【解決手段】口に許容できるキャリヤーおよび薄膜を含み、前記の薄膜が臭気制御有効物質;粘膜接着性ポリマー;放出速度調節ポリマー;ポリマー性基剤;および場合により香味料を含み;前記の薄膜が前記の臭気制御有効物質の放出を制御する口腔ケア組成物。
臭気除去化合物が、以下のもの:酸化亜鉛;クエン酸亜鉛;乳酸亜鉛;亜塩素酸亜鉛;塩化亜鉛;亜鉛ゼオライト;およびその2種類以上の組み合わせからなるグループから選択される亜鉛含有化合物である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
粘膜接着性ポリマーが、ポリアクリル酸またはポリアクリレート;架橋されたポリアクリル酸またはポリアクリレート;ポリアルキルアクリレート;架橋されたポリアルキルアクリレート;ポリビニルピロリドン(polyvinylpirrolidone);ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrollidone)およびポリアクリレートのコポリマー;キトサンまたは化学修飾されたキトサン;ならびにその2種類以上の組み合わせからなるグループから選択される、いずれかの前記の請求項に記載の組成物。
ポリマー性基剤が以下のもの:ヒドロキシプロピルメチルセルロース;メチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;およびそれらのコポリマーからなるグループから選択される、いずれかの前記の請求項に記載の組成物。
前記の臭気除去化合物が、以下のもの:酸化亜鉛;クエン酸亜鉛;乳酸亜鉛;亜塩素酸亜鉛;塩化亜鉛;亜鉛ゼオライト;およびその2種類以上の組み合わせからなるグループから選択される亜鉛含有化合物である、請求項12または請求項13に記載の組成物。
粘膜接着性ポリマーが、ポリアクリル酸またはポリアクリレート、架橋されたポリアクリル酸またはポリアクリレート、ポリアルキルアクリレート、架橋されたポリアルキルアクリレート、ポリビニルピロリドン(polyvinylpirrolidone)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrollidone)およびポリアクリレートのコポリマー、キトサンまたは化学修飾されたキトサン、ならびにその2種類以上の組み合わせからなるグループから選択される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の組成物。
ポリマー性基剤が以下のもの:ヒドロキシプロピルメチルセルロース;メチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;およびそれらのコポリマーからなるグループから選択される、請求項12〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0018] 本明細書で言及される際、本明細書で用いられる“口腔ケア組成物”は、それに関して意図される用途に口腔ケア、口腔衛生、もしくは口の外観が含まれ得る、またはそれに関して意図される使用の方法が口腔への投与を含み得る組成物を意味する。
【0013】
[0019] 本明細書で言及される際、“放出調節ポリマー”は、臭気制御有効物質または他の有効薬剤の本明細書で記述される薄膜および/または組成物からの放出を遅らせる、口腔ケア配合物中での使用に適したポリマー物質を指す。適切な放出調節ポリマーの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版, Gennaro, ed., Mack Publishing Co., ペンシルベニア州イーストン、1990)において見つけることができ、その内容を本明
細書にそのまま援用する。
【0014】
[0020] 本発明の一部の態様は、以下のものを含む口腔ケア組成物を提供する:口に許容できるキャリヤー;ならびに以下のものを含む薄膜:臭気制御有効物質;粘膜接着性ポリマー;放出調節ポリマー;ポリマー性基剤;および場合により香味料;ここで、前記の薄膜は前記の臭気制御有効物質の放出を制御する。一部の態様において、その臭気制御有効物質は、以下のものからなるグループから選択される:臭気除去化合物;臭気吸着化合物;および臭気遮断化合物。一部の態様において、その臭気除去化合物は、以下のものからなるグループから選択される亜鉛含有化合物である:酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、亜塩素酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛ゼオライト、およびその2種類以上の組み合わせ。
【0015】
[0021] 一部の態様において、その粘膜接着性ポリマーは以下のものからなるグループから選択される:ポリアクリル酸またはポリアクリレート、架橋されたポリアクリル酸またはポリアクリレート、ポリアルキルアクリレート、架橋されたポリアルキルアクリレート、ポリビニルピロリドン(polyvinylpirrolidone)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrollidone)およびポリアクリレートのコポリマー、キトサンまたは化学修飾されたキトサン、および/またはその2種類以上の組み合わせ。
【0016】
[0022] 一部の態様において、その放出調節ポリマーはポリ酢酸ビニルまたはヒドロキシエチルセルロースである。一部の態様において、その放出調節ポリマーはポリ酢酸ビニルである。
【0017】
[0023] 一部の態様において、そのポリマー性基剤は以下のものからなるグループから選択される:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらのコポリマー。
【0018】
[0024] 本発明の一部の態様は薄膜を含む口腔ケア組成物を提供し、ここでその薄膜は以下のものを含む:粘膜接着性ポリマー;放出調節ポリマー;ポリマー性基剤;臭気制御有効物質;および場合により香味料。一部の態様において、その粘膜接着性ポリマーはその薄膜の約2重量%から約4重量%までを構成する。一部の態様において、その放出調節ポリマーはその薄膜の約5重量%から約30重量%までを構成する。一部の態様において、その放出調節ポリマーはその薄膜の約5重量%から約10重量%までを構成する。他の態様において、その放出調節ポリマーはその薄膜の約20重量%から約30重量%までを構成する。さらなる態様において、そのポリマー性基剤はその薄膜の約30重量%から約50重量%までを構成する。さらに他の態様において、その臭気制御有効物質はその薄膜の約40重量%から約50重量%までを構成する。
【0019】
[0025] 一部の態様において、その口腔ケア組成物は薄膜を含み、ここでその薄膜は以下のものを含む:その薄膜の約2重量%から約4重量%までを構成する粘膜接着性ポリマー;その薄膜の約5重量%から約30重量%までを構成する放出調節ポリマー;その薄膜の約30重量%から約50重量%までを構成するポリマー性基剤;その薄膜の約40重量%から約50重量%までを構成する臭気制御有効物質。一部の態様において、その薄膜はその口腔ケア組成物の約0.5重量%から約50重量%までを構成する。一部の態様において、その薄膜はその口腔ケア組成物の約5重量%から約35重量%までを構成する。一部の態様において、その薄膜はその口腔ケア組成物の約15重量%から約20重量%までを構成する。他の態様において、その多層薄膜はその口腔ケア組成物の約0.5重量%から約50重量%までを構成する。他の態様において、その多層薄膜はその口腔ケア組成物の約5重量%から約35重量%までを構成する。他の態様において、その多層薄膜はその口腔ケア組成物の約15重量%から約20重量%までを構成する。
【0020】
[0026] 本発明の一部の態様は、口に許容できるビヒクル中に同伴した多層薄膜を含む口腔ケア組成物を提供し、その多層薄膜は少なくとも1つの粘膜接着層および1つの上を覆う層を含み、その粘膜接着層は粘膜接着性ポリマー、第1ポリマー性基剤および臭気制御有効物質を含み、その上を覆う層は放出調節ポリマー、第2ポリマー性基剤および香味料を含む。
【0021】
[0027] 一部の態様において、その粘膜接着性ポリマーはその粘膜接着層の約2重量%から約4重量%までを構成する。さらなる態様において、その1種類以上の放出調節ポリマーはその上を覆う層の約5重量%から約10重量%までを構成する。他の態様において、その1種類以上の放出調節ポリマーはその上を覆う層の約20重量%から約30重量%までを構成する。さらに別の態様は、その第1ポリマー性基剤がその多層薄膜の約30重量%から約50重量%までを構成する組成物を提供する。さらなる態様は、その第2ポリマー性基剤がその多層薄膜の約30重量%から約50重量%までを構成する組成物を提供する。さらに別の態様は、その臭気制御有効物質がその粘膜接着層の約40重量%から約50重量%までを構成する組成物を提供する。
【0022】
[0028] 本発明のさらなる態様は、それを必要とする対象に、臭気制御有効物質の延長または遅延放出のための薄膜を含む口腔ケア組成物を投与することを含む、悪臭を処置または予防するための方法を提供し、ここでその薄膜は以下のものを含む:粘膜接着性ポリマー、放出調節ポリマー、ポリマー性基剤、および臭気制御有効物質。一部の態様において、その薄膜は少なくとも1つの粘膜接着層および1つの上を覆う層を含む多層薄膜であり、その粘膜接着層は以下のものを含み:粘膜接着性ポリマー、第1ポリマー性基剤および臭気制御有効物質;その上を覆う層は以下のものを含む:放出調節ポリマー、第2ポリマー性基剤、および場合により香味料。
【0023】
[0029] 本明細書で用いられる際、語“好ましい”および“好ましくは”は、特定の状況の下で特定の利益を与える本発明の態様を指す。しかし、同じ、または他の状況の下で他の態様も好ましくてよい。さらに、1個以上の好ましい態様の列挙は他の態様が有用ではないことを暗に意味せず、本発明の範囲から他の態様を除外することを意図していない。
【0024】
[0030] その様々な態様の口腔ケア組成物は、好ましくは歯磨剤の形である。この記述全体において用いられる用語“歯磨剤”は、ペースト、ゲル、ロゼンジ、ガム、または液体配合物を意味する。その歯磨剤は、あらゆる望まれる形、例えば深い筋が入った(deep striped)形、表面に筋が入った形、多層の形、そのペーストを取り巻くゲルを有する形、またはそれらのあらゆる組み合わせであってよい。その口腔ケア組成物中に含有される薄膜は、多数の小さい細片、または1枚の連続的な細片が含まれるあらゆる望まれる形状または構造のものであってよい。
【0025】
[0031] この記述全体において用いられる表現“キャリヤー”または“水性キャリヤー”は、本明細書における使用のためのあらゆる安全かつ有効な物質を意味する。そのような物質には、例えば増粘剤、湿潤剤、イオン性有効成分、緩衝剤、抗歯石剤、研磨性の研磨する(abrasive polishing)物質、過酸化物の源、アルカリ金属重炭酸塩類、界面活性剤、二酸化チタン、着色剤、香味系、甘味剤、抗微生物剤、草本性の薬剤、脱感作剤、汚れを低減する薬剤、およびそれらの混合物が含まれる。
【0026】
[0032] 本明細書で用いられる全ての百分率および比率は、別途明記されない限りその口腔ケア組成物の重量によるものである。全ての測定は、別途明記されない限り25℃においてなされる。本明細書における具体的な値の列挙は、構成要素のそれぞれの量に言及
するものであろうと、またはその態様の他の特徴に言及するものであろうと、その値プラスまたはマイナス測定における誤差を説明するためのある程度の変動性を意味することを意図している。例えば、10%の量には、測定における誤差の程度を考慮すれば、9.5%または10.5%が含まれてよく、当業者はそれを認識および理解しているであろう。
【0027】
薄膜
[0033] 本明細書で用いられる際、“薄膜”は実質的に層状の構造を有する物質を指す。“層状”構造は、1つまたは2つの寸法(例えばxまたはy寸法)において大きさを有し、または有することができ、それは第3の寸法(例えばz方向)におけるその構造の厚さよりも実質的に大きい。本明細書において有用な層状構造の中の層状構造には、実質的に平面の、層になった、または薄片状の(lamelliform)層状構造が含まれる。1態様において、その層状構造は実質的に平面であり、xおよびy寸法の両方においてz方向より実質的に大きい大きさを有する。他の態様において、その層状構造は平面ではない。1態様において、この発明の薄膜は、実質的に平らな表面のように見え得る実質的に連続的な表面を含むが、一部の態様においてその薄膜は変形していてよい。そのような態様において、その薄膜は、滑らかに湾曲した表面を有するものが含まれるいくつかの形状のいずれかを有することができる。その断片は望まれる大きさのものであってよく、規則的な、または不規則な周囲長のものであってよい。
【0028】
[0034] 本発明の一部の態様は、臭気制御有効物質の遅延または延長放出のための薄膜を含む。その薄膜のその口腔の歯および/または粘膜の表面への結合は、細菌細胞に対する殺菌性有効物質のより長い保持を可能にし、それにより揮発性硫黄化合物を産生する細菌を殺す。加えて、その薄膜中の異なる層の存在はより大きな表面積を提供し、それにより高濃度の臭気制御有効物質の標的部位への送達を確実にするであろう。
【0029】
[0035] 本明細書で用いられる際、用語“即時放出”または“即時放出組成物”は、その組成物からの有効物質の迅速な、および徐々にではない放出を提供する組成物を指す。そのような即時放出組成物は、放出調節ポリマーもしくはその組成物からの有効化合物の放出を遅らせる他の種を欠いているか、またはその化合物からの有効物質の放出がそのようなポリマーもしくは種を欠いている他の点では同一の配合物と比較して遅くならないように十分に小さい量でそのようなポリマーもしくは種を含有しているかのどちらかである。
【0030】
[0036] 本明細書で用いられる際、用語“制御放出”、“制御放出口腔ケア組成物”、および同様の用語は、上記で記述したような“即時放出”組成物と比較してその組成物からの有効物質の放出を遅らせる物質を含有する口腔ケア組成物を指す。従って、用語“制御放出”はあらゆる数の延長放出の形に適用されることができ、それは遅延放出、時間放出(time release)、持効性放出(prolonged release)、時間計画放出(time programmed release)、時間放出性(time released)、時間コート放出(time coated release)、持続放出(sustained release)、遅く作用する、長く作用する、遅延して作用する、間隔放出(spaced release)、時間間隔放出(time spaced release)、延長して作用する、延長放出、延長作用、および同様の用語と実質的に同義であると考えられるであろう。
【0031】
[0037] 本明細書で用いられる際“臭気制御有効物質”または“有効物質”は、好ましくは練り歯磨きまたはリンス配合物のどちらかから口腔を経て送達され、臭気制御の3種類の主な領域において、すなわち臭気の除去、臭気の吸着および臭気の遮断により利用することができる全ての機能性化合物を指す。
【0032】
[0038] 臭気の除去に適した臭気制御有効物質には、米国特許公開第2006/0045860号においてより詳細に記述されているような亜鉛含有化合物、例えば酸化亜鉛、クエン酸亜鉛および亜鉛ゼオライトが含まれるが、それらに限定されない。加えて、他の金属含有化合物、例えば銅、第1スズ、ビスマス、ストロンチウムの化合物;多肉植物または唾液の流れを増大させ、臭気を洗い流すように作用する他の成分;は、従って、本明細書で記述される組成物において有用である。特定の強い柑橘類に基づく香味料;例えばBell Air Frangrances, Inc.により製造されているOrdenone(登録商標)のような悪臭分子を捕捉または吸着する臭気吸収複合体も、特許請求される組成物において有用である。Ordenone(登録商標)は、例えば米国特許第6,664,254号において開示されているように、悪臭分子、例えばメルカプタン類、硫化物およびアミン類をその構造内に封入する(encapsulate)能力を有する。
【0033】
[0039] 臭気の遮断に適した、または臭気遮断剤として適切な臭気制御有効物質には、臭気が作り出されるプロセスを妨げることができる酵素が含まれるが、それらに限定されない。例えば、臭気遮断酵素、例えばアルギニンデイミナーゼは粘膜接着性薄膜内に有効に配合することができる。細菌による悪臭分子の産生を有効に阻害する分子も臭気を制御するために用いることができ、それは例えば細菌酵素システインデスルフヒドラーゼおよび/またはメチオニンγ−リアーゼを妨げる薬剤である。
【0034】
[0040] 臭気の遮断に適した、または臭気遮断剤として適切な臭気制御有効物質には、悪臭分子を酸化する、またはそうでなければそれと化学的に反応する薬剤が含まれるが、それらに限定されず、それには過酸化物、ペルクロライト(perchlorites)、および活性化二重結合を有する反応性分子が含まれる。
【0035】
[0041] 本明細書で用いられる際、用語“粘膜接着性”は、親水性の指定(designation)により水溶性または水膨潤性のどちらかであることができ、粘膜の表面に接着する、天然または合成の親水性ポリマーを指す。好ましくは、そのような接着性物質は、その臭気制御有効物質を含有する配合物を粘膜組織および/または歯に接着させるのみならず、その粘膜との接触により溶解または吸収されることができるこの、および他の有効物質の貯蔵器として機能する。
【0036】
[0042] この発明に有用な粘膜接着性ポリマーには以下のものが含まれるが、それらに限定されない:Carbopol(登録商標)CP94ONF、CP971NF、CP974PNFとして商業的に入手可能なカルボキシポリメチレン、Plasdone K−90 USPとして商業的に入手可能なポリビニルピロリドン(“PVP”)、およびNoveon AA−1 USP (PC)として商業的に入手可能なPolycarbophil(登録商標)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ(イソブチレン)、ポリ(イソプレン)、ポリ(アクリル酸)、天然ゴム類、例えばキサンタンおよびイナゴマメガム、キトサンおよびキトサンの化学的誘導体、ペクチン、シリコン類、ならびにこれらの混合物およびコポリマー。
【0037】
[0043] Carbopol(登録商標)940ポリマーは架橋されたポリアクリレートポリマーであり、生体接着性であり、また、組成物に高い粘性を提供することができる非常に効率的な流動学調節剤として知られている。ポリカルボフィル類(Policarbophils)は、生体接着性物質として、および制御放出配合物の設計においても有用な、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のポリマーである。
【0038】
[0044] 好ましくは、その粘膜接着性ポリマーはその薄膜の約0.5重量%から約20
重量%まで、好ましくは約1重量%から約10重量%まで、より好ましくは約2重量%から約4重量%までを構成する。
【0039】
[0045] 一部の態様において、その薄膜はポリマー性基剤を含む。一部の態様において、そのポリマー性基剤は、水溶性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらのコポリマーの混合物から選択される。他の態様において、薄膜形成ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよび同様のものを用いることができる。
【0040】
[0046] 本発明の結果として、口に許容できるキャリヤーおよび粘膜接着性、水浸食性の単層または多層薄膜が含まれる口腔ケア配合物が提供され、それは延長された、または持効性の様式で臭気制御有効物質を放出し、一定の唾液の流れにより口腔から除去することができる。本明細書で用いられる際、“水浸食性”は、全体では水または唾液中で溶解しないが、水または唾液への曝露の際に分解する、および完全に壊れてばらばらになるであろう材料または物質を意味する。
【0041】
[0047] 単層および多層薄膜は下記でより詳細に記述されるであろうが、そのような薄膜からの臭気制御有効物質の放出速度は、これらの薄膜が口腔の流体環境中で溶解または分散する速度により、およびその臭気制御有効物質がその薄膜内から放出される拡散速度により決定される。その臭気制御有効物質のその薄膜母材からの放出速度は、その薄膜母材中の放出調節ポリマーおよび/またはポリマー性基剤の量を調節することにより、望まれるままに数分から数時間までの範囲を提供するように容易に合わせることができる。例えば、ポリ酢酸ビニルの量を増大させることは、薄膜の膨潤を低減させるが口腔粘膜および歯の上でのその薄膜の保持時間を増大させ、それによりその臭気制御有効物質のその薄膜からの放出を遅延させる可能性がある。
【0042】
[0048] 1つの好ましい態様において、この発明の薄膜中に存在するその放出調節ポリマーは、0.1%から30%まで、より好ましくは0.5%から20%まで、最も好ましくは5%から20%まで異なる。さらに、ポリマー性基剤の量は、好ましくは5%から80%まで、より好ましくは10%から60%まで、最も好ましくは40%から50%まで異なる。
【0043】
[0049] 本発明の薄膜中に存在する臭気制御有効物質の含有量の調節は、その臭気制御有効物質の放出を制御する、延長する、または遅延させるためにも用いることができる。理想的には、臭気制御有効物質のレベルは可能な限り高い。しかし、実際には、活性とその最終的な薄膜を製造する、および取り扱う能力の釣り合いを取らなければならない。従って、好ましくは、その臭気制御有効物質の量は、10%から70%まで、好ましくは10%から60%まで、より好ましくは40%から60%まで異なる。一部の態様において、その臭気制御有効物質はその薄膜の約15重量%から約25重量%までを構成する。
【0044】
薄膜を調製する方法
[0050] 本発明の延長または遅延放出薄膜は、当技術で既知の方法、例えば一般に行われる押出成形、水性および溶媒流延(casting)プロセスを用いて調製することができる。
【0045】
[0051] 一部の態様において、粘膜接着性ポリマー、放出調節ポリマー、ポリマー性基剤および臭気制御有効物質を含む単層薄膜が提供される。本発明に従うその単層薄膜の調製において、その粘膜接着性ポリマー、その放出調節ポリマー、そのポリマー性基剤、臭気制御有効物質および場合により着色剤、香味料、甘味料および/または療法剤および他の薄膜形成成分を、適合する溶媒の中で溶解させて薄膜形成組成物を形成する。
【0046】
[0052] 適切な溶媒の例には、水、アルコール類、アセトン、酢酸エチル、またはそれらの混合物が含まれる。溶液が形成された後、攪拌しながら可塑剤を添加することができ、溶解を助けるのに必要であれば、透明で均質な溶液が形成されるまで熱を加える。その溶液を適切な担体物質の上にコートし、乾燥させて薄膜を形成することができる。その担体物質は、その薄膜溶液が、しみ込んでその薄膜と担体基板の間に破壊的な結合を形成することなく、意図される担体の幅にわたって均等に広がることを可能にする表面張力を有するべきである。適切な担体物質の例には、ガラス、ステンレス鋼、テフロンおよびポリエチレンを含浸させた紙が含まれる。その薄膜の乾燥は、乾燥オーブン、乾燥端末、真空乾燥機、またはその薄膜を構成する成分に悪影響を及ぼさないあらゆる他の適切な乾燥設備を用いて高温で実施されてよい。
【0047】
[0053] 一部の態様において、その薄膜の厚さは、単層薄膜に関して0.5から10ミルまで(1ミル=0.001インチ)、好ましくは1から5ミルまで、より好ましくは1.5から2.5ミルまで、二重または三重層薄膜に関して2から4ミルまでの範囲である。一部の態様において、その乾燥した薄膜を切断またはパンチして、0.01〜0.50インチ、好ましくは0.08〜0.25インチの粒径を有する成形された薄片にする。
【0048】
[0054] 成形して薄片にする前にその薄膜に保護的な障壁の上塗り(overcoat)、例えば食品グレードのシェラックまたはエチルセルロースを適用することにより、その乾燥した薄膜から形成された形状に追加の安定性を提供することができる。
【0049】
[0055] その薄膜が装飾的作用のために用いられる予定である場合、一度形成された薄膜を切断またはパンチして、様々な魅力的な形状の薄片、例えばハート形、星形、ダイヤ形、および円形にする。一部の態様において、その薄膜の薄片を本発明の基礎歯磨剤に0.05重量%〜1.0重量%、好ましくは0.1重量%〜0.5重量%の濃度で組み込む。一部の態様において、第1の薄膜を装飾的作用のために低濃度で用い、別の薄膜を高濃度で透明に、またはそうでなければ目立たないように作る。
【0050】
[0056] 一部の態様において、二層薄膜を提供する。その二層薄膜は、それぞれの層に関してそれぞれのスラリーから流延し、続いて乾燥させることにより連続的にその層(AおよびB)を形成することにより、形成することができる。例えば、第1の層(“A”)を、粘膜接着性ポリマー、第1ポリマー性基剤および臭気制御有効物質が含まれるスラリー組成物から0.010インチの層として流延し、次いでオーブン中で100℃の温度において10分間乾燥させることができる。次いで第2の層(“B”)を、放出調節ポリマー、第2ポリマー性基剤および香味料が含まれるスラリー組成物から第1の層の上に0.020インチの層として流延し、次いでオーブン中で100℃において10分間乾燥させることができる。放出調節ポリマーおよび/または他の放出調節化合物を含有する層の存在は、その粘膜接着性物質を含有する層からの臭気制御有効物質の放出を遅延させる、または延長するのに寄与すると信じられる。この発明の薄膜を歯磨剤またはマウスリンス(mouth rinse)に組み込むことの結果として、消費者は口腔中の標的部位および/または届きにくい領域に臭気制御有効物質を送達することができる口腔ケア配合物を用いることができる。一部の態様において、その薄膜のCarbopol(登録商標)を含有する層による口腔の唾液でコートされた表面上への選択的結合が起こる。一部の態様において、その二層薄膜のポリ酢酸ビニルを含有する層は口腔粘膜または歯の表面に接着しないが、代わりにその臭気制御有効物質の放出を遅延させる、または長引かせる。その結果、その二層薄膜は口腔の内側部分または軟口蓋にくっつく傾向があり、放出調節剤が含まれる層においてゆっくりと、しかし粘膜接着性ポリマーが含まれる層においてより急速に浸食され、結果としてその臭気制御有効物質の持効性および/または遅延放出がもたらされる。
【0051】
[0057] 一部の態様は、三層薄膜を提供する。その三層薄膜は、それぞれの層に関してそれぞれのスラリーから流延し、続いて乾燥させることにより連続的にその層(C、DおよびC’)を形成することにより、形成することができる。例えば、第1の層(“C”)を、粘膜接着性ポリマー、第1ポリマー性基剤および臭気制御有効物質が含まれるスラリー組成物から0.010インチの層として流延し、次いでオーブン中で100℃の温度において10分間乾燥させることができる。次いで、第2の層(“D”)を、放出調節ポリマー、第2ポリマー性基剤および香味料が含まれるスラリー組成物から第2の層の上に0.020インチの層として流延し、次いでオーブン中で100℃において10℃分間乾燥させることができる。最後に、第3の層(“C’”)を、粘膜接着性ポリマー、第1ポリマー性基剤および臭気制御有効物質が含まれるスラリー組成物から第2の層の上に0.010インチの層として流延し、次いでオーブン中で100℃の温度において10分間乾燥させることができる。薄膜は上記で説明したように連続的に作ることができ、または多層層状スラリーとしてその構成要素のスラリーから直接形成することができる。次いでその層状スラリーを類似の方法で乾燥させるであろう。方法の組み合わせも可能である。例えば、層の押出成形の後に異なる層の溶媒流延を行うことができる。
【0052】
[0058] 一部の態様において、本発明は三層薄膜を提供し、ここでその外側表面層は水浸食性であり、それには粘膜接着性ポリマー、第1ポリマー性基剤および放出調節ポリマーが含まれ、一方で中央の層は香味料、臭気制御有効物質および第2ポリマー性基剤を組み込んでいる。
【0053】
[0059] 本発明の粘膜接着性薄膜により提供される全体的な利益は、
図1〜3においても説明されている。
[0060]
図1は、先行技術において利用可能な臭気制御組成物、例えば練り歯磨きまたはマウスウォッシュ(mouthwash)を用いる悪臭の制御を、時間の関数として図説する。
図1aで示したように、一度その臭気制御有効物質が使用の間、例えばブラッシングの間に放出されると、それは通常の唾液の流れにより急速にすすぎ落とされ、揮発性硫黄化合物、例えば硫化水素のレベルは、一度ブラッシングが完了すると急速に上昇する。(
図1(b)参照)。
図1(a)は、時間“x”においてブラッシングが完了すると、臭気制御有効物質が唾液の流れにより口腔から急速に取り除かれることを示している。
図1(b)で示したように、その臭気制御有効物質はブラッシング後実質的な期間の間存在せず、それは臭気をもたらす細菌が硫化水素を急速に補充することを可能にする。
【0054】
[0061] 臭気制御有効物質を持効性の、または遅延させた様式で放出することにより、臭気制御有効物質の作用が延長される。具体的には、揮発性硫黄化合物のレベルをより長い期間にわたってかなり低く保つことができる。
【0055】
[0062]
図2(a)は、本明細書で記述したような単層薄膜組成物からの臭気制御有効物質の制御放出を表す。
図2(b)から、臭気制御剤を本発明の単層薄膜から放出することにより、揮発性硫黄化合物、例えばH
2Sのレベルを、長引かせた、または延長した期間の間はるかに低いレベルで保つことができることを容易に理解することができる。
【0056】
[0063]
図3(a)は、本明細書で記述したような多層薄膜組成物からの臭気制御有効物質の制御放出を表す。その多層薄膜組成物からの臭気制御有効物質の制御放出の結果として、揮発性硫黄化合物のレベルは長引かせた、または延長した期間の間はるかに低いレベルで保たれる(
図3(b)参照)。
【0057】
[0064] 様々な態様において、その口腔ケア組成物はキャリヤー中に同伴した複数の層状薄膜断片を含む。一部の態様において、その組成物は薄膜を含み、ここでその薄膜はそ
の薄膜物質の層状断片を含む。他の態様において、その組成物はその中に分布した複数の層状断片を有するキャリヤーを含み、ここでその断片は母材および機能性臭気制御または臭気遮断有効化合物を含む。1つのそのような態様において、その母材は薄膜を含む。そのような断片は、半固体または固体の別個の部分、断片、粒子、薄片、またはそれらの組み合わせが含まれる様々な形状または形のいずれかであることができる。様々な態様において、その薄膜は第1の複数の断片および第2の複数の断片を含み、ここでその第1の複数の断片は第2の複数の断片とは組成または外観が異なる。組成または外観におけるそのような違いは、その断片の組成のあらゆる観点(例えば異なる薄膜構成要素、異なる機能性物質、異なる配合物着色剤)、異なる外観(例えば形状、色、質感、屈折率、反射率)、またはそれらの組み合わせにおいてであることができる。
【0058】
[0065] 様々な態様において、その断片はそのキャリヤーとの知覚できる相違を示す。その知覚できる相違は、感覚的相違、例えば視覚的相違、触覚的相違、味の相違、または嗅覚的相違であることができる。一部の構成において、視覚的相違は色の相違、または屈折率もしくは反射率における違いであることができる。一部の構成において、色の相違はその組成物の異なる構成要素を構成する1種類以上の着色剤により与えられることができる。様々な態様において、本発明はキャリヤー中に複数の薄膜断片を含む組成物を提供し、ここで前記の断片は目に見えて識別可能である。本明細書で言及される際、“目に見えて識別可能”は、断片の、その断片が、その中にその断片が同伴しているキャリヤーと比較して好ましくは裸眼に対して異なる物理的外観を有するようにする1種類以上の特徴を指す。そのような特徴には、色、不透明度、屈折率、反射率、大きさ、形状、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0059】
[0066] 様々な態様において、その断片はランダムではない形状を有する。1態様において、“ランダムではない”形状は、成形、切断の製造プロセス、またはそれにより断片に特定の形状が与えられる他の形成プロセスの結果もたらされる形状である。そのような態様において、ランダムではない形状は材料の単純な沈殿または粉砕の結果もたらされるような形状とは区別される。1態様において、“ランダムではない”形状は“繰り返しており”、ここでその組成物は実質的に同じ形状を有する複数の断片を含む。そのような繰り返す形状は様々な形のいずれかを有していてよく、様々な審美的または機能的基準に基づいて選択されてよい。特定の態様において、薄膜断片の形状は認識できる形状であることができる。特定の態様において、薄膜断片はランダムではない形状を含むことができる。そのような形状には、単純な幾何学的形状、例えば多角形および長円の形状、例えば三角形、四辺形(例えば正方形、長方形、菱形)、五角形、六角形、楕円、および円が含まれる。1態様において、その繰り返す形状は正方形である。他の態様において、繰り返す形状には、図形または生きた物もしくは無生物、例えば星、ハート、宝石、花、樹木、シロツメクサ、アルファベットの文字、数字、動物、人、および顔を表す形状が含まれる。様々な態様において、その組成物は単一の繰り返す形状を含む。他の態様において、その組成物は複数の繰り返す形状を有する複数の断片を含む。1態様において、本発明の組成物は、第1の繰り返す形状を有する複数の第1の薄膜断片および第2の繰り返す形状を有する複数の第2の薄膜断片を含み、ここで第1の繰り返す形状は第2の繰り返す形状とは異なる。
【0060】
[0067] 様々な態様において、その断片の大きさは重要ではなく、製造の都合、視覚的外観への影響、表面積、その組成物中での質感への影響、およびそれらの組み合わせが含まれる様々な基準のいずれかに応じて決定されてよい。一部の態様において、その薄膜断片は、最も長い寸法における長さが1インチ(25.4mm)までであることができる。本明細書で言及される際、“長い寸法”は、その断片の“厚さ”または最も短い寸法(すなわち、z寸法)に対して実質的に垂直である寸法における、長さまたは幅における(すなわち、その断片が平面の形状である、またはその断片を平面の形状に変形させた際の、
xおよびy寸法における)断片の寸法である。複数の断片を含む様々な態様において、その断片は大きさのランダムな変動、製作公差、およびふるい分けまたは類似の手段によるその断片の意図的な選別または混合が含まれる様々な要因により、ある範囲の大きさで存在していてよいことは理解されている。本明細書で言及される際、大きさは所与の複数の断片中の断片の平均した大きさを指す。
【0061】
[0068] 様々な態様において、その断片は長い寸法において0.2mmから15mmまでである。様々な態様において、その断片の長い寸法は0.2mmから10mmまで、0.5mmから10mmまで、0.8mmから8mmまで、0.9mmから5mmまで、1.0mmから5mmまで、または1.5mmから2.5mmまでである。一部の態様において、その断片の長い寸法は少なくとも3mmであり、6mmから13mmまでであることができる。特定の態様において、複数の薄膜断片は最も長い寸法において600ミクロンより大きい。特定の態様において、複数の薄膜断片は最も長い寸法において約1ミリメートルより大きい。
【0062】
[0069] 様々な態様において、本発明の断片は、1ミル(1インチの1000分の1、25.4ミクロン)から3ミル(76.2ミクロン)までの厚さを有する。様々な態様において、その断片は4ミル未満または100ミクロン未満、0.1ミル(2.54ミクロン)から10ミル(254ミクロン)まで、0.5ミル(12.7ミクロン)から5ミル(127ミクロン)まで、1.4ミル(35.6ミクロン)から2.0ミル(50.8ミクロン)までの厚さを有する。
【0063】
[0070] 一部の態様において、本発明の組成物は少なくとも5:1の縦横比を有する断片を含む。本明細書で言及される際、断片の“縦横比”は、その物体を囲い込むことができる最も小さい架空の球の直径の、完全にその物体の内側にあり、その物体の表面に接していることができる最も大きい架空の球の直径に対する比率である。例えば、球の縦横比は1:1であり;別の例において、長さ2インチ(50.8mm)および直径1/4インチ(6.35mm)である円柱の縦横比は8:1をわずかに超えており;さらに別の例において、厚さ1ミル(25.4ミクロン)、長さ1インチ(25.4mm)、および幅1インチ(25.4mm)である本発明の薄膜断片は1414:1の縦横比を有する。
【0064】
[0071] 一部の態様において、本発明の組成物は少なくとも10:1の縦横比を有する断片を含む。様々な態様において、その断片は5:1から10,000:1まで、5:1から500:1まで、10:1から1,000:1まで、10:1から100:1まで、20:1から100:1まで、または25:1から35:1までの縦横比を有する。
【0065】
[0072] 様々な態様において、その薄膜は、その薄膜、その組成物、または両方に色を与える配合物着色剤を含む。様々な態様において、その薄膜断片はそのキャリヤーと対照的であり、白、黒、またはそのキャリヤーの背景に対して目立つ、もしくはそれと対照的であるあらゆる色のものである。本明細書において有用な配合物着色剤の中の配合物着色剤には、例えば金属酸化物“レーキ類”のような非毒性の水溶性染料または顔料が含まれる。特定の態様において、その着色剤は監督機関により食品または薬物中への組み込みに関して認可されており、例えばFD&CまたはD&C顔料および染料は米国における使用に関してFDAにより認可されている。本明細書において有用な着色剤の中の着色剤には、以下のものが含まれる:FD&C赤色3号(テトラヨードフルオロセインのナトリウム塩)、食品赤色17号、6−ヒドロキシ−5−{(2−メトキシ−5−メチル−4−スルホフェニル)アゾ}−2−ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩、食品黄色13号、キノフタロン(quinophtalone)または2−(2−キノリル)インダンジオンのモノおよびジスルホン酸の混合物のナトリウム塩、FD&C黄色5号(4−p−スルホフェニルアゾ−1−p−スルホフェニル−5−ヒドロキシピラゾール−3カルボン酸のナ
トリウム塩)、FD&C黄色6号(p−スルホフェニルアゾ−B−ナフトール−6−モノスルホネートのナトリウム塩)、FD&C緑色3号(4−{[4−(N−エチル−p−スルホベンジルアミノ)−フェニル]−(4−ヒドロキシ−2−スルホニウムフェニル)−メチレン}−[1−(N−エチル−N−p−スルホベンジル)−Δ−3,5−シクロヘキサジエンイミン]の二ナトリウム塩、FD&C青色1号(ジベンジルジエチル−ジアミノトリフェニルカルビノールトリスルホン酸硬石膏(anhydrite)の二ナトリウム塩)、FD&C青色2号(インジゴチン(indigotin)のジスルホン酸のナトリウム塩)、およびそれらの様々な割合での混合物。1態様において、その着色剤は、水に不溶性の無機性顔料、例えば二酸化チタン、酸化クロムグリーン、フタロシアニン(phthalocyanine)グリーン、ウルトラマリンブルー、酸化第二鉄、または水に不溶性の染料レーキを含む。一部の態様において、染料レーキには、FD&C緑色1号レーキ、FD&C青色2号レーキ、D&C赤色30号レーキまたはFD&C黄色15号(#
Yellow 15)レーキのようなFD&C染料のカルシウムまたはアルミニウム塩が含まれる。特定の態様において、例えばFD&C青色1号のような水溶性染料は、例えばポリエチレン、例えばポリエチレンビーズ(例えばMicropowders, Inc.により販売されているMicroblue Spectrabeads)において見られるポリエチレンのような水に不溶性のポリマー内に含有される。特定の態様において、その薄膜はD&C赤色30号のような染料を含む。特定の態様において、白色着色剤、例えば二酸化チタン(TiO
2)、二酸化チタンでコートされた雲母(例えばTimiron)、鉱質、または粘土が用いられる。特定の態様において、その着色剤はにじまない(non−bleeding)染料である。様々な態様において、その薄膜は、その薄膜の約0.5重量%から20重量%まで、またはその薄膜の1重量%から15重量%まで、またはその薄膜の3重量%から12重量%までのレベルの着色剤を含む。1態様において、本発明の組成物は、第1の色を含む第1の複数の薄膜断片、および第2の色を含む第2の複数の薄膜断片を含む。好ましくは、その第2の色はその第1の色と異なる。
【0066】
[0073] 一部の態様において、その薄膜はその組成物の使用の間に分解する。他の態様において、その薄膜はその組成物の使用の間に分解しない。一部の態様において、その薄膜は物質、例えば臭気制御有効化合物をそのキャリヤー中に放出する。本明細書において言及される際、“分解する”は、その薄膜または断片物質の、その最初の薄膜と比較して低減した大きさの薄膜または薄膜断片を生じるような物理的崩壊を指す。そのような崩壊は、機械的、化学的、または物理的−化学的手段によるものであってよい。その分解は、例えば使用の間の剪断、粉砕、または高温への曝露の結果として起こり得る。本発明の様々な歯磨剤の態様において、そのような分解はその組成物を用いる対象の歯の上でのその組成物のブラッシングの結果として起こる。1態様において、その薄膜は(本明細書においてさらに記述するように)機能性臭気制御有効物質を放出するように分解する。一部の態様において、薄膜断片は分解して視覚的に識別不能な小さい破片になることができる。一部の態様において、その薄膜断片は分解して集合的にコロイドまたはゲルを形成する。
【0067】
[0074] 様々な態様において、本発明の単層または多層薄膜には、臭気制御有効物質に加えて以下のような他の機能性有効物質が含まれてよいが、それらに限定されない:
A.より長続きする、よりさわやかな、またはより清潔な息の感覚を送達することができる、香味料または香味構成要素、例えばメントール、WS3(商標)、
B.五感によって知覚される(sensate)成分、例えば、冷却、ピリピリ感(tingling)または熱を提供する成分、例えば、スピラントール(spilanthol)、カプサイシン、ケイ皮アルデヒド(cinnammic aldehyde)
C.隠す(masking)芳香、例えばイオノン類
D.静菌または抗細菌剤、例えばマグノリアの樹皮の抽出物、マグノロール(magnolol)、ホノキオール(honokiol)、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、クロルヘキシジン、および同様のもの
E.ビスマス、銅、亜鉛、第1スズの金属塩類、および同様のもの。
【0068】
[0075] 他の態様において、その薄膜は、限定ではないが、臭気制御有効物質に加えて他の療法的有効物質を含んでいてよい。本明細書で言及される際、療法的有効物質は生理的障害または病気の予防または処置に有用な物質である。そのような障害または病気には、口腔(歯および歯肉が含まれる)、皮膚、毛髪、および目の障害または病気が含まれる。具体的な療法的有効物質は、好ましくはその組成物の望まれる有用性に従って決定される。そのような有効物質には以下のものが含まれる:
A.抗微生物剤、例えばトリクロサン、塩化セチルピリジウム(cetyl pyridium chloride)、臭化ドミフェン、第四級アンモニウム塩類、サンギナリン、フッ化物、アレキシジン、オクトニジン(octonidine)、EDTA、精油、例えばチモール、サリチル酸メチル、ユーカリプトールおよびメントール、ならびに同様のもの、
B.非ステロイド系抗炎症薬、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジフルニサル、フェノプロフェンカルシウム、ナプロキセン、トルメチンナトリウム、インドメタシン、および同様のもの、
C.鎮咳薬、例えばベンゾナテート(benzonatate)、カラミフェンエジシレート(caramiphen edisylate)、メントール、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、クロフェジアノール塩酸塩、および同様のもの、
D.うっ血除去薬、例えば偽エフェドリン塩酸塩、フェニレフリン(phenylepherine)、フェニルプロパノールアミン、偽エフェドリン硫酸塩、および同様のもの、
E.抗ヒスタミン剤、例えばブロムフェニラミンマレイン酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、デクスクロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、アザタジンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミンクエン酸塩、ドキシラミンコハク酸塩、プロメタジン塩酸塩、ピリラミンマレイン酸塩、トリペレナミン(tripelennamine)クエン酸塩、トリプロリジン塩酸塩、アクリバスチン(acrivastine)、ロラタジン(loratadine)、ブロムフェニラミン、デクスブロムフェニラミン、および同様のもの、
F.去痰剤、例えばグアイフェネシン、吐根、ヨウ化カリウム、テルピン水和物、および同様のもの、
G.下痢止め剤、例えばロペラミド、および同様のもの、
H.H
2−拮抗剤、例えばファモチジン、ラニチジン、および同様のもの;ならびに
I.プロトンポンプ阻害剤、例えばオメプラゾール(omeprazole)、ランソプラゾール(lansoprazole)、および同様のもの、
J.一般的な非選択的CNS抑制薬、例えば脂肪族アルコール類、バルビツレート類、および同様のもの、
K.一般的な非選択的CNS刺激薬、例えばカフェイン、ニコチン、ストリキニーネ、ピクロトキシン(picrotoxin)、ペンチレンテラゾール(pentylenetetrazol)、および同様のもの、
L.CNS機能を選択的に修正する薬物、例えばフェニヒダントイン(phenyhydantoin)、フェノバルビタール、プリミドン、カルバマゼピン(carbamazepine)、エトスクシミド、メトスクシミド、フェンスクシミド、トリメタジオン(trimethadione)、ジアゼパム、ベンゾジアゼピン類、フェナセミド(phenacemide)、フェネツリッド(pheneturide)、アセタゾラミド、スルチアム(sulthiam)、臭化物、および同様のもの、
M.抗パーキンソン病薬、例えばレボドパ(levodopa)、アマンタジン、および同様のもの、
N.麻薬性鎮痛剤、例えばモルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、メトポン(meto
pon)、オキシモルホン(oxymorphone)、レボルファノール(levorphanol)、コデイン、ヒドロコドン(hydrocodone)、キシコドン(xycodone)、ナロルフィン(nalorphine)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、および同様のもの、
O.鎮痛解熱剤、例えばサリチレート類、フェニルブタゾン、インドメタシン、フェナセチン(phenacetin)および同様のもの、
P.精神薬理学的薬物、例えばクロルプロマジン(chlorpromazine)、メトトリメプラジン(methotrimeprazine)、ハロペリドール(haloperidol)、クロザピン(clozapine)、レセルピン(reserpine)、イミプラミン(imipramine)、トラニルシプロミン(tranylcypromine)、フェネルジン、リチウム、および同様のもの、
本発明の薄膜中で用いることができる薬物の量は、有効量のその薬物を提供するのに必要な用量に依存し得る。
【0069】
[0076] 様々な態様において、本明細書において有用な療法的有効物質には、抗歯石剤、歯石制御剤、抗プラーク剤、歯周への有効物質、ブレスフレッシュ剤、悪臭制御剤、白化剤、抗細菌物質、ステロイド類、抗炎症剤、ビタミン類、タンパク質、条件調節剤、保湿剤(moisturizers)、制汗性有効物質、脱臭性有効物質、麻酔薬、およびそれらの混合物が含まれる。
【0070】
[0077] 特定の口腔ケアの態様において、その薄膜またはその口腔ケア組成物は口腔ケア有効物質を含んでいてよく、それは口腔ケアの障害または病気の予防または処置に有用である。本明細書において有用な口腔ケア有効物質の中の口腔ケア有効物質には、研磨剤、抗歯石剤、歯石制御剤、抗プラーク剤、歯周への有効物質、ブレスフレッシュ剤、悪臭制御剤、歯脱感作剤、唾液刺激薬、白化剤、およびそれらの組み合わせが含まれる。本明細書において有用な有効物質の中の有効物質は、米国特許第6,596,298号(Leungら)において記述されている。
【0071】
[0078] 本明細書において有用な歯石制御剤の中の歯石制御剤には、二アルカリまたは四アルカリ金属ピロリン酸塩類、例えばNa
4P
2O
7、K
4P
2O
7、Na
2K
2P
2O
7、Na
2H
2P
2O
7およびK
2H
2P
2O
7;長鎖ポリホスフェート類、例えばヘキサメタリン酸ナトリウム;ならびに環式ホスフェート類、例えばトリメタリン酸ナトリウムが含まれる。一部の構成において、ポリホスフェートは、米国特許第6,241,974号(White,Jr.)において開示されているようなβ相ピロリン酸カルシウムである。一部の態様において、その薄膜はその薄膜の約15〜20重量%のレベルの抗歯石剤を含む。
【0072】
[0079] 本明細書において有用な他の臭気制御有効物質には、硫黄沈降剤が含まれる。そのような硫黄沈降剤には、金属塩類、例えば銅塩または亜鉛塩が含まれる。そのような塩類には、グルコン酸銅、クエン酸亜鉛およびグルコン酸亜鉛が含まれる。これらの亜鉛塩類は、その薄膜中に含まれる亜鉛化合物との組み合わせで、またはそれに加えて用いることができる。様々な態様において、その薄膜は硫黄沈降剤を薄膜の約0.01から約30重量%まで、薄膜の約2重量%から約2.5重量%まで、または薄膜の約10重量%から約20重量%までのレベルで含む。
【0073】
[0080] 特定の態様において、その薄膜および/または口腔用組成物には唾液刺激剤(“多肉植物”)が含まれていてよく、そのような薬剤には、米国特許第4,820,506号(Kleinbergら)において開示されている薬剤が含まれる。一部の構成において、唾液刺激剤には、食品用の酸、例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、フマル酸および酒石酸が含まれ得る。様々な態様において、そ
の薄膜はその薄膜の0.5から70重量%まで、その薄膜の10重量%から50重量%まで、またはその薄膜の30重量%から40重量%までのレベルの唾液刺激剤を含む。一部の態様において、唾液刺激剤は口渇症の改善において用いることができる。
【0074】
[0081] 特定の口腔ケアの態様において、その薄膜は他の有効物質、例えば以下のものを含む:抗細菌剤、例えばマグノリアの抽出物、トリクロサン、ブドウ種子の抽出物、チモール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、メントール、ホップ酸類(hop acids)、塩化セチルピリジニウム、(CPC/ZnおよびCPC+酵素が含まれる)およびウスニン酸;抗炎症剤、例えばブレスフレッシュ剤(例えばグルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、亜塩素酸亜鉛およびアルファイオノン);歯脱感作剤、例えば硝酸カリウム、脱感作性のポリマー、および脱感作性の鉱質;抗炎症剤、例えばマグノリアの抽出物、ウルソール酸;アロエ、およびクランベリーの抽出物;ビタミン類、例えばパンテオン(pantheon)、レチニルパルミテート、葉酸、酢酸トコフェロールおよびビタミンA;草本または草本の抽出物、例えばローズマリー、オレガノ、カモミラ・レクティタ(chamomilla recutita)、メンタ・ピペリタ(mentha piperita)、サルビア・オフィシナリス(salvia officinalis)、またはミルラノキ(commiphora)およびミルラ(myrrha);タンパク質、例えば乳タンパク質および酵素、例えば過酸化物産生酵素、アミラーゼ、プラーク破壊(disrupting)剤、例えばパパイン、グルコアミラーゼ、およびグルコースオキシダーゼ;白化剤、例えば過酸化水素、過酸化尿素およびリン酸塩類;医薬、例えばアスピリン(アセチルサリチル酸)、カフェイン、およびベンゾカイン;生菌(probiotics);研磨剤、例えばシリカ類(高洗浄性シリカが含まれる);抗齲食剤、例えば第1スズ塩類(例えば、フッ化第1スズ)またはアミノフッ化物(amino fluoride);一酸化窒素シンターゼ阻害剤、例えばグアニジノエチルジスルフィド;カルシウム;抗付着成分、例えばポリビニルホスホン酸(polyvynylphosphonic acid);シリコン類;クロロフィル化合物、抗白斑症剤、例えばベータ−カロテン;抗酸化剤、例えばビタミンE;ならびにそれらの組み合わせ。一部の態様において、その薄膜は薄膜の約0.01〜約30重量%、その薄膜の約2重量%から約25重量%まで、または薄膜の約10重量%から約20重量%までの濃度のそのような有効物質を含む。
【0075】
[0082] 特定の態様において、その薄膜および/または口腔ケア組成物には保存剤が含まれる。保存剤はその薄膜の約0.001w/w%から約5w/w%まで、好ましくは約0.01w/w%から約1w/w%までの量で添加することができる。保存剤の限定的でない例には、安息香酸ナトリウムおよびソルビン酸カリウムが含まれる。
【0076】
[0083] 本発明の一部の態様は、その中に薄膜、または1個以上の薄膜断片が同伴しているキャリヤーを含む組成物を提供する。本明細書で言及される際、“キャリヤー”は、その中に薄膜が同伴することができ、組成物が投与または適用されるヒトまたは動物の対象への投与または適用に適したあらゆる物質または組成物である。
【0077】
[0084] 本明細書で言及される際、“同伴した”は、薄膜のキャリヤー中の埋め込み、分散、懸濁または他の分布を指す。複数の断片を含む様々な態様において、そのような断片は、そのキャリヤー中のその断片の埋め込み、懸濁、分散または他の分布により同伴させることができる。様々な態様において、その断片はそのキャリヤー全体にわたって実質的に均質に分布している。他の態様において、その断片はそのキャリヤー中で均質に分布していない。特定の態様において、複数の薄膜断片の分布はそのキャリヤー内で実質的に等方性である。キャリヤー中で分散または懸濁した複数の薄膜断片が含まれる歯磨組成物は、Colgate−Palmolive Company(ニューヨーク州ニューヨーク)から商品名Max Fresh(登録商標)またはMax White(登録商標)
の下で商業的に入手可能である。
【0078】
[0085] 一部の態様は2つの相を含み、ここで1つの相はキャリヤーを含み、第2の相は前記の薄膜または断片を含む。本明細書で用いられる用語“相”は、物理科学および物質科学において理解されているような物理的な相、すなわち、ある物質のその特性および組成が均一である部分を意味する。しかし、本明細書で用いられるような相は不連続であることができ、すなわち、相は複数の別個の構成要素を含むことができる。例えば、同一の組成の複数のポリマー薄膜断片は、単一の相を含むと考えられる。一部の態様において、薄膜断片はその第1の相を含む物質内に完全に埋め込まれていることができ、または完全に、もしくは部分的にその第1の相の表面上に露出していることができる。例えば、その組成物がゲルおよび薄膜断片の両方を含む歯磨剤である場合、薄膜断片は完全にそのゲルに取り囲まれていることができ、または部分的に、もしくは完全にそのゲルの表面上に露出していることができる。特定の態様において、組成物は2つより多くの相を含む。そのような多相組成物には2種類のキャリヤーを有する多相組成物が含まれ、そのそれぞれが、本明細書で記述したような薄膜断片に加えてその組成物に相を提供している。他の多相組成物には、単一のキャリヤーおよび2種類以上の複数の断片を有する多相組成物が含まれ、ここでその複数の断片は異なる組成を有する。
【0079】
[0086] 様々な態様において、そのキャリヤーは液体、半固体または固体である。“液体”は、低粘性または高粘性の液体であることができる。液体は、周囲条件下で流れが知覚できないような液体であることができる。例えば、石鹸、例えば通常のハンドソープの棒は、本明細書において液体と考えることができる。液体は揺変性の液体であることができる。本明細書で用いられる“半固体”は、ゲル、コロイド、またはガムであることができる。本明細書で用いられる際、半固体および液体は粘性に基づいて区別される流体である:半固体は高粘性の流体であり、一方で液体はより低い粘性を有する。これらの2つのタイプの流体の間に明確な分界線は存在しない。特定の態様において、半固体は数千mPa・sもの高さの粘性を有する。本明細書において有用なキャリヤーの中のキャリヤーには、液体、ペースト、軟膏、およびゲルが含まれ、それは透明、半透明または不透明であることができる。
【0080】
[0087] 特定の態様において、本発明の組成物は口腔への投与に適した口腔ケア組成物である。そのような組成物には、歯磨剤、マウスウォッシュ(mouthwashes)、歯科用ゲル、ロゼンジ、ビーズ、ガム、口用細片、薄荷、液体練り歯磨き、スプレー、塗布用ゲル、リップバーム、白化用細片、息用細片(breath strips)、口で噛む物(oral chews)、およびそれらの組み合わせが含まれる。本明細書で開示される口腔ケア組成物は、例えば虫歯の予防、白化、プラークの予防もしくは低減、歯肉炎の予防もしくは低減、歯石制御、敏感性の予防もしくは低減、または息の悪臭の予防もしくは低減、および汚れ防止のために用いることができる。
【0081】
[0088] そのキャリヤーの具体的な組成は、好ましくはその組成物の意図される用途に依存する。様々な態様において、そのキャリヤーは水性であり、5%から95%までの水、または10%から70%までの水を含む。他の態様において、そのキャリヤーは実質的に非水性である。歯磨剤キャリヤーにおいて、含水量は5%から70%まで、10%から50%まで、または20%から40%までであることができる。水の存在がその薄膜の分解を引き起こすと考えられる場合、その乾燥した薄膜が遊離水を含有しないのが特に好ましく、ここでその水の量は実質的に0%であり、または無視できる。
【0082】
[0089] そのキャリヤーは、乳化剤、シックナー、充填剤、および保存剤が含まれる様々な物質のいずれかを含んでいてよい。一部の態様において、そのキャリヤーには機能性または有効物質、例えば上記で記述したような機能性または有効物質が含まれていてよい
。一部の態様において、そのキャリヤーはその薄膜と同じ機能性物質を含む。
【0083】
[0090] 一部の態様において、そのキャリヤーは歯磨剤としての使用に適している。他の態様において、そのキャリヤーは湿潤剤、例えばグリセリン、ソルビトールまたはアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールを含む。一部の態様において、そのキャリヤーはその組成物の10重量%から80重量%まで、または20重量%から60重量%までのレベルの湿潤剤を含む。本明細書において有用なキャリヤー組成物の中のキャリヤー組成物は、米国特許第5,695,746号(Garlick, Jr.ら)および第4,839,157号(Mei−King Ngら)において開示されている。
【0084】
[0091] 様々な歯磨剤の態様において、そのキャリヤーはシックナー、ゲル化剤またはそれらの組み合わせを含む。本明細書において有用なシックナーまたはゲル化剤には、無機性、天然、または合成のシックナーまたはゲル化剤が含まれる。一部の構成において、そのキャリヤーはその組成物の0.10重量%から15重量%まで、または0.4重量%から10重量%までの総レベルのシックナーおよびゲル化剤を含む。本明細書において有用なシックナーおよびゲル化剤の例には、無機性増粘性シリカ類、例えば:非晶質シリカ、例えばZeodent(登録商標)165(Huber Corporation);アイリッシュモス;イオタ−カラギーナン;トラガカントガム(gum tragacanth);またはポリビニルピロリドンが含まれる。特定の態様において、そのキャリヤーは研磨剤、例えばシリカ、か焼アルミナ、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムまたはピロリン酸カルシウムを含む。様々な態様において、そのキャリヤーは視覚的に透明な組成物であることができる。
【0085】
[0092] 視覚的に透明なキャリヤーを含む様々な歯磨剤の態様において、その組成物は少なくとも1種類の研磨剤を含む。本明細書において有用な研磨剤の中の研磨剤には、例えばZeodent(登録商標)115(Huber Corporation)のようなコロイド性(collodial)シリカ、およびアルカリ金属アルミノシリケート錯体(すなわち、アルミナを含むシリカ)が含まれる。一部の構成において、研磨剤は水および/または湿潤剤と組み合わせられるゲル化剤の屈折率に近い屈折率を有することができる。様々な態様において、そのキャリヤーはその組成物の5重量%から70重量%までのレベルのその研磨剤を含む。
【0086】
[0093] 特定の歯磨剤において、そのキャリヤーは界面活性剤または界面活性剤の混合物を含む。本明細書において有用な界面活性剤の中の界面活性剤には、少なくとも1種類の高級脂肪酸モノグリセリドモノサルフェートの水溶性塩類、例えば硬化ヤシ油脂肪酸の一硫化(monosulfated)モノグリセリドのナトリウム塩;コカミドプロピルベタイン;高級アルキルサルフェート、例えばラウリル硫酸ナトリウム;アルキルアリールスルホネート、例えばナトリウム ドデシルベンゼンスルホネート;高級アルキルスルホアセテート;ナトリウムラウリルスルホアセテート;1,2−ジヒドロキシプロパンスルホネートの高級脂肪酸エステル;ならびに低級脂肪族アミノカルボン酸の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミド類、例えば脂肪酸、アルキルまたはアシル基中に12〜16個の炭素を有するそれら;ならびにそれらの混合物が含まれる。アミド類は、例えば、N−ラウロイルサルコシン、ならびにN−ラウロイル、N−ミリストイル、またはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム、およびエタノールアミン塩類であることができる。様々な態様において、そのキャリヤーは組成物の約0.3重量%から約5重量%まで、または組成物の0.5重量%から3重量%までのレベルでその界面活性剤を含む。
【0087】
[0094] 本発明は、歯磨剤キャリヤーを作るための方法も提供する。1態様において、水および少なくとも1種類の湿潤剤を、第1の均質なゲル相が形成されるまで一般に用い
られるミキサー中で分散させる。次いで研磨剤をその第1の均質なゲル相の中に添加する。その第1の均質なゲル相および研磨剤を、第2の均質なゲル相が形成されるまで混合する。シックナー、香味料および界面活性剤をその第2の均質なゲル相に添加する。これらの成分を、20〜100mmHgの真空下で高速で混合する。
【0088】
[0095] 本発明の組成物は、好ましくは通常の貯蔵条件下で安定である。本明細書で言及される際、“安定な”は、その組成物の1つ、好ましくは全ての組成上の属性、例えば外観、香味、流動学、および化学組成に著しい悪影響が無いことを指す。好ましくは、本組成物における安定性には、その組成物中の薄膜(もしあれば断片が含まれる)の組成上の、および物理的な安定性が含まれる。様々な態様において、薄膜を含む組成物は貯蔵の際に周囲温度において少なくとも約2年間は安定である。しかし、一部の態様において、そうでなければ安定な薄膜は(上記で論じたような)使用の間に、例えば歯磨組成物を用いた歯のブラッシングの間に分解することができることは理解されている。
【0089】
[0096] 特定の態様において、組成物は、本明細書で記述されるような薄膜断片に加えて2種類以上のキャリヤーを含むことができ、そのそれぞれがその組成物に相を提供する。そのような組成物は、色のにじみに対して安定であることができる。例えば、組成物には薄膜断片および筋が入った歯磨剤、例えば米国特許第6,315,986号(Wongら)において開示されている歯磨剤が含まれることができる。特定の態様において、その薄膜断片は、増進された審美的魅力のため、その筋(単数または複数)とは異なる色(単数または複数)のものであることができる。
【0090】
[0100] その歯磨組成物には、慣習的に、その歯磨剤をある期間にわたって分配容器中で保管し、その後使用者がそこから確実に分配することができるように、その歯磨剤に必要とされる流体力学的特性を提供する増粘剤が含まれる。その歯磨剤は、好ましくは、分配されるためだけでなく、歯のブラッシングの間に口の内部で許容できる粘稠度(consistency)を示すためも、適切な粘性を有するべきである。典型的な増粘剤には、修飾されたセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、および他の多糖類またはガム構成要素が含まれる。
【0091】
[0101] その多糖類増粘剤は、キサンタンガムおよびヒドロキシエチルセルロースの少なくとも一方を含んでいてよい。その多糖類増粘剤は、典型的にはキサンタンガムおよびヒドロキシエチルセルロースの少なくとも一方からなる。好ましくは、その多糖類増粘剤は、その組成物の重量に基づいて0.1から1.5重量%まで、好ましくはその組成物の0.5から1重量%までの量で存在するキサンタンガムからなる。しかし、少量の追加のシックナー、例えばカラギーナン、トラガカントガム、デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(ナトリウムCMC)およびコロイド状シリカが存在していてよい。1態様において、そのシックナーの濃度はその組成物の重量に基づいて0.1重量%〜5重量%の範囲である。別の態様において、そのシックナーの濃度はその組成物の重量に基づいて0.5重量%〜2重量%の範囲である。
【0092】
[0102] 本発明の一部の態様は、キャリヤー中に同伴した薄膜を含む組成物を調製するためのプロセスも提供する。様々な態様において、薄膜母材の複数の断片をキャリヤーと組み合わせる。一部の態様において、キャリヤーおよび複数の薄膜断片を混合することができる。一部の態様において、その混合は遅い撹拌を含むことができる。他の態様において、その中に分布した本発明の薄膜の複数の層状断片を有するキャリヤーを含む組成物を調製するためのプロセスは、以下のことを含む:口に許容できるキャリヤーを提供し;臭気制御有効物質の延長または遅延放出のための単層または多層薄膜の層状断片をその口に
許容できるキャリヤーに添加して混合物を形成し;そしてその混合物を均質化する。
【0093】
[0103] 本明細書で用いられる用語“均質化”は、その断片およびそのキャリヤーの、断片のキャリヤー中の実質的に均質な分布を達成するような混合を指す。しかし、結果として得られた組成物はなお2相の組成の特徴を保持していることを特筆すべきである。均質化は、様々な一般に用いられるホモジナイザー(homegenizers)のいずれかを用いて成し遂げることができる。
【0094】
[0104] 一部の態様において、その薄膜をその口に許容できるキャリヤーのある構成要素に(例えば歯磨剤に関して湿潤剤に)添加する。次いでそのキャリヤーの残りの部分を作り、次いでその薄膜の混合物をそのキャリヤーに添加してよい。
【0095】
[0105] 本明細書で記述された特定の態様は、臭気制御有効物質をヒトまたは動物の対象に投与するための方法も提供する。本明細書で記述される際、“投与”は、それにより組成物がその対象に適用または投与されるあらゆる方法を指す。様々な態様において、その投与は局所的であり、ここでその組成物はその対象の外部表面に、例えば口腔(例えば歯、歯肉、および舌)の表面に適用される。投与の具体的な経路および方法は、当然その組成物の意図される用途に依存するであろう。
【0096】
[0106] 一部の態様において、本発明は、臭気制御有効物質をそれを必要とするヒトまたは動物の対象に投与するための方法であって、その対象にキャリヤー中に同伴した臭気制御有効物質を含有する制御放出薄膜母材を含む組成物を局所的に適用することを含む方法を提供する。一部の態様において、その方法はさらにその組成物の局所適用の後にその薄膜母材を破壊することを含む。一部の態様において、そのような破壊は、化学的および/または機械的手段が含まれる様々な方法のいずれかにより成し遂げられる。化学的手段には、水または投与の部位に存在する物質(例えば、口腔ケアの適用における唾液)との接触によるその薄膜の分解が含まれる。物理的手段には、撹拌、粉砕、および使用(例えば歯磨剤の適用におけるブラッシング)の間のその組成物への物理的エネルギーの適用により生成される剪断力が含まれる。
【0097】
[0107] 様々な態様において、本発明は、口腔の疾患または病気の処置のための方法を提供する。本明細書で用いられる際、“口腔ケアの病気”は組成物のその口腔への投与により予防または処置することができる障害または病気を指し、それには歯、口の粘膜、歯肉および舌の障害または病気が含まれる。そのような病気には、齲食、歯肉炎、歯周炎、ならびに美容的な病気、例えば黄変および悪臭が含まれる。
【0098】
[0108] 本発明は、具体的な実施例としてより詳細に記述されるであろう。以下の実施例は説明的な目的のために提供されるのであって、本発明の範囲を限定することは決して意図していない。当業者は、変更または修正して本質的に同じ結果を得ることができる様々な重要ではないパラメーターを容易に認識するであろう。
【実施例】
【0099】
実施例1
[0109] この実施例は、下記の表1で示すような、接着性ポリマーとしてCarbopol(登録商標)CP971、放出調節ポリマーとしてポリ酢酸ビニル、ポリマー性基剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(“HPMC”)、および臭気制御有効物質として酸化亜鉛の組み合わせを含有する単層薄膜を説明する。
【0100】
【表1】
【0101】
実施例2
[0110] この実施例は、下記の表2で示すような、接着性ポリマーとしてCarbopol(登録商標)CP971、放出調節ポリマーとしてポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリマー性基剤としてHPMC、および臭気制御有効物質としてOrdenone(登録商標)の組み合わせを含有する単層薄膜を説明する。
【0102】
【表2】
【0103】
[00111] 他の態様は、底部の(bottom)薄膜層が接着性ポリマー、ポリマー性
基剤ならびに臭気制御有効物質または有効物質および香味料の組み合わせの組み合わせを含有する二層薄膜系を含み得るであろう。その上部の(top)層は、放出調節剤としてのポリ酢酸ビニルおよびポリマー性基剤および/または香味料の組み合わせを含有し得るであろう。下記で示す実施例3および4は、二層ポリマー薄膜の態様を説明する。
【0104】
実施例3
[0112] この実施例は、接着性ポリマーとしてcarbopol CP971、放出調節剤としてポリ酢酸ビニル、ポリマー性基剤としてHPMC、および静菌性または殺菌性
有効物質として酸化亜鉛および/または亜鉛ゼオライト、例えば米国特許出願第2006/0045860号において記述されているそれらの組み合わせを含有する二重層薄膜を説明する。その二重薄膜配合物には、下記の表3Aで示すように、接着性ポリマーとしてCarbopol(登録商標)CP971、ポリマー性基剤としてHPMC、および静菌剤、例えば酸化亜鉛および/または亜鉛ゼオライトを有する接着性の底部の層が含まれる。
【0105】
【表3】
【0106】
[0113] その二重薄膜配合物には、下記の表3Bで示すように、放出調節ポリマーとしてポリ酢酸ビニル、ポリマー性基剤としてHPMC、および香味料を有する溶解の遅い上部の層も含まれる。
【0107】
【表4】
【0108】
実施例4
[0114] この実施例は、接着性ポリマーとしてCarbopol(登録商標)CP971、放出調節剤としてポリ酢酸ビニル、ポリマー性基剤としてHPMC、および臭気制御有効物質としてOrdenone(登録商標)の組み合わせを含有する二重層薄膜を説明する。その二重薄膜配合物には、表4Aで示すように、接着性ポリマーとしてCarbopol(登録商標)CP971、ポリマー性基剤としてHPMC、および臭気制御化合物としてOrdenone(登録商標)を有する接着性の底部の層が含まれる。
【0109】
【表5】
【0110】
[0115] その二重薄膜配合物には、下記の表4Bで示すように、放出調節ポリマーとしてポリ酢酸ビニル、ポリマー性基剤としてHPMC、および香味料を有する溶解の遅い上部の層も含まれる。
【0111】
【表6】
【0112】
実施例5
[0116] この実施例は、完全に唾液浸食性である2つの表面層の間に挟まれた香味料を含有する中央の層を有する三層薄膜を説明する。下記の表5は、本発明の三層薄膜の調製において利用されるスラリー組成物を示す。
【0113】
【表7】
【0114】
層1を5ミルで流延し、次いで95℃のオーブン中で15分間乾燥させた。層2を層1の上に15ミルで流延し、次いで同じ方法で乾燥させた。層3を5ミルで流延し、その最終的な組成物を95℃でさらに15分間乾燥させた。乾燥した薄膜の厚さは約2.75ミルであり、1.65ミルの中央の香味を含む層および0.55ミルの2つの表面層を有する。その薄膜を実験室においてIKA−WERKE(MF 10 basic)を用いることにより粉砕して小さい破片にする。12〜20メッシュの大きさの破片を、製品を作るために集めた。
【0115】
[0097] この特許文書において言及されたそれぞれの特許、特許出願、および印刷された刊行物を、本明細書にそのまま援用する。
[0098] 当業者は、本発明の精神から逸脱することなく本明細書で記述された態様に多数の変更および修正がなされてよいことを理解しているであろう。全てのそのような変形は特許請求される発明の範囲内に入ることを意図している。