【解決手段】 本発明は、スペクトラム拡散周波数変調された基準クロックに基づき出力クロックを生成し出力するクロック生成回路であって、該基準クロックと該出力クロックに対応する帰還クロックとの位相差を検出する位相比較器と、該位相差に基づき電流量を制御した駆動信号を出力するチャージポンプ回路と、該駆動信号に応じた周波数を有する該出力クロックを出力する電圧制御発振回路と、該スペクトラム拡散周波数変調における所定の観測期間において検出される該基準クロックのパルス数と該帰還クロックのパルス数とに基づき該基準クロックと該帰還クロックとの間のアンロック状態を検出するアンロック検出回路と、を備えるクロック生成回路である。
前記アンロック検出回路は、前記基準クロックの周波数が前記スペクトラム拡散周波数変調の中心周波数となる前記所定のタイミングを検出する、請求項2又は3記載のクロック生成回路。
前記アンロック検出回路は、前記スペクトラム拡散周波数変調に基づいて周期的に繰り返される周波数下降変調期間における第1の所定のタイミングを周期的に検出するとともに、前記スペクトラム拡散周波数変調に基づいて周期的に繰り返される周波数上昇変調期間における第2の所定のタイミングを周期的に検出し、
前記所定の観測期間は、前記第1の所定のタイミングから前記第2の所定のタイミングまでの期間である、
請求項1記載のクロック生成回路。
前記アンロック検出回路は、前記スペクトラム拡散周波数変調に基づいて周期的に繰り返される周波数上昇変調期間における第1の所定のタイミングを周期的に検出するとともに、前記スペクトラム拡散周波数変調に基づいて周期的に繰り返される周波数下降変調期間における第2の所定のタイミングを周期的に検出し、
前記所定の観測期間は、前記第1の所定のタイミングから前記第2の所定のタイミングまでの期間である、
請求項1記載のクロック生成回路。
前記アンロック検出回路は、一定の周波数で交番する計数クロックに基づいて、前記基準クロックの第1のパルス数と前記帰還クロックの第2のパルス数とをカウントし、該カウントされた前記第1のパルス数と該カウントされた前記第2のパルス数とが所定の関係にある場合に、所定のタイミングを検出し、該所定のタイミングに基づいて前記所定の観測期間を決定する、請求項1記載のクロック生成回路。
前記アンロック検出回路は、前記位相比較器より検出された前記位相差に基づいて、前記周波数上昇変調期間及び前記周波数下降変調期間を特定する、請求項1乃至7記載のクロック生成回路。
前記アンロック検出回路は、前記スペクトラム拡散周波数変調の変調極性に基づいて、前記周波数上昇変調期間及び前記周波数下降変調期間を特定する、請求項1乃至7記載のクロック生成回路。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路の概略構成の一例を示す図である。同図に示すように、クロック生成回路1は、例えば、SSCG回路10と、PLL回路20と、アンロック検出回路30とを含んで構成される。
【0029】
SSCG回路10は、入力クロックINCLKに対して、予め定められた変調プロファイルに基づいてスペクトラム拡散周波数変調を行い、該変調した信号を、基準クロックREFCLKとして、PLL回路20及びアンロック検出回路30に出力する。変調プロファイルは、変調周期及び変調度によって定義される、入力信号(本例では入力クロックINCLK)に対する周波数変調の特性を示すプロファイルである。変調プロファイルは、例えば、SSCG回路10を構成する各回路素子のパラメータや該回路の回路構成によって定められる。変調プロファイルは、例えば、三角波変調プロファイルが適用されうる。なお、SSCG回路10は、アナログ方式、デジタル方式のどちらの方式で構成されても構わない。
【0030】
PLL回路20は、SSCG回路10から供給される基準クロックREFCLKの位相に同期した出力クロックOUTCLKをフィードバック制御により生成し、出力する。PLL回路20は、例えば、位相比較器21と、チャージポンプ回路22と、ローパスフィルタ23と、電圧制御発振回路24と、分周器25といったコンポーネントを含んで構成される。本実施形態では、これらコンポーネントのいくつかは、後述するように、アンロック検出回路30から出力されるアンロック検出信号UNLKに基づいて、例えば初期状態に戻るようにリセットされる。これらのコンポーネントは、アンロック検出信号UNLKに基づいて、他の動作を行うように構成されても良い。
【0031】
位相比較器21は、SSCG回路10から基準クロックREFCLKを受けるとともに、分周器25から帰還クロックFBCLKを受け、該クロックの位相を比較し、比較結果に応じて該クロックの間の位相差を、例えば一対の位相誤差信号UP及びDNとして、チャージポンプ回路22に出力する。本実施形態の位相比較器21はまた、一対の位相誤差信号UP及びDNをアンロック検出回路30に出力する。
【0032】
チャージポンプ回路22は、位相比較器21から出力される位相誤差信号UP及びDNを信号電流に変換し、該信号電流を駆動信号ICPとして、ローパスフィルタ23に出力する。
【0033】
ローパスフィルタ23は、チャージポンプ回路22から出力される駆動信号ICPを受け、該信号に対して平滑化を行い信号電位に変換し、信号電位に変換した該信号を電位制御信号VCNTとして電圧制御発振回路24に出力する。
【0034】
電圧制御発振回路24は、ローパスフィルタ23から出力される電位制御信号VCNTを受け、該信号の電位に応じた周波数で発振することによって、出力クロックOUTCLKを生成し、該信号を分周器25に出力し、また該信号をクロック生成回路1の出力信号として外部に出力する。
【0035】
分周器25は、電圧制御発振回路24から出力される出力クロックOUTCLKを受け、該出力クロックOUTCLKを所定の分周比に従って分周を行うことで帰還クロックFBCLKを生成し、該生成した帰還クロックFBCLKを位相比較器21に出力する。
【0036】
アンロック検出回路30は、基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの位相差に基づいて、PLL回路20がアンロック状態になったことを検出する回路である。本実施形態のアンロック検出回路30は、スペクトラム拡散周波数変調における所定のタイミングを検出し、該タイミングにおいてPLL回路20がアンロック状態にあるか否かを判断し、該判断結果をアンロック検出信号UNLKとして出力する。アンロック検出回路30は、例えば、タイミング検出回路31と、論理積回路32と、基準クロックカウンタ35と、帰還クロックカウンタ36と、コンパレータ37と、遅延回路38と、分周器39と、出力制御回路40とを含んで構成される。
【0037】
タイミング検出回路31は、PLL回路20から入力される一対の位相誤差信号UP及びDNと、図示しないクロック回路から供給される計数クロックOSCCLKとに基づいて、基準クロックREFCLKに施されるスペクトラム拡散周波数変調における所定のタイミングを検出し、該検出の結果に応じた検出信号PLSを論理積回路32に出力する。また、タイミング検出回路31は、出力制御信号OPLSに基づいて、後述するように、少なくとも1つの構成要素の動作をリセットする。
【0038】
論理積回路32は、タイミング検出回路31から出力される検出信号PLSに対して、SSCG回路10から入力される基準クロックREFCLKと同期を取るために用いられる。具体的には、論理積回路32は、SSCG回路10から入力される基準クロックREFCLKと、タイミング検出回路31から入力される検出信号PLSとに対して論理積演算を行い、該演算結果に応じたリセット信号RESを基準クロックカウンタ35、帰還クロックカウンタ36、及び遅延回路38のそれぞれに出力する。
【0039】
基準クロックカウンタ35は、論理積回路32から出力されるリセット信号RESに示される所定のタイミングに基づいて決定される所定の観測期間において、SSCG回路10から受ける基準クロックREFCLKのパルス数をカウントする。具体的には、基準クロックカウンタ35は、該所定の観測期間に亘ってSSCG回路10から受ける基準クロックREFCLKのパルス数をカウントし、該カウント値に応じた基準カウント信号REFCNTをコンパレータ37に出力する。また、基準クロックカウンタ35は、リセット信号RESに基づいて、周期的にそのカウント値をリセットすることで、上述した所定の観測期間を定める。
【0040】
帰還クロックカウンタ36は、該リセット信号RESに示される所定のタイミングに基づいて決定される所定の観測期間において、PLL回路20から受ける帰還クロックFBCLKのパルス数をカウントする。具体的には、帰還クロックカウンタ36は、該所定の観測期間に亘ってPLL回路20から受ける帰還クロックFBCLKのパルス数をカウントし、該カウント値に応じた帰還カウント信号FBCNTをコンパレータ37に出力する。また、帰還クロックカウンタ36は、リセット信号RESに基づいて、周期的にそのカウント値をリセットすることで、上述した所定の観測期間を定める。
【0041】
コンパレータ37は、所定の観測期間における基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの周波数及び位相のずれを検出する。具体的には、コンパレータ37は、基準クロックカウンタ35から基準カウント信号REFCNTを、帰還クロックカウンタ36から帰還カウント信号FBCNTをそれぞれ受け、該信号のカウント値同士を比較する。コンパレータ37は、該比較の結果に応じたカウント比較信号CMPOを出力制御回路40のデータ端子Dに出力する。カウント比較信号CMPOは、例えば、該カウント値同士が一致している場合は“L”を示し、該カウント値同士が一致していない場合は“H”を示す。
【0042】
遅延回路38は、出力制御回路40がデータ端子Dに入力される信号を出力端子Qから出力するタイミングを制御する。具体的には、遅延回路38は、論理積回路32から入力されるリセット信号RESを、所定の時間が経過した後に、出力制御信号OPLSとして、出力制御回路40のクロック端子CKと、タイミング検出回路31とに出力する。所定の時間は、コンパレータ37によってカウント比較信号CMPOの状態が更新された後に、出力制御信号OPLSが出力制御回路40に出力されるように、調整される。
【0043】
分周器39は、クロック生成回路1が起動した直後の一定の期間、出力制御回路40の動作を停止させる。これは、クロック生成回路1が起動した直後のPLL回路20がロック状態に至る前に、アンロック検出回路30がアンロック状態を検出してしまうことを防ぐためである。具体的には、分周器39は、計数クロックOSCCLKに対して、所定の分周比に従って分周を行うことで分周計数クロックOSCCLKDを生成し、該クロックを出力制御回路40のリセット端子Resetに出力する。
【0044】
出力制御回路40は、所定の観測期間においてPLL回路20がアンロック状態であるか否かを示すアンロック検出信号UNLKを出力する回路であり、例えばD型フリップフロップ回路により構成される。具体的には、出力制御回路40は、データ端子Dでカウント比較信号CMPOを受け、クロック端子CKに入力される出力制御信号OPLSに基づいて、出力端子Qからアンロック検出信号UNLKを、PLL回路20における各コンポーネントに出力する。即ち、出力制御回路40は、アンロック検出信号UNLKによって、PLL回路における各コンポーネントの例えばリセット動作を制御する。アンロック検出信号は、クロック生成回路1の外部に出力されても良い。出力制御回路40は、リセット端子Resetに入力される分周計数クロックOSCCLKDに基づいて、クロック生成回路1が起動した直後において、一定時間その動作を停止する。
【0045】
図2は、
図1に示したタイミング検出回路の構成の一例を示す図である。同図に示すように、タイミング検出回路31は、例えば、出力制御回路311、312及び317と、下降時カウンタ313と、上昇時カウンタ314と、除算器315と、コンパレータ319とを含んで構成される。
【0046】
出力制御回路311は、例えばD型フリップフロップ回路であり、PLL回路20から入力される位相誤差信号UPが“H”の間、後述する下降時カウンタの動作をリセットする。具体的には、出力制御回路311は、データ端子Dに“H”が入力され、クロック端子CKに入力される位相誤差信号DNに基づいて、出力端子Qから下降時リセット信号DNRを、下降時カウンタ313のイネーブル端子ENに出力する。また、出力制御回路311はイネーブル端子ENに入力される位相誤差信号UPに基づいてリセットが行われる。
【0047】
出力制御回路312もまた、例えばD型フリップフロップ回路であり、PLL回路20から入力される位相誤差信号DNが“H”の間、後述する上昇時カウンタの動作をリセットする。具体的には、出力制御回路312は、データ端子Dに“H”が入力され、クロック端子CKに入力される位相誤差信号UPに基づいて、出力端子Qから上昇時リセット信号UPRを、上昇時カウンタ314のイネーブル端子ENに出力する。また、出力制御回路312はイネーブル端子ENに入力される位相誤差信号DNに基づいてリセットが行われる。
【0048】
下降時カウンタ313は、位相誤差信号DNが“H”である期間を、計数クロックOSCCLKのパルスをカウントすることによって計測し、カウント結果を除算器315に出力する。具体的には、下降時カウンタ313は、計数クロックOSCCLKのパルス数をカウントし、該カウント値を、下降時カウント信号DCNTとして、除算器315に出力する。また、下降時カウンタ313は、出力制御回路311から入力される下降時リセット信号DNRに基づいてリセットが行われる。
【0049】
上昇時カウンタ314は、位相誤差信号UPが“H”である期間を、計数クロックOSCCLKのパルスをカウントすることによって計測し、カウント結果をコンパレータ319に出力する。具体的には、上昇時カウンタ314は、計数クロックOSCCLKのパルス数をカウントし、該カウント値を上昇時カウント信号UCNTとして、コンパレータ319に出力する。また、上昇時カウンタ314は、出力制御回路312から入力される上昇時リセット信号UPRに基づいてリセットが行われる。
【0050】
除算器315は、タイミング検出回路31が検出信号PLSを出力する所定のタイミングを制御する。具体的には、除算器315は、下降時カウンタ313から受ける下降時カウント信号DCNTが示すカウント値を保持する。さらに除算器315は、該カウント値を所定の値(例えば2)で除算し、該演算結果に応じた除算下降時カウント信号DCNTDを出力制御回路317のデータ端子Dに出力する。また、除算器315は、遅延回路38(
図1参照)から出力される出力制御信号OPLSに基づいて、保持したカウント値をリセットする。
【0051】
出力制御回路317は、除算器315から出力される除算下降時カウント信号DCNTDに対して、計数クロックOSCCLKと同期をとるために用いられる。具体的には、出力制御回路317は、除算器315から出力される除算下降時カウント信号DCNTDをデータ端子Dで受け、計数クロックOSCCLKをクロック端子CKで受ける。出力制御回路317は、該クロックに基づいて、データ端子Dに入力される除算下降時カウント信号DCNTDを、同期除算下降時カウント信号RDCNTDとして、出力端子Qからコンパレータ319に出力する。
【0052】
コンパレータ319は、位相誤差信号DNが“H”となった期間を所定の値で除することで示される期間と、位相誤差信号UPが“H”となった期間とを比較する。具体的には、コンパレータ319は内部レジスタを備え(図示せず)、出力制御回路317から同期除算下降時カウント信号RDCNTDを、上昇時カウンタ314から上昇時カウント信号UCNTを受ける。コンパレータ319は、同期除算下降時カウント信号RDCNTDが示すカウント値が“0”以外の値を示す場合、該カウント値を内部レジスタに格納する。また、コンパレータ319は、該カウント値が一定時間以上“0”を示した後に再び別の値を示す場合、内部レジスタをリセットし、該別の値を内部レジスタに格納する。コンパレータ319は、内部レジスタに格納された同期除算下降時カウント信号RDCNTDが示すカウント値と、上昇時カウント信号UCNTが示すカウント値とを比較し、該カウント値同士が一致している場合は“H”を、該カウント値同士が一致していない場合は“L”を検出信号PLSとして、該信号を論理積回路32に出力する。
【0053】
図3は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路において、PLL回路がロック状態にある場合の、各種の制御信号及び内部信号のタイミングチャートである。同図に示すような各種の制御信号が
図2に示すアンロック検出回路30に入力された場合、各種の内部信号の状態は以下のように遷移し、アンロック検出回路30は、PLL回路20がロック状態にあると判断し、アンロック検出信号UNLKを“L”として該信号を出力する。
【0054】
計数クロックOSCCLKは、上述の通り、一定の周波数で交番し続けるクロックである。分周計数クロックOSCCLKDは、クロック生成回路1が起動した直後において、PLL回路20がロック状態になるために必要な時間より十分に長い期間“H”となり、その後“L”となる。
【0055】
一対の位相誤差信号UP及びDNは、基準クロックREFCLKの位相に対して帰還クロックFBCLKの位相が進んでいる場合、それぞれ“L”及び“H”となる。また、位相誤差信号UP及びDNは、基準クロックREFCLKの位相に対して帰還クロックFBCLKの位相が遅れている場合、それぞれ“H”及び“L”となる。
【0056】
下降時カウント信号DCNTは、計数クロックOSCCLKと位相誤差信号UP及びDNとに基づいて、基準クロックREFCLKに対して帰還クロックFBCLKの位相が遅れている期間の長さを、該期間における交番回数によって示す。上昇時カウント信号UCNTは、計数クロックOSCCLKと位相誤差信号UP及びDNとに基づいて、基準クロックREFCLKに対して帰還クロックFBCLKの位相が進んでいる期間の長さを、該期間における交番回数によって示す。
【0057】
同期除算下降時カウント信号RDCNTDは、後述する検出信号PLSが“H”を示すまで、下降時カウント信号DCNTの交番回数を所定の値(例えば2)で除算することで得られる除算下降時カウント信号DCNTD(
図2参照)の交番回数を示し続ける。同期除算下降時カウント信号RDCNTDは、検出信号PLSが“H”を示した後、交番回数“0”を示し、下降時カウント信号DCNTが再び交番を始める時、再び除算下降時カウント信号DCNTDの交番回数を示し始める。
【0058】
検出信号PLSは、同期除算下降時カウント信号RDCNTDの交番回数と、上昇時カウント信号UCNTの交番回数同士とが一致した場合、“H”となり、それ以外の場合、“L”となる。ここで、該所定の値を仮に2とすると、PLL回路20がロック状態にあれば、基準クロックREFCLKの周波数がその時間変動において極大値をとる点(c)から極小値をとる点(d)までの期間に下降時カウント信号DCNTが交番する回数を2で除算した回数と、点(d)から該周波数が中心周波数となる点(e)の期間に上昇時カウント信号UCNTが交番する回数は等しくなる。このように、検出信号PLSは、PLL回路20がロック状態にあれば、上昇時カウント信号UCNTが下降時カウント信号DCNTの交番回数の半分の値と等しくなるとき、スペクトラム拡散周波数変調が施される基準クロックの周波数が周波数上昇変調時において中心周波数となるタイミングを示す。従って、検出信号PLSが出力される所定のタイミングに従って、所定の観測期間が定められることになる。
【0059】
基準カウント信号REFCNT及び帰還カウント信号FBCNTは、検出信号PLSによって示される、基準クロックREFCLKの周波数が周波数上昇変調時において中心周波数となるタイミングに基づいて、基準クロックREFCLK及び帰還クロックFBCLKに同期して交番する。
【0060】
カウント比較信号CMPOは、検出信号PLSのパルスによって定められる所定の観測期間における、基準カウント信号REFCNTと帰還カウント信号FBCNTとの交番回数の比較結果に基づいて、“H”又は“L”となる。カウント比較信号CMPOは、該交番回数同士が一致している場合“L”となり、該交番回数同士が不一致である場合“H”となる。例えば、
図3においては、カウント比較信号CMPOは、検出信号PLSのパルスが発生する点(a)から、基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの間に位相差が生じる点(c)までの区間において“L”となり、それ以降においては再び検出信号PLSのパルスが発生するまで“H”となる。
【0061】
アンロック検出信号UNLKは、分周計数クロックOSCCLKDが“H”の間、常に“L”となり、該クロックが“L”の間、出力制御信号OPLS(
図1参照)のパルスが発生するたびに、カウント比較信号CMPOと同じ電位となる。従って、アンロック検出信号UNLKは、検出信号PLSによって示された期間(例えば点(a)乃至点(e)の期間)において、PLL回路20がアンロック状態にある場合は“H”となり、PLL回路20がロック状態にある場合は“L”となる。
図3においては、PLL回路20はロック状態にあり、該期間(例えば点(a)乃至点(e)の期間)における基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKのパルス数が一致するため、アンロック検出信号UNLKは“L”となる。
【0062】
図4は、本発明の一実施形態にかかるクロック生成回路において、PLL回路がアンロック状態にある場合の、各種の制御信号のタイミングチャートである。同図に示すような各種の制御信号が
図2に示すアンロック検出回路30に入力された場合、各種の内部信号の状態は以下のように遷移し、アンロック検出回路30は、PLL回路20がアンロック状態にあると判断し、アンロック検出信号UNLKの電位を“H”として該信号を出力する。
【0063】
図4において、検出信号PLS、カウント比較信号CMPO及びアンロック検出信号UNLKを除く、各制御信号及び内部信号の動作に関しては、
図3において説明した内容と同じであるため、その説明を省略する。
【0064】
検出信号PLSは、PLL回路20がロック状態であり、下降時カウント信号DCNTに対する除算に用いる所定の値が例えば2である場合、上述したように基準クロックの周波数が周波数上昇変調時において中心周波数となるタイミングを示す(
図3参照)。ここで留意すべきことは、PLL回路20がアンロック状態にある場合、検出信号PLSは該タイミングを示すとは限らない。PLL回路20がアンロック状態にある場合、スペクトラム拡散周波数変調の周波数上昇変調時と周波数下降変調時における、基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの間の位相差の絶対値のそれぞれは、一致しない場合が多いためである。従って、PLL回路20がアンロック状態にあり、該所定の値が例えば2である場合、例えば、基準クロックREFCLKの位相が帰還クロックに対して遅れる点(i)から基準クロックREFCLKの位相が帰還クロックに対して進む点(j)までの期間において、下降時カウント信号DCNTが交番する回数を2で除算した回数をカウントNと定義すると、検出信号PLSは、点(j)から上昇時カウント信号UCNTがカウントN回交番するタイミングである点(k)において、“H”となる。
【0065】
基準カウント信号REFCNT及び帰還カウント信号FBCNTは、検出信号PLSが、上述した点(k)のタイミングを検出する周期に基づいて、それぞれ基準クロックREFCLK及び帰還クロックFBCLKに同期して交番する。
【0066】
カウント比較信号CMPOは、PLL回路20がアンロック状態にあることにより、検出信号PLSのパルスによって定められた期間(例えば点(g)乃至点(k)の期間)における基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとのパルス数が一致しないことから、常に“H”となる。
【0067】
アンロック検出信号UNLKは、PLL回路20がアンロック状態にあることにより、分周計数クロックOSCCLKDが“L”の間、出力制御信号OPLSのパルスが発生するたびに、カウント比較信号CMPOと同じ電位である“H”となる。
【0068】
このように、PLL回路20がロック状態にある場合、スペクトラム拡散周波数変調の周波数上昇変調期間と周波数下降変調期間とにおける基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの間の位相差は相反する場合がある。従って、本実施形態におけるクロック生成回路1は、
図3で示したように、スペクトラム拡散周波数変調の一周期における、基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの間の位相差を検出し、該位相差に基づいてアンロック状態の判断を行うことで、基準クロックREFCLKに対してスペクトラム拡散周波数変調が施されることにより発生する、基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKと間の一時的な位相差の影響を排除することができる。
【0069】
また、PLL回路20がアンロック状態にある場合、
図4で示したように、タイミング検出回路31がスペクトラム拡散周波数変調における中心周波数を正確に検出できない場合、即ち、基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの位相差を計測する所定の観測期間が正確でない場合がある。しかしながら、タイミング検出回路31の最終出力段に相当するコンパレータ319は、その判断基準に対して所定のマージンが与えられているため、中心周波数の検出精度の低下は該コンパレータによって十分に対応することができるようになる。さらに、PLL回路20がアンロック状態である場合に該期間が正確でなかったとしても、該期間における基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとのパルス数が、アンロック検出回路30にPLL回路20はロック状態にあると判断されるほど一致する可能性は非常に低いと考えられる。従って、アンロック状態にあるPLL回路20において、タイミング検出回路31が中心周波数を正確に検出できない場合においても、クロック生成回路1は実動作において全く問題なく使用することができる。
【0070】
以上のように、本実施形態にかかるクロック生成回路1は、スペクトラム拡散周波数変調の変調極性に起因するアンロック状態の誤検出を、アンロック状態の検出精度を下げることなく、防止することができる。
【0071】
図5は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路におけるタイミング検出回路の構成の他の例を示す図である。即ち、本変形例のタイミング検出回路31Aは、上記実施形態の構成において、コンパレータ319に代えてコンパレータ320が設けられ、除算器315及び出力制御回路317が取り除かれ、上昇時カウンタ314とコンパレータ320の間に除算器316及び出力制御回路318が設けられた構成となっている。
【0072】
除算器316は、タイミング検出回路31が検出信号PLSを出力するタイミングを制御する。具体的には、除算器316は、上昇時カウンタ314から受ける上昇時カウント信号UCNTが示すカウント値を保持する。さらに除算器316は、該カウント値を所定の値(例えば2)で除算し、該演算結果に応じた除算上昇時カウント信号UCNTDを出力制御回路318のデータ端子Dに出力する。また、除算器316は、遅延回路38(
図1参照)から出力される出力制御信号OPLSに基づいて、保持したカウント値をリセットする。
【0073】
出力制御回路318は、除算器316から出力される除算下降時カウント信号UCNTDに対して、計数クロックOSCCLKと同期をとるために用いられる。具体的には、出力制御回路318は、除算器316から出力される除算上昇時カウント信号UCNTDをデータ端子Dで受け、計数クロックOSCCLKをクロック端子CKで受ける。出力制御回路318は、該クロックに基づいて、データ端子Dに入力される除算上昇時カウント信号UCNTDを、同期除算上昇時カウント信号RUCNTDとして、出力端子Qからコンパレータ320に出力する。
【0074】
コンパレータ320は、位相誤差信号DNが“H”となった期間と、位相誤差信号UPが“H”となった期間を所定の値で除することで示される期間とを比較する。具体的には、コンパレータ320は内部レジスタを備え(図示せず)、下降時カウンタ313から下降時カウント信号DCNTを、出力制御回路319から同期除算上昇時カウント信号RUCNTDを受ける。コンパレータ320は、同期除算上昇時カウント信号RUCNTDが示すカウント値が“0”以外の値を示す時、該カウント値を内部レジスタに格納する。また、コンパレータ320は、該カウント値が一定時間以上“0”を示した後に再び別の値を示す時、内部レジスタをリセットし、該別の値を内部レジスタに格納する。コンパレータ320は、内部レジスタに格納された同期除算上昇時カウント信号RUCNTDが示すカウント値と、下降時カウント信号DCNTが示すカウント値とを比較し、該カウント値同士が一致している場合は“H”を、該カウント値同士が一致していない場合は“L”を検出信号PLSとして、該信号を論理積回路32に出力する。
【0075】
アンロック検出回路30が、タイミング検出回路31に代えて、
図5に示すタイミング検出回路31Aを含んで構成される場合、検出信号PLSは基準クロックREFCLKの周波数が周波数下降変調時において所定の周波数となるタイミングを示す。従って、アンロック検出回路30が、タイミング検出回路31に代えてタイミング検出回路31Aを含んで構成される場合、本変形例にかかるクロック生成回路1は、PLL回路20がアンロック状態であるか否かを、基準クロックREFCLKの周波数が周波数上昇変調時において所定の周波数となるタイミングでなく、該周波数が周波数下降変調時において所定の周波数となるタイミングで判断する。
【0076】
図6は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路におけるアンロック検出回路の構成の他の例を示す図である。即ち、本実施例のアンロック検出回路30Bは、上記実施形態の構成において、タイミング検出回路31に代えてタイミング検出回路31Bを含んで構成される。また、アンロック検出回路30Bは、上記実施形態の構成に対して、論理積回路33と、論理和回路34とが付加されて構成される。
【0077】
タイミング検出回路31Bは、PLL回路20から入力される位相誤差信号UP及びDNと、計数クロックOSCCLKとに基づいて、基準クロックREFCLKに施されるスペクトラム拡散周波数変調における周波数下降変調時の所定のタイミングと、周波数上昇変調時の所定のタイミングとを検出し、それぞれを下降時検出信号DPLS及び上昇時検出信号UPLSとして、それぞれ論理積回路33及び論理積回路32に出力する。また、タイミング検出回路31Bは、出力制御信号OPLSに基づいて、後述するように、少なくとも1つの構成要素の動作をリセットする。
【0078】
論理積回路32は、タイミング検出回路31Bから出力される上昇時検出信号UPLSに対して、SSCG回路から入力される基準クロックREFCLKと同期を取るために用いられる。具体的には、論理積回路32は、SSCG回路10から入力される基準クロックREFCLKと、タイミング検出回路31Bから入力される上昇時検出信号UPLSとに対して論理積を行い、該演算結果を、上昇時検出同期信号RUPLSとして、論理和回路34及び遅延回路38に出力する。
【0079】
論理積回路33は、タイミング検出回路31Bから出力される下降時検出信号DPLSに対して、SSCG回路から入力される基準クロックREFCLKと同期を取るために用いられる。具体的には、論理積回路33は、PLL回路20から入力される帰還クロックFBCLKと、タイミング検出回路31Bから入力される下降時検出信号DPLSとに対して論理積を行い、該演算結果を、下降時検出同期信号RDPLSとして、論理和回路34に出力する。
【0080】
論理和回路34は、下降時検出同期信号RDPLS及び上昇時検出同期信号RUPLSに基づいて、基準クロックカウンタ及び帰還クロックカウンタがそのカウント値をリセットする所定のタイミングを決定する。具体的には、論理和回路34は、論理積回路32から入力される上昇時検出同期信号RUPLSと、論理積回路33から入力される下降時検出同期信号RDPLSとに対して論理和を行い、該演算結果を、リセット信号RESとして、基準クロックカウンタ35及び帰還クロックカウンタ36に出力する。
【0081】
基準クロックカウンタ35は、論理和回路34から出力されるリセット信号RESに示される所定のタイミングに基づいて決定される所定の観測期間において、SSCG回路10から受ける基準クロックREFCLKのパルス数をカウントする。具体的には、基準クロックカウンタ35は、該所定の観測期間に亘ってSSCG回路10から受ける基準クロックREFCLKのパルス数をカウントし、該カウント値に応じた基準カウント信号REFCNTをコンパレータ37に出力する。また、基準クロックカウンタ35は、リセット信号RESに基づいて、周期的にそのカウント値をリセットすることで、上述した所定の観測期間を定める。
【0082】
帰還クロックカウンタ36は、該リセット信号RESに示される所定のタイミングに基づいて決定される所定の観測期間において、SSCG回路10から受ける帰還クロックFBCLKのパルス数をカウントする。具体的には、帰還クロックカウンタ36は、該所定の観測期間に亘ってPLL回路20から受ける帰還クロックFBCLKのパルス数をカウントし、該カウント値に応じた帰還カウント信号FBCNTをコンパレータ37に出力する。また、帰還クロックカウンタ36は、リセット信号RESに基づいて、周期的にそのカウント値をリセットすることで、上述した所定の観測期間を定める。
【0083】
遅延回路38は、出力制御回路40がデータ端子Dに入力される信号を出力端子Qから出力するタイミングを制御する。具体的には、遅延回路38は、論理積回路32から入力される上昇時検出同期信号RUPLSを、所定の時間が経過した後に、出力制御信号OPLSとして、出力制御回路40のクロック端子CKと、タイミング検出回路31Bとに出力する。所定の時間は、コンパレータ37によってカウント比較信号CMPOの状態が更新された後に、出力制御信号OPLSが出力制御回路40に出力されるように、調整される。
【0084】
コンパレータ37と、分周器39と、出力制御回路40との機能及び構成に関しては、上記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0085】
図7は、
図6に示したタイミング検出回路の構成の一例を示す図である。即ち、本実施例のタイミング検出回路31Bは、上記実施形態の構成において一出力の構成に代えて二出力の構成となっている。また、タイミング検出回路31Bは、上記実施形態に含まれる除算器315と、コンパレータ319及び出力制御回路317、上記変形例に含まれる除算器316と、コンパレータ320及び出力制御回路318の両方を備えた構成となっている。
【0086】
下降時カウンタ313は、位相誤差信号DNが“H”である期間を、計数クロックOSCCLKのパルスをカウントすることによって計測し、カウント結果を除算器315に出力する。具体的には、下降時カウンタ313は、計数クロックOSCCLKのパルス数をカウントし、該カウント値を、下降時カウント信号DCNTとして、除算器315及びコンパレータ320に出力する。また、下降時カウンタ313は、出力制御回路311から入力される下降時リセット信号DNRに基づいてリセットが行われる。
【0087】
上昇時カウンタ314は、位相誤差信号UPが“H”である期間を、計数クロックOSCCLKのパルスをカウントすることによって計測し、カウント結果を除算器316に出力する。具体的には、上昇時カウンタ314は、計数クロックOSCCLKのパルス数をカウントし、該カウント値を、上昇時カウント信号UCNTとして、除算器316及びコンパレータ319に出力する。また、上昇時カウンタ314は、出力制御回路312から入力される上昇時リセット信号UPRに基づいてリセットが行われる。
【0088】
コンパレータ319は、位相誤差信号DNが“H”となった期間を所定の値で除することで示される期間と、位相誤差信号UPが“H”となった期間とを比較し、該比較結果を上昇時検出信号UPLSとして、該信号を論理積回路32に出力する。
【0089】
コンパレータ320は、位相誤差信号DNが“H”となった期間と、位相誤差信号UPが“H”となった期間を所定の値で除することで示される期間とを比較し、該比較結果を下降時検出信号DPLSとして、該信号を論理積回路33に出力する。
【0090】
なお、コンパレータ319及び320の機能の詳細と、出力制御回路311、312、317及び318と、除算器315及び316の機能及び構成とに関しては、上記実施形態及び上記変形例と同じであるため、説明を省略する。
【0091】
図7に示すタイミング検出回路31Bは、下降時カウンタ313及び上昇時カウンタ314の出力先に除算器315及び316が設けられ、下降時カウント信号DCNTと上昇時カウント信号UCNTとの両信号がそれぞれ所望の値で除算されるように構成される。これにより、タイミング検出回路31Bは、スペクトラム拡散周波数変調に基づく、周波数下降変調時における所定のタイミングと、周波数上昇変調時における所定のタイミングとをそれぞれ検出することができる。
【0092】
また、
図6に示すアンロック検出回路30Bは、タイミング検出回路31Bを含んで構成されることで、スペクトラム拡散周波数変調に基づく、周波数下降変調時所定意のタイミングから、周波数上昇変調時の所定のタイミングまでで示される所定の観測期間において、PLL回路20がアンロック状態であるか否かを判断することができる。
【0093】
図8は、本発明の一実施形態にかかるクロック生成回路において、PLL回路がロック状態にある場合の、アンロック検出回路における各種の制御信号及び内部信号のタイミングチャートである。同図に示すような各種の制御信号が
図6に示すアンロック検出回路30Bに入力された場合、各種の内部信号の状態は以下のように遷移し、アンロック検出回路30BはPLL回路20がロック状態にあると判断し、アンロック検出信号UNLKを“L”として該信号を出力する。
【0094】
図8において、計数クロックOSCCLK、分周計数クロックOSCCLKD、位相誤差信号UP及びDN、下降時カウント信号DCNT、同期除算下降時カウント信号RDCNTD及び上昇時カウント信号UCNTの動作に関しては、
図3において説明した内容と同じであるため省略する。
【0095】
同期除算上昇時カウント信号RUCNTDは、後述する下降時検出信号DPLSが“H”を示すまで、上昇時カウント信号UCNTの交番回数を所定の値(例えば2)で除算することで得られる除算上昇時カウント信号UCNTD(
図2参照)の交番回数を示し続ける。同期除算上昇時カウント信号RUCNTDは、下降時検出信号DPLSが“H”を示した後、交番回数“0”を示し、上昇時カウント信号UCNTが再び交番を始める時、再び除算上昇時カウント信号UCNTDの交番回数を示し始める。
【0096】
上昇時検出信号UPLSは、同期除算下降時カウント信号RDCNTDの交番回数と、上昇時カウント信号UCNTの交番回数とが一致した時、“H”となり、それ以外の場合は“L”となる。上昇時検出信号UPLSは、スペクトラム拡散周波数変調が施される基準クロックREFCLKの周波数が周波数下降変調時において所定の周波数となるタイミングを示す。所定の周波数は、該所定の値によって定められる。
【0097】
下降時検出信号DPLSは、同期除算上昇時カウント信号RUCNTDの交番回数と、下降時カウント信号DCNTとの交番回数同士が一致した時、“H”となり、それ以外の場合は“L”となる。下降時検出信号DPLSは、スペクトラム拡散周波数変調が施される基準クロックREFCLKの周波数が周波数上昇変調時において所定の周波数となるタイミングを示す。所定の周波数は、該所定の値によって定められる。
【0098】
リセット信号RESは、下降時検出同期信号RDPLS及び上昇時検出同期信号RUPLS(いずれも
図6参照)の論理和によって示される。リセット信号RESは、スペクトラム拡散周波数変調が施される基準クロックREFCLKの周波数が、周波数上昇及び下降変調時において所定の周波数となるタイミングを示す。
【0099】
基準カウント信号REFCNT及び帰還カウント信号FBCNTは、リセット信号RESが、スペクトラム拡散周波数変調の周波数上昇及び下降変調時における所定の周波数を示すタイミングに基づいて、基準クロックREFCLK及び帰還クロックFBCLKに同期して交番する。
【0100】
カウント比較信号CMPOは、リセット信号RESに示される所定のタイミングによって定められる所定の観測期間における、基準カウント信号REFCNTと帰還カウント信号FBCNTとの交番回数の比較結果に基づいて、“H”又は“L”となる。カウント比較信号CMPOは、該カウント回数同士が一致している場合“L”となり、該カウント回数同士が不一致である場合“H”となる。例えば、
図8において、カウント比較信号CMPOは、リセット信号RESのパルスが発生する点(l)から、基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの間の位相差がコンパレータ37に検知される点(m)までの区間において“L”となり、それ以降においては再びリセット信号RESのパルスが発生するまで“H”となる。
【0101】
アンロック検出信号UNLKは、分周計数クロックOSCCLKDが“L”の間、出力制御信号OPLSのパルスが発生するたびに、カウント比較信号CMPOと同じ電位となる。従って、アンロック検出信号UNLKは、リセット信号RESによって示された期間(例えば点(o)乃至点(q)の期間)において、PLL回路20がアンロック状態にある場合“H”となり、ロック状態にある場合は“L”となる。
図8においては、PLL回路20はロック状態にあり、該期間(例えば点(o)乃至点(q)の期間)における基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKのパルス数が一致するため、アンロック検出信号UNLKは“L”となる。
【0102】
図8に示すように、PLL回路20がロック状態にあっても、スペクトラム拡散周波数変調の周波数上昇変調期間と周波数下降変調期間とにおける、基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの間の位相差の絶対値のそれぞれは、一致しない場合がある。しかしながら、
図6に示すアンロック検出回路30Bは、スペクトラム拡散周波数変調の周期において、周波数下降変調時における所定のタイミングと、周波数上昇変調時における所定のタイミングによって定められる所定の観測期間において、PLL回路20がアンロック状態にあるか否かを判断する機能を有しているため、上述した特性を有するPLL回路20に対しても、スペクトラム拡散周波数変調の変調極性に起因するアンロック状態の誤検出を、アンロック状態の検出精度を下げることなく、防止することができる。
【0103】
図9は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路におけるアンロック検出回路の構成の他の例を示す図である。即ち、本変形例のアンロック検出回路30Cは、上記実施形態の構成において、遅延回路38に対する入力信号を、上昇時検出同期信号RUPLSに代えて、下降時検出同期信号RDPLSとして構成される。
【0104】
アンロック検出回路30Cにおいて、アンロック検出信号UNLKは、上昇時カウント信号UCNTに対する除算に用いる所定の値が例えば2である場合、基準クロックREFCLKの周波数が周波数下降変調時において中心周波数となるタイミングで出力される。従って、本変形例にかかるクロック生成回路1は、PLL回路20がアンロック状態であるか否かを、周波数下降変調時の所定のタイミングから、周波数上昇変調時の所定のタイミングまでで示される所定の観測期間においてではなく、周波数上昇変調時の所定のタイミングから、周波数下降変調時の所定のタイミングまでで示される所定の観測期間において判断する。
【0105】
図10は、本発明の一実施形態に係るクロック生成回路の概略構成の他の例を示す図である。即ち、本変形例のクロック生成回路1Dは、上記実施形態の構成において、タイミング検出回路31に入力される信号を、位相比較器21から出力される位相誤差信号UP及びDNに代えて、SSCG回路10Dから出力される変調極性信号MUP及びMDNとするように構成される。
【0106】
SSCG回路10Dは、入力クロックINCLKに対して、予め定められた変調プロファイルに基づいてスペクトラム拡散周波数変調を行い、該変調した信号を基準クロックREFCLKとして、PLL回路20へ出力する。また、SSCG回路10Dは、入力クロックINCLKに対するスペクトラム拡散周波数変調の極性を、変調極性信号MUP及びMDNとして、アンロック検出回路30に出力する。具体的には、SSCG回路10Dは、該周波数変調の極性が「正」である間、変調極性信号MUPを“H”として、変調極性信号MDNを“L”とする。また、SSCG回路10Dは、該周波数変調の極性が「正」でない場合、変調極性信号MUPを“L”として、変調極性信号MDNを“H”とする。
【0107】
タイミング検出回路31は、SSCG回路10Dから入力される変調極性信号MUP及びMDNと、計数クロックOSCCLKとに基づいて、基準クロックREFCLKに施されるスペクトラム拡散周波数変調における所定の観測期間を検出し、検出信号PLSとして、該信号を論理積回路32に出力する。また、タイミング検出回路31は、出力制御信号OPLSに基づいて、上述したように、一部の構成要素の動作をリセットする。
【0108】
クロック生成回路1Dは、スペクトラム拡散の周波数変調を、PLL回路20で生成される位相誤差信号UP及びDNからでなくSSCG回路10Dから取得することによって、PLL回路20がアンロック状態であるか否かを判断するために、基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKのパルス数をカウントする所定の観測期間を、PLL回路20の状態によらず定めることができる。従って、本実施例に係るクロック生成回路1Dは、上述したようにPLL回路がアンロック状態にあって、スペクトラム拡散周波数変調の周波数上昇変調期間と周波数下降変調期間における基準クロックREFCLKと帰還クロックFBCLKとの間の位相差の絶対値のそれぞれが一致しない場合においても、該所定の観測期間を定めることができ、上述した実施形態と比較してより高精度なアンロック検出機能を実現する。
【0109】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0110】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0111】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。