(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-129640(P2015-129640A)
(43)【公開日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】電力測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 21/133 20060101AFI20150619BHJP
【FI】
G01R21/133 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-20(P2014-20)
(22)【出願日】2014年1月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河メータ&インスツルメンツ株式会社
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】細野 洋
(72)【発明者】
【氏名】阪田 英資
(57)【要約】
【課題】高調波測定結果がエラーになった場合に、その原因を視覚的に確認してその原因を解決するための適切な条件変更設定を迅速に行うことにより、効率よく高調波測定が行える電力測定装置を提供すること。
【解決手段】 高調波測定機能を有する電力測定装置において、
高調波測定処理実行前後の少なくともいずれかにおける処理状況を表示手段に可視化表示するように管理する高調波測定管理手段を設けたことを特徴とするもの。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高調波測定機能を有する電力測定装置において、
高調波測定処理実行前後の少なくともいずれかにおける処理状況を表示手段に可視化表示するように管理する高調波測定管理手段を設けたことを特徴とする電力測定装置。
【請求項2】
前記高調波測定管理手段は、
高調波測定前に高調波測定の実行に必要な設定条件が全て成立しているか否かを判定してその結果を可視化表示するとともに不成立の場合はその原因の内容を表示手段にメッセージとして表示することを特徴とする請求項1記載の電力測定装置。
【請求項3】
前記高調波測定管理手段は、
高調波測定後に高調波解析の実行に必要な設定条件が全て成立しているか否かを判定して不成立の場合はその原因の内容を表示手段にメッセージとして表示することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力測定装置に関し、詳しくは、高調波測定機能を有する電力測定装置の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の電力測定装置の一例を示すブロック図である。
図5において、電力測定装置全体は、入力部10と、演算部20と、CPU部30とで構成されている。入力部10の出力信号は演算部20に入力され、演算部20はバスを介してCPU部30に接続されている。
【0003】
入力部10は、電圧入力部11と、電圧入力部11から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器12と、電流入力部13と、電流入力部13から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器14と、高電圧の測定時に電圧入力端子の外部に接続される分圧器15と、大電流の測定時に電流入力端子の外部に接続される分流器16とで構成されている。
【0004】
電圧入力部11は分圧抵抗11aと演算増幅器11bとで構成され、分圧抵抗11aの分圧出力は演算増幅器11bで正規化されてA/D変換器12に入力される。高電圧の測定時に電圧入力端子の外部に接続される分圧器15は、入力可能範囲を超える高電圧を入力可能範囲の電圧に変換する。
【0005】
電流入力部13は分流抵抗13aと演算増幅器13bとで構成され、分流抵抗13aの分流出力は演算増幅器13bで正規化されてA/D変換器14に入力される。大電流の測定時に電流入力端子の外部に接続される分流器16は、入力可能範囲を超える大電流を入力可能範囲の電流に変換する。これらA/D変換器12および14の出力は、演算部20に入力される。
【0006】
演算部20はFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成されていて、複数系統の入力部10からA/D変換器12および14の出力が入力されている。
【0007】
演算部20には、各入力系統のA/D変換器12の出力に基づき電圧の瞬時値を演算する電圧演算部21、A/D変換器14の出力に基づき電流の瞬時値を演算する電流演算部22、A/D変換器12および14の出力に基づき電力の瞬時値を演算する電力演算部23、これら電圧演算部21と電流演算部22および電力演算部23で演算された瞬時値を格納する瞬時値格納部24、瞬時値格納部24に格納されている電圧値と電流値および電力値についてそれぞれ所定区間(たとえば50msec〜20sec)の平均値を演算する平均値演算部25、これら平均値演算部25で演算された平均値を格納する平均値格納部26が設けられている。平均値格納部26に格納されている平均値は、CPU31からの割り込みに応じてCPU部30の測定データ格納部34に転送格納される。
【0008】
また、演算部20には、CPU部30の電圧オフセット格納部36および電流オフセット格納部37に格納されている各入力系統の電圧オフセット値および電流オフセット値が転送格納されるオフセット格納部27が設けられている。このオフセット格納部27に転送格納される電圧オフセット値および電流オフセット値は、電圧演算部21および電流演算部22における瞬時値の演算に用いられる。
【0009】
さらに、演算部20には、複数系統の入力部10から入力されるデジタル信号に対してFFT演算を行って実数部と虚数部に分けるFFT演算部28も設けられている。
【0010】
これら入力部10および演算部20をたとえば3系統実装することにより、三相の各相を同時に並行して測定できる。
【0011】
CPU部30は、相互にバス接続されたCPU31、操作部32、表示部33などで構成されている。CPU31は、装置全体の動作を統括制御する。操作部32は、測定条件やオフセット処理条件などを設定入力する。表示部33は、測定条件、オフセット処理条件、測定結果などを表示する。
【0012】
さらにCPU部30には、測定データ格納部34、測定値演算部35、電圧オフセット格納部36、電流オフセット格納部37、オフセット処理部38などが設けられている。
【0013】
測定データ格納部34には、前述のように、CPU31からの割り込みに応じて、平均値格納部26に格納されている平均値が転送格納されるとともに、FFT演算部28で演算された実数部と虚数部のデータ、測定値演算部35における各種の演算結果なども格納される。
【0014】
測定値演算部35は、測定データ格納部34に転送格納される電圧値、電流値、電力値の平均値、実数部と虚数部のデータなどに基づいて、各種電力、力率、位相差、負荷回路の各種パラメータ、電圧・電流・有効電力の高調波含有率や全高調波歪などを演算し、これらの演算結果を測定データ格納部34に格納する。
【0015】
電圧オフセット格納部36には、電圧入力信号の変化に伴い行われる電圧測定レンジ変更時に、電圧入力端子の外部に接続される分圧器15の入力端子を短絡した状態で測定される各入力系統の電圧オフセット値が格納される。
【0016】
電流オフセット格納部37には、電流入力信号の変化に伴い行われる電流測定レンジ変更時に、電流入力端子の外部に接続される分流器16の入力端子を短絡した状態で測定される各入力系統の電流オフセット値が格納される。
【0017】
オフセット処理部38は、測定データ格納部34に転送格納される電圧値および電流値の平均値に対して、電圧オフセット格納部36に格納される電圧オフセット値および電流オフセット格納部37に格納される電流オフセット値に基づく電圧測定値および電流測定値の直流オフセット補償演算処理を行う。具体的には、電圧測定値の平均値から電圧オフセット値を差し引き、電流測定値の平均値から電流オフセット値を差し引く。
【0018】
なお、CPU部30には装置と外部装置との間で各種データの授受などを行うための通信部なども設けられるが図示しない。
【0019】
図6は、
図5の構成における高調波測定動作の流れを説明するフローチャートである。まず、高調波の測定開始に先立ち、測定条件を含む各種パラメータの設定が行われる(ステップS1)。
【0020】
高調波を測定するための測定系統の各種パラメータの設定が完了すると、操作部32に設けられている図示しない測定開始ボタンが押し下げられたか否かが判断される(ステップS2)。測定開始ボタンが押し下げられると入力信号に対する高調波測定が開始され、表示器33に測定された高調波の測定データが表示される(ステップS3)。
【0021】
高調波の測定データが表示されるごとに、操作部32に設けられている図示しない測定停止ボタンが押し下げられたか否かが判断される(ステップS4)。
【0022】
このようにして、高調波測定動作は、操作部32に設けられている図示しない測定停止ボタンの押し下げが検出されるまで繰り返して実行される。
【0023】
測定停止ボタンの押し下げが検出されるとステップS1まで戻り、次の測定を行うための各種パラメータ設定を待機する。
【0024】
なお、ステップS2において、測定開始ボタンの押し下げが検出されるまで、ステップS1への戻りを繰り返す。
【0025】
非特許文献1には、高調波測定を有し、三相インバータの効率を1台で測定できる電力測定装置の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】岩瀬 久、伊東 修、橘 勝也、「プレシジョンパワーアナライザWT3000」、横河技報、横河電機株式会社、2005年1月20日、Vol.49 No.1(2005) p.17−20
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
ところで、高調波測定をエラーなく正しく行うためには、複数の測定条件や測定データの解析条件を、適切に設定しなければならない。
【0028】
すなわち、正しい高調波測定結果を得るためには、たとえば、
a)アクイジションモードをノーマルまたはアベレージに設定し、
b)タイムベースを内部に設定し、
c)時間軸を2ms/div以上に設定し、
d)サンプルレートを2MS/s以上に設定
する必要がある。
【0029】
しかし、高調波測定結果がエラーになった場合、ユーザがそのエラーになった要因を数多くの条件から即座に特定することは困難であり、正しい高調波測定結果を得るまでにかなりの作業工数を要することが多い。
【0030】
本発明は、このような課題を解決するものであり、その目的は、高調波測定結果がエラーになった場合に、その原因を視覚的に確認してその原因を解決するための適切な条件変更設定を迅速に行うことにより、効率よく高調波測定が行える電力測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
高調波測定機能を有する電力測定装置において、
高調波測定処理実行前後の少なくともいずれかにおける処理状況を表示手段に可視化表示するように管理する高調波測定管理手段を設けたことを特徴とする。
【0032】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電力測定装置において、
前記高調波測定管理手段は、
高調波測定前に高調波測定の実行に必要な設定条件が全て成立しているか否かを判定してその結果を可視化表示するとともに不成立の場合はその原因の内容を表示手段にメッセージとして表示することを特徴とする。
【0033】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の電力測定装置において、
前記高調波測定管理手段は、
高調波測定後に高調波解析の実行に必要な設定条件が全て成立しているか否かを判定して不成立の場合はその原因の内容を表示手段にメッセージとして表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
これらにより、高調波測定にあたり、設定で満たしていない条件や解析エラー原因がメッセージとして視覚的にユーザに明示されるので、ユーザは原因をひとつずつ取り除くことができ、短時間で効率よく正確な高調波測定結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】本発明に基づく電力測定装置における表示器33の表示画面例図である。
【
図3】
図1の構成における高調波測定動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【
図5】従来の電力測定装置の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図5の構成における高調波測定動作の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示すブロック図であり、
図5と共通する部分には同一の符号を付けている。
図1と
図5の相違点は、CPU部30の構成にある。
【0037】
すなわち、
図1のCPU部30には、高調波測定管理部39が設けられている。この高調波測定管理部39は、高調波測定処理実行前後におけるステータスを、表示器33にメッセージとして表示して可視化するように管理する機能を有している。
【0038】
高調波測定をエラーなく正しく行うためには、複数のメニューの設定条件とデータの解析条件を満たさなければならない。
【0039】
高調波測定管理部39は、高調波測定に関連するパラメータを設定した後に設定条件を判定する測定前処理機能と、測定中に解析条件および設定条件を判定する測定後処理機能と、高調波ステータス表示機能を有するもので、測定前処理と測定後処理に応じて高調波ステータス表示を変更する。
【0040】
図2は、本発明に基づく電力測定装置における表示器33の表示画面例図である。
図2において、表示画面には、中央部分の測定結果表示領域aと、測定結果表示領域aの上部に隣接する測定条件設定表示領域bと、測定結果表示領域aの下部に隣接する波形取り込み情報表示領域cと、測定結果表示領域aの右側上部に隣接する入力モジュール情報表示領域dと、測定結果表示領域aの右側下部に隣接する高調波ステータス表示領域eが設けられている。
【0041】
測定結果表示領域aは上下の領域a1、a2に分割されていて、上部領域a1には複数信号の測定値がデジタル表示され、下部領域a2には上部領域a1に表示されている複数の測定値の信号波形が表示されている。
【0042】
測定条件設定表示領域bには、左側領域b1と右側領域b2と中央領域b3が設けられている。
【0043】
左側領域b1には、測定結果表示領域aに表示されている信号波形に関わる設定チャネルとその測定レンジと垂直ポジションなどの各種設定情報が表示されている。
【0044】
右側領域b2には、表示レコード長やアクイジションモードやサンプルレートが表示されるとともに高調波設定ステータスが表示されている。
【0045】
中央領域b3には、各測定チャネルのレンジステータスをあらかじめ割り当てられた青/緑/黄色/オレンジ/グレー/赤などの所定の色で表示するレンジステータスインジケータや、スケーリング、アベレージング、ラインフィルタ、周波数フィルタのオン/オフ設定情報が表示されている。
【0046】
波形取り込み情報表示領域cには、波形取り込み状態、波形取り込み回数、波形の測定開始時刻、トリガ情報など、波形の取り込みに関する各種の情報が表示されている。
【0047】
入力モジュール情報表示領域dには、接続された入力モジュールに設定されている電圧レンジや電流レンジなどの設定情報が、モジュール単位で表示されている。
【0048】
高調波ステータス表示領域eには、PLLソースやPLLソースの周波数や状態を示すメッセージなどが表示されている。この高調波ステータス表示領域eの表示内容は、測定前処理と測定後処理とで変更される。
【0049】
表示画面の下部中央には、リモートLED40と高調波イネーブルLED50が設けられている。リモートLED40はリモート状態で点灯されてローカル状態で消灯され、高調波イネーブルLED50は高調波測定が可能な設定条件のときに点灯される。
【0050】
高調波ステータスの表示について説明する。
設定ステータスでは、測定前に判明するタイプの設定エラーの原因を表示する。
解析ステータスでは、測定後に判明するタイプの解析エラーや設定エラーに関する原因を表示する。
【0051】
これら測定前処理および測定後処理の基本動作について説明する。
<測定前処理>
1)高調波測定に関連するパラメータを設定する。
2)測定条件が成立しているかチェックする。
3)条件が全て成立している場合、高調波イネーブルLED50を点灯させる。一つでも条件が不成立の場合、高調波イネーブルLED50を消灯させ、高調波ステータス表示領域eにエラーメッセージを表示させる。
【0052】
条件不成立時、高調波ステータス表示領域eに表示するエラーメッセージの例を以下に示す。
・波形を表示する時間範囲が2ms/div未満の設定の場合
"Hrm Disabled:T/div ≧ 2ms/div"
【0053】
<測定後処理>
1)測定開始ボタンを押下する。
2)測定データ格納部34に格納されたデータに対して、解析条件が成立しているかチェックする。
3)一つでも条件が不成立の場合、高調波ステータス表示領域eにエラーメッセージを表示させる。条件が全て成立している場合には、高調波ステータス表示領域eにエラーメッセージを表示させない。
4)測定停止ボタンが押下されるまで、2)、3)を繰り返す。
【0054】
条件不成立時、高調波ステータス表示領域eに表示するエラーメッセージの例を以下に示す。
・PLL周波数が範囲超える場合
"PLL Err: Freq Over"設定エラー(測定後に判明するタイプ)
・解析開始位置からの測定データ点数が不足
“PLL Err: ACQ Points”解析エラー
【0055】
図3は、
図1の構成における高調波測定動作の流れを説明するフローチャートである。
図5と同様に、高調波の測定開始に先立ち、測定条件を含む各種パラメータの設定が行われる(ステップS1)。
【0056】
高調波を測定するための測定系統の各種パラメータの設定が完了すると、高調波を測定するためのたとえば前述の従来の正しい高調波測定結果を得るための測定条件と同様の高調波測定条件が成立しているか否かが判断される(ステップS2)。
【0057】
高調波を測定するための測定条件が成立していると判断されると、高調波イネーブルLED50が点灯される(ステップS3)。
【0058】
高調波イネーブルLED50が点灯されると、図示しない測定開始ボタンが押し下げられたか否かが判断される(ステップS4)。測定開始ボタンが押し下げられたことが確認されると、高調波測定解析条件が成立しているか否かが判断される(ステップS5)。
【0059】
高調波測定解析条件が成立していると入力信号に対する高調波測定解析動作が開始実行され、表示器33に測定解析された高調波の測定データが表示される(ステップS6)。
【0060】
高調波の測定データが表示されるごとに、操作部32に設けられている図示しない測定停止ボタンが押し下げられたか否かが判断される(ステップS7)。
【0061】
このようにして、高調波測定動作は、操作部32に設けられている図示しない測定停止ボタンの押し下げが検出されるまで繰り返して実行される。
【0062】
ステップS7において、測定停止ボタンの押し下げが検出されるとステップS1まで戻り、次の測定を行うための各種パラメータ設定を待機する。
【0063】
ステップS2において、高調波測定条件が成立していないと判断されると高調波イネーブルLED50は消灯状態になり、表示器33に高調波測定条件の設定ステータスが表示される(ステップS8)。
【0064】
ステップS4において、測定開始ボタンが押し下げられていないと判断されるとステップS1まで戻り、次の測定を行うための各種パラメータ設定を待機する。
【0065】
ステップS5において、高調波測定解析条件が成立していないと判断されると、表示器33に解析ステータスが表示される(ステップS9)。
【0066】
ステップS7において、測定停止ボタンの押し下げられていないと判断されるとステップS5まで戻り、再び高調波測定解析条件が成立しているか否かが判断される。
【0067】
このような構成によれば、高調波測定を行うのにあたり、設定で満たしていない条件や解析エラー原因が表示器33にメッセージとして視覚的に表示されるので、ユーザはそれらの原因をメッセージに基づいて順次ひとつずつ取り除くことができ、従来の装置よりも短時間で確実に高調波測定を行うことができる。
【0068】
これにより、ユーザは、測定条件を設定した時点で、高調波測定を行う前に高調波測定が可能かどうかを把握でき、適切な測定条件を再設定することで効率よく高調波測定が行える。
【0069】
また、高調波測定を行った後に演算エラーとなった場合に、表示されるメッセージに基づいてエラー原因を的確に把握でき、エラー原因を解決するための適切な対策を施すことで演算エラーを短時間で解消できる。
【0070】
図4は本発明の他の実施例を示すブロック図であり、
図1と共通する部分には同一の符号を付けている。
図1と
図4の相違点は、測定データ(サンプリングデータ)を格納するアクイジションメモリ60の有無にある。すなわち、
図4において、入力部10と演算部20とCPU部30は、測定データ(サンプリングデータ)を格納するアクイジションメモリ60を介して互いに接続されている。
【0071】
図4の実施例では、サンプリングデータである各入力部10の出力信号は、一旦アクイジションメモリ60に格納される。そして、演算部20およびCPU部30は、表示器33への波形表示処理、各種演算処理、表示画面に表示される波形上の所望の位置にカーソルを設定することによる波形パラメータの測定など、処理目的に応じてアクイジションメモリ60との間で各種データの授受を行う。
【0072】
このように入力部10と演算部20とCPU部30がアクイジションメモリ60を介して互いに接続されていることにより、アクイジションメモリ60に格納されている過去の測定データ(サンプリングデータ)についても必要に応じて読みだして高調波測定を行うことができる。
【0073】
なお、本発明は、高調波測定機能を有する電力解析器の全般に展開できる。
【0074】
また、本発明は、波形データのロード時における高調波解析にも適用できる。
【0075】
さらに、上記実施例では、高調波測定処理状況の可視化表示を、高調波測定処理実行前後で行う例について説明したが、測定対象とする信号の状況によっては前後のいずれか一方のみで行うようにしてもよい。たとえば、測定ステータスは安定しているが解析ステータスは不安定になることが多い場合には、高調波解析処理状況だけを可視化表示させてもよい。
【0076】
以上説明したように、本発明によれば、高調波測定にあたり、設定で満たしていない条件や解析エラー原因をメッセージとして視覚的にユーザに明示でき、ユーザが原因をひとつずつ取り除くことができて短時間で効率よく正確な高調波測定結果が得られる電力測定装置が実現できる。
【符号の説明】
【0077】
10 入力部
11 電圧入力部
12、14 A/D変換器
13 電流入力部
20 演算部(FPGA)
21 電圧演算部
22 電流演算部
23 電力演算部
24 瞬時値格納部
25 平均値演算部
26 平均値格納部
27 オフセット格納部
28 FFT演算部
30 CPU部
31 CPU
32 操作部
33 表示部
34 測定データ格納部
35 測定値演算部
36 電圧オフセット格納部
37 電流オフセット格納部
38 オフセット処理部
39 高調波測定管理部
40 リモートLED
50 高調波イネーブルLED
60 アクイジションメモリ