【課題】従来の版作製の工程の検査では、原則、画像同士の目視検査でされている。簡便的であるが、ミスが多い。特に、印刷会社と版製造会社とが異なる国の場合、印字の言葉のチェックミスが多い。模様、絵などの印刷においても、国をまたがると目視でのチェックでは、ミスが多くでる。時間もかかる。
【解決手段】上記課題を解決するため、印刷版の表面の凸部を3次元計測する計測工程と、印刷版の形状の3次元データを、2次元データへ変換する変換工程と、2次元データを、対象物の2次元データと比較する比較工程と、比較の結果により、合否を判定する判定工程と、からなる印刷版検査方法用いる。
前記変換工程では、前記印刷版の凸部の頂部範囲を印字範囲へ変換するための一定条件により、前記3次元データを前記第1の2次元データへ変換する請求項1記載の印刷版検査方法。
前記第1の2次元データへの変換部では、前記3次元データの頂部のデータを、一定条件下、前記第1の2次元データへ、印字範囲を変換する請求項8または9に記載の印刷版検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
実施の形態1は、版の形状のチェックを、目視でなくデジタル的にチェックする方法を説明する。版の形状をデジタル化する。
<版の凸部形状と印刷結果との関係>
図1(a)〜
図1(d)を用いて、版と印字との関係を説明する。
図1(a)は、目的の印刷物32の例を示し、平面図である。印字30は、円である。
図1(b)は、
図1(a)を印字するための版31の断面図である。版31には基板34上に凸部33があり、この場合、凸部33は、円錐台である。
図1(c)は、
図1(b)の版31の凸部33にインク36を付着させた断面図ある。
図1(d)は、
図1(c)のインク36を印刷物32に転写した平面図である。
【0012】
この場合、版31の凸部33が理想の形状であり、インク36の条件、印刷機の印刷条件が適切であれば、印刷物32への印字30は、目的どおりできる。
しかし、実際の版31は、製造上の問題から、理想どおりの形状には形成されない部分がある。
図2(a)〜
図2(d)にその場合を示す。
図2(a)〜
図2(d)は、
図1(a)〜
図1(d)にそれぞれ対応する。異なる点は、凸部33の形状である。左凸部33aは、その頂上が凹んでいる。右凸部33bは、頂上の一部が欠けている。
【0013】
このため、印字30は、
図2(d)のように、目的の
図2(a)の印字30と異なる。
図1(b)のような凸部33の形状の版31なら、凸部33の頂部の部分のみを印字されるものとして、デジタル化すれば、他のものと比較できる可能性が高い。しかし、実際の版31では、
図2(b)のような凸部33のものもある。一部にこのような状態がある場合もある。全体的にある場合もある。さらに、インク36、印刷物32の条件によっては、インク36が広がる場合もある。
【0014】
この場合に、どのような印刷結果となるかは、凸部33の形状、および、版31のセット条件(シリンダー、平板)、印刷条件(インク36の粘度、加圧力、版31の材質)、印刷物32(紙、ダンボール、プラスチックフィルム)などに依存する。
また、
図1(b)の形状の版であったとしても、インク36の粘度、版31のセット方法(平板、曲面のR)により、印字30が変化する。
【0015】
<版31の3次元形状データから2次元データへの変換と比較>
図3(a)のフローチャートを用いて、全体のフローを説明する。まず、版の計測11をし、3次元データ13とする。この3次元データ13に、一定条件12を設定し、2次元データ14とする。この2次元データ14を、2次元の元データ、比較データと比較(差分)し、版31の良否を判断する。ここで、2次元形状データは、高さ方向の情報を含まない、XY面での2次元データである。色情報を含んでもよい。3次元形状データは、高さ方向の情報を含む3次元データである。
版の計測11では、レーザ計測など3次元の形状を測定できる機器を使用する。レーザによる3次元測定では、ポリゴンミラーなど小型ミラー、操作レンズ、受光素子を用いることができる。レーザユニットを操作させることで版31全体を測定できる。測定データは、最終、比較するため、デジタルデータである必要がある。レーザ以外の方法でも3次元計測ができればよい。
【0016】
3次元データ13は、計測機で得られたデータをデジタル化した3次元データである。
2次元データ14は、3次元データ13を、一定条件12を用いて、2次元データ14へ変換する。凸部33の頂部範囲T(
図3(b))から、ある印字範囲Sまで広げる。インク36の広がり、凸部33の印刷時の加圧による潰れなどによる広がりを考慮する。一定条件は後で説明する。
【0017】
つまり、
図3(b)の版31の断面図と
図3(c)の印刷物32の断面図を用いて説明する。
図3(b)の凸部33上にインク36が付着した後、
図3(c)のように印刷物32へインク36が付着する。この場合に、頂部範囲Tから印字範囲Sへ広がる。この広がる割合を一定条件12により、定めるものである。なお、凸部33の形状によっては、範囲は狭くなる場合もある(
図6(e)で説明)。
【0018】
比較15(
図3(a))は、版31の2次元データ14を他の工程のデータと比較する(後で説明する)。比較15は、2次元データ同士の差分でされる。特に、デジタル情報に基づいて、境界領域(印字範囲Sの周辺部分)は誤差が考慮される。
<検査装置>
図4(a)に、版31の形状を計測する検査装置の断面図を示す。平板状のステージ20に版31をセットして、その表面の形状を測定するものである。ステージ20には、真空引きの穴(図示しない)があり、その穴を通して版31がステージ20に吸着保持される。当然、ステージ20の表面は、鏡面とされている。穴の大きさも小さく、版31の形状に影響しないようにされている。
【0019】
センサー37は、版31の3次元形状測定時は、レーザを使用する。ポリゴンミラー、ガルバノミラー、操作レンズ、受光素子からなるユニットが別途設けられる。版31の代わりに印刷物32を測定する場合は、CCDなどの2次元データを測定する。センサ−37は、版31と相対的に移動する。または、ポリゴンミラーなどでレーザ光を操作して、版31表面に当て、版31の表面全体の形状を3次元測定する。
【0020】
版31でなく、印刷物、原稿などの場合は、センサー37として、CCD,ラインセンサーなどで、文字、模様を測定し2次元データを得る。
検査装置には、別途データ処理部があり、上記データの演算、差分などができる。
図3(a)の一定条件12も記憶できる。後で説明する。
【0021】
検査装置は、製版会社100、印刷会社101など会社ごと、場所ごとで所有するのが好ましい。各会社、各部門で、検査、チェックしデータベースとして登録するのがよいが、また、統一のデータベースとしてもよい。検査装置は、版作製、版チェック、受け入れ検査など、多くの段階で使用できる。
【0022】
図4(b)は、
図4(a)と異なり、ステージ20が、シリンダー25となったものである。その他、
図4(a)と同じである。シリンダー25を用いる理由は、印刷装置のシリンダー25に相当するものを前提としている。つまり、条件として、印刷装置のシリンダーがわかっている場合、そのシリンダーと、同じ、または、類似するシリンダー径のシリンダー25において、版31の形状を測定するのが、より好ましい。このシリンダー25を用いる測定では、データを比較15(
図3(a))する場合、シリンダー25のシリンダー径を考慮し、計算する。
【0023】
検査装置として、
図4(a)の平板状のステージ20と、
図4(b)のシリンダー25とを有することが好ましい。さらに、シリンダー25の径を複数有することが好ましい。印刷装置のシリンダーに合わせて選択できる。
【0024】
<検査装置の各部>
図5(a)に装置の各部を示す。ステージ部301と、センサー部303と、制御部302と、データ処理部304と、記録部305と、入力部306とからなる。
ステージ部301は、ステージ20である。その上に版31を保持する(
図4(a))。
センサー部303は、センサー37(
図4(a))であり、3次元センサー部310と2次元センサー部311とを含む。版31などは、3次元センサー部310で計測する。印刷物32などは2次元センサー部311で計測する。
【0025】
制御部302は、ステージ部301やセンサー部303などを制御し、版31や印刷物32などの表面を測定する。ステージ部301やセンサー部303を相対的に移動させ制御する。
データ処理部304は、比較・差分部312と、誤差・解像度部314、位置合わせ部315、条件部330とを含む。
【0026】
比較・差分部312は、2つの2次元データ間の差分を計算するところである。
誤差・解像度部314は、2つの2次元画像の比較する場合の誤差の範囲を考慮する。また、2次元データの解像度の相違を調整する。
【0027】
位置合わせ部315は、2つの2次元データを比較する場合に、2つの画像間の位置合わせをする。位置の基準マークがある場合は、そのマークを利用できる。基準がない場合は、2つのデータ間の差異が少なくなるように位置合わせする。
条件部330は、一定条件12(
図3(a))を有し、3次元測定データを2次元データへ変換する場合に、一定条件12を用いる。
【0028】
記録部305は、測定データなど過去のデータを保存するデータベース部を含む。過去のデータの蓄積をし、ゲラ紙などの別途保存が不要である。
入力部306は、
図5(b)に示しているように、各種条件を入力する部である。例えば、一定条件12を入力する。印刷条件として、版31が平板(ステージ20)で印刷されるか、インク36の粘度、印刷物32が何であるか、など入力できる。例えば、予め、印刷機の品番ごとの条件を保有し、品番のみを入力してもよい。同時に使用される範囲、印刷物32も限定される。入力部306のデータを使用し、測定データの処理がされる。
【0029】
<一定条件>
一定条件12は、版31の頂部範囲Tをどの範囲(印字範囲S)まで広げるか(変化するか)の割合のデータを、条件ごとに有する。
図6(a)から
図6(f)で、一定条件12(
図3(a))についての例を示す。インク36、版31のセット条件、印刷物32などの条件により、版の頂部範囲Tの範囲以上に印字範囲Sが広がる。その広がる割合を考慮するため以下のように条件を設定する。
【0030】
図6(a)では、版31が印刷機にセットされる場合の状態での印字範囲Sを示す。版31が平板状で印刷される場合、頂部範囲Tのみでよい。しかし、版31がシリンダー部分に巻いて使用される場合は、シリンダー径Rにしたがって印字範囲Sの指定が必要である。シリンダーの径が大きい時は、平板に近いが、小さくなると、版の凸部33が大きく変形し、頂部から周辺部分、120%まで広がることの考慮が必要である。
【0031】
この場合、シリンダー小、中、大としたが、シンンダー径Rと版31の厚みから、印字範囲Sの広がりを計算してもよい。
図6(b)では、印刷の対象物(印刷物32)による効果を示す。普通紙、ダンボール、プラスチックフィルム、コート紙ごとでインクのにじみが異なる。例えば普通紙が一番にじむので、印字範囲を頂部から110%と広く設定する。
【0032】
この場合、普通紙、ダンボール、プラスチックフィルムの3種類で分類したが、さらに、細かく分類してもよいし、表面凹凸の程度、材質ごとに定義してもよい。
図6(c)では、インクの粘度による効果を示す。粘度が高い、中、低いに分けている。粘度が低いと印字30が広がるので、大きく設定する。
図6(d)〜
図6(f)では、凸部33の形状による場合を示す。
【0033】
図6(d)は、火山型の凸部33である。頂部範囲Tの両端に凸部33があり、その間にインクが保持され印字されるので、頂部範囲Tが、印字範囲Sに等しく、100%と設定できる。
図6(e)は、1部分欠けた山型の凸部33である。頂部範囲Tが広いが、実際に印字される。印字範囲Sは狭く、30〜50%に設定する。この場合、印字範囲Sが広がらず、狭くなる、
図6(f)は、台形型の凸部33である。頂部範囲Tに平坦部分がある。印字範囲Sは、頂部範囲Tから少し広くなる。120〜130%に設定する。
【0034】
図6(a)〜
図6(f)の条件から、印字範囲Sがどれくらい広がるか、計算できる。例えば、シリンダー小で、普通紙で、インク36が、中粘度なら、以下式1となる。
1.
2×1.1×1.05=1.4(140)%・・・・(式1)
それぞれの要因の積で、印字広がりがわかる。この場合、インク36の粘度の数値により、印字広がりを計算してもよい。この方法では、少なくとも1つの条件を用いることが特徴である。
なお、上記割合は1つの例であり、数値に限定されるものではない。
【0035】
比較15(
図3(a))は、2次元画像データ14と、版31の元となるデータ(版31を作製するためのデータなど)との比較(差分)を取る。元となるデータは、校了済データ、版作製データ(
図7で説明)などである。2次元データである必要がある。コンピュータ上で差分を取って比較する。誤差を考慮する。差分の結果は、最終、人が合否を判定する。
差分時、2次元データ間の位置合わせが必要であるが、両者とも2次元データであり、全体同士をコンピュータ上で、差異が最小となるように位置合わせすることでできる。
【0036】
なお、版31の検査をする検査装置(
図4(a)、
図4(b))の種類により、上記一定条件12の数値は異なる。特に、
図4(b)の場合はシリンダー径に依存して、一定条件12の数値が変わる。シリンダー径に従い計算してもよい。
<効果>
版31の形状の3次元データを、そのインク36の広がりなども考慮して2次元データとして、版31を作製した元データと比較するので、誰でも、簡単に、精度よく、間違いなく検査できる。
【0037】
(実施の形態2)
図7を用いて、印刷版全体システムの流れを説明する。
図11に相当する図である。相違点を中心に説明する。
図11との大きな相違点は、チェック時に、目視検査のチェックでなく、画像をデジタル化したデータを利用したチェックをしている点にある。
【0038】
<原稿作製103時チェック>
(1)注文受注102により、印刷会社101から、製版会社100へ原稿が送られる。製版会社100へ、原稿作製103のために、送られるデータは、二次元データ(元データ500)、または、紙の資料である。紙の資料の場合は、スキャナー、CCDカメラ、ラインセンサーなどで2次元のデジタル化(二次元データ)をする。この2次元データを元データ500と呼ぶ。
この2次元の元データ500から、デザイン性などを入れて原稿データ501をつくる。原稿データ501は、印刷されるデータ(印刷物のデータ)である。このデータも2次元データにする。
【0039】
<原稿作製103>
2次元の元データ500と、原稿データ501との差異をコンピュータ上で差分を取って、チェックする。
元データ500から原稿データ501へは、デザイン上、印刷上の問題などで、模様、文字など、内容を変更する場合もある。その場合は、その部分が差分として現れ、チェックできる。
【0040】
<原稿確認104時チェック>
(2)原稿データ501と、それをプリントアウトしたもの(印刷物)が印刷会社101へ送られる。印刷会社101では、目視でプリントアウトしたものを確認してもよいが、主体は、原稿データ501と元データ500との2次元データ間の比較をしてチェックする。コンピュータ上で差分を取って比較される。デジタルデータがなければ、実施の形態1の方法で、印刷物をデジタル化する。
(3)結果を判断し、よければ原稿データ501が校了済データ502として、製版会社100へ回答される。製版会社100での比較結果を印刷会社101へ報告するにより、この工程を省略することも可能である。
【0041】
<版作製時106時のチェック>
(4)製版会社100では、校了済データ502を元に、版31を作製する。この時、版31作製のための版作製用データ503が作成される。しかし、版の作製方法により必要な版作製用データ503は異なる。例えば、以下の場合がある。凸部33頂部に光を照射するための版作製用データ503が作成される場合、一定条件12(
図3)下、校了済データ502から、頂部範囲T(
図3(b))からなる版作製用データ503をつくる。
凸部33の頂部範囲Tのデータ(
図3(b))を利用する場合もあるし、印字範囲Sのデータを利用する場合もある。露光現像を利用する製造方法の場合は、マスクの形状のデータとして、頂部範囲Tのデータが利用される。
【0042】
版作製用データ503を用いて、版31を製造する。できた版31を実施の形態1(
図3(a)の比較15)のように、版31の形状を測定し、2次元化し、第1版計測データ504とする。この第1版計測データ504と校了済データ502とを、比較する。問題がなければ、その版31で印刷を行い、ゲラ校正物107を作製する。そのゲラ校正物107を計測し、2次元データである第1印刷物データ506とする。第1印刷物データ506と校了済データ502、または、第1印刷物データ506と第1版計測データ504のデータと比較する。
結果、問題なければ、ゲラ校正物107と版31を印刷会社101へ納入する。必要に応じて、第1印刷物データ506と第1版計測データ504も納入する。
【0043】
<印刷109時のチェック>
(5)印刷会社101は、版31の計測を行い2次元データの第2版計測データ505とする。第2版計測データ505と、校了済データ502とを比較する。製版会社100から、第1印刷物データ506と第1版計測データ504をもらい、省略することも可能である。
問題なければ、版31を用いて、印刷を行う。
(6)その結果の印刷物32を計測し(実施の形態1)、2次元データである第2印刷物データ507とする。第2印刷物データ507と校了済データ502とを比較する。問題なければ、印刷を行う。結果、印刷物32ができる。
【0044】
<印刷110時のチェック>
(7)初期、途中などで、印刷物110を計測し、第3印刷物データ508とする。校了済データ502、第2版計測データ505などと比較し、チェックする。
時間の経過とともに検査ができるので、版31の劣化、ゴミ付きなどを検査できる。ごみ付きの場合、版31を洗浄する。版31の劣化の場合、版31を交換できる。
【0045】
なお、それぞれの工程で、一部変形、省略ができる。例えば、形状測定などは略せることができる。すべての工程で、デジタルデータの比較をする必要はなく、一部に目視検査をしてもよい。また、上記で、版31の形状の3次元データは、それぞれ上記実施の形態1を用い、2次元のデータへ変換され、比較される。2次元データは、そのまま比較されるか、解像度を考慮して、比較される。印刷物も同様に、2次元データにされる。なお、原稿データ501、校了済データ502、版作製用データ503、第1版計測データ504、第2版計測データ505、第1印刷物データ506、第2印刷物データ507、第3印刷物データ508は、2次元データである。
記載しなかった事項は実施の形態1と同様である。
【0046】
<効果>
原稿作製、版の製造、印刷前後、印刷途中、版31、印刷物の2次元データが、コンピュータ上で比較しできる。結果、ミスがなく、容易に、だれでも検査(チェック)ができる。
各工程でのチェック、検査が容易にできる。特に印刷物と、版との検査が各工程で容易にできるため、欠陥など間違いがあった時点で、原因が容易にわかる。
【0047】
(実施の形態3)
<現物との比較>
データの比較の例を
図8(a)〜
図8(c)にて示す。
図8(a)は、紙資料の場合である。印刷会社101などからの依頼では、紙資料の場合や、あるソフトで作成されたデータである場合が多く、プリントした紙を利用しなければならない場合が多い。これら紙を計測61し、2次元データ62とする。紙をスキャナー、CCD、イメージサンサーなどで読み取り、デジタル化する。これら2次元データを、原稿データ501、校了済データ502、版作製用データ503、第1版計測データ504、第2版計測データ505、第1印刷物データ506、第2印刷物データ507、第3印刷物データ508(
図7)などの2次元データ63と比較、差分をし、判定する。
【0048】
<版31の製造上のデータ>
図8(b)は、版31の版作製用データ503(
図7)の場合である。1つの例として、版31の製造で、露光する場合のマスクのマスクデータ64を2次元データ62とする。この2次元データ62を、原稿データ501、校了済データ502、版作製用データ503、第1版計測データ504、第2版計測データ505、第1印刷物データ506、第2印刷物データ507、第3印刷物データ508(
図7)などの2次元データ63と比較、差分をし、判定する。ただし、版31の版作製用データ503の場合、印字範囲Sでなく、頂部範囲Tのデータの場合もある。この場合、版31の版作製用データを、一定条件12を用いて、印字範囲Sへ変換して比較してもよい。
【0049】
版作製用データ503は、版31の作製上使用されるマスクデータ64(UV樹脂からなる版でパターニング時使用、レーザ照射範囲)などである。ただし、マスクデータ64に限られず、版製造上利用される2次元データである。
ただし、版作製用データは、最終の印刷物のデータと異なる場合がある。
図3(a)に示したように一定条件12を考慮し、2次元データ62とする必要がある時もある。
【0050】
<2次元データ同士>
図8(c)は、紙データ同士のチェックの場合である。例えば、第1印刷物データ506、第2印刷物データ507、第3印刷物データ508、元データ500(
図7)を比較する場合、それぞれを2次元データ62、63として、コンピュータ上で比較する。ただし、この場合、両者とも最終の形であるので、
図3(a)の一定条件12での補正はしない。
ただし、
図5(a)で説明したように、誤差、解像度、位置合わせなどを2つのデータ間でする必要がある。記載しなかった事項は実施の形態1と同様である。
【0051】
<効果>
すべてのデータを2次元データとすることで、いろいろな検査、チェックが容易にできる。
【0052】
(実施の形態4)
従来、カラー画像の印字30の場合、色ごとの版31のデータで、チェックをしていた。つまり、赤色の版31と赤色のみの印刷物とを目視で検査していた。
しかし、この方法では、色ごとの2次元データを加算して、まとめてチェック、検査ができる。
【0053】
図9(a)から
図9(d)を用いて説明する。
図9(a)〜
図9(c)は、色が異なる3色分の版31の平面画像である。これらを合成したものが
図9(d)の平面画像である。
従来、各色ごとにチェック、検査されていた。しかし、この方法では、3色の各々の版31のデータをコンピュータ上で加算し、校了済データ502、第1版計測データ504、第2版計測データ505などと、2次元データ間で比較すれば、検査できる(
図7)。
データ処理などは上記実施の形態と同様である。なお、2次元データは、色情報を含めることができる。記載しなかった事項は実施の形態1と同様である。
【0054】
<効果>
従来では、色ごとで版31の形状と印字30のチェックをしていたが、合成してできるので、色ごとの検査を、1回でできる。
【0055】
(実施の形態5)
版31の3次元データは、上記実施の形態では、レーザで計測し、2次元データへ変換していた。しかし、CCDやイメージセンサなどの2次元のデータから、2次元データへ変換することも可能である。
【0056】
たとえば、
図10(a)は、CCDで凸部33を測定した結果である。頂部範囲Tのみである。この結果を、一定条件12をふまえ、印字範囲S(
図10(b))を設定してもよい。この場合の一定条件12は、過去の版31の作製条件と凸部33の形状データとから導くことができる、凸部33の以前の形状、側面の以前の傾斜角度から導かれるものである。
【0057】
また、
図10(c)は、CCDなどのデータから計測された2次元データである。円の周辺が濃淡画像となっている。傾斜している部分である。この傾斜から、印字範囲Sを計算し、印字範囲S(
図10(d))を設定してもよい。その他、上記の実施の形態と同様である。
また、CCDなどを複数用いて、凸部33を異なる方向から撮像して、3次元データとする。その後、2次元データへ変換してもよい。または、直接、2次元データとしてもよい。
<効果>レーザなどの3次元計測器を使用しなくとも、版の形状データを2次元化できる。よって、装置構成が簡素化できる。記載しなかった事項は実施の形態1と同様である。
【0058】
(なお書き)
上記方法、装置で、版31の欠陥検査も当然できる。元のデータと版形状のデータとを比較する場合に、版31に欠陥、異物、欠けなどあれば、その部分が差分でわかり、検査できる。
基板34は、ポリエチレンテレフタレートを用いることができる。基板34の厚みは、100μm程度である。凸部33の形成としては、感光性樹脂を用いることができる。レーザ、UVなど光で露光しパターニングされる。凸版印刷だけでなく、印刷版を用いる分野では、この発明を用いることができる。上記実施の形態は、それぞれ組み合わせることができる。