(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-130468(P2015-130468A)
(43)【公開日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】積層型電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20150619BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20150619BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20150619BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20150619BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20150619BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20150619BHJP
H03H 7/01 20060101ALI20150619BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F15/00 D
H01F15/10 C
H01F15/10 P
H01F41/04 C
H01G4/40 321A
H03H7/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-50366(P2014-50366)
(22)【出願日】2014年3月13日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0000067
(32)【優先日】2014年1月2日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェ、クヮン スン
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
5E082
5J024
【Fターム(参考)】
5E062DD04
5E070AA05
5E070AB01
5E070BA12
5E070CB02
5E070CB13
5E070CB15
5E070CB17
5E070CB18
5E070DB08
5E070EA01
5E070EB03
5E082DD08
5J024AA01
5J024AA10
5J024DA04
5J024DA29
5J024GA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】直流重畳特性を向上することができ過電圧から回路を保護するためのESD保護機能を有する積層型電子部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の磁性体シート111’上に形成された内部コイルパターン121がビア電極によって電気的に接続されて内部コイル部を形成し、複数の磁性体シート111’の間に積層される非磁性体シート112’上に形成された内部コイルパターン121を含むことで内部コイル部が形成されることもできる。内部コイル部の上部及び下部には、複数の磁性体シートがさらに積層されて上部及び下部カバー層を形成する。内部コイルパターン121が形成された複数の磁性体シート111’の間には、ESD保護導体パターン150が形成された非磁性体シート112’が積層される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性体層が複数の磁性体層間に積層されて形成されるセラミック本体と、
前記複数の磁性体層上に形成された複数の内部コイルパターンが電気的に接続されて前記セラミック本体内部に形成される内部コイル部と、
前記非磁性体層上に形成されるESD保護導体パターンと、
前記セラミック本体の端面に形成され、前記内部コイル部及び前記ESD保護導体パターンと接続される外部電極と、を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記ESD保護導体パターンは、第1ESD保護導体パターン及び第2ESD保護導体パターンを含み、
前記第1及び第2ESD保護導体パターンは、前記非磁性体層を介して前記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1及び第2ESD保護導体パターンは、前記非磁性体層を介して一部の重畳領域を形成する、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記ESD保護導体パターンは、第1ESD保護導体パターン及び第2ESD保護導体パターンを含み、
前記第1及び第2ESD保護導体パターンは、一つの非磁性体層上において前記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
非磁性体層が複数の磁性体層間に積層されて形成されるセラミック本体と、
前記複数の磁性体層上に形成された複数の内部コイルパターンが電気的に接続されて前記セラミック本体内部に形成される内部コイル部と、
前記非磁性体層上に形成されるESD保護導体パターンと、
前記セラミック本体の端面に形成され、前記内部コイル部及び前記ESD保護導体パターンと接続される外部電極と、を含み、
前記ESD保護導体パターンは、連続積層された前記非磁性体層上に形成され、前記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出されるように形成される、積層型電子部品。
【請求項6】
前記連続積層された非磁性体層上に形成されるESD保護導体パターンは、前記非磁性体層を介して一部の重畳領域を形成する、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記ESD保護導体パターンは、前記内部コイル部の内部に形成される、請求項1から6の何れか1項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記外部電極は、前記セラミック本体の対向する両端面に形成されて前記内部コイル部と接続される第1外部電極、及び前記第1外部電極が形成されたセラミック本体の両端面と直交する方向のセラミック本体の対向する両端面に形成されて前記ESD保護導体パターンと接続される第2外部電極を含む、請求項1から7の何れか1項に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記ESD保護導体パターンからの静電容量は、1pF以下である、請求項1から8の何れか1項に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記ESD保護導体パターンは、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)及び白金(Pt)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含む、請求項1から9の何れか1項に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記内部コイル部は、前記非磁性体層上に形成された内部コイルパターンを含んで形成される、請求項1から10の何れか1項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記非磁性体層は、SiO2、B2O3、TiO2、Al2O3、ZnO、K2O及びLi2Oからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むガラス(glass)を含む、請求項1から11の何れか1項に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
複数の磁性体シート及び非磁性体シートを設ける段階と、
前記磁性体シート上に内部コイルパターンを形成する段階と、
前記非磁性体シート上にESD保護導体パターンを形成する段階と、
前記内部コイルパターンが形成された磁性体シート及びESD保護導体パターンが形成された非磁性体シートを積層し、内部にESD保護導体パターンを含む内部コイル部が形成されたセラミック本体を形成する段階と、
前記セラミック本体の端面に前記内部コイル部及びESD保護導体パターンと接続される外部電極を形成する段階と、を含む、積層型電子部品の製造方法。
【請求項14】
連続積層された前記非磁性体シート上に形成された前記ESD保護導体パターンは、前記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出されるように形成する、請求項13に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記ESD保護導体パターンは、一つの非磁性体シート上に前記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出されるように形成する、請求項13に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記ESD保護導体パターンを形成する非磁性体シートの厚さは、5μm〜50μmである、請求項13から15の何れか1項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記外部電極は、前記セラミック本体の対向する両端面に形成されて前記内部コイル部と接続される第1外部電極、及び前記第1外部電極が形成されたセラミック本体の両端面と直交する方向のセラミック本体の対向する両端面に形成されて前記ESD保護導体パターンと接続される第2外部電極を含んで形成する、請求項13から16の何れか1項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗、キャパシタとともに、電子回路を形成してノイズ(Noise)を除去する代表的な手動素子である。なお、電磁気的特性を用いることでキャパシタと組み合わせて特定周波数帯域の信号を増幅させる共振回路やフィルタ(Filter)回路などの構成に用いられる。
【0003】
最近、電子機器の小型化及び高性能化が求められるにつれ、消費電力が増加してきている。このような消費電力の増加により、電子機器の電源回路に用いられるPMIC(Power Management Integrated Circuit)またはDC−DCコンバータ(DC−DC Converter)は、スイッチング周波数(Switching Frequency)が高周波化され、出力電流が増加している。これにより、PMICまたはDC−DCコンバータの出力電流の安定化のために用いられるパワーインダクタ(Power Inductor)の使用が増加する傾向にある。
【0004】
このような流れに伴い、PMICまたはDC−DCコンバータ回路で用いられるパワーインダクタとして積層型インダクタの使用が増えてきている。
【0005】
しかし、積層型インダクタの磁性体材料として主に用いられるフェライトは、透磁率及び電気抵抗が高い一方で飽和磁速密度が低いことから、高電流が印加されると、自己飽和されやすく、磁性体の磁化によってインダクタンス値が大きく低下して容量特性を阻害するという問題点がある。
【0006】
このため、従来の積層型インダクタの場合は、非磁性体層を層間に挿入してコイルの周りに形成される磁束を遮断し、コイルの周りが磁化されることを防止して直流重畳特性を確保していた。
【0007】
一方、スイッチング周波数(Switching Frequency)の高周波化及び外部から流入される過電圧により、静電気放電(Electro Static Discharge、ESD)が発生し、内部回路などが破損する場合が増加している。このような過電圧から回路を保護するためには、ダイオードやバリスタなどの受動素子の使用が必須となる。しかし、ESD保護のために別途の受動素子を適用すると、製造費用がかさむだけでなく、実装面積が広くなって電子機器の小型化に限界が生じるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2012−0031754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態は、高電流においてもコイルの周りが磁化されることを防止することにより、直流重畳特性を向上させることができ、過電圧から回路を保護するためのESD保護機能をともに有する積層型電子部品及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、非磁性体層が複数の磁性体層の間に積層されて形成されるセラミック本体と、上記複数の磁性体層上に形成された複数の内部コイルパターンが電気的に接続されて上記セラミック本体内部に形成される内部コイル部と、上記非磁性体層上に形成されるESD保護導体パターンと、上記セラミック本体の端面に形成され、上記内部コイル部及び上記ESD保護導体パターンと接続される外部電極と、を含む積層型電子部品を提供する。
【0011】
上記ESD保護導体パターンは、第1ESD保護導体パターン及び第2ESD保護導体パターンを含み、上記第1及び第2ESD保護導体パターンは、上記非磁性体層を介して上記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出されることができる。
【0012】
上記第1及び第2ESD保護導体パターンは、上記非磁性体層を介して一部の重畳領域を形成することができる。
【0013】
上記ESD保護導体パターンは、第1ESD保護導体パターン及び第2ESD保護導体パターンを含み、上記第1及び第2ESD保護導体パターンは、一つの非磁性体層上において上記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出されることができる。
【0014】
上記ESD保護導体パターンは、上記内部コイル部の内部に形成されることができる。
【0015】
上記外部電極は、上記セラミック本体の対向する両端面に形成されて上記内部コイル部と接続される第1外部電極、及び上記第1外部電極が形成されたセラミック本体の両端面と直交する方向のセラミック本体の対向する両端面に形成されて上記ESD保護導体パターンと接続される第2外部電極を含むことができる。
【0016】
上記ESD保護導体パターンからの静電容量は、1pF以下であることができる。
【0017】
上記ESD保護導体パターンは、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)及び白金(Pt)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。
【0018】
上記内部コイル部は、上記非磁性体層上に形成された内部コイルパターンを含んで形成されることができる。
【0019】
上記非磁性体層は、SiO
2、B
2O
3、TiO
2、Al
2O
3、ZnO、K
2O及びLi
2Oからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むガラス(glass)を含むことができる。
【0020】
本発明の他の一実施形態は、非磁性体層が複数の磁性体層の間に積層されて形成されるセラミック本体と、上記複数の磁性体層上に形成された複数の内部コイルパターンが電気的に接続されて上記セラミック本体内部に形成される内部コイル部と、上記非磁性体層上に形成されるESD保護導体パターンと、上記セラミック本体の端面に形成され、上記内部コイル部及び上記ESD保護導体パターンと接続される外部電極と、を含み、上記ESD保護導体パターンは、連続積層された上記非磁性体層上に形成され、上記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出されるように形成される積層型電子部品を提供する。
【0021】
上記連続積層された非磁性体層上に形成されるESD保護導体パターンは、上記非磁性体層を介して一部の重畳領域を形成することができる。
【0022】
上記ESD保護導体パターンは、上記内部コイル部の内部に形成されることができる。
【0023】
上記外部電極は、上記セラミック本体の対向する両端面に形成されて上記内部コイル部と接続される第1外部電極、及び上記第1外部電極が形成されたセラミック本体の両端面と直交する方向のセラミック本体の対向する両端面に形成されて上記ESD保護導体パターンと接続される第2外部電極を含むことができる。
【0024】
上記ESD保護導体パターンからの静電容量は、1pF以下であることができる。
【0025】
上記ESD保護導体パターンは、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)及び白金(Pt)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。
【0026】
本発明の他の一実施形態は、複数の磁性体シート及び非磁性体シートを設ける段階と、上記磁性体シート上に内部コイルパターンを形成する段階と、上記非磁性体シート上にESD保護導体パターンを形成する段階と、上記内部コイルパターンが形成された磁性体シート及びESD保護導体パターンが形成された非磁性体シートを積層し、内部にESD保護導体パターンを含む内部コイル部が形成されたセラミック本体を形成する段階と、上記セラミック本体の端面に上記内部コイル部及びESD保護導体パターンと接続される外部電極を形成する段階と、を含む積層型電子部品の製造方法を提供する。
【0027】
連続積層された上記非磁性体シート上に形成された上記ESD保護導体パターンは、上記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出されるように形成されることができる。
【0028】
上記ESD保護導体パターンは、一つの非磁性体シート上に上記セラミック本体の対向する両端面に交互に引出されるように形成されることができる。
【0029】
上記ESD保護導体パターンを形成する非磁性体シートの厚さは、5μm〜50μmであることができる。
【0030】
上記外部電極は、上記セラミック本体の対向する両端面に形成されて上記内部コイル部と接続される第1外部電極、及び上記第1外部電極が形成されたセラミック本体の両端面と直交する方向のセラミック本体の対向する両端面に形成されて上記ESD保護導体パターンと接続される第2外部電極を含んで形成されることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一実施形態によると、コイルの周りに流れる磁束を遮断することにより、高電流においてコイルの周りが磁化されてインダクタンス(L)値を変化させることを防止することで容量特性を改善させることができる。
【0032】
また、本発明の一実施形態によると、積層型電子部品の内部に過電圧から回路を保護するためのESD保護部を形成することで、別途のESD保護素子なしでESD保護機能を奏することができる。これにより、部品の実装面積を減らし、製造費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図である。
【
図3】本発明の他の一実施形態による積層型電子部品の斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による積層型電子部品の分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による積層型電子部品の分解斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による積層型電子部品の分解斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態による積層型電子部品の分解斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるESD保護導体パターンを示す図面である。
【
図10】本発明の一実施形態によるESD保護導体パターンを示す図面である。
【
図11】本発明の一実施形態によるESD保護導体パターンを示す図面である。
【
図12】本発明の一実施形態による積層型電子部品のセラミック本体の斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0035】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0037】
以下では、本発明の一実施形態による積層型電子部品を説明するにあたり、特に、積層型インダクタ(inductor)を例に挙げて説明するが、本発明はこれに制限されない。
【0038】
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図であり、
図2は
図1のA−A'線に沿った断面図であり、
図3は本発明の他の一実施形態による積層型電子部品の斜視図であり、
図4は
図3のB−B'線に沿った断面図であり、
図5から
図8は本発明の一実施形態による積層型電子部品の分解斜視図である。
【0039】
図1から
図4を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、複数の磁性体層111及び上記複数の磁性体層111の間に非磁性体層112が積層されて形成されるセラミック本体110と、上記セラミック本体110の内部に形成される内部コイル部120と、上記非磁性体層112上に形成されるESD保護導体パターン150と、上記セラミック本体110の端面に形成される外部電極130と、を含む。
【0040】
上記セラミック本体110を形成する複数の磁性体層111及び非磁性体層112は、焼結された状態で、隣接する磁性体層間の境界が走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認できないほど一体化されていることができる。
【0041】
上記セラミック本体110の形状は、六面体状を有することができる。また、本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、
図1に示されるL、W及びTは、それぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。
【0042】
上記磁性体層111は、Mn−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライト、Ni−Zn−Cu系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Ba系フェライト、Li系フェライトなどの公知のフェライトを含むことができる。
【0043】
上記非磁性体層112は、SiO
2、B
2O
3、TiO
2、Al
2O
3、ZnO、K
2O及びLi
2Oからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むガラス(glass)を含むことができる。
【0044】
図5を参照すると、複数の磁性体シート111'上に形成された内部コイルパターン121がビア電極(図示せず)によって電気的に接続されて内部コイル部120を形成することができる。また、複数の磁性体シート111'の間に積層される非磁性体シート112'上に形成された内部コイルパターン121を含むことで内部コイル部120が形成されることもできる。
【0045】
上記内部コイルパターン121は、導電性金属を含む導電性ペーストを印刷することで形成することができる。上記導電性金属は、電気伝導度に優れる金属であれば特に制限されず、例えば、銀(Ag)やパラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)などの単独または混合形態であることができる。
【0046】
内部コイル部120の上部及び下部には、複数の磁性体シート111'がさらに積層されて上部及び下部カバー層を形成することができる。
【0047】
内部コイルパターン121が形成された複数の磁性体シート111'の間には、ESD保護導体パターン150が形成された非磁性体シート112'が積層されることができる。
【0048】
ESD保護導体パターン150が形成された非磁性体シート112'の厚さは、5μm〜50μmであることができる。
【0049】
ESD保護導体パターン150は、セラミック本体110の対向する両端面にそれぞれ交互に引出される第1ESD保護導体パターン151及び第2ESD保護導体パターン152を含むことができる。
【0050】
第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、連続積層された非磁性体シート112'上にそれぞれ形成されることで、非磁性体層112を介して隣接して形成されることができる。
【0051】
図6を参照すると、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152を一対にする複数のESD保護部が離隔されて形成されることができる。
【0052】
また、
図7を参照すると、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、一対以上が連続的に積層されることができる。
【0053】
なお、
図8を参照すると、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、内部コイル部の引出部と同一方向に露出することができる。
【0054】
さらに、
図9を参照すると、第1ESD保護導体パターン151及び第2ESD保護導体パターン152は、非磁性体シート112'を介して一端部が重なる重畳領域155を形成することができる。上記重畳領域155の面積は、ESD保護部の静電容量による信号の遅延及び歪曲が発生しない範囲内において調節されることができる。
【0055】
図10及び
図11を参照すると、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、一つの非磁性体シート112'上に形成されることもできる。
【0056】
即ち、
図10に示されているように、一つの非磁性体シート112'上に第1及び第2ESD保護導体パターン151、152が相対するように形成されることができ、
図11に示されているように、一つの非磁性体シート112'上に第1及び第2ESD保護導体パターン151、152が交差するように形成されることもできる。
【0057】
このとき、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、0.1μm〜500μmの間隔を置いて形成されることができる。
【0058】
上記ESD保護導体パターン150は、非磁性体シート112'上に導電性金属を含む導電性ペーストを印刷することで形成することができる。上記導電性金属は、電気伝導度に優れる金属であれば特に制限されないが、例えば、銀(Ag)やパラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)などの単独または混合形態であることができる。
【0059】
上記ESD保護導体パターン150からの静電容量は、1pF以下であることができる。ESD保護導体パターン150で形成されるESD保護部の静電容量が1pFを超過すると、信号の遅延及び歪曲が発生する可能性がある。したがって、ESD保護導体パターン150の形状及び重畳領域155の面積を調節して静電容量を1pF以下にすることが好ましい。
【0060】
本発明によるESD保護導体パターン150の形状は、図面に示される形状に限定されず、ESD保護部の静電容量による信号の遅延及び歪曲が発生しない形状であれば特に制限されない。
【0061】
図12は本発明の一実施形態による積層型電子部品のセラミック本体の斜視図である。
【0062】
図12を参照すると、上記内部コイル部120の引出部123は、セラミック本体110の対向する両端面に露出し、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、上記内部コイル部120の引出部123が露出するセラミック本体110の両端面と直交する方向の対向する両端面にそれぞれ露出することができる。
【0063】
例えば、内部コイル部120の引出部123は、セラミック本体110の長さ方向(L)の両端面に露出し、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、セラミック本体110の幅方向(W)の両端面に露出することができる。
【0064】
内部コイル部120の引出部123と第1及び第2ESD保護導体パターン151、152が直交する方向に引出される場合、外部電極130は、上記セラミック本体110の対向する両端面に形成されて上記内部コイル部120の引出部123と接続される第1外部電極131、及び上記第1外部電極131が形成されたセラミック本体110の両端面と直交する方向のセラミック本体110の対向する両端面に形成されて上記ESD保護導体パターン151、152と接続される第2外部電極132を含んで形成されることができる。
【0065】
上記第1外部電極131は、上記セラミック本体110の厚さ方向(T)の両端面及び/または幅方向(W)の両端面に延長されて形成されることができ、上記第2外部電極132は、上記セラミック本体110の厚さ方向(T)の両端面に延長されて形成されることができる。
【0066】
外部電極130は、電気伝導性に優れる金属を含んで形成されることができる。例えば、ニッケル(Ni)や銅(Cu)、すず(Sn)、銀(Ag)などの単独またはこれらの合金で形成されることができる。
【0067】
このような本発明の一実施形態によると、内部コイル部120が形成された部分に非磁性体層112を形成することにより、コイルの周りに流れる磁束を遮断させて直流重畳特性を改善させることができる。また、非磁性体層112上に形成されたESD保護導体パターン150によってESD保護機能をともに具現させることができる。
【0069】
図13は本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を示す工程図である。
【0070】
図13を参照すると、まず、複数の磁性体シート111'及び非磁性体シート112'を設けることができる。
【0071】
磁性体シート111'の製造に用いられる磁性体は、特に制限されず、例えば、Mn−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライト、Ni−Zn−Cu系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Ba系フェライト、Li系フェライトなどの公知のフェライト粉末を用いることができる。
【0072】
上記磁性体及び有機物を混合して形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥することで複数の磁性体シート111'を設けることができる。
【0073】
また、非磁性体シート112'の製造に用いられる非磁性体は、SiO
2、B
2O
3、TiO
2、Al
2O
3、ZnO、K
2O及びLi
2Oからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むガラス(glass)であることができる。
【0074】
上記ガラス(glass)にバインダー(binder)や可塑剤、溶媒などを混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法などの方法を用いて数μmの厚さを有するシート状に製作することができる。
【0075】
次に、上記磁性体シート111'上に内部コイルパターン121を形成し、上記非磁性体シート112'上にESD保護導体パターン150を形成することができる。
【0076】
上記内部コイルパターン121は、導電性金属を含む導電性ペーストを磁性体シート111'上に印刷工法などの方法で塗布して形成することができる。
【0077】
上記導電性金属は、電気伝導度に優れる金属であれば特に制限されず、例えば、銀(Ag)やパラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)などの単独または混合形態であることができる。
【0078】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法やグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0079】
また、磁性体シート111'のみならず非磁性体シート112'上にも内部コイルパターン121を形成してともに積層することができる。
【0080】
上記ESD保護導体パターン150を形成する非磁性体シート112'の厚さは、5μm〜50μmであることができる。
【0081】
上記ESD保護導体パターン150は、導電性金属を含む導電性ペーストを非磁性体シート112'上に印刷工法などの方法で塗布して形成することができる。
【0082】
上記導電性金属は、電気伝導度に優れる金属であれば特に制限されず、例えば、銀(Ag)やパラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)などの単独または混合形態であることができる。
【0083】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法やグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0084】
ESD保護導体パターン150は、第1ESD保護導体パターン151及び第2ESD保護導体パターン152を含むことができる。
【0085】
第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、それぞれの非磁性体シート112'上に別に形成することができ、一つの非磁性体シート112'上にともに形成することもできる。
【0086】
第1ESD保護導体パターン151及び第2ESD保護導体パターン152は、セラミック本体110の対向する両端面にそれぞれ引出されるように形成することができる。
【0087】
それぞれの非磁性体シート112'上に別に形成される第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、非磁性体シート112'を介して一端部が重なる重畳領域155を形成することができる。上記重畳領域155の面積は、ESD保護部の静電容量による信号の遅延及び歪曲が発生しない範囲内で調節されることができる。
【0088】
また、一つの非磁性体シート112'上に形成される第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、相対するように形成されることができ、交差するように形成されることもできる。このとき、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、0.1μm〜500μmの間隔を置いて形成することができる。
【0089】
ESD保護導体パターン150の形状は、図面に示される形状に限定されず、ESD保護部の静電容量による信号の遅延及び歪曲が発生しない形状であれば特に制限されない。
【0090】
その後、内部コイルパターン121が形成された磁性体シート111'及びESD保護導体パターン150が形成された非磁性体シート112'を積層することで、内部にESD保護導体パターン150を含む内部コイル部120が形成されたセラミック本体110を形成することができる。
【0091】
内部コイルパターン121が印刷された各磁性体シート111'及び非磁性体シート112'の所定の位置にはビア(via)電極が形成され、上記ビア電極によって各内部コイルパターン121が電気的に相互連結されて一つの内部コイル部120が形成されることができる。
【0092】
続いて、内部コイルパターン121が形成された複数の磁性体シート111'の間にESD保護導体パターン150が形成された非磁性体シート112'を積層し、内部コイル部120の内部にESD保護導体パターン150が含まれるように形成することができる。
【0093】
上記第1及び第2ESD保護導体パターン151、152をそれぞれの非磁性体シート112'上に別に形成した場合は、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152が形成された非磁性体シート112'を連続積層することで、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152が非磁性体層112を介してセラミック本体110の対向する両端面に交互に引出されるように形成することができる。
【0094】
上記内部コイル部120の引出部123と第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は、同一方向に露出するように形成することもできる。また、内部コイル部120の引出部123はセラミック本体110の対向する両端面に露出するように形成し、第1及び第2ESD保護導体パターン151、152は上記内部コイル部120の引出部123が露出するセラミック本体110の両端面と直交する方向の対向する両端面にそれぞれ露出するように形成することもできる。
【0095】
次いで、上記セラミック本体110の端面に上記内部コイル部120及びESD保護導体パターン150と接続される外部電極130を形成することができる。
【0096】
内部コイル部120の引出部123と第1及び第2ESD保護導体パターン151、152が直交する方向に引出される場合、外部電極130は、上記セラミック本体110の対向する両端面に形成されて上記内部コイル部120の引出部123と接続される第1外部電極131と、上記第1外部電極131が形成されたセラミック本体110の両端面と直交する方向のセラミック本体110の対向する両端面に形成されて上記ESD保護導体パターン151、152と接続される第2外部電極132と、を含んで形成することができる。
【0097】
外部電極130は、電気伝導性に優れる金属を含んで形成されることができる。例えば、ニッケル(Ni)や銅(Cu)、すず(Sn)、銀(Ag)などの単独またはこれらの合金で形成されることができる。
【0098】
上記外部電極130を形成する方法は、外部電極の形状により、プリンティング法やディッピング(dipping)法などを行うことで形成することができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0100】
100 積層型電子部品
110 セラミック本体
111 磁性体層
112 非磁性体層
120 内部コイル部
121 内部コイルパターン
123 内部コイル部の引出部
130 外部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極
150、151、152 ESD保護導体パターン
155 重畳領域