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特開2015-132698印刷装置、印刷制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-132698(P2015-132698A)
(43)【公開日】2015年7月23日
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20150630BHJP
【FI】
   G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-3791(P2014-3791)
(22)【出願日】2014年1月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000104124
【氏名又は名称】カシオ電子工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】北村 繁樹
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033AA24
2H033AA32
2H033BA29
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB24
2H033BB29
2H033BB30
2H033CA07
2H033CA17
2H033CA30
2H033CA45
2H033CA48
(57)【要約】
【課題】加熱ローラの記録媒体が通過しない非通過部を効率的に冷却することを可能とする。
【解決手段】印刷装置は、記録媒体に現像剤像を転写する転写部と、転写部で現像剤像が転写された記録媒体に現像剤像を定着させるための熱を供給する加熱ローラと、記録媒体と接触しない前記加熱ローラの第1の部分の温度を検知する第1の温度検知手段と、第1の温度検知手段により検知された温度が冷却条件を満たすと、加熱ローラの第1の部分を冷却する冷却手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に現像剤像を転写する転写部と、
前記転写部で前記現像剤像が転写された前記記録媒体に前記現像剤像を定着させるための熱を供給する加熱ローラと、
前記記録媒体と接触しない前記加熱ローラの第1の部分の温度を検知する第1の温度検知手段と、
前記第1の温度検知手段により検知された温度が冷却条件を満たすと、前記加熱ローラの前記第1の部分を冷却する冷却手段と、
を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記冷却手段は、
冷却部と、
前記加熱ローラの前記第1の部分に接触して前記第1の部分の熱を前記冷却部に伝導する熱伝導部と、
前記第1の温度検知手段が検知した温度が前記冷却条件を満たすと、前記熱伝導部を前記第1の部分に接触させて、前記加熱ローラの冷却を開始する冷却開始手段と、
前記第1の温度検知手段が検知した温度が冷却停止条件を満たすと、前記第1の部分に接触している前記熱伝導部を前記第1の部分から離接させて、前記加熱ローラの冷却を停止する冷却停止手段と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
セット部にセットされた前記記録媒体の記録幅を判別する記録幅判別手段と、
それぞれが、前記第1の部分に接触して前記第1の部分の熱を前記冷却部に伝導する、前記第1の部分に接触する接触部の幅が互いに異なる複数の前記熱伝導部と、
前記複数の熱伝導部のうちから、前記記録幅判別手段が判別した前記記録媒体の前記記録幅に適合する前記熱伝導部を選択する選択手段と、
をさらに備え、
前記冷却開始手段は、前記第1の温度検知手段が検知した温度が前記冷却条件を満たすと、前記選択手段が選択した前記熱伝導部を前記第1の部分に接触させて、前記加熱ローラの冷却を開始する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記記録媒体と接触する前記加熱ローラの第2の部分の温度を検知する第2の温度検知手段をさらに備え、
前記冷却条件は、前記第1の温度検知手段により検知された温度が上限温度を超えた場合、又は、前記第1の温度検知手段により検知された前記第1の部分の温度と前記第2の温度検知手段により検知された前記第2の部分の温度との温度差が第1の許容温度差を超えて高くなった場合、に満たされ、
前記冷却停止条件は、前記第1の温度検知手段により検知された温度が、前記上限温度よりも低い温度に設定された下限温度を下回った場合、又は、前記第1の温度検知手段により検知された前記第1の部分の温度と前記第2の温度検知手段により検知された前記第2の部分の温度との温度差が前記第1の許容温度差よりも小さな値に設定された第2の許容温度差を下回った場合、に満たされる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の印刷装置。
【請求項5】
記録媒体に現像剤像を転写する転写部と、
前記転写部で前記現像剤像が転写された前記記録媒体に前記現像剤像を定着させるための熱を供給する加熱ローラと、
を備える印刷装置の印刷制御方法であって、
前記記録媒体と接触しない前記加熱ローラの第1の部分の温度を検知する第1の温度検知ステップと、
前記第1の温度検知ステップにより検知された温度が冷却条件を満たすと、前記第1の部分を冷却する冷却ステップと、
を備える、
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項6】
記録媒体に現像剤像を転写する転写部と、
前記転写部で前記現像剤像が転写された前記記録媒体に前記現像剤像を定着させるための熱を供給する加熱ローラと、
を備える印刷装置のプログラムであって、
コンピュータに、
前記記録媒体と接触しない前記加熱ローラの第1の部分の温度を検知する第1の温度検知処理と、
前記第1の温度検知処理により検知された温度が冷却条件を満たすと、前記第1の部分を冷却する冷却処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置、印刷制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置では、一般に、加熱ローラと加圧ローラとで熱と圧力とを加え、転写されたトナー像を記録媒体に定着させる。ここで、加熱ローラの記録媒体が通過する通過部は記録媒体により熱が奪われるが、加熱ローラの記録媒体が通過しない非通過部は放熱されることなく過熱状態になることがある。これは、加熱ローラの材質にダメージを与え、加熱ローラの寿命の低下につながる。また、加熱ローラの記録媒体が通過しない非通過部が過熱状態のまま、サイズが大きい記録媒体に変更して印刷を実行すると、トナーの定着不良が生じることがある。
【0003】
この問題を解決するために、特許文献1は、加熱ローラの熱を吸収する吸収板と、熱を大気中に放出する放熱板と、ペルチェ素子と、から構成される冷却装置を加熱ローラの両端部に離間して配置することにより、加熱ローラの両端部を冷却する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−279266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、加熱ローラの両端部に配置された吸収板の所定の幅を冷却できるにとどまり、記録媒体の記録幅に応じて異なる非通過部の幅を冷却することができない。また、ペルチェ素子は、それ自体が発熱することや電力消費が大きいこと等から、熱交換方式等による他の冷却手段と比較して冷却効率が悪い。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、加熱ローラの記録媒体が通過しない非通過部を効率的に冷却することができる、印刷装置、印刷制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明に係る印刷装置は、
記録媒体に現像剤像を転写する転写部と、
前記転写部で前記現像剤像が転写された前記記録媒体に前記現像剤像を定着させるための熱を供給する加熱ローラと、
前記記録媒体と接触しない前記加熱ローラの第1の部分の温度を検知する第1の温度検知手段と、
前記第1の温度検知手段により検知された温度が冷却条件を満たすと、前記加熱ローラの前記第1の部分を冷却する冷却手段と、
を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加熱ローラの記録媒体が通過しない非通過部を効率的に冷却することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る印刷装置の全体構成を模式的に示す図である。
図2】(A)は、記録媒体セットユニットの斜視図である。(B)〜(D)は、(A)のA−A断面図である。(B)は、スイッチ素子SW1がオンになった状態を示す図である。(C)は、スイッチ素子SW2がオンになった状態を示す図である。(D)は、スイッチ素子SW1及びSW2がオンになった状態を示す図である。
図3】記録媒体の記録幅を検出するための構成を示す図である。(A)は、スイッチ素子のオン/オフ状態と記録媒体の記録幅との対応関係を示すテーブルである。(B)は、記録媒体の記録幅を検出するための回路図である。
図4】実施形態1に係る画像形成装置の内部構成を示す断面図である。
図5】ヒートパイプユニット、加熱ローラ、従動ローラの内部の構造を示す概略図である。(A)は、ヒートパイプが待機位置にある状態のヒートパイプユニット、加熱ローラ、従動ローラの長手方向に直交する断面図であり、(B)のB−B断面図でもある。(B)は、(A)のA−A断面図である。(C)はヒートパイプが作用位置にある状態のヒートパイプユニット、加熱ローラ、従動ローラの長手方向に直交する断面図であり、(D)のD−D断面図でもある。(D)は、(C)のC−C断面図である。
図6】(A)は、ヒートパイプユニットの種別とその種別毎に内蔵するヒートパイプとを示す図である。(B)は、ヒートパイプユニットの種別と、ヒートパイプユニットの非接触部の幅と、記録媒体の記録幅と、を対応づけたヒートパイプユニット対応テーブルを示す図である。
図7】駆動部の構造を示す概略図である。
図8】ヒートパイプユニットの種別を検出するための構成を示す図である。(A)は、ヒートパイプユニットの種別と検出電圧との対応関係を示すテーブルである。(B)は、ヒートパイプユニットの種別を検出するための回路図である。
図9】実施形態1に係る画像形成装置の制御に係る構成を示すブロック図である。
図10】加熱ローラの表面温度分布のイメージを示す図である。
図11】(A)は、実施形態1に係る印刷装置が実行する適合判別処理のフローチャートである。(B)は、実施形態1に係る印刷装置が報知するメッセージ画面を示す図である。
図12】実施形態1に係る印刷装置が実行する冷却処理のフローチャートである。
図13】複数のヒートパイプを内蔵するヒートパイプユニットの構造を示す概略図である。(A)は、ヒートパイプが待機位置にある状態を示す概略図である。(B)は、ヒートパイプが作用位置にある状態を示す概略図である。
図14】実施形態2に係る印刷装置が実行する適合判別処理のフローチャートである。
図15】加熱ローラの周囲に複数のヒートパイプユニットを配置した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る印刷装置について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施形態1)
図1に、本発明の実施形態に係る印刷装置の全体構成を示す。印刷装置100は、供給装置10と、画像形成装置20と、を備える。なお、以下に説明する実施形態では、記録媒体としてロール状の記録媒体99を使用する例を示すが、これに限るものではなく、カット状の記録媒体、ピン送り孔付き連続記録媒体等でもよい。
【0012】
供給装置10は、画像形成用の記録媒体として、記録媒体99を画像形成装置20に供給する。供給装置10は、巻き芯(管)の周りに記録媒体がロール状に巻き回されたロール状の記録媒体99を連続的に引き出して、画像形成装置20に搬送する。具体的に説明すると、供給装置10は、保持部(アンワインダ)18、搬送部11、をその内部に備え、さらに巻き取り部(リワインダ)19をその上に備える。供給装置10は、記録媒体を供給する供給手段として機能する。
【0013】
保持部(アンワインダ)18は、画像形成装置20へ供給するべき記録媒体99を保持するための部材である。保持部18は、記録媒体99の巻き中心にある巻き芯を貫通して記録媒体99を保持する回転可能な回転軸(シャフト)と、この回転軸を支持する支持台と、から構成され、記録媒体99を回転可能に保持する。保持部(アンワインダ)18は、保持手段として機能する。
【0014】
保持部18には、回転軸を回転させるための不図示のモータが搭載される。保持部18は、このモータの駆動により、指示された単位時間当たりの回転数(単位時間に回転する回数)で保持部18の回転軸を回転させて、保持している記録媒体99を巻き出して搬送部11に送り出す。
【0015】
搬送部11は、保持部18から巻き出された記録媒体99を所定の搬送経路に沿って搬送し、画像形成装置20へと供給する搬送手段として機能する。具体的には、搬送部11は、テンションローラ12、従動ローラ13、記録媒体セットユニット14、記録媒体搬送ローラ対15、オートカッタ16、本体進入搬送ローラ対17、を備える。
【0016】
テンションローラ12は、搬送部11における保持部18の直後に設置され、保持部18から送り出された記録媒体99がたるまないように制御する。テンションローラ12は、鉛直方向に移動可能に設置され、自重又はバネ等の力により鉛直下向きに移動して搬送中の記録媒体99にバックテンションを与える。このようなテンションローラ12の機能により、記録媒体99に掛かるテンション(張力)が一定に保たれ、記録媒体99の搬送が安定する。
【0017】
従動ローラ13は、記録媒体99の搬送に従動して、位置が固定された所定の回転軸の周りを回転するローラである。従動ローラ13は、搬送経路におけるテンションローラ12の下流に配置され、記録媒体99の搬送方向を調整する役割を果たす。
【0018】
記録媒体セットユニット14は、記録媒体99の供給位置を規制するために用意されたセット部としてのユニットである。記録媒体セットユニット14は、記録媒体セットユニット14本体に開閉自在に係合されたトップカバーと、記録媒体99の搬送方向に直交する搬送直交方向に記録媒体99のずれを規制する規制ガイドと、を備える。トップカバーは、記録媒体搬送ローラ対15の上側のローラを保持する部材と一体的に構成されており、記録媒体搬送ローラ対15と共に開閉される。規制ガイドは、記録媒体セットユニット14本体の底板にスライド自在に取り付けられており、記録媒体99の記録幅判別手段として機能する。
【0019】
ここで、図2及び図3を参照して、記録媒体99の記録幅を判別するための構成について説明する。なお、記録幅とは、搬送方向に直交する搬送直交方向における記録媒体99の長さ(幅)を意味する。
【0020】
図2(A)に示すように、記録媒体99は、オペレータにより保持部(アンワインダ)18から巻き出され、記録媒体セットユニット14の底板上に載置される。オペレータは、載置した記録媒体99の搬送直交方向のずれが生じないように、規制ガイド14aを搬送直交方向にスライドさせて記録媒体99の搬送位置を規制する。これにより、記録媒体99は、搬送直交方向のずれが抑制され、正規の状態で搬送される。
【0021】
規制ガイド14aの底板には、突出部14bが一体形成されており、この突出部14bは、規制ガイド14aのスライドと連動して搬送直交方向に移動する。また、突出部14bの下方には、マイクロスイッチ、リードスイッチ等のスイッチ素子(SW1,SW2)14c,14dが配置されている。
【0022】
また、図2(B)〜(D)に示すように、突出部14bの下面には、スイッチを押下するための押下片14f,14eが配置されている。記録媒体セットユニット14の底板上に載置された記録媒体99の記録幅に応じてスライドさせた規制ガイド14aが停止した位置で、押下片14f又は/及び14eがスイッチ素子14c又は/及び14dを押下するように構成されている。これにより、スイッチ素子14c,14dのオン/オフが切り替わる。
【0023】
図2(B)に示すように、A5の記録媒体99を規制する位置で突出部14bが停止した場合、押下片14eによりスイッチ素子(SW1)14cは押下され、オン状態となる。一方、スイッチ素子(SW2)14dは、オフ状態である。また、図2(C)に示すように、B5の記録媒体99を規制する位置で突出部14bが停止した場合、押下片14eによりスイッチ素子(SW2)14dは押下され、オン状態となる。一方、スイッチ素子(SW1)14cは、オフ状態である。また、図2(D)に示すように、A4の記録媒体99を規制する位置で突出部14bが停止した場合、押下片14fによりスイッチ素子(SW1,SW2)14c,14dは共に押下され、オン状態となる。
【0024】
図3(A)は、定形記録媒体A5,B5,A4の記録幅の記録媒体99がそれぞれ規制ガイド14aにより規制された場合、及び記録媒体99が規制ガイドにより規制されていない場合のスイッチ素子(SW1,SW2)14c,14dのオン/オフ状態を示すテーブルである。画像形成装置20は、スイッチ素子(SW1,SW2)14c,14dのオン/オフによって変化する電圧レベルの組み合わせに基づいて、記録媒体99の記録幅がいずれの定形記録媒体の記録幅に該当するかを判別する。
【0025】
図3(B)に示すように、スイッチ素子(SW1)14cと画像形成装置20の後述するCPU(Central Processing Unit)61の入力ポートIN1とを接続する信号線には、電源電圧Vcc1がプルアップ抵抗R1を介して接続されている。また、スイッチ素子(SW2)14dとCPU61の入力ポートIN2とを接続する信号線には、電源電圧Vcc2がプルアップ抵抗R2を介して接続されている。また、スイッチ素子(SW1)14cとスイッチ素子(SW2)14dとは、一端がグランドレベルに接地されたアース線により接続されている。
【0026】
例えば、記録媒体99が載置されておらず、規制ガイド14aにより記録媒体99が規制されていない場合、図3(B)に示すように、スイッチ素子(SW1,SW2)14c,14dはいずれもOFFの状態であり、各プルアップ抵抗R1,R2を介してプルアップされ、CPU61の入力ポートIN1とIN2とには、それぞれ、H(ハイ)レベルの電圧(3V)が印加される。
【0027】
また、例えば、A4の記録幅の記録媒体99を記録媒体セットユニット14に載置し、記録媒体99を規制するために規制ガイドをスライドさせた場合、スイッチ素子(SW1)14cはOFF、スイッチ素子(SW2)14dはONの状態となる。このため、CPU61の入力ポートIN1には、プルアップされ、H(ハイ)レベルの電圧(3V)が印加される。一方、入力ポートIN2には、グランドに直結し、L(ロウ)レベルの電圧(0V)が印加される。
【0028】
このように、CPU61は、印加される電圧の変化に基づいて、記録媒体セットユニット14にセットされた記録媒体99のサイズ(記録幅)を検出する。
【0029】
図1に戻って、記録媒体搬送ローラ対15は、記録媒体セットユニット14によりセットされた記録媒体99を後続の搬送機構へと搬送するための部材である。記録媒体搬送ローラ対15は、不図示のモータにより駆動され、記録媒体セットユニット14にセットされた記録媒体99を挟持して搬送し、オートカッタ16及び本体進入搬送ローラ対17に供給する。
【0030】
オートカッタ16は、必要に応じて記録媒体99をカットするための部材である。オートカッタ16は、例えば、画像形成装置20における画像形成に必要な長さの記録媒体99を搬送し終えたときに、記録媒体99の終端をカットする。
【0031】
本体進入搬送ローラ対17は、記録媒体99を画像形成装置20の内部へと搬送するための部材である。本体進入搬送ローラ対17は、不図示のモータにより駆動され、記録媒体搬送ローラ対15から供給された記録媒体99を挟持して搬送し、画像形成装置20へと供給する。
【0032】
ここで、供給装置10に記録媒体99をセットする操作を具体的に説明する。オペレータは、記録媒体99を保持部18から巻き出して、テンションローラ12の下側を通して、開状態にした記録媒体セットユニット14を経由して記録媒体搬送ローラ対15に挟む。この状態で記録媒体セットユニット14のトップカバーを閉じると、セットされた記録媒体99が適宜のセンサにより検出されて、記録媒体搬送ローラ対15が回転駆動する。そして、セットされた記録媒体99は、オートカッタ16を通って本体進入搬送ローラ対17まで搬送されて、画像形成装置20への進入直前の待機位置(ホームポジション)に設置される。
【0033】
一方、供給装置10上に設置された巻き取り部(リワインダ)19は、画像形成装置20から排出された記録媒体99を巻き取って保持するための部材である。巻き取り部19は、保持部18と同様、記録媒体99の巻き中心にある巻き芯(管)を貫通して記録媒体99を保持する回転可能な巻き取り軸(シャフト)と、この巻き取り軸を支持する支持台と、によって構成され、記録媒体99を回転可能に保持する。
【0034】
巻き取り部19には、巻き取り軸を回転させるための不図示のモータが搭載される。このモータの駆動により、巻き取り部19は、指示された単位時間当たりの回転数で巻き取り軸を回転させて、画像形成装置20から従動ローラ21を経由して送り出された記録媒体99を巻き取る。
【0035】
画像形成装置20は、供給装置10の天板上面に配置され、供給装置10から供給される記録媒体99に画像形成すべき画像データを出力する。画像形成装置20は、例えばラベルプリンタであり、供給装置10から連続的に供給される記録媒体99を記録媒体として、比較的大きな面積におよぶ画像データの画像形成を記録媒体の切れ目なく行うことができる。
【0036】
次に、図4を参照して、画像形成装置20の内部構成を説明する。以下、画像形成装置20として、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラープリンタを例にとって説明する。画像形成装置20は、画像形成部30、中間転写ベルトユニット40、定着部50等を備える。
【0037】
画像形成部30は、4つの画像形成ユニット31(31k、31c、31m、31y)が直列して設置された構成を備える。この4つの画像形成ユニット31のうちの上流側(図4における右側)の3つの画像形成ユニット31c、31m、及び31yは、それぞれ減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラートナーによるカラー画像を形成する。一方、下流側(図4における左側)の画像形成ユニット31kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0038】
各画像形成ユニット31は、下部に感光体ドラム32を備える。感光体ドラム32は、その周面が、例えば、有機光導電性材料で構成される。感光体ドラム32の近傍には、周面を取り巻くように、クリーナ33、帯電ローラ34、光書込ヘッド35、現像器36の現像ローラ37が配置される。
【0039】
現像器36は、上部に設置されたトナー容器に、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備え、下部には側面開口部に上述した現像ローラ37を備える。現像器36は、さらに内部にトナー撹拌部材、現像ローラ37にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ37上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備える。
【0040】
なお、図4ではブラック(K)用の画像形成ユニット31kの構成にのみ符号を付しているが、各画像形成ユニット31は、トナー容器に収納されたトナーの色を除いて同じ構成を備える。
【0041】
中間転写ベルトユニット40は、画像形成装置20内部のほぼ中央で、図4における左右のほぼ端から端まで扁平なループ状に延在する無端状の転写ベルト41、転写ベルト41を張架しながら図中の矢印A方向に循環移動させる張架ローラである駆動ローラ42及び従動ローラ43、を備える。転写ベルト41は、その表面上に各色の感光体ドラム32の現像剤像としてのトナー像を順次重ねて転写(一次転写)されることにより、4色重ね合わせのトナー像が形成される。また、転写ベルト41は、その表面上に転写されたトナー像を、記録媒体99に転写(二次転写)する転写位置に搬送する。
【0042】
中間転写ベルトユニット40は、転写ベルト41のループ内に、4個の画像形成ユニット31k,31c,31m,31yに対応する4個の一次転写ローラ44を備える。一次転写ローラ44は、それぞれ、転写ベルト41を介して感光体ドラム32の下部周面に押圧するための導電性発泡ゴムによって構成され、中間ベルト41と等速で回転し、転写ベルト41を感光体ドラム32に当接させたり感光体ドラム32から離接させたりする。一次転写ローラ44には、不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体ドラム32と一次転写ローラ44との間に一次転写電界を形成する。これにより、感光体ドラム32上に形成されたトナー像が転写ベルト41上に転写される。
【0043】
待機搬送ローラ対45は、供給装置10から搬送された記録媒体99を受け取り、受け取った記録媒体99を二次転写ローラ46に搬送する。
【0044】
二次転写ローラ46は、転写ベルト41を挟んで従動ローラ43に対向する位置に配置され、転写ベルト41上に転写されたトナー像を記録媒体99に静電転写するための転写部材である。二次転写ローラ46は、転写ベルト41を介して従動ローラ43を圧接し、従動ローラ43と共に二次転写挟持部を形成する。
【0045】
定着部50は、二次転写部46に対して、記録媒体99の搬送方向の下流側(図4では上方)に配置される。定着部50は、記録媒体99に転写されたトナーを加熱して溶融すると共に、圧力を加えてトナーを記録媒体99に浸透させることにより、トナー像を記録媒体99に定着させる。定着部50は、加熱ローラ51、加圧ローラ52、サーミスタ53、ヒートパイプユニット54、を備える。
【0046】
加熱ローラ51は、記録媒体99に転写されたトナーを加熱するための加熱部材である。加熱ローラ51は、図5(A),(C)に示すように、金属からなる円筒体の芯金部51aと、芯金部51aの外表面を被うシリコンゴム等からなる弾性層51bと、から構成される。また、加熱ローラ51の芯金部51aは、中空状に形成され、その内部には、加熱手段であるヒータ51cが内蔵される。加熱ローラ51は、内部のヒータ51cからの輻射熱により、トナーの溶融に必要な所定の温度になるように加熱される。
【0047】
加圧ローラ52は、加熱ローラ51の加熱によって溶融状態にあるトナーを記録媒体99に押圧することにより、トナー像を記録媒体99に定着させる加圧部材である。加圧ローラ52は、加熱ローラ51と対向して配置され、バネ等の弾性体により弾力的に支持され、加熱ローラ51に一定の圧力を加えるように付勢されている。これにより、加熱ローラ51と加圧ローラ52との間に、一定の圧力を確保した挟持部が形成され、記録媒体である記録媒体99を通過させて、加熱及び加圧してトナー像を定着させる。加圧ローラ52は、図5(A),(C)に示すように、金属からなる円筒体の芯金部52aと、芯金部52aの外表面を被うシリコンゴム等からなる弾性層52bと、から構成される。なお、必要に応じて、加圧ローラ52にヒータを配置して一定の温度に加熱制御してもよい。
【0048】
サーミスタ53は、温度変化に応じて大きく抵抗値が変化する半導体抵抗であり、加熱ローラ51の外周表面の温度を検出する温度センサの一部として機能する。加熱ローラ51の記録媒体99と接触する通過部(第2の部分)と記録媒体99と接触しない非通過部(第1の部分)とに対向して近接する位置に、それぞれ、第1サーミスタ53aと第2サーミスタ53bとが配置される。CPU61は、サーミスタ53a,53bのそれぞれの抵抗値に基づいて、加熱ローラ51の通過部と非通過部との温度を算出する。なお、第1サーミスタ53aは、第2の温度検出手段として機能し、第2サーミスタ53bは、第1の温度検出手段として機能する。
【0049】
ヒートパイプユニット54は、加熱ローラ51の非通過部の温度上昇を抑制するために設けられた冷却用ユニットである。ヒートパイプユニット54は、画像形成装置20の定着部50に着脱可能に格納される。ヒートパイプユニット54は、抵抗素子54rと、図5に示す、ヒートパイプ(熱伝導部)55、駆動部56、冷却部57、を備える。なお、ヒートパイプユニット54は、冷却手段の一部として機能する。本実施形態では、熱伝導部としてヒートパイプ55を一例に説明する。
【0050】
抵抗素子54rは、後述するように、画像形成装置20に装着されたヒートパイプユニット54の種別を判別するための識別素子である。
【0051】
ヒートパイプ55は、加熱ローラ51の非通過部を冷却するための円筒形状の熱伝導部材である。ヒートパイプ55は、図5(B),(D)に示すように、非接触部55c、第1吸熱部(接触部)55a、第2吸熱部(接触部)55b、挿着部55i、放熱部55r、に区分される。ヒートパイプ55は、銅、窒化アルミニウム等の熱伝導性の高い金属で形成された金属パイプ内に空気等の非凝縮性ガスを脱気した状態で水、代替フロン等の凝縮性の作動流体を封入して真空密封し、金属パイプの内壁に表面張力による毛細管作用が生じるウィック構造を設けたものであり、作動流体の相変態及び移動によって熱が移動する。具体的には、ヒートパイプ55の吸熱部55a,55bが加熱ローラ51の非通過部の熱を潜熱として吸収することにより、液相状態の作動流体が蒸発して気相状態となってヒートパイプ55の放熱部55rに移動する。一方、ヒートパイプ55の放熱部55rでは、蒸気となった作動流体が冷却され、凝縮して再び液相状態の作動流体に変化し、ウィック構造による毛細管圧力によって吸熱部55a,55bに移動(還流)する。このように、蒸発と凝縮とに伴う潜熱移動により、小さな温度差で吸熱部55a,55bから放熱部55rに大量の熱が輸送される。
【0052】
ヒートパイプ55は、加熱ローラ51の非通過部が過熱状態でない場合は、図5(A),(B)に示すように、加熱ローラ51から離接された位置(待機位置)にある。一方、ヒートパイプ55は、加熱ローラ51の非通過部が過熱状態である場合は、図5(C),(D)に示す位置(作用位置)に駆動部56a,56bの回転に伴って移動する。これにより、ヒートパイプ55の吸熱部55a,55bは、加熱ローラ51の非通過部に摺接され、ヒートパイプの熱伝導作用により、加熱ローラ51の非通過部が冷却される。
【0053】
非接触部55cは、ヒートパイプ55のほぼ中央に位置し、第1吸熱部55a及び第2吸熱部55bよりも細径に形成された円筒部位である。このため、非接触部55cは、図5に示すように、加熱ローラ51に接触しない構造となっている。また、非接触部55cの幅を印刷する記録媒体99の記録幅と略等しい長さに形成すれば、記録媒体99の搬送を妨げることがない。
【0054】
第1吸熱部55aと第2吸熱部55bとは、それぞれ、ヒートパイプ55の各端部近傍に位置し、他の部位よりも太径に形成された円筒部位である。このように形成することにより、ヒートパイプ55を加熱ローラ51に摺接させた際、第1吸熱部55a及び第2吸熱部55bのみを加熱ローラ51の端部に摺接させることができ、加熱ローラ51の中央部を通過する記録媒体99の搬送を妨げることがない。第1吸熱部55aと第2吸熱部55bとは、それぞれ、加熱ローラ51の端部に摺接しながら、加熱ローラ51の端部の熱を吸収する。
【0055】
上述のように、非接触部55c、第1吸熱部55a、第2吸熱部55bの各幅を印刷する記録媒体99の記録幅に応じて設定することにより、印刷中の記録媒体99の搬送を妨げることがないとともに、加熱ローラ51の非通過部の熱を効率的に冷却することができる。したがって、本実施形態では、図6に示すように、ヒートパイプユニット54は、定形記録媒体の記録幅に適合するヒートパイプ55を内蔵するものとする。なお、非接触部55cの幅は、各定形記録媒体の記録幅よりも10mm大きく設定する。また、本実施形態に係る印刷装置100が印刷可能な最大記録幅を定形記録媒体A3であるとすれば、加熱ローラ51のローラ幅はA3の記録幅と略等しい長さとなる。したがって、加熱ローラ51の非通過部、第1吸熱部55a、第2吸熱部55bの幅は、印刷する記録媒体99の記録幅に応じて一意に定まる。加熱ローラ51の非通過部、第1吸熱部55a、第2吸熱部55bの幅は、およそ(加熱ローラ51のローラ幅−記録媒体99の記録幅)/2で求めることができる。
【0056】
オペレータは、記録媒体セットユニット14にセットした記録媒体99の記録幅に応じて、ヒートパイプユニット54を交換する。図6に示すように、ヒートパイプユニット54は、HU5A,HU5B,HU4Aの3つの種別に分別され、各々、定形記録媒体A5,B5,A4の記録幅と略等しい幅の非接触部55cを有するヒートパイプ55を内蔵する。すなわち、上記種別のヒートパイプユニット54は、各々、定形記録媒体A5,B5,A4を印刷する際、加熱ローラ51の記録媒体99が通過しない非通過部と略等しい幅の吸熱部55a,55bを有するヒートパイプ55を内蔵する。オペレータは、記録媒体セットユニット14にセットした記録媒体99の記録幅に適合する幅の非接触部55cを有するヒートパイプ55を内蔵するヒートパイプユニット54を定着部50に装着する。ここで、ヒートパイプ55の非接触部55cの幅が記録媒体99の記録幅に適合するとは、ヒートパイプ55の非接触部55cの幅の方が記録媒体99の記録幅よりも若干大きく、両者の差が10mm程度であることを意味する。なお、本実施形態では、ヒートパイプユニット54を3つの種別に区分して説明するが、種別の数はこれに限られず、より多くの記録媒体99の記録幅に対応するようにヒートパイプユニット54の種別を設定してもよい。
【0057】
挿着部55iは、ヒートパイプ55の一端部であり、第1駆動部56aにヒートパイプ55を挿着するための接合部位として機能する。挿着部55iは、第1駆動部56aに設けられた取付け部に装着され、第1駆動部56aと第2駆動部56bとが各々備えるモータの連動駆動により、ヒートパイプ55を回転移動させる。また、取付け部に付設されたベアリングにより、ヒートパイプ55は回転可能に支持される。
【0058】
放熱部55rは、ヒートパイプ55の挿着部55iとは別のもう一方の端部であり、挿着部55iよりも長尺に延伸されている。放熱部55rは、第2駆動部56bに設けられた取付け穴に挿通され、さらに、冷却部57の内部に挿着される。
【0059】
駆動部56は、ヒートパイプ55を加熱ローラ51に接触する位置に移動させる駆動手段である。駆動部56は、一対の第1駆動部56aと第2駆動部56bとから構成され、それぞれ、ヒートパイプ54の挿着部55iと放熱部55rとが挿着される。また、第1駆動部56aと第2駆動部56bとは、各々、モータを備え、両モータが連動駆動して各駆動部56a,56b全体を所定角度回転させることにより、ヒートパイプ55を待機位置と作用位置との間で回転往復移動させる。
【0060】
駆動部56は、図7に示すように、ヒートパイプ55の挿着部55iと放熱部55rとを挿着するための取付け部56iを備える。取付け部56iには、例えば、ベアリングが付設されているため、加熱ローラ51に摺接された状態でも、ヒートパイプ55は、少ない抵抗で回転することができる。なお、第2駆動部56bの取付け部56iは、ヒートパイプ55の放熱部55rを挿通することができる穴状に形成されている。
【0061】
冷却部57は、ヒートパイプ55の放熱部55rを冷却(放熱)させる。冷却部57は、第2駆動部56bに挿通された放熱部55rを挿着可能な取付け部を備える。冷却部57は、第2駆動部56bを介して放熱部55rが挿着された状態で、ヒートパイプ55の待機位置と作用位置との間での回転往復移動を可能とする構造を有する。冷却部57に挿着されたヒートパイプ55の放熱部55rは、冷却部57内で冷却される。冷却部57は、例えば、ヒートシンクや冷却ファン等、放熱部55rの放熱(冷却)を促進することができる冷却部材又は冷却機器から構成される。
【0062】
次に、図8を参照して、ヒートパイプユニット54の着脱状態、及び、装着されたヒートパイプユニット54の種別を判別するための構成について説明する。ヒートパイプユニット54は、内蔵するヒートパイプ55の非接触部55cの幅によって区分される種別に応じて、異なる抵抗値の抵抗素子54rを備える。図8(B)に示すように、例えば、種別HU5A,HU5B,HU4Aのヒートパイプユニット54は、各々、抵抗素子54r1,54r2,54r3を備え、その抵抗値はそれぞれ、1.5kΩ,680Ω,270Ωとする。また、図8(A)は、ヒートパイプユニット54の抵抗素子54rとプルダウン抵抗R12との合成抵抗R14と、CPU61の入力ポートIN3に印加される電圧値と、を示すテーブルである。
【0063】
ヒートパイプユニット54が画像形成装置20に装着されていない場合、図8(B)に示すように、CH−4とCH−5とは断線しているため、画像形成装置20のCPU61の入力ポートIN3には、電源電圧Vcc3がプルアップ抵抗R11を介してプルアップされた、H(ハイ)レベルの電圧(5V)が印加される。このように、CPU61は、入力ポートIN3に印加された電圧レベルを検知することにより、ヒートパイプユニット54の着脱状態を判別する。
【0064】
一方、ヒートパイプユニット54が画像形成装置20に装着された場合、図8(B)に示すように、画像形成装置20が備えるプルアップ抵抗R11と、各ヒートパイプユニット54が備える抵抗素子54rと画像形成装置20が備えるプルダウン抵抗R12との合成抵抗R14と、の分圧比により、画像形成装置20の入力ポートIN3に印加される電圧レベルが変化する。このように、CPU61は、入力ポートIN3に印加された電圧レベルを検知することにより、装着されたヒートパイプユニット54の種別を判別する。
【0065】
例えば、種別HU5Bのヒートパイプユニット54を画像形成装置20に装着した場合、電源電圧Vcc3が5Vのとき、画像形成装置20の入力ポートIN3に印加される電圧は、画像形成装置20が備えるプルアップ抵抗R11(1kΩ)と、ヒートパイプユニット54が備える抵抗素子54r1(1.5kΩ)と画像形成装置20が備えるブルダウン抵抗R12(2.7kΩ)との合成抵抗R14(4.2kΩ)と、の分圧電圧であるため、4.04Vとなる。
【0066】
このように、CPU61は、入力ポートIN3に印加される電圧値に基づいて、装着されたヒートパイプユニット54の種別を検出する。なお、ヒートパイプユニット54が備える抵抗素子54rは、CH−4とCH−5とに接続するものに限らない。例えば、CH−4とCH−5とを結線し、ヒートパイプユニット54が備える抵抗素子54rをCH−5とCH−6とに接続し、プルダウン抵抗R12と並列接続するように構成してもよい。これにより、ヒートパイプユニット54の種別が多岐にわたっても、その種別毎にCPU61に印加される分圧電圧値を変化させることができ、ヒートパイプユニット54の種別を判別することが可能となる。
【0067】
図4の説明に戻って、定着部50のさらに下流側には、トナー画像の定着後の記録媒体99を定着部50から搬出し、さらに画像形成装置20の上面に形成されている排出トレイに排出する排出ローラ対22が配設される。排出ローラ対22を通って排出された記録媒体99は、画像形成装置20の側部に設置された従動ローラ21を経由して巻き取り部19へと供給される。
【0068】
次に、図9を参照して、画像形成装置20の制御に係る構成を説明する。画像形成装置20は、ホストコンピュータ80及び供給装置10と、LAN(Local Area Network)等のネットワーク又はUSB(Universal Serial Bus)によって互いに接続されている。
【0069】
画像形成装置20は、制御部60、印刷部70を備える。より詳細には、制御部60は、CPU61、LAN通信部62、USB通信部63、パネル制御部64、オペレーションパネル65、記憶装置66、記憶装置制御部67、コマンド解析部68、を備える。また、印刷部70は、印刷制御部71、印刷機構部72、を備える。
【0070】
CPU61は、命令やデータを転送するための伝送経路であるシステムバスを介して画像形成装置20の各部と接続され、画像形成装置20の各部の動作を制御する。CPU61は、不図示のROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)をワークメモリとして用いながら、ROMや記憶装置66に記憶されているシステムソフトウェア等の各種プログラムを読み出し、適宜、実行する。
【0071】
LAN通信部62、USB通信部63は、それぞれ、LAN、USBを介して外部の機器と通信を行う。例えば、CPU61は、LAN通信部62又はUSB通信部63を介してホストコンピュータ80と通信し、ホストコンピュータ80から送信された印刷ジョブを受信したり、画像形成装置20の各種情報をホストコンピュータ80に送信したりする。また、CPU61は、LAN通信部62又はUSB通信部63を介して供給装置10と通信し、記録媒体セットユニット14に配置された記録媒体の記録幅を検出するために用いられる検出素子からの出力信号を受信する。
【0072】
パネル制御部64は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネル、各種の操作ボタン等の入力装置を備えるオペレーションパネル65に接続される。パネル制御部64は、CPU61の制御のもと、種々の画像や文字、記号等をオペレーションパネル65に表示する。また、パネル制御部64は、オペレーションパネル65に入力されたユーザからの各種操作を受け付け、受け付けた各種操作にそれぞれ対応する操作信号をCPU61に供給する。なお、オペレーションパネル65は、タッチスイッチ機能を備えるタッチパネル(タッチスクリーン)のような入力機能と表示機能とが組み合わされた装置であってもよい。
【0073】
記憶装置66は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性メモリやHDD(Hard Disk Drive)等によって構成され、画像形成装置20の動作に必要な各種プログラム及びデータを記憶する。
【0074】
記憶装置66は、図6(B)に示す、ヒートパイプユニット54の種別と、ヒートパイプ55の非接触部55cの幅と、記録媒体99の記録幅と、を対応づけたヒートパイプユニット対応テーブルを記憶する。ヒートパイプユニット54の種別は、内蔵するヒートパイプ55の非接触部55cの幅に応じて区分されている。記録媒体の記録幅は、ヒートパイプ55の非接触部55cの幅に適合する定形記録媒体の記録幅[幅(×長さ)]を示す。なお、ヒートパイプ55の非接触部55cの幅は、記録媒体99の搬送ずれ等を考慮して、適合する記録媒体99の記録幅よりも10mm長く設定している。
【0075】
記憶装置制御部67は、CPU61の制御のもと、記憶装置66へのデータの書き込み制御、及び記憶装置66に記憶されたデータの読み出し制御を行う。
【0076】
コマンド解析部68は、CPU61の制御のもと、ホストコンピュータ80から送信される印刷データに含まれるコマンドの解析を行い、印刷データを、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)毎にビットマップの画像データに変換する。そして、コマンド解析部68は、変換したビットマップの画像データを、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)毎に、フレームメモリの対応する記憶エリアに展開する。フレームメモリに展開された画像データは、印刷制御部71に出力される。
【0077】
印刷制御部71は、CPU61の制御のもと、画像形成部30、中間転写ベルトユニット40、定着部50等を含む印刷機構部72を制御し、コマンド解析部68によって生成された画像データに従って印刷処理を行う。例えば、印刷制御部71は、中間転写ベルトユニット40の上下移動や転写ベルト41の回転駆動を行うための制御、駆動ローラ42、待機搬送ローラ対45、排出ローラ対22等の回転駆動される搬送機構を駆動するための制御、回転駆動系等への電圧印加を行うための制御、定着部50の加熱ローラ51等への電圧印加を行うための制御等を行う。
【0078】
次に、図10を参照して、加熱ローラ51の記録媒体99が通過しない端部(非通過部)の表面温度の遷移について説明する。画像形成装置20の電源が投入されると、CPU61は、加熱ローラ51の記録媒体99が通過する中央に配置された第1サーミスタ53aの抵抗値に基づく算出温度がトナーの溶融に必要な温度である目標温度Tt(例えば、180℃)に到達するまでヒータを最大出力で加熱する。CPU61は、第1サーミスタ53aの抵抗値に基づく算出温度が目標温度Ttに到達すると、その目標温度Ttが維持されるように、ヒータの発熱量をフィードバック制御する。例えば、CPU61は、第1サーミスタ53aの抵抗値に基づく加熱ローラ51の温度Trと、予め設定されている目標温度Ttとの偏差e(=Tt−Tr)に応じて、PID(Proportional Integral Derivative)制御により、ヒータへの給電を制御する。
【0079】
このように、加熱ローラ51の記録媒体99が通過する中央部(通過部)の表面温度は、PID制御によって目標温度Ttにほぼ維持される。一方、加熱ローラ51の記録媒体99が通過しない端部(非通過部)の表面温度は、記録媒体99に熱を奪われることなく蓄熱するため、記録媒体99が通過する中央部(通過部)よりも高くなる。
【0080】
図10に示すように、端部(非通過部)の表面温度は、画像形成装置20の電源の投入後、中央部(通過部)と同様、目標温度Ttに到達するまで上昇する。CPU61は、第1サーミスタ53a及び第2サーミスタ53bの抵抗値に基づく算出温度が目標温度Ttに到達した後、印刷動作を開始する。端部(非通過部)の表面温度は、印刷動作が開始された後も緩やかに上昇する。端部(非通過部)に配置された第2サーミスタ53bの抵抗値に基づく算出温度が、予め定められた閾値Tth(例えば、190℃)を超えて過熱状態になると、CPU61は、加熱ローラ51内のヒータへの給電を停止して、印刷動作を中断する。CPU61は、端部の表面温度がトナーの溶融に必要な下限温度Tm(例えば、175℃)まで下がったら、ヒータへの給電を開始し、印刷動作を再開する。このように、CPU61は、端部の表面温度の変化に応じて、印刷動作の中断、再開を指示する。目標温度Tt、下限温度Tm、及び閾値Tthの値は、例えば、記憶装置66に予め記憶されている。
【0081】
次に、図11(A)に示すフローチャートを参照しながら、画像処理装置20が実行する適合判別処理について説明する。なお、画像処理装置20のCPU61は、印刷コマンドが投入され、印刷ジョブを実行したことに応答して、図11(A)に示す適合判別処理を開始する。
【0082】
まず、CPU61は、記録媒体99が記録媒体セットユニット14にセットされているか否かを判別する(ステップS101)。上記で説明したとおり、記録媒体99をセットして記録媒体セットユニット14のトップカバーを閉じると、適宜のセンサの出力信号が、供給装置10が備える通信手段を介して画像形成装置20に伝達される。CPU61は、このセンサからの出力信号に基づいて、記録媒体99がセットされているか否かを判別する。
【0083】
CPU61は、記録媒体99が記録媒体セットユニット14にセットされていると判別した場合(ステップS101;YES)、記録媒体99の記録幅を判別する(ステップS102)。上記で説明したとおり、CPU61は、入力ポートIN1及びIN2に、各々、印加される電圧値に基づき、記録媒体99の種別を判別する。CPU61は、記録幅判別手段として機能する。
【0084】
一方、CPU61は、記録媒体99が記録媒体セットユニット14にセットされていないと判別した場合(ステップS101;NO)、ステップS101に処理を戻す。つまり、CPU61は、記録媒体99が記録媒体セットユニット14にセットされていると判別するまで、ステップS101の処理を繰り返す。
【0085】
次に、CPU61は、ヒートパイプユニット54が画像形成装置20に装着されているか否かを判別する(ステップS103)。上記で説明したとおり、CPU61は、入力ポートIN3に印加される電圧値に基づき、ヒートパイプユニット54が装着されているか否かを判別する。
【0086】
CPU61は、ヒートパイプユニット54が装着されていると判別した場合(ステップS103;YES)、次に、ヒートパイプユニット54の種別に基づき、ヒートパイプ55の非接触部55cの幅を判別する(ステップS104)。CPU61は、ステップS103の処理と同様に、記憶装置66に記憶されている、図6(B)に示すヒートパイプユニット対応テーブルを参照して、入力ポートIN3に印加される電圧値に基づいて特定されたヒートパイプユニット54の種別に対応づけられたヒートパイプユニット55の非接触部55cの幅を判別する。
【0087】
一方、CPU61は、ヒートパイプユニット54が装着されていないと判別した場合(ステップS103;NO)、処理をステップS103に戻し、ヒートパイプユニット54が装着されるまで待機する。
【0088】
CPU61は、ステップS104の処理を完了すると、記録媒体99の記録幅とヒートパイプユニット54の種別により特定されるヒートパイプ55の非接触部55cの幅とが適合するか否かを判別する(ステップS105)。CPU61は、図6(B)に示すヒートパイプユニット対応テーブルを参照し、ステップS102で判別した記録媒体99の記録幅(サイズ)と、ステップS104で判別したヒートパイプユニット54の種別により特定されるヒートパイプ55の非接触部55cの幅と、が対応づけられているか否かを検索することにより、記録媒体99の記録幅とヒートパイプ55の非接触部55cの幅とが適合するか否かを判別する。
【0089】
CPU61は、記録媒体99の記録幅とヒートパイプユニット54の種別により特定されるヒートパイプ55の非接触部55cの幅とが適合すると判別した場合(ステップS105;YES)、本処理を終了する。なお、CPU61は、処理を終了する前に、装着されたヒートパイプユニット54の種別と記録媒体セットユニット14にセットされた記録媒体99の記録幅とが適合する旨を報知してもよい。
【0090】
一方、記録媒体99の記録幅とヒートパイプユニット54の種別により特定されるヒートパイプ55の非接触部55cの幅とが適合しないと判別した場合(ステップS105;NO)、CPU61は、図6(B)に示すヒートパイプユニット対応テーブルを参照し、記録媒体99の記録幅に適合する幅のヒートパイプ55の非接触部55を内蔵するヒートパイプユニット54を検索する。CPU61は、検索結果に基づいてヒートパイプユニット54の種別を特定し、図11(B)に示すような、装着しているヒートパイプユニット54を、特定した種別のヒートパイプユニット54に交換することを促すメッセージ画面81を、パネル制御部64を制御してオペレーションパネル65に表示させる(ステップS106)。
【0091】
CPU61は、ステップS106の処理を終了すると、処理をステップS103に戻し、ステップS103〜S105の処理を繰り返す。つまり、CPU61は、記録媒体99の記録幅とヒートパイプ55の非接触部55cの幅とが適合すると判別するまで、図11(B)に示すようなメッセージ画面81をオペレーションパネル65に表示させて、記録媒体99の記録幅に適合するヒートパイプ55を内蔵するヒートパイプユニット54に交換することを促すメッセージの報知を繰り返す。
【0092】
本処理が終了し、その他の初期化処理が終了後、ホストコンピュータ80から受信した印刷コマンドに応じて発生した印刷ジョブを実行する。
【0093】
次に、図12に示すフローチャートを参照しながら、画像処理装置20が実行する冷却処理について説明する。なお、画像処理装置20のCPU61は、印刷コマンドが投入され、印刷ジョブを実行したことに応答して、図12に示す冷却処理を開始する。CPU61は、冷却開始手段、冷却停止手段として機能する。なお、冷却開始手段、冷却停止手段は、冷却手段の一部として機能する。
【0094】
まず、CPU61は、加熱ローラ51の非通過部の温度Trが許容範囲の上限温度を示す第1閾値Tth1以上であるか否かを判別する(ステップS201)。CPU61は、加熱ローラ51の非通過部に近接する位置に配置されたサーミスタの抵抗値変化に基づいて温度Trを算出する。また、CPU61は、記憶装置66に予め記憶された第1閾値Tth1を取得する。第1閾値Tth1は、例えば、190℃に設定されている。CPU61は、両者を比較して、加熱ローラ51の非通過部の温度Trが第1閾値Tth1以上であるか否かを判別する。
【0095】
CPU61は、加熱ローラ51の非通過部の温度Trが第1閾値Tth1以上であると判別した場合(ステップS201;YES)、ヒートパイプ55の吸熱部55a,55bを加熱ローラ51の非通過部に摺接させ、加熱ローラ51の非通過部を冷却する(ステップS202)。CPU61は、駆動部のモータを駆動させて、ヒートパイプ55を待機位置から作用位置に移動させ、ヒートパイプ55の吸熱部55a,55bを加熱ローラ51の非通過部に接触させる。これにより、加熱ローラ51の非通過部の熱は吸熱部に吸収され、加熱ローラ51の非通過部の冷却が開始される。
【0096】
一方、CPU61は、加熱ローラ51の非通過部の温度Trが第1閾値Tth1以上ではないと判別した場合(ステップS201;YES)、処理をステップS201に戻し、加熱ローラ51の非通過部の温度Trが第1閾値Tth1以上であると判別するまで繰り返す。
【0097】
CPU61は、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS203)。所定時間は、例えば、30秒程度であればよい。CPU61は、所定時間が経過するまで本処理を繰り返し(ステップS203;NO)、所定時間が経過した場合(ステップS203;YES)、タイマをリセットし、加熱ローラ51の非通過部の温度Trが許容範囲の下限温度を示す第2閾値Tth2以下であるか否かを判別する(ステップS204)。第2閾値Tth2は、例えば、175℃に設定されている。
【0098】
CPU61は、加熱ローラ51の非通過部の温度Trが第2閾値Tth2以下であると判別した場合(ステップS204;YES)、ヒートパイプ55の吸熱部55a,55bを加熱ローラ51の非通過部から離接させ、加熱ローラ51の非通過部の冷却を停止する(ステップS205)。CPU61は、駆動部のモータを駆動させて、ヒートパイプ55を作用位置から待機位置に移動させ、ヒートパイプ55の吸熱部55a,55bを加熱ローラ51の非通過部に離接させる。これにより、加熱ローラ51の非通過部の冷却が停止される。CPU61は、ステップS205の処理を終了すると、処理をステップS201に戻す。
【0099】
一方、CPU61は、加熱ローラ51の非通過部の温度Trが第2閾値Tth2以下ではないと判別した場合(ステップS204;NO)、処理をステップS203に戻し、加熱ローラ51の非通過部の温度Trが第2閾値Tth2以下に冷却されるまでステップS203〜S204の処理を繰り返す。
【0100】
以上説明したように、本実施形態によれば、セットされた記録媒体99の記録幅に適合するヒートパイプユニット54が画像形成装置20に装着されていることを条件に、印刷ジョブが実行される。記録媒体99の記録幅に適合するヒートパイプ55を内蔵するヒートパイプユニット54を装着することにより、印刷ジョブが実行中、加熱ローラ51の非通過部が過熱状態になった場合であっても、加熱ローラ51の非通過部のみを効率的に冷却することができる。
【0101】
(実施形態2)
上記の実施形態1に係る印刷装置100は、記録媒体セットユニット14にセットされた記録媒体99の記録幅に適合するヒートパイプ55を用いて加熱ローラ55の非通過部を冷却することを可能とする。しかし、印刷する記録媒体99の記録幅が変更されるごとに、ヒートパイプユニット54を交換する手間が生じる。以下に、記録媒体99の記録幅が変更される際に生じる、ヒートパイプユニット54を交換する手間を低減することを可能とする、実施形態2に係る印刷装置100について説明する。
【0102】
図13を参照して、実施形態2に係るヒートパイプユニット154の構造について説明する。ヒートパイプユニット154は、駆動部56に取付け部56iを2つ設けることにより、2つの異なる非接触部55cの幅を有するヒートパイプ55A,55Bを備える。印刷動作中、加熱ローラ51の非通過部の温度が許容範囲の上限温度を示す第1閾値Tth1未満の場合、図13(A)に示すように、2つのヒートパイプ55A,55Bは、共に、加熱ローラ51から離接された位置(待機位置)にある。連続印刷等により加熱ローラ51の非通過部の温度が第1閾値Tth1になった場合、図13(B)に示すように、CPU61の制御に従って、駆動部56が、自己が備えるモータの駆動により駆動部56全体が矢印A方向に回転し、記録媒体99の記録幅に適合する非接触部55cの幅を有するヒートパイプ55Aは、加熱ローラ51に摺接する位置(作用位置)に回転移動する。加熱ローラ51の非通過部の温度が許容範囲の下限温度を示す第2閾値Tth2以下に低下した場合、CPU61の制御に従って、駆動部56が、自己が備えるモータの駆動により駆動部56全体が矢印B方向に回転し、再び、ヒートパイプ55A,55Bは、図13(A)に示す、加熱ローラ51から離接された位置(待機位置)に戻る。
【0103】
上記の実施形態1では、ヒートパイプユニット54毎に異なる抵抗値を有する抵抗素子54rを備えることにより、印刷装置100に装着されたヒートパイプユニット154の種別を判別した。本実施形態においても、ヒートパイプユニット154が備えるヒートパイプ55の組み合わせと、配置と、検出電圧と、を対応付けるテーブルを予め記憶装置66に記憶させることにより、適用することが可能である。
【0104】
次に、図14に示すフローチャートを参照しながら、2つの異なる非接触部55cの幅を有するヒートパイプ55を内蔵するヒートパイプ54が装着された場合に、画像処理装置20が実行する適合判別処理について説明する。なお、画像処理装置20のCPU61は、印刷コマンドが投入され、印刷ジョブを実行したことに応答して、図14に示す適合判別処理を開始する。なお、図14に示すフローチャート中のステップS301〜S304は、図12に示すフローチャート中のステップS101〜S104と同一の処理であるため、詳しい説明を省略する。CPU61は、選択手段として機能する。
【0105】
CPU61は、ステップS301〜S304の処理により、記録媒体99の記録幅及びヒートパイプ55の非接触部55cの幅を判別した後、定着部50に格納されたヒートパイプユニット54が内蔵するヒートパイプ55を任意に選択し、記録媒体99の記録幅と選択したヒートパイプ55の非接触部55cの幅とが適合するか否かを判別する(ステップS305)。CPU61は、適合すると判別した場合(ステップS305;YES)、記録媒体99の記録幅と適合する非接触部55cの幅を有するヒートパイプ55を加熱ローラ51の冷却に用いるヒートパイプ55として選択し(ステップS306)、本処理を終了する。
【0106】
一方、CPU61は、適合しないと判別した場合(ステップS305;NO)、定着部50に格納されたヒートパイプユニット54が内蔵する全てのヒートパイプ55がステップS305において判別されたか否かを判別し(ステップS307)、全てのヒートパイプ55がステップS305において判別されるまで処理をステップS305に戻して繰り返す(ステップS307;NO)。
【0107】
CPU61は、定着部50に格納されたヒートパイプユニット54が内蔵する全てのヒートパイプ55がステップS305において判別されたと判断した場合(ステップS307;YES)、すなわち、記録媒体99の記録幅と適合する非接触部55cの幅を有するヒートパイプ55がないと判別した場合、記憶装置66に記憶されたヒートパイプ対応テーブルを参照して記録媒体99の記録幅よりも長い非接触部55cの幅を有するヒートパイプ55を検索する(ステップS308)。
【0108】
次に、CPU61は、ステップS308で検索された、記録媒体99の記録幅よりも長い非接触部55cの幅を有するヒートパイプ55の中から、非接触部55cの幅が最も短いヒートパイプ55を検索し、加熱ローラ51の冷却に用いるヒートパイプ55として選択する(ステップS309)。CPU61は、ステップS309の処理を完了すると、本処理を終了する。
【0109】
本処理が終了し、その他の初期化処理が終了後、ホストコンピュータ80から受信した印刷コマンドに応じて発生した印刷ジョブを実行する。
【0110】
このように、ヒートパイプユニット154が2つの異なる非接触部55cの幅を有するヒートパイプ55を備えることにより、印刷頻度の高い記録媒体99の記録幅に適合するヒートパイプ55を備えるヒートパイプユニット154を印刷装置100に装着することにより、交換の手間をかけることなく効率的に加熱ローラ51の非通過部のみを冷却することができる。また、部品点数の低減によりコストを削減することができる。
【0111】
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0112】
(変形例1)
上記の実施形態では、定着ユニット51に対して1つのヒートパイプユニット54を装着した。しかし、図15に示すように、定着ユニット51に対してヒートパイプユニット54,154を配置できるような構造としてもよい。加熱ローラ51の周囲に配置された各ヒートパイプユニット54がそれぞれ異なる非接触部55cの幅を有するヒートパイプ55を備えれば、多様な記録媒体99の記録幅に対応することができ、印刷する記録媒体99の記録幅の変更に伴うヒートパイプユニット54の交換作業を大幅に削減することが可能である。
【0113】
複数のヒートパイプユニット54を加熱ローラ51の周囲に配置した場合、各ヒートパイプユニット54に内蔵されたヒートパイプ55のいずれを使用するかの選択は、図14のフローチャートに示す適合判別処理に基づいて行うことができる。
【0114】
(変形例2)
実施形態1において、図12のフローチャートに示す冷却処理では、ヒートパイプ55による加熱ローラ51の冷却の開始及び停止の契機の判断基準に、加熱ローラ51の非通過部の温度と許容範囲の上限と下限とを示す各閾値との比較結果を用いたが(ステップS201,S204)、その他の判断基準を用いてもよい。例えば、加熱ローラ51の中央部と片側端部とにそれぞれ配置されたサーミスタ53a,53bの各抵抗値に基づいて温度をそれぞれ算出し、両者の温度差が許容温度差Tsを上回るか否かを判別することにより、冷却の開始及び停止を判断してもよい。
【0115】
(変形例3)
冷却部57の冷却温度を制御して、加熱ローラ51の非通過部の温度を効率よく低下させてもよい。ヒートパイプ55による加熱ローラ51の非通過部の冷却を開始した後、冷却上限時間までに冷却が停止されない場合、例えば、冷却ファンの風量を上げて冷却効果を高める。一方、ヒートパイプ55による加熱ローラ51の非通過部の冷却を開始した後、冷却下限時間より先に冷却が停止した場合、例えば、冷却ファンの風量を下げて冷却効果を下げる。このように、冷却部57の冷却強度を制御することにより、加熱ローラ51の非通過部の温度を目標温度Ttに効率よく遷移させることができる。CPU61は、温度制御手段として機能する。
【0116】
なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた印刷装置として提供することができることはもとより、プログラムの適用により、既存の情報機器を、本発明に係る印刷装置として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した印刷装置100による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の情報機器を制御して機能させることができる。また、本発明に係る制御方法は、印刷装置を用いて実施できる。
【0117】
また、このようなプログラムの適用方法は、任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、メモリーカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネット等の通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0118】
また、上記の実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば上記の各構成要素を均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0119】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0120】
(付記1)
記録媒体に現像剤像を転写する転写部と、
前記転写部で前記現像剤像が転写された前記記録媒体に前記現像剤像を定着させるための熱を供給する加熱ローラと、
前記記録媒体と接触しない前記加熱ローラの第1の部分の温度を検知する第1の温度検知手段と、
前記第1の温度検知手段により検知された温度が冷却条件を満たすと、前記加熱ローラの前記第1の部分を冷却する冷却手段と、
を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
【0121】
(付記2)
前記冷却手段は、
冷却部と、
前記加熱ローラの前記第1の部分に接触して前記第1の部分の熱を前記冷却部に伝導する熱伝導部と、
前記第1の温度検知手段が検知した温度が前記冷却条件を満たすと、前記熱伝導部を前記第1の部分に接触させて、前記加熱ローラの冷却を開始する冷却開始手段と、
前記第1の温度検知手段が検知した温度が冷却停止条件を満たすと、前記第1の部分に接触している前記熱伝導部を前記第1の部分から離接させて、前記加熱ローラの冷却を停止する冷却停止手段と、
を有する、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0122】
(付記3)
セット部にセットされた前記記録媒体の記録幅を判別する記録幅判別手段と、
それぞれが、前記第1の部分に接触して前記第1の部分の熱を前記冷却部に伝導する、前記第1の部分に接触する接触部の幅が互いに異なる複数の前記熱伝導部と、
前記複数の熱伝導部のうちから、前記記録幅判別手段が判別した前記記録媒体の前記記録幅に適合する前記熱伝導部を選択する選択手段と、
をさらに備え、
前記冷却開始手段は、前記第1の温度検知手段が検知した温度が前記冷却条件を満たすと、前記選択手段が選択した前記熱伝導部を前記第1の部分に接触させて、前記加熱ローラの冷却を開始する、
ことを特徴とする付記2に記載の印刷装置。
【0123】
(付記4)
前記記録媒体と接触する前記加熱ローラの第2の部分の温度を検知する第2の温度検知手段をさらに備え、
前記冷却条件は、前記第1の温度検知手段により検知された温度が上限温度を超えた場合、又は、前記第1の温度検知手段により検知された前記第1の部分の温度と前記第2の温度検知手段により検知された前記第2の部分の温度との温度差が第1の許容温度差を超えて高くなった場合、に満たされ、
前記冷却停止条件は、前記第1の温度検知手段により検知された温度が、前記上限温度よりも低い温度に設定された下限温度を下回った場合、又は、前記第1の温度検知手段により検知された前記第1の部分の温度と前記第2の温度検知手段により検知された前記第2の部分の温度との温度差が前記第1の許容温度差よりも小さな値に設定された第2の許容温度差を下回った場合、に満たされる、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の印刷装置。
【0124】
(付記5)
記録媒体に現像剤像を転写する転写部と、
前記転写部で前記現像剤像が転写された前記記録媒体に前記現像剤像を定着させるための熱を供給する加熱ローラと、
を備える印刷装置の印刷制御方法であって、
前記記録媒体と接触しない前記加熱ローラの第1の部分の温度を検知する第1の温度検知ステップと、
前記第1の温度検知ステップにより検知された温度が冷却条件を満たすと、前記第1の部分を冷却する冷却ステップと、
を備える、
ことを特徴とする印刷制御方法。
【0125】
(付記6)
記録媒体に現像剤像を転写する転写部と、
前記転写部で前記現像剤像が転写された前記記録媒体に前記現像剤像を定着させるための熱を供給する加熱ローラと、
を備える印刷装置のプログラムであって、
コンピュータに、
前記記録媒体と接触しない前記加熱ローラの第1の部分の温度を検知する第1の温度検知処理と、
前記第1の温度検知処理により検知された温度が冷却条件を満たすと、前記第1の部分を冷却する冷却処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0126】
10…供給装置、11…搬送部、12…テンションローラ、13…従動ローラ、14…記録媒体セットユニット、14a…規制ガイド、14b…突出部、14c…スイッチ素子(SW1)、14d…スイッチ素子(SW2)、14e,14f…押下片、15…記録媒体搬送ローラ対、16…オートカッタ、17…本体進入搬送ローラ対、18…保持部(アンワインダ)、19…巻き取り部(リワインダ)、20…画像形成装置、21…従動ローラ、22…排出ローラ対、30…画像形成部、31(31k,31c,31m,31y)…画像形成ユニット、32…感光体ドラム、33…クリーナ、34…帯電ローラ、35…光書込ヘッド、36…現像器、37…現像ローラ、40…中間転写ベルトユニット、41…転写ベルト、42…駆動ローラ、43…従動ローラ、44…一次転写ローラ、45…待機搬送ローラ対、46…二次転写ローラ、50…定着部、51…加熱ローラ、51a…芯金部、51b…弾性層、51c…ヒータ、52…加圧ローラ、52a…芯金部、52b…弾性層、53…サーミスタ、53a…第1サーミスタ、53b…第2サーミスタ、54…ヒートパイプユニット、54r,54r1,54r2,54r3…抵抗素子、55,55A,55B…ヒートパイプ、55a…第1吸熱部、55b…第2吸熱部、55c…非接触部、55i…挿着部、55r…放熱部、56…駆動部、56a…第1駆動部、56b…第2駆動部、56i…取付け部、57…冷却部、60…制御部、61…CPU、62…LAN通信部、63…USB通信部、64…パネル制御部、65…オペレーションパネル、66…記憶装置、67…記憶装置制御部、68…コマンド解析部、70…印刷部、71…印刷制御部、72…印刷機構部、80…ホストコンピュータ、81…メッセージ画面、99…記録媒体、100…印刷装置、154…ヒートパイプユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15