【解決手段】 クライアントPC2は、ユーザ操作により印刷装置の利用候補順位が設定された利用候補順位リストを記憶し、印刷をする際に社内ネットワーク1に接続された複数の印刷装置4の状態を確認し、状態に応じて予め設定された条件に合致する印刷装置を、複数の印刷装置のそれぞれの状態と利用候補順位リスト設定された利用候補順位に基づいて選択して、印刷命令を実行する。
前記印刷装置選択手段は、前記印刷状態の印刷装置が存在する場合に、当該印刷装置に印刷命令を実行した場合に発生する印刷動作の待ち状態が許容範囲内である場合に、当該印刷装置を選択する請求項2記載の印刷システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における印刷システムの構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態における印刷システムは、例えば有線LAN(Local Area Network)などにより構成される社内ネットワーク1に、複数のクライアントPC2(2−1,2−2,…,2−n)、印刷装置(プリンタ)4(4−1,4−2,…,4−m)が接続される。クライアントPC2は、各種のアプリケーションプログラムにより作成した各種ファイルのデータを、印刷装置4によって印刷させることができる。クライアントPC2は、複数の印刷装置4−1,4−2,…,4−mから印刷動作を実行させる印刷装置を、ユーザによる設定に応じて選択することができる他に、印刷装置4−1,4−2,…,4−mの状態に基づいて、状態に応じて予め設定された条件に合致する、印刷時間の短縮と省電力化とを図ることができる印刷装置を選択することができる。クライアントPC2は、ユーザによって予め印刷装置の利用候補順位を定めた利用候補順位リスト(詳細については後述する)が設定されている場合、この利用候補順位リストに設定された利用候補順位を参照して印刷動作を実行させる印刷装置を選択することで、ユーザが利用を意図する印刷装置(例えば、自席の近くに設置された印刷装置や高性能な印刷装置など)が選択されやすくすることができる。
【0012】
なお、クライアントPC2と印刷装置4は、社内ネットワーク1を介してインターネット網5と接続される。従って、クライアントPC2と印刷装置4は、インターネット網5に接続された各種のコンピュータ、例えばネットワークサービスを提供するサーバ装置等と通信することができる。
【0013】
なお、クライアントPC2は、社内ネットワーク1(有線LAN)を介して印刷装置4を接続するだけでなく、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して印刷装置4を接続することもできる。
【0014】
図2は、本実施形態におけるクライアントPC2の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態におけるクライアントPC2は、プロセッサ11、RAM12、ROM13、記録装置14、表示コントローラ15、ディスプレイ16、入出力コントローラ17、入力デバイス18、通信コントローラ19、及びUSBコントローラ20とを有している。
【0015】
プロセッサ11は、入出力コントローラ17を介して入力デバイス18から入力されるユーザからの指示に応じて、記録装置14に記憶されているプログラムを起動させ、RAM12をワーク(作業用)メモリとして使用して各部の動作の制御を行なう。プロセッサ11は、文書作成等の各種アプリケーションプログラムを実行してデータファイルを作成し、データファイルを印刷装置4によって印刷させるための処理を実行する。プロセッサ11は、アプリケーションプログラム等からの要求に応じて印刷装置4により印刷動作を実行させる場合、記録装置14に記録された印刷制御プログラム14aを起動し、印刷制御プログラム14aに従う処理によって印刷動作を実行させる印刷装置4を選択して印刷命令を実行する。
【0016】
RAM12は、プロセッサ11により実行される各種プログラムや各種処理のためのデータを記録するためのワークメモリとして使用される。
ROM13は、プロセッサ11により実行されるプレーヤデータを記録する。
【0017】
記録装置14は、不揮発性の記録媒体にプログラムやデータを記録するためのもので、HDD(Hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)などにより構成される。記録装置14は、例えば本装置の全体の制御を司るシステムプログラム(オペレーティングシステム)や各種アプリケーションプログラムの他、各種のデータファイルを記録する。記録装置14には、複数の印刷装置4から印刷動作を実行させる印刷装置4を選択して印刷命令を実行させるための印刷制御プログラム14a、印刷制御プログラム14aによる処理において参照される利用候補順位リスト14bが記憶される。利用候補順位リスト14bは、クライアントPC2のユーザの操作によって設定されるもので、複数の印刷装置4から任意に選択された少なくとも1つの印刷装置が設定され、それぞれに対して利用候補順位が定められる(
図6参照)。
【0018】
表示コントローラ15は、プロセッサ11の制御のもとで、ディスプレイ16における表示を制御する。
ディスプレイ16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)によって構成され、プロセッサ11により実行される各種処理に応じた画面を表示する。
【0019】
入出力コントローラ17は、各種の入出力デバイスとのデータ入出力を制御するもので、例えば入力デバイス18に対するユーザの操作に応じたデータを入力する。
【0020】
入力デバイス18は、キーボードや、マウス、タッチパネル等のポインティングデバイスなどから構成され、ユーザにより操作がされるデバイスである。
【0021】
通信コントローラ19は、プロセッサ11の制御のもとで、例えば有線LANなどの社内ネットワーク1や、図示せぬ無線ネットワークとの通信を制御する。
【0022】
USBコントローラ20は、USB(Universal Serial Bus)を制御するもので、USBケーブルを介して接続されたUSBデバイス(印刷装置4を含む)等のデータの入出力等を実行する。
【0023】
図3は、本実施形態における印刷装置4の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態における印刷装置4は、インターフェースコントローラ(以下、IFCONTで示す)31、オペレーションパネル32、LCD33、プリンタコントローラ(以下、PRCONTで示す)34、電源制御部(以下、MPS(Main Power Source)で示す)35、高電圧部(以下、HVU(High Voltage Unit)で示す)36、モーター制御部(以下、MDCONTで示す)37、駆動ユニット38、給紙ユニット39、ヘッド40、トナーセット/ドラムセット(以下、TS/DSで示す)41、ベルトユニット42、定着ユニット43、排紙ユニット44、両面ユニット45、USBハブ46、メインスイッチ(以下、メインSWで示す)を有している。
【0024】
IFCONT31は、例えば、有線LAN(社内ネットワーク1)や無線LANを介して、クライアントPC2(2−1,2−2)やインターネット網5と接続され、またUSBケーブルを介して、クライアントPC2(2−3)と接続される。IFCONT31は、クライアントPC2から送られてくる印刷データを受信し、この受信した印刷データに基づいて、トナーセットの印刷色毎に対応する画像データ(ビットマップデータ/ドット画像データ)をメモリに展開する。また、IFCONT31は、印刷データに含まれるコマンドをPRCONT34に送信する。また、IFCONT31は、オペレーションパネル32から入力されるコマンドを受信し、このコマンドをPRCONT34に出力する。また、IFCONT31は、クライアントPC2からの要求に応じて各種の情報をクライアントPC2に送信するもので、例えば動作の状態(印刷状態、印刷待機状態(アイドル)、省電力状態、ヒーターコールド)などを送信する。また、IFCONT31は、印刷装置4を識別可能な固有のネットワーク情報(例えば、印刷装置名称などの情報を含む)を記憶しており、印刷命令の実行元となるクライアントPC2に対して送信する。
【0025】
オペレーションパネル32は、印刷装置4の表示部を構成すると共に操作部を構成するもので、操作画面や印刷装置4のステータス情報などをLCD33に表示すると共に、ユーザ操作に基づくコマンド信号をIFCONT31に送信する。
【0026】
PRCONT34は、IFCONT31などから受信されるコマンドと、メモリに展開した画像データに基づいて、色(例えば、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)ブラック(K))毎に、印刷指令をヘッド40へと出力する。また、PRCONT34は、HVU36や給紙ユニット39へも制御信号を出力する。さらに、PRCONT34は、用紙へのトナー像の熱定着を行う定着ユニット43に対して温度制御信号を送信する。
【0027】
MPS35は、電源のオン及びオフを制御するメインSW47を介して商用電源(例えば、AC100V電源)から電力の供給を受けて、この電力を印刷装置4に設けられたIFCONT31、PRCONT34、MDCONT37などの各部へと供給する。メインSW47は、ユーザによって切り替えられる他、PRCONT34の制御により切り替えることもできる。
【0028】
HVU36は、MPS35を介して商用電源(例えば、AC100V)からの電力が供給され、図示しない帯電器や転写器に所定の高電圧を印加するための高電圧を発生させる。
MDCONT37は、駆動ユニット38やトナー像の転写搬送を行うベルトユニット42等に備えられたモーターなどの駆動部を制御する。
【0029】
給紙ユニット39は、PRCONT34からの制御信号に従って用紙を給紙する。排紙ユニット44は、定着ユニット43による画像定着後の用紙を排紙トレーに排紙する。両面ユニット45は、両面印刷の際の用紙の再給紙などを制御する。
【0030】
ヘッド40は、例えば、EL(Electroluminescence)やLED(Light Emitting Diode)などの発光素子をアレイ状に並べて構成され、PRCONT34からの印刷指令に基づいて感光体ドラムを露光する露光ユニットとして機能する。TS/DS41は、印刷色に対応した色のトナーを封入すると共に、ヘッド40により感光される感光体ドラムを有する。感光体ドラムには、記録色毎に設けられた複数のトナー像が転写(現像)される。
【0031】
ベルトユニット42は、感光体ドラムに形成された記録色毎のトナー像が転写(現像)されることで画像合成される、像担持体としての中間転写ベルトを備える。駆動ユニット38は、中間転写ベルトを循環移動させる。
【0032】
定着ユニット43は、中間転写ベルト上で重ね合わされた複数色のトナー像を、中間転写ベルトの二次転写部において用紙に転写させる。電子写真方式を採用した印刷装置では像担持体上に現像されたトナーを印刷用紙に転写し、このトナーを熱と圧力を加えることにより用紙に定着させる。定着ユニット43には、熱源として例えばハロゲンヒータが設けられる。熱源とするヒータは、比較的消費電力が大きいため、ヒータ点灯による消費電力を削減する目的で印刷動作時以外にはヒータへの通電を遮断する制御が行われる。また、定着ユニット43は、印刷用紙を所定の圧力で圧着させるために表面に弾性材料を使用したロールを用紙に当接させ、ロールを回転させることで一定の圧力を加えつつ印刷用紙を搬送する。印刷装置4によって印刷が可能な状態にする場合、ハロゲンヒータを点灯して、用紙へのトナーの安定した定着が可能な一定の温度まで上げるように制御される。通常、定着ユニット43のロールには弾性部材が設けられているために、ヒータを点灯してもロールの温度が直ちに印刷可能な一定の温度に到達しない。このため、ヒータ点灯から印刷可能な状態となるまで(ロール温度が印刷可能な一定の温度に達するまでに)一定の時間(ウエイト時間)が発生する。
【0033】
USBハブ46は、IFCONT31に接続され、IFCONT31からのUSB制御信号によって制御される。USBハブ46には、USBコントローラIC(図示せず)が搭載され、このUSBコントローラICを介してUSBデバイスと接続される。USBデバイスは、例えば可搬型記憶媒体として、USBメモリ49やSSD(Solid State Drive)メモリ50がある。
【0034】
図5は、本実施形態における印刷装置4による消費電力の変化を説明するための図である。
印刷装置4は、メインSW47の切り換えにより電源が投入されている間、所定時間以上、印刷動作を実行しない場合、消費電力を低下させるために待機状態(アイドル)あるいは省電力状態(スリープモード)に移行する。待機状態(アイドル)あるいは省電力状態(スリープモード)では、多くのユニットへの電力供給が停止され、定着ユニット43のヒータの点灯も停止された状態となる。
【0035】
待機状態(アイドル)あるいは省電力状態(スリープモード)において、クライアントPC2から印刷命令を受信すると、印刷装置4は、定着ユニット43において用紙にトナーを定着させることができる一定の温度まで上げるために、定着ユニット43のヒータを全開にオンする。定着ユニット43は、ヒータを点灯しても直ちに印刷可能な一定の温度に到達しないため、ウォームアップ時間中の消費電力がピーク消費電力となる。
【0036】
その後、ウォームアップが完了すると、印刷装置4は、印刷動作に移行する。印刷動作中(印刷期間)では、ウォームアップ時間よりも消費電力が低下し、各ユニットの動作状況に応じて消費電力が変動する。
【0037】
印刷動作が終了すると、印刷装置4は、各ユニットの動作を停止させて印刷待機状態(アイドル)に移行する。このため、消費電力が大幅に低下する。さらに、印刷待機(アイドル)状態が一定時間経過すると、印刷装置4は、省電力状態(スリープモード)に移行して、消費電力が最低限となるようにする。省電力状態(スリープモード)に移行されると、定着ユニット43のヒータの通電が遮断される。省電力状態(スリープモード)へ移行してから短時間(例えば5分程度)では、定着ユニット43(ロール等)の温度が印刷期間における温度に近いため、この時間内に印刷動作に移行する場合にはウォームアップ時間が短くてすむ。省電力状態(スリープモード)へ移行してから長時間が経過すると、定着ユニット43の温度が低下するため、前述したように、ヒータを点灯してから印刷可能な一定の温度に到達するまでに一定の時間(ウエイト時間)が発生する。
【0038】
このように、印刷装置が省電力状態(スリープモード)にある場合には、定着ユニット43のヒータへの通電が遮断されているため、この状態から印刷動作を可能な状態にするまでに一定のウエイト時間が発生し、直ちに印刷可能な状態にある印刷装置に比べ、消費電力が多く、また印刷動作が完了するまでにより時間を必要とする。本実施形態における印刷システムでは、複数の印刷装置4の何れかにより印刷動作をさせる際に、直ちに印刷可能な印刷装置を優先して選択することにより、印刷時間の短縮と省電力化を図る。
【0039】
本実施形態における印刷システムでは、クライアントPC2が印刷装置4により印刷動作を実行させる際に、印刷動作中(印刷状態)の印刷装置、印刷待機状態(アイドル)中の印刷装置、省電力状態(スリープモード)に移行してから5分以内の省電力状態早期の印刷装置の順番で候補順位を設定し、この3通りの状態の印刷装置から候補順位に応じて選択されやすくする。本実施形態における印刷システムでは、複数の印刷装置4のそれぞれの動作状態と、ユーザが予め設定する利用候補順位リスト14bの設定内容に応じて、印刷動作を実行させる印刷装置4を選択する。
【0040】
次に、本実施形態における印刷システムの動作について説明する。
クライアントPC2のユーザは、予め利用候補順位リスト14bを設定することができる。例えば、プロセッサ11は、ユーザ操作によって利用候補順位リスト14bの設定処理の実行が指示されると、印刷制御プログラム14aを実行して、印刷制御プログラム14aの処理に基づいて、利用候補順位リスト14bの設定用画面をディスプレイ16において表示させる。ユーザは、設定用画面を参照しながら入力デバイス18を操作することにより、例えば社内ネットワーク1に接続された複数の印刷装置4−1,4−2,…,4−mから印刷に利用しようとする印刷装置4を任意に選択して、それぞれに対して候補順位を設定することができる。プロセッサ11は、ユーザの操作により選択された印刷装置4と候補順位とを設定した利用候補順位リスト14bを作成して、記録装置14に記憶させる。
【0041】
図6は、本実施形態における利用候補順位リスト14bの一例を示す図である。
図6に示す利用候補順位リスト14bの例では、候補順位1,2,…のそれぞれについて、社内ネットワーク1に接続された複数の印刷装置4−1,4−2,…,4−mから任意に選択された少なくとも一つの印刷装置の印刷装置名称が設定される。
図6に示す例では、候補順位1位の印刷装置として「印刷装置1」、候補順位2位の印刷装置として「印刷装置2」が設定された例を示している。
【0042】
クライアントPC2のユーザは、例えば自席に近くに設置された印刷装置4や高機能の印刷装置4などを任意に選択し、高い候補順位を利用候補順位リスト14bに設定しておくことで、複数の印刷装置4からユーザが意図する印刷装置4が選択されて、印刷に使用されやすくすることができる。
【0043】
次に、本実施形態におけるクライアントPC2の印刷制御プログラム14aにより実行される印刷制御方法について、
図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
プロセッサ11は、例えばアプリケーションプログラムからファイルを印刷するための印刷命令を受信すると、印刷制御プログラム14aを起動して印刷制御を開始する。
【0044】
プロセッサ11は、通信コントローラ19を通じて接続ネットワークを確認し(ステップA1)、社内ネットワーク1に接続された複数の印刷装置4のそれぞれの状態を確認する(ステップA2)。すなわち、プロセッサ11は、複数の印刷装置4が、印刷動作中(印刷状態)、印刷待機状態(アイドル)中、省電力状態早期(スリープモード早期)、ヒーターコールド状態の何れであるかを確認する。なお、クライアントPC2は、社内ネットワーク1に接続された印刷装置4の状態などの情報を、例えばMIB(Management Information Base)によって取得することができる。
【0045】
ここで印刷動作中(印刷状態)の印刷装置4が存在する場合(ステップA3、YES)、プロセッサ11は、該当する印刷装置4から残り印刷枚数の情報を取得する(ステップA4)。プロセッサ11は、該当する印刷装置4の残り印刷枚数が予め設定された規定枚数以上であるかを判別する。すなわち、該当する印刷装置4に対して印刷命令を実行した場合に発生する印刷動作の待ち状態が許容範囲内であるかを判別する。
【0046】
印刷状態にある印刷装置4は、ウォームアップが不要であるためにヒータ通電に伴う大きな電力消費が発生しないが、省電力化のために印刷状態の印刷装置4に対して集中して複数のクライアントPC2から印刷命令が実行されると、後から印刷要求を実行したクライアントPC2の印刷動作が待ち状態となってしまい、印刷終了までに長い時間を要してしまう。このため、印刷残り枚数が規定枚数以上である場合には(ステップA5、YES)、プロセッサ11は、印刷待機状態の印刷装置4を利用するために印刷待機状態の印刷装置4が存在するかを判別する。
【0047】
一方、印刷状態にある印刷装置4のうち少なくとも1台の印刷装置4の残り印刷枚数が規定枚数以上でない場合(ステップA5、NO)、プロセッサ11は、利用候補順位リスト14bを参照して、該当する印刷装置4から利用候補順位リスト14bに設定された候補順位に従って1つの印刷装置4を選択する(ステップA7)。
【0048】
例えば、該当する印刷装置4が1台である場合には、プロセッサ11は、この印刷装置4を選択する。また、該当する印刷装置4が複数台ある場合、プロセッサ11は、この複数台の印刷装置4のうち利用候補順位リスト14bに設定された候補順位が最も高い印刷装置4を選択する。あるいは、該当する印刷装置4が複数台ある場合、プロセッサ11は、利用候補順位リスト14bに該当する印刷装置4が設定されていなくても、残り印刷枚数が最も少ない印刷装置4を選択することができる。
【0049】
なお、前述した説明では、印刷動作中(印刷状態)の印刷装置4から残り印刷枚数の情報を取得するとしているが、印刷終了までに要する残り時間を示す情報を取得し、予め設定された規定値と比較するようにしても良い。この場合、残り時間が規定値より長い場合には、この印刷装置4を選択せずに、プロセッサ11は、印刷待機状態の印刷装置4を利用するために印刷待機状態の印刷装置4が存在するかを判別する。
【0050】
また、前述した規定枚数(あるいは残り時間に対する規定値)は、利用候補順位リスト14bと同様にして、予めユーザの操作によって任意に設定できるようにしても良い。この場合、プロセッサ11は、ユーザ操作によって設定された規定枚数(規定値)を示すデータを記録装置14に記録しておき、前述した処理において参照できるようにする。
【0051】
プロセッサ11は、印刷装置4の状態と利用候補順位リスト14bをもとに印刷装置4を選択すると、この選択した印刷装置4を識別可能な情報、例えば印刷装置名称をディスプレイ16において表示させる(ステップA8)。この表示に対してユーザ操作によって確定が指示されると(ステップA9)、プロセッサ11は、確定した印刷装置4に対して印刷命令を実行する(ステップA10)。
【0052】
なお、ステップA7において、印刷装置4の状態と利用候補順位リスト14bをもとに複数の印刷装置4を選択しておき、候補順位の順番で印刷装置名称等をディスプレイ16に表示させて、ユーザに何れかを選択せるようにしても良い。これにより、利用候補順位リスト14bに設定されている印刷装置4が使用できない場合でも、ユーザが意図する印刷装置4を使用できるようになる。
【0053】
一方、印刷動作中(印刷状態)の印刷装置4が存在しない場合(ステップA3、NO)あるいは印刷状態にある印刷装置4の残り印刷枚数が規定枚数以上である場合(ステップA5、YES)、プロセッサ11は、印刷待機状態の印刷装置4が存在するかを判別する。印刷待機状態の印刷装置4が存在しない場合(ステップA6、NO)、プロセッサ11は、省電力状態早期の印刷装置4が存在するかを判別する。
【0054】
さらに、省電力状態早期の印刷装置4が存在しない場合(ステップA11、NO)、プロセッサ11は、印刷可能な印刷装置4(省電力状態(スリープモード)が5分以上のヒーターコールド状態)が存在するかを判別する。
【0055】
こうして、印刷動作中(印刷状態)、印刷待機(アイドル)中、省電力状態早期(スリープモード早期)、ヒーターコールド状態の順に該当する印刷装置4が存在するかを判別することで、より省電力が可能な印刷装置4を優先して判別が可能となる。
【0056】
印刷待機(アイドル)中、省電力状態早期(スリープモード早期)、あるいはヒーターコールド状態の何れかに該当する印刷装置4が存在する場合(ステップA6,A11,A12、YES)、プロセッサ11は、前述と同様にして、該当する印刷装置4から利用候補順位リスト14bに設定された候補順位に従って印刷装置4を選択する(ステップA7)。以下、前述と同様にして、プロセッサ11は、選択した印刷装置4の印刷装置名称などを表示させ(ステップA8)、ユーザから確定が指示されると(ステップA9)、この印刷装置4に対して印刷命令を実行する(ステップA10)。
【0057】
なお、プロセッサ11は、印字可能な印刷装置4が存在しないと判別した場合(ステップA12、NO)、アプリケーションプログラムからの印刷命令に対して印刷不能と確定し、印刷不能エラー処理を実行する(ステップA13)。
【0058】
次に、複数の印刷装置4から印刷命令を実行する印刷装置を選択する処理の具体例について、
図7〜
図11を参照して説明する。
図7〜
図11は、ステップA2において確認された、社内ネットワーク1に接続された印刷装置4とそれぞれの状態の一例を示す図である。
図7〜
図11においては印刷装置4の状態として、状態4は印刷状態(ヒーターレディ)、状態3は印刷待機状態(アイドル)、状態2は省電力状態早期、状態1はヒーターコールド(電源はオン)、状態0は電源オフであることをそれぞれ表している。また、以下の説明では、印刷状態「状態4」にある印刷装置4について、残り印刷枚数の判別についての説明を省略している。
【0059】
図7に示す例では、社内ネットワーク1に「印刷装置1」「印刷装置2」「印刷装置A」が接続されており、それぞれの状態が「状態4」「状態3」「状態1」であることが確認されたことを示している。この場合、印刷状態(ヒーターレディ)「状態4」の「印刷装置1」があるため、この「印刷装置1」を印刷命令を実行する印刷装置4として選択する。なお、「印刷装置A」は、利用候補順位リスト14bに設定されていないが電源オン状態となっている印刷動作が可能な印刷装置4を示している。
【0060】
図8に示す例では、印刷状態(ヒーターレディ)「状態4」の印刷装置4はないが、印刷待機状態(アイドル)「状態3」の「印刷装置2」が存在している。「印刷装置2」は、利用候補順位リスト14bにおいて「印刷装置1」よりも候補順位が低いが(
図5参照)、状態の情報を優先して「印刷装置2」を、印刷命令を実行する印刷装置4として選択する。
【0061】
図9に示す例では、利用候補順位リスト14bに設定された「印刷装置1」「印刷装置2」が存在するが何れもヒーターコールド「状態1」であるため、印刷状態(ヒーターレディ)「状態4」の利用候補順位リスト14bに設定されていない「印刷装置A」を選択する。
【0062】
図10に示す例では、印刷状態(ヒーターレディ)「状態4」の印刷装置4はないが、印刷待機状態(アイドル)「状態3」にある複数の「印刷装置2」「印刷装置A」が存在している。この場合、利用候補順位リスト14bに設定された候補順位の高い「印刷装置2」を選択する。
【0063】
図11に示す例では、印刷状態(ヒーターレディ)「状態4」、印刷待機状態(アイドル)「状態3」、省電力状態早期「状態2」、ヒーターコールド(電源はオン)「状態1」の何れの状態にある印刷装置4も存在しないことを表している。この場合、印刷不能としてエラー処理を実行する。
【0064】
このようにして、本実施形態における印刷システムでは、社内ネットワーク1に接続された動作可能な印刷装置4を判別し、それぞれの印刷装置4の状態と、ユーザ操作によって予め利用候補順位リスト14bに設定された候補順位をもとにして印刷命令を実行する印刷装置4を選択するので、印刷命令実行時に印刷時間の短縮と省電力化とを図ることができ、さらに利用候補順位リスト14bに設定された印刷装置4を優先して選択することで、ユーザが利用を意図する印刷装置が選択されやすくすることが可能となる。
【0065】
なお、実施形態において記載した手法、すなわち
図4のフローチャートに示す処理等の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して配布することができる。そして、コンピュータは、外部記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、実施形態において説明した機能と同様の処理を実現することができる。
【0066】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワーク(インターネット)上を伝送させることができ、このネットワーク(インターネット)に接続されたコンピュータ(サーバ装置等)からプログラムデータを取り込み、前述した実施形態と同様の機能を実現することもできる。
【0067】
なお、本願発明は、実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0068】
ネットワークに接続された複数の印刷装置の状態を確認する状態確認手段と、
印刷装置の利用候補順位が設定された利用候補順位リストを記憶するリスト記憶手段と、
前記状態に応じて予め設定された条件に合致する印刷装置を、前記複数の印刷装置のそれぞれの状態と前記利用候補順位リストに設定された利用候補順位に基づいて選択する印刷装置選択手段と
を有する印刷システム。
[付記2]
【0069】
前記印刷装置の状態には、印刷状態、待機状態、省電力状態早期、ヒーターコールド状態とを含み、
前記印刷装置選択手段は、前記印刷状態、待機状態、省電力状態早期、ヒーターコールド状態の候補順位に応じて該当する状態にある印刷装置を選択する付記1記載の印刷システム。
[付記3]
【0070】
前記印刷装置選択手段は、前記印刷状態の印刷装置が存在する場合に、当該印刷装置に印刷命令を実行した場合に発生する印刷動作の待ち状態が許容範囲内である場合に、当該印刷装置を選択する付記2記載の印刷システム。
[付記4]
【0071】
前記印刷装置に固有のネットワーク情報を記憶する記憶手段をさらに有する付記1記載の印刷システム。
[付記5]
【0072】
前記印刷装置に固有のネットワーク情報を印刷命令の発信元へ送信し、前記ネットワーク情報を表示する表示手段をさらに有する付記4記載の印刷システム。
[付記6]
【0073】
印刷装置の利用候補順位が設定された利用候補順位リストを記憶するリスト記憶ステップと、
ネットワークに接続された複数の印刷装置の状態を確認する状態確認ステップと、
前記状態に応じて予め設定された条件に合致する印刷装置を、前記複数の印刷装置のそれぞれの状態と前記利用候補順位リスト設定された利用候補順位に基づいて選択する印刷装置選択ステップとを有する印刷制御方法。