(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-130473(P2015-130473A)
(43)【公開日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】多層セラミック基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20150619BHJP
【FI】
H05K3/46 H
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-77055(P2014-77055)
(22)【出願日】2014年4月3日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0169178
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】李 澤 正
(72)【発明者】
【氏名】金 容 錫
(72)【発明者】
【氏名】洪 奇 杓
(72)【発明者】
【氏名】金 相 赫
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA15
5E316AA41
5E316AA43
5E316CC02
5E316CC17
5E316CC18
5E316CC35
5E316CC36
5E316DD02
5E316DD13
5E316DD34
5E316EE21
5E316FF18
5E316FF28
5E316GG03
5E316HH07
5E316HH11
(57)【要約】
【課題】多層セラミック基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る多層セラミック基板は、外部に露出された表面電極を含む複数のセラミック層と、上記表面電極と電気的に接続されるように、上記セラミック層を貫通して形成されるビア電極と、上記セラミック層から上記表面電極が分離することを防止するために、一端が上記表面電極と結合され、他端が上記セラミック層の内部に位置するように、上記ビア電極の外側に形成される電極分離防止部と、を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に露出された表面電極を含む複数のセラミック層と、
前記表面電極と電気的に接続されるように前記セラミック層を貫通して形成されるビア電極と、
前記セラミック層から前記表面電極が分離することを防止するために、一端が前記表面電極と結合され、他端が前記セラミック層の内部に位置するように前記ビア電極の外側に形成される電極分離防止部と、
を含む多層セラミック基板。
【請求項2】
前記電極分離防止部が、前記ビア電極の長手方向に延長されることを特徴とする請求項1に記載の多層セラミック基板。
【請求項3】
前記電極分離防止部の長さが、前記ビア電極の長さより短く形成されることを特徴とする請求項2に記載の多層セラミック基板。
【請求項4】
前記電極分離防止部が、前記ビア電極と離隔して配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多層セラミック基板。
【請求項5】
前記電極分離防止部の前記他端に結合されたキャッチパッドをさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多層セラミック基板。
【請求項6】
前記キャッチパッドが、内部のセラミック層の表面上に、ビア電極の外郭を取り囲む形状を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の多層セラミック基板。
【請求項7】
前記キャッチパッドが、前記ビア電極と離隔して配置されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の多層セラミック基板。
【請求項8】
前記電極分離防止部が、前記ビア電極と同じ物質で形成されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の多層セラミック基板。
【請求項9】
第1セラミック層に第1ビアを形成するステップと、
前記第1セラミック層を貫通し、前記第1ビアの外側に位置するように前記第1セラミック層に電極分離防止部を形成するステップと、
前記第1セラミック層の表面に、前記第1ビア及び前記電極分離防止部上に位置するように表面電極を形成するステップと、
第2セラミック層に前記第1ビア位置に対応する第2ビアを形成するステップと、
前記第2セラミック層上に前記第1セラミック層を積層して積層体を形成するステップと、
前記積層体を焼成するステップと、
を含む多層セラミック基板の製造方法。
【請求項10】
前記電極分離防止部を形成するステップは、
前記電極分離防止部を前記第1ビアの長手方向に延長するように形成することを特徴とする請求項9に記載の多層セラミック基板の製造方法。
【請求項11】
前記電極分離防止部を形成するステップは、
前記電極分離防止部を前記第1ビアと離隔して配置することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の多層セラミック基板の製造方法。
【請求項12】
前記第2ビアを形成するステップの後に、
前記第2セラミック層の表面に、前記電極分離防止部の位置に対応するキャッチパッドを形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の多層セラミック基板の製造方法。
【請求項13】
前記キャッチパッドを形成するステップは、
前記キャッチパッドを、前記第2ビアの上面の外郭を取り囲む形状に形成することを特徴とする請求項12に記載の多層セラミック基板の製造方法。
【請求項14】
前記キャッチパッドを形成するステップは、
前記キャッチパッドを前記第2ビアと離隔して形成することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の多層セラミック基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層セラミック基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、複合化、パッケージ化により、電子機器に実装される受動素子にはセラミック基板が多く使用されている。セラミック基板は、PCB基板上に付着されるため、セラミック基板とPCB基板との固着力が非常に重要である。
【0003】
セラミック基板は、低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co−fired Ceramics:以下、LTCCという)または、高温同時焼成セラミックス(High Temperature Co−fired Ceramics:以下、HTCCという)により製造できる。LTCCの場合、セラミックス積層体が1000℃以下の温度で焼成され、HTCCの場合は、セラミックス積層体が1500℃以上の温度で焼成される。
【0004】
HTCC用セラミック基板は、グリーンシート上にメタル電極を形成し、1500℃以上で焼成を行うことにより製造される。セラミック基板の焼成の際に、グリーンシートと電極との間の界面での固着力が弱いことから、電極がグリーンシートから分離するという問題が生じ得る。
本発明の背景技術は、大韓民国公開特許公報第10-2013-0044864号(無収縮セラミック基板及びその製造方法、2013.05.03公開)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10-2013-0044864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、表面電極とセラミック層との間の固着力を強めることができる多層セラミック基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、外部に露出された表面電極を含む複数のセラミック層と、上記表面電極と電気的に接続されるように上記セラミック層内を貫通して形成されるビア電極と、上記セラミック層から上記表面電極が分離することを防止するために、一端が上記表面電極と結合され、他端が上記セラミック層の内部に位置するように、上記ビア電極の外側に形成される電極分離防止部と、を含む多層セラミック基板が提供される。
上記電極分離防止部は、上記ビア電極の長手方向に延長することができる。
上記電極分離防止部の長さは、上記ビア電極の長さより短く形成することができる。
上記電極分離防止部は、上記ビア電極と離隔して配置することができる。
上記電極分離防止部の他端に結合されるキャッチパッドをさらに含むことができる。
上記キャッチパッドは、上記ビア電極の外郭を取り囲む形状を有することができる。
上記キャッチパッドは、上記ビア電極と離隔して配置することができる。
上記電極分離防止部は、上記ビア電極と同じ物質で形成することができる。
【0008】
本発明の他の側面によれば、第1セラミック層に第1ビアを形成するステップと、上記第1セラミック層を貫通し、上記第1ビアの外側に位置するように、上記第1セラミック層に電極分離防止部を形成するステップと、上記第1セラミック層の表面に、上記第1ビア及び上記電極分離防止部上に位置するように表面電極を形成するステップと、第2セラミック層に、上記第1ビアの位置に対応する第2ビアを形成するステップと、上記第2セラミック層上に上記第1セラミック層を積層して積層体を形成するステップと、上記積層体を焼成するステップと、を含む多層セラミック基板の製造方法が提供される。
上記電極分離防止部を形成するステップは、上記電極分離防止部を上記第1ビアの長手方向に延長するように形成することができる。
上記電極分離防止部を形成するステップは、上記電極分離防止部を上記第1ビアと離隔して配置することができる。
第2ビアを形成するステップの後に、上記第2セラミック層の表面に、上記電極分離防止部の位置に対応するキャッチパッドを形成するステップをさらに含むことができる。
上記キャッチパッドを形成するステップでは、上記キャッチパッドを上記第2ビアの上面の外郭を取り囲む形状に形成することができる。
上記キャッチパッドを形成するステップでは、上記キャッチパッドを上記第2ビアと離隔して形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施例によれば、表面電極がセラミック層から分離することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例に係る多層セラミック基板を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法を示す順序図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法を示す一工程図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法を示す一工程図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法を示す一工程図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法を示す一工程図である。
【
図9】本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法を示す一工程図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法を示す一工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る多層セラミック基板及びその製造方法の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。添付図面に基づいて説明することに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0012】
また、以下に使用する「第1」、「第2」のような用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または対応する構成要素が、第1、第2の用語により限定されるものではない。
【0013】
また、「結合」とは、各構成要素の間の接触関係において、各構成要素の間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用する。
【0014】
図1は、本発明の一実施例に係る多層セラミック基板を示す断面図であり、
図2は、
図1のA−A’線による断面図であり、
図3は、
図1のB−B’線による断面図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る多層セラミック基板100は、セラミック層110と、ビア電極120と、電極分離防止部130と、を含み、キャッチパッド140をさらに含むことができる。
【0016】
各セラミック層110は、グリーンシート(green sheet)であることができる。グリーンシートは、アルミナパウダーに焼結助剤(sintering aid)及び着色用パウダーを添加してシート形態に製作したものである。ここで、アルミナパウダーは、グリーンシートの90〜95%重量を占める。複数のセラミック層110は、セラミック層110が積層された積層体を構成する。
【0017】
最上層のセラミック層110は、外部に露出された表面電極113を含むことができる。表面電極113は、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0018】
ビア電極120は、セラミック層110を貫通して形成され、表面電極113と電気的に接続することができる。ビア電極120は、複数のセラミック層110が、互いに電気的に接続されるようにする。ビア電極120は、表面電極113と同じく、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0019】
図2を参照すると、電極分離防止部130は、セラミック層110から表面電極113が分離することを防止するためにビア電極120の外側に形成され、複数であってもよい。電極分離防止部130の一端は表面電極113に、少なくとも物理的に結合され、他端はセラミック層110の内部に位置することができる。
【0020】
電極分離防止部130によれば、表面電極113とビア電極120との間の結合の他に、表面電極113と電極分離防止部130との間の結合がさらに発生するので、表面電極113がセラミック層110から分離する可能性が低くなる。すなわち、表面電極113とセラミック層110との間の固着力が強まる。
【0021】
電極分離防止部130は、ビア電極120の長手方向に延長することができる。ここで、電極分離防止部130の長さは、ビア電極120の長さより短く形成することができる。例えば、ビア電極120は、2つのセラミック層110を直線的に貫通するように形成される反面、電極分離防止部130は、一つのセラミック層110に形成することができる。
【0022】
これは、電極分離防止部130が金属で形成される場合、ビアとしての役割をしないようにするためである。すなわち、電極分離防止部130の役割とビア電極120の役割とを分離することにより、ビア電極120によるセラミック層110の間の電気的接続が電極分離防止部130により妨害されないようにするためである。
【0023】
電極分離防止部130は、ビア電極120と離隔して配置することができる。これも、ビア電極120によるセラミック層110の間の電気的接続が電極分離防止部130により妨害されないようにするためである。
【0024】
電極分離防止部130は、ビア電極120と同じ物質で形成することができる。これは、ビア電極120を形成すると同時に電極分離防止部130を形成するためである。すなわち、ビア電極120及び電極分離防止部130に対応するホール(hole)をそれぞれ形成し、ホールの内部に電極ペーストを塗布すると、ビア電極120と電極分離防止部130とを同時に形成することができる。
【0025】
キャッチパッド140は、電極分離防止部130の他端と結合するパッドである。キャッチパッド140は、表面電極113またはビア電極120と同じ物質で形成することができる。
【0026】
キャッチパッド140は、セラミック層110の内部に、セラミック層110の表面と平行に形成することができる。電極分離防止部130をキャッチパッド140と結合させることによって、表面電極113とセラミック層110との間の固着力をさらに高めることができる。
【0027】
図3に示すように、キャッチパッド140は、ビア電極120の外周もしくは外郭を取り囲むような形状に形成することができる。キャッチパッド140がビア電極120の外郭を取り囲むように連続的に形成されることにより、表面電極113をセラミック層110にさらに強く固着させることができる。
【0028】
また、キャッチパッド140は、ビア電極120と離隔して配置することができ、例えばドーナツ形状とすることができる。これは、ビア電極120によるセラミック層110の間の電気的接続がキャッチパッド140により妨害されないようにするためである。
【0029】
上述したように、本発明の一実施例に係る多層セラミック基板によれば、表面電極とセラミック層との間の固着力が強まるので、セラミック基板の焼成の際に、表面電極がセラミック層から分離することを防止することができる。
【0030】
以上では、本発明の一実施例に係る多層セラミック基板について説明したが、以下では、本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法について説明する。
図4は、本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法を示す順序図であり、
図5から
図10は、本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法を示す工程図である。
【0031】
図4を参照すると、本発明の一実施例に係る多層セラミック基板100の製造方法は、第1セラミック層に第1ビアを形成するステップS110と、第1セラミック層に電極分離防止部を形成するステップS120と、第1セラミック層の表面に表面電極を形成するステップS130と、第2セラミック層に第2ビアを形成するステップS140と、第2セラミック層の表面にキャッチパッドを形成するステップS150と、積層体を形成するステップS160と、積層体を焼成するステップS170と、を含むことができる。
【0032】
図5を参照すると、第1セラミック層111に第1ビア121を形成するステップS110は、グリーンシートで形成された第1セラミック層111を貫通する第1ビア121を形成するステップである。
【0033】
第1セラミック層111に第1ビアホールを形成し、第1ビアホール内に導電性物質を充填することにより第1ビア121を形成することができる。導電性物質としては、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)などを含むことができる。
【0034】
第1セラミック層111に電極分離防止部130を形成するステップS120は、第1セラミック層111を貫通し、第1ビア121の外側に位置する電極分離防止部130を形成するステップである。電極分離防止部130は、前述したように、表面電極113がセラミック層から分離されないようにするものである。
【0035】
第1セラミック層111の第1ビアホールの外側に貫通孔を形成し、貫通孔内に導電性物質を充填することにより電極分離防止部130を形成することができる。電極分離防止部130は、複数であってもよい。電極分離防止部130は、第1ビア121の長手方向に延長されるように形成することができる。
【0036】
図5に示すように、第1ビア121及び電極分離防止部130は、同時に形成することができる。具体的に、第1ビアホール及び貫通孔が同時に形成され、第1ビアホール及び貫通孔内に導電性物質を同時に充填することができる。また、電極分離防止部130は、第1ビア121と同じ物質で形成することができ、これにより、工程を簡単にすることができる。
【0037】
電極分離防止部130は、第1ビア121と離隔して配置することができる。電極分離防止部130は、表面電極113をセラミック層により強く固着させる役割をし、ビアの役割はしないため、電極分離防止部130によりビアの役割が妨害されることはない。
【0038】
図6を参照すると、第1セラミック層111の表面に表面電極113を形成するステップS130は、表面電極113が、第1ビア121及び電極分離防止部130上に位置するように、表面電極113を第1セラミック層111の表面に形成するステップである。 表面電極113は、第1ビア121及び電極分離防止部130と結合して、第1ビア121と電気的に接続され、電極分離防止部130によりセラミック層により強く固着されることができる。一方、表面電極113は、電極ペーストを印刷して形成することができる。
【0039】
図7を参照すると、第2セラミック層112に第2ビア122を形成するステップS140は、グリーンシートで形成された第2セラミック層112に、第1ビア121の位置に対応する第2ビア122を形成するステップである。第1ビア121及び第2ビア122は、一直線上に位置することができる。第2ビア122は、第1ビア121と電気的に接続され、複数のセラミック層が電気的に接続できるようになる。
【0040】
第2セラミック層112に第2ビアホールを形成した後に、第2ビアホール内に導電性物質を充填して第2ビア122を形成することができる。第2ビア122の導電性物質は第1ビア121の導電性物質と同じ物質であってもよい。
【0041】
図8を参照すると、第2セラミック層112の表面にキャッチパッド140を形成するステップS150は、第2セラミック層112の表面に、電極分離防止部130の位置に対応するキャッチパッド140を形成するステップである。キャッチパッド140は、電極分離防止部130に結合されることにより、第1セラミック層111に対する表面電極113の固着力を強化させる。キャッチパッド140は、電極ペーストを印刷することにより形成することができる。
【0042】
キャッチパッド140は、第2ビア122の上面の外郭を取り囲む形状に形成することができる。これにより、表面電極113の第1セラミック層111に対する結束力を強化させることができる。
【0043】
キャッチパッド140は、第2ビア122と離隔して形成することができる。すなわち、キャッチパッド140は、例えばドーナツ形状に形成することができる。これにより、キャッチパッド140が導電性物質で形成されても、第2ビア122の役割を妨害することはない。
【0044】
図9を参照すると、積層体を形成するステップS160は、第2セラミック層112 上に第1セラミック層111を積層して積層体を形成するステップである。第2セラミック層112上に第1セラミック層111を積層すると、第1ビア121と第2ビア122とが接続されてビア電極120となり、電極分離防止部130とキャッチパッド140とが接続することになる。
【0045】
図10を参照すると、積層体は、より多いセラミック層を含むことができる。グリーンシートで形成されるセラミック層の個数は使用者により調整することができ、積層体は、すべてのセラミック層が積層されることにより形成することができる。積層体が三つ以上のセラミック層を含む場合、電極分離防止部130は、表面電極113と結合するので、最上層に位置するセラミック層111のみに形成することができる。
【0046】
積層体を焼成するステップS170は、HTCCの場合、積層体を1500℃以上で焼成し、LTCCの場合、積層体を1000℃以下で焼成するステップである。
【0047】
積層体の焼成の際に、第1セラミック層111、第2セラミック層112、第1ビア121、第2ビア122、及び表面電極113が全て収縮することになる。しかし、表面電極113は、電極分離防止部130及びキャッチパッド140により第1セラミック層111に結束されており、表面電極113と第1セラミック層111との間の固着力を強めることができる。
【0048】
上述したように、本発明の一実施例に係る多層セラミック基板の製造方法によれば、表面電極がセラミック層から分離することを防止することができ、不良率が低減されて収率が向上することができる。
【0049】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【符号の説明】
【0050】
100 多層セラミック基板
110 セラミック層
111 第1セラミック層
112 第2セラミック層
113 表面電極
120 ビア電極
121 第1ビア
122 第2ビア
130 電極分離防止部
140 キャッチパッド