【解決手段】本線シールドトンネル1の外周部分に資材を供給する際に、本線シールドトンネル1に設置され、本線シールドトンネル1と同軸に、且つ外周に沿ってリング状に配置されるガイドレール11、12と、ガイドレール11、12に沿って旋回するとともに、筒軸を本線シールドトンネル1のトンネル軸方向Xに平行に向けた円筒状の回転ドラム13と、回転ドラム13内で筒軸回りに周回可能に設けられたステージ14と、を備えた構成の資材供給装置10を提供する。
前記回転ドラムには、前記ガイドレールの周方向の所定位置で前記シールドトンネル内と連通する資材投入部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシールドトンネルに用いる資材供給装置。
前記ステージは、筒軸方向の少なくとも一方に向けて進退可能に設けられ、前記回転ドラム内から前記回転ドラムの外側に移動されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシールドトンネルに用いる資材供給装置。
前記ステージは、前記回転ドラムの内面に沿った円弧版状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシールドトンネルに用いる資材供給装置。
前記ステージを備えた前記回転ドラムは、前記ガイドレール内で複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシールドトンネルに用いる資材供給装置。
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の資材供給装置を使用し、地中を掘削して地中空洞部を施工するに際して、本線シールドトンネルの外側で前記地中空洞部の外殻部に予め複数の外殻シールドトンネルを配列することによって外殻体を構築し、該外殻体の内側を掘削するトンネル施工方法であって、
本線シールドトンネルを施工する工程と、
前記本線シールドトンネルの一部を全周にわたって切り広げリング状の外殻シールド発進部を施工する工程と、
前記外殻シールド発進部に前記資材供給装置を設置する工程と、
該資材供給装置の前記回転ドラム内のステージ上に外殻シールド機を供給し、前記回転ドラムを前記ガイドレールに沿って所定の発進位置に旋回させる工程と、
前記ステージから外殻シールド機を発進させて、複数の外殻シールドトンネルを施工する工程と、
を有することを特徴とするトンネル施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の大断面トンネルの施工方法では、以下のような問題があった。
すなわち、ルーフシールドトンネルの施工に必要な資材の供給方法として、本線シールドトンネル内に資材搬入用の仮設構台をトンネル断面全体を塞ぐようにして設置し、その仮設構台を使用して資材を供給するのが一般的となっている。
ところが、資材搬入用の仮設構台が本線シールドトンネルの断面を大きく占有することとなる。そして、このような大断面トンネルのように大規模で複雑な施工となる場合には、工期の短縮を図る目的で外殻シールド機を複数台使用して同時に掘進したり、外殻シールド機の投入、組立作業を行うことが必要となることから、仮設構台の占有が本線シールドトンネルの施工を妨げるおそれがあり、本線シールドトンネルに影響の小さい資材の供給方法が求められており、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、シールドトンネルの外周部への資材の供給を効率よく行うことができ、資材供給に必要な占有面積を小さくすることで、施工効率の向上を図ることができるシールドトンネルに用いる資材供給装置、及びトンネル施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るシールドトンネルに用いる資材供給装置では、 シールドトンネルの外周部分に資材を供給する際に、前記シールドトンネルに設置される資材供給装置であって、前記シールドトンネルと同軸に、且つ外周に沿ってリング状に配置されるガイドレールと、該ガイドレールに沿って旋回するとともに、筒軸を前記シールドトンネルのトンネル軸方向に平行に向けた円筒状の回転ドラムと、該回転ドラム内で前記筒軸回りに周回可能に設けられたステージと、を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係るトンネル施工方法では、上述した資材供給装置を使用し、地中を掘削して地中空洞部を施工するに際して、本線シールドトンネルの外側で前記地中空洞部の外殻部に予め複数の外殻シールドトンネルを配列することによって外殻体を構築し、該外殻体の内側を掘削するトンネル施工方法であって、本線シールドトンネルを施工する工程と、前記本線シールドトンネルの一部を全周にわたって切り広げリング状の外殻シールド発進部を施工する工程と、前記外殻シールド発進部に前記資材供給装置を設置する工程と、 該資材供給装置の前記回転ドラム内のステージ上に外殻シールド機を供給し、前記回転ドラムを前記ガイドレールに沿って所定の発進位置に旋回させる工程と、前記ステージから外殻シールド機を発進させて、複数の外殻シールドトンネルを施工する工程と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明では、シールドトンネルに設置された回転ドラム内のステージ上に資材を供給した後、回転ドラムをガイドレールに沿って案内させて周方向に旋回することで、ステージ上の資材をシールドトンネルの外周部分の所定位置へ運搬することができる。
このように、ステージへの資材の供給部分をシールドトンネルの一部のみで行うことができるうえ、ステージを有する回転ドラムがシールドトンネルの外周部分のみを旋回する構成となるので、資材の供給に必要な占有面積を小さくすることが可能となり、シールドトンネルの断面全体を塞ぐように資材搬入用の仮設構台を設ける従来の場合に比べて、シールドトンネルで行う他の作業への影響を低減することができる。
【0010】
そして、本発明の資材供給装置を使用してトンネルを施工する場合には、外殻シールドトンネルの一部に全周にわたって外殻シールド発進部を設け、この外殻シールド発進部に資材供給装置を設置することで、回転ドラムの旋回領域を本線シールドトンネルの外周側とすることができ、本線シールドトンネルの断面を有効に使用することができる。しかも、資材供給装置を使用して外殻シールド機の搬入・組立作業が可能となり、工期短縮を図ることができる。
【0011】
また、本発明に係るシールドトンネルに用いる資材供給装置では、前記回転ドラムは、前記シールドトンネルの外側を旋回領域とするように配置されていることが好ましい。
【0012】
本発明では、回転ドラムの旋回領域を本線シールドトンネルの外周側とすることができ、シールドトンネル内に回転ドラムが旋回することがないので、回転ドラムを使用した資材運搬時においてシールドトンネルの断面を有効に使用することができる。
【0013】
また、本発明に係るシールドトンネルに用いる資材供給装置では、前記ガイドレールは、互いに同軸に配置される内周レールと外周レールを有し、前記回転ドラムは、該内周レールと外周レールの間で、両レールに案内されることが好ましい。
【0014】
本発明では、回転ドラムは内周レールと外周レールとの両者によって内外から支持された状態でガイドレールに沿って旋回することができるので、振れのない安定した旋回が可能となり、重量の大きな資材を回転ドラムによって運搬することができる。
【0015】
また、本発明に係るシールドトンネルに用いる資材供給装置では、前記回転ドラムには、前記ガイドレールの周方向の所定位置で前記シールドトンネル内と連通する資材投入部が設けられていることが好ましい。
【0016】
本発明では、資材の供給時に資材投入部の位置に回転ドラムを旋回移動させることで、シールドトンネル内部から回転ドラムの内部へ資材を供給することができる。回転ドラムはガイドレールに案内されて旋回可能であるので、少なくとも1箇所の資材投入部を設けておくことにより、資材の供給を容易に行うことができる。
【0017】
また、本発明に係るシールドトンネルに用いる資材供給装置では、前記ステージは、筒軸方向の少なくとも一方に向けて進退可能に設けられ、前記回転ドラム内から前記回転ドラムの外側に移動されることが好ましい。
【0018】
このような構成にすることで、ステージ上に供給される資材をガイドレールの周方向の所定位置で回転ドラムの外方に移動させることができる。そのため、回転ドラムに対して資材を供給、搬出する作業を回転ドラムの外方で行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係るシールドトンネルに用いる資材供給装置では、前記ステージは、前記回転ドラムの内面に沿った円弧版状に形成されていることが好ましい。
【0020】
本発明では、ステージの円弧面を回転ドラムの内面に沿って回転させることができるので、例えば回転ドラムの内面に沿う案内ガイドを配置しておき、この案内ガイドに沿ってステージを旋回させることが可能となる。
【0021】
また、本発明に係るシールドトンネルに用いる資材供給装置では、前記ステージを備えた前記回転ドラムは、前記ガイドレール内で複数設けられていることが好ましい。
【0022】
この場合、複数の回転ドラムをそれぞれガイドレール上で単独で旋回させることが可能であることから、例えば一方の回転ドラムをガイドレールの周方向の任意の位置に固定してシールド機の組立に使用し、他方の回転ドラムをガイドレールの周方向の別の任意の位置で固定して資材の運搬等に使用するといった作業を行うことができ、複数箇所で同時に施工することができ、これにより施工効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のシールドトンネルに用いる資材供給装置、及びトンネル施工方法によれば、シールドトンネルの外周部への資材の供給を効率よく行うことができ、資材供給に必要な占有面積を小さくすることで、施工効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態によるシールドトンネルに用いる資材供給装置、及びトンネル施工方法について、図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態によるシールドトンネルに用いる資材供給装置10(
図4参照)は、例えば大断面の道路トンネルなどの地中空洞部Kを施工するに際して、その地中空洞部Kの掘削予定位置の内側に本線シールドトンネル1を予め施工しておき、その本線シールドトンネル1の外側に複数の外殻シールドトンネル2を施工することにより、それら外殻シールドトンネル2によって本線シールドトンネル1を取り囲む外殻体20を構築し、この外殻体20の内側を掘削して地中空洞部Kを構築するシールドトンネルの施工に用いられている。本線シールドトンネル1および外殻シールドトンネル2は、在来のシールド工法により施工されるものである。
ここで、本線シールドトンネル1におけるトンネル軸方向を符号Xで示す。
なお、
図2では、見易くするために複数の外殻シールドトンネル2のうち一部(紙面手前側に位置するもの)を省略している。
【0027】
本実施の形態の地中空洞部Kは、
図2及び
図3に示すように、本線シールドトンネル1を施工した後、本線シールドトンネル1における発進基地部において周方向の一部分を切り広げた円周シールド発進基地3A(円周シールド発進部)を施工し、円周シールド発進基地3Aから円周シールド機5によって本線シールドトンネル1の外周面1aに沿って周方向に掘削してリング状の外殻シールド発進基地3B(外殻シールド発進部)を施工し、さらに外殻シールド発進基地3Bより外殻シールド機6を発進させて、複数の外殻シールドトンネル2を設けることにより施工される。
【0028】
外殻シールドトンネル2は、外殻シールド発進基地3Bから本線シールドトンネル1と平行に発進させると共に、掘進に従って漸次、本線シールドトンネル1から径方向の外側に離れる方向に向けて掘進される。また、外殻シールドトンネル2は、外殻シールド発進基地3Bにおいて周方向に沿って配置される複数の外殻シールド機6を同時、あるいは適宜な順番で掘進させることにより、施工される。
【0029】
なお、本実施の形態では本線シールドトンネル1の直径が例えば16m程度、円周シールド機5の掘進により形成される外殻シールド発進基地3Bの外径が28m程度で且つ径方向の高さ寸法が6m程度であり、また外殻シールド発進基地3Bのトンネル軸方向Xの長さが12.3m程度であることを想定している。
【0030】
資材供給装置10は、
図4に示すように、地中空胴部Kを施工する過程において、主に複数の外殻シールドトンネル2を施工するための外殻シールド発進基地3B内に設置されている。そして、この資材供給装置10を使用して、外殻シールド機6を外殻シールド発進基地3B内に設置して発進準備をし、発進した後において、本線シールドトンネル1の外周部分に掘進に伴って発生するセグメント、各種管材、枕木等の資材が供給される。
なお、資材供給装置10は、資材の供給、搬入に使用されることに限らず、資材の搬出にも使用できることは言うまでもない。
【0031】
図4乃至
図6に示すように、資材供給装置10は、本線シールドトンネル1と同軸に、且つ外周に沿ってリング状に配置されるガイドレール11、12と、ガイドレール11、12に沿って旋回するとともに、筒軸C(
図5、
図6)を本線シールドトンネル1のトンネル軸方向Xに平行に向けた円筒状の回転ドラム13と、回転ドラム13内で筒軸C回りに周回可能に設けられたステージ14と、を備えている。
【0032】
ガイドレール11、12は、互いに本線シールドトンネル1に同軸に配置される内周レール11と外周レール12を有し、内周レール11及び外周レール12ともにトンネル軸方向Xに一定の間隔をあけて一対設けられている。
図7に示すように、内周レール11は、外殻シールド発進基地3Bにおいて、本線シールドトンネル1の外周面1aの外側に配置され、そのレール外周面には全周にわたって第1係止歯11aが形成されている。
外周レール12は、発進基地部1Aにおいて、内周レール11の径方向の外側に配置され、そのレール内周面には全周にわたって第2係止歯12aが形成されている。
【0033】
回転ドラム13は、
図4及び
図5に示すように、内周レール11と外周レール12の間で、両レール11、12に案内されるように設けられ、本線シールドトンネル1の外側を旋回領域とするように配置されている。回転ドラム13は、
図7に示すように、筒状に形成されたドラム本体13Aと、本線シールドトンネル1の外周面1a及び外殻シールド発進基地3Bのセグメント内面に沿って周方向に走行可能に支持された走行支持部13Bと、を備えている。
ステージ14を備えた回転ドラム13は、ガイドレール11、12内で複数(ここでは、
図5に示すように3つ)設けられている。
【0034】
回転ドラム13のドラム本体13Aには、トンネル軸方向Xに配置される一対のガイドレール11、11(12、12)に対応する位置に、H形鋼等の鋼材を環状に形成した一対の支持リング13C(
図4参照)が設けられている。そして、
図7に示すように、これら支持リング13Cの周面には、全周にわたって上記内周レール11の第1係止歯11aと外周レール12の第2係止歯12aに噛合する第3係止歯13aが形成されている。なお、
図7では、見易くするために第3係止歯13aの上下の一部のみを示している。
【0035】
走行支持部13Bは、ドラム本体13Aの周面に対して転動するローラ13bと、本線シールドトンネル1の外周面1a及び外殻シールド発進基地3Bのセグメント内面に沿って転動する走行輪13cと、が連結材13dによって一体に設けられた構成となっている。さらに走行支持部13Bには、ドラム本体13Aの第3係止歯13aに噛合する駆動モータ13Dが固定されている。回転ドラム13は、駆動モータ13Dを駆動させることにより、筒軸Cを中心に正逆いずれかに回転し、ガイドレール11、12に案内されて、本線シールドトンネル1の中心軸回りに旋回する。
【0036】
回転ドラム13のドラム本体13Aには、
図5に示すように、ガイドレール11、12の周方向の所定位置(真下の位置)で本線シールドトンネル1内と連通する開口をなす資材投入部13Eが設けられている。この資材投入部13Eは、開口の状態でもよいし、図示しない開閉扉を設けた開閉式でもよい。
【0037】
ステージ14は、
図6に示すように、筒軸C方向で外殻シールドトンネル2の掘進側に向けて突出するように例えば伸縮ジャッキ等の進退移動手段により進退可能に設けられ、回転ドラム13内から回転ドラム13の外側に移動される構成となっている。ステージ14は、回転ドラム13の内面に沿った円弧版状に形成され、回転ドラム13に対して筒軸C回り(
図7で矢印F方向)に回転可能に設けられている。これによりステージ14は、回転ドラム13がどの位置にあっても、ドラム本体13Aの略下半部分の領域に配置されることができる。
【0038】
次に、上述した資材供給装置10を用いた大断面トンネルの施工方法について、図面に基づいてさらに詳しく説明する。
本実施の形態では、
図3に示すように、本線シールドトンネル1が所定の予定位置に達した時点で、解体することを考慮したセグメントと、円周シールド機5を案内させるための一対のリング状のガイドリング51A、51Bを組み立てた後、さらに掘進を続ける。そして、本線シールドトンネル1の発進基地部1Aにおいて、円周シールド機5により、本線シールドトンネル1の周囲にドーナツ状(リング状)の外殻シールド発進基地3B(
図1参照)を築造し、この発進基地内部より外殻シールド機6(
図2参照)を発進させる。
なお、これらガイドリング51A、51B同士の間における本線シールドトンネル1の発進基地部1Aには、円周シールド発進基地3A、および円周シールド機5の掘進に伴うセグメント撤去作業を容易にするため、多分割化された仮設セグメントが採用されている。
【0039】
次に、ガイドリング51A、51B同士の間における本線シールドトンネル1の底部において、多分割セグメントを解体、撤去し、山留めを行いながら掘削することにより、ボックス形状の円周シールド発進基地3Aを形成する。そして、円周シールド発進基地3A内において、円周シールド機5を組み立てる。
【0040】
ここで、円周シールド機5は、矩形断面の掘削面板52およびスキンプレート53を備えている。スキンプレート53の内周板53A(本線シールドトンネル1側)と外周板53Bとは、本線シールドトンネル1と同軸の円弧板状をなしている。内周板53Aのトンネル軸方向Xの前後縁端部には、ガイドリング51A、51Bに移動可能に係合する摺動部54A、54Bが設けられている。つまり、円周シールド機5は、ガイドリング51A、51Bに摺動部54A、54Bを案内させながら、本線シールドトンネル1の外周面1aに沿って掘進し、円周シールド機5のテール内において、断面視でコの字形の円周セグメント4を順次組み立てて覆工を行いつつ、本線シールドトンネル1の撤去可能な仮設セグメントの撤去を繰り返し行うことにより、本線シールドトンネル1の外周面1aに沿うリング状の外殻シールド発進基地3Bが構築される。
【0041】
次に、
図1に示すように、外殻シールド発進基地3B内において、複数の円形断面の外殻シールド機6を設置し、トンネル軸方向Xに平行に発進させることにより、複数の外殻シールドトンネル2を施工し、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造する。
【0042】
具体的には、
図4及び
図6に示すように、外殻シールド発進基地3Bのトンネル軸方向Xの後半部分(掘進方向側とは反対側の部分)に資材供給装置10を設置する。そして、外殻シールド発進基地3Bに面する本線シールドトンネル1の下部分を撤去して、外殻シールド発進基地3B内に連通する資材投入口1b(
図5参照)を設ける。
【0043】
その後、資材供給装置10の回転ドラム13を資材投入口1bに位置する真下の位置へ旋回させ、回転ドラム13内のステージ14上に外殻シールド機6を供給する。そして、回転ドラム13をガイドレール11、12に沿って所定の発進位置に旋回させる。このときステージ14が回転ドラム13に対して相対的に回転可能に設けられているので、回転ドラム13の旋回移動に追従させてステージ14を筒軸C回り(
図7の矢印F方向)に回転せることで、回転ドラム13の周方向に位置にかかわらずステージ14の載置面を常に水平になるように保持することができる。そして、外殻シールド機6を載置させたままステージ14を水平移動させ、ステージ14から外殻シールド機6を発進させて、複数の外殻シールドトンネル2を施工することができる。
【0044】
なお、本実施の形態のガイドレール11、12上には、3台の回転ドラム13が設けられ、これら複数の回転ドラム13を周方向の所定位置に配置して、同時に複数の外殻シールド機6を掘進させることができるので、工期の短縮を図ることができる。
【0045】
次に、
図1に示すように、施工された複数本の外殻シールドトンネル2のうち周方向に隣り合う外殻シールドトンネル2、2同士の間を、凍結工法、薬液注入工法等により地盤改良を行った後、切開き構造体として接続することにより一体化を図り、これにより支保機能、及び止水機能を有する外殻体20を形成する。
なお、外殻シールド機6は、外殻シールドトンネル2を掘進し、分岐拡幅部の褄壁予定地点に到達させて解体、回収し、再び外殻シールド発進基地3Bで組み立てて発進させ、別の外殻シールドトンネル2を施工するように繰り返し使用するようにしても良い。
【0046】
その後、褄壁予定地点の本線シールドトンネル1の褄壁付近のセグメントを解体、撤去して褄壁を構築しながら、外殻体20の内側を掘削するとともに、本線シールドトンネル1のシールドルーフ内の残りのセグメントを解体、撤去し、地中空洞部Kを形成する。
【0047】
次に、上述したシールドトンネルに用いる資材供給装置、及びトンネル施工方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図4に示すように、本実施の形態では、本線シールドトンネル1に設置された回転ドラム13内のステージ14上に資材を供給した後、回転ドラム13をガイドレール11、12に沿って案内させて周方向に旋回することで、ステージ14上の資材を、本線シールドトンネル1の外周部分の所定位置へ運搬することができる。
このように、ステージ14への資材の供給部分を本線シールドトンネル1の一部のみ(本実施の形態では本線シールドトンネル1の真下の位置(資材投入口1b))で行うことができるうえ、ステージ14を有する回転ドラム13が本線シールドトンネル1の外周部分のみを旋回する構成となるので、資材の供給に必要な占有面積を小さくすることが可能となり、本線シールドトンネル1の断面全体を塞ぐように資材搬入用の仮設構台を設ける従来の場合に比べて、本線シールドトンネル1で行う他の作業への影響を低減することができる。
【0048】
そして、上記資材供給装置10を使用してトンネルを施工する場合には、外殻シールドトンネル2の一部に全周にわたって外殻シールド発進基地3Bを設け、この外殻シールド発進基地3Bに資材供給装置10を設置することで、回転ドラム13の旋回領域を本線シールドトンネル1の外周側とすることができ、本線シールドトンネル1の断面を有効に使用することができる。しかも、資材供給装置10を使用して外殻シールド機6の搬入・組立作業が可能となり、工期短縮を図ることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、回転ドラム13の旋回領域を本線シールドトンネル1の外周側とすることができ、本線シールドトンネル1内に回転ドラムが旋回することがないので、回転ドラム13を使用した資材運搬時において本線シールドトンネル1の断面を有効に使用することができる。
【0050】
また、本実施の形態では、回転ドラム13は内周レール11と外周レール12との両者によって内外から支持された状態でガイドレール11、12に沿って旋回することができるので、振れのない安定した旋回が可能となり、重量の大きな資材を回転ドラム13によって運搬することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態では、資材の供給時に資材投入部の位置に回転ドラム13を旋回移動させることで、本線シールドトンネル1内部から回転ドラム13の内部へ資材を供給することができる。回転ドラム13はガイドレール11、12に案内されて旋回可能であるので、少なくとも1箇所の資材投入部を設けておくことにより、資材の供給を容易に行うことができる。
【0052】
また、本実施の形態では、ステージ14上に供給される資材をガイドレール11、12の周方向の所定位置で回転ドラム13の外方に移動させることができる。そのため、回転ドラム13に対して資材を供給、搬出する作業を回転ドラム13の外方で行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
【0053】
さらに、本実施の形態では、ステージ14の円弧面を回転ドラム13の内面に沿って回転させることができるので、例えば回転ドラム13の内面に沿う案内ガイドを配置しておき、この案内ガイドに沿ってステージ14を旋回させることが可能となる。
【0054】
しかも、この場合、複数の回転ドラム13をそれぞれガイドレール11、12上で単独で旋回させることが可能であることから、例えば一方の回転ドラム13をガイドレール11、12の周方向の任意の位置に固定してシールド機の組立に使用し、他方の回転ドラム13をガイドレール11、12の周方向の別の任意の位置で固定して資材の運搬等に使用するといった作業を行うことができ、複数箇所で同時に施工することができ、これにより施工効率の向上を図ることができる。
【0055】
上述のように本実施の形態によるシールドトンネルに用いる資材供給装置、及びトンネル施工方法では、シールドトンネルの外周部への資材の供給を効率よく行うことができ、資材供給に必要な占有面積を小さくすることで、施工効率の向上を図ることができる。
【0056】
以上、本発明によるシールドトンネルに用いる資材供給装置、及びトンネル施工方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、資材供給装置10のガイドレールとして、内周レール11と外周レール12を設けているが、いずれか一方であってもかまわない。
また、回転ドラム13のドラム本体13A内に進退可能に設けられるステージ14を省略することも可能である。
また、ステージ14の形状として円弧版状であることに制限されることはなく、平版状のステージであってもよい。
【0057】
また、本実施の形態の資材供給装置10では、回転ドラム13をガイドレール11、12に対して3つを設けた構成としているが、この回転ドラム13の数量は適宜設定することが可能であり、1つでも2つでも良いし、4つ以上あってもかまわない。
【0058】
また、円周シールド発進基地3A、外殻シールド発進基地3Bの位置、大きさ等は、本線シールドトンネル1の外径などの条件に応じて適宜変更可能である。さらに、円周シールド機5の構成や、外殻シールド機6の台数、外径などの構成についても本実施の形態に制限されることはなく、任意に決定することができる。
【0059】
また、本実施の形態の資材供給装置10は、大断面の道路トンネルを施工する場合の適用例であるが、これに限定されることはなく、他のシールドトンネルの施工に用いることも可能である。そして、上記地中空洞部を有する様々な規模、用途、形態のトンネルを施工する場合全般に広く適用できるものであるし、施工対象のトンネルにおける地中空洞部の規模や形態に応じて、また周辺環境等の諸条件を考慮して様々な設計的変更が可能である。
【0060】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。