【実施例】
【0019】
次に、本発明の実施例に係る入力装置の一例として車載装置について図面を参照して説明する。
図1は、車載装置の構成例を示すブロック図である。車載装置10は、自車位置周辺の道路地図を表示したり、目的地までの誘導経路を案内するナビゲーション部20と、CD、DVD、ブルーレイディスク、ハードディスク装置などから得られるオーディオデータやビデオデータを再生するマルチメディア再生部40と、タッチパネルやスイッチなど、ユーザーからの指示を受け取る入力部60と、タッチパネル周辺において、物体の接近を検出可能な近接センサ80と、車内に取り付けられ、タッチパネル周辺を撮像する撮像カメラ100と、ナビゲーション画像、メディア再生画像など、入力インターフェースを含む表示画像をディスプレイに表示する表示制御部120と、目的地までの経路案内、道路交通情報や警告を音声により出力する音声出力部140と、プログラムやデータ等を記憶する記憶部160と、プログラム等を実行することで各部を制御する制御部180を含んで構成される。
【0020】
入力部60は、入力インターフェースとしてディスプレイ上に重畳されたタッチパネルを含む。タッチパネルは、公知のように指等の物体が接触した位置、あるいはそこから離れた位置をXY座標データとして検出することができる。好ましい態様では、静電容量型のタッチパネルが用いられ、静電容量の変化に応じて接触及び接近する物体を検出することができる。
【0021】
図2は、タッチパネルによるタッチ位置とその接触態様の検出方法を説明する図である。例えば、ユーザーがピンチ操作をしようと、
図2(a)に示すように、タッチパネル62に手を接近させ、人差し指を接触させる。タッチパネル62は、接触した人差し指や接近する他の指などとの間に生じる静電容量を検出することができる。また、制御部180では、タッチパネルからの出力に基づき、パネル上の各位置に応じた静電容量の強度分布が作成される。
【0022】
図2(b)は、
図2(a)に対応する静電容量の強度分布を模式的に示す分布図である。
図2(b)は、制御部180により検出された静電容量の強度を3段階のレベルで表した例を示し、接触または接近する手や指の形状や位置など接触態様を反映したものである。図中の濃い部分が、静電容量が最も強いレベルを表している。例えば、A領域は、タッチパネル62に接触した人差し指の位置を示すものであり、高い静電容量が検出されるため、その中心の静電容量は「高レベル」である。一方、B領域は、タッチパネル62に近い親指の位置に対応するものであり、その静電容量は「中レベル」となる。また、C領域は、中指から小指の握り締めている部分に対応するものであり、タッチパネル62からやや離れているため、その静電容量は「低レベル」となる。このように静電容量の強度分布には、接触または接近する手や指の位置やタッチパネルとの距離の関数となるため、タッチ位置の検出やその接触態様の判別に用いることができる。また、制御部180は、タッチ操作がある直前、すなわちタッチ入力されるまでの静電容量の強度分布の一定期間内の時系列的な変化を監視することにより、手や指の接近方向、例えば、手や指がディスプレイの左側から接近されたか、あるいは右側から接近されたか等の情報を取得することができる。
【0023】
図3は、近接センサの配置の一例を示す概略図である。近接センサ80は、
図3に示すように、ディスプレイ122の左右両側に配置され、運転席側、または助手席側、さらには上側か下側など、手や指などの物体が接近する接近方向を検出することができる。近接センサ80は、例えば、赤外線センサなどを用いることができ、赤外線センサは、赤外線を照射する発光素子と、照射された物体の反射光を受光する受光センサとを含んで構成される。近接センサ80の検出結果は、制御部180へ提供される。近接センサ80により検出される物体の接近方向に関する情報は、必須ではないが、タッチパネルによる接触態様の検出または判別が十分でないときなどの必要に応じて接触態様の判別に活用することができる。
【0024】
図4は、撮像カメラの配置を示す概略図である。撮像カメラ100は、ディスプレイ122に接近する手や指を撮像するためのものであり、車内の所定の位置に取り付けられる。撮像カメラ100は、例えば、車内のルームミラー、ルームライト付近に設置され、ディスプレイ122に接近する手や指を撮像することができる。撮像カメラ100は、これ以外にも、ディスプレイ122の外縁部に一体的に取り付けられたり、車内の天井、座席、インスツルメンツを配したダッシュボードなどに取り付けるようにしてもよい。また、撮像カメラ100は、これに限らず、手指の形状や位置を3次元的に特定可能な他の3Dセンシング機器であってもよい。撮像カメラ100によって撮像された撮像データは、制御部180へ提供される。撮像カメラ100により取得される手指の形状や位置に関する情報は、必須ではないが、タッチパネルや近接センサによる接触態様の検出または判別が十分でないときなどの必要に応じて接触態様の判別に利用することができる。
【0025】
表示制御部120は、ナビゲーション画像、メディア再生画像など、入力インターフェースを含む表示画像をディスプレイに表示することができる。例えば、ナビゲーション機能が実行された場合、誘導経路等を示す道路地図が表示され、拡大/縮小や移動などのユーザー指示をタッチ操作により受け付けることができるナビゲーション画面を表示する。表示制御部120は、これ以外にも、メニュー画面や各種設定画面において、ユーザー入力可能な複数の操作ボタンを表示する。
【0026】
記憶部160には、システム動作に必須のプログラム以外にも、ナビゲーションに必要な道路地図データや、メディア再生に必要な楽曲データなどを記憶することができる。また、記憶部160には、静電容量の強度分布に基づき手指の接触態様を判別するためのパターン情報も記憶される。
【0027】
制御部180は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラあるいはマイクロプロセッサ等から構成され、ROMまたはRAMは、車載装置の各部の動作を制御するための種々のプログラムを格納することができる。さらに本実施例では、マルチタッチ入力に対するスキャン時間を短縮するための入力検出プログラムを含む。当該入力検出プログラムは、1点目の接触の接触態様に応じて、2点目の接触範囲を予測し、2点目の接触を検出する検出範囲を制限する。
【0028】
次に、本実施例によるマルチタッチ操作に対するスキャン時間の短縮を図る入力検出プログラムの機能的な構成を
図5に示す。マルチタッチ操作に対する入力検出プログラム200は、マルチタッチ入力に対応するユーザー入力画面をディスプレイに表示する画面表示手段202と、タッチパネル上への接触を検出する接触検出手段204と、接触検出手段204により1点目の接触が検出されたとき、ディスプレイに接触する手や指の接触態様を判別する接触態様判別手段206と、検出された1点目の接触と判別された接触態様に基づき2点目のタッチ位置に係る接触範囲を予測する接触範囲予測手段208と、予測された接触範囲に基づき接触検出手段204による検出範囲を制御する検出範囲制御手段210とを備える。
【0029】
画面表示手段202は、ナビゲーション画面、マルチメディア再生画面などにおいて、ユーザーの操作指示を受け付けるためのユーザー入力画面を表示する。例えば、ユーザー入力画面は、各機能が対応付けられており、目的地を選択する操作ボタンが表示されたり、拡大/縮小表示可能な道路地図が表示される。
【0030】
接触検出手段204は、タッチパネルから出力された信号に基づき、接触した指などのタッチ位置を検出する。接触検出手段204は、通常、タッチパネル全体を検出範囲としてスキャンし、指が接触したタッチ位置のXY座標データを検出する。
【0031】
接触態様判別手段206は、1点目の接触があったとき、ディスプレイに接近する手や指の接触態様を判別する。接触態様判別手段206は、接触検出手段204により1点目の接触が検出されたとき、タッチパネルの出力に基づき、
図2(b)に示すような静電容量の強度分布を示す分布図を作成し、記憶部160にあるパターン情報と照合することで、1点目の接触が右手または左手の、どの指による接触であるかを特定することができる。接触態様判別手段206は、1点目の接触がある直前の分布図を必要に応じて用いることも可能であり、分布図の時間的な変化から手や指の接近方向を特定することができる。接触態様判別手段206は、これ以外にも、近接センサ80や撮像カメラ100等により得られる情報を補助的に用いることができ、1点目の接触による接触態様をより正確に判別することができる。
【0032】
接触範囲予測手段208は、接触態様判別手段206により判別された接触態様に基づき、2点目の接触がある接触範囲を予測する。好ましくは、接触範囲予測手段208は、記憶部160等に記憶された接触範囲予測テーブルに従い、接触した1点目の手や指の種別やそのタッチ位置の座標に基づき、2点目のタッチ位置に係る接触範囲を予測する。
【0033】
図6は、2点目の接触範囲を予測するために用いる接触範囲予測テーブルである。接触範囲予測テーブルには、判別される接触態様の手や指の種別に対して、1点目のタッチ位置を基点とする第1の接触範囲と、タッチパネル上における1点目のタッチ位置を基準にする第2の接触範囲とが規定されている。
【0034】
例えば、1点目のタッチが「右手」の「人指し指」で行われた場合、接触範囲予測テーブルに従うと、タッチ位置の「左側」が第1の接触範囲となる。また、その1点目のタッチ位置が、タッチパネル上において「右側」であれば、タッチ位置の「左側」が第2の接触範囲となる。接触範囲予測手段208は、接触範囲予測テーブルにより特定される第1の接触範囲と第2の接触範囲とが重複するエリアを、2点目の接触範囲として予測することができる。
【0035】
検出範囲制御手段210は、接触範囲予測手段208による予測結果に基づき、接触検出手段204によりX、Y方向のスキャンをする検出範囲を制御することができる。検出範囲制御手段210は、例えば、予測された接触範囲に検出範囲を制限することで、2点目のタッチ位置の検出に要するスキャン時間を短縮することができる。
【0036】
図7は、本実施例のマルチタッチ操作に対する入力検出プログラムの動作を説明するフローチャートである。入力検出プログラム200は、画面表示手段202よってマルチタッチ入力に対応するユーザー入力画面が表示される際に起動される。まず、画面表示手段202は、例えば、道路地図を示すナビゲーション画面など、マルチタッチ入力に対応するユーザー入力画面を表示する(S100)。ユーザーは、道路地図を拡大するため、ピンチイン操作をしようとタッチパネルに指を接触させる。接触検出手段204は、タッチパネル全体をスキャンすることで、接触したユーザーの指を検出し、1点目のタッチ位置をXY座標データとして検出する(S102)。そして、1点目のタッチ位置を示す座標(X1,Y1)が接触態様判別手段206や接触態様判別手段208等に出力される。
【0037】
接触態様判別手段206は、1点目の接触があったとき、タッチパネルの出力に基づき、
図2(b)に示すような、タッチパネルの各位置に対応する静電容量の強度分布を示す分布図を作成する(S104)。当該分布図が作成されると、接触態様判別手段206は、記憶部160から接触態様を判別するためのパターン情報を読み込み、作成された分布図とパターンマッチングを行うことで、1点目のタッチ入力の手や指の種別を判別する(S106)。これにより、1点目の接触に係る手指が特定される。
【0038】
接触検出手段204により1点目のタッチ位置が特定され、かつ、接触態様判別手段206により手指の種別が特定されると、接触範囲予測手段208は、
図6に示す接触範囲予測テーブルに従い、2点目の接触範囲を予測する(S108)。
【0039】
図8は、2点目の接触範囲の予測方法を説明する図である。タッチパネル62において、
図8に示すように、右手の人差し指により1点目がタッチされたとき、接触範囲予測手段208は、接触範囲予測テーブルに従い、その指の種別により1点目のタッチ位置の座標(X1,Y1)の「左側」の一定範囲を、第1の接触エリアE1とする。一方、接触範囲予測手段208は、1点目がタッチパネル上の「上側」にあるため、1点目のタッチ位置(X1,Y1)の「下側」の一定範囲を、第2の接触エリアE2とする。そして、接触範囲予測手段208は、第1の接触エリアE1と第2の接触エリアE2とが重複するエリアを2点目の接触範囲E(図中、ハッチングで示す)として予測する。
【0040】
次に、検出範囲制御手段210は、予測された接触範囲Eに基づき、2点目のタッチ位置を検出する検出範囲を制限し(S110)、接触検出手段204は、制限された検出範囲内のみをX、Y方向のスキャンをすることで、2点目のタッチ位置を検出する(S112)。このように、2点の接触によるタッチ操作が検出されると、そのピンチ操作に応じて、道路地図を拡大する処理が実行される(S114)。
【0041】
本実施例によれば、マルチタッチ操作に対し、2点目のタッチ位置を検出する際に、その検出範囲を制限することができ、タッチ操作に対する応答特性を向上させることができる。これにより、車載装置は、道路地図を拡大縮小するピンチ操作に対し、スキャン時間を短縮することができ、縮尺に応じた道路地図を即座に読み込むことができる。
【0042】
上記実施例では、接触範囲予測手段は、第1の接触エリア(
図8のE1)と第2の接触エリア(
図8のE2)とが重複するエリアを接触範囲として予測したが、第1の接触エリアと第2の接触エリアのいずれか一方、あるいは両者を接触範囲として予測してもよい。なお、第1接触エリアと第2接触エリアの形状や大きさは、適宜設定することができる。また、検出範囲制御手段208は、ピンチ操作に対応するため、
図9に示すように、1点目のタッチ位置と、予測された接触範囲Eの中央点とを結ぶ直線を長軸とする楕円形状に検出範囲E’を制限してもよい。
【0043】
また、上記実施例では、接触態様判別手段206がタッチパネルの静電容量の分布図に従い指や手の接触態様を判別したが、これ以外にも、近接センサ80による検出結果を用いて接触態様を判別することも可能である。
図3に示すように近接センサ80がディスプレイ122の周囲に設置されたとき、ディスプレイ122の左右のいずれの方向から指や手が接近するのかを判別することができる。例えば、ディスプレイ122の左側から指や手が接近されたとき、それは、右手が接近されたものと判別される。反対に、ディスプレイの右側から指や手が接近されたとき、それは、左手が接近されたものと判別される。タッチパネルだけからは、左右の手の判別が難しいとき、近接センサに基づく判別結果を利用することにより判別精度を高めることができる。
【0044】
また、撮像カメラ100の撮像結果を利用して接触態様を判別することも可能である。撮像カメラ100の撮像データを画像処理することにより指や手を抽出し、公知のパターンマッチング法などを用いて、指や手の接近する方向の判別、右手と左手の判別、親指と人指し指の判別を行うことができる。撮像カメラ100の撮像結果は、タッチパネルおよび/または近接センサの検出結果と組み合わせ用いることも可能であるし、撮像カメラ100の撮像結果のみから接触態様を判別するようにしてもよい。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。