【解決手段】 調理油を貯留する油槽と、油槽に設けられ、被調理物を調理油に浸漬させながら油槽の入口側から出口側へ搬送するコンベヤと、油槽内の調理油を加熱するヒータと、油槽内の調理油の温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段の検出温度に基づいて、コンベヤの運転及びヒータの加熱を制御する制御手段とを備え、制御手段は、調理油の温度が、第1の上限温度より高い際にヒータをOFFに制御し、第1の下限温度より低い際にヒータをONに制御するように構成されている第1のON−OFF手段と、第1のON−OFF手段が故障の際に、ヒータの加熱動作を制御するように構成されている第2のON−OFF手段とを有する。
前記第2のON−OFF制御手段は、前記調理油の温度が、予め設定された前記第1の上限温度より高い値に設定した第2の上限温度より高い際に前記ヒータをOFFに制御し、予め設定された前記第1の下限温度より高い値に設定した第2の下限温度より低い際に前記ヒータをONに制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気式連続揚物機。
前記第2のON−OFF制御手段は、前記調理油の温度が、前記第1の上限温度に到達してから所定時間を経過した際に前記ヒータをOFFに制御し、前記第1の下限温度に降下してから所定時間を経過した際に前記ヒータをONに制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気式連続揚物機。
前記制御手段は、計時手段と、表示手段と、コンベヤを一時停止させる一時停止ボタンとをさらに備え、前記一時停止ボタンが押されると、前記計時手段が計時を開始し、前記表示手段に時間を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気式連続揚物機。
前記制御手段は、コンベヤを最高速度で運転させる最高速ボタンをさらに備え、前記最高速ボタンが押されると、設定変更せずにコンベヤを最高速度で運転するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気式連続揚物機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電気式連続揚物機は、例えば、ソリッドステートコンタクタ(SSC)を用いてオン/オフ制御により調理油の温度を制御するのが一般的である。しかし、調理中にソリッドステートコンタクタが短絡すると、ヒータが常時ON状態になって温度制御が利かなくなる。このような場合、電気式連続揚物機の使用を中止する必要があり、学校給食の献立から揚げ物を外さなければならない。このような大量調理における当日のメニュー変更は大きな問題となる。
【0007】
そこで、本発明は、ソリッドステートコンタクタが短絡した場合でも温度制御を続けることができ、温度コントロールのバックアップ機能を有する電気式連続揚物機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、電気式連続揚物機は、調理油を貯留する油槽と、油槽に設けられ、被調理物を調理油に浸漬させながら油槽の入口側から出口側へ連続的に搬送するコンベヤと、油槽内の調理油を加熱するヒータと、油槽内の調理油の温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段の検出温度に基づいて、コンベヤの運転及びヒータの加熱を制御する制御手段とを備え、制御手段は、調理油の温度が、第1の上限温度より高い際にヒータをOFFに制御し、第1の下限温度より低い際にヒータをONに制御するように構成されている第1のON−OFF制御手段と、第1のON−OFF制御手段が故障の際に、ヒータの加熱動作を制御するように構成されている第2のON−OFF制御手段とを有する。
【0009】
このような電気式連続揚物機によれば、制御手段は、調理油の温度が、第1の上限温度より高い際にヒータをOFFにし、第1の下限温度より低い際にヒータをONに制御する第1のON−OFF制御手段と、第1のON−OFF制御手段が故障の際に、ヒータの加熱動作を制御する第2のON−OFF制御手段とを有することにより、温度コントロールのバックアップを実現でき、ソリッドステートコンタクタが短絡した場合でも温度制御を続けることができる。
【0010】
第2のON−OFF制御手段は、調理油の温度が、予め設定された第1の上限温度より高い値に設定した第2の上限温度より高い際にヒータをOFFに制御し、予め設定された第1の下限温度より高い値に設定した第2の下限温度より低い際にヒータをONに制御するように構成されていることが好ましい。これにより、第1のON−OFF制御手段が故障した後予め設定された温度の上限及び下限でON−OFF制御を行うことができる。
【0011】
第2のON−OFF制御手段は、調理油の温度が、第1の上限温度に到達してから所定時間を経過した際にヒータをOFFに制御し、第1の下限温度に降下してから所定時間を経過した際にヒータをONに制御するように構成されていることが好ましい。これにより、第1のON−OFF制御手段が故障した後、予め設定された所定時間内でON−OFF制御することが可能となる。
【0012】
ヒータは、油槽の入口側から出口側まで、複数の系統から構成され、制御手段は、出口側に配置された少なくとも1系統のパワーを調整可能に構成されていることが好ましい。これにより、出口側の油温を任意に設定することが可能となる。
【0013】
制御手段は、計時手段と、表示手段と、コンベヤを一時停止させる一時停止ボタンとをさらに備え、一時停止ボタンが押されると、計時手段が計時を開始し、表示手段に時間を表示するように構成されていることが好ましい。これにより、運転中(調理作業中)に仕上がり状況に応じてコンベヤのみを一時停止させ、食材の中心温度を確実に上げ、揚げ姿(仕上がり)をよくなることができる。また、停止した時間を表示することで、停止時間を把握することができレシピ作成にも役立つことを期待できる。
【0014】
制御手段は、コンベヤを最高速度で運転させる最高速ボタンをさらに備え、最高速ボタンが押されると、設定変更せずにコンベヤを最高速度で運転するように構成されていることが好ましい。これにより、運転中(調理作業中)に仕上がり状況に応じて揚げすぎ状態と判断した場合、設定を変更することなくコンベヤを最高速度にして、食材を取り出すことができる。
【0015】
温度検出手段は、油槽の入口側及び出口側にそれぞれ配置されていることが好ましい。これにより、油槽の入口側と出口側の温度を個別に管理することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、制御手段は、調理油の温度が、第1の上限温度より高い際にヒータをOFFにし、第1の下限温度より低い際にヒータをONに制御する第1のON−OFF制御手段と、第1のON−OFF制御手段が故障の際に、ヒータの加熱動作を制御する第2のON−OFF制御手段とを有することにより、温度コントロールのバックアップを実現でき、ソリッドステートコンタクタが短絡した場合でも温度制御を続けることができ、調理作業への影響が少なく、継続して調理作業を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る電気式連続揚物機を実施するための形態を、図を参照して説明する。
【0019】
本発明に係る電気式連続揚物機は、ヒータが熱源として用いられ、ホテル、病院、学校給食などにおいて揚物調理を行うものである。
【0020】
図1は本発明の実施の形態の電気式連続揚物機100の全体の構成を示しており、
図2は電気式連続揚物機100の断面を示しており、
図3はヒータ40の構成を示している。また、
図4は電気式連続揚物機100の制御手段60の回路構成を示している。
図5は制御手段60の回路構成を概略的に示している。
図6は操作部65の表示画面の表示例を示している。
【0021】
図1〜
図3に示すように、電気式連続揚物機100は、調理油を貯留する油槽10と、被調理物を調理油にて浸漬させながら油槽の入口側から出口側へ連続的に搬送するための搬送コンベヤ(CV)20と、搬送コンベヤ20で搬送される被調理物Aを押さえるための押さえコンベヤ(CV)30と、調理油を加熱するヒータ40と、調理油の温度を検出する温度検出手段50と、温度検出手段50の検出温度に基づいて、搬送コンベヤ20及び押さえコンベヤ30の運転並びにヒータ40の加熱を制御する制御手段60とを備えている。
【0022】
油槽10は、調理油を貯留するものであり、例えば上部が開放された長方形に形成されている。その長手方向にコンベヤ20によって被調理物Aが入口側から出口側へ連続的に搬送される。油槽10の出口側の側壁が傾斜状に形成されている(
図3参照)。また、油槽10の下部に排水口11及び排油口12が設けられている。なお、油槽10の入口側には入口シュート13が設けられ、出口側には出口部カバー14が設けられている。
【0023】
搬送コンベヤ20は、被調理物Aを調理油に浸漬させながら油槽10の入口側から出口側へ連続的に搬送するネットコンベヤであり、出口側の出口部カバー14の内部に配置されたモータ21により駆動されるように構成されている。モータ21の回転速度を調整することで、搬送コンベヤ20の速度を制御することができる。
【0024】
押さえコンベヤ30は、被調理物Aを調理油に浸漬させながら油槽の入口側から出口側へ連続的に搬送する際に、搬送コンベヤ20と同じ速度で移動し、被調理物Aの浮き上がりを阻止するためにこれら被調理物Aを押さえ付けるネットコンベヤである(
図2参照)。
【0025】
ヒータ40(40a、40b、40c)は、例えば複数のシーズヒータを用いて構成される。
図3に示すように、3つのシーズヒータを1系統とし、計3系統から構成されている。即ち、ヒータ40は、各系統がデルタ結線された3つのシーズヒータ(A1,A2,A3)、(A4,A5,A6)及び(A7,A8,A9)からなる。また、ヒータ40は、油槽10の底板より適切な高さ位置の中底下部に設置されている。なお、ヒータ40は、調理量に応じて4系統、8系統から構成してもよい。
【0026】
温度検出手段50は、油槽10の入口側に配置される入口側温度センサ50aと、油槽10の出口側に配置される出口側温度センサ50bとから主として構成されている。入口側温度センサ50a及び出口側温度センサ50bとしては、例えばサーミスタや熱電対等の温度センサが用いられる。温度検出手段50は、制御手段60に電気的に接続され、検出信号が制御手段70に伝送される。
【0027】
制御手段60は、
図4及び
図5に示すように、CPU61、ROM62、RAM63及び計時手段64を備えたコンピュータであるPLC(Programmable Logic Controller)と、操作部65と、第1のON−OFF制御手段してのソリッドステートコンタクタSSC1、SSC2及びSSC3と、第2のON−OFF制御手段としての電磁接触器MC1、MC2及びMC3と、搬送コンベヤ20及び押さえコンベヤ30を制御するための電磁接触器MC0及びインバーターNとを備えている。CPU61はROM62に格納された制御プログラムに従って、RAM63をワークエリアとして使用しながら、搬送コンベヤ20、押さえコンベヤ30及びヒータ40の動作を制御する。また、操作部65には、表示及び入力操作機能を有するタッチパネル(表示手段)65a及び緊急停止スイッチ65bが設けられている。PLCは、油槽10の下部に配置され、操作部65は配線を介して作業者が操作し易い位置(例えば、油槽10の入口側)に設置されている。
【0028】
ソリッドステートコンタクタSSC1は、出力端子を介してデルタ結線されたシーズヒータA1、A2及びA3に電気的に接続されている。ソリッドステートコンタクタSSC2は、出力端子を介してデルタ結線されたシーズヒータA4、A5及びA6に電気的に接続されている。ソリッドステートコンタクタSSC3は、出力端子を介してデルタ結線されたシーズヒータA7、A8及びA9に電気的に接続されている。
【0029】
電磁接触器MC1は、ソリッドステートコンタクタSSC1の入力側に電気的に接続されており、電磁接触器MC2は、ソリッドステートコンタクタSSC2の入力側に電気的に接続されており、電磁接触器MC3は、ソリッドステートコンタクタSSC2の入力側に電気的に接続されている。
【0030】
電気式連続揚物機100の制御系において、PLCは、電磁接触器MC1、MC2、MC3及びMC0と、ソリッドステートコンタクタSSC1、SSC2及びSSC3と、インバーターNとを介して搬送コンベヤ20、押さえコンベヤ30及びヒータ40を制御するように構成されている。なお、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3、及びインバーターNからは警報信号をPLCへ出力することが可能である。
【0031】
また、
図6に示すように、操作部65の表示画面65aは、「調理画面」、「運転中」及び「CV一時停止中」画面を切り替えることができる。
図6(a)に示すように、「調理画面」には、左上にボタンB1、右上にボタンB2、下部に「予熱」、「起動」及び「停止」ボタンを有し、中央部に入口、出口温度の実測値、設定値及び揚げ時間が表示される。
図6(b)に示すように、「運転中」画面には、左上にボタンB1、右上にボタンB2、下部に「CV停止」、「起動」及び「停止」ボタンを有し、中央部に入口、出口温度の実測値、設定値及び揚げ時間が表示される。この「運転中」画面において、右上にボタンB2を押すと、設定変更することなく、搬送コンベヤ20及び押さえコンベヤ30が最高速となる。そして、左上にボタンB1を押すと、元の揚げ時間(運転速度)に戻る。
図6(c)に示すように、「CV一時停止中」画面には、左上にボタンB1、右上にボタンB2、下部に「CV停止」、「起動」及び「停止」ボタンを有し、中央部に入口、出口温度の実測値、設定値及び停止時間が表示される。
【0032】
また、本実施形態における電気式連続揚物機100には、跳ね上げレバー70が設けられている。この跳ね上げレバー70を持ち上げると、搬送コンベヤ20、押さえコンベヤ30、ヒータ40及び温度検出手段50が油槽10の手前側から持ち上げられるように構成されている。これにより、油槽10、搬送コンベヤ20、押さえコンベヤ30、ヒータ40及び温度検出手段50の清掃が容易となる。
【0033】
次に、本実施形態における電気式連続揚物機100の調理作業における温度制御を、
図7及び
図8のフローチャートを参照して説明する。
図7は電気式連続揚物機100における温度差によるバックアップを行う制御例を示しており、
図8は電気式連続揚物機100における時間差によるバックアップを行う制御例を示している。以下、説明を簡明にするために、搬送コンベヤ20と押さえコンベヤ30の両方を単に「コンベヤ」と称する。
【0034】
まず、温度差によるバックアップを行う制御について説明する。
図7に示すように、PLCは、電源がONとなると(ステップS1)、操作部65の表示画面に「運転画面」を表示する(ステップS2)。次いで、前回調理操作での温度及び時間の設定値を読み出し、表示する(ステップS3)。次いで、設定値入力があったか否かを判断する(ステップS4)。ここで、設定値入力がなかったと判断した場合(NOの場合)、後述するステップS6へ進む。一方、設定値入力があったと判断した場合(YESの場合)、設定値を更新する(ステップS5)。
【0035】
次いで、運転開始指示があったか否かを判断する(ステップS6)。運転開始指示があったと判断された場合(YESの場合)、電磁接触器MC1〜MC3及びMC0、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3及びインバーターNをONにする(ステップS7)。これにより、ヒータ40の加熱が開始し、コンベヤの運転が開始する。次いで、ステップS8で、加熱により入口及び出口温度が180℃(第1の上限温度)より高いか否かを判断する。入口及び出口温度が180℃より高いと判断された場合(YESの場合)、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3をOFFにする(ステップS9)。次いで、入口及び出口温度が179℃(第1の下限温度)より低いか否かを判断する(ステップS10)。ここで、入口及び出口温度が179℃より低いと判断された場合(YESの場合)、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3をONにする(ステップS11)。そして、ステップS8に戻り、上述したステップS8〜S11の動作を繰り返し、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3により温度制御を行う。
【0036】
一方、入口及び出口温度が179℃より低くないと判断された場合(NOの場合、例えば、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3が短絡し、制御が利かなくなった場合)、入口及び出口温度が182℃(第2の上限温度)より高いか否かを判断する(ステップS12)。ここで、入口及び出口温度が182℃より高いと判断された場合(YESの場合)、電磁接触器MC1〜MC3をOFFにする(ステップS13)。次いで、入口及び出口温度が180℃(第2の下限温度)より低いか否かを判断する(ステップS14)。ここで、入口及び出口温度が180℃より低いと判断された場合(YESの場合)、電磁接触器MC1〜MC3をONにする(ステップS15)。次いで、調理終了の指令があったか否かを判断する(ステップS16)。ここで、調理終了の指令がなかったと判断された場合、ステップS12に戻り、上述したステップS12〜S15の動作を繰り返す。一方、調理終了の指令があったと判断された場合(YESの場合、電磁接触器MC1〜MC3及びMC0、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3及びインバーターNをOFFにする(ステップS17)。これにより、調理作業を終了する。
【0037】
このように、調理作業中にソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3が短絡し、制御が利かなくなった場合、設定温度に到達した後、さらに所定温度(例えば2℃)だけ上昇した際に、電磁接触器MC1〜MC3による温度制御が行われ、電気式連続揚物機100の調理作業を継続させることができる。
【0038】
次に、時間差によるバックアップを行う制御について説明する。
図8に示すように、PLCは、電源がONとなると(ステップS21)、操作部65の表示画面に「運転画面」を表示する(ステップS22)。次いで、前回調理操作での温度及び時間の設定値を読み出し、表示する(ステップS23)。次いで、設定値入力があったか否かを判断する(ステップS24)。ここで、設定値入力がなかったと判断した場合(NOの場合)、後述するステップS26へ進む。一方、設定値入力があったと判断した場合(YESの場合)、設定値を更新する(ステップS25)。
【0039】
次いで、運転開始指示があったか否かを判断する(ステップS26)。運転開始指示があったと判断された場合(YESの場合)、電磁接触器MC1〜MC3及びMC0、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3及びインバーターNをONにする(ステップS27)。これにより、ヒータ40の加熱が開始し、コンベヤの運転が開始する。次いで、ステップS28で、加熱により入口及び出口温度が180℃より高いか否かを判断する。入口及び出口温度が180℃より高いと判断された場合(YESの場合)、計時手段64により計時を開始する(ステップS29)。次いで、3秒を経過したか否かを判断する(ステップS30)。ここで、3秒を経過したと判断された場合(YESの場合)、後述するステップS35へ進む。一方、3秒を経過していないと判断された場合、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3をOFFにする(ステップS32)。次いで、入口及び出口温度が179℃より低いか否かを判断する(ステップS33)。ここで、入口及び出口温度が179℃より低いと判断された場合(YESの場合)、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3をONにする(ステップS34)。そして、ステップS30に戻り、上述したステップS30〜S34の動作を繰り返し、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3により温度制御を行う。
【0040】
一方、ステップ31において、3秒を経過したと判断された場合、電磁接触器MC1〜MC3をOFFにする(ステップS35)。次いで、入口及び出口温度が179℃になったか否かを判断する(ステップS36)。ここで、入口及び出口温度が179℃になったと判断された場合(YESの場合)、計時手段64により計時を開始する(ステップS37)。次いで、1秒を経過したか否かを判断する(ステップS38)。ここで、1秒を経過したと判断された場合(YESの場合)、電磁接触器MC1〜MC3をONにする(ステップS39)。次いで、調理終了の指令があったか否かを判断する(ステップS40)。ここで、調理終了の指令がなかったと判断された場合、ステップS28に戻り、上述したステップS28〜S39の動作を繰り返す。一方、調理終了の指令があったと判断された場合(YESの場合)、電磁接触器MC1〜MC3及びMC0、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3及びインバーターNをOFFにする(ステップS41)。これにより、調理作業を終了する。
【0041】
このように、調理作業中にソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3が短絡し、制御が利かなくなった場合、設定温度に到達した後、所定時間(例えば3秒)を経過した際に、電磁接触器MC1〜MC3による温度制御が行われ、電気式連続揚物機100の調理作業を継続させることができる。
【0042】
次に、本実施形態における電気式連続揚物機100の調理作業におけるコンベヤを一時停止する際の制御を、
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
調理作業中にコンベヤの一時停止を行う場合の制御について説明すると、
図9に示すように、PLCは、電源がONとなると(ステップS51)、操作部65の表示画面に「運転画面」を表示する(ステップS52)。次いで、前回調理操作での温度及び時間の設定値を読み出し、表示する(ステップS53)。次いで、設定値入力があったか否かを判断する(ステップS54)。ここで、設定値入力がなかったと判断した場合(NOの場合)、後述するステップS56へ進む。一方、設定値入力があったと判断した場合(YESの場合)、設定値を更新する(ステップS55)。次いで、運転開始指示があったか否かを判断する(ステップS56)。運転開始指示があったと判断された場合(YESの場合)、電磁接触器MC1〜MC3及びMC0、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3及びインバーターNをONにする(ステップS57)。これにより、ヒータ40の加熱が開始し、コンベヤの運転が開始する。
【0044】
次いで、コンベヤ(CV)一時停止指令があったか否かを判断する(ステップS58)。ここで、CV一時停止指令があったと判断された場合(YESの場合)、例えば、表示画面65aの左下の「CV停止」ボタン(一時停止ボタン)が押されると、コンベヤ一時停止指令が入力され、同時にCV一時停止画面が表示される。コンベヤを駆動するモータ21を停止させる(ステップS59)。次いで、計時手段64により計時を開始する(ステップS60)。次いで、ステップS61で、停止時間を表示する。次いで、コンベヤの運転を再開する指令があったか否かを判断する(ステップS62)。ここで、再開指令があるまで繰り返し判断を行い、同時に停止時間を表示する。一方、コンベヤの運転を再開する指令があったと判断された場合(YESの場合)、例えば、表示画面65aの左下の「CV停止」ボタンが再度押されると、再開指令が入力される。コンベヤを駆動するモータ21を運転開始する(ステップS63)。次いで、調理終了の指令があったか否かを判断する(ステップS64)。ここで、調理終了の指令がなかったと判断された場合、ステップS58に戻り、上述したステップS58〜S63の動作を繰り返す。一方、調理終了の指令があったと判断された場合(YESの場合)、電磁接触器MC1〜MC3及びMC0、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3及びインバーターNをOFFにする(ステップS65)。これにより、調理作業を終了する。
【0045】
このように、調理作業中に仕上がり状況に応じてコンベヤのみを停止させることができる。これにより、食材の中心温度を確実に上げ、揚げ姿(仕上がり)をよくすることができる。また、停止した時間を操作パネルに表示することで、停止時間が把握でき、レシピ作成にも役立つことができる。
【0046】
次に、本実施形態における電気式連続揚物機100の調理作業におけるコンベヤを最高速度にする際の制御を、
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
調理作業中にコンベヤの最高速度運転を行う場合の制御について説明すると、
図10に示すように、PLCは、電源がONとなると(ステップS71)、操作部65の表示画面に「運転画面」を表示する(ステップS72)。次いで、前回調理操作での温度及び時間の設定値を読み出し、表示する(ステップS73)。次いで、設定値入力があったか否かを判断する(ステップS74)。ここで、設定値入力がなかったと判断した場合(NOの場合)、後述するステップS76へ進む。一方、設定値入力があったと判断した場合(YESの場合)、設定値を更新する(ステップS75)。次いで、運転開始指示があったか否かを判断する(ステップS76)。運転開始指示があったと判断された場合(YESの場合)、電磁接触器MC1〜MC3及びMC0、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3及びインバーターNをONにする(ステップS77)。これにより、ヒータ40の加熱が開始し、コンベヤの運転が開始する。
【0048】
次いで、コンベヤ(CV)の最高速度運転指令があったか否かを判断する(ステップS78)。ここで、CVの最高速度運転指令があったと判断された場合(YESの場合)、例えば、表示画面65aの右上のボタンB2(最高速ボタン)が押されると、CVの最高速度運転指令が入力される。コンベヤを駆動するモータ21の速度を予め設定された最高速度にする(ステップS79)。次いで、CVの最高速度運転を終了する指令があったか否かを判断する(ステップS80)。ここで、CVの最高速度運転を終了する指令があるまで繰り返し判断を行う。一方、CVの最高速度運転を終了する指令があったと判断された場合(YESの場合)、モータ21を通常運転にする(ステップS81)。次いで、調理終了の指令があったか否かを判断する(ステップS82)。ここで、調理終了の指令がなかったと判断された場合、ステップS78に戻り、上述したステップS78〜S81の動作を繰り返す。一方、調理終了の指令があったと判断された場合(YESの場合、電磁接触器MC1〜MC3及びMC0、ソリッドステートコンタクタSSC1〜SSC3及びインバーターNをOFFにする(ステップS83)。これにより、調理作業を終了する。
【0049】
このように、調理作業中に仕上がり状況に応じてコンベヤの速度を最高速度にすることができる。これにより、揚げすぎ状態と判断した食材を、設定変更することなくコンベヤの速度を最高にして、食材を取り出すことができる。
【0050】
また、調理作業において、調理メニューによって、高温で短い時間で揚げると仕上がりがよくなる場合がある。例えば、揚げパンの場合、最低揚げ時間を1分に設定する場合、最低揚げ時間を設定する際に、制御手段60は、搬送コンベヤ20及び押さえコンベヤ30の速度を制御することで、最低揚げ時間を実現することができる。
【0051】
このように本実施の形態においては、電気式連続揚物機100は、油槽10と、搬送コンベヤ20と、押さえコンベヤ30と、ヒータ40と、温度検出手段50と、制御手段60とを備えている。制御手段60は、電磁接触器MC1、MC2、MC3及びMC0と、ソリッドステートコンタクタSSC1、SSC2及びSSC3と、インバーターNとを介して搬送コンベヤ20、押さえコンベヤ30及びヒータ40を制御するようになっている。
【0052】
これにより、温度コントロールのバックアップを実現でき、ソリッドステートコンタクタSSC1、SSC2及びSSC3が短絡した場合でも温度制御を続けることができ、調理作業への影響が少なく、継続して調理作業を行うことができる。
【0053】
電磁接触器MC1、MC2及びMC3は、調理油の温度が、予め設定された第1の上限温度(180℃)より高い値の第2の上限温度(182℃)より高い時加熱回路をOFFにし、予め設定された第1の下限温度(179℃)より高い値の第2の下限温度(180℃)より低い時加熱回路をONにすることにより、ソリッドステートコンタクタSSC1、SSC2及びSSC3が故障した後予め設定された温度の上限及び下限でON−OFF制御を行うことができる。ここで、第1の上限温度及び第1の下限温度は、調理メニューの設定温度であり、第2の上限温度及び第2の下限温度は、ソリッドステートコンタクタ短絡時に制御温度となるために設定された温度である。従来、ソリッドステートコンタクタの保護用の電磁接触器に制御温度を設けることはないため、運転時にONを継続する。上記のように温度差を設けていることにより、ソリッドステートコンタクタ正常時に電磁接触器の開閉頻度を少なくすることができる。
【0054】
電磁接触器MC1、MC2及びMC3は、調理油の温度が、第1の上限温度(180℃)に到達してから所定時間(3秒)を経過した時加熱回路をOFFにし、第1の下限温度(179℃)に降下してから所定時間(1秒)を経過した時加熱回路をONにすることにより、ソリッドステートコンタクタSSC1、SSC2及びSSC3が故障した後、予め設定された所定時間内でON−OFF制御を行うことができる。ここで、電磁接触器MC1、MC2及びMC3のON−OFFまでの時間をそれぞれ比較的に短い3秒と1秒とすることは、ソリッドステートコンタクタSSC1、SSC2及びSSC3が短絡した場合、油温が調理温度の上限及び下限より大きく上昇及び降下しないようにするためである。これにより、揚げすぎ及び油温低下を回避し、調理の揚げ姿を確保することができる。なお、電磁接触器の開閉頻度を少なくするために、ある程度の時間差を設けることが望ましい。
【0055】
ヒータ40は、油槽10の入口側から出口側まで、複数の系統から構成され、制御手段60は、出口側に配置された少なくとも1系統のパワーを調整可能に構成されていることにより、出口側の油温を任意に設定することが可能となる。
【0056】
制御手段60は、一時停止ボタンが押されると、計時手段64が計時を開始し、表示手段に時間を表示するように構成されていることにより、運転中(調理作業中)に仕上がり状況に応じてコンベヤのみを一時停止させ、食材の中心温度を確実に上げ、揚げ姿(仕上がり)をよくすることができる。また、停止した時間を表示することで、停止時間を把握することができレシピ作成にも役立つことを期待できる。
【0057】
制御手段60は、最高速ボタンB2が押されると、設定変更せずにコンベヤを最高速度で運転するように構成されていることにより、運転中(調理作業中)に仕上がり状況に応じて揚げすぎ状態と判断した場合、設定を変更することなくコンベヤを最高速度にして、食材を取り出すことができる。
【0058】
なお、上述した実施形態においては、ヒータ40は3つの系統を有するものについて説明したが、これに限定されるものではない。電気式連続揚物機100の処理量によって、2つ又は4つ以上の系統を有するようにしてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態においては、第1の上限温度を180℃とし、第2の上限温度を182℃とし、第1の下限温度を179℃とし、第2の下限温度を180℃とした例を説明したが、これに限定されるものではない。温度差を所定範囲において任意に設定することができる。
【0060】
また、上述した実施形態においては、調理油の温度が、第1の上限温度(180℃)に到達してから3秒を経過した時加熱回路をOFFにし、第1の下限温度(179℃)に降下してから1秒を経過した時加熱回路をONにする例を説明したが、これに限定されるものではない。時間差を所定範囲において任意に設定することができる。
【0061】
また、上述した実施形態においては、入口温度と出口温度が同じ温度とした例を説明したが、これに限定されるものではない。入口温度と出口温度が異なる温度に設定してもよい。
【0062】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含まれるものである。