【実施例1】
【0029】
この発明の実施例を、
図1〜
図4に基づいて詳細に説明する。
図1〜
図2は、この発明による音聴棒1の要部断面図で、
図1は、この発明による音聴棒1の通常の使用状態を示す図、
図2は、漏洩個所の探査開始時における状態を示す図である。
図3は、この発明による音聴棒1の衝撃音防止機構を構成する各部品を示す図で、(a)は下ケース3bの要部平面図、(b)はパイプ13の斜視図、(c)は円板14の平面図、(d)はポール15の要部側面図、(e)は支持部16の平面図、(f)は振動吸収部材17の斜視図である。
図4は要部側面図である。
【0030】
図1〜
図3において、この発明による音聴棒1は、バー2の先端部2aにより漏洩箇所からの漏洩音を捕捉し、この捕捉した漏洩音を伝搬するバー2と、このバー2の末端部2bに取り付けられているケース3と、このケース3の内部に配設されており、漏洩音により振動する振動機構と、漏洩個所の探査開始時に発生する衝撃音による補助振動板4の振動を吸収可能な衝撃音防止機構とにより構成されている。
【0031】
バー2はステンレス等の硬い金属等が用いられ、バー2の先端部2aは、尖鋭状に形成されており、この先端部2aを埋設管路に付設されている止水栓、仕切弁、消火栓等に当接させ、あるいは、ボーリング孔に音聴棒1を挿入し、埋設管路の近傍迄バー2の先端部2aを突き刺して、漏洩箇所からの漏洩音を捕捉している。バー2の末端部2b外周には、ネジ部が形成されており、このネジ部に、振動機構、衝撃音防止機構の一部分を構成する支持部、振動吸収部材及びそれらの取付部品等が配設されているケース3が取り付けられている。
【0032】
ケース3は、バー2の末端部2bに取り付けられる下ケース3bと、この下ケース3bの開口端を覆う上ケース3aとにより構成され、アルミニウム等の軽量な金属で内部が空洞に形成されている。ケース3の内部に配置されている振動機構は、補助振動板4、円板型振動板5、Oリング6等及びそれらの取付部品により構成されている。
【0033】
さらに、下ケース3bの開口端外周には、雄ネジ部が形成されており、下ケース3bの中央部底面には、バー2の末端部2bが貫通する孔3cが形成されている。この孔3cからバー2の末端部2bは下ケース3b内に突出し、この突出した部分にはネジ部が形成されている。従って、このネジ部とナット7、8、平ワッシャ9、10等の取付部品により、バー2の末端部2bに、下ケース3bが取り付けられる。なお、この際、バー2の末端部2bに形成されているネジ部は、後述するブラケット11をネジ止め固定するために、ナット8からもある程度突出している。
【0034】
又、上ケース3aの中央部には、耳を当てて漏洩音を聴くための音聴孔3fが開設されており、上ケース3aの開口端内周には、下ケース3bの雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されている。さらに、上ケース3a内には、ゴムやプラスチック等のような柔軟性、耐久性、耐水性のある部材で形成されているOリング6が配置されている。
【0035】
円板型振動板5は、上ケース3aの内径に略等しい直径を有する円板型で、銅、リン青銅、ステンレス等の振動伝搬性が良く、高硬度、高弾性を有する金属で形成されている。上ケース3aの開口端内周に形成されている雌ネジ部と下ケース3bの開口端外周に形成されている雄ネジ部とを互いに螺合させると、円板型振動板5は、下ケース3bの開口端とOリング6を介在して上ケース3aの開口端内周頂部とにより狭持された状態となり、いずれの箇所にも固定されていない。
【0036】
ケース3の内部に配設される補助振動板4は、この実施例の場合には、支持線4aの両端に音叉型振動板4b、4bが、カシメあるいは半田付けにより固定された構造となっている。なお、この実施例の場合には、支持線4aとしては高炭素線であるピアノ線を用いているが、強度と靱性が優れた硬鋼線等であっても良い。
【0037】
ブラケット11は、2枚の補助振動板4、4を下ケース3bの孔3cから突出しているバー2の末端部2bに取付け、固定するためのもので、バー2の末端部2bに形成されているネジ部が嵌入する円筒部と、この円筒部の頂部に立設されている支持柱とにより構成されている。支持柱は、2枚の補助振動板4、4を水平方向となるように支持する手段を有している。円筒部の内周面にはバー2のネジ部と螺合するネジ溝が形成されている。
【0038】
さらに、この実施例の場合には、2枚の補助振動板4、4を水平方向となるように支持する手段として、支持柱には、互いに直行する2本の凹溝が十字型に形成されている。この凹溝には、2枚の補助振動板4、4が、水平方向において互いに直行し、且つ、平行となるように、支持線4aの中心部分が、それぞれ挿入され接着剤または半田付けにより固定されている。
【0039】
なお、上ケース3aの開口端内周に形成されている雌ネジ部と下ケース3bの開口端外周に形成されている雄ネジ部とを互いに螺合させた際、2枚の補助振動板4、4と円板型振動板5との間には、間隙12が存在するとともに、さらに、円板型振動板5は、互いに下ケース3bの開口端とOリング6を介在して上ケース3aにより狭持された状態となり、いずれの箇所にも固定されていない。従って、補助振動板4からの振動は、間隙12を介して円板型振動板5に伝搬される。
【0040】
なお、この実施例では、補助振動板4は2枚用いているが、これに限定されるものではなく、補助振動板は3枚、4枚さらに多数枚であっても良い。なお、補助振動板を複数枚用いる場合には、各補助振動板は、バー2の末端部2bを中心点として互いに等角度になるように配置する。
【0041】
又、この実施例では、2枚の補助振動板4、4を、水平方向において互いに直行し、且つ、平行となるように組み合わせて使用し、ブラケット11に固定しているが、これに限定されるものではない。支持線4aと音叉型振動板4bとをカシメあるいは半田付けにより固定したものを、それぞれの音叉型振動板4bが水平方向において互いに平行となるように、それぞれの支持線4aにおける音叉型振動板4bが固定されていない端を複数個組み合わせて、1枚の補助振動板4となるように形成し、ブラケット11に固定するようにしても良い。
【0042】
又、この実施例では、ブラケット11を介して補助振動板4、4をバー2の末端部2bに取り付けているが、これに限定されるものではなく、下ケース3bから突出しているバー2の末端部2bに、補助振動板4、4・・・の支持柱4a、4a・・・を挿入し固定するための凹溝を、直接形成しても良い。この場合には、ブラケット11を用いる必要がないので、部品点数及び作業工程を減らすことが出来る。
【0043】
衝撃音防止機構は、円板14の下面あるいはパイプ13を押圧・解除することにより、ポール15に支持された支持部16と振動吸収部材17とが一体となって上下動して、補助振動板4に接触・離反することにより、補助振動板4の振動を阻止・解除するように構成されており、この実施例では、
図3(a)〜(f)に示すように、主として、パイプ13、円板14、ポール15、支持部16、振動吸収部材17等により構成されている。
【0044】
パイプ13は、内部が中空で、バー2の末端部が貫通可能な内径を有し、このパイプ13の上端部は、円板14の中心部に形成されている貫通孔14aの内壁に固定されている。従って、バー2の末端部2bは、パイプ13の内部に挿入されるとともに、貫通孔14aを貫通して、円板14の上面(下ケース3bの外面側)からケース3内へ摺動自在に突出可能となっている。さらに、円板14の上面には、略L型のポール15が複数本(この実施例の場合には3本)立設されている。このポール15は、先端部が下ケース3bに設けた貫通孔3gからケース3内へと上下動自在に貫通するように構成されている。
【0045】
一方、下ケース3bには、
図3(a)に示すように、ポール15の本数に対応する数の貫通孔3gが形成されており、ポール15の先端部は、この貫通孔3gからケース3内に突出するとともに、その先端は支持部16の下面(下ケース3bの内面側)に固定されている。
図3(e)に示すように、支持部16は、中心部に大きな開口部16aが形成されているリング状の板で、このリング状の板部分にポール15の先端が固定されている。
【0046】
図3(f)に示すように、振動吸収部材17は、低反発ゴム等のように、補助振動板4の振動を吸収することの出来る部材が用いられており、中心部に支持部16の開口部16aと連通するとともに、開口部17aが形成されており、支持部16の上面(上ケース3a側の面)に固着されている。さらに、振動吸収部材17は、開口部17aの半径が補助振動板4の支持線4aの長さとほぼ同じになるように構成されているとともに、振動吸収部材17の開口端外周の直径が補助振動板4の長手方向の長さとほぼ同じになるように構成されている。即ち、振動吸収部材17の上面が補助振動板4の下面の音叉型振動板4aに接触して、その振動を阻止できるように構成されている。なお、支持部16に固着した振動吸収部材17の上面と補助振動板4との間には、間隙18が介在している。
【0047】
なお、この実施例の場合には、振動吸収部材17は、は、支持部16と同じ形状のリング状に形成されているが、これに限定されるものではなく、矩形状、円形状等の形状でもよく、補助振動板4の音叉型振動板4a部分に接触して、その振動を阻止できる形状であればいかなる形状であってもよい。
【0048】
衝撃音防止機構は、このように構成されているので、漏洩音の探査を開始する時には、まず、親指を上ケース3aに当てるとともに、円板14の下面にその他の指を当て、あるいは、パイプ13を把持して上方向(下ケース3b方向)に押圧すると、パイプ13及び円板14、支持部16及び振動吸収部材17とが一体となって、バー2の末端部2bを中心軸として、又、ポール15を支持部16及び振動吸収部材17の支持軸として、上方向に間隙18だけ移動し、振動吸収部材17の上面が補助振動板4の下面と当接する。
【0049】
振動吸収部材17の上面が補助振動板4の下面と当接すると、補助振動板4の振動は、振動吸収部材17に吸収され、円板型振動板5のみが振動することとなり、漏洩音の出力感度は低下する。従って、探査開始時に、円板14の下面を押圧した状態を1〜2秒程度保持すれば、探査開始時に発生する衝撃音は緩和される。
【0050】
次いで、円板14の下面を押圧した状態を解除して、パイプ13を把持して下方(下ケース3bから離れる方向)に解除すると、パイプ13及び円板14、支持部16及び振動吸収部材17とが一体となって、バー2及びポール15を軸として間隙18だけ下方向に移動し、振動吸収部材17の上面が補助振動板4の下面から離間するので、補助振動板4は再び漏洩音により振動を開始する。従って、漏洩音による補助振動板4の振動は、間隙12を介して円板型振動板5に伝搬するので、漏洩音の出力感度は高くなる。
【0051】
図4に示すように、ポール15で包囲されている下ケース3bの外底面と円板14との間隙に、バー2を中心軸としてバネ19が巻回されている。このように構成されているので、円板14の下面を押圧した状態を解除すると、バネ19の反発力により、パイプ13及び円板14、支持部16及び振動吸収部材17とが一体となって、バー2及びポール15を軸として、自動的に下方向に移動し、補助振動板4と振動吸収部材17との間に間隙19が生じ、補助振動板4は再び漏洩音により振動を開始する。
【0052】
なお、この実施例では、バネ19はスプリングコイルを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、下ケース3bと円板14との間に、板バネを屈曲して圧縮した状態で配置してもよい。要するに、円板14の下面を押圧した状態を解除すると、補助振動板4と振動吸収部材17との間に間隙18が形成されるように、パイプ13及び円板14、支持部16、振動吸収部材17を、自動的に下方向に移動させることの出来る弾性体、即ち、補助振動板4と振動吸収部材17とを離間する方向に付勢された弾性体を配置すればよい。
【0053】
次に、発明者は、この発明による音聴棒1と先に出願した(特許文献2)発明に係る音聴棒201の性能について比較測定した。
【0054】
図5は、先に発明者が出願した音聴棒201を用いて漏洩個所を探査するためにバー202の先端部を被測定箇所に接触させた時に捕捉された漏洩音、即ち、衝撃音を含んだ漏洩音の周波数特性図で、横軸は周波数(Hz)、縦軸は出力感度(dB)を示している。測定周波数範囲は、20Hz〜10kHz帯の場合を示している。同様に、
図6は、この発明による音聴棒1を用いて漏洩個所を探査するためにバー2の先端部2aを被測定箇所に接触させた場合の結果を示している。
【0055】
図5及び
図6の測定結果からも明らかなように、探査開始時から1〜2秒間程度発生する衝撃音は、先に出願した音聴棒201の場合には、
図5に示すように、100Hz〜350Hzの周波数範囲で、出力感度−60dB程度のピーク値が検出されており、このピーク値が衝撃音として作業者に不快感を与える。一方、この発明による音聴棒1を用いた場合には、
図6に示すように、このようなピーク値は検出されていない。
【0056】
このように、この発明による音聴棒1は、探査開始時に発生する衝撃音の感度を低下させて作業者にもっとも不快感を与える衝撃音を除去することが出来る。
【0057】
次に、この発明による音聴棒1の組立、作用動作について、
図1〜
図3に基づいて説明する。
まず、この発明による音聴棒1の組立方法について、説明する。
バー2の末端部2bに、取付部品等のナット7、平ワッシャ9を挿入するとともに、さらに、バー2の末端部2bを下ケース3bの中央部底面に形成されている孔3cから下ケース3b内に挿入し、必要な位置迄突出させる。次いで、平ワッシャ10、ナット8等の取付部品により締め付ければ、バー2の末端部2bに、下ケース3bが取り付け固定される。なお、下ケース3bには、3本のポール15がそれぞれ貫通する3個の貫通孔3gが形成されている。又、上ケース3aには、その内周囲に沿ってOリング6を嵌め込む。
【0058】
一方、パイプ13の上端部を、円板14の中心部に形成されている貫通孔14aの内壁に固定する。さらに、円板14の上面(下ケース3bの外面側)に、3本のL型のポール14を等間隔に立設固定する。このようにして、パイプ13、円板14、ポール15を組み立てた後、これを、円板14が上方向(下ケース3b方向)となるようにして、パイプ13内にバー2の先端部2aからバー2を挿入するとともに、ポール15の先端部を下ケース3bの貫通孔3gからケース3内へ挿入する。
【0059】
なお、バネ19を用いる場合には、組み立てられているパイプ13、円板14、ポール15をバー2に挿入する前に、バネ19をバー2に巻回若しくは挿入した後、ポール15の先端部を下ケース3bの貫通孔3gからケース3内へ挿入する。
【0060】
又、支持部16に振動吸収部材17を固着し、この支持部16の下面(下ケース3bの内面側)に、貫通孔3gからケース3内に突出しているポール15の先端部を位置決め固定する。この際、バー2の末端部2bのネジ部は、ブラケット11に固定される補助振動板4と振動吸収部材17との間に間隙18が介在されるように、振動吸収部材17の上面から突出させる。
【0061】
次いで、バー2の末端部2bのネジ部に、ブラケット11をネジ止め固定した後、2枚の補助振動板4、4の支持線4a、4aの中心を位置決めして、それぞれ十字型に形成されている凹溝に挿入し、固定する。この際、2枚の補助振動板4、4は、水平方向において互いに直行し、且つ、平行となるように位置決めされるとともに、補助振動板4、4と振動吸収部材17とは、間隙18を介して互いに平行となるように位置決めされる。
【0062】
なお、ブラケット11をバー2の末端部2bのネジ部に固定する前に、ブラケット11の凹溝に、補助振動板4、4の支持柱4a、4aをそれぞれ挿入し、固定しても良く、この場合には、作業性が良くなるとともに、補助振動板4と円板型振動板5との間の間隙12の微調整が容易となり、音聴棒1の調整が容易である。
【0063】
次に、下ケース3bの開口端に、円板型振動板5を載置するとともに、上ケース3aの開口端内周に形成されている雌ネジ部3eと下ケース3bの開口端外周に形成されている雄ネジ部3dとを互いに螺合させて、上ケース3aにより下ケース3bの開口端を覆うと、ケース3が組み立てられ、音聴棒1が完成する。なお、この状態では、上記したように、円板型振動板5は、下ケース3bの開口端部とOリング6を介在して上ケース3aにより狭持された状態で、いずれの箇所にも固定されておらず、フリーの状態となっている。
【0064】
次に、この発明による音聴棒1の作用動作について説明する。
まず、漏洩個所の探査開始時に、パイプ13を挟持するように円板14の下面に2本の指を当て、親指を上ケース3aに当て、互いにケース3を押圧する方向に力を加えると、振動吸収部材17は、円板14、ポール15、支持部16を介して上ケース2a方向に押し上げられる。この状態では、
図2に示すように、振動吸収部材17は補助振動板4に接触した状態となる。
【0065】
この状態を保持したままで、音聴棒1のバー2の先端部2aを、埋設管路に付設されている止水栓、仕切弁、消火栓等に当接させ、あるいは、ボーリング孔に音聴棒1を挿入し、埋設管路にバー2の先端部2aを1秒〜秒間程度当接させた状態を保持すれば、探査開始時に発生する音聴棒1のバー2の先端部2aと埋設管路の金属部分との接触により発生する衝撃音は、補助振動板4に伝達される。しかしながら、補助振動板4と振動吸収部材17とが接触した状態となっているので、衝撃音は振動吸収部材17に吸収され、音聴孔3fから作業者の耳に到達することはなく、作業者に不快感を与えることはない。
【0066】
次いで、指の押圧力を解除すると、
図4に示すように、バネ19を用いた形式の音聴棒の場合には、指の押圧力を解除すると、バネ19の反発力により、補助振動弁4と振動吸収部材17との接触は自動的に解除され、埋設管路を伝搬する漏洩箇所からの漏洩音は、バー2の先端部2aからバー2の末端部2bへと伝搬される。この際、振動吸収部材17と補助振動板4との間には、間隙18が介在しているので、漏洩音の伝搬波は、振動吸収部材17に吸収されることなく、補助振動板4へと伝搬され、この補助振動板4を振動させる。
【0067】
このように、円板14の下面あるいはパイプ13を押圧・解除することにより、ポール15に支持された円板14と支持部16に固定された振動吸収部材17とが一体となって上下動して、補助振動板4の振動を阻止・解除するように構成されている。
【0068】
なお、バネ19を用いない形式の音聴棒の場合には、パイプ13をバー2の先端部2a方向に引っ張ると、振動吸収部材17と補助振動板4との接触が解除されるように構成すればよい。なお、弾性体は用いた形式の音聴棒の場合には、非常に作業性が良くなる。
【0069】
このように、この実施例では、漏洩音の探査開始時に発生する衝撃音は、阻止されるとともに、補助振動板4、4としては、音叉型振動板4b、4b・・を用いているので、漏洩音の伝搬波を増幅する作用があり、ケース3の容積が小さい場合であっても、低音域の感度を向上させることが出来る。さらに、ケース3を小型化することによる残響音の発生は、補助振動板4により抑制されて音の回り込みがなくなり、漏洩音を鮮明に聴くことが出来る。
【0070】
次いで、補助振動板4、4の振動(伝搬波)は、間隙12を伝搬して円板型振動板5へと伝搬され、低音域の感度を向上させるとともに、残響音が抑制されるので、音聴孔3fに耳を当てて漏洩箇所からの漏洩音を鮮明に聴くことが出来る。なお、この際、円板型振動板5はいずれの箇所にも固定されておらず、フリーの状態となっているので、拘束されることなく振動することが出来、漏洩音の伝搬波を、さらに増幅する作用がある。
【0071】
従って、バー2、下ケース3b、補助振動板4、間隙12、円板型振動板5へと伝搬する漏洩音の伝搬波は、減衰することなく、むしろ補助振動板4及び円板型振動板5により増幅されて伝搬するので、漏洩箇所からの漏洩音が小さく、即ち、その伝搬波の振幅が小さい場合であっても、感度良く聴くことが出来るとともに、埋設箇所に漏洩箇所があるか否かを的確に判別することが出来る。さらに、
図9に示す測定結果からも明かであるように、この発明による音聴棒1の周波数特性の直線性が良いので、定位感が増し、漏洩箇所の特定が容易となる。