は引き続き噛み合い、歯車76のいずれかの方向への更なる回転が可能になる。
【0032】
ここで図6を参照すると、同図は歯車76の立面図である。スロット82は、中心から外向きに半径方向に延在して、歯車歯を中断させている。スロット82には、ケーブル56が収容されている(図5)。
【0033】
第1の代替実施形態
ここで図7を参照すると、同図は本発明の代替実施形態によるケーブルアレンジャー84の概略図である。本実施形態において、ハウジング88内の駆動モーター86は、ケーブル集線装置90に連動し、結果として、駆動モーター86を作動させると、ケーブル集線装置90内のシャフトが、そのハウジング92内の長手方向軸の周りを回転する。
【0034】
ケーブル94は、スリーブアダプタ96を介してハウジング92に入り込む。このスリーブアダプタは、ケーブル94の周りに緩く適合し、ケーブル94の周りを回転することができ、駆動モーター86を作動させたときに、ケーブル94を締め付けない。再び図1を参照すると、通常の運用において、ケーブル94はカテーテル12からケーブルアレンジャー84を通って制御ユニット18まで延在する。ケーブル94は、スロット97を経由してハウジングを通って挿入又は除去することができる。
【0035】
ここで図8を参照すると、同図はケーブルアレンジャー84(図7)の概略図であり、ハウジングを除去して示してある。駆動モーター86は、駆動シャフト100を介して円筒形駆動歯車98に接続されている。駆動歯車98が、ケーブル集線装置102の表面上に形成された歯車歯と噛み合うと、駆動歯車98がその長手方向軸の周りを逆回転(contrarotate)する。ケーブル集線装置102内には二組の螺旋状の溝104、106が形成されていて、一方の組の溝は右巻きの巻き方向を有し、他方は左巻きの巻き方向を有する。溝104は、駆動歯車98内の溝108と整合する。駆動歯車98が回転し、溝104が溝108と整合すると、ケーブル94が溝104を占有して、反対側の一組の溝108に嵌入する。ケーブル94は、駆動歯車98とケーブル集線装置102との間で、圧縮されることなしに、溝108を占有することができる。手術者がケーブル94を操縦すると、ケーブル94の一区画116内に左巻き又は右巻きの捻りが形成される場合があり、ケーブル集線装置102が一方向又はもう一方の方向に回転することによって補償する。ケーブル集線装置102を、図8に示す方向とは逆の方向に回転させる必要がある場合は、ケーブル94が溝104内ではなく溝106内で運ばれる。溝106は、駆動歯車98内の対応する溝110と整合し、溝108と同じ機能を実行する。
【0036】
駆動モーター86が作動すると、ケーブル集線装置102の回転によって、スリーブアダプタ96内でケーブル94を、矢印112で示すカテーテル12(図1)の回転運動による影響を受ける場合がある捻り動作を打ち消す傾向のある方向に回転する。しかしながら、ケーブル集線装置102によって引き起こされる主な影響は、ケーブル94の捻れた部分は、手術者の近く(区画116内)には現れず、代わりに、区画118内でケーブル集線装置102を超えたところに現れるような、手術者から離れた場所(矢印114が指し示す)の捻りの変位であり、手術者から十分遠くまでに除去されるので、医療処置中に手術者の妨げにならない。
【0037】
制御
ここで図9を参照すると、同図は、本明細書に記載されている発明の実施形態のいずれかに従って構成されかつ動作する、ケーブルアレンジャー用の制御構成の概略図である。ケーブルアレンジャー120は典型的に、手術者(不図示)に対して近位のケーブル122部分に位置しており、その長手方向軸の周りのカテーテルの回転に応じて作動する。回転はセンサー124に感知される。このセンサーは、カテーテル122シャフト上、若しくはその先端126の近く、又はカテーテルのハンドル(不図示)内に配設することができる。
【0038】
コントローラ128によるセンサー124の読み取り値からわかるように、ケーブルアレンジャー120に対して遠位にカテーテルの回転が起こると、それにより、ケーブルの捻りが誘発され、コントローラ128を介してケーブルアレンジャー120の駆動モーター130が作動し、結果として、カテーテル122に別の回転モーションを生じるように、ケーブルアレンジャー120がケーブルに対して作用し、手術者から遠くの捻り力が又は捻り変位を打ち消す。
【0039】
図9の実施形態において、センサー124は、相互に直交する3つのコイル132を有する磁界センサーであり、1つ以上の磁界発生器134を介して生成された磁界の存在下にある。この構成は、位置追跡の目的で、上記のCARTOシステムに実装されたものであり、カテーテル122の配向、位置及び回転の変化を検出する能力を有する。
【0040】
別の実施形態において、センサー124は、カテーテル122の長手方向軸から固定された半径方向の距離に装着された相互に直交する3つの加速度計のアレイで置き換えてもよい。公称位置からのカテーテル122の角速度及びその角変位は、加速度計で測定された接線加速度から導き出すことができる。
【0041】
更に別の実施形態において、センサー124は歪みゲージで置き換えてもよく、捻転ロッド54(図5)は、ケーブルに適用される回転トルクトランスデューサとして具体化される。ここで図10を参照すると、同図は、本発明の代替実施形態に従った回転トルクトランスデューサ136の概略断面図である。トルクトランスデューサ136を通過したケーブル138は、捻転ロッド142の弾力的な上側区画140で支持される。2つの予め搭載されている歪みゲージ144は上側区画140に組み込まれ、正及び負の方向に回転トルクの測定を可能にしている。
【0042】
下側区画146ケーブル138は、上側区画140及び下側区画146にそれぞれ留め金148、150で把持される。歪みゲージ144は、固定された電気的接触部154を介して、スロット付き歯車152と電気的に接触する。歯車152の反対側の面は、基部160上に装着してある固定式電気ブラシ158の一連の可動電気的接点156を有する。
【0043】
更に別の実施形態において、センサー124は、ケーブルアレンジャー40(図1)内にトルクエンコーダを組み込むことによって置き換えられてもよい。好適なトルクエンコーダは、本願と同一の譲渡人に譲渡された、同時係属の米国特許出願第14/139,974号(2013年12月24日出願)に教示されており、この出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
当業者であれば、本発明は、上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は認識されるところであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記に述べた異なる特性の組み合わせ及び一部の組み合わせ、並びに上記の説明文を読むことで当業者には想到されるであろう、先行技術ではない変形及び改変をも含むものである。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 機器であって、
生体内に挿入するように適応されているカテーテルであって、長手方向軸を有する、カテーテルと、
前記カテーテルに取り付けられている一端と、固定取付点に取り付けられている他方端と、を有するケーブルと、
前記長手方向軸の周りを前記カテーテルが回転したことを検出するためのセンサーであって、前記回転が為されると前記ケーブルの一区画によって前記ケーブルの一部分に捻りが形成されるようになっている、センサーと、
前記ケーブルの前記一部分から前記捻りを除去するケーブルアレンジャーと、
前記センサーから信号を受信し、前記センサーの前記信号に応じて前記ケーブルアレンジャーを作動させるための制御信号を生成すべく動作可能なコントローラと、
を具備する機器。
(2) 前記センサーが磁場センサーである、実施態様1に記載の機器。
(3) 前記センサーが、前記長手方向軸の周りの前記カテーテルの接線加速度を測定すべく適応された加速度計である、実施態様1に記載の機器。
(4) 前記センサーが回転トルクトランスデューサである、実施態様1に記載の機器。
(5) 前記ケーブルアレンジャーが、
前記ケーブルの一区画を保持するシャフトと、
前記シャフトを回転させる駆動モーターと、
を具備する、実施態様1に記載の機器。
【0046】
(6) 前記シャフトがルーメンを有し、前記ケーブルが前記ルーメンを通過して前記シャフトに接触し、前記シャフトと共に回転するようになっている、実施態様5に記載の機器。
(7) 前記駆動モーター及び前記シャフトに連結された歯車列を更に具備する、実施態様6に記載の機器。
(8) 前記歯車列が、前記駆動モーターに取り付けられた駆動歯車と、前記駆動歯車と噛み合う2つの連結歯車と、前記2つの連結歯車と噛み合うシャフト歯車と、を具備し、前記シャフト歯車が前記シャフトと同心であり、半径方向のスロットを有し、前記スロットを通して前記ケーブルの挿入及び除去を行えるようになっている、実施態様7に記載の機器。
(9) 前記ケーブルが前記シャフトの周りに巻きつけられている、実施態様5に記載の機器。
(10) 前記シャフトに螺旋状の溝が形成してあり、前記ケーブルがその溝内に入れられて運ばれるようになっている、実施態様9に記載の機器。
【0047】
(11) 前記駆動モーターに取り付けられた駆動歯車を更に具備し、前記駆動歯車が、前記シャフト上に形成された歯車歯と噛み合い、かつ溝を有し、前記シャフトの前記螺旋状の溝及び前記駆動歯車の前記溝が整合したときに前記ケーブルが前記駆動歯車の前記溝と接触させられる、実施態様10に記載の機器。
(12) 前記ケーブルが一群の電気及び油圧チャネルを備える、実施態様1に記載の機器。
(13) 方法であって、
カテーテルを生体内に挿入する工程であって、前記カテーテルが長手方向軸を有する、工程と、
前記カテーテルと固定取付点との間にケーブルを接続する工程と、
前記長手方向軸の周りに前記カテーテルを回転させて前記ケーブルの一部分に捻りを形成する工程と、
前記長手方向軸の周りに前記カテーテルが回転したことを自動的に検出する工程と、
回転が検出されたことに応じて前記ケーブルの前記一部分から前記捻りを除去する工程と、
を含む方法。
(14) 回転の検出が、磁場センサーを使用して実行される、実施態様13に記載の方法。
(15) 回転の検出が、前記長手方向軸の周りの前記カテーテルの接線加速度を測定すべく適応された加速度計を使用して実行される、実施態様13に記載の方法。
【0048】
(16) 回転の検出が、トルクトランスデューサを使用して実行される、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記捻りの除去がケーブルアレンジャーを操作することによって実行され、前記ケーブルアレンジャーが、
前記ケーブルの一区画を保持するシャフトと、
前記シャフトを回転させる駆動モーターと、
を具備し、前記捻りの除去が、前記ケーブルの前記長手方向軸の周りに補償的な回転をもたらす工程を含む、実施態様13に記載の方法。
(18) ケーブルアレンジャーを提供する工程を更に含み、前記捻りの除去が、前記ケーブルアレンジャーを通して前記ケーブルを変位させる工程を含む、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記ケーブルアレンジャーが駆動歯車を有し、前記駆動歯車の内部に溝が形成してあり、前記駆動歯車が、シャフトを有する駆動モーターに取り付けられていて、前記ケーブルを運ぶための螺旋状の溝が前記シャフト内に形成してあり、前記駆動歯車が、前記シャフト上に形成された歯車歯と噛み合い、前記螺旋状の溝及び前記駆動歯車の前記溝が整合したときに前記ケーブルが前記駆動歯車の前記溝と接触させられる、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記ケーブルが出入りするための半径方向のスロットを前記駆動歯車内に設ける工程を更に含む、実施態様19に記載の方法。
【0049】
(21) 前記ケーブルが一群の電気及び油圧チャネルを備える、実施態様13に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】
2015128589000001.pdf