特開2015-133092(P2015-133092A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-133092車両用衝突警告装置および車両用衝突警告方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-133092(P2015-133092A)
(43)【公開日】2015年7月23日
(54)【発明の名称】車両用衝突警告装置および車両用衝突警告方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20150630BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20150630BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20150630BHJP
【FI】
   G08G1/16 A
   G08G1/09 H
   B60R21/00 628B
   B60R21/00 626C
   B60R21/00 626D
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-121363(P2014-121363)
(22)【出願日】2014年6月12日
(31)【優先権主張番号】103101034
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】林怡君
(72)【発明者】
【氏名】陳▲セン▼易
(72)【発明者】
【氏名】林士▲ヨウ▼
(72)【発明者】
【氏名】黄崇明
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】障害物に妨害されたり、日光の有無によって影響を受けない、車両の衝突を警告する装置および方法を提供する。
【解決手段】本車両の位置および状態を通知する信号を検知し、対象車両の位置および状態を報告する信号を受信する。信号はそれぞれ速度に変換される。時間間隔後の車両の相対速度および相対位置を取得する。本車両から相対速度の方向を示す線への通常距離が最小であり、警告距離以下であると判断された場合、本車両の運転手は警告を受ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用衝突警告装置であって、第1の位置を示す第1の信号を検知する検知モジュールと、
第2の位置を示す第2の信号を受信する通信モジュールと、
前記検知モジュールおよび前記通信モジュールに接続されて、前記第1の信号および前記第2の信号を受信し、前記第1の信号および前記第2の信号をそれぞれ変換して第1の速度および第2の速度として相対速度および相対位置を取得し、ベクトル演算を実行することによって、前記第1の位置から前記相対速度の方向を示す線までの垂直な距離である通常距離と、前記相対速度に基づいた前記第2の位置から前記相対位置への到着時間である進行最近接点到着時間(TCPA)と、車両どうしの距離に係る第1の結果とを生成するとともに、当該第1の結果に基づいて警告に係る演算を実行することによって、前記車両どうしの衝突の可能性に係る第2の結果を生成するか否かを判断する演算ユニットと、
前記演算ユニットに接続されて、前記第2の結果に基づいて警告を送信する警告部と、
を備えたことを特徴とする車両用衝突警告装置。
【請求項2】
前記通信モジュールは、前記検知モジュールにさらに接続されて、前記第1の信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項3】
前記ベクトル演算では、前記第2の位置から前記相対位置までの第1の距離が前記第2の位置から前記第1の位置までの第2の距離以上であるか否かを判断し、前記第1の距離が前記第2の距離以上であると判断した場合、前記第1の結果を生成することを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項4】
前記ベクトル演算では、前記通常距離が最小であるか否かを判断し、前記通常距離が最小であると判断した場合、前記第1の結果を生成することを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項5】
前記警告に係る演算では、前記第1の結果に基づいて、前記通常距離が警告距離以下であるか否かを判断し、前記通常距離が前記警告距離以下であると判断した場合、前記第2の結果を生成することを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項6】
前記警告距離は、少なくとも1台の車両の長さ、幅、および操舵角によって判断されることを特徴とする請求項5に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項7】
前記警告に係る演算では、前記第1の結果に基づいて、前記TCPAが警告時間以下であるか否かを判断し、前記TCPAが前記警告時間以下であると判断した場合、前記第2の結果を生成することを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項8】
前記演算ユニットに接続されて、少なくとも前記通常距離を格納する記憶部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項9】
前記第1の速度は第1の対象の速度であり、前記第2の速度は第2の対象の速度であり、前記相対速度は前記第2の対象の前記第1の対象に対する相対速度であることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項10】
前記相対位置は、間隔後の前記相対速度に基づく第1の対象および第2の対象の相対位置であり、前記間隔は、前記演算ユニットが前記ベクトル演算を終了するのに必要な時間である、請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項11】
前記警告は音声プロンプトまたは光によるプロンプトであることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項12】
前記第1の信号または前記第2の信号は、少なくとも1台の車両の長さ、幅、および操舵角をさらに示すことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突警告装置。
【請求項13】
車両用衝突警告方法であって、検知モジュールが第1の位置を示す第1の信号を検知する工程と、
通信モジュールが第2の位置を示す第2の信号を受信する工程と、
演算ユニットが前記第1の位置および前記第2の位置を第1の対象の第1の速度および第2の対象の第2の速度にそれぞれ変換する工程と、
前記演算ユニットが前記第1の対象に対する前記第2の対象の相対速度を取得する工程と、
前記演算ユニットが前記相対速度に基づいて相対位置を取得する工程と、
前記演算ユニットがベクトル演算を実行して、前記第1の位置から前記相対速度の方向を示す線までの垂直な距離である通常距離と、前記相対速度に基づいた前記第2の位置から前記相対位置への到着時間である進行最近接点到着時間(TCPA)と、車両どうしの距離に係る第1の結果とを生成する工程と、
前記演算ユニットが前記第1の結果に基づいて警告に係る演算を実行することによって、前記車両どうしの衝突の可能性に係る第2の結果を生成するか否かを判断する工程と、
警告部が前記第2の結果に基づいて警告を送信する工程と、
を備えたことを特徴とする車両用衝突警告方法。
【請求項14】
前記ベクトル演算を実行する工程は、
前記第2の位置から前記相対位置までの第1の距離が前記第2の位置から前記第1の位置までの第2の距離以上であるか否かを判断する工程と、
前記第1の距離が前記第2の距離以上であると判断した場合、前記第1の結果を生成する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の車両用衝突警告方法。
【請求項15】
前記ベクトル演算を実行する工程は、
前記通常距離が最小であるか否かを判断する工程と、
前記通常距離が最小であると判断した場合、前記第1の結果を生成する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の車両用衝突警告方法。
【請求項16】
前記警告に係る演算を実行する工程は、
前記第1の結果に基づいて、前記通常距離が警告距離以下であるか否かを判断する工程と、
前記通常距離が前記警告距離以下であると判断した場合、前記第2の結果を生成する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の車両用衝突警告方法。
【請求項17】
前記警告距離は、少なくとも1台の車両の長さ、幅、および操舵角によって判断されることを特徴とする請求項16に記載の前記車両用衝突警告方法。
【請求項18】
前記警告に係る演算を実行する工程は、
前記第1の結果に基づいて、前記TCPAが警告時間以下であるか否かを判断する工程と、
前記TCPAが前記警告時間以下であると判断した場合、前記第2の結果を生成する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の車両用衝突警告方法。
【請求項19】
前記相対位置は、前記演算ユニットが前記ベクトル演算を終了するのに要する時間間隔の後の前記相対速度に基づく第1の対象および第2の対象の相対位置であることを特徴とする請求項13に記載の車両用衝突警告方法。
【請求項20】
前記警告は音声プロンプトまたは光によるプロンプトであることを特徴とする請求項13に記載の車両用衝突警告方法。
【請求項21】
前記第1の信号または前記第2の信号は、少なくとも1台の車両の長さ、幅、および操舵角をさらに示すことを特徴とする請求項13に記載の車両用衝突警告方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両の衝突の警告に関する。
【背景技術】
【0002】
プリクラッシュシステムなどの先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)は、最先端の車両に積極的な安全対策が増々取り入れられることにともない、その市場性がより一層向上している。ADASは、一般に、周囲の車両の検出をレーダ、超音波、または光学カメラに頼っているため、その性能については保証されるものではない。検知信号は、しばしば、障害物に妨害されたり、日光の有無によって影響を受けたりするためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記を考慮し、本開示は、車両の運転状態が変化するときに、車両が衝突を警告する装置および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、車両用衝突警告装置を提供する。この装置は、検知モジュールと、通信モジュールと、演算ユニットと、警告部とを備える。
検知モジュールは、第1の位置を示す第1の信号を検知する。通信モジュールは、第2の位置を示す第2の信号を受信する。演算ユニットは双方のモジュールに接続されて、第1および第2の信号を受信し、これらをそれぞれ変換して第1の速度および第2の速度として、相対速度および相対位置を取得する。演算ユニットは、ベクトル演算を実行して、通常距離、進行最近接点到着時間(TCPA:Time to Closest Point of Approach)、および車両どうしの距離に係る第1の結果を生成し、当該第1の結果に基づいて、警告に係る演算を実行して第2の結果を生成するか否かを判断する。警告部は、演算ユニットに接続されて、前記車両どうしの衝突の可能性に係る第2の結果に基づいて警告を送信する。
【0005】
本開示はまた、車両用衝突警告方法を提供する。この方法では、検知モジュールは第1の位置を示す第1の信号を検知し、通信モジュールは第2の位置を示す第2の信号を受信する。演算ユニットは、第1および第2の位置をそれぞれ変換して第1の対象の第1の速度および第2の対象の第2の速度とすることによって、第1の対象に対する第2の対象の相対速度が取得する。また、演算ユニットは、相対速度に基づいて相対位置を取得する。
ベクトル演算が演算ユニットによって実行されて、通常距離、TCPA、および車両どうしの距離に係る第1の結果が生成される。これらに基づいて、演算ユニットは、警告に係る演算を実行するか否かを判断する。警告部は、警告に係る演算によって生成された前記車両どうしの衝突の可能性に係る第2の結果に基づいて、警告を送信する。
【0006】
前述した通常距離とは、第1の位置から相対速度の方向を示す線までの垂直な距離であり、前述したTCPAとは、相対速度に基づいて、第2の位置から相対位置に到着する時間である。
【0007】
つまり、本開示では、同一または互換性のある衝突警告装置の位置を送受信して、ベクトルおよび警告に係る演算を通じて、衝突の可能性を示す結果と、警告を送信する必要性とを生成する。本開示は、全方向検出とより一層正確な警告とを提供しつつ、既存の製品の欠点を回避する。
【0008】
本開示は、以下に記載する詳細な説明および添付図によってより完全に理解できるであろう。これらは例示目的でのみ示すものであり、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る車両用衝突警告装置の上位概念のブロック図である。
図2】本実施形態に係るベクトル演算を例示した図である。
図3】本実施形態に係る車両用衝突警告方法のフローチャートである。
図4】本実施形態に係る警告距離の演算を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では、説明を目的として、開示される実施形態を完全に理解するために多数の特定の詳細を示す。ただし、1または複数の実施形態はそれらの特定の詳細を用いずに実施されてもよいことは明らかであろう。別の例では、図を簡略化するために、周知の構造および装置を概略的に示す。
【0011】
図1は車両用衝突警告装置10(以下、「装置」という)を示す。装置10は、自動車またはオートバイに一体化されていてもよいし、あるいはスマートホン、タブレット、もしくはラップトップコンピュータなどの車両に配置される携帯装置であってもよい。装置10は、演算ユニット11と、通信モジュール12と、検知モジュール13と、記憶部14と、警告部15とを備えている。
演算ユニット11はプロセッサであり、数学的な演算を実行し、論理的判断を行う。通信モジュール12は、演算ユニット11に接続する無線通信装置であり、信号を受信または送信する。検知モジュール13は、演算ユニット11と、通信モジュール12との双方に接続されて、装置10自体の位置または車両の位置を検知するために衛星航法(たとえばGPS)受信器を備えている。検知モジュール13は、操舵角を検出するためのセンサなど、別のセンサをさらに備えていてもよい。記憶部14は一時的なデータまたは永続的なデータを格納するための媒体として、演算ユニット11に接続されている。警告部15は、演算ユニット11に接続されて、スピーカまたはモニタなどの少なくとも音声または映像を出力する装置である。
【0012】
道路上の車両間で信号を問題なく交換するために、通信モジュール12は、一般に、車両環境における無線アクセス(WAVE:Wireless Access in Vehicular Environment)に基づくスポット通信(DSRC:Dedicated Short−Range Communication)などの一般的な車両対車両通信標準規格に準拠していなければならない。この標準規格は、通常、信号の形式、周波数帯域、および当該信号を伝送する速度を特定する。
検知モジュール13が検出する信号に係る情報は、たとえば車両の位置、長さ、幅、型式、および操舵角を含有する。通信モジュール12は、検知モジュール13から直接、または演算ユニット11を介して上記信号を受信してもよく、1秒に複数回、上記信号を送信または配信してもよい。通信モジュール12は、別の車両から配信される同様の信号を同一の速度で受信し、それらを演算ユニット11に転送する。
【0013】
相互に対向して移動している2台の車両間の距離は、車両がすれ違うまで徐々に減少し、車両がすれ違った後からは、増加し始める。2台の車両のうちの一方から見ると、衝突は車両がすれ違う地点の前、またはすれ違う地点で起こることもある。地点は、したがって、両車両の長さ、幅、速度、操舵角などに関連する。
図2を参照されたい。同図に示すように、本車両は速度ベクトルAで紙面上方に移動し、対象車両は紙面左向きに速度ベクトルBで移動する。車両はそれぞれ角度θA1およびθB1で曲がっている。ベクトルA、ベクトルB、θA1、およびθB1は検知した信号または受信した信号を変換して取得される。たとえば、単位時間(通常1秒以内)中の位置の変化は速度に変換され、任意の3頂点を接続する2辺は操舵角を形成する。操舵角はまた、検知モジュール13のセンサから直接取得することもできる。
【0014】
車両の長さおよび幅にかかわらず、本車両の点A(通常、車両の中心または検知モジュール13がある場所)を本車両が静止している基準点とし、対象車両の相対速度を(相対速度ベクトルVBA)=(速度ベクトルB)+(速度ベクトル(−A))とする。
相対速度を車両の受信信号および検知信号から演算して取得した後、一時的な点または一定の時点での本車両に対する対象車両の相対位置をTPとして取得できる。下付きの1は最初の一連の演算を示す。その後ベクトル演算を行い、対象車両からTPまでの距離をDRとして示すとともに、本車両から相対速度ベクトルVBAの方向を示す線(点線)までの通常距離または垂直な距離をDCPAとして示す。この線は、距離DCPAと、第1の進行最近接点(CPA:Closest Point of Approach)であるCPAで交差する。
上記の説明および点A、CPA、およびBからなる三角形から明らかであるように、距離DRは、本車両の点Aから対象車両の点Bまでの距離であるDABより短い。これは、距離DCPAは最小ではないことを示唆する。つまり、2台の車両はいまだに、すれ違うかもしれない地点、またはお互いに衝突するかもしれない地点に到達しておらず、n回目の演算で最小距離DCPAを取得するまで、演算ユニット11は第2回以降の一連の演算を実行し続ける。

【0015】
相対位置TPおよびそこから対象車両の点Bまでの距離であるDRは、n回目の演算で取得される。すれ違いまたは衝突は、DRが車両間の距離DABと等しいか、またはわずかに大きい場合に、TPの前またはTPで発生する。このとき、距離DCPAは、点Aから任意の点CPA、特に点CPAまでの最小距離であり、対象車両が点BからCPAに到着するのにかかる時間はTCPAであり、進行最近接点到着時間(TCPA)にn番目に近い。
本実施形態では、演算ユニット11はDRがDAB以上であるか否かに関する。同様の結果を伴う別の実施形態では、代替的にDR+DR+…+DRの合計がDAB以上であるか否かを判断する。前述の位置、速度、および距離は時間と共に変動するため、それらおよびそのうちの特にDCPAは、一時的に記憶部14に格納される。実際に、前述の演算は本車両によって、複数台の対象車両に対して実行される。つまり、様々な時点での様々なCPAに対する距離および回数を取得することで、警告の判断が容易になる。
【0016】
衝突の正確な地点を予測し、警告距離または時間を判断するために、実際の車までのCPAおよび距離および時間に加えて、図2に記載するように実際の車両の長さおよび幅を考慮にいれなければならない。
図3を参照されたい。フローチャートに示すように、一連の演算が実行される速度はステップS21でまず決まる。信号は、毎秒複数回、車両対車両通信標準規格の仕様にしたがって送信または配信されることに留意されたい。本車両の検知信号を送信することに加えて、通信モジュール12は、信号を近くの対象車両から受信する。このような信号は、少なくとも対象車両の位置を特定する。
演算ユニット11自体の能力によって、演算ユニット11は演算するために信号のすべての伝達を取り込まなくてもよく、その代わりにステップS21の作業負荷を、たとえば、本車両と対象車両間の距離、または本車両の操舵角に適応させる。たとえば、演算速度は、距離が短くなるか、操舵角が大きくなるとき増加することもあり、その反対の場合は減少することもある。一連の演算すべてで実行する必要がないため、ステップS21は点線で示す。
【0017】
一連の演算はステップS22から開示する。演算速度が決まり、本車両上に搭載された装置10の演算ユニット11は、検知モジュール13が検知する第1の信号と、通信モジュール12が受信する少なくとも1つの第2の信号とを受信する。本明細書における「第1」および「第2」という用語は、例示のみを目的とする。
第1の信号は、装置10の第1の位置を示し、第2の信号は、対象車両上に搭載された、同一または互換性のある装置の第2の位置を示す。位置は、一般に、「N242051.2 E1204853.1」のように経度および緯度で表わされる。第1および第2の信号はさらに、それぞれ元となる車両の長さ、幅、操舵角を示す。
【0018】
第1の位置は装置10の位置を表し、第2の位置は別の装置の位置を表す。第1の位置と第2の位置を受信すると、演算ユニット11はステップS23において、2つの位置それぞれを第1の速度および第2の速度に変換する。これによって、一定の時間後の本車両および対象車両の相対速度および相対位置(または一時的な点)を取得する。
演算ユニット11は、次に、ベクトル演算を開始し、第2の位置から相対位置までの距離DR、第2の位置から第1の位置までの距離DAB、および第1の位置から相対速度の方向を示す線までの通常距離DCPAを取得する。
【0019】
距離DR、DAB、およびDCPAを取得した後、演算ユニット11はステップS24において、DRがDAB以上であるか否か、DR+DR+…+DRの合計がDAB以上であるか否か、またはDCPAが最小であるか否かを判断する。3つの条件のうちの1つが有効であるとき、進行最近接点であるCPA、およびそこまでの時間(TCPA)および最小の通常距離(DCPA)が決定される。ステップS24の結果によって本開示の方法はステップS25に進むか、または、ステップS22に戻り一連の演算を再度開始する。
【0020】
CPA、TCPA、およびDCPAをステップS23およびS24において確定後、演算ユニット11は、ステップ25において、第1および第2の信号に含まれる車両の長さ、幅、および操舵角に基づいて、警告距離および警告時間を導出する。警告距離は、対象車両がたとえば左または右から実際に、どのように本車両と衝突するかに基づいてもよい。
図4は本車両の右側への衝突を示す。本図では、警告距離はAW/2+(BW/2)cosθ+(BL/2)cos(90°−θ)以上でなければならない。AWは本車両の幅であり、BWおよびBLはそれぞれ対象車両の幅および長さであり、θは衝突時の本車両に対する対象車両の相対操舵角である。θは車両の瞬間的な位置および速度から導出されてもよく、または直接検知モジュール13から取得してもよい。
図2の用語と同様に、θは反対方向に向かう車両ではθAnとθBnの合計であり、それ以外では操舵角の差である。警告時間はTCPA以下であるべきであり、車両の性能または運転手の性別、年齢、または精神状態に合わせて調節してもよい。
【0021】
警告距離および時間が確立されると、警告に係る演算はステップS26において継続し、演算ユニット11は最小通常距離DCPAが警告距離以下であるか否かを判断する。DCPAが警告距離以下であり、衝突はCPA以前に、またはCPAで発生すると判断されるとき、またはTCPAが警告時間以上であるとき、演算ユニット11は命令を警告部15に発行する。それ以外の場合は、本開示の方法はステップS22に戻る。
【0022】
ステップS26の結論を受けて、および演算ユニット11からの命令に基づいて、警告部15は、ステップS27において、警告を本車両の運転手に送信する。警告は「6メートル以内で右側が衝突します」または「3秒以内に左側が衝突します」などの音声プロンプトを備えていてもよい。または警告は光によるプロンプト、たとえば警告灯点滅を備えていてもよい。
警告は装置10が携帯装置の場合は、装置10によって送信される。緊急事態が解消されるまで、警告は絶え間なく送信されてもよい。つまり、ステップS26またはS24における判断は、本車両または対象車両の位置または操舵角が変化したため、もはや有効ではない。本事例では、本開示の方法はステップS21またはS22に戻り、新しい一連の演算を開始する。
【0023】
既存のADASなどのレーダ、超音波、または光学カメラを用いて車両周囲を検出する代わりに、本開示は一般的な車両対車両通信標準規格、たとえば5.9GHzの周波数幅、低い遅延(0.2ms)、長距離(1000m)、および高伝達速度(27Mbps)で動作する車両対車両通信標準規格に準拠する。また、本開示は同一または互換性のある衝突警告装置の位置(または衝突警告装置を搭載する車両の位置)を適応して送受信する。
ベクトルおよび警告に係る演算によって、CPAまでの最小距離および時間を取得して、それぞれを警告距離および警告時間と比較し、衝突の可能性を示す結果と、警告を送信する必要性を生成する。本開示は、多方向の検出と、正確さを強化した警告を提供しながら、既存の製品の欠点を回避する。
図1
図2
図3
図4