【課題】トナー濃度の急激な低下に対応してトナー補給のため印字処理を一時的に中断する処理モードにおいても可及的に印字処理を継続する印字促進方法及びそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】印字促進方法は、現在処理中であったジョブの残り印字データに対応するトナー消費量を残り印字データをドットカウンタで算出する使用トナー量算出手順と、該使用トナー量算出手順により算出されたトナー消費量と僅少のトナー量とを比較するトナー量比較手順と、該トナー量比較手順による比較結果が僅少のトナー量のほうが多い場合にはジョブの残り印字データに対する印字処理を継続する印字継続手順と、トナー量比較手順による比較結果が僅少のトナー量のほうが少ない場合にはトナー補給用一時印字中断処理モードに移行する印字中断手順とを含む。
トナー濃度の急激な低下に対応して印字処理を一時中断してトナー補給を行うトナー補給用一時印字中断処理モードにおいて、現像器の機能保全のため該現像器内に残留する印字に使用可能な僅少のトナー量を利用して可及的に印字処理を継続する印字促進方法であって、
現在処理中であったジョブの残り印字データに対応するトナー消費量を算出する使用トナー量算出手順と、
該使用トナー量算出手順により算出された前記トナー消費量と前記僅少のトナー量とを比較するトナー量比較手順と、
該トナー量比較手順による比較結果が前記僅少のトナー量のほうが多い場合には前記ジョブの残り印字データに対する印字処理を継続する印字継続手順と、
前記トナー量比較手順による比較結果が前記僅少のトナー量のほうが少ない場合には前記トナー補給用一時印字中断処理モードに移行する印字中断手順と、
を含むことを特徴とする印字促進方法。
前記トナー量比較手順は、前記使用トナー量算出手順、前記トナー量比較手順、及び前記印字継続手順が繰り返し行われるに際し、現在の繰り返し直前までに消費されたトナー量を前記僅少のトナー量から差し引いたトナー量を、前記僅少のトナー量に置き換えて、前記トナー消費量との比較を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の印字促進方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明では、印字と印刷は同義に用いられる。
[実施例1]
【0023】
図1は、本発明の実施例1に係るトナー補給方法を有するフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタ又は装置本体という)の内部構成を説明する断面図である。
【0024】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で中間転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0025】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9k、9c、9m、9y)を多段式に並設して構成される。この画像形成部2は、
図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0026】
上記4個の現像装置9のうち上流側(図の左側)の3個の現像装置9c、9m及び9yは、それぞれ減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0027】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の現像装置9yを例にしてその構成を説明する。
【0028】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0029】
現像器14は、外部を覆う筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、詳しくは後述するが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0030】
この現像器14には、転写ベルトユニット3の上方に配置されているトナー供給部4のトナーカートリッジ21から、同図にK、C、M、Yで示すブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーが供給される。
【0031】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ22と従動ローラ23を備えている。
【0032】
駆動ローラ22には、転写ベルト8を介して二次転写ローラ24が圧接し、ここに搬送されて来る転写媒体である用紙に対し、転写ベルト8上の一次転写トナー像を二次転写する二次転写部を形成している。
【0033】
上記の転写ベルト8には、一次転写ローラ25がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ25は感光体ドラム10に対し、転写ベルト8を挟むように配置されている。
【0034】
一次転写ローラ25は、下方を循環移動する転写ベルト8の下部走行面8aにトナー像を直接転写(一次転写)する。転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく、上記の二次転写部まで搬送する。
【0035】
また、転写ベルト8には、従動ローラ23に掛け渡されている表面に当接してベルトクリーナ26が配置されている。ベルトクリーナ26の下方にはベルトクリーナ26が転写ベルト8から除去した廃トナーを収容する廃トナー回収容器27が着脱自在に配置されている。
【0036】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行面の上方に配置されている前述した4個のトナーカートリッジ21で構成されている。このトナー供給部4は、特には図示しないが、
図1に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0037】
トナー供給部4の4個のトナーカートリッジ21は、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナーを収容している。
【0038】
これらのトナーカートリッジ21は、プリンタ1本体に対し前面方向に、すなわち図の紙面奥行き方向手前側に挿脱して着脱自在である。トナーカートリッジ21には
図1では断面図のため見えないが、現像器9にトナーを補給するためのトナー補給口が形成されている。
【0039】
トナー補給口は、トナーカートリッジ21がプリンタ1本体に装着されたとき、現像器9の後方から上に延びだしているトナー補給路に連通し、このトナー補給路を介して現像器9にトナーを補給する。尚、
図1では断面図のため見えないが、トナー補給路は転写ベルトユニット3の後方に回り込んで配置されている。
【0040】
このトナー供給部4の左方には、ベルトクリーナ26の左方から上方にかけて電装部29が配設されている。電装部29には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤が装着されている。
【0041】
給紙部5は、1個の給紙カセット31を備えている。給紙カセット31の給紙口(図の右方)近傍には、用紙取出ローラ32、給送ローラ33、捌きローラ34、待機搬送ローラ対35が配置されている。
【0042】
待機搬送ローラ対35の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、前述した二次転写部が形成されている。この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。
【0043】
ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0044】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0045】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する返送開始路39a、それから下方に曲がる返送中間路39b、更に左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる返送終端路39cを有する返送路39を備えている。
【0046】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記返送終端路39cの出口は、給紙部5の給紙カセット31に対応する待機搬送ローラ対35への搬送路に合流している。
【0047】
図2は、上記のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。
図2に示すように回路ブロックは、プリンタコントローラ部50が中心となっている。このプリンタコントローラ部50には、複数のバス45を介してネットワークコントローラ部47のI/F(インターフェイス)48、ヘッドコントローラ部49が接続されている。
【0048】
上記のネットワークコントローラ部47のI/F48には他のバス59を介して操作パネル部51が接続されている。また、I/F48には、例えばパーソナルコンピュータ等の図外のホスト機器から印字データ等の信号が入力される。
【0049】
ネットワークコントローラ部47は、I/F48を介して外部から入力される印字データをヘッドコントローラ部49に送信し、印字データに含まれるコマンドデータや操作パネル部51から入力される指示データをプリンタコントローラ部50に送信する。
【0050】
プリンタコントローラ部50には、バス45を介して、更に、EEPROM(electrically erasable programmable ROM) 52、ROM(read only memory)53、給紙モータ54が接続されている。
【0051】
プリンタコントローラ部50は、ROM53に格納されている制御プログラムを読出し、その読み出した制御プログラムにしたがって、YMCKごとのDDS(developer drum set、本例では現像装置9を指す)新旧検知センサ55等から受信するセンサ出力に応じて各部を制御する。
【0052】
また、プリンタコントローラ部50は、YMCKごとのトナー濃度センサ56(56y、56m、56c、56k)から受信するセンサ出力信号が、トナー補給を行うべき検知閾値を超えるか否かを監視し、トナー補給の行うべき検知閾値を超えたときは、YMCKごと対応するトナーカートリッジ28のモータ46(46y、46m、46c、46k)を駆動して補給用トナーを現像器14に補給する。
【0053】
また、プリンタコントローラ部50は、トナーの補給量よりも印字に使用された消費量のほうが多く、現像器14の現像剤のトナー濃度が低下して印字を中断しトナー補給を専門に行う状態になったとき、詳しくは後述するが、トナー濃度センサ56の出力を監視して無駄な攪拌を行うことなく可及的に短時間で印字を再開できるように全体を制御する。
【0054】
また、プリンタコントローラ部50は、ネットワークコントローラ部47から受信した印字データに基づいて、一方ではヘッドコントローラ部49を介しYMCKごとの光書込ヘッド13(13k、13c、13m、13y)の光書き込みを制御する。
【0055】
図3(a)は、上記現像器14を感光体ドラム10と共に示す拡大断面図であり、
図3(b)は、現像器14を
図3(a)の矢印cで示す向に切断して内部構成と現像剤の還流経路を示す断面図、
図3(c)はトナーカートリッジ21の構成と内部のトナーの態様を模式的に示す図である。
【0056】
なお、
図3(a),(b),(c)には
図1の構成と同一の構成部分には
図1と同一の番号を付与して示している。また、
図3(b)では
図3(a)に示すクリーニングブレード77の図示を省略し、トナー濃度センサ56も極く簡略に示している。
【0057】
図3(a),(b)に示すように、現像器14は、外壁63と内部隔壁64とで仕切られる2つの現像槽65(65a、65b)を備えている。上方の現像槽65aには、前述した現像ローラ15と第2の攪拌搬送スクリュー19が配置されている。
【0058】
現像ローラ15には、ドクターブレード66が当接している。下方の現像槽65aには前述した第1の攪拌搬送スクリュー18が配置されている。この現像槽65aにはトナー濃度センサ56がその検知面67を槽内に露出して配置されている。
【0059】
第2の攪拌搬送スクリュー19は、回転軸68とこの回転軸68に螺旋状に固設された螺旋状フィン69とで構成されている。第1の攪拌搬送スクリュー18は、回転軸71とこの回転軸71に螺旋状に固設された螺旋状フィン72とで構成されている。
【0060】
第2の攪拌搬送スクリュー19は、矢印dで示すように
図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽65a内の現像剤を螺旋状フィン69で攪拌しながら矢印e(e1、e2、e3)で示すように、
図3(a)の紙面奥行き方向手前から向こう側、
図3(b)では右から左方へ搬送し、その現像剤を現像ローラ15に供給する。
【0061】
現像ローラ15は、現像剤のトナーのみを感光体ドラム10に供給して、感光体ドラム10周面上の静電潜像をトナー像化(現像)する。トナーのみを感光体ドラム10に引き取られた現像ローラ15上の現像剤のキャリアは、現像槽65a内の現像剤に混合され、
図3(a)の紙面奥行き方向向こう側、
図3(b)では左端部の出口73で現像槽65bに送り戻す。
【0062】
現像槽65b内の第1の攪拌搬送スクリュー18は、矢印gで示すように
図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽65b内の現像剤を螺旋状フィン72で攪拌しながら矢印f(f1、f2、f3)で示すように
図3(a)の紙面奥行き方向向こう側から手前、
図3(b)では左から右方へ搬送する。
【0063】
もし、現像剤のトナー濃度が規定以下に薄くなっていれば、トナー濃度センサ56がトナー濃度低下を検出する。トナー濃度低下が検出されると、トナー供給部4の当該現像器14に対応するトナーカートリッジ21から不図示のトナー補給路を介して、
図3(b)に示すように、トナーTnが補給される。
【0064】
図3(a),(b)に示すように、現像器14は、外壁63と内部隔壁64とで仕切られる2つの現像槽65(65a、65b)を備えている。上方の現像槽65aには、前述した現像ローラ15と第2の攪拌搬送スクリュー19が配置されている。
【0065】
現像ローラ15には、ドクターブレード66が当接している。下方の現像槽65aには前述した第1の攪拌搬送スクリュー18が配置されている。この現像槽65aにはトナー濃度センサ56がその検知面67を槽内に露出して配置されている。
【0066】
第2の攪拌搬送スクリュー19は、回転軸68とこの回転軸68に螺旋状に固設された螺旋状フィン69とで構成されている。第1の攪拌搬送スクリュー18は、回転軸71とこの回転軸71に螺旋状に固設された螺旋状フィン72とで構成されている。
【0067】
第2の攪拌搬送スクリュー19は、矢印dで示すように
図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽65a内の現像剤を螺旋状フィン69で攪拌しながら矢印e(e1、e2、e3)で示すように、
図3(a)の紙面奥行き方向手前から向こう側、
図3(b)では右から左方へ搬送し、その現像剤を現像ローラ15に供給する。
【0068】
現像ローラ15は、現像剤のトナーのみを感光体ドラム10に供給して、感光体ドラム10周面上の静電潜像をトナー像化(現像)する。トナーのみを感光体ドラム10に引き取られた現像ローラ15上の現像剤のキャリアは、現像槽65a内の現像剤に混合され、
図3(a)の紙面奥行き方向向こう側、
図3(b)では左端部の出口73で現像槽65bに送り戻す。
【0069】
現像槽65b内の第1の攪拌搬送スクリュー18は、矢印gで示すように
図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽65b内の現像剤を螺旋状フィン72で攪拌しながら矢印f(f1、f2、f3)で示すように
図3(a)の紙面奥行き方向向こう側から手前、
図3(b)では左から右方へ搬送する。
【0070】
もし、現像剤のトナー濃度が規定以下に薄くなっていれば、トナー濃度センサ56がトナー濃度低下を検出する。トナー濃度低下が検出されると、トナー供給部4の当該現像器14に対応するトナーカートリッジ21から不図示のトナー補給路を介して、
図3(b)に示すように、トナーTnが補給される。
【0071】
なお、
図3(b)には、トナー補給口を特には示していないが、トナー補給口は出口73とほぼ同じ位置に連結されている。つまり、現像でトナー濃度が低下した現像槽65a内の現像剤が現像槽65bに送り戻される出口73近傍で、補給トナーが補給されるようになっている。
【0072】
第1の攪拌搬送スクリュー18は、現像剤を攪拌搬送しながら、
図3(a)の紙面奥行き方向手前側、
図3(b)の右側の供給口74で、現像剤を現像槽65aに送り出す。このように、現像剤の還流とトナーの補給が繰り返されて、トナーによる現像が逐次進行する。
【0073】
上記のトナー濃度センサ56の検知面67は槽内に露出して配置されているので、現像剤が検知面67に滞留しやすい。現像剤が検知面67に滞留するとトナー濃度センサ56の検知精度が低下する。
【0074】
このトナー濃度センサ56の検知精度の低下を防止するために、現像槽65b内の第1の攪拌搬送スクリュー18の回転軸71には、トナー濃度センサ56の検知面67に対向して回転する位置に、ブレード保持部75とこのブレード保持部75に保持された弾性体シート(ブレード)76から成るクリーニングブレード77が固設されている。
【0075】
クリーニングブレード77は、第1の攪拌搬送スクリュー18の回転軸71と共に回転し、トナー濃度センサ56の検知面67を弾性体シート74により摺擦して、検知面67に滞留しようとする現像剤を払い飛ばして、直後に搬送されてくる現像剤と入替える。
【0076】
これにより、トナー濃度センサ56の検知面67に現像剤が滞留することによって生じる虞のあるトナー濃度の誤検知を防止している。なお、上記のようにクリーニングブレード77がトナー濃度センサ56の検知面67を周期的に摺擦することにより、検知面67上の現像剤の量が周期的に増減する。
【0077】
したがって、その現像剤量の周期的増減に合わせてトナー濃度センサ56の出力電圧も周期的に増減する。第1の攪拌搬送スクリュー18の回転、すなわちクリーニングブレード77の回転は比較的速いので、トナー濃度センサ56の出力電圧の周期的増減は比較的高速なパルス電圧として現れる。
【0078】
本例では、上記のパルス電圧を平均化して得られる電圧を、現像剤の実際のトナー濃度に対するトナー濃度センサ56の検知出力電圧としている。
【0079】
また、
図3(c)に示すように、トナーカートリッジ21には、装着部に装着する装着方向後端部(
図3(c)では左方端部)の下面に、
図1では図示を省略したトナー補給路78に連通する補給口79を備えている。
【0080】
トナー補給路78の終端は、
図3(b)に示した現像器14の上方の現像槽65aから下方の現像槽65bに現像剤が送り出される出口73の近傍に連絡している。トナーカートリッジ21の内部にはトナーTnが収容されており、このトナーTnを補給口79へ搬送する搬送スクリュー81が配設されている。
【0081】
搬送スクリュー81は、特には図示しないが、後端部に回転軸の一端に連結され、回転軸の他端はトナーカートリッジ21の後端面から外部に突出して、突端にギアを備えている。ギアは、装置本体1の駆動系の駆動ギアに係合して回転駆動され、その回転駆動を矢印hで示すように搬送スクリュー81に伝達する。
【0082】
トナーカートリッジ21のトナーTnは、搬送スクリュー81により、補給口79から、矢印jで示すようにトナー補給路78に送り出されて現像器14に補給される。トナーTnの補給が開始されると、先ず、トナー補給路78に備えられているシャッタが開く、搬送スクリュー81が一定時間回転して一定量のトナーTnを補給口79へと搬送して一定時間停止する。
【0083】
この間、シャッタが閉じ、現像器14は補給路から補給された一定量のトナーTnを現像剤に混合して攪拌し、現像槽65内を循環搬送する。制御装置のプリンタコントローラ部50は、トナー濃度センサ56からのトナー濃度検知信号を受け取り、検知されたトナー濃度が適正になったと判断するとトナー補給処理を停止する。
【0084】
通常、印字中に、トナー濃度センサ56の出力が濃度低下検知閾値を超えたことを示した場合、制御装置は、残りの印字枚数や次の画像情報に含まれる印字パターンなどに関わりなく、強制的に印字を一時停止して上記のトナー補給処理に移行する。
【0085】
そして、この印字を一時停止してトナー補給処理を開始し、トナー濃度が安定して印字を再開できるまでには、最大で120秒のトナー補給時間と、その補給完了後45秒の攪拌時間を必要とする。つまり、1〜3分間の間印刷が休止される。
【0086】
ところで、プリンタ等の装置では、上記のようなトナー補給用印字一時停止のほかに、機内温度を下げるための冷却用一時停止が実行される場合があること、そして、この冷却用一時停止には、通常180秒の時間経過が必要であることは前述した。
【0087】
もし、トナー補給用印字一時停止の終了の直後に冷却用一時停止が必要であると制御装置が判断した場合、トナー補給用印字一時停止と冷却用一時停止と合わせて最大で約6分間の印字停止時間、つまりユーザの待ち時間が発生してしまうことも前述した。
【0088】
そこで、本発明では、トナー補給用印字一時停止が必要となったとき、トナー補給用印字一時停止に入るタイミングを可及的に先延ばしして印字を続行するように、たとえトナー補給用印字一時停止の処理の後に冷却用一時停止が必要となった場合でも、結果としてのユーザの待ち時間を可及的に短くする。
【0089】
図4は、印字動作中に発生するトナー補給用印字一時停止の処理(以下、おやすみモード、という)へ移行する判定を、所定の条件に基づいて処理を分岐することで、おやすみモードへの移行回数を減らし、より効率的な印字を実現する手順を説明する図である。
【0090】
図4に示す図は、横軸に時間(sec:秒)を示し、縦軸にトナー濃度(T/D(%))を示している。また、上方の破線で示すトナー濃度(T/D=9.5%)は、トナー濃度検知第1閾値を示し、下方の破線で示すトナー濃度(T/D=8.0%)は、トナー濃度検知第2閾値を示している。
【0091】
T/D=9.5%)のトナー濃度検知第1閾値よりも0.5%上に、トナー標準濃度10.0%の実線を示している。トナー濃度センサの出力が示すトナー濃度が、トナー濃度検知第1閾値以下となると、印字中であっても、トナー濃度に極端な偏りが出ない程度に少量ずつトナーが現像器に逐次補給される。
【0092】
これにより、トナー濃度はトナー標準濃度10.0%に沿って僅かに上下に変動しながら推移する。例えば、
図4の時間0〜20secの間、及び時間170〜230secの間のような濃度曲線となる。
【0093】
一方、T/D=8.0%のトナー濃度検知第2閾値は、例えば印刷中のトナー消費量が多量となり、トナー補給が間に合わなくなって、トナー濃度が急激に低下した場合の閾値である。このトナー濃度検知第2閾値は、印字を停止してトナーの補給と攪拌を行う「おやすみモード」を開始する場合の閾値(おやすみモード閾値)ともなる。
【0094】
トナー濃度が急激に低下する場合には2通りある。第1の場合は上記のように画像濃度の高い印字が連続してトナー消費量が多大となり、トナーの補給が追い付かなくなった場合であり、第2の場合はトナーカートリッジにトナーの残量が無くなった場合である。
【0095】
いずれにしても、トナー濃度が急激に低下した場合は、トナー濃度の調整を行うために印字処理を一時停止する必要がある。
図4の20〜170secの間のトナー濃度曲線の推移は、そのようなトナー濃度が急激に低下した場合を示している。
【0096】
上記の推移は、先ず、トナー濃度センサの出力が示すトナー濃度が、トナー濃度検知第2閾値以下になることが確実となった場合(
図4の時間35秒の時点)に「おやすみモード」の動作が開始され、印刷が休止され、現像槽へのトナーの補給と攪拌が行われる。
【0097】
そして、一定時間の経過中にトナー濃度センサ56の出力が示すトナー濃度が標準濃度10.0%以上となるまで、トナーの補給と攪拌を続ける。この一定時間には、トナーの補給と攪拌の合計時間120秒、濃度の安定化のための合計時間45秒が対応する。
【0098】
そして、トナー濃度センサ56の出力が示すトナー濃度が標準濃度以上となったなら、おやすみモードを停止し(
図4の時間175秒の時点)、印刷を再開する。
【0099】
一方、おやすみモードの処理に移行後、トナー補給タイムアウト時間の120秒が経過した後も、トナー濃度センサ56の出力が示すトナー濃度が標準濃度達しないなら、制御装置はトナー供給部4のトナーカートリッジ21にトナーの残量がない、したがって現像器のトナー切れと判断する。
【0100】
ところで、現像器はその機能として、トナー切れであると判断された場合でも、直ちに印字を停止するとは限らず、印字処理の内容によっては、現像器内に使用可能に残されている僅少量のトナーを利用して、その僅少量(例えば1.0グラム)に、ドットカウントで換算したトナー印字消費量が達するまで印字を継続できるようになっている。
【0101】
本発明は、そのような現像器の機能を用いて、トナー濃度が過度に低下することを防ぎながら、おやすみモードへの移行を極力回避する又はその移行のタイミングを可及的に先延ばしすることを目的としている。
【0102】
図5は、
図4に示した上記の処理手順の分岐条件を説明するフローチャートである。尚、本例では、印字動作中に1色でもトナー濃度がトナー濃度検知第2閾値を下回った場合、おやすみモードへ移行するか否かの判定を行う。
【0103】
また、以下の説明において、Jobは1区切りの印字処理を表し、[A]はJob1(一番目のJob)の印字残り分のトナー消費量、[B]は現像器に残されている印字可能なトナー量(既定値:例えば1.0グラム)、[Xn ]はJob(n) (n=1、2、・・・)のトナー消費量を示している。
【0104】
また、この処理は、制御装置のプリンタコントローラ部50(以下、簡略に、コントローラ部50という)によるJob1に対する通常の印字処理の実行中に、トナー濃度センサ56の出力が、おやすみモード閾値を超えた(トナー濃度が、おやすみモード閾値よりも下がった)場合に行われる処理である。
【0105】
図5において、コントローラ部50は、ドットカウントでJob1の残り消費量[A]を算出し(以下、Job(n) の消費量はドットカウントで算出したものとする)、トナー切れの検出時に現像器に設定されている印刷可能なトナー消費量[B]と[A]を比較する(ステップS1)。
【0106】
そして、[B]より[A]が少ない場合は(ステップS1の判別がYes)、トナー補給量を最大として、印字を継続する(ステップS2)。この処理は、
図4の右下に示した時間160秒の時点で開始されるトナー切れ検知の下で行われる印字処理である。
【0107】
また、この処理では、印字継続中のモードであり且つトナー濃度は、トナー濃度検知第1閾値以下を示していることになるので、印字を継続しながらトナーの補給が行われる。トナー補給量を最大とするのは、支障がない範囲で最大のトナー補給を行う意味である。
【0108】
Job1が終了すると、コントローラ部50は、おやすみモード閾値よりもトナー濃度センサの出力のほうが大きいか否か判別する(ステップS3)。この処理は、トナー濃度がおやすみモード閾値よりも低いか否か(トナー濃度センサの出力はトナー濃度が低いと大きくなる)を判別する処理である。
【0109】
この判別で、おやすみモード閾値よりもトナー濃度センサの出力のほうが大きいときは(ステップS3の判別がYes)、次のJobがあるか否か判別し(ステップS4)、次のJobがあれば(ステップS4の判別がYes)、N=N+1(この場合は最初の手順であるのでN=N+1=2)とする。
【0110】
続いて、Job2のトナー消費量[X2]が、残りの印字可能な消費量([B]−[A]−[X1])よりも少ないか否か判別し(ステップS5)、少なければ(ステップS5の判別がYes)、印字を継続して(ステップS6)、Job(この場合はJob2)を終了してステップS3の処理に戻り、ステップS3〜S6を繰り返す。
【0111】
上記ステップS5の判別で、Job(n)のトナー消費量[Xn]が、残りの印字可能な消費量([B]−[A]−Σ[Xn-1])よりも大きいときは(ステップS5の判別がNo)、Job(n)の印字ができないので、おやすみモードを実行する(ステップS7)。
【0112】
このように、トナー濃度センサ56の出力が、おやすみモード閾値を超えた場合でも、Jobに対応するトナー残量が現像器にあれば、Jobを実行し、Jobに対応するトナー残量が少ないときになって初めておやすみモードに移行する。
【0113】
また、上記ステップS4の判別で、次のJobがないときは(ステップS4の判別がNo)、現在の処理が、おやすみモード閾値を超えた状態で行われている処理であるので、ただちにステップS7のおやすみモードの処理に移行する。
【0114】
また、上記ステップS3の判別で、おやすみモード閾値よりもトナー濃度センサの出力のほうが小さいときは(ステップS3の判別がNo)、トナー濃度が通常の印字に十分な状態であるので、この場合は通常の印字に移行する(ステップS8)。
【0115】
また、上記ステップS1の判別で、[B]より[A]が多い場合は(ステップS1の判別がNo)、Job1の印字はできず且つ現在の処理が、おやすみモード閾値を超えた状態で行われている処理であるので、ただちにステップS7のおやすみモードの処理に移行する。
【0116】
このように、本例の処理によれば、おやすみモードという印字動作中に発生するトナー補給用印字一時停止の処理を実行すべき状態になっても、おやすみモードを実行する判断を、各種の所定の条件に基づいて処理を分岐し、おやすみモードへの移行回数を可及的に減らして、より効率的な印字を行うようにすることができるようになる。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0118】
トナー濃度の急激な低下に対応して印字処理を一時中断してトナー補給を行うトナー補給用一時印字中断処理モードにおいて、現像器の機能保全のため該現像器内に残留する印字に使用可能な僅少のトナー量を利用して可及的に印字処理を継続する印字促進方法であって、
現在処理中であったジョブの残り印字データに対応するトナー消費量を算出する使用トナー量算出手順と、
該使用トナー量算出手順により算出された前記トナー消費量と前記僅少のトナー量とを比較するトナー量比較手順と、
該トナー量比較手順による比較結果が前記僅少のトナー量のほうが多い場合には前記ジョブの残り印字データに対する印字処理を継続する印字継続手順と、
前記トナー量比較手順による比較結果が前記僅少のトナー量のほうが少ない場合には前記トナー補給用一時印字中断処理モードに移行する印字中断手順と、
を含むことを特徴とする印字促進方法。
[付記2]
【0119】
前記使用トナー量算出手順は、前記ジョブの残り印字データをドットカウンタで演算して残り印字データに対応するトナー消費量を算出する、
ことを特徴とする付記1記載の印字促進方法。
[付記3]
【0120】
前記トナー量比較手順は、前記使用トナー量算出手順、前記トナー量比較手順、及び前記印字継続手順が繰り返し行われるに際し、現在の繰り返し直前までに消費されたトナー量を前記僅少のトナー量から差し引いたトナー量を、前記僅少のトナー量に置き換えて、前記トナー消費量との比較を行う、
ことを特徴とする付記1記載の印字促進方法。
[付記4]
【0121】
付記1ないし3のいずれか1項に記載の印字促進方法を用いて印字処理を行う、ことを特徴とする画像形成装置。