【解決手段】酸化アルミニウム蛍光体と、透明硬化性樹脂とを含む透明な成形体である透明蛍光発光物体によって上記課題を解決する。このとき、酸化アルミニウム蛍光体が、非晶質の酸化アルミニウム蛍光体粉末を含有することが好ましく、また、その酸化アルミニウム蛍光体が、アルミニウム塩及び溶剤を混合した原料溶液を準備する工程と、その原料溶液を加熱処理して前記溶剤を除去し、非晶質の仮焼粉末を得る工程と、その仮焼粉末を大気雰囲気又は酸素雰囲気中で加熱処理し、非晶質の酸化アルミニウム蛍光体粉末を得る工程とを含む方法で製造されたものであることが好ましい。
前記酸化アルミニウム蛍光体が、アルミニウム塩及び溶剤を混合した原料溶液を準備する工程と、前記原料溶液を加熱処理して前記溶剤を除去し、非晶質の仮焼粉末を得る工程と、前記仮焼粉末を大気雰囲気又は酸素雰囲気中で加熱処理し、非晶質の酸化アルミニウム蛍光体粉末を得る工程と、を含む方法で製造されたものである、請求項1又は2に記載の透明蛍光発光物体。
酸化アルミニウム蛍光体と透明硬化性樹脂とを含む透明蛍光発光物体形成用組成物を準備する工程と、該透明蛍光発光物体形成用組成物を成形する工程とを有することを特徴とする透明蛍光発光物体の製造方法。
【背景技術】
【0002】
蛍光体は、一般に絶縁性の母体材料に希土類元素やガリウム等の希少元素を発光メカニズムの中心として添加してなる発光材料であり、照明デバイス、ディスプレイデバイス又は発光ダイオード(LED)等の広い分野で利用されている。
【0003】
蛍光体のなかでも酸化アルミニウム蛍光体(アルミナ蛍光体ともいう。)は、蛍光灯に使用されるBaMg
2Al
16O
27:Eu
2+や、蓄光蛍光体としてのSr
4Al
14O
25:Dy
3+、Eu
2+等として知られている。これらの酸化アルミニウム蛍光体は、酸化アルミニウム塩からなる蛍光体又は酸化アルミニウムを含む蛍光体であり、希土類元素等の添加によって安定で効率的な蛍光を示す。これまで絶縁性が高く、化学的に安定な酸化アルミニウム蛍光体がいくつか報告されている。
【0004】
非特許文献1〜3には、ゾルゲル法を使用した酸化アルミニウム蛍光体の調製方法が提案されている。具体的には、非特許文献1では、硝酸アルミニウム水溶液に重合剤とキレート剤を添加し、空気中で500℃〜900℃に加熱して酸化アルミニウム蛍光体を調製する方法が提案されている。非特許文献2では、塩化アルミニウム及び酢酸からなる透明ゲル膜を、空気中で300℃〜700℃に加熱して酸化アルミニウム蛍光体を調製する方法が提案されている。非特許文献3では、Sec−Al(OC
4H
3)
3を空気雰囲気下、700℃で加熱して酸化アルミニウム蛍光体を調製する方法が提案されている。
【0005】
非特許文献4には、気相法を使用した酸化アルミニウム蛍光体の調製方法が提案されている。具体的には、高周波の電磁波を用い、金属アルミニウムを加熱、溶融し、発生した金属蒸気を酸化して酸化アルミニウム蛍光体を調製する方法が提案されている。非特許文献5には、レーザー法を使用した酸化アルミニウム蛍光体の調製方法が提案されている。具体的には、金属アルミニウムをレーザー溶融してなる金属アルミニウムのコロイド溶液を、空気中での酸化によって酸化アルミニウム蛍光体を調製する方法が提案されている。非特許文献6には、ヨウ素を触媒にしてアルミニウム箔と無水イソプロピルアルコールとを反応させ、得られたアルミニウムイソプロポキサイドを減圧下で蒸留し、その後、空気中で800℃に加熱して酸化アルミニウム蛍光体を調製する方法が提案されている。
【0006】
従来提案されている上記の酸化アルミニウム蛍光体の調製方法では、高価な希土類元素等を用いたり、気相法やレーザー法を用いたりするので、調製プロセスが複雑であり、製造コストが高くなるという問題がある。また、従来の酸化アルミニウム蛍光体は、発光強度が低く、再現性が乏しいという問題がある。
【0007】
こうした問題に対し、本出願人は、特許文献1に記載のように、安価な原料を用いることができ、簡単な製造プロセスで製造でき、発光強度が高く再現性のよい酸化アルミニウム蛍光体の製造方法を提供している。この製造方法は、高価な希土類元素やガリウム等の希少元素を添加しない酸化アルミニウム蛍光体の製造方法であって、アルミニウム塩、水及び水溶性溶剤を混合した原料溶液を準備する工程と、その原料溶液を濃縮処理して該原料溶液中の水を除去し、高粘性溶液を得る工程と、その高粘性溶液を加熱処理して前記水溶性溶剤を除去し、非晶質の仮焼粉末を得る工程と、その仮焼粉末を大気雰囲気又は酸素雰囲気中で加熱処理し、非晶質の酸化アルミニウム蛍光体粉末を得る工程とを含む方法である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る透明蛍光発光物体及びその製造方法について詳細に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0024】
本発明に係る透明蛍光発光物体は、酸化アルミニウム蛍光体と、透明硬化性樹脂とを含む透明な成形体である。この透明蛍光発光物体は、蛍光発光する酸化アルミニウム蛍光体と、透明硬化性樹脂とを含む成形体であるので、その成形体を構成する透明硬化性樹脂成分によって自由な形状に成形することができ、その成形体を構成する酸化アルミニウム蛍光体によって蛍光発光させることができる。こうした透明蛍光発光物体は、無毒で安価な酸化アルミニウムで構成されたシンプルな蛍光体であり、材料と製造設備のコスト低減を図ることができる。
【0025】
透明蛍光発光物体は、酸化アルミニウム蛍光体と透明硬化性樹脂とを含む透明蛍光発光物体形成用組成物を準備する工程と、その透明蛍光発光物体形成用組成物を成形する工程とを有する方法によって製造することが好ましい。こうした方法での製造は、透明蛍光発光物体を自由な形状に成形することができるので、無毒で安価な酸化アルミニウムで構成されたシンプルな蛍光体を所望の形状にして利用することができる。
【0026】
以下、本発明の構成要素について順に説明する。
【0027】
[酸化アルミニウム蛍光体]
酸化アルミニウム蛍光体は、透明硬化性樹脂中に均一に分散して蛍光発光する蛍光体であり、透明蛍光発光物体を構成している。この酸化アルミニウム蛍光体は、各種の方法で製造されたものを適用できる。
【0028】
好ましい酸化アルミニウム蛍光体としては、アルミニウム塩及び溶剤を混合した原料溶液を準備する工程(原料溶液準備工程)と、その原料溶液を加熱処理して前記溶剤を除去し、非晶質の仮焼粉末を得る工程(仮焼工程)と、その仮焼粉末を大気雰囲気又は酸素雰囲気中で加熱処理し、非晶質の酸化アルミニウム蛍光体粉末を得る工程(焼成工程)と、を含む方法で製造されたものであることが好ましい。
【0029】
酸化アルミニウム蛍光体は、特許文献1に記載の従来技術のような製造方法で製造されたものであってもよい。その製造方法は、水を除去する濃縮工程を含むものであり、具体的には、アルミニウム塩、水及び溶剤を混合した原料溶液を準備する工程(原料溶液準備工程)と、その原料溶液を濃縮処理して該原料溶液中の水を除去し、高粘性溶液を得る工程(濃縮工程)と、その高粘性溶液を加熱処理して前記溶剤を除去し、非晶質の仮焼粉末を得る工程(仮焼工程)と、その仮焼粉末を大気雰囲気又は酸素雰囲気中で加熱処理し、非晶質の酸化アルミニウム蛍光体粉末を得る工程(焼成工程)と、を含む。
【0030】
以下、この製造方法の各工程を順に説明する。
【0031】
(原料溶液準備工程)
原料溶液準備工程は、アルミニウム塩及び溶剤を混合した原料溶液を準備する工程である。アルミニウム塩は、酸化アルミニウム蛍光体のアルミニウム源として供給されるものであり、例えば、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、塩酸アルミニウム等の種々のアルミニウム塩を挙げることができる。アルミニウム塩は、水溶性のものが好ましく、通常は水和物として入手できる。
【0032】
具体的には、例えば後述の実施例で示すように、硝酸アルミニウム等が好ましく用いられる。硝酸アルミニウムを用いる場合は、硝酸アルミニウムを0.1mol/L以上2.8mol/L以下の範囲内で溶剤を混合した硝酸アルミニウム溶液が用いられる。なお、硝酸アルミニウムとしては、硝酸アルミニウム九水和物、硝酸アルミニウム六水和物、硝酸アルミニウム八水和物又は硝酸アルミニウム無水塩等を用いることができる。
【0033】
溶剤は、アルミニウム塩と配位結合する物質であることが好ましい。そうした溶剤としては、例えば、多価アルコール、単糖、二糖等を挙げることができ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、トリメチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、及びソルビトールからなる群から選ばれる少なくとも一種又は二種以上を用いることができる。これら材料のうち、ジエチレングリコールは、仮焼工程での酸化アルミニウムの結晶化を有効に阻害することができ、仮焼粉末を非晶質粉末とすることができる点で好ましい。
【0034】
なお、上記した溶剤にさらに水を加えることができる。こうした場合は、予め水だけを除去する濃縮工程を行うことが好ましい。濃縮工程で水だけを除去するためには、適用する溶剤の沸点又は分解温度が、水の沸点よりも高いことが必要である。例えば、1気圧下で、水の沸点は100℃であり、エチレングリコールは197.6℃であり、ジエチレングリコールは244.3℃であり、プロピレングリコールは188.2℃であり、1,2−ブチレングリコールは192℃〜194℃であり、2,3−ブチレングリコールは177℃であり、トリメチレングリコールは210℃〜211℃であり、グリセリンは290℃であり、エリスリトールは330℃であり、キシリトールは216℃であり、ソルビトールは296℃である。
【0035】
一方、上記のような水以外の溶剤を用いる場合には、そうした濃縮工程は不要となり、製造工程を簡素化して製造コストを低減することができるので有利である。
【0036】
原料溶液は、アルミニウム塩と溶剤を混合して調製してもよいし、水をさらに加える場合には、アルミニウム塩と水と溶剤とを混合して調製してもよい。
【0037】
原料溶液中のアルミニウム濃度と溶剤との混合比は、アルミニウム塩の溶剤への溶解度、及び、後述する仮焼工程での処理雰囲気、加熱処理温度及び処理時間、得られた蛍光体の蛍光特性等を考慮して適宜決定される。例えばジエチレングリコール等の溶剤を用いた場合、溶剤のモル数は、原料溶液中のアルミニウムイオン(Al
3+)のモル数の2倍以上8倍以下の範囲内のモル数であることが好ましい。この範囲のモル数となるようにアルミニウム塩と溶剤とを混合することにより、溶剤を高粘性溶液の構成溶剤として及び非晶質の仮焼粉末を得るための構成溶剤として作用させることができる。アルミニウムイオンのモル数に対する溶剤のモル数が2倍未満では、ジエチレングリコール等の溶剤の量が少なく、前記した作用を奏することができないことがある。一方、アルミニウムイオンのモル数に対する溶剤のモル数が8倍を超えると、ジエチレングリコール等の溶剤の量が多くなりすぎ、前記した作用を奏することができないことがある。特に好ましくは、3倍以上、5倍以下の範囲であり、この範囲にすることにより安定した蛍光特性が得られるという利点がある。
【0038】
得られた原料溶液はゲル状溶液であり、その粘度としては、1.5Pa・s以上6.5Pa・s以下の範囲内であることが好ましい。この範囲の粘度とするには、上記の溶剤のモル数(例えばジエチレングリコールのモル数)をアルミニウム塩(例えば硝酸アルミニウム)のアルミニウムイオン(Al
3+)の2倍以上8倍以下の範囲内のモル数が好ましい。
【0039】
なお、水をさらに加えて原料溶液を調製した場合は、その水を除去する濃縮工程が行われる。その濃縮工程は、原料溶液中の水を除去し、上記した1.5Pa・s以上6.5Pa・s以下程度の粘度の高粘性溶液を得る工程である。濃縮処理としては、加熱濃縮又は加熱減圧濃縮のいずれを用いてもよい。加熱濃縮は、30℃以上100℃以下の範囲内の処理温度と、水を除去できるまでの処理時間とで処理する。一方、加熱減圧濃縮は、処理温度を下げることができ且つ処理時間も短くすることができるので好ましい。ここでは、50℃以上95℃以下の範囲内の処理温度と、10kPa以上0.1kPa以下の範囲内の減圧条件と、水を除去できるまでの処理時間とで処理する。これらの条件で処理することにより、原料溶液中の水を除去できる。「水を除去する」とは、原料溶液中の水を除去することをいうが、完全に除去できなくても、その後の工程や得られる酸化アルミニウム蛍光体の発光特性を阻害しない程度であれば、原料溶液中に僅かに水分が残留していてもよい。水分の残留割合としては、得られた高粘性溶液に対して約20質量%以下であればよい。濃縮工程の処理雰囲気は特に限定されないが、大気雰囲気、窒素雰囲気又はアルゴン等の不活性雰囲気のいずれであってもよい。通常は、大気雰囲気が好ましい。
【0040】
以上の工程により、1.5Pa・s以上6.5Pa・s以下の範囲内の高粘性の原料溶液を準備することができる。
【0041】
(仮焼工程)
仮焼工程(第1加熱工程ともいう。)は、高粘性の原料溶液を加熱処理してその原料溶液中の溶剤を除去し、非晶質の仮焼粉末を得る工程である。
【0042】
加熱処理は、高粘性溶液中の溶剤を除去するとともに、その溶剤に由来する成分が仮焼工程での酸化アルミニウムの結晶化を阻害して、仮焼粉末を非晶質とするための処理である。その条件は、溶剤の種類によって異なるが、例えば溶剤として沸点が約244℃のジエチレングリコールを用いた場合、300℃以上400℃以下の範囲内の加熱処理温度でジエチレングリコールを高粘性溶液中から除去できる。また、それ以外の溶剤の場合も、用いた溶剤の沸点よりも50℃以上150℃以下の範囲内程度高い加熱処理温度で処理することにより、高粘性溶液中から溶剤を除去できる。
【0043】
加熱雰囲気は特に限定されないが、大気雰囲気、窒素雰囲気、又はアルゴン等の不活性雰囲気のいずれであってもよい。大気雰囲気は、低コスト化の観点から好ましい。加熱処理時間としては、加熱処理温度によっても異なるが、処理効率を考慮すれば、0.5時間以上4時間以下の範囲内程度であることが好ましい。また、減圧処理は加熱処理温度を下げ且つ溶剤の揮発速度を高めることができるので、必要に応じて採用できる。減圧処理する場合の条件は、10kPa以上0.1kPa以下の範囲内とすることができる。
【0044】
「溶剤を除去する」とは、高粘性溶液中の溶剤を除去することをいう。しかし、得られる仮焼粉末は表面積が大きく、OH基や炭素原子等が粉末表面に残留しやすい。得られた仮焼粉末を元素分析装置(株式会社パーキンエルマージャパン製、2400II型全自動元素分析装置)で測定した結果、炭素原子と水素原子等が確認された。溶剤に由来する元素(C,O,H)の残留は、酸化アルミニウムの結晶化を阻害して、非晶質の仮焼粉末(酸化アルミニウム粉末)を得るのに作用していると考えられる。
【0045】
(焼成工程)
焼成工程(第2加熱工程ともいう。)は、上記した仮焼工程で得た仮焼粉末を大気雰囲気又は酸素雰囲気中で加熱処理し、非晶質の酸化アルミニウム蛍光体粉末を得る工程である。本発明は、仮焼粉末の焼成を大気雰囲気又は酸素雰囲気中で、且つ非晶質の酸化アルミニウム蛍光体粉末を得ることができる条件で焼成することに特徴がある。そうした条件としては、処理温度が650℃以上750℃以下の範囲内であることが好ましい。その温度範囲内で、発光強度が高い酸化アルミニウム蛍光体粉末を得ることができる。
【0046】
大気雰囲気としては、1atom(約1×10
5Pa)の圧力(大気圧)下で、酸素を約21容量%程度含む空気の雰囲気であればよい。また、酸素雰囲気としては、酸素ガスのみであってもよいが、例えば不活性ガスを含む酸素雰囲気であればよい。なお、酸素雰囲気では、圧力は特に限定されないが、大気圧とあまり変わらない圧力であることが、設備コストの観点から好ましい。
【0047】
処理温度を650℃以上750℃以下の範囲内とすることにより、非晶質の酸化アルミニウム蛍光体粉末を得ることができる。この温度範囲は、従来の非特許文献での焼成温度と比較しても、比較的低温であり、大型の加熱処理設備を必要とせず、製造コストを低減することができる。800℃以上の処理温度で焼成を行った場合は、非晶質の仮焼粉末が結晶化して、発光しないγ体の酸化アルミニウム蛍光体粉末になる。一方、650℃未満の処理温度で焼成した場合は、十分に高い発光強度を得ることができないことがある。
【0048】
大気雰囲気下で安定した発光強度を得るための好ましい温度範囲は、700℃以上750℃以下の範囲内であり、一方、酸素(約100%)雰囲気下で安定した発光強度を得るための好ましい温度範囲は、650℃以上690℃以下の範囲内である。なお、窒素雰囲気で焼成することもできるが、窒素雰囲気で800℃〜900℃で焼成した後に大気雰囲気下で焼成しなければならず、有効な手段であるとは言えない。
【0049】
焼成時間は、焼成温度によっても異なるが、通常は1時間以上10時間以下の範囲内程度であり、2時間以上6時間以下の範囲内程度であることが好ましい。
【0050】
酸化アルミニウム蛍光体は、こうした方法で製造されたものであることが好ましく、(1)準備した原料溶液から、少なくとも仮焼工程及び焼成工程を順次経て酸化アルミニウム蛍光体を製造するので、簡単な製造プロセスで大型設備も不要となることから、生産性に優れたものとなり、製造コストを低減できる。(2)また、高価な希土類元素やガリウム等の希少元素を必要としないので、安価な蛍光体を製造できるとともに、蛍光と燐光を示す蛍光体を製造できる。(3)また、溶剤に由来する成分が仮焼工程での酸化アルミニウムの結晶化を阻害して、仮焼粉末を非晶質とすると考えられる。(4)さらに焼成工程により、非晶質の仮焼粉末を非晶質のままで酸化アルミニウム蛍光体粉末としたので、発光強度の高い酸化アルミニウム蛍光体を製造できる。(5)また、仮焼工程によって原料溶液中の溶剤を除去することができるので、従来のような面倒な溶剤の取扱いを省くことができる。
【0051】
(製造された酸化アルミニウム蛍光体)
得られた酸化アルミニウム蛍光体は、非晶質の白色又は略白色の粉末である。非晶質であるか否かは、X線回折装置(例えば、リガク電機株式会社製、型番:RINT−2200)で測定した結果が結晶性のピークを示さず、ブロードパターンを示すことによって同定できる。なお、本願において「非晶質」とは、非晶質(アモルファス)状態又は微結晶状態の両方を含む。
【0052】
酸化アルミニウム蛍光体の粒径は特に限定されないが、三宝ステンレス工業株式会社製の90μm目開きステンレス篩を通過したものが好ましい。こうして篩い分けされた酸化アルミニウム蛍光体は、樹脂との混合時に低粘度を維持し、また、成形物の透明性にも優れるという利点がある。その利点に対しては、特に、三宝ステンレス工業株式会社製の45μm目開きステンレス篩を通過したものがより好ましい。
【0053】
発光する酸化アルミニウム蛍光体は、所定の大きさのスピン密度を持っており、スピン密度の値が大きいほど良好な発光特性を示す。スピン密度は酸化アルミニウム蛍光体の合成条件によって異なるが、その一例としては、1×10
12/cm
3以上1×10
15/cm
3以下の範囲内を挙げることができる。なお、スピン密度は、電子スピン共鳴(ESR)装置(日本電子株式会社製、型名:JES−TE100)で測定した結果を用いた。スピン数の分かった標準物質(TEMPOL、2.5×10
−8mol/L、濃度スピン数:3.78×10
12spin)を用いて測定し、酸化アルミニウム蛍光体のESRスペクトルの面積と、標準物質のESRスペクトルの面積との比からスピン密度を計算した。高いスピン密度ほど、高い発光強度を示した。
【0054】
こうして得られた酸化アルミニウム蛍光体は、発光強度が高く、再現性がよく、蛍光と燐光を示す。そのため、蛍光灯やプラズマディスプレイ等のディスプレイ用の蛍光材料として利用可能である。また、発光ダイオード(LED)の波長変換層等の用途にも適用可能である。
【0055】
本発明に係る透明蛍光発光物体を構成する酸化アルミニウム蛍光体は、上記方法で製造されたもの以外であってもよい。いずれの製造方法で製造された酸化アルミニウム蛍光体であっても、90μm好ましくは45μmの目開きステンレス篩を通過したものが好ましい。こうした特性を備えた酸化アルミニウム蛍光体と後述の透明硬化性樹脂とで成形体を構成することにより、透明性に優れた発光体にすることができる。
【0056】
[透明硬化性樹脂]
透明硬化性樹脂は、その樹脂中に酸化アルミニウム蛍光体を均一に分散させて透明蛍光発光物体を構成している。すなわち、透明硬化性樹脂は、酸化アルミニウム蛍光体を内部に封止する封止材として作用する。この透明硬化性樹脂は、透明な各種の硬化性樹脂を適用できる。例えば、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。
【0057】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができ、中でもエポキシ樹脂、シリコーン樹脂を好ましく用いることができる。また、紫外線硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル樹脂)を好ましく用いることができる。
【0058】
酸化アルミニウム蛍光体M
Aと透明硬化性樹脂M
Bとの配合割合(M
A:M
B)は、3:17〜3:2の範囲内であることが好ましい。この配合割合(M
A:M
B)の範囲内で、良好な蛍光特性と、透明性とを実現できる。良好な蛍光特性とは、測定感度midiumにて蛍光強度が70以上、ピーク位置が420nm付近に位置することであり、良好な透明性とは、透過率が10%以上を示すことである。配合割合(M
A:M
B)が3:17未満では、混合物の粘度が低下し蛍光体の沈降が生じることがあり、配合割合(M
A:M
B)が3:2を超えると、蛍光体が樹脂に混合しきらず、粉末として残留してしまうことがある。
【0059】
硬化性樹脂を硬化させるための硬化剤としては、硬化性樹脂の種類に応じたものを配合することが好ましい。例えば、熱硬化性樹脂を用いる場合の硬化剤は、適用する熱硬化性樹脂の種類によっても異なるが、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤等を好ましく挙げることができる。また、紫外線硬化性樹脂を用いる場合の硬化剤は、適用する紫外線硬化性樹脂の種類によっても異なるが、アセトフェノン型硬化剤、O−アシルオキシム型硬化剤等を好ましく挙げることができる。
【0060】
硬化剤の配合量も、硬化性樹脂と硬化剤の種類等に応じて任意に選択され、特に限定されない。一例としては、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、酸無水物等の硬化剤を100質量部程度で配合する例を挙げることができる。また、紫外線硬化性樹脂としてアクリル樹脂を用いた場合は、アクリル樹脂100質量部に対して、過酸化ベンゾイル等の硬化剤を5質量部程度で配合する例を挙げることができる。
【0061】
硬化条件は、用いた硬化性樹脂の種類によって異なり、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂を用いた場合は、一例として、120℃以上150℃以下の範囲内の温度になるように加熱することが好ましい。また、紫外線硬化性樹脂を用いた場合には、波長254nm〜365nmの範囲内の紫外線を、数秒〜数十秒程度照射することが好ましい。
【0062】
(その他)
透明蛍光発光物体には、上記した酸化アルミニウム蛍光体と透明硬化性樹脂(硬化剤を含む。)のほか、透明蛍光発光物体の機能を損なわない範囲内で他の添加材を配合させてもよい。そうした添加材としては、フィラー、酸化防止剤、着色剤粒子等を挙げることができる。フィラーは、機械的強度、光屈折率を向上させるために配合させることができ、例えば、酸化ケイ素フィラー、酸化ジルコニウムフィラー、酸化チタンフィラー等を例示することができる。
【0063】
また、酸化防止剤も配合させることができる。そうした酸化防止剤は、樹脂の劣化を防止するために配合させることができ、例えば、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等を例示することができる。
【0064】
[透明蛍光発光物体]
こうして構成された本発明に係る透明蛍光発光物体は、任意の形状に成形することができる。成形方法としては、通常、射出成形(インジェクション成形)が用いられるが、他の部材とともに成形するインサート成形を適用してもよい。
【0065】
成形された透明蛍光発光物体は、透明である。「透明」とは、透明又は半透明も含まれる意味であり、その透明度としては、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V−570)によるUV−VIS透過率スペクトル測定で、5%以上の範囲内の透明度を例示できる。
【0066】
透明蛍光発光物体は発する蛍光は、後述の実施例では、青白色の蛍光を示している。蛍光の程度は、感度midiumで測定した際の蛍光強度によって評価できる。その評価の程度を数値で表すと、70以上140以下の範囲内として特定することができる。こうした範囲内の数値を示す透明蛍光発光物体は、良好な発光特性を示すものであると評価することができる。酸化アルミニウム蛍光体は、粒子として90μm特に45μmの目開きステンレス篩を通過したものが好ましい。
【0067】
(発光原理)
透明蛍光発光物体の発光原理は、後述する実施例を考慮して検討した結果、現時点では以下のように考察できる。物質の発光は、物質内部の電子遷移と深く関係し、また、一般に不対電子の遷移が可能であることから、ESRを用いて酸化アルミニウム中の不対電子(電子スピン)を測定した。その結果、炭素の電子スピンと一致するシグナルが観測された。一方、炭素源となるDEGを使用せずに得た非晶質状の酸化アルミニウムは発光を示さなかった。
【0068】
しかし、その非発光の非晶質状の酸化アルミニウムに炭素源(DEG)を加えて,再度加熱すると、酸化アルミニウムに蛍光特性を付与することができた。これらのことから、酸化アルミニウム蛍光体の発光には、炭素不純物が必要であることが分かった。また、非晶質状(アモルファス状)ではなく、結晶化した酸化アルミニウムに炭素源(DEG)を加えて加熱した場合、蛍光特性が現れなかったため、非晶質状の酸化アルミニウムの状態も発光に深く関係していると考えられる。
【0069】
さらに、東京大学の籾田氏らが第一原理計算で見積もったアモルファスアルミナの酸素欠陥(V
O0,V
O+1,V
O+2)のエネルギー準位と、本発明で用いる酸化アルミニウム蛍光体の3つの励起波長に対応するエネルギーを比較すると、それらがほぼ一致していることから、励起機構には酸素欠陥が関わっていると考えられる。また、先に述べたように、発光には炭素が必要であることから、酸素欠陥のエネルギー準位と対応しない蛍光波長は、炭素不純物によるエネルギー準位に関係すると思われる。以上のことを総合して、本発明で用いる酸化アルミニウム蛍光体の発光メカニズムを、
図7に示すように提案することができる。
図7に示すように、紫外光によって価電子帯から酸素欠陥によるエネルギー準位に励起された電子は、一旦、炭素不純物のエネルギー準位にトラップされ、そこから基底状態に戻ったと推測できる。そのため、異なる励起波長でもほぼ同様の蛍光波長を示したと考えられる。
【0070】
本発明に係る透明蛍光発光物体は、こうした考察原理で発光する酸化アルミニウム蛍光体を透明硬化性樹脂中に分散封止したものである。
【実施例】
【0071】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0072】
[実施例1]
(試料の作製)
原料として硝酸アルミニウム九水和物[Al(NO
3)
3・9H
2O]を秤量し、その硝酸アルミニウム九水和物に含まれるアルミニウムのモル数の4倍モルのエチレングリコールを加えてゲル状の高粘性溶液を準備した(原料溶液準備工程)。
【0073】
準備した原料溶液を大気下で120℃で2時間の熱処理を行った後、排気口がついた箱型電気炉中で、大気雰囲気(1気圧、空気中)下、350℃で3時間仮焼した。こうして茶色の仮焼粉末を得た(仮焼工程)。得られた仮焼粉末を、大気雰囲気(1気圧、空気中)下、710℃で3時間焼成して、三宝ステンレス工業株式会社製の45μm目開きステンレス篩を通過させた白色の酸化アルミニウム蛍光体粉末を得た(焼成工程)。
【0074】
こうして準備した58.6質量部の酸化アルミニウム蛍光体粉末に、硬化性樹脂であるエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名:jer807)を20.7質量部加え、その後に混合し、硬化性樹脂中に酸化アルミニウム蛍光体粉末を均一に分散させた。その後、硬化剤(新日本理化株式会社製、商品名:MH700)を20.7質量部加えて混ぜた後に脱気処理し、その後に成形型に入れて、厚さ3.5mm、直径28mmとなるように硬化させた。こうして実施例1の透明蛍光発光物体を得た。
【0075】
(試料の評価)
図1(A)は、実施例1で得られた透明蛍光発光物体の自然光の下での平面視写真であり、
図1(B)は、その透明蛍光発光物体に254nmのブラックライトを照射したときの平面視写真である。得られた透明蛍光発光物体は、自然光の下で透明であった。また、254nmのブラックライトを照射により蛍光発光したのが確認できた。
【0076】
図2は、その透明蛍光発光物体の励起・蛍光スペクトル結果である。
図2において、酸化アルミニウム蛍光体粉末を含まない樹脂のみの成形体についても示した。励起・蛍光スペクトル測定は、分光蛍光光度計(日本分光株式会社製、FP−6300型)を用い、フィルターとしてシャープカットフィルターL−37(HOYA株式会社製、370nm以下の波長を遮断し、370nmでは50%遮断する。)を用いた。実施例1の透明蛍光発光物体をフォルダーに詰め、分光蛍光光度計にセットして測定した。なお、分光蛍光光度計にフィルターを装着することで倍波の検出を無くした。
【0077】
図2の左側の励起スペクトルは、蛍光側の蛍光波長(λem)を400nm(A)、410nm(B)、445nm(C)にそれぞれ固定して、励起側の励起光波長をスキャンさせ、励起光波長に対して蛍光強度をプロットした結果で表した。
図2の右側の蛍光スペクトルは、励起側の励起光波長(λex)を250nm(a)、316nm(b)、360nm(c)にそれぞれ固定し、蛍光側の蛍光波長をスキャンさせて得られた結果で表した。
図2の左側の励起スペクトル結果より、いずれの蛍光波長(λem)においても、300nmから励起スペクトル強度が急上昇していることを確認した。また、
図2の右側の蛍光スペクトル結果より、特に励起光波長が316nmと360nmの場合に、400nm〜450nmの範囲で蛍光スペクトル強度が高いピークを示し、蛍光発光していることを確認した。
【0078】
透明度は、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V−570)によって透過率を測定した。波長500nmでは透過率が10%であり、波長800nmでは透過率が20%であった。
【0079】
結晶構造の測定は、粉末X線回折装置(リガク株式会社製、RINT2200型)を用い、CuKα線、印加電圧40kV、印加電流40mAの条件で行った。透明蛍光発光物体をX線回折測定した結果、結晶性ピークを示さないブロードパターンが見られたことから、透明蛍光発光物体を構成する酸化アルミニウム蛍光体粉末が非晶質又は微結晶であることが確認された。また、透明蛍光発光物体を成形する前の酸化アルミニウム蛍光体粉末をX線回折測定した結果でも、結晶性ピークを示さないブロードパターンが見られたことから、酸化アルミニウム蛍光体粉末が非晶質又は微結晶であることが確認された。
【0080】
これらの結果から、透明蛍光発光物体は強い蛍光発光を示し、且つ透明であることを確認できた。
【0081】
[実施例2]
実施例1と同じ酸化アルミニウム蛍光体粉末24.3質量部と、実施例1で用いたエポキシ樹脂と硬化剤に代えたエポキシ樹脂(商品名:クリスタルレジン、日新レジン株式会社製)75.7質量部とを混合した後に脱気処理し、その後に成形型に入れて、厚さ4.7mm、直径11mmとなるように硬化させた。それ以外は、実施例1と同様にして実施例2の透明蛍光発光物体を得た。
【0082】
図3(A)は、実施例2で得られた透明蛍光発光物体の自然光の下での平面視写真であり、
図3(B)は、その透明蛍光発光物体に254nmのブラックライトを照射したときの平面視写真であり、
図3(C)は、その透明蛍光発光物体に365nmの紫外線を照射したときの平面視写真である。得られた透明蛍光発光物体は、自然光の下で透明であった。また、254nmのブラックライト及び365nmの紫外線の照射により蛍光発光したのが確認できた。
【0083】
図4は、得られた透明蛍光発光物体の励起・蛍光スペクトル結果である。励起・蛍光スペクトル測定は、実施例1と同様にして行った。
図4の左側の励起スペクトル(A)は、蛍光側の蛍光波長(λem)を422nmに固定して、励起側の励起光波長をスキャンさせ、励起光波長に対して蛍光強度をプロットした結果で表した。
図4の右側の蛍光スペクトル(B)は、励起側の励起光波長(λex)を373.3nmに固定し、蛍光側の蛍光波長をスキャンさせて得られた結果で表した。
図4の左側の励起スペクトル結果(A)より、300nmから励起スペクトル強度が急上昇していることを確認した。また、
図4の右側の蛍光スペクトル結果(B)より、420nm程度で蛍光スペクトル強度が高いピークを示し、蛍光発光していることを確認した。
【0084】
透明度は、波長500nm〜800nmの範囲内で35%以上の透過率が得られた。また、結晶構造は、結晶性ピークを示さないブロードパターンが見られた。
【0085】
[実施例3]
実施例1と同じ方法であるが、三宝ステンレス工業株式会社製の90μm目開きステンレス篩を通過させた酸化アルミニウム蛍光体粉末26.3質量部と、実施例1で用いたエポキシ樹脂(商品名:jer807、三菱化学株式会社製)に代えたエポキシ樹脂(商品名:jer806、三菱化学株式会社製)36.9質量部と、硬化剤(商品名:リカシッドMH700、新日本理化株式会社製)36.9質量部と、一滴の硬化促進剤(商品名:U−CAT SA 102、サンアプロ株式会社製)を加えて混合した後に脱気処理し、100℃2時間、さらに150℃15時間の加熱により、厚さ4.3mm、直径20mmとなるように硬化させた。それ以外は、実施例1と同様にして実施例3の透明蛍光発光物体を得た。
【0086】
図5(A)は、実施例3で得られた透明蛍光発光物体の自然光の下での平面視写真であり、
図5(B)は、その透明蛍光発光物体に254nmのブラックライトを照射したときの平面視写真であり、
図5(C)は、その透明蛍光発光物体に365nmの紫外線を照射したときの平面視写真である。得られた透明蛍光発光物体は、自然光の下で透明であった。また、254nmのブラックライト及び365nmの紫外線の照射により蛍光発光したのが確認できた。
【0087】
図6は、得られた透明蛍光発光物体の励起・蛍光スペクトル結果である。励起・蛍光スペクトル測定は、実施例1と同様にして行った。
図6の左側の励起スペクトル(A)は、蛍光側の蛍光波長(λem)を415.3nmに固定して、励起側の励起光波長をスキャンさせ、励起光波長に対して蛍光強度をプロットした結果で表した。
図6の右側の蛍光スペクトル(B)は、励起側の励起光波長(λex)を373.4nmに固定し、蛍光側の蛍光波長をスキャンさせて得られた結果で表した。
図6の左側の励起スペクトル結果(A)より、300nmから励起スペクトル強度が急上昇していることを確認した。また、
図6の右側の蛍光スペクトル結果(B)より、415nm程度で蛍光スペクトル強度が高いピークを示し、蛍光発光していることを確認した。
【0088】
透明度は、波長500nmで10%あり、800nmで35%であり、直線的に増加しているのが確認された。また、結晶構造は、結晶性ピークを示さないブロードパターンが見られた。