【解決手段】タッチパネル12と、位置データ出力ユニット20と、位置データに基づいてタッチパネル12上のタッチ点を追跡して当該タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成する処理ユニット11とを有する手書き入力装置であって、処理ユニット20は、位置データ出力ユニット20から複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、タッチパネル12の所定の上下方向における最上位置のタッチ点を追跡すべきタッチ点として決める追跡タッチ点決定手段(S21)と、前記複数のタッチ点のうち、前記追跡すべきタッチ点として決められた以外のタッチ点について、対応する位置データに係らず、追跡しないと決める非追跡タッチ点決定手段(S22、S24)とを有する構成となる。
前記非追跡タッチ点決定手段は、前記追跡タッチ点決定手段が新たな追跡すべきタッチ点を決めたときに、それまで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点について、以後、追跡しないと決める手段を有する請求項1記載の手書き入力装置。
前記非追跡タッチ点決定ステップは、前記追跡タッチ点決定ステップが新たな追跡すべきタッチ点を決めたときに、それまで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点について、以後、追跡しないと決めるステップを有する請求項5記載のプログラム。
前記追跡タッチ点決定ステップにて新たに追跡すべきタッチ点が決められたときに、それまで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点に対する軌跡情報を無効にする軌跡情報無効化制御ステップを前記コンピュータに行わせる請求項6記載のプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電子筆記装置においては、筆記具を使って一筆書きにより文字等の線画を描く場合にはよいが、複数の線素の集合体によって構成される線画(1つの文字等)を描く場合、1つの線素(1画目)を描き終わって筆記具をメモ用紙(タッチパネル)から離すと、その時点で、操作者から見て最も上方かつ最も左方の押圧点、例えば、指輪による押圧点が筆記具による押圧点であるとみなされてしまうので、複数線素の線画(複数画数の文字等)を描く場合に、線素と線素との間でノイズが発生してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、タッチパネルにおいて複数のタッチ点があっても、ノイズの少ないタッチ点の軌跡情報を得ることのできる手書き入力装置を提供するものである。
【0008】
また、そのような手書き入力装置での処理をコンピュータに行わせるためのプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明に係る手書き入力装置は、タッチパネルと、タッチ操作に対応した前記タッチパネルからの信号出力に基づいて、前記タッチパネル上のタッチ点に対応した位置データを出力する位置データ出力ユニットと、該位置データ出力ユニットから出力される位置データに基づいて前記タッチパネル上のタッチ点を追跡して当該タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成する処理ユニットとを有する手書き入力装置であって、前記処理ユニットは、前記位置データ出力ユニットから複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、前記タッチパネルの所定の上下方向における最上位置のタッチ点を追跡すべきタッチ点として決める追跡タッチ点決定手段と、前記複数のタッチ点のうち、前記追跡タッチ点決定手段により追跡すべきタッチ点として決められた以外のタッチ点について、対応する位置データに係らず、追跡しないと決める非追跡タッチ点決定手段とを有する構成となる。
【0010】
このような構成により、位置データ出力ユニットからタッチパネル上の複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、前記タッチパネルの所定の上下方向における最上位置のタッチ点が追跡すべきタッチ点として決められ、それ以外のタッチ点については、当該タッチ点に対応した位置データに係らず、追跡しないと決められる。これにより、タッチパネルの所定の上下方向における最上位置のタッチ位置の移動軌跡を表す軌跡情報が生成される一方、追跡すべきタッチ点として決められたタッチ点以外のタッチ点については、対応する位置データに係らず、追跡しないと決められた以降、移動軌跡を表す軌跡情報が生成されない。
【0011】
第1の本発明に係る手書き入力装置において、前記非追跡タッチ点決定手段は、前記追跡タッチ点決定手段が新たな追跡すべきタッチ点を決めたときに、それまで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点について、以後、追跡しないと決める手段を有する構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、追跡すべきタッチ点が存在する状況で、タッチパネル上での新なタッチ点の発生により、位置データ出力ユニットから複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、その新たに発生したタッチ点が追跡すべきタッチ点として決められると、その時点まで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点については、以後、対応する位置データに係らず、追跡しないと決められる。これにより、2つのタッチ点について同時に軌跡情報が生成されてしまうことが防止される。
【0013】
第1の本発明に係る手書き入力装置において、前記処理ユニットは、前記追跡タッチ点決定手段が新たに追跡すべきタッチ点を決めたときに、それまで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点に対する軌跡情報を無効にする軌跡情報無効化制御手段を有する構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、追跡すべきタッチ点が存在する状況で、タッチパネル上での新なタッチ点の発生により、位置データ出力ユニットから複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、その新たに発生したタッチ点が追跡すべきタッチ点として決められると、その時点まで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点についての軌跡情報が無効化される。これにより、新たに追跡すべきタッチ点が決められた以降、それまで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点については、初めから追跡すべきでないタッチ点として扱われ得るようになる。
【0015】
第1の本発明に係る手書き入力装置において、表示部を有し、前記処理ユニットは、前記軌跡情報に基づいて前記追跡すべきタッチ点の移動軌跡を表す線画像を前記表示部に表示させる表示制御手段を有する構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、位置データ出力ユニットからタッチパネル上の複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、前記タッチパネルの所定の上下方向における最上位置のタッチ点が追跡すべきタッチ点として決められると、そのタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報に基づいてその移動軌跡を表す線画像が表示部に表示される。
【0017】
第1の本発明に係るプログラムは、タッチパネルと、タッチ操作に対応した前記タッチパネルからの信号出力に基づいて、前記タッチパネル上のタッチ点に対応した位置データを出力する位置データ出力ユニットと、該位置データ出力ユニットから出力される位置データに基づいて前記タッチパネル上のタッチ点を追跡して当該タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成する処理ユニットとを有する手書き入力装置における前記処理ユニットでの処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、前記位置データ出力ユニットから複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、前記タッチパネルの所定の上下方向における最上位置のタッチ点を追跡すべきタッチ点として決める追跡タッチ点決定ステップと、前記複数のタッチ点のうち、前記追跡タッチ点決定ステップにより追跡すべきタッチ点として決められた以外のタッチ点について、対応する位置データに係らず、追跡しないと決める非追跡タッチ点決定ステップとを前記コンピュータに行わせる構成となる。
【0018】
第2の本発明に係る手書き入力装置は、タッチ操作に対応したタッチパネルからの信号出力に基づいて、前記タッチパネル上のタッチ点に対応した位置データを出力する位置データ出力ユニットと、該位置データ出力ユニットから出力される位置データに基づいて前記タッチパネル上のタッチ位置を追跡して当該タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成する処理ユニットとを有する手書き入力装置であって、前記処理ユニットは、前記位置データ出力ユニットから複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、前記タッチパネルの所定の上下方向における最上位置から下方にあるより上位の2以上のタッチ点を追跡すべき点の候補として決める追跡タッチ点候補決定手段と、該追跡タッチ点候補決定手段により追跡すべきタッチ点の候補として決められた2以上のタッチ点のそれぞれの移動軌跡が追跡すべきタッチ点の移動軌跡であるか否かを所定の基準に従って判定する移動軌跡判定手段と、該移動軌跡判定手段での判定結果に基づいて前記2以上のタッチ点から追跡すべきタッチ点を選択する追跡タッチ点選択手段とを有する構成となる。
【0019】
このような構成により、位置データ出力ユニットからタッチパネル上の複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、前記タッチパネルの所定の上下方向における最上位置から下方にあるより上位の2以上のタッチ点が追跡すべき点の候補として決められ、更に、その追跡すべきタッチ点の候補として決められた2以上のタッチ点のそれぞれの移動軌跡が追跡すべきタッチ点の移動軌跡であるか否かが所定の基準に従って判定される。そして、その判定結果に基づいて前記2以上のタッチ点から追跡すべきタッチ点が選択され、その選択された追跡すべきタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報が生成される。これにより、追跡すべきタッチ点の候補となる2以上のタッチ点のうち、前記所定の基準に従って追跡すべきタッチ点として適切でないと判定されるタッチ点が追跡すべきタッチ点として決められることを防止することができる。
【0020】
第2の本発明に係る手書き入力装置において、前記移動軌跡判定手段は、所定距離以上の移動軌跡を前記追跡すべきタッチ点の移動軌跡であると判定する構成とすることができる。
【0021】
このような構成により、追跡すべきタッチ点の候補として決められた2以上のタッチ点の移動軌跡のうち、所定距離以上の移動軌跡が追跡すべきタッチ点の移動軌跡として判定される。これにより、追跡すべきタッチ点の候補となる2以上のタッチ点のうち、線画を描こうとした操作者の意思とは関係のない僅かな移動しかしないタッチ点が追跡すべきタッチ点として決められることを防止することができる。
【0022】
第2の本発明に係る手書き入力装置において、表示部を有し、前記処理ユニットは、前記軌跡情報に基づいて前記追跡すべきタッチ点の移動軌跡を表す線画像を前記表示部に表示させる表示制御手段を有する構成とすることができる。
【0023】
このような構成により、位置データ出力ユニットからタッチパネル上の複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、その複数のタッチ点から追跡すべきタッチ点として選ばれたタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報に基づいてその移動軌跡を表す線画像が表示部に表示される。
【0024】
第2の本発明に係るプログラムは、タッチ操作に対応したタッチパネルからの信号出力に基づいて、前記タッチパネル上のタッチ点に対応した位置データを出力する位置データ出力ユニットと、該位置データ出力ユニットから出力される位置データに基づいて前記タッチパネル上のタッチ位置を追跡して当該タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成する処理ユニットとを有する手書き入力装置における前記処理ユニットでの処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記位置データ出力ユニットから複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、前記タッチパネルの所定の上下方向における最上位置から下方にあるより上位の2以上のタッチ点を追跡すべき点の候補として決める追跡タッチ点候補決定ステップと、該追跡タッチ点候補決定手段により追跡すべきタッチ点の候補として決められた2以上のタッチ点のそれぞれの移動軌跡が追跡すべきタッチ点の移動軌跡であるか否かを所定の基準に従って判定する移動軌跡判定ステップと、該移動軌跡判定手段での判定結果に基づいて前記2以上のタッチ点から追跡すべきタッチ点を選択する追跡タッチ点選択ステップとを前記コンピュータに実行させる構成となる。
【発明の効果】
【0025】
第1の本発明に係る手書き入力装置及びプログラムによれば、複数のタッチ点のうち、タッチパネルの所定の上下方向における最上位置のタッチ位置の移動軌跡を表す軌跡情報が生成される一方、追跡すべきタッチ点として決められたタッチ点以外のタッチ点については、対応する位置データに係らず、追跡しないと決められた以降、移動軌跡を表す軌跡情報が生成されないので、タッチパネルにおいて複数のタッチ点があっても、ノイズの少ないタッチ点の軌跡情報を得ることができる。
【0026】
また、第2の本発明に係る手書き入力装置及びプログラムによれば、複数のタッチ点から追跡すべきタッチ点の候補となる2以上のタッチ点が決められ、その候補となる2以上のタッチ点のうち、前記所定の基準に従って追跡すべきタッチ点として適切でないと判定されるタッチ点が追跡すべきタッチ点として決められることを防止することができるので、タッチパネルにおいて複数のタッチ点があっても、ノイズの少ないタッチ点の軌跡情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態に係る手書き入力装置が適用される車載機器の構成を示すブロック図である。
【
図2A】タッチコントローラから出力される位置データのフォーマットの一例を示す図である。
【
図2B】タッチパネルに設定された座標系と、操作者の指によるタッチ操作の例とを示す図である。
【
図3A】タッチパネルでのタッチ操作により発生するタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成するための処理手順(その1)を示すフローチャートである。
【
図3B】タッチパネルでのタッチ操作により発生するタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成するための処理手順(その2)を示すフローチャートである。
【
図4A】タッチパネル上での文字「A」の描画手順(一画目L1)を示す図である。
【
図4B】タッチパネル上での文字「A」の描画手順(二画目L2)を示す図である。
【
図4C】タッチパネル上での文字「A」の描画手順(三画目L3)を示す図である。
【
図4D】
図4A〜
図4Cに示す描画手順によってタッチパネル上で描かれた線素L1、L2、L3により構成される線画像(文字「A」)を示す図である。
【
図5】
図4A〜
図4Cに示す描画手順に従って線画「A」を描く際における各タッチ点の移動の時間的な関係と、そのように移動するタッチ点に対して
図3A及び
図3Bに従って生成される軌跡情報の生成時間とを示すタイミングチャートである。
【
図6A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t1で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図6B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t1から時刻t2の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図7A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t2で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図7B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t2から時刻t3の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図8A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t3で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図8B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t3から時刻t4の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図9A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t4で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図9B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t4から時刻t5の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図10A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t5で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図10B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻5から時刻t6の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図11A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t6で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図11B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t6から時刻t7の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図12A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t7で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図12B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t7から時刻t8の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図13A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t8で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図13B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t8から時刻t9の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図14A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t9で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図14B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t9から時刻t10の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図15A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t10で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図15B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t10から時刻t11の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図16A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t11で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図16B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t11から時刻t12の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図17A】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t12で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図17B】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t12から時刻t13の直前までのタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図18】
図5に示すタイミングチャートにおける時刻t13で更新された状態のタッチ点登録テーブルを示す図である。
【
図19】タッチパネルでのタッチ操作により発生するタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成するための他の処理手順を示すフローチャートである。
【
図20】タッチパネル上でタッチ操作を行う操作者の手のタッチパネルに触れる点の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
本発明の実施の形態に係る手入力装置が適用される車載機器は
図1に示すように構成される。
【0030】
図1において、車載機器100は、各種処理に係るプログラムを実行するコンピュータ(CPUを含む)によって構成される処理ユニット11、タッチパネル12、LCD(液晶表示パネル)を含む表示部13、記憶部14、出力回路15、スピーカ16、AVユニット17、ナビゲーションユニット18及びタッチコントローラ20を有している。AVユニット17は、処理ユニット11の制御のもと、各種音源及び映像源(例えば、CD、DVD等)の再生処理を行う。ナビゲーションユニット18は、処理ユニット11の制御のもと、自車両のルート案内等のナビゲーション処理を行う。処理ユニット11には、スピーカ16が接続される出力回路15が接続されており、AVユニット17及びナビゲーションユニット18の処理に基づいた音声信号が出力回路15を介してスピーカ16に供給され、前記音声信号に応じた音がスピーカ16から出力される。記憶部18には、処理ユニット11が実行可能なプログラムが格納されるとともに、AVユニット17及びナビゲーションユニット18にて利用される楽曲情報や地図情報等の各種情報が記憶されている。
【0031】
表示部13は、処理ユニット11から提供される映像やテキスト等の各種情報を表示する。タッチパネル12は、表示部13(液晶表示パネル)の表示画面に一体的に設けられており、処理に対する指示や各種情報を入力するための入力デバイスとして機能する。タッチパネル12は、操作者によって操作される物、例えば、指のタッチ位置に対応した信号出力を行う。タッチコントローラ20(位置データ出力ユニット)は、タッチパネル12からの信号出力に基づいて、タッチパネル12上のタッチ点に対応した位置データを所定のフォーマットにて出力する。
【0032】
処理ユニット11は、タッチコントローラ20から出力される位置データに基づいて、タッチパネル12と一体となる表示部13の表示画面上の位置を認識し、当該位置に表示されたアイコン(操作ボタン)が操作された等の操作内容を認識する。また、タッチパネル12には、手書き入力エリア(図示略)が設定されており、処理ユニット11は、タッチコントローラ20から出力される前記手書き入力エリア(タッチパネル12)上のタッチ点に対応した位置データに基づいて、当該手書き入力エリア上のタッチ点を追跡して当該タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成する手書き入力機能(手書き入力装置に対応)を有する。また、処理ユニット11は、タッチ点の移動軌跡を表す前記軌跡情報に基づいて、前記手書き入力エリア(タッチパネル12)上の前記タッチ点の移動軌跡に対応した線画によって構成される文字を認識する手書き文字認識エンジンを有している。そして、処理ユニット11は、前記手書き文字認識エンジンによって認識した文字、あるいは文字列にて表される情報を入力情報として認識する。
【0033】
タッチパネル12に設けられた矩形状の手書き入力エリアには、所定の点を原点とする、例えば、
図2Aに示すように、左上角点を原点とする座標系x−yが設定されている。タッチパネル12は、操作者の指(操作物)による各タッチ点A、B、Cの前記座標系x−yにおける座標値を表す信号を出力する。タッチコントローラ20は、タッチパネル12からの上記信号出力に基づいて、例えば、
図2Bに示すようなフォーマットの位置データを出力する。
【0034】
操作者が指等の操作物(以下、操作物は操作者の指とする)で手書き入力エリアをタッチして新たなタッチ点(座標値(x、y))が発生すると、タッチコントローラ20は、タッチパネル12からの新たな信号出力の立ち上がりに基づいて、前記タッチ点を特定する識別子「ID」(例えば、ID=A、B、C)を発生し、該識別子「ID」に対応させて、タッチ点が発生した位置を表す「初期点座標」push (x, y) (例えば、A:push (xAs, yAs)、B:push (xBs, yBs)、C:push (xCs, yCs))を位置データとして出力する。また、前記手書き入力エリア上での操作者のタッチした指の移動によってタッチ点が移動する際には、タッチコントローラ20は、前記タッチ点の移動に伴って変化するタッチパネル12からの信号出力に基づいて、当該タッチ点を特定する識別子「ID」に対応させて移動中のタッチ点の位置の履歴を表す「移動点座標」 move (x, y ...) (例えば、A:move (xA, yA ... )、B:move (xB, yB ... )、C:move (xC, yC ... ))を位置データとして出力する。更に、操作者がタッチしていた指を前記手書き入力エリアから離してタッチ点が消滅すると、タッチコントローラ20は、タッチパネル12からの信号出力の立下りに基づいて、消滅したタッチ点を特定する識別子「ID」に対応させて、タッチ点が消滅した位置を表す「離点座標」 release (x, y) (例えば、A:release (xAe, yAe)、B:release (xBe, yBe)、C:release (xCe, yCe))を位置データとして出力する。なお、タッチコントローラ20は、タッチパネル12からの信号出力が変化する毎に、「初期点座標」push (x, y)、「移動点座標」move (x, y) 及び「離点座標」release (x, y) のいずれかを出力する。「移動点座標」move (x, y) については、タッチパネル12からの信号出力が変化する毎に更新される。
【0035】
処理ユニット11は、タッチコントローラ20から出力される前記フォーマットの位置データに基づいて、手書き入力エリア(タッチパネル12)上のタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成するための処理(手書き入力処理)を、
図3A及び
図3Bの手順に従って実行する。
【0036】
図3Aにおいて、処理ユニット11は、所定の終了条件が満たされたか否かを確認しつつ(S12)、タッチコントローラ20から位置データが出力されるか否かを確認している(S11)。タッチコントローラ20から位置データが出力されると(S11でYES)、処理ユニット11は、その位置データを取得し(S13)、その位置データがタッチ点が発生した位置を表す「初期点座標」push (x, y) であるか否かを判定する(S14)。処理ユニット11は、取得した位置データが「初期点座標」push (x, y) であると判定すると(S14でYES)、その「初期点座標」push (x, y) に対応する新たなタッチ点をタッチ点登録テーブル(後述する
図6A〜
図18参照)に登録する(S15)。そして、処理ユニット11は、前記タッチ点を登録した時点で当該タッチ点登録テーブルに既にタッチ点が登録されているか否かを判定し(S16)、まだタッチ点が登録されていない場合(S16でNO)、処理ユニット11は、前記タッチ点登録テーブルにおいて、前記「初期点座標」push (x, y) のタッチ点を追跡すべきタッチ点、即ち、追跡タッチ点として指定する(S17:例えば、
図6Aにおいて◎参照)。その後、処理ユニット11は、位置データ(「初期点座標」push (x, y))に基づいて前記追跡タッチ点として指定されたタッチ点の移動軌跡(移動開始点)を表す軌跡情報を生成し(S18)、その軌跡情報に基づいて線画像(点画像)を表示部13に表示させる(S19)。その後、処理ユニット11は、所定の終了条件が満たされたか否かを確認しつつ(S12)、タッチコントローラ20から位置データが出力されるか否かを確認している(S11)状態に戻る。
【0037】
ここで、処理ユニット11は、タッチコントローラ20から位置データを取得し(S11でYES、S13)、その位置データが「初期点座標」push (x, y) でないと判定すると(S14でNO)、
図3Bに示す手順に移って、更に、前記位置データがタッチ点が消滅した位置を表す「離点座標」release (x, y) であるか否かを判定する(S25)。前記位置データが「離点座標」release (x, y) でない(S25でNO)、即ち、前記位置データが移動中のタッチ点の位置の履歴を表す「移動点座標」move (x, y ...) であると、処理ユニット11は、その位置データに基づいてタッチ点登録テーブルに登録されているタッチ点の「移動点座標」move (x, y ...)を更新する(S26)。そして、処理ユニット11は、その更新した「移動点座標」move (x, y ...) のタッチ点が追跡タッチ点であるか否かを判定し(S27)、追跡タッチ点であると判定すると(S27でYES)、その更新された「移動点座標」move (x, y ...) に基づいて前記追跡タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を更新(生成)し(
図3A、S18)、その更新された軌跡情報に基づいて線画像を表示部13に表示させる(
図3A、S19)。以後、処理ユニット11は、前記処理(S11、S13、S14、S25、S26,S27、S18、S19)を繰り返し実行する。これにより、追跡タッチ点として指定されるタッチ点が発生してからそのタッチ点が移動する間、位置データ(「初期点座標」push (x, y)、「移動点座標」move (x, y) )に基づいてそのタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報が生成、更新され、その軌跡情報に基づいて手書き入力エリアに描かれる線画を表す線画像が表示部13に表示される。
【0038】
手書き入力エリア(タッチパネル12)上で新たなタッチ点が発生し、タッチコントローラ20からの位置データが「初期点座標」push (x, y)であって(S14でYES)、そのタッチ点がタッチ点登録テーブルに登録される(S15)時点で、タッチ点登録テーブルに既に他のタッチ点が登録されていると(S16でYES)、即ち、手書き入力エリア(タッチパネル)上に複数のタッチ点が存在してタッチコントローラ20から複数のタッチ点に対する位置データが出力される場合、処理ユニット11は、新たに登録されるタッチ点の位置データ(push (x, y))と、既に登録されている各タッチ点の位置データ(move (x, y ...))とを比較して、新たに登録されるタッチ点が、手書き入力エリア(タッチパネル12)の所定の上下方向(例えば、
図4A〜
図4CにおけるU(上)−D(下)の方向)における最上位置であるか否かを判定する(S20)。前記上下方向は、任意に設定することができるが、手書き入力エリアに操作者が人差し指やペン等でタッチして線素を描く際に、通常その人差し指やペン等の先端部が向く方向を上方向とし、それと逆方向を下方向とすることが好ましい。
【0039】
タッチ点登録テーブルに新たに登録されたタッチ点が、手書き入力エリア(タッチパネル12)の最上位置であると(S20でYES)、処理ユニット11は、その新たに登録されたタッチ点を追跡すべき追跡タッチ点として指定する(S21、例えば、
図6Aにおける◎参照:追跡タッチ点決定手段)。また、処理ユニット11は、タッチ点登録テーブルにおいて、今まで追跡タッチ点であったタッチ点の追跡タッチ点の指定を解除して、今まで追跡タッチ点であったタッチ点を追跡しないタッチ点である非追跡タッチ点に指定する(S22、例えば、
図7Aにおける○参照:非追跡タッチ点決定手段:)。そして、処理ユニット11は、今まで追跡タッチ点として指定されていたタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を表示すべき線画像に寄与しないように無効化する、例えば、今まで追跡タッチ点として指定されていたタッチ点の位置データ(「初期点座標」push (x, y)及び「移動点座標」move (x, y ...))に基づいた軌跡情報の生成を禁止する(S23:軌跡情報無効化制御手段)。その結果、今までタッチ点として指定されていたタッチ点の移動軌跡を表す線画像が表示部23から削除される。
【0040】
以後、処理ユニット11は、追跡タッチ点については、ステップS11でYES、S13、S14でNO、S25でNO、S26、S27でYES、S18、S19に従って処理を繰り返し実行し、当該追跡タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を更新(生成)して、その軌跡情報に基づいて当該追跡タッチ点の移動軌跡を表す線画像を表示部13に表示させる(表示制御手段)。また、処理ユニット11は、非追跡タッチ点については、ステップS11でYES、S13、Sl4でNO、S25でNO、S26、S27でNOに従って処理を繰り返し、当該非追跡タッチ点についての軌跡情報を生成(更新)することなく、単に、タッチ点登録テーブルにおける当該非追跡タッチ点の位置データ(移動手座標move (x, y ...))を順次更新する。
【0041】
上記処理の過程で、操作者が指を手書き入力エリア(タッチパネル12)から離して、タッチ点(追跡タッチ点、非追跡タッチ点のいずれでも)が消滅すると、処理ユニット11は、タッチコントローラ20からの位置データが「離点座標」release (x, y) であると判定する(
図3BのS25でYES)。すると、処理ユニット11は、タッチ点登録テーブルにおいて、消滅したタッチ点に対応する識別子IDに対応づけて「離点座標」release (x, y) を登録し(
図3のS28)、その後、当該タッチ点をタッチ登録テーブルから削除する(S29)。以後、処理ユニット11は、所定の終了条件が満たされたか否かを確認しつつ(S12)、タッチコントローラ20から位置データが出力されるか否かを確認している(S11)状態に戻る。
【0042】
また、手書き入力エリア(タッチパネル12)上で発生した新たなタッチ点が、手書き入力エリア(タッチパネル12)上に存在する複数のタッチ点のうちで最上位置にはない場合(S11でYES、S13、S14でYES、S15、S16でYES、S20でNO)、処理ユニット11は、タッチ点登録テーブルに登録された前記新たなタッチ点を追跡しないタッチ点である非追跡タッチ点に指定する(S24:非追跡タッチ点決定手段:)。以後、そのタッチ点(非追跡タッチ点)について、処理ユニット11は、タッチコントローラ20から位置データ(「移動点座標」move (x, y ..))を取得する(S11でYES、S13、S14でNO)、S25でNO)毎に、タッチ点登録テーブルの「移動点座標」move(x, y ...)を更新する(S26、S27でNO)。
【0043】
なお、処理ユニット11は、所定の終了条件が満たされたか否かを確認しつつ(S12)、タッチコントローラ20から位置データが出力されるか否かを確認している(S11)状態において、当該所定の終了条件(手書き入力モードの解除の条件等)が満たされると、手書き入力エリア(タッチパネル12)上のタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成するための処理(手書き入力処理)を終了させる。
【0044】
上述したようにして、処理ユニット11は、タッチコントローラ20から出力される位置データ(push (x, y)、move (x, y ...)、release (x, y))に基づいて手書き入力エリア(タッチパネル12)上のタッチ点を追跡して当該タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成し、該軌跡情報に基づいて前記タッチ点の移動軌跡を表す線画像を表示部13に表示させる。特に、前記手書き入力エリアに複数のタッチ点が存在し、タッチコントローラ20から複数のタッチ点に対する位置データが出力される場合、処理ユニット11は、前記手書き入力エリア(タッチパネル)の上下方向における最上位置のタッチ点を追跡すべきタッチ点である追跡タッチ点として決め、また、前記複数のタッチ点のうち、前記追跡タッチ点以外のタッチ点を、追跡しないタッチ点である非追跡タッチ点として決める。
【0045】
以下、例えば、
図4A〜
図4Cに示すように、親指及び折り曲げた中指が手書き入力エリア(タッチパネル12)に触れながら、操作者が、人差し指で文字「A」を描く場合を例に、処理ユニット11の処理について更に具体的に説明する。この場合、
図5に示すように、時刻t1で、親指が手書き入力エリアに触れ、そのタッチ点にID=Aが割り当てられ、その親指が手書き入力エリアに触れつつ、時刻t2で、曲げられた中指が手書き入力エリアに触れて、その新たなタッチ点にID=Bが割り当てられ、更に、親指及び中指が手書き入力エリアに触れつつ、時刻t3で、人差し指が手書き入力エリアに触れ、その新たなタッチ点にID=Cが割り当てられる。そして、時刻t3から、親指と折り曲げられた中指が手書き入力エリアに触れつつ、人差し指(タッチ点ID=C)で文字「A」の一画目の線素L1が手書きエリア上で描かれ、時刻t4で、一画目の線素L1を描き終えた人差し指が手書き入力エリアから離れる(
図4A参照)。このとき、タッチ点ID=Cの割り当てが解除される。
【0046】
親指(タッチ点ID=A)と中指(タッチ点ID=B)との手書き入力エリアに触れた状態が維持されつつ、時刻t5で、人差し指が再び手書き入力エリアに触れ、その新たなタッチ点に再度ID=Cが割り当てられる。そして、時刻t5から、人差し指(タッチ点ID=C)で文字「A」の二画目の線素L2が手書きエリア上で描かれ、時刻t8で、二画目の線素L2を描き終えた人差し指が手書き入力エリアから離れる(
図4B参照)。このとき、タッチ点ID=Cが解除される。人差し指(タッチ点ID=C)で文字「A」の二画目の線素L2が描かれている間(t5〜t8)、親指(タッチ点ID=A)は、手書き入力エリアに触れた状態を維持する一方、折り曲げた中指(タッチ点ID=B)は、時刻6で、手書き入力エリアから離れて、タッチ点ID=Bの割り当てが解除され、直後の時刻t7で、再び手書き入力エリアに触れ、そのタッチ点にID=Bが再度割り当てられる。そして、人差し指が二画目の線素L2を描き終えた時刻t8以後、親指(タッチ点ID=A)及び中指(タッチ点ID=B)は、ともに手書き入力エリアに触れた状態を維持し、時刻t9で、手書き入力エリアから離れ、タッチ点ID=A及びID=Bの割り当てが解除される。これで、手書き入力エリア(タッチパネル12)上のタッチ点がなくなり、タッチ点に割り当てられるIDもなくなる。
【0047】
次いで、文字「A」の三画目の線素L3を描くために、時刻t10で、人差し指が手書き入力エリアに触れると、そのタッチ点にID=Aが割り当てられる。そして、時刻t10から、人差し指(タッチ点IC=A)で文字「A」の三画目の線素L3が手書き入力エリア上に描かれ、時刻t12で、三画目の線素L3を描き終えた人差し指が手書き入力エリアから離れる(
図4C参照)。このとき、タッチ点ID=Aの割り当てが解除される。時刻t10で人差し指が手書き入力エリアに触れて三画目の線素L3が描き始められた後の時刻t11で、折り曲げた中指が手書き入力エリアに触ると、そのタッチ点にID=Bが割り当てられる。以後、人差し指(タッチ点ID=A)とともに動く中指(タッチ点ID=B)が、人差し指が手書き入力エリアから離れた時刻t12の直後の時刻t13で、手書き入力エリアから離れると、タッチID=Bの割り当てが解除される。
【0048】
上記の場合、処理ユニット11での処理に基づいた動作は、以下の通りである。
【0049】
人差し指で文字「A」の手書き入力を行なおうとする操作者の親指が、時刻t1で、手書き入力エリア(タッチパネル12)に触れると(
図4A参照)、その親指に対応したタッチ点A(ID=A)が、
図6Aに示すように、「初期点座標」push (x, y)とともに登録され、追跡タッチ点として指定される(S11のYES、S13、S14でYES、S15、S16、S17)。そして、その親指が手書き入力エリアに触れつつ移動している時刻t1からt2に達する直前までの間、
図6Bに示すように、タッチ点登録テーブル上において、移動するタッチ点Aの位置の履歴を表す「移動点座標」move (x, y ...)が生成、更新される(S11でYES、S13、S14でNO、S25、S26、S27でYES)。そして、その間、前記「移動点座標」move (x, y ...)に基づいて、タッチ点A(親指)の移動軌跡を表す軌跡情報が生成され(S18)、その移動軌跡に基づいて前記タッチ点A(親指)が描く線素が表示部13に表示される(S19)。
【0050】
その後、時刻t2において、親指が手書き入力エリアに触れている状態で更に曲げられた中指が手書き入力エリアに触れると(
図4A参照)、その中指に対応したタッチ点B(ID=B)が、
図7Aに示すように、「初期点座標」push (x, y)とともに登録される。この場合、手書き入力エリアにおいて、中指が触る位置(タッチ点B)が、親指が触る位置より上方の位置(最上位置)にあるので、タッチ点B(中指)が追跡タッチ点として指定され、今まで追跡タッチ点として指定されていたタッチ点A(親指)が非追跡タッチ点に変更される(S11でYES、S13、S14でYES、S15、S16、S20でYES、S21、S22)。そして、タッチ点A(親指)の移動軌跡を表す線素(ノイズ)が表示部13から削除される(S23)。
【0051】
以後、親指及び中指が手書き入力エリアに触れつつ移動している時刻t2からt3に達する直前までの間、
図7Bに示すように、タッチ点登録テーブル上において、移動するタッチ点A(非追跡タッチ点:親指)の位置の履歴を表す「移動点座標」move (x, y ...)が更新される(S11でYES、S13、S14でNO、S25、S26、S27でNO)。また、その間、移動するタッチ点B(中指)の位置の履歴を表す「移動点座標」move (x, y ...)が生成及び更新され、前記「移動点座標」move (x, y ...)に基づいて、タッチ点B(追跡タッチ点:中指)の移動軌跡を表す軌跡情報が生成され、その移動軌跡に基づいて前記タッチ点B(中指)が描く線素が表示部13に表示される(S11でYES、S13、S14でNO、S25、S26、S27でYES、S18、S19)。
【0052】
これにより、親指(タッチ点A)の移動軌跡を表す線素(ノイズ)に代えて、中指(タッチ点B)の移動軌跡を表す線素が表示部13に表示されるようになる。
【0053】
その後、親指及び中指が手書き入力エリアに触れつつ、時刻t3で、人差し指が手書き入力エリアに触れると(
図4A参照)、その人差し指に対応したタッチ点C(ID=C)が、
図8Aに示すように、「初期点座標」push (x, y)とともに登録される。この場合、手書き入力エリアにおいて、人差し指が触れる位置(タッチ点C)が、親指及び中指が触る位置より上方の位置(最上位置)にあるので、タッチ点C(人差し指)が追跡タッチ点として指定され、今まで追跡タッチ点として指定されていたタッチ点B(中指)が非追跡タッチ点に変更される(S11でYES、S13、S14でYES、S15、S16、S20でYES、S21、S22)。そして、タッチ点B(中指)の移動軌跡を表す線素(ノイズ)が表示部13から削除される(S23)。
【0054】
以後、親指、中指及びが人差し指が手書き入力エリアに触れつつ移動している時刻t3からt4に達する直前までの間、
図8Bに示すように、タッチ点登録テーブル上において、移動するタッチ点A(非追跡タッチ点:親指)及びタッチ点B(非追跡タッチ点:中指)の「移動点座標」move (x, y ...)が更新される(S11でYES、S13、S14でNO、S25、S26、S27でNO)。また、その間、移動するタッチ点C(追跡タッチ点:人差し指)の位置の「移動点座標」move (x, y ...)が生成及び更新され、前記「移動点座標」move (x, y ...)に基づいて、タッチ点C(人差し指)の移動軌跡を表す軌跡情報が生成され、その移動軌跡に基づいて前記タッチ点C(人差し指)が描く線素が表示部13に表示される(S11でYES、S13、S14でNO、S25、S26、S27でYES、S18、S19)。
【0055】
これにより、中指(タッチ点B)の移動軌跡を表す線素(ノイズ)に代えて、人差し指(タッチ点C)の移動軌跡を表す文字「A」の一画目の線素L1が表示部13に表示される(
図4A参照)。
【0056】
続いて、親指及び中指が手書き入力エリアに触れつつ、時刻t4で、一画目の線素L1を描き終えた人差し指が手書き入力エリアから離れると、
図9Aに示すように、タッチ点登録テーブルにおいて、タッチ点Cの「離点座標」 release (x, y)が登録される(S11でYES、S13、S14でNO、S25でYES、S28)。その後、
図9Bに示すように、人差し指に対応するタッチ点Cがタッチ点登録テーブルから削除される(S29)。
【0057】
時刻t4で人差し指が手書き入力エリアから離れても親指及び中指が手書き入力エリアに触れた状態が維持される時刻t4から時刻t5の直前までの間、中指(タッチ点B)の触れる位置が親指の触る位置(タッチ点A)より上方の位置(最上位置)にあるが、
図9Bに示すように、タッチ点B(タッチ点Aも同様)が非追跡タッチ点として指定されているので、タッチ点Bの移動軌跡を表す軌跡情報は生成されない(S27でNO)。従って、人差し指が手書き入力エリアから離れた時刻t4から時刻t5の直前までの間は、親指及び中指が手書き入力エリアに触れていても、軌跡情報は生成されず、文字「A」の一画目の線素L1が表示された表示部13に他の線素(ノイズ)が表示されることはない(
図4A参照)。
【0058】
次に、親指及び中指が手書き入力エリアに触れつつ、時刻t5で、文字「A」の二画目を描き始める人差し指が手書き入力エリアに触れると(
図4B参照)、その人差し指に対応したタッチ点C(ID=C)が、
図10Aに示すように、「初期点座標」push (x, y)とともに登録される。この場合も、文字「A」の一画目を描く場合と同様に、手書き入力エリアにおいて、人差し指が触れる位置(タッチ点C)が、親指及び中指が触る位置より上方の位置(最上位置)にあるので、タッチ点C(人差し指)が追跡タッチ点として指定される(S11でYES、S13、S14でYES、S15、S16でYEs、S20でYES)。
【0059】
そして、親指及び中指が手書き入力エリアに触れつつ、文字「A」の二画目を描く人差し指が手書き入力エリアに触れつつ移動している時刻t5からt6に達する直前までの間、
図10Bに示すように、タッチ点登録テーブル上において、移動するタッチ点A(非追跡タッチ点:親指)及びタッチ点B(非追跡タッチ点:中指)のそれぞれの「移動点座標」move (x, y ...)が更新される(S11でYES、S13、S14でNO、S25、S26、S27でNO)。また、その間、移動するタッチ点C(追跡タッチ点:人差し指)の位置の「移動点座標」move (x, y ...)が生成及び更新され、前記「移動点座標」move (x, y ...)に基づいて、タッチ点C(人差し指)の移動軌跡を表す軌跡情報が生成され、その移動軌跡に基づいて前記タッチ点C(人差し指)が描く線素が表示部13に表示される(S11でYES、S13、S14でNO、S25、S26、S27でYES、S18、S19)。
【0060】
これにより、人差し指(タッチ点C)の移動とともに延びる文字「A」の二画目の線素L2が表示部13に表示されていく(
図4B参照)。
【0061】
手書き入力エリア(タッチパネル12)上で人差し指が文字「A」の二画目を描いている際に、時刻t6で、中指(タッチ点B)が手書き入力エリアから離れると、
図11Aに示すように、タッチ点登録テーブルにおいて、タッチ点Bの「離点座標」 release (x, y)が登録される(S25でYES、S28)。その後、
図11Bに示すように、中指に対応するタッチ点Bがタッチ点登録テーブルから削除される(S29)。その間、追跡タッチ点として指定されたタッチ点C(人差し指)の「移動点座標」move (x, y)が更新されつつ、その更新される「移動点座標」move (x, y)に基づいてタッチ点Cの移動軌跡を表す軌跡情報が生成され(S25でNO、S26、S27でYES、Sl8)、その軌跡情報に基づいて線素(二画目の線素L2)が表示部13に表示される(S19)。
【0062】
親指が手書き入力エリアに触れつつ人差し指で文字「A」の二画目を描いている最中に、時刻t7で、再び中指が手書き入力エリア(タッチパネル12)に触れると(
図4B参照)、その中指に対応したタッチ点B(ID=B)が、
図12Aに示すように、「初期点座標」push (x, y)とともに登録される。この場合、手書き入力エリア(タッチパネル12)において、中指(タッチ点B)は人差し指(タッチ点C)より下方に位置するので、タッチ点Bは、非追跡タッチ点として指定される(S15、S16でYES、S20でNO、S24)。その後、時刻t8の直前までの間、
図12Bに示すように、タッチ点登録テーブル上において、移動するタッチ点A(親指)、タッチ点B(中指)及びタッチ点C(人差し指)のそれぞれの「移動点座標」move (x, y ...)が更新される(S26)。そして、特に追跡タッチ点として指定されているタッチ点C(人差し指)については、その移動軌跡を表す軌跡情報が順次更新され(S18)、その軌跡情報に基づいて文字「A」の第二画目の線素L2が表示部13に表示される(S19)状態が維持される。
【0063】
親指及び中指が手書き入力エリアに触れつつ、時刻t8で、二画目の線素L2を描き終えた人差し指が手書き入力エリアから離れると、
図13Aに示すように、タッチ点登録テーブルにおいて、タッチ点Cの「離点座標」 release (x, y)が登録される(S11でYES、S13、S14でNO、S25でYES、S28)。その後、
図13Bに示すように、人差し指に対応するタッチ点Cがタッチ点登録テーブルから削除される(S29)。
【0064】
時刻t8で、文字「A」の二画目を描き終えた人差し指が手書き入力エリアから離れても親指及び中指が手書き入力エリアに触れた状態が維持される時刻t8から時刻t9の直前までの間では、人差し指で文字「A」の一画目の線素L1を描き終えた直後(時刻t4〜t5)と同様に、
図13Bに示すように、最上位置にあるタッチ点B(タッチ点Aも同様)が非追跡タッチ点として指定されているので、タッチ点Bの移動軌跡を表す軌跡情報は生成されない(S27でNO)。従って、人差し指が手書き入力エリアから離れた時刻t8から時刻t9の直前までの間は、親指及び中指が手書き入力エリアに触れていても、軌跡情報は生成されず、文字「A」の一画目の線素L1と二画目の線素L2とが表示された表示部13に他の線素(ノイズ)が表示されることはない(
図4B参照)。
【0065】
その後、文字「A」の三画目の始点に人差し指を合せるために、時刻t9で、手書き入力エリア(タッチパネル12)から親指及び中指が離れると、
図14Aに示すように、タッチ点登録テーブルにおいて、タッチ点A及びタッチ点Bのそれぞれの「離点座標」release (x, y)が登録される(S25でYES、S28)。その後、
図14Bに示すように、親指及び中指に対応するタッチ点A及びタッチ点Bがタッチ点登録テーブルから削除される(S29)。これにより、タッチ点登録テーブルに登録されたタッチ点が無い状態となる。
【0066】
その後、時刻t10で、文字「A」の三画目を描き始める人差し指が手書き入力エリア(タッチパネル12)に触れると(
図4C参照)、その人差し指に対応したタッチ点A(ID=A)が、
図15Aに示すように、「初期点座標」push (x, y)とともに登録される。そして、手書き入力エリアに唯一のタッチ点である人差し指に対応したタッチ点Aが追跡タッチ点として指定される(S15、S16でNO、S17)。そして、文字「A」の三画目を描く人差し指が移動している時刻t10から時刻t11に達する直前までの間、
図15Bに示すように、タッチ点登録テーブルにおいて、移動するタッチ点Aの位置の履歴を表す「移動点座標」move (x, y ...)が生成、更新される(S11でYES、S13、S14でNO、S25、S26、S27でYES)。その間、前記「移動点座標」move (x, y ...)に基づいて、タッチ点A(人差し指)の移動軌跡を表す軌跡情報が生成され(S18)、その移動軌跡に基づいてタッチ点A(人差し指)が描く文字「A」の三画目の線素L3が表示部13に表示される(
図4C参照)。
【0067】
人差し指で文字「A」の三画目を描いている最中に、時刻t11で、折り曲げた中指が手書き入力エリア(タッチパネル12)に触れると、その中指に対応したタッチ点B(ID=B)が、
図16Aに示すように、「初期点座標」push (x, y)とともに登録される。この場合、手書き入力エリアにおいて、中指が触る位置(タッチ点B)は、人差し指が触る位置より下方の位置にあるので、タッチ点B(中指)は非追跡タッチ点として指定される(S11でYES、S13、S14でYES、S15、S16でYES、S20でNO、S24)。
【0068】
手書き入力エリアに中指が触れつつ人差し指が移動する時刻t12に達する直前までの間では、
図16Bに示すように、タッチ点登録テーブルにおいて、移動するタッチ点A(追跡タッチ点:人差し指)の「移動点座標」move (x, y ...)が生成、更新され(S11でYES、S13、S14でNO、S25でNO、S26)、その「移動点座標」に基づいてタッチ点A(人差し指)の移動軌跡を表す軌跡情報が生成される(S27でYES、S18)。そして、その軌跡情報に基づいて線画「文字「A」の三画目の線素L3」が表示部13に表示される(S19)。
【0069】
その後、中指(タッチ点B)が手書き入力エリアに触れつつ、時刻t12で、三画目の線素L3を描き終えた人差し指が手書き入力エリアから離れると、
図17Aに示すように、タッチ点登録テーブルにおいて、タッチ点Aの「離点座標」 release (x, y)が登録される(S11でYES、S13、S14でNO、S25でYES、S28)。その後、
図17Bに示すように、人差し指に対応するタッチ点Aがタッチ点登録テーブルから削除される(S29)。
【0070】
時刻t8で、文字「A」の三画目の線素L3を描き終えた人差し指が手書き入力エリアから離れても中指が手書き入力エリアに触れた状態が維持される時刻t8から時刻t9の直前までの間では、
図17Bに示すように、最上位置にあるタッチ点Bが非追跡タッチ点として指定されているので、タッチ点Bの移動軌跡を表す軌跡情報は生成されない(S27でNO)。従って、人差し指が手書き入力エリアから離れた時刻t12から時刻t13の直前までの間は、中指が手書き入力エリアに触れていても、軌跡情報は生成されず、文字「A」の一画目の線素L1、二画目の線素L2及び三画目の線素L3が表示された表示部13に他の線素(ノイズ)が表示されることはない(
図4C参照)。
【0071】
その後、時刻t13で、中指が手書き入力エリアから離れると、
図18に示すように、タッチ点登録テーブルにおいて、タッチ点Bの「離点座標」release (x, y)が登録され(S11でYES、S13、S14でNO、S25でYES、S28)、その後、中指に対応するタッチ点Bがタッチ点登録テーブルから削除される。
【0072】
上記のような動作により、表示部13には、
図4Dに示すように、手書き入力エリア(タッチパネル12)上において人差し指で描かれた文字「A」を表す線素L1、L2、L3で構成される線画像が表示される。そして、処理ユニット11は、手書き文字認識エンジンにより、前記線画像を表す軌跡情報に基づいて文字「A」として認識する。
【0073】
上述したような手書き入力装置によれば、親指及び中指がタッチパネル12の手書き入力エリアに触れつつ、人差し指によって当該手書き入力エリア上で文字を描く場合等、前記手書き入力エリアに複数のタッチ点が存在する場合に、その複数のタッチ点のうち、追跡すべきタッチ点と決められた手書き入力エリアの所定の上下方向(U−D)における最上位置のタッチ点(人差し指)の移動軌跡を表す軌跡情報が生成される一方、追跡すべきタッチ点として決められたタッチ点以外のタッチ点(親指、中指)については、対応する位置データに係らず、追跡しないと決められた以降、移動軌跡を表す軌跡情報が生成されない。このため、手書き入力エリアにおいて複数のタッチ点が存在しても、ノイズの少ない、本来線素を描こうとしているタッチ点(人差し指)の移動軌跡を表す軌跡情報を得ることができる。その結果、そのようなノイズの少ない軌跡情報に基づいて生成される線画像に基づいてより精度良く文字を認識することができる。
【0074】
また、追跡すべきタッチ点(例えば、中指)が存在する状況で、タッチパネル上での新なタッチ点(例えば、人差し指)の発生により、タッチコントローラ20から複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、その新たに発生したタッチ点(例えば、人差し指)が追跡すべきタッチ点として決められると、その時点まで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点(例えば、中指)についての軌跡情報が無効化される。これにより、新たに追跡すべきタッチ点が決められた以降、それまで追跡すべきタッチ点として決められていたタッチ点については、初めから追跡すべきでないタッチ点として扱われる。よって、更にノイズの少ない、本来線素を描こうとしているタッチ点(人差し指)の移動軌跡を表す軌跡情報を得ることができる。
【0075】
なお、上述したタッチパネル12の種類については特に限定されず、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等、いずれの種類のタッチパネルであっても用いることができる。
【0076】
処理ユニット11は、
図3A及び
図3Bに示す処理手順に代えて、
図19に示す処理手順に従って手書き入力エリア(タッチパネル12)上のタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成するための処理(手書き入力処理)を行うことができる。この処理では、手書き入力エリアに複数のタッチ点が存在する場合、2以上のタッチ点が追跡すべきタッチ点の候補として決められ、その2以上の追跡すべきタッチ点の候補から1つの追跡すべきタッチ点が選択される。
【0077】
図19において、処理ユニット11は、所定の終了条件が満たされたか否かを確認しつつ(S32)、タッチコントローラ20から位置データが出力されるか否かを確認している(S31)。タッチコントローラ20から位置データが出力されると(S31でYES)、処理ユニット11は、その位置データを取得し(S33)、その位置データが複数のタッチ点についての位置データを含んでいるか否かを判定する(S34)。取得した位置データが複数のタッチ点についての位置データを含んでいる場合(S34でYES)、処理ユニット11は、更に、移動軌跡を追跡すべきタッチ点(以下、追跡タッチ点という)が既に決まっているか否かを判定する(S35)。追跡タッチ点がまだ決まっていない場合、処理ユニット11は、前記複数のタッチ点から、手書き入力エリア(タッチパネル12)の所定方向における最上位置から下方にある上位の2以上のタッチ点を追跡すべき候補(以下、追跡タッチ点候補という)を決める(S36:追跡タッチ点候補決定手段)。例えば、
図20に示すように、手書き入力エリア(タッチパネル12)に親指(A)、人差し指(B)、中指(C)、薬指(D)及び小指(E)が触れている場合、当該手書き入力エリアにおいて設定された上下方向(U(上)−D(下)方向)において最上位置から下方にある上位の3つのタッチ点、即ち、親指のタッチ点A、人差し指のタッチ点B及び中指のタッチ点Cが、追跡タッチ点候補として決定される。
【0078】
2以上(例えば、3つ)の追跡タッチ点候補が決まると(S36)、処理ユニット11は、所定時間、各追跡タッチ点候補の移動軌跡を監視し、各追跡タッチ点候補の前記所定時間における移動軌跡を演算する(S37)。そして、所定距離以上の移動軌跡となる追跡タッチ点候補があるか否かを判定し(S38:移動軌跡判定手段)、所定距離以上の移動軌跡となる追跡タッチ点候補があると(S38でYES)、移動軌跡が、追跡すべきタッチ点の移動軌跡であるとして、処理ユニット11は、前記2以上の追跡タッチ点候補から、前記所定距離以上の移動軌跡となる追跡タッチ点候補を、最終的に移動軌跡を追跡すべきタッチ点、即ち、追跡タッチ点として選択する(S39:追跡タッチ点選択手段)。
【0079】
そして、処理ユニット11は、タッチコントローラ20からの位置データに基づいて前記追跡タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成し(S40)、その軌跡情報に基づいて表示部13に線画像を表示させる(S41)。
【0080】
以後、手書き入力エリア(タッチパネル12)上に複数のタッチ点が存在しても(
図20参照)、処理ユニット11は、タッチコントローラ20から出力される位置データに基づいて、前記追跡タッチ点についての軌跡情報を更新(生成)し(S31でYES、S33、S34でYES、S35でYES、S40)、その軌跡情報に基づいて表示部13に線画像を表示させる(S41)。
【0081】
なお、所定時間において2以上の追跡タッチ点候補のいずれも所定距離以上移動しない場合(S38でNO)、処理ユニット11は、処理ユニット11は、所定の終了条件が満たされたか否かを確認しつつ(S32)、タッチコントローラ20から位置データが出力されるか否かを確認している(S31)状態に戻り、タッチコントローラ20からの位置データが更新される毎に、前述したのと同様の処理(S31でYES、S33、S34でYEs、S35でNO、S36、S37、S38)に従って、追跡タッチ点を決定する(S39)。
【0082】
また、手書き入力エリア(タッチパネル12)に当初から単一のタッチ点しか存在しない場合(S34でNO)、処理ユニット11は、そのタッチ点が追跡タッチ点として決められているか否かを判定する(S42)。追跡タッチ点として決められていない場合(S42でNO)、処理ユニット11は、そのタッチ点の移動軌跡を監視し、そのタッチ点の所定時間における移動軌跡を演算する(S43)。そして、そのタッチ点の移動軌跡が所定距離以上であると(S44でYES)、処理ユニット11は、そのタッチ点を追跡タッチ点として決める(S45)。以後、処理ユニット11は、その追跡タッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成し(S40、S42経由も含む)、その軌跡情報に基づいて線画像を表示部13に表示させる。
【0083】
なお、前記タッチ点の移動軌跡が所定距離以上でない場合(S44でNO)、処理ユニット11は、処理ユニット11は、所定の終了条件が満たされたか否かを確認しつつ(S32)、タッチコントローラ20から位置データが出力されるか否かを確認している(S31)状態に戻り、タッチコントローラ20からの位置データが更新される毎に、前述したのと同様の処理(S31でYES、S33、S34でNO、S42でNO、S43、S44、)に従って、追跡タッチ点を決定する(S45)。
【0084】
また、処理ユニット11は、所定の終了条件が満たされたか否かを確認しつつ(S32)、タッチコントローラ20から位置データが出力されるか否かを確認している(S31)状態において、当該所定の終了条件(手書き入力モードの解除の条件等)が満たされると、手書き入力エリア(タッチパネル12)上のタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報を生成するための処理(手書き入力処理)を終了させる。
【0085】
図19に示す手順に従った手書き入力処理を行う手書き入力装置では、タッチコントローラ20から手書き入力エリア(タッチパネル12)上の複数のタッチ点に対する位置データが出力される際に、前記手書き入力エリアの所定の上下方向(U−D)における最上位置から下方にあるより上位の2以上(例えば、3つ)のタッチ点が追跡すべき点の候補として決められ、更に、その追跡すべきタッチ点の候補として決められた2以上のタッチ点のそれぞれの移動軌跡が追跡すべきタッチ点の移動軌跡であるか否かが所定の基準(例えば、所定時間内に所定距離以上という基準)に従って判定される。そして、その判定結果に基づいて前記2以上のタッチ点から追跡すべきタッチ点が選択され、その選択された追跡すべきタッチ点の移動軌跡を表す軌跡情報が生成される。これにより、追跡すべきタッチ点の候補となる2以上のタッチ点のうち、前記所定の基準に従って追跡すべきタッチ点として適切でないと判定されるタッチ点が追跡すべきタッチ点として決められることを防止することができる。従って、手書き入力エリア(タッチパネル12)において複数のタッチ点があっても、ノイズの少ないタッチ点の軌跡情報を得ることができる。