特開2015-132029(P2015-132029A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-132029糸処理予測装置、糸処理装置、及び、糸処理予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-132029(P2015-132029A)
(43)【公開日】2015年7月23日
(54)【発明の名称】糸処理予測装置、糸処理装置、及び、糸処理予測方法
(51)【国際特許分類】
   D01H 13/22 20060101AFI20150630BHJP
   D01H 15/00 20060101ALI20150630BHJP
   D01H 4/02 20060101ALI20150630BHJP
   D01H 13/00 20060101ALI20150630BHJP
【FI】
   D01H13/22
   D01H15/00 B
   D01H4/02
   D01H13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-5195(P2014-5195)
(22)【出願日】2014年1月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】西山 能弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 修司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA19
4L056CB04
4L056CB07
4L056DB06
4L056EA04
4L056EA12
4L056EA22
4L056EA36
4L056EC05
4L056EC85
(57)【要約】
【課題】 設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行う。
【解決手段】 糸処理の予測を行う糸処理予測装置は、紡績糸10の糸状態を示す分布データを取得する取得部501と、糸欠陥の切断除去を行うためのクリアリング設定を入力するためのクリアリング設定入力キーBと、分布データとクリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果Dを生成する予測部505と、予測部505によって生成された予測結果Dを出力する表示部100と、を備えている。表示部100には、最も新しいクリアリング設定に基づいて生成された予測結果Dと、以前に入力されたクリアリング設定に基づいて生成された予測結果DXとを同時に表示される。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸処理の予測を行う糸処理予測装置であって、
糸状態を示す分布データを取得する取得部と、
糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件であるクリアリング設定を入力するための入力部と、
前記分布データと前記クリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記予測結果を出力する出力部と、を備え、
前記出力部は、前記入力部に入力された最も新しい第一の前記クリアリング設定に基づいて生成された第一の前記予測結果と、前記第一の予測結果が生成されるよりも以前に入力された第二の前記クリアリング設定に基づいて生成された第二の前記予測結果とを同時に出力する、糸処理予測装置。
【請求項2】
糸処理の予測を行う糸処理予測装置であって、
糸状態を示す分布データを取得する取得部と、
糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件であるクリアリング設定を入力するための入力部と、
前記分布データと前記クリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記予測結果を出力する出力部と、を備え、
前記出力部は、前記入力部に入力された最も新しい第一の前記クリアリング設定に基づいて生成された第一の前記予測結果と、前記第一の予測結果が生成されるよりも以前に入力された第二の前記クリアリング設定に基づいて生成された第二の前記予測結果とを並べて出力する、糸処理予測装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記第一の予測結果及び前記第二の予測結果とともに、前記第二の予測結果から前記第一の予測結果に変更される旨を示す方向性指示表示を出力する、請求項1又は2に記載の糸処理予測装置。
【請求項4】
前記出力部は、入力操作を受付可能な表示画面を有する表示部と、前記表示部に表示される表示画像を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記第一の予測結果及び前記第二の予測結果とともに前記第一のクリアリング設定を取り消すための取消キーを前記表示部に表示させ、前記取消キーへの入力操作が行われた場合、前記第二のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを前記表示部に表示させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の糸処理予測装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第一の予測結果及び前記第二の予測結果とともに前記第一のクリアリング設定への設定変更を受け入れるための受入キーを前記表示部に表示させ、前記受入キーへの入力操作が行われた場合、前記第一のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを前記表示部に表示させる、請求項4に記載の糸処理予測装置。
【請求項6】
前記出力部は、入力操作を受付可能な表示画面を有する表示部と、前記表示部に表示される表示画像を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記第一の予測結果及び前記第二の予測結果とともに前記第一のクリアリング設定への設定変更を受け入れるための受入キーを前記表示部に表示させ、前記受入キーへの入力操作が行われた場合、前記第一のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを前記表示部に表示させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の糸処理予測装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記受入キー又は前記取消キーへの入力操作が行われる前において、前記第一のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを前記表示部に表示させる、請求項5に記載の糸処理予測装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記受入キー又は前記取消キーへの入力操作が行われる前において、前記第二のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを前記表示部に表示させる、請求項5に記載の糸処理予測装置。
【請求項9】
前記出力部は、一つの前記第一の予測結果と一つの前記第二の予測結果とを出力する、請求項1から8のいずれか一項に記載の糸処理予測装置。
【請求項10】
前記出力部は、一つの前記第一の予測結果と二以上の前記第二の予測結果とを出力する、請求項1から8のいずれか一項に記載の糸処理予測装置。
【請求項11】
前記予測結果は、切断除去すべき糸欠陥の除去数を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の糸処理予測装置。
【請求項12】
前記除去数は、前記糸欠陥の種類毎の除去数を含む、請求項11に記載の糸処理予測装置。
【請求項13】
前記除去数は、単位時間当たりの除去数を含む、請求項11又は12に記載の糸処理予測装置。
【請求項14】
前記除去数は、単位長さ当たりの除去数を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の糸処理予測装置。
【請求項15】
前記除去数は、前記取得部によって前記分布データが取得された前記糸の全範囲における糸欠陥の合計の除去数を含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の糸処理予測装置。
【請求項16】
前記予測結果は、糸処理の稼働率の予測結果を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の糸処理予測装置。
【請求項17】
前記取得部は、糸処理を行う複数の糸処理ユニットで処理される糸における前記分布データを取得可能であり、
前記生成部によって前記予測結果を生成する一又は複数の前記糸処理ユニットを指定するための指定部を更に備え、
前記生成部は、前記指定部によって指定された前記糸処理ユニットで処理される糸についての前記分布データに基づいて前記予測結果を生成する、請求項1から16のいずれか一項に記載の糸処理予測装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載された糸処理予測装置と、
糸処理を行う複数の糸処理ユニットと、を備え、
前記取得部は、前記糸処理ユニットで処理される糸における前記分布データを取得する、糸処理装置。
【請求項19】
糸処理の予測を行う糸処理予測装置で行われる糸処理予測方法であって、
糸状態を示す分布データを取得する取得工程と、
糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件であるクリアリング設定の入力を受け付ける入力工程と、
前記分布データと前記クリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する生成工程と、
前記生成工程において生成された前記予測結果を出力する出力工程と、を含み、
前記出力工程では、前記入力工程において受け付けられた最も新しい第一の前記クリアリング設定に基づいて生成された第一の前記予測結果と、前記第一の予測結果が生成されるよりも以前に受け付けられた第二の前記クリアリング設定に基づいて生成された第二の前記予測結果とを同時に出力する、糸処理予測方法。
【請求項20】
糸処理の予測を行う糸処理予測装置で行われる糸処理予測方法であって、
糸状態を示す分布データを取得する取得工程と、
糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件であるクリアリング設定の入力を受け付ける入力工程と、
前記分布データと前記クリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する生成工程と、
前記生成工程において生成された前記予測結果を出力する出力工程と、を含み、
前記出力工程では、前記入力工程において受け付けられた最も新しい第一の前記クリアリング設定に基づいて生成された第一の前記予測結果と、前記第一の予測結果が生成されるよりも以前に受け付けられた第二の前記クリアリング設定に基づいて生成された第二の前記予測結果とを並べて出力する、糸処理予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸処理の予測を行う糸処理予測装置、糸処理装置、及び、糸処理予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空気によって糸を紡績する空気紡績機の管理装置は、糸欠陥を切断除去する場合のシミュレーション結果を出力するクリアリングシミュレーション機能を有している。このクリアリングシミュレーション機能は、収集した糸状態を示す分布データとオペレータによって設定されたクリアリング設定(糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件)とに基づいて、切断除去を行う糸欠陥の除去数を予測し、予測結果を表示する機能である。
【0003】
オペレータはクリアリング設定を変更することによって、切断除去を行う糸欠陥の除去数の変更後の予測値を確認することができる。この機能により、オペレータは、例えば、新たなロット設定による糸の紡績開始時において、適切なクリアリング設定を見出すことができる。このようなクリアリングシミュレーション機能を有する空気紡績装置が、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−211363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたクリアリングシミュレーション機能においては、クリアリング設定を変更した場合、設定変更後の除去すべき糸欠陥の除去数の予測結果しか表示されず、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断が困難であった。
【0006】
そこで、本発明の種々の側面は、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができ、適正なクリアリング設定に到達できるまでの時間を短縮することが可能な糸処理予測装置、糸処理装置、及び、糸処理予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の側面は、糸処理の予測を行う糸処理予測装置であって、糸状態を示す分布データを取得する取得部と、糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件であるクリアリング設定を入力するための入力部と、分布データとクリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する生成部と、生成部によって生成された予測結果を出力する出力部と、を備え、出力部は、入力部に入力された最も新しい第一のクリアリング設定に基づいて生成された第一の予測結果と、第一の予測結果が生成されるよりも以前に入力された第二のクリアリング設定に基づいて生成された第二の予測結果とを同時に出力する。
【0008】
この糸処理予測装置において、生成部は、分布データとクリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する。出力部は、第一の予測結果と第二の予測結果とを同時に出力する。これにより、オペレータは、入力部に入力された最も新しい第一のクリアリング設定に基づいて生成された第一の予測結果と、以前に入力された第二のクリアリング設定に基づいて生成された第二の予測結果とを同時に確認することができる。従って、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。また、設定前後の予測結果を同時に確認することができるので、適正なクリアリング設定に到達できるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0009】
本発明の第二の側面は、糸処理の予測を行う糸処理予測装置であって、糸状態を示す分布データを取得する取得部と、糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件であるクリアリング設定を入力するための入力部と、分布データとクリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する生成部と、生成部によって生成された予測結果を出力する出力部と、を備え、出力部は、入力部に入力された最も新しい第一のクリアリング設定に基づいて生成された第一の予測結果と、第一の予測結果が生成されるよりも以前に入力された第二の前記クリアリング設定に基づいて生成された第二の予測結果とを並べて出力する。
【0010】
この糸処理予測装置において、生成部は、分布データとクリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する。出力部は、第一の予測結果と第二の予測結果とを並べて出力する。これにより、オペレータは、入力部に入力された最も新しい第一のクリアリング設定に基づいて生成された第一の予測結果と、以前に入力された第二のクリアリング設定に基づいて生成された第二の予測結果とを並べて確認することができる。従って、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。また、設定前後の予測結果を並べて確認することができるので、適正なクリアリング設定に到達できるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0011】
出力部は、第一の予測結果及び第二の予測結果とともに、第二の予測結果から第一の予測結果に変更される旨を示す方向性指示表示を出力してもよい。この場合には、設定変更の前後関係を容易に把握することができる。
【0012】
出力部は、入力操作を受付可能な表示画面を有する表示部と、表示部に表示される表示画像を制御する表示制御部と、を備えていてもよい。表示制御部は、第一の予測結果及び第二の予測結果とともに第一のクリアリング設定を取り消すための取消キーを表示部に表示させ、取消キーへの入力操作が行われた場合、第二のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを表示部に表示させてもよい。この場合、オペレータは、表示された第一の予測結果及び第二の予測結果を見ながら、取消キーへの入力操作を行うことで適切な予測結果を選択することができる。また、オペレータは、選択した予測結果に応じた糸欠陥の二次元フィールドを確認することができる。
【0013】
表示制御部は、第一の予測結果及び第二の予測結果とともに第一のクリアリング設定への設定変更を受け入れるための受入キーを表示部に表示させ、受入キーへの入力操作が行われた場合、第一のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを表示部に表示させてもよい。この場合、オペレータは、表示された第一の予測結果及び第二の予測結果を見ながら、受入キーへの入力操作を行うことで適切な予測結果を選択することができる。また、オペレータは、選択した予測結果に応じた糸欠陥の二次元フィールドを確認することができる。
【0014】
出力部は、入力操作を受付可能な表示画面を有する表示部と、表示部に表示される表示画像を制御する表示制御部と、を備えていてもよい。表示制御部は、第一の予測結果及び第二の予測結果とともに第一のクリアリング設定への設定変更を受け入れるための受入キーを表示部に表示させ、受入キーへの入力操作が行われた場合、第一のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを表示部に表示させてもよい。この場合、オペレータは、表示された第一の予測結果及び第二の予測結果を見ながら、受入キーへの入力操作を行うことで適切な予測結果を選択することができる。また、オペレータは、選択した予測結果に応じた糸欠陥の二次元フィールドを確認することができる。
【0015】
表示制御部は、受入キー又は取消キーへの入力操作が行われる前において、第一のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを表示部に表示させてもよい。この場合、オペレータは、受入キー又は取消キーへの入力操作を行う前の段階においても、第一のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを確認することができ、この二次元フィールドを確認しながら適切な予測結果を選択することができる。
【0016】
表示制御部は、受入キー又は取消キーへの入力操作が行われる前において、第二のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを表示部に表示させてもよい。この場合、オペレータは、取消キーへの入力操作を行った場合に、すぐに設定変更前の第二のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドを確認することができる。
【0017】
出力部は、一つの第一の予測結果と一つの第二の予測結果とを出力してもよい。この場合、出力部から出力される情報量を、必要最小限にできる。
【0018】
出力部は、一つの第一の予測結果と二以上の第二の予測結果とを出力してもよい。この場合、オペレータは、複数の予測結果を確認することができる。
【0019】
予測結果は、切断除去すべき糸欠陥の除去数を含んでいてもよい。この場合、オペレータは、糸欠陥の除去数を確認しながら、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。
【0020】
除去数は、糸欠陥の種類毎の除去数を含んでいてもよい。この場合、オペレータは、糸欠陥の種類毎の除去数を確認しながら、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。
【0021】
除去数は、単位時間当たりの除去数を含んでいてもよい。この場合、オペレータは、糸欠陥の単位時間当たりの除去数を確認しながら、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。
【0022】
除去数は、単位長さ当たりの除去数を含んでいてもよい。この場合、オペレータは、糸欠陥の単位長さ当たりの除去数を確認しながら、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。
【0023】
除去数は、取得部によって分布データが取得された糸の全範囲における糸欠陥の合計の除去数を含んでいてもよい。この場合、オペレータは、糸の全範囲における糸欠陥の合計の除去数を確認することができる。
【0024】
予測結果は、糸処理の稼働率の予測結果を含んでいてもよい。この場合、オペレータは、糸処理の稼働率を確認しながら、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。
【0025】
取得部は、糸処理を行う複数の糸処理ユニットで処理される糸における分布データを取得可能であり、生成部によって予測結果を生成する一又は複数の糸処理ユニットを指定するための指定部を更に備え、生成部は、指定部によって指定された糸処理ユニットで処理される糸についての分布データに基づいて予測結果を生成してもよい。この場合、糸処理予測装置は、指定された一又は複数の糸処理ユニットについての予測結果を出力することができる。
【0026】
本発明の第三の側面の糸処理装置は、上記の糸処理予測装置と、糸処理を行う複数の糸処理ユニットと、を備え、取得部は、糸処理ユニットで処理される糸における分布データを取得する。
【0027】
この糸処理装置によれば、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。また、適正なクリアリング設定に到達できるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0028】
本発明の第四の側面は、糸処理の予測を行う糸処理予測装置で行われる糸処理予測方法であって、糸状態を示す分布データを取得する取得工程と、糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件であるクリアリング設定の入力を受け付ける入力工程と、分布データとクリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する生成工程と、生成工程において生成された予測結果を出力する出力工程と、を含み、出力工程では、入力工程において受け付けられた最も新しい第一のクリアリング設定に基づいて生成された第一の予測結果と、第一の予測結果が生成されるよりも以前に受け付けられた第二のクリアリング設定に基づいて生成された第二の予測結果とを同時に出力する。
【0029】
この糸処理予測方法によれば、設定前後の予測結果を同時に確認することができるので、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。また、設定前後の予測結果を同時に確認することができるので、適正なクリアリング設定に到達できるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0030】
本発明の第五の側面は、糸処理の予測を行う糸処理予測装置で行われる糸処理予測方法であって、糸状態を示す分布データを取得する取得工程と、糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件であるクリアリング設定の入力を受け付ける入力工程と、分布データとクリアリング設定とに基づいて糸処理に関する予測結果を生成する生成工程と、生成工程において生成された予測結果を出力する出力工程と、を含み、出力工程では、入力工程において受け付けられた最も新しい第一のクリアリング設定に基づいて生成された第一の予測結果と、第一の予測結果が生成されるよりも以前に受け付けられた第二のクリアリング設定に基づいて生成された第二の予測結果とを並べて出力する。
【0031】
この糸処理予測方法によれば、設定前後の予測結果を並べて確認することができるので、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。また、設定前後の予測結果を並べて確認することができるので、適正なクリアリング設定に到達できるまでの時間を短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の種々の側面によれば、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができ、適正なクリアリング設定に到達できるまでの時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】紡績機の概略構成を示す図である。
図2】紡績機に含まれる紡績ユニットの側面図である。
図3】紡績機の制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図4】紡績機を制御する統括制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】表示部に表示される画像の一例を示す図である。
図6】予測部によって生成される予測結果の一例を示す図である。
図7】クリアリング設定の変更操作が行われた場合に表示部に表示される画像の一例を示す図である。
図8】クリアリング設定の変更操作が行われた場合おいて統括制御装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図9】クリアリング設定の変更操作が行われた場合に表示部に表示される画像の他の一例を示す図である。
図10】クリアリング設定の変更操作が行われた場合に表示部に表示される予測結果の一例を示す図である。
図11】クリアリング設定の変更操作が行われた場合に表示部に表示される予測結果の他の一例を示す図である。
図12】複数の紡績機とクリアリングシミュレーション機能を実行する糸処理予測装置との接続関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書において「上流」及び「下流」とは、紡績時での糸の走行方向における上流及び下流を意味する。
【0035】
図1に示す紡績機(糸処理装置)1は、並設された複数の紡績ユニット(糸処理ユニット)2と、糸継台車3と、統括制御装置(糸処理予測装置)50と、原動機ボックス5と、ブロアボックス80と、を備えている。紡績機1の各部の動作は、統括制御装置50によって制御されている。ブロアボックス80には、紡績ユニット2の各部において吸引流及び/又は旋回流等を発生させるためのエアー供給源等が収容されている。原動機ボックス5には、紡績ユニット2の各部に動力を供給するための原動機等が収容されている。紡績機1が設置される工場では、糸継台車3に対して紡績糸10の糸道側に、紡績ユニット2の配列方向に延びるオペレータ通路が設けられている。オペレータは、オペレータ通路側から、各紡績ユニット2の操作及び監視等を行う。
【0036】
図1及び図2に示すように、各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に、ドラフト装置7と、空気紡績装置9と、糸貯留装置12と、ワキシング装置14と、巻取装置13と、を備えている。
【0037】
ドラフト装置7は、紡績機1の機台高さ方向において、紡績機1の筐体6の上端近傍に設けられている。ドラフト装置7から送られてくる繊維束8(図2参照)は、空気紡績装置9で紡績される。空気紡績装置9から送出された紡績糸10は、糸監視装置52を通過した後、糸貯留装置12で更に下流側に送られてワキシング装置14でワックスが付与される。その後、紡績糸10は、巻取装置13によって巻き取られ、これによりパッケージ45が形成される。
【0038】
ドラフト装置7は、スライバ15を延伸(ドラフト)して繊維束8にする。ドラフト装置7は、図2に示すように、バックローラ対16、サードローラ対17、エプロンベルト18を装架したミドルローラ対19、及びフロントローラ対20の4つのローラ対を備えている。各ローラ対16,17,19及び20のボトムローラは、原動機ボックス5又は個別に設けられた駆動源(図示しない)からの動力により駆動される。各ローラ対16,17,19及び20は、回転速度を異ならせて駆動され、この結果、上流側から供給されたスライバ15を延伸して繊維束8にし、下流側の空気紡績装置9に送る。
【0039】
空気紡績装置9は、旋回気流を利用して繊維束8に撚りを与え、紡績糸10を生成する。空気紡績装置9は、詳細な説明や図示は省略するが、繊維案内部と、旋回流発生ノズルと、中空ガイド軸体と、を備えている。繊維案内部は、ドラフト装置7から送られた繊維束8を、空気紡績装置9の内部に形成される紡績室に案内する。旋回流発生ノズルは、繊維束8の経路の周囲に配置され、紡績室内に旋回流を発生させる。この旋回流によって、紡績室内の繊維束8の繊維端が反転され旋回する。中空ガイド軸体は、紡績された紡績糸10を紡績室から空気紡績装置9の外部へと案内する。
【0040】
空気紡績装置9の下流には、糸貯留装置12が設けられている。糸貯留装置12は、紡績糸10に所定の張力を与えて空気紡績装置9から引き出す機能と、糸継台車3による糸継作業時等に空気紡績装置9から送出される紡績糸10を滞留させて紡績糸10の弛みを防止する機能と、巻取装置13側の張力の変動が空気紡績装置9側に伝わらないように張力を調節する機能と、を有している。図2に示すように、糸貯留装置12は、糸貯留ローラ21と、糸掛け部材22と、上流側ガイド23と、電動モータ25と、下流側ガイド26と、貯留量センサ27と、を備えている。
【0041】
糸掛け部材22は、紡績糸10に係合し、紡績糸10に係合した状態で糸貯留ローラ21と一体回転することにより、糸貯留ローラ21の外周面に紡績糸10を巻き付ける。
【0042】
糸貯留ローラ21は、その外周面に紡績糸10を一定量巻き付けて貯留する。糸貯留ローラ21は、電動モータ25によって回転駆動される。糸貯留ローラ21の外周面に巻き付けられた紡績糸10は、糸貯留ローラ21が回転することにより糸貯留ローラ21を締め付けるようにして巻かれ、糸貯留装置12よりも上流側の紡績糸10を引っ張る。すなわち、外周面に紡績糸10を巻き付けた状態の糸貯留ローラ21を所定の回転速度で回転させることで、糸貯留装置12は、紡績糸10に所定の張力を与えて空気紡績装置9から紡績糸10を所定の速度で引き出し、所定の速度で下流側に搬送する。
【0043】
貯留量センサ27は、糸貯留ローラ21に巻き付いている紡績糸10の貯留量を非接触式に検出する。貯留量センサ27は、検出した紡績糸10の貯留量を示す貯留量信号を統括制御装置50に出力する。
【0044】
上流側ガイド23は、糸貯留ローラ21のやや上流側に配置されている。上流側ガイド23は、糸貯留ローラ21の外周面に対して紡績糸10を適切に案内する。上流側ガイド23は、空気紡績装置9から伝播してくる紡績糸10の撚りが上流側ガイド23よりも下流側に伝わることを防止する。
【0045】
紡績機1の筐体6の前面側(オペレータ通路側)であって空気紡績装置9と糸貯留装置12との間の位置には、糸監視装置52が設けられている。空気紡績装置9で紡出された紡績糸10は、糸貯留装置12で巻き取られる前に糸監視装置52を通過する。糸監視装置52は、紡績糸10の糸状態を検出する。また、糸監視装置52は、紡績糸10に含まれる異物を検出することもできる。
【0046】
糸監視装置52の上流側には、糸欠陥検出時に紡績糸10を切断するためのカッタ57が配置されている。なお、カッタ57を省略して、空気紡績装置9への空気の供給を停止することで、紡績糸10を切断してもよい。
【0047】
糸貯留装置12の下流には、ワキシング装置14が設けられている。ワキシング装置14は、糸貯留装置12から巻取装置13に向けて走行する紡績糸10に、ワックスを付与する。
【0048】
巻取装置13は、パッケージ保持部71と、巻取ドラム72と、トラバース装置75と、を備えている。パッケージ保持部71は、パッケージ45を回転可能に保持する部分であり、筐体6に固定される固定部71aと、固定部71aに対して前後に揺動可能な揺動部71bと、を有している。揺動部71bは、固定部71aにおいて、軸70まわりに揺動可能に支持されている。揺動部71bには、紡績糸10を巻き取るためのボビン48を回転可能に保持する図略のボビンホルダが設けられている。
【0049】
巻取ドラム72は、ボビン48の外周面又はパッケージ45の外周面に接触し、パッケージ45を回転駆動させる。トラバース装置75は、紡績糸10に係合可能なトラバースガイド76を備えている。巻取装置13は、トラバースガイド76を図略の駆動手段によって往復動させながら巻取ドラム72を図略の電動モータによって駆動することで、巻取ドラム72に接触するパッケージ45を回転させ、紡績糸10を綾振りしつつパッケージ45に紡績糸10を巻き取る。トラバース装置75のトラバースガイド76は、複数の紡績ユニット2で共有されるシャフトにより、各紡績ユニット2で共通に駆動される。
【0050】
続いて、糸継台車3について説明する。糸継台車3は、図1及び図2に示すように、ドラフト装置7及び空気紡績装置9等が配置された筐体6の下方側を、紡績ユニット2の並び方向に沿ってレール41上を車輪42により走行する。糸継台車3は、スプライサ43と、サクションパイプ44と、サクションマウス46と、を備えている。
【0051】
糸継台車3は、ある紡績ユニット2で糸切れ又は糸切断が発生すると、レール41に沿って当該紡績ユニット2まで走行し、停止する。サクションパイプ44は、軸を中心に上下方向に回動しながら、空気紡績装置9から送出される糸端を吸い込みつつ捕捉してスプライサ43へ案内する。サクションマウス46は、軸を中心に上下方向に回動しながら、巻取装置13に支持されたパッケージ45から糸端を吸引しつつ捕捉してスプライサ43へ案内する。スプライサ43は、案内された糸端同士の糸継作業を行う。
【0052】
次に、紡績機1の制御システムについて説明する。図3に示すように、統括制御装置50は、ユニットコントローラ29、糸継台車コントローラ49及びブロアコントローラ89等に指示を出し、紡績機1の各部の制御を行う。統括制御装置50は、一例として原動機ボックス5内に設けられている。統括制御装置50と、ユニットコントローラ29、糸継台車コントローラ49及びブロアコントローラ89とは通信ラインL1によって接続されている。統括制御装置50と、ユニットコントローラ29、糸継台車コントローラ49及びブロアコントローラ89とは、通信ラインL1を経由してデータ通信が行われる。
【0053】
複数の紡績ユニット2は、所定数毎(一例として、4錘又は8錘等)にグループ分けされている。ユニットコントローラ29は、所定数の紡績ユニット2から構成されるグループ毎に一つずつ設けられている。ユニットコントローラ29は、統括制御装置50からの指示に基づいて、自身が管理する所定数の各紡績ユニット2の制御を行う。ユニットコントローラ29は、例えば管理する紡績ユニット2の近傍に設けられている。ユニットコントローラ29は、自身が管理する所定数の各紡績ユニット2に備えられた糸監視装置52と、通信ラインL2によって接続されている。ユニットコントローラ29と糸監視装置52とは、通信ラインL2を経由してデータ通信が行われる。なお、紡績ユニット2をグループ分けせずに、ユニットコントローラ29が紡績ユニット2毎にそれぞれ設けられていてもよい。
【0054】
糸継台車コントローラ49は、統括制御装置50からの指示に基づいて、糸継台車3の走行及び糸継ぎの制御等を行う。糸継台車コントローラ49は、例えば、糸継台車3に設けられている。ブロアコントローラ89は、統括制御装置50からの指示に基づいて、ブロアボックス80内に設けられたエアー供給源等の制御を行う。ブロアコントローラ89は、例えばブロアボックス80内に設けられている。
【0055】
ここで、各紡績ユニット2にそれぞれ設けられた糸監視装置52は、検出部52aと糸監視制御部52bとを含んで構成されている。検出部52aは、空気紡績装置9によって紡績された紡績糸10の太さの時間的な変化を検出する。検出部52aは、検出した糸の太さの時間的な変化を示す波形データを、糸監視制御部52bに出力する。検出部52aとして、紡績糸10に光を照射し、受光量の変化により糸太さの時間的な変化を検出する光学式の監視装置、及び、電界中に紡績糸10を通過させ、静電容量の変化によって糸太さ(質量)の時間的な変化を検出する静電容量式の監視装置のいずれを用いてもよい。
【0056】
糸監視制御部52bは、入力された波形データを評価し、紡績糸10の糸状態、すなわち紡績糸10に含まれる糸欠陥の長さ及び太さを示す分布データを算出する。糸監視制御部52bは、切断除去すべき糸欠陥が検出部52aによって検出され、カッタ57によって糸欠陥の切断除去が行われた場合に、分布データをユニットコントローラ29を介して統括制御装置50へ出力する。また、糸監視制御部52bは、切断除去しない残存する糸欠陥に関する分布データについては、所定数のデータが溜まった段階で、ユニットコントローラ29を介して統括制御装置50へ出力する。
【0057】
このように統括制御装置50は、各紡績ユニット2に設けられた糸監視装置52の糸監視制御部52bから、糸状態として紡績糸10に含まれる糸欠陥の長さ及び太さを示す分布データを取得する。ここで統括制御装置50が取得する糸欠陥は、上述したように、切断除去する糸欠陥だけでなく、残存する糸欠陥を含む。
【0058】
次に、統括制御装置50の詳細について説明する。統括制御装置50は、空気紡績装置9において紡績糸10が生成されて、巻取装置13において紡績糸10が巻き取られるように、複数の紡績ユニット2を制御する。また、統括制御装置50は、糸欠陥を切断除去する場合のシミュレーション結果を出力するクリアリングシミュレーション機能を有している。以下、統括制御装置50等において行われるクリアリングシミュレーション機能について説明する。
【0059】
このクリアリングシミュレーション機能は、糸状態を示す分布データとオペレータによって設定されたクリアリング設定(糸に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件)とに基づいて、切断除去を行う糸欠陥の除去数を予測し、予測した除去数を表示する機能である。オペレータは、クリアリング設定を入力することによって、当該クリアリング設定における糸欠陥の除去数の予測値を確認することができる。また、オペレータは、クリアリング設定を変更することによって、変更後のクリアリング設定における糸欠陥の除去数の予測値を確認することができる。クリアリングシミュレーション機能による予測結果等の表示は、原動機ボックス5に設けられた表示部(出力部、糸処理予測装置)100を用いて行われる。
【0060】
図4に示すように、統括制御装置50は、機能的には、取得部501、記憶部502、操作受付部503、二次元フィールド生成部504、予測部(生成部)505及び画像生成部(表示制御部、出力部)506を含んで構成されている。取得部501は、各紡績ユニット2に設けられた糸監視制御部52bから出力された分布データを取得する。記憶部502は、取得部501によって取得された分布データを紡績ユニット2毎に記憶する。
【0061】
操作受付部503は、表示部100を通じて行われた各種の入力操作を受け付ける。ここで、表示部100は、押下或いは接触による入力操作を受付可能な表示画面110を備えている。オペレータは、表示画面110に表示されたキーを押下等することによって、各種の入力操作を行うことができる。操作受付部503は、表示画面110を通じて行われる、クリアリング設定の入力操作、取消キーの入力操作、受入キーの入力操作、及び、紡績ユニット2の指定の入力操作等を受け付ける。
【0062】
表示画面110には、一例として、図5に示す画像が表示されている。具体的には、図5に示すように、表示画面110には、範囲指定キー(指定部)A、クリアリング設定入力キー(入力部)B、二次元フィールドC、及び、クリアキーEが表示されている。なお、図5に示す画像は、クリアリング設定の変更の入力操作が行われる前の画像である。
【0063】
範囲指定キーAは、予測部505によって予測結果を生成する一又は複数の紡績ユニット2を指定するためのキーである。オペレータは、表示画面110に表示された範囲指定キーAへの入力操作を行うことによって、紡績機1に備えられた複数の紡績ユニット2(錘)のうち、二次元フィールド及び予測結果等を生成する紡績ユニット2を指定することができる。すなわち、範囲指定キーAは、クリアリングシミュレーションの対象とする紡績ユニット2の範囲を指定するためのキーである。
【0064】
クリアリング設定入力キーBは、紡績糸10に含まれる糸欠陥の切断除去を行うための条件であるクリアリング設定を入力するためのキーである。オペレータは、表示画面110に表示されたクリアリング設定入力キーBへの入力操作を行うことによって、クリアリング設定を入力することができる。
【0065】
ここで、クリアリング設定は、糸欠陥の種類毎に行うことができる。本実施形態では、糸欠陥の種類として、ネップ(NEP)、スラブ(S)、短い太糸(L)、長い太糸(LL)、短い細糸(T)、及び、長い細糸(TT)についての設定を行うことができる。例えば、ネップについては、基準となる紡績糸10の太さに対する割合を設定することができる。スラブ、短い太糸、長い太糸、短い細糸及び長い細糸については、基準となる紡績糸10の太さに対する割合と、糸欠陥の長さとを設定することができる。また、クリアリング設定入力キーBには、クラスカットを行う場合のクラスカットの領域を指定するためのキー(不図示)を備えている。クラスカットとは、後述の二次元フィールドCを太さと長さとに基づいて複数の領域(クラス)に分割した場合において、所定の領域に相当する糸欠陥について切断除去を行うことをいう。なお、糸欠陥の種類は例示したものに限定されることはない。
【0066】
二次元フィールドCは、二次元フィールド生成部504によって生成される。二次元フィールドCは、糸欠陥の長さを横軸とし、糸欠陥の太さを縦軸とし、この座標上に糸欠陥をドットとして表示したものである。二次元フィールド生成部504は、分布データが示す長さ及び太さに基づいて、二次元フィールドC上のドットの位置を決定する。図5において、二次元フィールドCには、切断除去する糸欠陥を黒塗りの四角ドット、切断除去しない残存する糸欠陥を白抜きの丸ドットで示している。また、二次元フィールドCには、クリアリング設定入力キーBを通じて設定されたクリアリングリミットC10が表示されている。クリアリングリミットC10は、糸欠陥の切断除去を行うか否かの境界であり、クリアリングリミットC10に対して紡績糸10の基準太さ(糸の太さが0%の横軸)側にある糸欠陥が切断除去しない糸欠陥(白抜きの丸ドット)であり、クリアリングリミットC10に対して紡績糸10の基準太さ(糸の太さが0%の横軸)から離れる側にある糸欠陥が切断除去する糸欠陥(黒塗りの四角ドット)である。
【0067】
本実施形態においてクリアリングリミットC10は、一例として、ネップの切断除去の境界となる境界線C11と、スラブの切断除去の境界となる境界線C12と、短い太糸の切断除去の境界となる境界線C13と、長い太糸の切断除去の境界となる境界線C14と、短い細糸の切断除去の境界線となる境界線C15と、長い細糸の切断除去の境界となる境界線C16とによって構成されている。このクリアリングリミットC10は、クリアリング設定入力キーBに入力される設定条件によって形状及び位置が変化する。
【0068】
また、図5に示す二次元フィールドCにおいて、クラスカットを行う領域として指定された領域C20に対応する糸欠陥は切断除去する対象となっており、領域C20に対応する糸欠陥については黒塗りの四角ドットで示されている。このような二次元フィールドCを表示画面110に表示することにより、オペレータは、切断除去する糸欠陥の分布状況等を確認することができる。
【0069】
クリアキーEは、記憶部502によって記憶されている分布データ等を消去するためのキーである。オペレータは、糸を紡績する際のロット設定が変わった等の場合にクリアキーEへの入力操作を行うことにより、記憶部502に記憶されている分布データを消去することができる。なお、ロット設定が変わった際に、記憶部502によって記憶されている分布データ等を自動的に消去してもよい。
【0070】
図4に戻り、二次元フィールド生成部504は、二次元フィールドC(図5参照)を生成する。より詳細には、二次元フィールド生成部504は、記憶部502に記憶された紡績糸10の分布データのうち、範囲指定キーAを用いて指定された紡績ユニット2についてのそれぞれの最新の分布データから過去100km分の分布データを取得する。なお、取得する分布データは、過去100km分に限定されない。例えば紡績糸10の紡績開始直後等、100km分よりも短い長さであってもよい。更に、二次元フィールド生成部504は、操作受付部503によって受け付けられたクリアリング設定を取得する。そして、二次元フィールド生成部504は、取得したクリアリング設定に基づいて糸欠陥判定を行った場合の糸欠陥の分布状況を示す二次元フィールドCを生成する。
【0071】
予測部505は、予測結果Dを生成する。予測結果Dは、切断除去する糸欠陥の除去数等を含む表であり、表示画面110に表示される。図6に、予測結果Dの一例を示す。図6に示すように、予測結果Dには、糸欠陥の種類毎に切断除去すべき糸欠陥の除去数が示されている。また、糸欠陥の除去数を、単位長さ当たりの除去数(/100km)と、単位時間当たりの除去数(/h)と、合計の除去数(n)とに分けて示している。ここで、単位長さ当たりの除去数とは、本実施形態においては最新(現在)の分布データから紡績糸10の過去100km分の分布データに基づいて切断除去する糸欠陥の除去数を予測した場合の数である。単位時間当たりの除去数とは、最新(現在)の分布データの時刻から過去1時間分の分布データに基づいて切断除去する糸欠陥の除去数を予測した場合の数である。
【0072】
合計の除去数とは、取得部501によって分布データが取得された紡績糸10の全範囲における切断除去する糸欠陥の合計の除去数である。紡績が行われて生成される紡績糸10の長さが長くなるにつれて、合計の除去数も増加する。この合計の除去数は、例えば、クリアキーEへの入力操作が行われた等の場合にリセットされてもよい。
【0073】
また、予測結果Dには、クラスカット(Class)を行った場合に切断除去する糸欠陥の除去数が含まれている。更に、予測結果Dには、糸処理の稼働率の予測結果が含まれている。この稼動率とは、糸欠陥の切断除去を行わなかった場合の稼働時間を100%とした場合において、設定されているクリアリング設定に基づいて切断除去を行ったときの稼働時間の割合である。ここで稼動時間とは、実際に紡績糸10を生成して巻き取っている時間である。このような予測結果Dを表示画面110に表示することにより、オペレータは、クリアリング設定の違いによる糸欠陥毎の除去数の違いを確認することができる。また、オペレータは、クリアリング設定の違いによる稼動率の違いを確認することができる。
【0074】
予測結果Dを生成するため、まず、予測部505は、二次元フィールド生成部504が二次元フィールドCを生成する際に用いた分布データを記憶部502から取得する。更に、予測部505は、操作受付部503によって受け付けられたクリアリング設定を取得する。
【0075】
そして、予測部505は、取得したクリアリング設定に基づいて糸欠陥判定を行った場合の糸欠陥の種類毎の除去すべき糸欠陥の除去数及びクラスカットを行う場合の除去すべき糸欠陥の除去数を、単位長さ当たり、単位時間当たり、及び、合計の除去数毎に算出する。また、予測部505は、糸処理の稼働率の予測結果を算出する。予測部505は、算出したこれらの除去数と、稼動率等とを用いて、図6に示す予測結果Dを生成する。予測結果Dが表示画面110に表示されるタイミングについては後述する。
【0076】
画像生成部506は、二次元フィールド生成部504によって生成された二次元フィールドCを表示画面110に表示させる。また、画像生成部506は、オペレータによってクリアリング設定の変更操作が行われた場合、予測部505によって生成された、変更後のクリアリング設定に基づく予測結果Dについても表示画面110にポップアップ表示させる。
【0077】
以下、オペレータによってクリアリング設定の変更操作が行われた場合の各部の処理及び表示画面110の表示画像例について説明する。
【0078】
操作受付部503によってクリアリング設定の変更操作が受け付けられると、二次元フィールド生成部504は、設定変更後の二次元フィールドCを生成する。より詳細には、二次元フィールド生成部504は、設定変更前の二次元フィールドCを生成する際に用いた分布データと、設定変更後のクリアリング設定とに基づいて設定変更後の二次元フィールドCを生成する。
【0079】
また、操作受付部503によってクリアリング設定の変更操作が受け付けられると、予測部505は、設定変更前の予測結果(第二の予測結果)Dと、設定変更後の予測結果(第一の予測結果)Dとを生成する。より詳細には、予測部505は、クリアリング設定の変更操作が行われる前に表示画面110に表示されていた二次元フィールドCを生成する際に用いられた分布データと、設定変更前のクリアリング設定とに基づいて、設定変更前の予測結果Dを生成する。なお、設定変更前の予測結果Dを生成するタイミングは、クリアリング設定の変更操作が行われた後に限定されず、変更操作が行われるよりも前に生成してあってもよい。また、予測部505は、クリアリング設定の変更操作が行われる前に表示画面110に表示されていた二次元フィールドCを生成する際に用いられた分布データと、設定変更後のクリアリング設定とに基づいて、設定変更後の予測結果Dを生成する。
【0080】
操作受付部503によってクリアリング設定の変更操作が受け付けられると、画像生成部506は、図7に示すように、二次元フィールド生成部504によって生成された設定変更後の二次元フィールドCを表示画面110に表示させる。なお、図7では、クリアリング設定の変更として、図5に示すネップ(NEP)の太さの設定値(300%)が350%に変更された場合を示している(クリアリング設定入力キーB参照)。これにより、設定変更前におけるネップの切断除去の境界となる境界線C11の位置が変更される。
【0081】
また、画像生成部506は、設定変更後の二次元フィールドCの一部領域(図7の例では右上領域)に、予測部505によって生成された設定変更前の予測結果D(図7では、便宜上、設定変更前の予測結果の符号を「DX」として示している。)と、予測部505によって生成された設定変更後の予測結果Dとを並べてポップアップ表示させる。
【0082】
なお、画像生成部506は、設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとを、オペレータが同時に確認することができるようにこれらを並べて同時に表示する。例えば、設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとが表示されるタイミングが互いにズレていたとしても、あるタイミングで2つの予測結果D及びDXが同時に表示されていればよい。また、図6では、予測結果D及びDXを横方向に並べて表示するものとしたが、配置の並び方向は限定されない。
【0083】
更に、画像生成部506は、設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとの間に、設定変更によってどちらの予測結果に変化するかを指し示す矢印(方向性指示表示)Fを表示画面110に表示させる。なお、矢印F以外にも、変化の方向を指示可能であれば他のマーク等であってもよい。
【0084】
このようにオペレータによってクリアリング設定が変更されると、図7に示すように、設定変更後の二次元フィールドC、設定変更前の予測結果DX、及び、設定変更後の予測結果Dが表示画面110に表示される。これにより、オペレータは、クリアリング設定を変更すべきか否かを、表示画面110に表示された設定変更後の二次元フィールドC、設定変更前の予測結果DX、及び、設定変更後の予測結果Dを確認しながら容易に判断することができる。また、設定変更後の予測結果D等を表示する際に、矢印Fも表示される。これにより、オペレータは、クリアリング設定の変更を行った際に、表示画面110に2つ表示される予測結果D及びDXのうち、どちらが設定変更後の予測結果Dであるかを容易に把握することができる。
【0085】
また、画像生成部506は、予測結果D及びDXの近傍に、受入キーG及び取消キーHを表示画面110に表示させる。受入キーGは、設定変更後のクリアリング設定を受け入れるためのキーである。取消キーHは、設定変更後のクリアリング設定を取り消すためのキーである。
【0086】
オペレータは、表示画面110にポップアップ表示された設定変更前後の予測結果D及びDX等を確認しながら、受入キーG又は取消キーHへの入力操作を行う。操作受付部503によって受入キーGへの入力操作が受け付けられると、画像生成部506は、引き続き表示画面110に設定変更後の二次元フィールドCを表示させ、更に、予測結果D及びDXのポップアップ表示を消す。これによりオペレータは、設定変更後の二次元フィールドCを容易に確認することができる。また、設定変更後の紡績動作においては、統括制御装置50は、設定変更後のクリアリング設定に基づいて、紡績糸10の糸欠陥の切断除去が行われるように紡績ユニット2の各部を制御する。
【0087】
一方、操作受付部503によって取消キーHへの入力操作が受け付けられると、画像生成部506は、表示画面110に設定変更前の二次元フィールドCを再度表示させ、更に、予測結果D及びDXのポップアップ表示を消す(すなわち、図5に示す表示画面の状態に戻る)。取消キーHへの入力操作が行われた場合、統括制御装置50は、現在のクリアリング設定を維持する。
【0088】
ここで、統括制御装置50は、物理的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むコンピュータによって構成されている。
【0089】
次に、統括制御装置50がクリアリングシミュレーション機能を実行する際の処理(糸処理予測方法)の流れについて説明する。以下では、オペレータによってクリアリング設定の変更の入力操作が行われた以降の処理について説明する。図8に示すように、操作受付部503は、オペレータが表示画面110に表示されたクリアリング設定入力キーBを操作することによって行われたクリアリング設定の変更の入力操作を受け付ける(ステップS101:入力工程)。
【0090】
二次元フィールド生成部504は、分布データと、操作受付部503によって受け付けられた変更後のクリアリング設定とを取得し、これらに基づいて設定変更後の二次元フィールドCを生成する(ステップS102)。予測部505は、分布データと、設定変更前のクリアリング設定とに基づいて、設定変更前の予測結果DXを生成する。また、予測部505は、分布データと、操作受付部503によって受け付けられた変更後のクリアリング設定とを取得し、これらに基づいて設定変更後の予測結果Dを生成する(ステップS103:取得工程、生成工程)。画像生成部506は、図7に示すように、設定変更後の二次元フィールドC、設定変更前の予測結果DX、及び、設定変更後の予測結果D等を表示画面110に表示させる(ステップS104)。
【0091】
次に、画像生成部506は、受入キーGへの入力操作が行われたか否かを判断する(ステップS105)。受入キーGへの入力操作が行われた場合(ステップS105:YES)、画像生成部506は、設定変更後の二次元フィールドCの表示を維持し、予測結果D及びDXのポップアップ表示を消す(ステップS108:出力工程)。
【0092】
一方、受入キーGへの入力操作が行われていない場合(ステップS105:NO)、画像生成部506は、取消キーHへの入力操作が行われたか否かの判断を行う(ステップS106)。取消キーHへの入力操作が行われていない場合(ステップS106:NO)、画像生成部506は、ステップ105の処理へ戻る。取消キーHへの入力操作が行われた場合(ステップS106:YES)、画像生成部506は、予測結果D及びDXのポップアップ表示を消して、設定変更前の二次元フィールドCを表示画面110に表示させる(ステップS107:出力工程)。
【0093】
本実施形態は以上のように構成され、クリアリングシミュレーション機能を実行するためにクリアリング設定の変更操作が行われた場合、表示画面110には、図7に示すように、設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとが並べて同時に表示される。これにより、オペレータは、設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとを並べて同時に確認することができる。従って、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。また、設定前後の予測結果D及びDXを並べて同時に確認することができるので、適正なクリアリング設定に到達できるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0094】
設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとを表示する場合、表示画面110には、矢印Fが表示される。これにより、オペレータは、予測結果D及びDXについて、設定変更の前後関係を容易に把握することができる。
【0095】
設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとを表示する場合、表示画面110には、設定変更後の予測結果Dを取り消すための取消キーHが表示される。この場合、オペレータは、表示された設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとを見ながら、取消キーHへの入力操作を行うことで適切な予測結果を選択することができる。また、取消キーHへの入力操作が行われた場合、表示画面110には設定変更前の二次元フィールドCが表示される。これにより、オペレータは、選択した予測結果に応じた糸欠陥の二次元フィールドCを確認することができる。
【0096】
設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとを表示する場合、表示画面110には、設定変更後の予測結果Dを受け入れるための受入キーGが表示される。この場合、オペレータは、表示された設定変更前の予測結果DXと設定変更後の予測結果Dとを見ながら、受入キーGへの入力操作を行うことで適切な予測結果を選択することができる。また、受入キーGへの入力操作が行われた場合、表示画面110には、設定変更後の二次元フィールドCが表示される。これにより、オペレータは、選択した予測結果に応じた糸欠陥の二次元フィールドCを確認することができる。
【0097】
画像生成部506は、取消キーHへの入力操作が行われる前において、設定変更後の二次元フィールドCを表示画面110に表示させる。この場合、オペレータは、受入キーG又は取消キーHへの入力操作を行う前の段階においても、クリアリング設定の変更後の二次元フィールドCを確認することができ、この二次元フィールドCを確認しながら適切な予測結果を選択することができる。
【0098】
画像生成部506は、設定変更後の予測結果Dと、設定変更前の一つの予測結果DXとを表示画面110に表示させる。この場合、表示画面110に表示される情報量が最小限となり、オペレータは設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。
【0099】
予測結果Dには、切断除去すべき糸欠陥の除去数が含まれている。これにより、オペレータは、糸欠陥の除去数を確認しながら、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。
【0100】
また、予測結果Dには、糸欠陥の種類毎の除去数、単位時間当たりの除去数、単位長さ当たりの除去数、紡績糸10の全範囲における糸欠陥の除去数、及び、稼働率が含まれている。これにより、オペレータは、これらの数値を確認しながら、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を容易に行うことができる。
【0101】
予測部505は、範囲指定キーAを通じて指定された一又は複数の紡績ユニット2についての分布データに基づいて予測結果Dを生成する。この場合、オペレータは、複数設けられた紡績ユニット2のうち、所望の紡績ユニット2についての予測結果D等を確認することができる。
【0102】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、操作受付部503によってクリアリング設定の変更操作が受け付けられた後、画像生成部506は、受入キーGへの入力操作が行われるまで、図9に示すように設定変更前の二次元フィールドCの表示を維持していてもよい。この場合、オペレータは、設定変更前のクリアリング設定における糸欠陥の二次元フィールドCを確認しながら適切な予測結果を選択することができる。
【0103】
また、画像生成部506は、クリアリング設定の変更前の予測結果を表示画面110に複数表示してもよい。例えば、図10に示すように、画像生成部506は、操作受付部503によって互いに異なるタイミングで受け付けられたクリアリング設定に基づいて生成された予測結果D、予測結果D1、及び、予測結果D2を表示画面110に表示してもよい。なお、図10では、表示画面110に表示される画像のうち、予測結果D,D1及びD2部分のみを示している。ここで、予測結果Dを生成する基となったクリアリング設定は、操作受付部503によって受け付けられた最も新しいクリアリング設定とする。また、予測結果D2を生成する基となったクリアリング設定は、操作受付部503によって受け付けられた最も古いクリアリング設定とする。この場合、オペレータは、複数の予測結果を確認しながら、設定変更後のクリアリング設定が適正か否かの判断を行うことができる。
【0104】
画像生成部506は、図7に示すように、二次元フィールドCの一部領域(図7の例では右上領域)に予測結果D及びDXを重ねてポップアップ表示するものとしたが、二次元フィールドCを表示させずに、予測結果D及びDXのみを表示画面110に表示させてもよい。
【0105】
画像生成部506は、クリアリング設定の変更前後の予測結果D及びDXを並べて表示画面110に表示するものとしたが、図11に示すように、設定変更を行った前後での除去数等が一つの表内に示された予測結果Daを表示画面110に表示してもよい。なお、図11では、表示画面110に表示される予測結果Da部分のみを示している。
【0106】
統括制御装置50の画像生成部506が、二次元フィールドC及び予測結果D等を表示画面110に表示させることにより、これらの情報を出力するものとしたが、二次元フィールドC及び予測結果D等を統括制御装置50から出力する対象は表示画面110に限定されない。例えば、統括制御装置50は、二次元フィールドC及び予測結果D等を、紙等に印刷することによって出力してもよい。また、統括制御装置50は、印刷以外にも、外部装置への送信、或は、持ち運び可能な記憶媒体等への書き込み等を行うことによって二次元フィールドC及び予測結果D等を出力してもよい。
【0107】
また、紡績機1の各部の動作を制御する統括制御装置50によって、クリアリングシミュレーション機能を実行するものとしたが、紡績機1に取り付けられた統括制御装置50で実行することに限定されない。例えば、図12に示すように、紡績機1から離れた場所にクリアリングシミュレーション機能を実行する糸処理予測装置60と、表示部100を設けてもよい。糸処理予測装置60は、図4を用いて説明した、取得部501、記憶部502、操作受付部503、二次元フィールド生成部504、予測部505、及び、画像生成部506を含んで構成されている。表示部100は、上述した表示画面110を備えている。このような糸処理予測装置60及び表示部100を、例えば、複数の紡績機1を管理する管理装置200内に設けてもよい。
【0108】
実施形態において、取得部501は、糸監視制御部52bから分布データを取得することに加えて、検出部52aから出力された波形データも取得してもよい。また、糸監視制御部52bから分布データを統括制御装置50へ出力せずに、検出部52aから波形データのみを統括制御装置50に出力する構成であってもよい。この場合、統括制御装置50内に波形データから分布データを算出する算出部を設け、算出部で算出された分布データを取得部501が取得してもよい。
【0109】
紡績ユニット2で生成される紡績糸10に対してクリアリングシミュレーション機能を実行したが、紡績機1以外の糸処理装置において実行してもよい。例えば、糸の巻取を行う自動ワインダ、オープンエンド紡績機、及び、リング紡績機等、糸の太さの変化を検出するセンサ(本実施形態では、糸監視装置52)が設けられている糸処理装置であれば、他の装置において上述のクリアリングシミュレーション機能を実行することができる。
【符号の説明】
【0110】
1…紡績機(糸処理装置)、2…紡績ユニット(糸処理ユニット)、50…統括制御装置(糸処理予測装置)、100…表示部(糸処理予測装置、出力部)、505…予測部(生成部)、506…画像生成部(表示制御部、出力部)、A…範囲指定キー(指定部)、B…クリアリング設定入力キー(入力部)、C…二次元フィールド、D…予測結果、G…受入キー、H…取消キー。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12