特開2015-132485(P2015-132485A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015132485-フロートセンサ 図000003
  • 特開2015132485-フロートセンサ 図000004
  • 特開2015132485-フロートセンサ 図000005
  • 特開2015132485-フロートセンサ 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-132485(P2015-132485A)
(43)【公開日】2015年7月23日
(54)【発明の名称】フロートセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01C 13/00 20060101AFI20150630BHJP
【FI】
   G01C13/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-2766(P2014-2766)
(22)【出願日】2014年1月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000145530
【氏名又は名称】株式会社潤工社
(72)【発明者】
【氏名】上坂 輔
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フロートが大きく上下変動する激しい状況で、長大なリードケーブルを使用しても、それが絡み合うことがなく、わずかな漏油を精度よく検知するフロートセンサを提供する。
【解決手段】フロートと、重り部材2と、リードケーブル3からなるフロートセンサ1であって、フロートが母線方向に長い円柱形状でありその長手方向に貫通孔1aを有し、重り部材2はリードケーブル3に摺動自在に取り付けられており、リードケーブル3は、その先端が端末処理されており、一端からもう一端である先端に向けて順に、フロートの上部にある固定点にて固定されており、貫通孔1aに挿通され、フロートの下部にある重り部材2のある地点でU字状に折り返され、先端の付近においてフロートに固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロートと、重り部材と、リードケーブルからなるフロートセンサであって、該フロートが母線方向に長い円柱形状でありその長手方向に貫通孔を有し、該重り部材は該リードケーブルに摺動自在に取り付けられており、該リードケーブルは、その先端が端末処理されており、一端からもう一端である該先端に向けて順に、該フロートの上部にある固定点にて固定されており、該貫通孔に挿通され、該フロートの下部にある該重り部材のある地点でU字状に折り返され、該先端の付近において該フロートに固定されていることを特徴とするフロートセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面の状態を監視する検知器をもつフロートセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原油貯蔵タンクの周囲に設置された、長さ200m、径30mm程度のピットへの漏油に対する検知ができるセンサが必要とされている。漏油検知については、少量の漏油でも検知できるほうが好ましく、そのためには油の薄膜の状態で検知できる必要がある。しかしながら、上述したようなピットでは水位の上下変動が100m程度あり、上記油の薄膜を精度よく検知することができなかった。
【0003】
図1は、従来の代表的なフロートセンサの一つである。この方式では、フロート1に漏油検知器を備え水面に浮くことができるが、固定点4から伸びる、長さに余裕を持たせたリードケーブル3が水面下で絡まりあいやすく、水位の変動に伴うフロート1の上下変動によって、それが更に悪化し、最終的には、フロート1の円滑な上下変動が損なわれてしまう。
【0004】
図2は、従来の代表的なフロートセンサの一つであり、別の一例である。この方式は、前述した固定点の代わりに、定トルクバネ6を使用する方式である。この方式により、前述したように、リードケーブル3の長さがあまり、リードケーブル3が絡みあうといった問題はなくなるが、シンプルさに欠け、装置全体のコストアップにつながってしまう問題があった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上述した課題を解決するものであり、フロートと、重り部材と、リードケーブルからなるフロートセンサであって、該フロートが母線方向に長い円柱形状でありその長手方向に貫通孔を有し、該重り部材は該リードケーブルに摺動自在に取り付けられており、該リードケーブルは、その先端が端末処理されており、一端からもう一端である該先端に向けて順に、該フロートの上部にある固定点にて固定されており、該貫通孔に挿通され、該フロートの下部にある該重り部材のある地点でU字状に折り返され、該先端の付近において該フロートに固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上述した構成により、フロートが大きく上下変動する環境下で長大なリードケーブルを使用しても、それが絡み合うことがなく、わずかな漏油を精度よく検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来のフロートセンサの一例である。
図2】従来のフロートセンサの別の一例である。
図3】本発明のフロートセンサの一例である。
図4】本発明の重り部材の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の課題解決原理を図3を使用して説明する。液面に浮くフロート1とそのフロート1の上部にある固定点(図示しない)との間には、余裕長をもって連結するリードケーブル3には摺動自在に取り付けられた重り部材2が存在されており、リードケーブル3には常に張力が与えられて、これによりリードケーブル3のたるみが防止される。
【0009】
液面が上下すると、センサが取り付けられたフロートもこれに伴い上下変動するが、フロート1に連結されたリードケーブル3には重り部材2が摺動自在にに取り付けられており、これによりリードケーブル3には常に重力方向に張力が作用し、その結果 リードケーブル3にたるみが生じることはなく、リードケーブル3の絡み合いも生じなくなるという原理である。
【0010】
本発明のフロートは細長い円柱形状をとる。ここで、細長いとは、円柱の母線に直角な断面である円の直径より母線の長さが長いことを言う。本発明の対応するピットの形状も細長い形状をとっており、その中で安定的に上下移動するために、本発明のフロートの形状をこれが対応するピットの形状に近づける必要がある。まず、本発明のフロートは細長いことが必要である。フロートの長さが短い場合、上下移動する際にフロートが上下反転するおそれがあり、その場合、長大なリードケーブルが絡まってしまう。本発明の対応するピットのようにその内部が狭い場合、長大なリードケーブルが絡まってしまうと、フロートの円滑な上下移動が妨げられてしまい、本発明の課題を解決できない。ただし、フロートが長すぎると、上下移動する際にピットの内壁と擦れあう頻度が高くなるため、フロートの長さは円の直径の10倍以内の範囲が好ましい。次に本発明のフロートは円柱形状をとる必要がある。これもフロートが上下移動する際にピットの内壁と擦れ合う頻度を小さくするため、フロートの形状をピットの形状にあわせるものである。
【0011】
本発明のフロート1には、リードケーブル3が挿通される貫通孔1aを有しており、重り部材2のところで折り返されたリードケーブル3はその先端3a、つまりセンサ部分がフロート1に固定されている。リードケーブル3は、貫通孔1aのところからリードケーブル3の先端3aまでの間で重り部材2が取り付けられ、常にリードケーブル3に張力を付与しているので、フロート1が上下変動して、貫通孔1aのところからリードケーブル3の先端3aまでのリードケーブルの長さが変動してもリードケーブル3がたるんで絡みあうようなことはない。更に、貫通孔1aを通過したリードケーブル3は重り部材2のところから折り返して再びフロート1に戻るので、フロート1の下部分のリードケーブルが横方向に広がることはなく、上下に動く際にピットの壁面に触れて絡み合うこともない。
【0012】
本発明のフロートの素材等は、フロートがフロートしての機能を有すれば何でもよい。発泡スチロール等の軽量プラスチックをメインの材料としてもよく、また、中空の素材を用いていてもよい。ただし、フロート自身はピットの内壁と擦れあうことを考慮して、フロートの外表面は強度の高く、耐摩耗性の優れたものが好ましい。
【0013】
本発明の重り部材2は、リードケーブル3に対して摺動自在に取り付けられている。重り部材2は、リードケーブル3に対して安定的に張力を付与していくものであれば何でもよく、機械的要素を持つ滑車のようなものでもよい。但し、ピットの内部という狭い空間であり、更に100m程度の上下変動があることを考慮すると、機械的要素のない単純な重りであることがより好ましい。
【0014】
図4は、重り部材の一例である。図4は金属製の管でそれをU字に折り曲げたものである。リードケーブルは上記金属製の管の中で繰り返し摺動されることから、U字状の金属管の内部は、低摩擦係数の素材、例えばフッ素樹脂、でコーティングされていることが好ましい。
【0015】
本発明のリードケーブル3は、その先端3aがストリップ処理され、これにより抵抗検知式センサの2芯のセンサ部分を構成することになる。つまり、水だけの状態から油膜ができた状態に変わったときの、抵抗の上昇(断線状態)を検知して、漏油の有無を判断するものである。リードケーブル3の先端3aをストリップする長さは任意であるが、例えば10mmストリップすると、10mm以上の油膜検知が可能となり、5mmストリップした場合は5mm以上の油膜検知が可能となる。
【0016】
本発明のリードケーブルは、摺動部材でもある重り部材との摩擦抵抗を考慮すると、ふっ素樹脂で被覆したものが好ましい。
【符号の説明】
【0017】
1 フロートセンサ
1a 貫通孔
2 重り部材
3 リードケーブル
3a リードケーブル先端
4 固定点
5 ピット
6 定トルクバネ
図1
図2
図3
図4