台材1を覆うフィルム2と、台材1とフィルム2との間に介在する被包装物3と、を備え、台材1とフィルム2との間が脱気された、スキンパック包装体A1であって、台材1は、最も被包装物3側に位置する最上位片11および被包装物3から最も離間した最下位片12を有し、かつ厚さ方向視において最上位片11と最下位片12とが重なって位置しており、最上位片11および最下位片12それぞれのうち被包装物3側を向く表面11a,12aは、フィルム2との接合を担う接合領域を有しており、最下位片の表面12aとは反対側を向く裏面12bは、前記接合領域よりも発揮しうる接合力が弱い接合不適領域のみを有している。
前記台材は、厚さ方向反対側に位置する第一面および第二面を有し、前記第一面が前記接合領域を有し、前記第二面が前記接合不適領域のみを有する、シート材料からなり、
前記シート材料は、前記第一面を外側とする山折り部と前記第一面を内側とする谷折り部とからなる1以上の折り部の組を有するように折り畳まれている、請求項1ないし3のいずれかに記載のスキンパック包装体。
前記台材のうち、同一の前記折り部の組の前記山折り部と前記谷折り部とに挟まれた部分が、前記最上位片と前記最下位片との間に位置し、かつ表面が前記接合不適領域のみを有し、裏面が前記接合領域を有する第一中間片とされている、請求項6に記載のスキンパック包装体。
前記最上位片は、厚さ方向に貫通し、且つ前記最下位片の前記表面の前記接合領域の少なくとも一部を、前記最上位片の前記表面側に露出させる1以上の露出孔を有しており、
前記露出孔内において、前記フィルムが前記最下位片の前記表面に接合されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のスキンパック包装体。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1〜
図4は、本発明の第1実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。
図1は、スキンパック包装体A1を斜め上方から見た斜視図である。
図2は、
図1のII−II線に沿う断面における断面図であり、
図3は、
図1のIII−III線に沿う断面における断面図であり、
図4は、
図1のIV−IV線に沿う断面における断面図である。本実施形態のスキンパック包装体A1は、台材1、フィルム2および被包装物3を備えている。
【0020】
本発明で言う台材としては、被包装物3を適切に保持しつつ、後述する脱気を適切に行いうるものであればよく、一般的な、所謂ノンコート紙と呼ばれる厚紙、普通紙、合成紙等からなる台紙の他に、一部に切り欠き(単なる孔やミシン目などを含み、その形状は特に限定されない)が設けられた、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙、合成樹脂シート、発泡シート、あるいは多孔質シートなどを採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。台紙として厚紙が用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、0.5mm〜1.0mmである。また、台紙として普通紙、合成紙、コート紙が用いられる場合、その目付量は、特に限定されないが、たとえば、好ましくは50g/m
2〜600g/m
2であり、さらに好ましくは270g/m
2〜500g/m
2である。台紙として合成樹脂シートまたは発泡シートが用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、40μm〜200μm程度である。本実施形態においては、台材1として厚紙からなる台紙を用いる場合を例として説明する。
【0021】
台材1は、最上位片11および最下位片12からなる。最上位片11および最下位片12は、互いに別体とされた台紙の切断片である。最上位片11は、厚さ方向において被包装物3側に位置し、最下位片12は、厚さ方向において被包装物3とは反対側に位置する。最上位片11と最下位片12とは、互いに重ね合わされている。最上位片11は、厚さ方向において互いに反対側を向く表面11aおよび裏面11bを有している。最下位片12は、厚さ方向において互いに反対側を向く表面12aおよび裏面12bを有している。表面11aには、被包装物3が載置されている。裏面11bは、スキンパック包装体A1全体の裏面側に表れている。
【0022】
なお、最上位片11の表面11aは、店頭での陳列時において被包装物3とともに前面に表れる部位である。このため、表面11aには、商品名や販売促進のためのPOP広告を印刷しておくことが好ましい。一方、最上位片11の裏面11bと最下位片12の表面12aおよび裏面12bは、店頭での陳列時において前面には表れない部位である。これらの部位には、たとえば被包装物3の使用方法や注意書きなどの説明文を印刷しておくことが好ましい。
【0023】
図5は、最上位片11および最下位片12を示している。同図(a)は、最上位片11の表面11a側を示す平面図であり、同図(b)は、最上位片11の裏面11b側を示す底面図である。同図(c)は、最下位片12の表面12a側を示す平面図であり、同図(d)は、最下位片12の裏面12b側を示す底面図である。これらの図において、複数の離散ドットからなるハッチングが付された領域は、本発明で言う接合領域であり、白色の領域は、本発明で言う接合不適領域である。同図(a),(c)に示すように、表面11aおよび表面12aは、その全体が接合領域とされている。また、同図(b),(d)に示すように、裏面11bおよび裏面12bは、その全体が接合不適領域とされている。なお、最上位片11および最下位片12は、1つの大型の材料に打ち抜き加工などを施すことによって一括して形成してもよい。この場合、最上位片11と最下位片12とは、互いの材質などが同一となる。または、最上位片11および最下位片12は、互いに異なる材料から別々に形成されてもよい。この場合、最上位片11および最下位片12は、互いの材質などが異なり得る関係となり、たとえば一方が厚紙からなり、他方が合成樹脂シートからなるなどの構成としてもよい。
【0024】
接合領域は、台材1とフィルム2とを接合するために設けられた領域であり、たとえば接着剤層が設けられている。この接着剤層は、ベタ状に設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。接着剤層の厚みは、特に限定されないが、たとえば、10μm〜30μmである。
【0025】
接着剤層を形成する接着剤としては、特に限定されず、通常公知の感熱性の接着剤や粘着剤、あるいは感圧性の接着剤や粘着剤が挙げられるが、不必要時に接着性を示さず且つ必要時に接着性を発現させることができることから、感熱性の接着剤や粘着剤(以下、これらを総称して「感熱性接着剤等」という)を用いることが好ましい。
【0026】
感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。
【0027】
感熱性接着剤等の種類としては、たとえば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
【0028】
ディレードタック型は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能なものである。ディレードタック型としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたものなどが例示される。
【0029】
エマルジョン型または溶剤型は、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水または有機溶剤などに溶解または分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能であり、塗工後乾燥して使用するものである。これらも、乾燥後は接着性を示さず、加熱することによって接着性を示すものである。
【0030】
ホットメルト型は、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって加熱溶融して塗工するものである。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
【0031】
使用される感熱性接着剤等は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、フィルム2を軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
【0032】
一方、接合不適領域は、接合領域よりも発揮しうる接合力が弱い領域として構成されている。すなわち、接合不適領域は、たとえばフィルム2との接合を直ちに実現することが不適である領域であることが意図されている。また、接合不適領域は、接合領域と対面した状態で重ね合わされた場合に、接合領域が接合力を発揮することを抑制あるいは阻止しうる領域であることが意図されている。
【0033】
接合不適領域の具体的な構成としては、前記接着剤層を部分的に設けない構成が挙げられる。また、接合不適領域とすべき領域の前記接着剤の塗布量を、接合領域の塗布量よりも少なくする構成が挙げられる。前記接着剤の塗布量を相対的に少なくする手法としては、たとえば前記接着剤を網目状、縞状または無数のドット状に塗布する手法が挙げられる。さらに、接合不適領域の他の例として、前記接着剤層上に接着力を隠匿するか、あるいは低下させる接合阻止層を設ける構成が挙げられる。このような接合阻止層の材質としては、たとえばUV硬化型インキ、またはシリコーンを含むコート剤が挙げられる。前記接合阻止層の厚さは、たとえば3μm〜20μmである。また、前記接合阻止層として、紙などの別部材を前記接着剤層の一部を覆うように設ける手法を採用してもよい。
【0034】
図1および
図5に示すように、最上位片11は、全体が略矩形状であり、
図1、
図4および
図5に示すように、2つの切り欠き部11c、2つの保持片11gおよび2つの露出孔11hを有している。2つの切り欠き部11cは、最上位片11の一方の短辺の両端寄りに設けられている。各切り欠き部11cは、最上位片11の隅部が部分的に切り欠かれたことによって形成されている。本実施形態においては、切り欠き部11cは1つの隅部が円弧状に面取りされた略矩形状とされているが、これは一例であり、切り欠き部11cの形状は様々な形状に設定すればよい。
図1および
図3に示すように2つの切り欠き部11cは、最下位片12の表面12aの一部ずつを露出させている。
【0035】
2つの保持片11gは、最上位片11の中央付近に配置されており、最上位片11にたとえばコの字状の切り込みが設けられることによって形成されている。2つの保持片11gは、各々が斜め上方に起立させられることにより、フィルム2によって覆われる前の段階において被包装物3の台材1に対する位置決めを行うためのものである。2つの露出孔11hは、最上位片11を厚さ方向に貫通する貫通孔であり、最上位片11の表面11a側に最下位片12の表面12aの一部を露出させている。本実施形態においては、各露出孔11hは、保持片11gが形成された痕跡である。露出孔11hから露出した最下位片12の表面12aは、上述した接合領域とされている。このため、露出孔11h内において、フィルム2が最下位片12の表面12aに接合されている。
【0036】
最下位片12は、全体が略矩形状であり、本実施形態においては、幅方向寸法が最上位片11と一致している。最下位片12は、切り欠き部12cを有している。
図1および
図3に示すように、切り欠き部12cは、最下位片12の一方の短辺の中央付近に配置されており、最上位片11に2つの切り欠き部11cの間に位置している。切り欠き部12cは、最下位片12の短辺中央付近が部分的に切り欠かれたことによって形成されている。本実施形態においては、切り欠き部12cは、半円形状とされているが、これは一例であり、切り欠き部12cの形状は様々な形状に設定すればよい。切り欠き部12cは、最上位片11によってすべてが覆われた格好となっている。このため、平面視において切り欠き部12cが設けられた領域には、フィルム2と最上位片11のみが重ね合わされた構成となっている。
【0037】
また、本実施形態においては、最下位片12の長手方向寸法が最上位片11よりも若干大とされている。このため、
図1に示すように、最下位片12のうち切り欠き部12cとは反対側の長手方向端部付近が最上位片11から延出している。この部分は、延出部12dとなっている。すなわち、本実施形態において、最下位片12の表面12aは、最上位片11の2つの切り欠き部11cから露出する部分と、延出部12dとして露出する部分とを有している。
【0038】
フィルム2は、台材1および被包装物3を覆っている。フィルム2と台材1との間が脱気されていることにより、フィルム2は、台材1および被包装物3と、略密着している。
【0039】
フィルム2としては、単層構成または一種あるいは二種以上の複層構成の合成樹脂製フィルムが用いられる。また、適宜必要に応じて、ガスバリアー性や遮光性等の各種機能を有する周知のフィルムを用いることもできる。フィルム2の厚みは、通常30μm〜300μm、好ましくは60μm〜200μmである。なお、
図1においては、透明なフィルム2が台材1および被包装物3を覆っている状態を示しており、台材1および被包装物3がフィルム2を透して視認可能となっている。
【0040】
フィルム2の材質としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0041】
ポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0042】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6−66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン6−69、ナイロン6−610、ナイロン66−69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6−66、ナイロン6−10またはナイロン6−12が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0043】
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられ、更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有せしめたものが使用できる。
【0044】
本発明においては、フィルム2として、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムが好ましい。具体的には、たとえば、高融点の樹脂(即ち耐熱性を有し、低融点の樹脂よりも強度のある樹脂)を中間層とし、該中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表裏層とする二種三層で構成されたフィルムや、高融点の樹脂と低融点の樹脂とが交互に複数積層された積層部(通常、高融点の樹脂と低融点の樹脂が一層ずつ積層された複層部を3以上含む)を有するフィルム等が挙げられる。台材1への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂を積層することにより、スキンパックフィルムの特性として必要な延伸性を低融点の樹脂である程度担保しつつ、高融点の樹脂でフィルム2の強度を向上することができる。また、低融点の樹脂を供えることで台材1とフィルム2の接着性を強固にしつつ、高融点の樹脂によりフィルムの強度を向上できる。
【0045】
二種三層で構成されたフィルムとしては、たとえば、ポリオレフィン系樹脂(低融点)/ポリオレフィン系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンのいずれかであり、ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体であることが特に好ましい。また、積層部を有するフィルムとしては、上記二種三層で構成されたフィルムと同様の高融点の樹脂および低融点の樹脂が用いられるが、たとえば、ポリアミド系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)からなる複層部を4〜8含む積層部を中間層とし、表層にポリアミド系樹脂を、裏層に直鎖状低密度ポリエチレンを積層したフィルムが好適に用いられる。本実施形態においては、直鎖状低密度ポリエチレン/脂肪族ポリアミド共重合体/直鎖状低密度ポリエチレンから構成される二種三層のフィルムを使用した。
【0046】
本実施形態においては、フィルム2は、最上位片11の表面11aのうち被包装物3から露出した部分と、最下位片12の表面12aのうち最上位片11の2つの切り欠き部11cから露出した部分および延出部12dとして最上位片11から延出した部分とに接合されている。
【0047】
被包装物3は、台材1およびフィルム2の間に介在しており、台材1の最上位片11の表面11aによって支持されるとともに、フィルム2によって台材1への固定および保護がなされている。本実施形態においては、細長い円柱状の被包装物3が、台材1に支持されている。このような被包装物3の一例としては、たとえば化粧品、医薬品あるいは文房具などが挙げられる。なお、スキンパック包装体A1に含まれる被包装物3の個数は、2つ以上であってもよい。
【0048】
スキンパック包装体A1の製造方法を例示すると、
図5に示した最上位片11および最下位片12を用意し、
図6に示すように上下に重ね合わせる。また、最上位片11の2つの保持片11gを斜めに起立させておく。次いで、最上位片11の表面11aに、被包装物3を載置する。そして、フィルム2となるフィルム材料を最上位片11および最下位片12と被包装物3とに被せる。この際、フィルム材料は、適度な変形を促進するとともに、前記厚紙材料との接着力を発揮させるべく、適切な温度に加熱しておく。
【0049】
次いで、最上位片11および最下位片12の下面からの吸引、すなわち脱気工程を行う。これにより、最上位片11および最下位片12を通して、最上位片11および最下位片12と前記フィルム材料との間の空気が脱気される。そして、前記フィルム材料が伸展しながら最上位片11および最下位片12と被包装物3とに密着する。この後は、前記フィルム材料を適宜切断することによりスキンパック包装体A1が得られる。
【0050】
なお、以上の説明においては、便宜上、予め整形された最上位片11および最下位片12を用いて、1つのスキンパック包装体A1を製造する例を説明したが、スキンパック包装体A1の製造方法や手順は適宜変更可能である。たとえば、複数の最上位片11を形成しうる大きなサイズの厚紙材料と、複数の最下位片12を形成しうる大きなサイズの別の厚紙材料とを用いてもよい。この場合、複数の最上位片11となる前記厚紙材料には、切り欠き部11cとなるべき切り欠きを設けておくことが好ましい。また、複数の最下位片12となる前記厚紙材料には、切り欠き部12cとなるべき切り欠きを設けておくことが好ましい。これらの厚紙材料を位置合わせしながら重ねあわせ、複数の被包装物3を載置する。そして、上述した手法によって前記フィルム材料を用いた脱気工程を行った後に、重ね合わされた2つの前記厚紙材料と前記フィルム材料とを一括して切断することにより、複数のスキンパック包装体A1が得られる。
【0051】
図7は、スキンパック包装体A1から被包装物3を取り出す手順の一例を示している。まず、最上位片11のうち最下位片12の切り欠き部12cを覆う部分をフィルム2とともにつまみ、図中上方に持ち上げる。これにより、最下位片12の表面12aのうち最上位片11の2つの切り欠き部11cから露出した部分と接合されていたフィルム2の部分が剥離され、2つの剥離部21となる。この剥離が完了すると、最下位片12は、延出部12dおよび表面12aのうち2つの露出孔11から露出した部分においてフィルム2と接合されたのみとなる。そして、最下位片12を最上位片11およびフィルム2に対して図中下方に引き離すと、最上位片11およびフィルム2から最下位片12のみを単独で分離することができる。
【0052】
この際、被包装物3は、最上位片11の表面11a上においてフィルム2によっていまだ全体が覆われた状態をとりうる。一方、最上位片11の裏面11bおよび最下位片12の表面12aおよび裏面12bに印刷された被包装物3の説明文などは、視認可能な状態となる。そして、購入者に被包装物3を取り出す意図が生じた段階で、たとえば一方の剥離部21をつまみ、これを最上位片11から引き離すことにより、最上位片11および被包装物3からフィルム2を完全に剥離することができる。以上の手順により、被包装物3を取り出すことができる。
【0053】
次に、スキンパック包装体A1の作用について説明する。
【0054】
本実施形態によれば、裏面12bに加えて裏面11bおよび表面12aを被包装物3についての説明文などを記載するためのスペースとして用いることが可能である。これにより、前記説明文などを記載するためのスペースを拡大しつつ、スキンパック包装体A1全体が大型化してしまうことを回避することができる。また、スキンパック包装体A1の裏面側に表れる最下位片12の裏面12bは、そのすべてが接合不適領域とされている。これにより、スキンパック包装体A1の製造工程や搬送中あるいは陳列中などに裏面12bが意図せず外部の物体にくっついたりひっかかったりすることを抑制することができる。特に、スキンパック包装体A1の製造工程においては、裏面12bを下方に向けた姿勢でコンベア等によって搬送されることが一般的である。裏面12bのすべてが接合不適領域であることにより、裏面12bがコンベアに不当に貼り付いてしまうなどの不具合を防止することができる。
【0055】
最上位片11に2つの切り欠き部11cを設けることにより、最上位片11から最下位片12の表面12aの一部を露出させることができる。これにより、被包装物3に対して最上位片11の後方に位置する最下位片12にフィルム2を接合させることができる。2つの切り欠き部11cを最上位片11の短辺両端に設けることにより、フィルム2の2つの隅部を表面12aに確実に接合することができる。また、このフィルム2と表面12aとが接合された箇所により、厚さ方向において間に位置する最上位片11を固定する事ができる。さらに、最上位片11から延出する延出部12dを設けることにより、2つの切り欠き部11cとは長手方向において反対側においても、フィルム2と表面12aとを接合することが可能である。これらにより、フィルム2のいずれかの隅部が適切に接合されず不安定になることや、最上位片11もしくは最下位片12のいずれかの隅部が接合不足により不安定となってしまうことを防止することができる。
【0056】
最下位片12に切り欠き部12cを設けることにより、
図7に示すように、最上位片11とフィルム2のみをつまんでスキンパック包装体A1の開封を開始することができる。この開封によれば、フィルム2が最下位片12から剥離されるものの、フィルム2と最上位片11とは即座には剥離されない。これにより、スキンパック包装体A1の購入者は、まず、最下位片12のみを離脱させることによって、上述した説明文を読む一方、被包装物3を2によっていまだ覆われた状態に保つことができる。そして、たとえば説明文を熟読した後に、被包装物3を実際に使用することを意図した任意のタイミングで、フィルム2を最上位片11から剥離することができる。
【0057】
裏面11bのすべてが接合不適領域とされていることにより、上述した脱気工程において、裏面11bと表面12aとが接合されることを回避することができる。なお、前記脱気工程においては、フィルム2の側から熱が与えられる。このため、裏面11bおよび表面12aは、最上位片11を通過した熱を受ける格好となる。最上位片11の材質および厚さなどによっては、最上位片11によってある程度の遮熱が果たされ、表面12aの接着剤層を活性させないという効果が期待できる。
【0058】
露出孔11h内においてフィルム2が最下位片12の表面12aに接合されている。これにより、最下位片12の中央部が最上位片11から大きく離間し難い。したがって、最上位片11と最下位片12との間に意図しない空間が生じてしまうことを防止することができる。また、スキンパック包装体A1の開封する際に、
図7に示す切り欠き部12cを利用してフィルム2の剥離を開始しても、最上位片11と最下位片12とが重なり合った状態が維持される。したがって、切り欠き部12cを利用したフィルム2の剥離を開始した途端に、最下位片12が最上位片11から大きく離間してしまい、被包装物3が誤って落下してしまうことなどを防止することができる。また、本実施形態においては、露出孔11hは、保持片11gの痕跡によって構成されている。このため、保持片11gによって被包装物3の位置決めを行うとともに、露出孔11hによって被包装物3の落下等を防止可能であり、合理的である。
【0059】
図8〜
図22は、本発明の変形例または他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0060】
図8は、スキンパック包装体A1の変形例を示している。本変形例においては、最上位片11が、保持片11gの痕跡によって構成された2つの露出孔11に加えて、4つの露出孔11hをさらに有している。これらの4つの露出孔11hは、最上位片11の一部を切り取ることによって形成されている。このような変形例によっても、被包装物3の取り出しに際して、被包装物3が誤って落下してしまうことを防止することができる。また、保持片11gの痕跡ではない露出孔11hは、保持片11gの位置や形状および大きさに依存することなく、所望の位置や形状および大きさに形成することができる。本例においては、露出孔11hは、円形状とされているが、これは一例である。また、4つの露出孔11hは、被包装物3から四方に離間した位置に配置されているが、露出孔11hの配置はなんら限定されない。なお、保持片11gの痕跡としての露出孔11hを備えず、図中円形の露出孔11hのように、単に最上位片11の一部を切り取ることによって形成された露出孔11hのみを備えてもよい。
【0061】
図9は、スキンパック包装体A1の他の変形例を示している。なお、本図においては、理解の便宜上、最上位片11および最下位片12が重ね合わされた状態を示している。本変形例においては、最下位片12の幅方向寸法が最上位片11の幅方向寸法よりも大とされている。そして、最下位片12のうち最上位片11から幅方向両側に延出した部分が、2つの延出部12eとされている。このため、本変形例においては、最下位片12の表面12aは、2つの切り欠き部11cから露出する部分と、延出部12dおよび2つの延出部12eとして延出する部分とが、最上位片11から露出しており、これらの部分がフィルム2と接合されている。このような構成により、最上位片11は、その略全周がフィルム2と表面12aとの接合部分によって囲まれている。
【0062】
このような変形例によれば、最上位片11と最下位片12との隙間が、外部からほとんど隔絶された状態となる。このため、たとえばスキンパック包装体A1の搬送中や店頭での陳列中に、最上位片11と最下位片12とが意図せず引き離されてしまうことを防止することができる。
【0063】
図10は、スキンパック包装体A1の他の変形例を示している。なお、本図においては、理解の便宜上、最上位片11の表面11aおよび最下位片12の表面12a側からみた平面視を示している。本変形例においては、最上位片11の表面11aが上述した接合領域のみを有している一方、最下位片12の表面12aは、接合領域12xと接合不適領域12yとを有している。接合領域12xは、上述した接合領域と同様の構成であり、たとえば接着剤層が設けられた領域である。接合不適領域12yは、接合領域12xよりも発揮しうる接合力が弱い領域である。接合不適領域12yは、たとえば表面12aの全面に設けられた接着剤層を上述した接合阻止層によって部分的に覆うことによって形成される。あるいは、表面12aに対する接着剤層の形成において、接合不適領域12yとすべき領域をマスキングするなどの手法により、接着剤層を部分的に設けないことによって接合不適領域12yを形成してもよい。本変形例においては、接合不適領域12yは、最上位片11の裏面11bと対面する領域に設けられている。
【0064】
このような変形例によれば、スキンパック包装体A1の製造方法における脱気工程において、裏面11bと表面12aとが接合されてしまうことを確実に防止することができる。
【0065】
図11および
図12は、スキンパック包装体A1の他の変形例を示している。
図11においては、理解の便宜上、最上位片11の表面11aおよび最下位片12の表面12a側からみた平面視を示している。
図12においては、理解の便宜上、最上位片11および最下位片12が重ね合わされた状態を示している。本変形例においては、最下位片12に、つまみ部12f、2つの分断予定線12iおよびミシン目線12jが形成されている。つまみ部12fは、切り欠き部12cの端縁が膨出形状とされた部位であり、使用者が把持可能とされている。2つの分断予定線12iは、切り欠き部12cから最下位片12の側辺へと延びている。各分断予定線12iは、たとえばミシン目などであり、最下位片12を部分的に分断可能とする。ミシン目線12jは、最下位片12を厚さ方向に貫通する複数の微小な切れ目が連なった線である。
図12に示すように、ミシン目線12jは、平面視において最上位片11から露出している。また、ミシン目線12jは、最上位片11の端縁に隣り合って、この端縁に沿うように配置されており、最下位片12を横断している。
【0066】
このような変形例においては、被包装物3を取り出す際に、つまみ部12fを把持することにより、つまみ部12fを開封起点として利用することができる。また、つまみ部12fを最上位片11から離間するように持ち上げると、2つの分断予定線12iに沿って最上位片12の分断がなされる。これにより、スキンパック包装体A1の開封をより容易且つ確実に行うことができる。なお、分断予定線12iは、最下位片12を分断可能な構成であればよく、ミシン目以外のたとえば折り罫線等であってもよい。また、分断予定線12iによって、最下位片12からは比較的小サイズの小片が分断される。この小片は、最下位片12の隅部に位置しており、最上位片11に切り欠き部11cが設けられていることにより、フィルム2に接合されている。このため、分断予定線12iの分断中および分断が完了した後も、前記小片は、フィルム2に接合された状態であり、最上位片11とともに保持される。したがって、つまみ部12fを用いたスキンパック包装体A1の開封をよりスムーズに行えるとともに、開封に際して前記小片が紙くずとなってしまうことを回避することができる。
【0067】
ミシン目線12jは、最下位片12の表面12a側と裏面12b側とを通気させる。このため、スキンパック包装体A1の製造における脱気工程において、ミシン目線12jを通した脱気がなされる。このミシン目線12jが最上位片11の端縁に沿って配置されていることにより、最上位片11の端縁の付近に脱気しきれなかった空気が残存してしまうことを防止することができる。さらに、ミシン目線12jは、スキンパック包装体A1の開封時に、使用者の任意により最下位片12を折り曲げる部位として利用することができる。
【0068】
図13は、スキンパック包装体A1の他の変形例を示している。本変形例においては、台材1に付属物31が内封されている。付属物31は、被包装物3に付随して購入者などに提供されるべきものであれば特に限定されないが、たとえば被包装物3の使用方法や注意書きなどを記載した説明書などが挙げられる。該説明書(付属物31)は、説明文が印刷された比較的薄い紙材料が、適宜折り畳まれた構成とされており、最上位片11と最下位片12との間に挟まされている。このような変形例の場合、
図9に示した変形例と組み合わせると、搬送時や店頭での陳列時に付属物31が意図せず脱落してしまうことを防止可能である。
【0069】
このような変形例によれば、スキンパック包装体A1の大型化を回避しつつ、より多量の説明文など、スキンパック包装体A1の購入者に必要かつ多様な情報や物品を被包装物3とともに提供することができる。
【0070】
図14および
図15は、本発明の第二実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A2においては、主に台材1の構成が、上述したスキンパック包装体A1と異なっている。本実施形態においては、台材1は、互いに繋がった最上位片11、最下位片12および第一中間片13を有しており、後述するシート材料10が折り畳まれることによって形成されている。
【0071】
第一中間片13は、厚さ方向において最上位片11と最下位片12との間に位置しており、最上位片11および最下位片12とともに重ね合わされている。
図15に示すように、第一中間片13は、山折り部18aを介して最上位片11の一端(図中左端)と繋がっており、谷折り部18bを介して最下位片12の図中右端と繋がっている。山折り部18aと谷折り部18bとは、折り部の組18を構成している。最上位片11、最下位片12および第一中間片13は、略矩形状とされており、本実施形態においては、互いの幅方向寸法が一致した構成とされている。第一中間片13は、表面13aおよび裏面13bを有している。表面13aは、被包装物3側を向く面であり、本実施形態においてはその全面が接合不適領域とされている。裏面13bは、被包装物3とは反対側を向く面であり、本実施形態においてはその全面が接合領域とされている。
【0072】
第一中間片13は、最上位片11から図中左方に延出した部分を有しており、この部分に2つの切り欠き部13cが形成されている。2つの切り欠き部13cは、第一中間片13の一方の短辺の両端寄りに設けられている。各切り欠き部13cは、第一中間片13が部分的に切り欠かれたことによって形成されている。本実施形態においては、切り欠き部13cは1つの隅部が円弧状に面取りされた略矩形状とされているが、これは一例であり、切り欠き部13cの形状は様々な形状に設定すればよい。2つの切り欠き部13cは、最下位片12の表面12aの一部ずつを露出させている。
【0073】
最下位片12の長手方向における図中右方端部付近が最上位片11から延出しており、この部分が、延出部12dとなっている。これにより、本実施形態においては、最下位片12の表面12aは、2つの切り欠き部13cから露出する部分と、延出部12dとして延出する部分と、を有しており、これらの部分がフィルム2に接合されている。また、本実施形態においては、延出部12dには、つまみ部12fが形成されている。つまみ部12fは、たとえばミシン目などの分断を可能とする分断予定線によって囲まれた部位である。つまみ部12fの形状は特に限定されず、本実施形態においては、たとえば半円形状とされている。
【0074】
なお、最上位片11の表面11aは、店頭での陳列時において被包装物3とともに前面に表れる部位である。このため、表面11aには、商品名や販売促進のためのPOP広告を印刷しておくことが好ましい。一方、最上位片11の裏面11bと第一中間片13の表面13aおよび裏面13bと最下位片12の表面12aおよび裏面12bは、店頭での陳列時において前面には表れない部位である。これらの部位には、たとえば被包装物3の使用方法や注意書きなどの説明文を印刷しておくことが好ましい。
【0075】
図16は、台材1を形成するためのシート材料10を示している。シート材料10は、第一面10aおよび第二面10bを有しており、同図(a)は、シート材料10を第一面10a側から見た平面図であり、同図(b)は、シート材料10を第二面10b側から見た底面図である。なお、同図においては、接合領域にハッチングを施しており、接合不適領域を白色で示している。本実施形態においては、第一面10aは、その全面が接合領域とされており、第二面10bは、その全面が接合不適領域とされている。シート材料10は、最上位片11、最下位片12および第一中間片13となるべき領域を有しており、2つの切り欠き部13cに相当する切り欠きや2つの保持片11gを形成するための切れ目が設けられている。なお、最上位片11、最下位片12および第一中間片13となるべき領域同士の境界は、折り畳みやすくするためのたとえばミシン目や罫線が設けられていてもよい。
【0076】
スキンパック包装体A2の製造方法を例示すると、
図16に示したシート材料10を用意し、
図17に示すようにシート材料10を折り畳む。なお、
図17においては、接合領域にハッチングを施しており、接合不適領域を白色で示している。この際、最上位片11と第一中間片13との境界を、第一面10aが外側となるように折る。この第一面10aが外側に折られた部分を、山折り部18aと定義する。また、第一中間片13と最下位片12との境界を、第一面10aが内側になるように折る。この第一面10aが内側に折られた部分を、谷折り部18bと定義する。この折り畳みにより、最上位片11、最下位片12および第一中間片13が互いに重ね合わされる。同図から理解される通り、全面が接合領域とされた第一面10aと全面が接合不適領域とされた第二面10bを有するシート材料10が折り畳まれると、表面11aおよび表面12aと裏面13bとが接合領域とされ、裏面11bおよび裏面12bと表面13aとが接合不適領域とされる。すなわち、互いに対面する関係となる裏面11bおよび表面13aはともに接合不適領域であり、裏面13bおよび表面12aはともに接合領域である。
【0077】
この後は、被包装物3の載置や脱気工程によるフィルム2の密着接合など、スキンパック包装体A1の製造方法において述べた工程と同様の工程を経ることにより、スキンパック包装体A2が得られる。
【0078】
なお、以上の説明においては、便宜上、予め整形されたシート材料10を用いて、1つのスキンパック包装体A2を製造する例を説明したが、スキンパック包装体A2の製造方法や手順は適宜変更可能である。たとえば、複数のシート材料10を形成しうる大きなサイズの厚紙材料を用いてもよい。この厚紙材料を折り畳み、複数の被包装物3を載置する。そして、上述した手法によって前記フィルム材料を用いた脱気工程を行った後に、前記厚紙材料と前記フィルム材料とを一括して切断することにより、複数のスキンパック包装体A2が得られる。
【0079】
図18および
図19は、スキンパック包装体A2から被包装物3を取り出す手順の一例を示している。まず、最下位片12の延出部12dに設けられたつまみ部12fをフィルム2とともにつまみ、図中上方に持ち上げる。これにより、最下位片12の延出部12dの表面12aと接合されていたフィルム2の部分が剥離され、剥離部21となる。この剥離により、最下位片12の延出部12dがフィルム2から離脱する。延出部12dを下方に押し下げると、表面12aのうち第一中間片13の2つの切り欠き部13cから露出してフィルム2に接合されていた部分が、フィルム2から引き離される。これにより、フィルム2のうち2つの切り欠き部13cを介して表面12aに接合されていた部分が、2つの剥離部21となり、最下位片12のすべてがフィルム2から離脱する。
【0080】
また、第一中間片13のうち、2つの切り欠き部13cの間において図中上方を向く13aは、接合不適領域であり、フィルム2とは積極的に接合されていない。このため、表面12aのうち2つの切り欠き部13cを介して接合されていた領域が剥離されると、第一中間片13がフィルム2に対して固定されない状態となる。この結果、
図19に示すように、最上位片11のみがフィルム2と接合され、最下位片12および第一中間片13が最上位片11に繋がっているものの、フィルム2から離脱し、完全に展開された状態となる。この状態においては、被包装物3がいまだフィルム2によって覆われているものの、裏面11b、表面13a、裏面13b、表面12aおよび裏面12bに印刷された被包装物3の説明文などは視認可能な状態となる。この後は、たとえばフィルム2の剥離部21をつまんで持ち上げるなどにより、フィルム2を完全に剥離し、被包装物3を取り出すことができる。
【0081】
このような実施形態によっても、説明文などの表記スペースを拡大しつつ、スキンパック包装体A2全体の大型化を抑制することができる。また、スキンパック包装体A2がコンベアなどに不当に貼り付いてしまうことを防止することができる。特に、
図19に示すように、スキンパック包装体A2によれば、裏面11b、表面13a、裏面13b、表面12aおよび裏面12bの5つの面を、説明文などの記載スペースに用いることが可能であり、より多量の説明文などを記載することができる。
【0082】
図18および
図19に示すように、最下位片12につまみ部12fを設けることにより、最下位片12および第一中間片13を完全に展開しつつ、被包装物3をフィルム2によっていまだ覆われた状態に保つことができる。これにより、スキンパック包装体A2の購入者は、上述した多量の説明文を注意深く熟読した後に、被包装物3を開封するという手順を踏むことができる。
【0083】
図17から理解される通り、本実施形態においては、それぞれが接合領域とされた裏面13bと表面12aとが対面する。しかし、フィルム2を密着接合するための脱気工程においては、裏面13bおよび表面12aは、フィルム2側から最上位片11および第一中間片13を通過した熱を受ける格好となる。最上位片11および第一中間片13を構成するシート材料10の材質や厚さによっては、最上位片11および第一中間片13がある程度の遮熱を果たし、裏面13bおよび表面12aの接着剤層を活性化させない効果が期待できる。
【0084】
図20は、スキンパック包装体A2の複数の変形例を示している。なお、本図においては、理解の便宜上、シート材料10の第一面10a側からみた平面視を示している。本変形例においては、第一面10aの一部に接合不適領域が設けられている。なお、第二面10bは、そのすべてが接合不適領域とされている。
【0085】
同図(a)に示す変形例においては、表面11aおよび表面12aのすべてが接合領域11xおよび接合領域12xとされており、裏面13bのすべてが接合不適領域13yとされている。同図(b)に示す変形例においては、表面11aおよび裏面13bのすべてが接合領域11xおよび接合領域13xとされており、表面12aが3つの接合領域12xと接合不適領域12yとを有している。接合不適領域12yは、第一中間片13と同様の形状とされている。同図(c)は、表面11aのすべてが接合領域11xとされている一方、表面12aが3つの接合領域12xと接合不適領域12yを有しており、裏面13bのすべてが接合不適領域13yとされている。
【0086】
これらの接合不適領域11y、接合不適領域12yおよび13yは、上述したように接着剤層を部分的の覆う接合阻止層の形成や、接着剤層の部分的な塗布などによって形成することができる。このような変形例によれば、表面12aと裏面13bとが不当に接合されてしまうことをより確実に防止することができる。
【0087】
図21は、スキンパック包装体A2の他の変形例を示している。本変形例においては、台材1に上述した付属物31が内封されている。本変形例においては、付属物31は、最上位片11と第一中間片13との間に挟まされている。これに代えて、付属物31を第一中間片13と最下位片12との間に挟んでもよい。また、最上位片11および第一中間片13の間と第一中間片13および12の間とのそれぞれに、付属物31を挟んでもよい。このような変形例の場合、
図9に示した変形例と類似の構成、すなわち、最上位片11の幅方向両側から表面12aが延出する構成と組み合わせると、搬送時や店頭での陳列時に付属物31が意図せず脱落してしまうことを防止可能である。
【0088】
このような変形例によれば、スキンパック包装体A2の大型化を回避しつつ、より多量の説明文などをスキンパック包装体A2の購入者に提供することができる。
【0089】
図22は、本発明の第三実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A3は、主に台材1の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、台材1は、最上位片11および最下位片12と、2つの第一中間片13および1つの第二中間片14を有しており、上述したシート材料10と類似の部材が折り畳まれて構成されている。
【0090】
本発明においては、1つの第一中間片13の両端に位置する山折り部18aと谷折り部18bとが、1つの折り部の組18を構成すると定義する。また、厚さ方向において隣り合う折り部の組18の一方の山折り部18aと他方の谷折り部18bとに挟まれた部分を第二中間片14と定義する。同図に示すように、台材1には、2つの山折り部18aと2つの谷折り部18bが形成されており、これらが2つの折り部の組18を構成している。そして、図中上方から順に、最上位片11、第一中間片13、第二中間片14、第一中間片13および最下位片12が互いに重ね合わされた構成とされている。2つの第一中間片13の表面13aは、いずれものすべてが接合不適領域とされている。また、第二中間片14の裏面14bは、すべてが接合不適領域とされている。第一中間片13の裏面13bおよび第二中間片14の表面14aは、その一部または全部に接合領域を有する構成を採用しうる。フィルム2と台材1との接合は、たとえば上述したA2と同様の手法によって実現可能であり、さらに他の構成によって実現してもよい。
【0091】
本実施形態によっても、説明文などの表記スペースを拡大しつつ、スキンパック包装体A3全体の大型化を抑制することができる。また、スキンパック包装体A3がコンベアなどに不当に貼り付いてしまうことを防止することができる。特に、スキンパック包装体A2に対して、第一中間片13および第二中間片14が追加されていることにより、説明文などを記載するスペースを効果的に増大させることができる。
【0092】
なお、本実施形態から理解されるように、折り部の組18の数をさらに増やすことにより、第一中間片13および第二中間片14の枚数が増加し、それに応じて説明文などを記載するスペースを増大させることができる。また、一方の面に接合領域が設けられ他方の面に接合不適領域が設けられた1枚のシート材料10を用いて台材1を構成するにおいて、1以上の折り部の組18を構成し、それ以外の山折り部18aや谷折り部18bを設けないように折り畳むことにより、最上位片11の表面11aに接合領域を設け、最下位片12の裏面12bには接合領域を設けず、裏面12bのすべてを接合不適領域とすることができる。このような構成により、大型化を招来すること無く説明文などを記載するスペースを増大させることと、コンベアなどへの貼り付きの防止とを、適切に両立させることができる。
【0093】
本発明に係るスキンパック包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るスキンパック包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。