【解決手段】アルコールとアルコールを固化させる難燃性の固形分とを含有する固形燃料を載置するための板状部材を備える固形燃料用容器であって、上記板状部材は、固形燃料を載置する面である載置面と、上記載置面の裏側の面である底面を有しており、上記載置面と上記底面は、一方の面が凸形状であり、他方の面が凹形状であって、共に湾曲した面となっており、上記板状部材は、凸形状の面から凹形状の面に向けて力を加えた際に、凸形状の向きと凹形状の向きが反転する機構を有することを特徴とする固形燃料用容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような燃料容器の上に固形燃料を配置して燃焼を行うと、固形燃料の燃焼によりアルコール分はほぼすべてが燃焼するが、アルコールを固化するための固形分である石鹸成分が燃え残り、燃焼容器の底面部(吸熱体の上面部)に燃え残る。燃え残った固形分は燃焼容器の底面部に密着し、取れにくいため、燃料容器を繰り返し使用するにあたり労力をかけて固形分を除去する必要があった。
【0006】
特許文献2に記載された固形燃料のように、固形燃料の周囲がアルミ箔等の不燃物で覆われている場合、燃え残った固形分はアルミ箔等の不燃物上に付着するので、燃焼後にはアルミ箔等の不燃物を捨てればよい。しかしながら、アルミ箔等の不燃物で固形燃料を覆った固形燃料はコストが高くなるという問題があった。また、不燃物で覆われる分だけ燃料固形物が露出する表面積が小さくなり、燃焼時の火力が弱くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した従来の固形燃料及び燃焼容器が有する問題点を解決するためにされたものであり、固形燃料が燃え残った固形分の除去が容易であり、コスト的に有利であり、燃焼時の火力の低下を生じない構造である固形燃料の燃焼用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の固形燃料用容器は、アルコールとアルコールを固化させる難燃性の固形分とを含有する固形燃料を載置するための板状部材を備える固形燃料用容器であって、
上記板状部材は、固形燃料を載置する面である載置面と、上記載置面の裏側の面である底面を有しており、
上記載置面と上記底面は、一方の面が凸形状であり、他方の面が凹形状であって、共に湾曲した面となっており、
上記板状部材は、凸形状の面から凹形状の面に向けて力を加えた際に、凸形状の向きと凹形状の向きが反転する機構を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の固形燃料用容器に固形燃料を載置して燃焼させると、固形燃料に含まれる難燃性の固形分が固形燃料用容器の載置面上に付着する。
本発明の固形燃料用容器は、その載置面及び載置面の裏側の面である底面を有する板状部材の形状に特徴があり、板状部材に力を加えることで凸形状の向きと凹形状の向きが反転する機構を有する。
難燃性の固形分が固形燃料用容器の載置面上に付着した状態で、凸形状である側の面から凹形状である面に向けて板状部材に力を加えると凸形状の向きと凹形状の向きを反転させることができる。
そして、この反転により、固形燃料用容器の載置面上に付着した難燃性の固形分を剥がすことができる。すなわち、本発明の固形燃料用容器は、固形燃料が燃え残った固形分の除去が容易である構造であるといえる。また、固形燃料をアルミ箔等の不燃物で覆う必要がないため燃焼時の火力の低下を生じることはなく、さらにコスト的にも有利な構造となる。
また、固形分を除去した後に、板状部材に対して再度反対向きに力を加えると、板状部材を元の形に戻すことができるため、固形燃料用容器の再利用も容易である。
【0010】
本発明の固形燃料用容器において、上記板状部材の材質は、鉄、ステンレス、アルミ合金、銅合金、又は、これらを複合した複合材料であることが望ましい。
これらの材質であると、耐熱性に優れ、かつ、曲げ荷重に対して割れない粘りを有するので望ましい。
【0011】
本発明の固形燃料用容器において、上記板状部材の厚さは0.15〜1.5mmであることが望ましい。板状部材の厚さが0.15mm未満であると荷重を繰り返し加えたときに板状部材に裂けや割れが生じるおそれがある。また、板状部材の厚さが1.5mmを超えると凸形状の向きと凹形状の向きを反転させるのにかなり大きな力が必要となり、固形分の除去の作業性が低下する。
【0012】
本発明の固形燃料用容器において、上記板状部材には、上記凸形状及び上記凹形状の組み合わせからなる湾曲した部分が複数箇所に設けられていることが望ましい。
このような構成である場合、板状部材の湾曲した部分のそれぞれの凸形状である側の面から力を加えることによって、それぞれの凸形状の向きと凹形状の向きを反転させて、付着した固形分の除去を行うことができる。
【0013】
本発明の固形燃料用容器において、上記板状部材の上記底面側には、さらに脚部を備えており、
上記脚部の高さは、上記底面の最も低い部分が接地しないような高さに定められていることが望ましい。
板状部材は湾曲しているため底面の湾曲した部分が接地する状態では固形燃料用容器の安定性が低く、固形燃料の燃焼の安全性の観点から好ましくない。一方、上記構成であると、脚部が接地し、底面が接地しないため、固形燃料用容器の安定性が向上し、固形燃料の燃焼の安全性が高まるため好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の固形燃料用容器は、載置面の湾曲した面の向きを反転させることができるので、固形燃料が燃え残った固形分の除去が容易である構造である。また、固形燃料をアルミ箔等の不燃物で覆う必要がないため燃焼時の火力の低下を生じることはなく、さらにコスト的にも有利な構造となる。
また、固形分を除去した後に、板状部材に対して再度反対向きに力を加えると、板状部材を元の形に戻すことができるため、固形燃料用容器の再利用も容易である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の固形燃料用容器について、具体的な実施形態を示しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではない。
【0017】
(第一実施形態)
図1は、固形燃料用容器の一例を模式的に示した斜視図である。
図2(a)は
図1に示す固形燃料用容器に固形燃料を載置した様子を模式的に示した斜視図であり、
図2(b)は固形燃料用容器の蓋を模式的に示した斜視図であり、
図2(c)は
図2(b)に示す蓋を固形燃料用容器に被せた様子を模式的に示した斜視図である。
【0018】
図1に示す固形燃料用容器10は、固形燃料を載置するための板状部材20を備えた有底の円筒状の容器である。板状部材20の、固形燃料を載置する面を載置面21とし、載置面21の裏側の面を底面22とする。
載置面21は、載置面の全体が、載置面21の側から見て中心が最も高くなった凸形状となっており、底面22は、底面の全体が、底面22の側から見て中心が最も低くなった凹形状となっている。
板状部材20の厚さは一定であるため、凸形状と凹形状の湾曲の程度は同じである。
【0019】
図2(a)に示すように、固形燃料用容器10の載置面21には固形燃料40が載置される。
固形燃料は、アルコールとアルコールを固化させる難燃性の固形分とを含有する。
アルコールとしては、メタノールが望ましく、難燃性の固形分としては、ステアリン酸等の脂肪酸のアルカリ金属塩(石鹸成分)が望ましい。
固形燃料の形状は特に限定されるものではないが、固形燃料用容器の内部形状と相似形状であることが望ましく、円柱状であることが望ましい。
【0020】
固形燃料用容器を使用する際は、固形燃料用容器の形状に対応した形状の蓋を使用することも可能である。
図2(b)に示す蓋30は、固形燃料用容器10の形状に対応した形状であり、中央部に開口部31を有する。
図2(c)に示すように、固形燃料用容器10に固形燃料40を載置して蓋30を被せると、開口部31から固形燃料40の表面の一部が露出する。
開口部31の径(開口部の面積)を調整することにより、固形燃料40の表面の露出する面積が調整され、固形燃料が燃焼する際の火力が調整される。固形燃料40の表面の露出する面積を大きくすれば火力が大きくなり、小さくすれば火力は小さくなる。
【0021】
図3は、固形燃料用容器に固形燃料を載置して燃焼させる使用例を模式的に示す一部透視断面図である。
図3では、固形燃料用容器10、蓋30及びコンロ50は断面図としてハッチングを付して示している。
固形燃料用容器10は、その内部に固形燃料40を載置し、蓋30を被せた状態で、コンロ50の中央底部に置かれる。コンロ50の上には鍋60等の加熱対象物が置かれ、開口部31から露出した固形燃料40の表面に着火することで固形燃料40が燃焼し、鍋60等の加熱対象物が加熱される。
固形燃料に含まれるアルコール分がすべて燃焼すると、火が消え、固形燃料用容器10の載置面21の上には固形燃料が燃え残った難燃性の固形分が付着する。
【0022】
図4(a)は、固形燃料が固形燃料用容器内で燃焼する様子を模式的に示す断面図であり、
図4(b)は、固形燃料用容器の載置面上に固形燃料が燃え残った難燃性の固形分が付着した様子を模式的に示す断面図であり、
図4(c)は、凸形状の面から板状部材に力を加える様子を模式的に示す断面図であり、
図4(d)は、凸形状の向きと凹形状の向きを反転させて固形分を剥がす様子を模式的に示す断面図である。
【0023】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、固形燃料40が固形燃料用容器10内で燃焼した後には、載置面21の上に固形燃料が燃え残った難燃性の固形分41が付着する。
そして、
図4(c)に示すように、凸形状の面(載置面21)から凹形状の面(底面22)に向けて力を加えると、
図4(d)に示すように、板状部材20の凸形状と凹形状の向きが反転する。この反転に伴って固形分41が載置面21から剥がれて脱落する。
このようにして固形燃料用容器の載置面上に付着した難燃性の固形分を剥がすことができる。
なお、
図4(c)及び
図4(d)では、板状部材に力を加える際に固形燃料用容器の向きを上下逆さまにした例を示したが、板状部材に力を加える際に固形燃料用容器の向きを上下逆さまにすることは必須ではない。
【0024】
固形分を剥がした後の固形燃料用容器は再度使用することができる。固形分を除去した後に、板状部材に対して再度反対向きに力を加えると、板状部材が元の形に戻るようになっていてもよく、また、板状部材に弾性があって、手を放した後に弾性により自然に元の形に戻るようになっていてもよい。
【0025】
なお、固形燃料用容器の断面形状においては、固形燃料用容器が安定して接地されるように脚部が設けられていることが望ましい。
図4(a)及び(b)に示す脚部23は平坦な面を有し、接地される部位である。脚部は板状部材に力を加えた際に向きが反転しない部分である。
底面22の一部が、平坦な脚部23となっていることで固形燃料用容器が燃焼時に揺れたり傾いたりすることが防止される。
図4(a)及び(b)に示す脚部は板状部材と一体的に成形されており、同じ1枚の板から製造された部位である。
脚部の一体的な成形は、プレス成型等の方法により行うことができる。
【0026】
固形燃料用容器を構成する板状部材の厚さは、力を加えることによる凸形状の向きと凹形状の向きの反転を無理なく行うことができる厚さであれば特に限定されるものではないが、0.15〜1.5mmであることが望ましく、0.2〜1.2mmであることがより望ましい。
板状部材の厚さが0.15mm未満であると荷重を繰り返し加えたときに板状部材に裂けや割れが生じるおそれがある。また、板状部材の厚さが1.5mmを超えると凸形状の向きと凹形状の向きを反転させるのにかなり大きな力が必要となり、固形分の除去の作業性が低下する。
【0027】
また、板状部材の材質も、力を加えることによる凸形状の向きと凹形状の向きの反転を無理なく行うことができる材料であれば特に限定されるものではない。また、炎が触れる可能性がある部材であることから、不燃性材料であることが望ましく、耐熱性の高い材料であることが望ましい。このような観点から、板状部材は金属材料であることが望ましく、金属材料としては鉄、ステンレス、アルミ合金、銅合金、又は、これらを複合した複合材料が挙げられるが、高い弾性率と降伏応力を有する鉄又はステンレスであることがより望ましい。
なお、上記金属材料として挙げた材料には、上記した材料にめっき等の表面処理がされた材料も含まれ、例えば鉄には鉄にすずメッキを施したブリキや、ニッケルメッキを施したメッキ鋼板が含まれる。
【0028】
板状部材の載置面及び底面の凹凸の高さは、特に限定されるものではないが、凹凸の高さが高すぎると固形燃料を載置面に載置した際に固形燃料の位置が安定しないことがあり、また、凹凸の高さが低すぎると凸形状の向きと凹形状の向きを反転させた場合に固形分が載置面から剥がれないことがある。
本明細書において、凹凸の高さとは、載置面側において最も高い位置と最も低い位置の高低差を意味する(
図4(a)においてh
1で示す高さ)。
具体的な凹凸の高さは、固形燃料用容器のサイズに合わせて定めればよいが、載置面が直径30〜60mmφの円である場合、凹凸の高さは0.5〜2mmであることが望ましい。また、載置面が直径60〜120mmφの円である場合、凹凸の高さは1.5〜4mmであることが望ましい。
【0029】
(第二実施形態)
第一実施形態では、載置面が凸形状である固形燃料用容器について説明したが、載置面が凹形状であってもよい。
図5(a)は、載置面が凹形状である固形燃料用容器の一例を模式的に示す断面図であり、
図5(b)は、固形燃料が
図5(a)に示す固形燃料用容器内で燃焼する様子を模式的に示す断面図であり、
図5(c)は、
図5(a)に示す固形燃料用容器の載置面上に固形燃料が燃え残った難燃性の固形分が付着した様子を模式的に示す断面図であり、
図5(d)は、凸形状の面から板状部材に力を加える様子を模式的に示す断面図であり、
図5(e)は、凸形状の向きと凹形状の向きを反転させて固形分を剥がす様子を模式的に示す断面図である。
【0030】
図5(a)に示す固形燃料用容器110は、固形燃料を載置するための板状部材120を備えた有底の円筒状の容器である。板状部材120の、固形燃料を載置する面を載置面121とし、載置面121の裏側の面を底面122とする。
載置面121は、載置面の全体が、載置面121の側から見て中心が最も低くなった凹形状となっており、底面122は、底面の全体が、底面122の側から見て中心が最も高くなった凸形状となっている。
板状部材120の厚さは一定であるため、凸形状と凹形状の湾曲の程度は同じである。
凸形状と凹形状の向きが異なる他は、
図1に示す固形燃料用容器10と同様の構成である。
この場合の凹凸の高さは、
図5(a)においてh
2で示す高さであり、望ましい凹凸の高さの範囲は第一実施形態の固形燃料用容器と同様である。
但し、底面122がその中心部分で接地するため、脚部に相当する部位は存在しない。
【0031】
図5(b)に示すように、固形燃料用容器110の載置面121上に固形燃料40を載置して蓋130を被せて、固形燃料40が燃焼した後には、
図5(c)に示すように、載置面121の上に固形燃料が燃え残った難燃性の固形分41が付着する。
そして、
図5(d)に示すように、凸形状の面(底面122)から凹形状の面(載置面121)に向けて力を加えると、
図5(e)に示すように、板状部材120の凸形状と凹形状の向きが反転する。この反転に伴って固形分41が載置面121から剥がれて脱落する。
このようにして固形燃料用容器の載置面上に付着した難燃性の固形分を剥がすことができる。
なお、
図5(d)及び
図5(e)では、板状部材に力を加える際に固形燃料用容器の向きを上下逆さまにした例を示したが、板状部材に力を加える際に固形燃料用容器の向きを上下逆さまにすることは必須ではない。
【0032】
載置面の形状が凹形状であると、載置面の形状が凸形状の場合と比べて固形燃料を載置面に載置した際に固形燃料の位置が安定しやすい点で好ましい。
【0033】
(第三実施形態)
本発明の固形燃料用容器は、凸形状及び凹形状の組み合わせからなる湾曲した部分が複数箇所に設けられている構成であってもよい。
図6は、凸形状及び凹形状の組み合わせからなる湾曲した部分が複数箇所に設けられている固形燃料用容器を模式的に示す斜視図である。
図6に示す固形燃料用容器210では、板状部材220に、凸形状と凹形状の組み合わせからなる湾曲した部分が3箇所(224a、224b、224c)に設けられている。
上記湾曲した部分は、載置面221側が凹形状となっており、底面222側が凸形状となっている。
【0034】
上記湾曲した部分は、第一実施形態及び第二実施形態で説明した固形燃料用容器と同様に、板状部材の凸形状である面から力を加えることで凸形状と凹形状の向きが反転する。この反転に伴って固形分が載置面から剥がれて脱落する。
【0035】
図6には、載置面221側が凹形状となっており、底面222側が凸形状となっている形態を示しているが、湾曲した部分が複数ある場合に、載置面側が凸形状で底面側が凹形状となっていてもよい。また、複数ある湾曲した部分の湾曲の向きが揃っていなくても良く載置面側が凸形状で底面側が凹形状である部分と、載置面側が凹形状で底面側が凸形状である部分が共に存在していてもよい。
また、湾曲した部分の数は特に限定されるものではなく、その位置も限定されるものではないが、安定性の観点から載置面の中心に対して点対称になる位置に配置されていることが望ましく、その数は2〜4箇所であることが望ましい。
【0036】
(第四実施形態)
本発明の固形燃料用容器は、底面側に、底面の最も低い部分が接地しないような高さに定められている脚部を備えていてもよい。
図7(a)及び
図7(b)は、板状部材と一体成形された脚部を備えた固形燃料用容器の一例をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図7(a)に示す固形燃料用容器310は、第二実施形態の固形燃料用容器と同様に載置面321の形状が凹形状である固形燃料用容器である。
固形燃料用容器310は、板状部材320と一体成形された脚部323を備えている。
脚部323の高さH
1は、底面322の最も低い部分が接地しないような高さとなっている。そのため、脚部323が接地し、底面322は接地しないため、固形燃料用容器の安定性が向上する。
【0037】
図7(b)に示す固形燃料用容器410は、第一実施形態の固形燃料用容器と同様に載置面421の形状が凸形状である固形燃料用容器である。
固形燃料用容器410は、板状部材420と一体成形された脚部423を備えている。
脚部423の高さH
2は、底面422の最も低い部分が接地しないような高さとなっており、さらに、板状部材の凸形状の向きと凹形状を反転させた際に、底面422の最も低い部分が接地しないような高さとなっている。
そのため、板状部材の凸形状の向きと凹形状を反転させた際にも脚部423が接地し、底面422は接地しないため、固形燃料用容器の安定性が向上する。
【0038】
なお、一体成形された脚部の高さは、脚部が接地する部分と、載置面の最も高い部分との間の高さとして定める。また、脚部の一体成形は、プレス成型等の方法により行うことができる。
【0039】
図8(a)及び
図8(b)は、板状部材とは別の部材からなる脚部が取り付けられた固形燃料用容器の一例をそれぞれ模式的に示す断面図である。
図8(a)に示す固形燃料用容器510は、第二実施形態の固形燃料用容器と同様に載置面521の形状が凹形状である固形燃料用容器である。
固形燃料用容器510には、その底面522に、板状部材520とは別の部材からなる脚部523が取り付けられている。
脚部の材質は、板状部材と同様に金属材料であることが望ましく、溶接等の手法で板状部材に取り付けられていることが望ましい。
脚部は、底面の外周の全部に取り付けられた筒状の部材であってもよいし、底面の外周の一部に複数箇所取り付けられた柱状の部材であってもよい。
脚部523の高さH
3は、底面522の最も低い部分が接地しないような高さとなっている。そのため、脚部523が接地し、底面522は接地しないため、固形燃料用容器の安定性が向上する。
【0040】
図8(b)に示す固形燃料用容器610は、第一実施形態の固形燃料用容器と同様に載置面621の形状が凸形状である固形燃料用容器である。
固形燃料用容器610は、その底面622に、板状部材620とは別の部材からなる脚部623が取り付けられている。
脚部623の高さH
4は、底面622の最も低い部分が接地しないような高さとなっており、さらに、板状部材の凸形状の向きと凹形状を反転させた際に、底面622の最も低い部分が接地しないような高さとなっている。
そのため、板状部材の凸形状の向きと凹形状を反転させた際にも脚部623が接地し、底面622は接地しないため、固形燃料用容器の安定性が向上する。
【0041】
なお、板状部材とは別の部材からなる脚部の高さは、脚部を構成する別部材自身の高さとして定める。
【実施例】
【0042】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例だけに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
図1に示す、載置面の形状が凸形状の固形燃料用容器10を製造した。すなわち、厚さ0.5mmのステンレス304の板をプレス成型して、載置面の直径54mm、凹凸の高さが1mmである固形燃料用容器を製造した。
【0044】
(実施例2)
図7(a)に示す、載置面の形状が凹形状の固形燃料用容器310を製造した。すなわち、厚さ0.25mmのブリキの板をプレス成型して、載置面の直径100mm、凹凸の高さが2mmである固形燃料用容器を製造した。脚部の高さは3mmとした。
【0045】
(固形燃料の燃焼及び固形分除去試験)
実施例1、2の固形燃料用容器に、メタノール及び石鹸成分(ステアリン酸ナトリウムを含む)からなる円柱状の固形燃料(実施例1では直径38mmφ、高さ31mm、実施例2では直径88mmφ、高さ46mm)を載置し、固形燃料に着火して燃焼させた。
固形燃料の燃焼終了後、固形燃料用容器の載置面に固形分が残留していることを確認した。
固形分が室温にまで冷えた後、凸形状である側の面から凹形状である面に向けて板状部材に力を加え、凸形状の向きと凹形状の向きを反転させた。
そして、この反転により、固形燃料用容器の載置面上に付着した固形分が剥がれ、除去されることを確認した。