【解決手段】本発明の一実施形態によれば、(i)第1の細孔面、(ii)第2の細孔面、並びに(iii)第1の細孔面と第2の細孔面との間にあるバルクであって、第1の電荷連続区域、中性電荷連続区域、及び第2の電荷連続区域を有するバルクであり、連続区域が第1及び第2の細孔面に対して概して平行に配されるバルク、を有する単一層を備え、中性連続区域は、第1の電荷連続区域と第2の電荷連続区域との間に挟まれ、第1の電荷連続区域及び第2の電荷連続区域は、互いに異なる極性の電荷を有する、細孔膜を提供する。
前記第1の電荷連続区域は前記第1の細孔面から前記バルクへ延在し、前記第1の電荷連続区域は正荷電区域であり、前記第2の電荷連続区域は前記第2の細孔面から前記バルクへ延在し、前記第2の電荷連続区域は負荷電区域である、請求項1又は2に記載の細孔膜。
前記第1の電荷連続区域は前記第1の細孔面から前記バルクへ延在し、前記第1の電荷連続区域は負荷電区域であり、前記第2の電荷連続区域は前記第2の細孔面から前記バルクへ延在し、前記第2の電荷連続区域は正荷電区域である、請求項1又は2に記載の細孔膜。
前記第1の細孔面は、第1の領域及び第2の領域を備え、前記第1の細孔面の前記第1の領域と前記第2の細孔面との間隔は、前記第1の細孔面の前記第2の領域と前記第2の細孔面との間隔よりも約10%大きい、請求項10に記載の細孔膜。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0012]本発明の実施形態によれば、細孔膜が提供され、膜は(a)(i)第1の細孔面、(ii)第2の細孔面、及び(iii)第1の細孔面と第2の細孔面との間にあるバルクを有する単一層を備え、バルクは、第1の電荷連続区域、中性電荷連続区域、及び第2の電荷連続区域を有し、連続区域は第1の細孔面及び第2の細孔面に対して概して平行に配され、中性連続区域は第1の電荷連続区域と第2の電荷連続区域との間に挟まれ、第1の電荷連続区域と第2の電荷連続区域とは互いに異なる極性の電荷を有する。
【0011】
[0013]別の実施形態において、細孔膜が提供され、膜は、(i)第1の細孔面、(ii)第2の細孔面、及び(iii)第1の細孔面と第2の細孔面との間にあるバルクを有する単一層を備え、バルクは、第1の電荷連続区域、中性電荷連続区域、及び第2の電荷連続区域を有し、中性連続区域は第1の電荷連続区域と第2の電荷連続区域との間に挟まれ、第1の電荷連続区域と第2の電荷連続区域とは、互いに異なる極性の電荷を有し、膜は、第1の電荷連続区域が中性連続区域と接する部分、及び第2の電荷連続区域が中性連続区域と接する部分を有し、両部分は互いに対して概して平行に配される。実施形態において、連続区域は、第1及び第2の細孔面に対して概して平行に配される。
【0012】
[0014]非対称性の膜と対称性の膜が本発明により提供される。
【0013】
[0015]膜の「テンプレート(templated)」実施形態において、第1の細孔面は、第1の領域及び第2の領域を備え、第1の細孔面の第1の領域と第2の細孔面との間隔は、第1の細孔面の第2の領域と第2の細孔面との間隔よりも少なくとも約10パーセント大きい(いくつかの実施形態において、少なくとも約15パーセント大きい)。
【0014】
[0016]いくつかの実施形態において、例えば、膜は、少なくとも1つのパターン化された又は織られた面(「テンプレート面」)を有し、膜は、第1の領域及び第2の領域を備える第1の細孔面を有し、第1の細孔面は、第1の領域及び第2の領域を備える所定のパターンを有する。
【0015】
[0017]本発明の実施形態によれば、処理される流体は、中性区域及び負荷電区域の前に正荷電区域に接することができ、又は、処理される流体は、中性区域及び正荷電区域の前に負荷電区域に接することができる。
【0016】
[0018]例えば、いくつかの実施形態において、第1の細孔面は膜の上流面を提供し、第1の電荷連続区域は第1の細孔面からバルクへ延在し、第1の電荷連続区域は正荷電区域であり、第2の電荷連続区域は第2の細孔面からバルクへ延在し、第2の電荷連続区域は負荷電区域である。
【0017】
[0019]いくつかの他の実施形態において、第1の細孔面は膜の上流面を提供し、第1の電荷連続区域は第1の細孔面からバルクへ延在し、第1の電荷連続区域は負荷電区域であり、第2の電荷連続区域は第2の細孔面からバルクへ延在し、第2の電荷連続区域は正荷電区域である。
【0018】
[0020]別の実施形態において、流体を処理する方法が提供され、例えば、第1の細孔面からバルク及び第2の細孔面を通って、流体に膜の実施形態を通過させるステップを含む。膜がテンプレート面を有するこれらの実施形態において、方法の実施形態は、テンプレート面を備える第1の細孔面からバルク及び第2の細孔面を流体に通過させるステップ、又は非テンプレート細孔面からバルク及びテンプレート細孔面を流体に通過させるステップを含むことができる。
【0019】
[0021]別の実施形態において、フィルタ装置が提供され、少なくとも1つの流入口及び少なくとも1つの流出口を備えると共に、流入口と流出口との間で少なくとも1つの流体流路を規定する筐体に配された膜を備え、膜は流体流路を横切る。一実施形態において、フィルタ装置は、少なくとも1つの流入口並びに少なくとも第1の流出口及び第2の流出口を備えると共に、流入口と第1の流出口との間の第1の流体流路及び流入口と第2の流出口との間の第2の流体流路を規定する筐体を備え、フィルタは第1の流体流路を横切り、例えば、第1の液体が、第1の流体流路に沿って流入口からフィルタ及び第1の流出口を通過するような、及び第2の流体が、第2の流体流路に沿って流入口からフィルタを通過することなく第2の流出口を通過するような接線流を可能とする。
【0020】
[0022]本発明の実施形態により膜を作製する方法は、(a)正電荷を含むポリマー溶液を調製するステップと、(b)中性電荷を含むポリマー溶液を調製するステップと、(c)負電荷を含むポリマー溶液を調製するステップと、(d)移動支持体に溶液を順次注型するステップであって、(i)第1に、正電荷を含むポリマー溶液又は負電荷を含むポリマー溶液を注型し、膜前駆体を形成し、(ii)第2に、中性電荷を含むポリマー溶液を膜前駆体上に注型し、(iii)第3に、(i)において注型されないポリマー溶液を、中性電荷を含むポリマー溶液上に注型する、ステップと、(e)貧溶媒液体において溶液の相分離を実施するステップと、を含む。
【0021】
[0023]別の実施形態において、テンプレート面を備える膜を作製する方法は、(a)テンプレート(例えば、浮き出し加工のテンプレート等の所定のパターン又は外形を有するテンプレート)を得るステップと、(b)テンプレート上に正、中性、及び負電荷を含むポリマー溶液を順次注型するステップであって、(i)第1に、正電荷を含むポリマー溶液又は負電荷を含むポリマー溶液を注型し、(ii)第2に、中性電荷を含むポリマー溶液を注型し、(iii)第3に、(i)において注型されないポリマー溶液を注型する、ステップと、(c)注型したポリマー溶液を沈殿させて膜を生成するステップと、(d)テンプレートから膜を分離するステップと、を含む。
【0022】
[0024]複数の電荷は単一の膜層に設けることができ、層間剥離の危険性を避けることができることに利点がある。いくつかの用途において、複数層の膜に比べて、厚さを薄くした膜を提供することができる。
【0023】
[0025]荷電モザイク膜と対比すると、電荷の位置はより効率的に制御することができ、特定の流体処理(例えば、ろ過)用途に膜を調整することができる。
【0024】
[0026]本発明の実施形態による膜は、例えば、診断用途(例えば、試料調製及び/又は診断用の側方流動装置を含む)、インクジェット用途、製薬産業用の流体ろ過、医療用途用の流体ろ過(例えば静脈適用等の家庭内使用及び/又は患者使用を含み、例えば、血液等の生物学的流体のろ過(例えば、白血球を取り除くため)も含む)、電子産業用の流体ろ過(例えば、マイクロエレクトロニクス産業におけるフォトレジスト流体のろ過)、食品及び飲料産業用の流体ろ過、浄化、抗体及び/若しくはタンパク質含有流体のろ過、核酸含有流体のろ過、細胞検出(インシトゥ含む)、細胞採取、並びに/又は細胞培養流体のろ過を含む様々な用途に使用することができる。代替的に又は追加的に、本発明の実施形態による膜は、空気及び/若しくは気体のろ過に使用することができ、並びに/又は通気用途(例えば、空気及び/又は気体は通過させることができるが、液体は通過させない)に使用することができる。本発明の実施形態による膜は、例えば、眼科手術製品等の手術用装置及び製品を含む、様々な種類の装置に使用することができる。
【0025】
[0027]膜の上流部が正荷電連続区域を備え、膜の下流部が負荷電連続区域を備える一実施形態において、流体を処理する方法は、陽イオンよりも高い濃度の陰イオンを含む流体を膜の上流面から下流面へ通過させるステップを含む。いずれかの特定の機構に限定されることなく、陰イオンは正荷電連続区域に捕捉及び/又は結合されるので、陰イオンはいくらかの付加的な陰イオンを反発することができ、粗ろ過機能を提供することができ、正荷電連続区域の多くを最大限までさらなる吸着に利用することができると考えられる。
【0026】
[0028]同様に、膜の上流部が負荷電連続区域を含み、膜の下流部が正荷電連続区域を含む一実施形態において、流体を処理する方法は、陰イオンよりも高い濃度の陽イオンを含む流体を膜の上流面から下流面へ通過させるステップを含む。いずれかの特定の機構に限定されることなく、陽イオンは負荷電連続区域に捕捉及び/又は結合されるので、陽イオンはいくらかの付加的な陽イオンを反発することができ、粗ろ過機能を提供することができ、負荷電連続区域の多くを最大限までさらなる吸着に利用することができると考えられる。
【0027】
[0029]テンプレート膜のいくつかの実施形態において、上流テンプレート面を有することは、増大させた表面積を提供し、これにより、陰イオン又は陽イオンの容量を増大させる。
【0028】
[0030]様々な流体が本発明の実施形態により処理、例えばろ過、することができる。電子産業用、例えばマイクロエレクトロニクス産業用、の流体をろ過する実施形態において、フォトレジスト流体は本発明による膜の実施形態を通される。例えば、フォトレジスト流体は、陽イオンよりも高濃度の陰イオンを有することができ、方法は、正荷電連続区域を含む膜の上流部から、中性連続区域を通って、負荷電連続区域を含む膜の下流部に流体を通過させるステップを含むことができる。
【0029】
[0031]非対称性膜又は断面は、断面を通じて変化する孔構造(例えば、平均孔径)を有する。典型的には、平均孔径は一方の部分又は面から他方の部分又は面へと大きさが小さくなる(例えば、平均孔径は、上流部又は面から下流部又は面へと小さくなる)。しかしながら、他の種類の非対称性が本発明の実施形態によって達成される、例えば、孔径は、非対称性断面の厚さ内の位置に最小孔径が存在する(例えば、非対称性断面の部分は「砂時計型」孔構造を有することができる)。非対称性断面は、例えば、約3以上又は約7以上の、いずれか好適な孔径勾配又は比を有することができる。この非対称性は、断面の一方の主面の平均孔径と、当該断面の他方の主面の平均孔径とを比較することによって測定することができる。
【0030】
[0032]以下の定義は本発明に従い使用される。
【0031】
[0033]本発明によれば、互いに異なる極性の電荷とは、正電荷及び負電荷のことをいう。互いに異なる極性の電荷は、等しい電荷密度を必要とせず、例えば、正荷電連続区域は、負荷電連続区域の電荷密度よりも大きい電荷密度を有することができる(例えば、「より大きく」正に荷電することができる)。
【0032】
[0034]本発明によれば、電荷連続区域は、膜の厚さの概して所定の部分に、膜の主面(上流及び下流面)に対して概して平行に局在する電荷のことをいう。対照的に、モザイク膜は、膜を通じて、複数の分離した(非連続的な)陰イオン交換領域、陽イオン交換領域、及び中性領域を有する。
【0033】
[0035]膜は、例えば、(例えば、泡立ち点によって、若しくは、例えば、米国特許第4,340,479号に記載のK
Lによって明らかにされるような、又は毛管凝縮フローポロメトリによって明らかにされるような)孔径、(例えば、走査型電子顕微鏡を使用して膜の断面図を拡大して、ソフトウェアを使用して一連の孔を測定することによって決定される)平均孔径、(例えば、ポロメータ、例えばPorvair Porometer(Porvair plc、Norfolk、UK)、又は商標POROLUX(Porometer.com、ベルギー)で利用可能なポロメータを使用して特徴づけられるとき)平均流孔(MFP)径、(例えば、ビーズ等の粒子を含むサロゲート溶液を使用する)孔率、(例えば、米国特許第4,925,572号に記載されるような、修正されたOSU F2試験を使用して特徴づけられるとき)孔の直径、又は流体が膜を通過するとき対象の1つ若しくは複数の材料の通過を減少又は許容する除去率等のいずれかの好適な孔構造を有することができる。設けられる孔構造は、例えば、処理される流体の成分、及び処理後の流体の所望の流出レベルに依存する。
【0034】
[0036]典型的には、本発明の実施形態による膜は、約70μm〜約400μmの範囲の厚さを有する。
【0035】
[0037]膜は、熱誘起相反転法によって調製されることが好ましい。典型的には、相反転法は、ポリマー溶液(複数可)を薄膜に注型する又は押し出すステップと、以下の1つ又は複数を通じてポリマーを沈殿させるステップと、を含む:(a)溶媒及び貧溶媒の蒸発、(b)露出面に吸収される水蒸気等の貧溶媒蒸気にさらすこと、(c)貧溶媒液体(例えば、水を含む相浸漬浴、及び/又は別の貧溶媒)への急冷、及び(d)ポリマーの溶解性が急激に大きく減少するように熱い膜の熱的急冷。相反転は、湿式法(浸漬沈殿)、蒸気誘起相分離(VIPS)、熱誘起相分離(TIPS)、急冷、乾湿式注型、及び溶媒蒸発(乾式注型)によって誘起することができる。乾式相反転は、浸漬凝固の欠如によって湿式又は乾湿式とは異なる。これらの技法においては、初期均質ポリマー溶液は、異なる外部効果のために熱力学的に不安定になり、薄ポリマー相及び濃ポリマー相への相分離が誘起される。濃ポリマー相は膜のマトリックスを形成し、溶媒及び貧溶媒のレベルが増大した薄ポリマー相は孔を形成する。
【0036】
[0038]膜は手動で(例えば、注型面上に手で注ぎ、注型し、又は広げる)、又は自動的に(例えば、移動床上に注ぎ、さもなければ注型する)注型することができる。好適な支持体の例には、例えば、ポリエチレン被覆紙若しくは(MYLAR等の)ポリエステル、ステンレス鋼帯等の帯状体、又は浮き出し加工の基体が含まれる。
【0037】
[0039]複数の注型技法を含む様々な注型技法が当業界に知られており、そして適している。当業界で知られている様々な装置が注型に使用することができる。好適な装置には、例えば、塗布ナイフ、ドクターブレード、又はスプレー/加圧システムを備える、機械的塗布装置が含まれる。塗布装置の一例は、注型薬剤(ポリマーを含む溶液)が導入され、圧力下で狭いスロットを通して押し込まれる注型チャンバを備える、押し出しダイ又はスロットコータである。例示的には、ポリマーを含む溶液は、約100マイクロメートル〜約500マイクロメートル、より典型的には約120マイクロメートル〜約400マイクロメートルの範囲のナイフギャップを有するドクターブレードによって注型することができる。
【0038】
[0040]当業界で知られているように、本発明により膜を生成する様々な注型速度が好適である。典型的には、注型速度は、少なくとも約3フィート/分(fpm)、より典型的には約3fpm〜約15fpmの範囲、いくつかの実施形態においては少なくとも約7fpmである。
【0039】
[0041]様々なポリマー溶液が、本発明における使用に適し、当業界において知られている。好適なポリマー溶液は、例えば、ポリ芳香族化合物、スルホン類(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ビスフェノールAポリスルホン、ポリアリールスルホン、及びポリフェニルスルホン等の芳香族ポリスルホン類を含むポリスルホン類)、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリハロゲン化ビニリデン類(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む)、ポリプロピレン及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリスチレン類、ポリカーボネート類、ポリアクリロニトリル類(ポリアルキルアクリロニトリル類を含む)、セルロース系ポリマー(酢酸セルロース類及びニトロセルロース類等)、フルオロポリマー類、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリマーを含むことができる。ポリマー溶液は、ポリマーの混合物、例えば、疎水性ポリマー(例えば、スルホンポリマー)及び親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン(PVP))、を含むことができる。
【0040】
[0042]1つ又は複数のポリマーのほかに、典型的なポリマー溶液は、少なくとも1つの溶媒を含み、少なくとも1つの貧溶媒をさらに含んでもよい。好適な溶媒には、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF);N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc);N−メチルピロリドン(NMP);ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルスルホキシド、テトラメチル尿素;ジオキサン;コハク酸ジエチル;クロロホルム;及びテトラクロロエタン;並びにこれらの混合物が含まれる。好適な貧溶媒には、例えば、水;種々のポリエチレングリコール類(PEG;例えば、PEG−200、PEG−300、PEG−400、PEG−1000);種々のポリプロピレングリコール類;種々のアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、アミルアルコール類、ヘキサノール類、ヘプタノール類及びオクタノール類;アルカン類、例えば、ヘキサン、プロパン、ニトロプロパン、ヘプタン及びオクタン;並びにケトン、エーテル類及びエステル類、例えば、アセトン、ブチルエーテル、酢酸エチル及び酢酸アミル;並びに種々の塩、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び塩化リチウム;並びにこれらの混合物が含まれる。
【0041】
[0043]望むのであれば、ポリマーを含む溶液は、例えば、1つ若しくは複数の重合開始剤(例えば、過酸化物、過硫酸アンモニウム、脂肪族アゾ化合物(例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(V50))、及びこれらの混合物)並びに/又は界面活性剤及び/若しくは離型剤等の微量成分をさらに含むことができる。
【0042】
[0044]溶液の好適な成分は当業界に知られている。ポリマーを含む例示的溶液、並びに例示的溶媒及び貧溶媒には、例えば、米国特許第4,340,579号、第4,629,563号、第4,900,449号、第4,964,990号、第5,444,097号、第5,846,422号、第5,906,742号、第5,928,774号、第6,045,899号、第6,146,747号、及び第7,208,200号に開示されたものが含まれる。
【0043】
[0045]膜が、少なくとも第1の領域及び第2の領域を備える第1の細孔面を有し、(i)第1の細孔面の第1の領域と第2の細孔面との間隔が、第1の細孔面の第2の領域と第2の細孔面との間隔よりも少なくとも約10パーセント大きく、及び/又は(ii)膜が少なくとも1つのパターン化した面若しくは織られた面を有する実施形態において、膜は、第1の領域及び第2の領域を備える第1の細孔面を有し、第1の細孔面は、第1の領域及び第2の領域を備える所定のパターンを有し、膜は、好ましくは、(a)(例えば、浮き出し加工のテンプレート等のパターン又は所定の外形を有する)テンプレートを入手するステップ、(b)テンプレートに、正、中性及び負電荷を含むポリマー溶液を順次注型するステップであって、(i)第1に、正電荷を含むポリマー溶液又は負電荷を含むポリマー溶液のいずれかを注型し、(ii)第2に、中性電荷を含むポリマー溶液を注型し、(iii)第3に、(i)において注型されないポリマー溶液を注型するステップ、(c)注型されたポリマー溶液が沈殿し、膜を生成するステップ、並びに(d)テンプレートから膜を分離するステップによって生成することができる。
【0044】
[0046]様々な材料がテンプレートしての使用に適しており、例えば、(親水性又は疎水性とすることができる)テンプレートは、織物(織布又は不織布)、浮き出し加工の箔、金属スクリーン、押し出し成形されたメッシュ、織られたゴム、浮き出し加工のポリマー膜、及び種々のポリマー材料から作製することができる。好ましい実施形態において、テンプレートは、一方の面から他方へ通じる開口を有し、特にテンプレートは目の粗いメッシュを備える。
【0045】
[0047]望むのであれば、膜において所望の区域の存在を確認する多数の手順がある。例えば、染料スクリーニング試験は、荷電染料、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)又はトルイジンブルー等の正荷電染料、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)又はPonseau Sレッド等の負荷電染料、を使用して実行することができる。代替的に、又は付加的に、ゼータ電位は、例えば、種々のpHにおける流動電位を決定することによって、決定することができる。
【0046】
[0048]膜は、いずれかの所望の臨界濡れ表面張力(例えば、米国特許第4,925,572号に定義されるようなCWST)を有することができる。CWSTは、当業界で知られているように、例えば、米国特許第5,152,905号、米国特許第5,443,743号、米国特許第5,472,621号、及び米国特許第6,074,869号にさらに開示されているように、選択することができる。いくつかの実施形態において、膜は、親水性であり、72ダイン/cm(72×10
−5N/cm)以上のCWSTを有する。いくつかの実施形態においては、膜は、75ダイン/cm(約75×10
−5N/cm)以上のCWSTを有する。
【0047】
[0049]膜の表面特性は、(例えば、CWSTに影響を与えるために、表面電荷、例えば、正電荷若しくは負電荷、を含むために、及び/又は表面の極性若しくは親水性を変えるために)湿式若しくは乾式酸化によって、表面でのポリマーの被覆若しくは堆積によって、又はグラフト反応によって改変することができる。改変は、例えば、照射、極性若しくは荷電モノマー、荷電ポリマーによる表面の被覆及び/又は硬化、並びに、表面に官能基を結合させるための化学的改変の実施を含む。グラフト反応は、ガスプラズマ、蒸気プラズマ、コロナ放電、熱、ヴァンデグラフ起電機、紫外線、電子ビームなどのエネルギー源、若しくは、他の種々の形式の放射線への暴露によって、又は、プラズマ処理を使用する表面エッチング若しくは堆積によって活性化させることができる。
【0048】
[0050]付加的に又は代替的に、膜は、例えば、膜全体に又は膜の一部(例えば膜の区域)に、得られた膜に1つ又は複数の所望の機能及び/又は特性を付与するための少なくとも1つの成分、例えば以下の1つ又は複数:例えば(例えば、浸出して、孔をもたらし得る)重炭酸ナトリウム若しくは塩化ナトリウムなどの固体;静菌性又は殺菌性機能などの抗菌機能を付与するための成分(例えば、硝酸銀等の銀系試薬を含むことによって);(例えば、細菌、哺乳類細胞、遊離核酸、タンパク質(あるpH環境下で)及びヘパリンなどの薬剤などの負荷電標的体を吸着するための)負電荷;(例えば、タンパク質(あるpH環境下で)及びドーパミンなどの薬剤などの正荷電標的体を吸着するための)正電荷;両性イオン;並びに混合電荷などの電荷を付与するための成分;キレート化機能を付与するための成分(例えば、重金属を吸着するために、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸及びスルホン化ポリスチレンなどのキレーティングポリマーを含むことによって);デンドリマ(例えば、血液試料からの薬物代謝産物を含めた、薬理活性な化合物を結合するためのポリアミドアミン(PAMAM))を含むための成分;(例えば膜ベースの薬用皮膚パッチを提供する、例えば薬剤などの所望の物質を運搬/送達するための)リポソームを含むための成分;並びにクロマトグラフィ吸着剤、親和性吸着剤(例えばタンパク質及び/又は内毒素などの標的を吸着するための抗体、抗体断片、酵素など)、活性吸着剤(活性炭、活性シリカ及び活性アルミナなど)などの機能性ビーズ及び/又は吸着剤を含むための成分を含むことができる。一部分(例えば区域)の一部として成分(複数可)を含むことによって、所望の機能(複数可)及び/又は特性(複数可)は、望むのであれば、膜全体にわたるよりも、膜の所望の部分及び/又は膜の側面に付与することができることが有利である。例えば、所望の機能(複数可)及び/又は特性(複数可)は、処理される流体に最初に接触した膜の部分に局在化することができ、又は、例えば、処理される流体に最初に接触した膜の部分は、処理される流体に面する膜表面のその他の部分よりも、より集中的な所望の機能(複数可)又は特性(複数可)を有することができる。追加的に、例えば、注型溶液は、1つ又は複数の所望の機能及び/又は特性を膜に付与するために使用することができる。
【0049】
[0051]本発明による少なくとも1つの膜を備える少なくとも1つのフィルタ素子を備えるフィルタを具備する本発明の複数の実施形態において、フィルタは、異なる構造及び/又は機能、例えば前ろ過、支持、排水、スペーシング、及び緩衝のうちの少なくとも1つ、を有することができる、付加的な要素、層、又は成分を含むことができる。例示的に、フィルタは、メッシュ及び/又はスクリーンなどの、少なくとも1つの付加的な要素を含むこともできる。
【0050】
[0052]本発明は、装置、例えば、筐体内に配された本発明の1つ若しくは複数の膜を備えるフィルタ装置、クロマトグラフィ装置及び/又は膜モジュール、をさらに提供する。装置は、いずれかの好適な形状をとることができる。例えば、装置は、実質的に平面、ひだ状又はらせん状の形状の膜を備えるフィルタ素子を含むことができる。実施形態において、素子は、中空の、概して円筒形状を有することができる。望むのであれば、装置は、上流及び/若しくは下流の支持体又は排出層と組み合わせたフィルタ素子を含むことができる。装置は、複数の膜を含み、例えば、多層のフィルタ素子を提供する、又は積層して膜クロマトグラフィに使用するための膜モジュールなどの膜モジュールを提供することができる。
【0051】
[0053]フィルタは、複数のフィルタ素子を備えるいくつかの実施形態において、フィルタ装置を提供するために、少なくとも1つの流入口及び少なくとも1つの流出口を備えると共に、流入口と流出口との間の少なくとも1つの流体流路を規定する筐体内に典型的には配され、フィルタは流体流路を横切る。別の実施形態において、フィルタ装置は、少なくとも1つの流入口並びに少なくとも第1の流出口及び第2の流出口を備えると共に、流入口と第1の流出口との間の第1の流体流路、及び流入口と第2の流出口との間の第2の流体流路を規定する筐体を備え、フィルタは、第1の流体流路を横切り、例えば、第1の液体が第1の流体流路に沿って流入口からフィルタ及び第1の流出口を通ると共に、第2の流体が第2の流体流路に沿って流入口から、フィルタを通過することなく第2の流出口を通るような接線流を可能とする。フィルタカートリッジは、筐体及びエンドキャップを含むことによって構成され、少なくとも1つの流入口及び少なくとも1つの排出口に加えて流体シールを設けることができる。
【0052】
[0054]いくつかの実施形態において、フィルタ装置は滅菌可能である。少なくとも1つの流入口及び少なくとも1つの流出口を設けている好適な形状のいずれかの筐体が使用可能である。筐体は、いずれかの不浸透性熱可塑性材料を含み、処理される生物学的流体と融和性のあるいずれかの好適な剛性不浸透性材料から作製することができる。例えば、筐体は、ステンレス鋼等の金属から、又はポリマーから作製することができる。実施形態において、筐体はポリマー、いくつかの実施形態において、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネート樹脂等の透明な又は半透明のポリマー、である。このような筐体は、容易に且つ経済的に作製され、筐体を通じて流体の通過観察を可能にする。
【実施例】
【0053】
[0055]以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然のことながら、本発明の範囲を限定するいかなる手段として解釈されるべきではない。
【0054】
[0056]以下の実施例において、膜は、概して
図1に示されるように構成されたシステム100を使用して生成され、溶液は、ナイフ1、2及び3の方に移動する(注型方向15の)移動支持体に注型され、沈殿浴レベルは点線10によって表わされる。
【0055】
[0057]注型する溶液は、各実施例に記載され、電荷連続区域は、荷電粒子を使用することなく生成される。膜は、注型する3つの注型ナイフ(ナイフ1〜3)を使用して、5フィート/分の注型速度で、MYLAR膜支持体(実施例1〜5)又は浮き出し加工されたポリプロピレンテンプレート上に注型され(実施例6及び7)、ナイフは、5インチのエアギャップで予め離間して、それぞれ、10、20及び30ミルの厚さ間隔で使用される。注型に続いて、膜は、凝固するまでバスにおいて急冷される。膜は、支持体から取り外され、さらに脱イオン水で洗浄され、そして、オーブンで乾燥される。
【0056】
実施例1
[0058]本実施例は調製の実例を示し、本発明の実施形態による荷電連続区域を有する対称性細孔ナイロン膜の構造を記載し、上流区域は正荷電連続区域を有する。
【0057】
[0059]3つの溶液(A、B、及びC)が調製される。溶液A(正電荷)は、13%ナイロン、11%脱イオン(DI)水、1%Kymene、及び75%蟻酸からなる。溶液B(中性電荷)は、13%ナイロン、12%DI水、及び75%蟻酸からなる。溶液C(負電荷)は、13%ナイロン、11%DI水、1%Gantrez、及び75%蟻酸からなる。溶液は、40℃で溶解され、注型前に脱気される。溶液A、B、及びCは、それぞれ、ナイフ1、2及び3に置かれる。注型に続いて、膜は、膜が凝固するまで約6分間、バス(室温で蟻酸とDI水の1:1混合)で急冷される。
【0058】
[0060]膜は、厚さ約125μmであり、各区域は厚さ約35μm〜約45μmである。各区域は、約20%〜約50%の範囲の空隙及び約10nm〜約20nmの孔径を有する。
【0059】
実施例2
[0061]本実施例は調製の実例を示し、本発明の実施形態による荷電連続区域を有する非対称性細孔ナイロン膜の構造を記載し、上流区域は正荷電連続区域を有する。
【0060】
[0062]3つの溶液(A、B、及びC)が調製される。溶液A(正電荷)は、13%ナイロン、11%水、1%Kymene、及び75%蟻酸からなる。溶液B(中性電荷)は、13%ナイロン、12%DI水、及び75%蟻酸からなる。溶液C(負電荷)は、13%ナイロン、11%DI水、1%Gantrez、及び75%蟻酸からなる。溶液は、40℃で溶解され、注型前に脱気される。溶液A、B、及びCは、それぞれ、ナイフ1、2及び3に置かれる。注型に続いて、膜は、膜が凝固するまで約6分間、バス(室温で蟻酸とDI水の1:2混合)で急冷される。
【0061】
[0063]膜は、厚さ約225μmであり、各区域は厚さ約75μmである。上流区域(正荷電連続区域)は、外皮を含む非対称性構造を備え、外皮は約2μm〜約3μmの厚さを有し、約1%(表面において)〜約3%の範囲の段階的な空隙体積を有し、約2nm〜約10nmの範囲にある段階的な孔径を有する。上流区域(外皮の下、バルクの方向)は、厚さ約2μm〜約5μmの領域を有し、約2%〜約20%の範囲の空隙体積、及び約20nm〜約400nmの範囲の孔径を有する。上流区域の残部は、約20%〜約40%の範囲の空隙体積、及び約500nm〜約800nmの範囲の孔径を有する。
【0062】
[0064]中間区域(中性電荷連続区域)は、約20%〜約40%の範囲の空隙体積、及び約500nm〜約1500nmの範囲(平均1200nm)の孔径を有する。底部区域(負荷電連続区域)は、約20%〜約55%の範囲の空隙体積、及び約1000nm〜約1600nmの範囲(平均1300nm)の孔径を有する。表面SEM分析に基づくと、下流表面と上流(外皮)表面との非対称性比は1:20である。
【0063】
実施例3
[0065]本実施例は調製の実例を示し、本発明の実施形態による荷電連続区域を有する非対称性細孔ナイロン膜の構造を記載し、上流区域は負荷電連続区域を有する。
【0064】
[0066]3つの溶液(A、B、及びC)が調製される。溶液A(負電荷)は、13%ナイロン、11%水、1%Gantrez、及び75%蟻酸からなる。溶液B(中性電荷)は、13%ナイロン、12%DI水、及び75%蟻酸からなる。溶液C(正電荷)は、13%ナイロン、11%DI水、1%Kymene、及び75%蟻酸からなる。溶液は、40℃で溶解され、注型前に脱気される。溶液A、B、及びCは、それぞれ、ナイフ1、2及び3に置かれる。注型に続いて、膜は、膜が凝固するまで約6分間、バス(室温で蟻酸とDI水の1:2混合)で急冷される。
【0065】
[0067]膜は、厚さ約225μmであり、各区域は厚さ約75μmである。上流区域(負荷電連続区域「A」)は、外皮を含む非対称性構造を備え、外皮は約2μm〜約3μmの厚さを有し、約1%(表面において)〜約3%の範囲の段階的な空隙体積を有し、約2nm〜約10nmの範囲にある段階的な孔径を有する。上流区域(外皮の下、バルクの方向)は、厚さ約2μm〜約5μmの領域を有し、約2%〜約20%の範囲の空隙体積、及び約20nm〜約400nmの範囲の孔径を有する。上流区域の残部は、約20%〜約40%の範囲の空隙体積、及び約500nm〜約800nmの範囲の孔径を有する。
【0066】
[0068]中間区域(中性電荷連続区域「B」)は、約20%〜約40%の範囲の空隙体積、及び約500nm〜約1500nmの範囲(平均1200nm)の孔径を有する。底部区域(正荷電連続区域「C」)は、約20%〜約55%の範囲の空隙体積、及び約1000nm〜約1600nmの範囲(平均1300nm)の孔径を有する。表面SEM分析に基づくと、下流表面と上流(外皮)表面との非対称性比は1:20である。
【0067】
[0069]
図2に示すように、連続区域は、第1及び第2の細孔面に対して概して平行に配され、中性連続区域「B」は、第1の電荷連続区域「A」と第2の電荷連続区域「C」との間に挟まれる。第1の電荷連続区域「A」は負に荷電し、第2の電荷連続区域「C」は正に荷電し、これによりこれらの区域は、互いに異なる極性の電荷を有する。加えて、膜は、負荷電連続区域が中性電荷連続区域に接する(「A」が「B」に接する)部分、及び正荷電連続区域が中性連続区域に接する(「B」が「C」に接する)部分を有し、当該部分は、互いに概して平行に配される。
【0068】
実施例4
[0070]本実施例は、実施例1において上述のように調製された膜が、中性電荷の区域によって分離された、負電荷及び正電荷の連続区域を有する膜の実例を示す。
【0069】
[0071]膜は、実施例1に記載のように生成される。
【0070】
[0072]膜は、負荷電染料溶液(DI水中のPonseauレッド染料、0.05%)に30分間沈められる。膜は、水酸化アンモニウムの0.1%溶液に浸し、続いて、DI水に浸して、そして乾燥する。デジタル顕微鏡写真が示す赤色染料は、正電荷を有する膜の表面に存在する。
【0071】
[0073]膜は、正荷電染料溶液(DI水中のトルイジンブルー染料、0.05%)に30分間沈められる。膜は、DI水に浸され、続いて乾燥される。デジタル顕微鏡写真が示す青色染料は、負電荷を有する膜の表面に存在する。
【0072】
[0074]膜のこれらの部分(中性連続区域)は荷電されていないので、染料は、膜の厚みの中間には存在していない。
【0073】
実施例5
[0075]本実施例は、本発明の別の実施形態による対称性および非対称性のポリエーテルスルホン膜の調製の実例を示す。
【0074】
[0076]3つの溶液(A、B、及びC)が調製される。溶液A(正電荷)は、11.5%ポリエーテルスルホン(PES)、5%DI水、0.5%Kymene、3%ポリビニルピロリドン(PVP)(K−90)、25%ポリエチレングリコール200(PEG200)、及び55%N−メチルピロリドン(NMP)からなる。溶液B(中性電荷)は、12%PES、5%DI水、3%PVP(K−90)、25%ポリエチレングリコール200(PEG200)、及び55%N−メチルピロリドン(NMP)からなる。
【0075】
[0077]溶液C(負電荷)は、11.5%ポリエーテルスルホン(PES)、5%DI水、0.5%Gantrez、3%ポリビニルピロリドン(PVP)(K−90)、25%ポリエチレングリコール200(PEG200)、及び55%N−メチルピロリドン(NMP)からなる。
【0076】
[0078]溶液は、30℃で溶解され、注型前に脱気される。
【0077】
[0079]上流区域が正荷電連続区域である膜においては、溶液A、B、及びCは、それぞれ、ナイフ1、2、及び3に置かれる。上流区域が負荷電連続区域である膜においては、溶液C、B、及びAは、それぞれ、ナイフ1、2、及び3に置かれる。
【0078】
[0080]非対称性膜を生成するとき、注型溶液は、膜が凝固されるまで、約6分間、105°FのDI水浴において、約4秒以内に急冷される。
【0079】
[0081]対称性膜を生成するとき、注型溶液は、膜が凝固されるまで、約6分間、室温のDI水浴において、約25秒後に急冷される。
【0080】
[0082]連続区域は、第1及び第2の細孔面に対して概して平行に配され、中性連続区域は、第1の電荷連続区域と第2の電荷連続区域との間に挟まれ、第1の電荷連続区域及び第2の電荷連続区域は、互いに異なる極性の電荷を有する。
【0081】
実施例6
[0083]本実施例は、本発明の実施形態による対称性テンプレート膜の調製の実例を示し、上流区域は正荷電連続区域を有する。
【0082】
[0084]浮き出し加工されたポリプロピレン基体テンプレート(BP100P、5.0ミル、Bloomer Plastics Inc.、Bloomer、WI)が得られる。
【0083】
[0085]3つの溶液(A、B、及びC)が調製される。溶液A(正電荷)は、13%ナイロン、11%水、1%Kymene、及び75%蟻酸からなる。溶液B(中性電荷)は、13%ナイロン、12%水、及び75%蟻酸からなる。溶液C(負電荷)は、13%ナイロン、11%水、1%Gantrez、及び75%蟻酸からなる。溶液は、40℃で溶解され、注型前に脱気される。溶液A、B、及びCは、それぞれ、ナイフ1、2及び3に置かれる。
【0084】
[0086]溶液は、前処理された浮き出し加工のポリプロピレン基体に注型される。
【0085】
[0087]注型に続いて、膜は、膜が凝固するまで約6分間、バス(室温で蟻酸と脱イオン水の1:1混合)において急冷される。
【0086】
[0088]膜は、浸され、テンプレートから分離され、そして乾燥される。
【0087】
[0089]第1の細孔面(「テンプレート面」)は、第1の領域(隆起部)及び第2の領域(くぼんだ「谷」部)を備え、第1の細孔面の第1の領域と第2の細孔面との間隔は、第1の細孔面の第2の領域と第2の細孔面との間隔よりも約15パーセント大きい。第1の細孔面の第1及び第2の領域の両方の孔径は、約1000nm〜約2000nmの範囲にある。
【0088】
実施例7
[0090]本実施例は、本発明の実施形態による非対称性テンプレート膜の調製の実例を示し、上流区域は正荷電連続区域を有する。
【0089】
[0091]浮き出し加工されたポリプロピレン基体テンプレート(BP100P、5.0ミル、Bloomer Plastics Inc.、Bloomer、WI)が得られる。
【0090】
[0092]3つの溶液(A、B、及びC)が調製される。溶液A(正電荷)は、13%ナイロン、11%水、1%Kymene、及び75%蟻酸からなる。溶液B(中性電荷)は、13%ナイロン、12%水、及び75%蟻酸からなる。溶液C(負電荷)は、13%ナイロン、11%水、1%Gantrez、及び75%蟻酸からなる。溶液は、40℃で溶解され、注型前に脱気される。溶液A、B、及びCは、それぞれ、ナイフ1、2及び3に置かれる。
【0091】
[0093]溶液は、前処理された浮き出し加工のポリプロピレン基体に注型される。
【0092】
[0094]注型に続いて、膜は、膜が凝固するまで約6分間、バス(室温で蟻酸と脱イオン水の1:2混合)において急冷される。
【0093】
[0095]膜は、浸され、テンプレートから分離され、そして乾燥される。
【0094】
[0096]膜は、厚さ約225μmであり、各区域は厚さ約75μmである。上流区域(正荷電連続区域)は、外皮を含む非対称性構造を備え、外皮は約2μm〜約3μmの厚さを有し、約1%(表面において)〜約3%の範囲の段階的な空隙体積を有し、約2nm〜約10nmの範囲にある段階的な孔径を有する。上流区域(外皮の下、バルクの方向)は、厚さ約2μm〜約5μmの領域を有し、約2%〜約20%の範囲の空隙体積、及び約20nm〜約400nmの範囲の孔径を有する。上流区域の残部は、約20%〜約40%の範囲の空隙体積、及び約500nm〜約800nmの範囲の孔径を有する。
【0095】
[0097]中間区域(中性電荷連続区域)は、約20%〜約40%の範囲の空隙体積、及び約500nm〜約1500nmの範囲(平均1200nm)の孔径を有する。底部区域(負荷電連続区域)は、約20%〜約55%の範囲の空隙体積、及び約1000nm〜約1600nmの範囲(平均1300nm)の孔径を有する。表面SEM分析に基づくと、下流表面と上流(外皮)表面との非対称性比は1:20である。
【0096】
[0098]
図3に示すように、第1の細孔面(「テンプレート面」)は、第1の領域及び第2の領域を備え、第1の細孔面の第1の領域と第2の細孔面との間隔は、第1の細孔面の第2の領域と第2の細孔面との間隔よりも約15パーセント大きい。加えて、膜は、正荷電連続区域が中性電荷連続区域に接する(「A」が「B」に接する)部分、及び負荷電連続区域が中性連続区域に接する(「B」が「C」に接する)部分を有し、当該部分は、互いに概して平行に配される。
【0097】
[0099]本明細書において引用される刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が個別的に且つ具体的に示され、参照によって組み込まれると共に、本明細書にその全体を記述されるのと同じ程度に、参照をもって本明細書に組み込まれる。
【0098】
[0100]本発明を記載する文脈において(特に、添付の特許請求の範囲の文脈において)、用語「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ(at least one)」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書で特に指示のない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。1つ又は複数の項目のリストの前に記載された用語「少なくとも1つ(at least one)」の使用(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」)は、本明細書で特に指示のない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、リストに挙げられた項目から選択された1つの項目(A又はB)又はリストに挙げられた項目のうちの2つ以上のいずれかの組合せ(A及びB)を意味すると解釈すべきである。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」は、別段の記載がない限り、無制限(open−ended)用語(すなわち、「〜を含むがこれに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において特に指示のない限り、当該範囲内に入る各々の別個の値に個別的に言及する簡略な方法として役立つことを単に意図されており、各々の別個の値は、あたかも本明細書に個別的に記載されているかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において特に指示のない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、いずれかの好適な順序で行うことができる。本明細書において提供されるいずれかの及び全ての実施例、又は例示的な言語(例えば、「等(such as)」)の使用は、本発明をより明らかにすることを単に意図しており、特に請求しない限り、本発明の範囲の限定を提示するものではない。明細書におけるいかなる言語も、請求されていないいいかなる要素を本発明の実施に不可欠なものとして示していると解釈されるべきでない。
【0099】
[0101]本発明の好ましい実施形態は、本発明を実行するために、本発明者らに知られている最良の形態を含めて、本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形は、先述の記載を読めば、当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切に使用することを予期し、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載したものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、この発明は、適用される法律によって許可される本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題の全ての改変物及び均等物を含む。さらに、そのあらゆる可能な変形における上述の要素のいかなる組合せは、本明細書に別段の指示がない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。