特開2015-130791(P2015-130791A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-130791(P2015-130791A)
(43)【公開日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】並列接続インバータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/04 20060101AFI20150619BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20150619BHJP
   H02P 27/08 20060101ALI20150619BHJP
   H02P 6/08 20060101ALI20150619BHJP
【FI】
   H02P7/63 301B
   H02P7/63 302K
   H02P6/02 351J
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-263359(P2014-263359)
(22)【出願日】2014年12月25日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0168398
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リ ボン キ
【テーマコード(参考)】
5H505
5H560
【Fターム(参考)】
5H505BB04
5H505DD03
5H505DD05
5H505DD06
5H505EE49
5H505HA10
5H505HB01
5H505LL22
5H560BB04
5H560DC12
5H560EB01
5H560RR10
5H560UA06
5H560XA12
(57)【要約】
【課題】本発明は、並列接続されたインバータのPWM同期信号にノイズが発生する場合、これを補完して、PWMキャリアが0に突然変更することを解決して、インバータの震えを防止する並列接続インバータ制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、パルス幅変調(PWM)同期信号を受信する場合、予め設定されたPWM同期信号の検出範囲を確認して、PWM同期信号受信時点でのPWMキャリアの同期誤差を演算して、PWMキャリアのピークで前記同期誤差を補正することを特徴とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインバータが並列に接続されてモーターを駆動するシステムで、前記複数のインバータを各々制御する方法において、
パルス幅変調(PWM)同期信号を受信する場合、予め設定されたPWM同期信号の検出範囲を確認するステップと、
PWM同期信号受信時点でのPWMキャリアの同期誤差を演算するステップと、
PWMキャリアのピークで前記同期誤差を補正するステップと、を含むことを特徴とする、制御方法。
【請求項2】
受信したPWM同期信号が検出範囲以外である場合、該当PWM同期信号を無視するステップをさらに含む、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
PWM同期信号受信時点でPWMキャリアの同期誤差がない場合、予め設定された幅だけPWM同期信号検出範囲を縮小するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
PWMキャリアの同期誤差を補正した場合、PWM同期信号検出範囲を維持するステップをさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
PWM同期信号検出範囲を維持するステップをさらに含む、請求項2に記載の制御方法。
【請求項6】
PWM同期信号検出範囲でPWM同期信号が受信されない場合、PWM同期信号検出範囲を予め設定された幅だけ拡大するステップをさらに含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列に接続されたインバータの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、インバータとは、交流電源を直流電源に変換した後、制御部から入力されるパルス幅変調(Pulse−Width Modulation、PWM)信号の制御によって、直流電源をIGBTのようなスイッチング素子でスイッチングして、交流電圧を出力することによって、電動機を駆動する機器である。
【0003】
即ち、インバータは、電動機を効率よく制御するための機器であり、電動機の消耗電力を減らしてエネルギー効率を上げるように設計される。
【0004】
一方、大容量モーターを駆動するためには、大容量のインバータを要するが、インバータの主な部品である絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)とダイオードなどに対する開発限界によって、大容量インバータの実現が難しいため、複数の小容量インバータを並列接続して同期運転することで大容量モーターを駆動する。
【0005】
複数のインバータが並列接続される場合、小容量のインバータで大容量のインバータを構成できるが、各インバータのPWMキャリアが同期して駆動しなければならないが、PWM同期信号にノイズが発生する場合、これを同期信号として認識して、PWMキャリアが0に変更されることによってPWMキャリアが不規則に変動する問題点がある。また、PWMキャリアが強制的に0に変更されると、インバータの出力が震える現象が生じる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1304055号(2013.09.04公告)
【特許文献2】特開2010−288420号(2010.12.24公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、並列接続されたインバータのPWM同期信号にノイズが発生する場合、これを補完して、PWMキャリアが0に突然変更することを解決して、インバータの震えを防止する並列接続インバータ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような技術的課題を解決するために、複数のインバータが並列に接続されてモーターを駆動するシステムにおいて、前記複数のインバータを各々制御する、本発明の一実施形態の方法は、パルス幅変調(PWM)同期信号を受信する場合、予め設定されたPWM同期信号の検出範囲を確認するステップと、PWM同期信号受信時点でのPWMキャリアの同期誤差を演算するステップと、PWMキャリアのピークで前記同期誤差を補正するステップと、を含んでもよい。
【0009】
本発明の一実施形態の制御方法は、受信したPWM同期信号が検出範囲以外の場合、該当PWM同期信号を無視するステップをさらに含んでもよい。
【0010】
本発明の一実施形態の制御方法は、PWM同期信号受信時点でPWMキャリアの同期誤差がない場合、予め設定された幅だけPWM同期信号検出範囲を縮小するステップをさらに含んでもよい。
【0011】
本発明の一実施形態の制御方法は、PWMキャリアの同期誤差を補正した場合、PWM同期信号検出範囲を維持するステップをさらに含んでもよい。
【0012】
本発明の一実施形態の制御方法は、PWM同期信号検出範囲を維持するステップをさらに含んでもよい。
【0013】
本発明の一実施形態の制御方法は、PWM同期信号検出範囲でPWM同期信号が受信されない場合、PWM同期信号検出範囲を予め設定された幅だけ拡大するステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、PWM同期信号のノイズを区分してインバータの誤動作を防止でき、PWMキャリアの同期化のためにキャリアの同期誤差を補正する方法を取ることによって、キャリアを強制的に0に同期しないため、インバータの出力が震える現象を防止する効果がある。
【0015】
従って、本発明によると、並列接続されたインバータを安定的に駆動する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が適用される並列接続インバータシステムの一実施形態構成図である。
図2】PWMキャリア同期を行わない場合の各インバータのPWMキャリアを説明するための一例示図である。
図3】PWMキャリア同期を行う場合、各インバータのPWMキャリアを説明するための一例示図である。
図4】従来インバータ制御方法の問題を説明するための一例示図である。
図5】本発明のインバータ制御方法を説明するための一例示図である。
図6】本発明のインバータ制御方法を説明するための一例示図である。
図7】本発明の一実施形態の並列接続インバータ制御方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、多様な変更を加えることができて、多様な実施形態を有することができ、特定実施形態を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明に係る好ましい一実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明が適用される並列接続インバータシステムの一実施形態構成図である。
【0020】
図面に示したように、並列接続インバータシステムは、3相電源から3相電源が複数のインバータ1に入力されて、インバータから出力される3相出力は、モーター2に入力される。
【0021】
複数のインバータ1のうちいずれか一つのインバータ(1−1)は、同期部10を含み、PWM同期信号を各々複数のインバータ1の制御部20に伝送して、制御部20は、PWM同期信号により複数のスイッチング素子を含むインバータ部30を制御することができる。また、インバータ部30から出力される3相出力は、各インバータ1に提供される電流検出部40により該当インバータ1の制御部20に提供される。
【0022】
各々のインバータ1の制御部20は、単方向通信を行う。即ち、第1インバータ(1−1)の制御部(20−1)は、第2インバータ12の制御部(20−2)に信号を伝達して、第Nインバータ(1−n)の制御部(20−n)は、このような方式で第n−1インバータ(1−(n−1))の制御部(20−(n−1))から信号を受信して、第1インバータ(1−1)の制御部(20−1)に信号を伝達する。
【0023】
第1インバータ(1−1)の制御部(20−1)は、PWM同期信号を同期部10に伝送することができる。
【0024】
また、制御部20は、PWM同期信号によりPWMキャリアを同期化して、インバータ部30のスイッチングを制御することによって、モーター2に所定電圧と周波数の交流電圧を提供することができる。
【0025】
PWMキャリアによりインバータ部30のスイッチング素子を制御する方式に関しては、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するには自明であるため、その詳細な説明は省略する。
【0026】
図1のようなシステムは、小容量のインバータ1で大容量モーター2を駆動することができる。このようなシステムを駆動する場合、各インバータ1のPWMキャリアが同期されて同じ大きさで同じ時間に駆動されなければならない。
【0027】
図2は、PWMキャリア同期を行わない場合の各インバータのPWMキャリアを説明するための一例で、図3は、PWMキャリア同期を行う場合、各インバータのPWMキャリアを説明するための一例示図である。
【0028】
図2に示したように、各インバータのPWMキャリアが同期されず各自駆動される場合、A時点で循環電流が発生してインバータが故障する。
【0029】
従って、図3のように、同期部10によりPWMが同期信号が複数のインバータ1に提供されて、PWMキャリアを0に変更して強制的に同期化する。しかし、このような従来の制御方法では、最初同期は容易であるが、PWM同期信号にノイズが発生する場合、PWM出力に大きな異常が発生する。
【0030】
図4は、従来インバータ制御方法の問題を説明するための一例示図である。
【0031】
図面に示したように、PWM同期信号入力時点(B)でPWMキャリアが0に変更されるが、PWM同期信号にノイズが発生する場合、該当時点(C)で再びPWMキャリアが0に変更されることによって、PWMキャリアが不規則に変更される問題がある。
【0032】
このようにPWMキャリアを強制的に0に変更すると、インバータ部30から電流が出力された後、突然切れる状況が発生するので、同期瞬間にインバータ1の出力が震える現象が発生する問題点がある。
【0033】
本発明は、前記のような問題点を解決するためのもので、PWM同期信号のノイズを解決して、これによりインバータ出力が震える現象を解決する。
【0034】
図5及び図6は、本発明のインバータ制御方法を説明するための一例示図であり、図5の(a)は、同期部10が各インバータ1の制御部20に提供するPWM同期信号を、(b)乃至(d)は、各インバータ1の制御部20がインバータ部30に提供するPWMキャリアを示す。但し、本発明の説明では、3つのインバータ部に提供されるPWMキャリアを例として示したが、本発明がこれに限定されることなく、n個のインバータ1が並列接続される場合にはn個のPWMキャリアが各々同期化されるは自明である。
【0035】
図5に示したように、本発明の制御方法で、各制御部20は、PWM同期信号入力時点でPWMキャリアの同期誤差を確認して、PWMキャリアのピーク(peak)で該当同期誤差を補完することができる。
【0036】
即ち、(a)の第1インバータのPWMキャリアで、該当第1インバータの制御部20は、PWM同期信号が入力されるt1時点での同期誤差を確認して、Dに該当する同期誤差を確認して、該当PWMキャリアのピーク時点(t2)に同期誤差補完(E)することで、同期化を行うことができる。
【0037】
また、(b)の第2インバータのPWMキャリアで、該当第2インバータの制御部20は、PWM同期信号が入力されるt1時点での同期誤差を確認して、Fに該当する同期誤差を確認して、該当PWMキャリアのピーク時点(t3)に同期誤差補完(G)することで、同期化を行うことができる。
【0038】
また、図6に示したように、本発明の制御方法で各制御部20は、PWM同期信号に対する検出範囲を選定することができる。即ち、制御部20は、インバータのPWMキャリアが0の時点(H)から一定範囲(I〜L)を設定して、該当範囲内にPWM同期信号が入力されると、同期信号として認識して、残りの時点(M)に入力される信号に対しては、ノイズと見なすことができる。
【0039】
図7は、本発明の一実施形態の並列接続インバータ制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0040】
図面に示したように、本発明の制御方法で、各インバータ1の制御部20は、同期部10からPWM同期信号を受信すると(S10)、該当PWM同期信号が図6のIのような同期信号検出範囲以内であるか否かを確認して(S15)、もしPWM同期信号検出範囲以内でない場合には、ノイズと見なして、該当同期信号を無視する(S20)。この場合には、同期信号検出範囲を維持することができる(S45)。即ち、例えば、図6の例でt3時点とt4時点との間に同期信号検出範囲以外でPWM同期信号が受信された場合(M)には、該当同期信号検出範囲をt4のように維持することができる(K→L)。
【0041】
一方、もし、S15でPWM同期信号検出範囲以内である場合、PWM同期信号受信時点でPWMキャリアの同期誤差を演算する(S25)。
【0042】
S25の結果、誤差がない場合(S30)、同期信号検出範囲を縮小することができる(S35)。即ち、例えば、図6のt2でPWMキャリアの誤差がないので、制御部20は、同期信号検出範囲をt3でのように縮小することができる(J→K)。
【0043】
一方、S30で誤差がある場合には、キャリアピークに同期誤差を補正して(S40)、同期信号検出範囲を維持することができる(S45)。即ち、図6でt1時点に発生したキャリア同期誤差をキャリアピークで補正した後、t2時点では検出範囲をそのまま維持することができる(I→J)。
【0044】
図示はしなかったが、PWM検出範囲以内でPWM同期信号が検出されない場合には、同期信号検出範囲を拡大することができる。
【0045】
このように本発明の制御部は、PWM同期信号検出範囲を変動することができる。これは、インバータ駆動初期には同期誤差が大きく発生するので、検出範囲を大きく設定して、インバータのPWMキャリアが同期化された以後には検出範囲を狭めてノイズに対する対策を強化するためである。
【0046】
PWM同期信号検出範囲の変動(即ち、増加及び縮小)幅は、予め設定によって決定されていてもよい。
【0047】
このように、本発明によると、PWM同期信号のノイズを区分してインバータの誤動作を防止できて、PWMキャリアの同期化のためにキャリアの同期誤差を補正する方法を取ることによって、キャリアを強制的に0に同期しないことで、インバータの出力が震える現象を防止することができる。
【0048】
従って、本発明によると、並列接続されたインバータを安定的に駆動することができる。
【0049】
以上、本発明に係る実施形態が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当分野において通常の知識を有する者ならば、これから多様な変形及び均等な範囲の実施形態が可能である点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、次の特許請求範囲によって決まらなければならない。
【符号の説明】
【0050】
1 インバータ
2 モーター
10 同期部
20 制御部
30 インバータ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7