【解決手段】ユーザを特定するユーザコードとユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定する第1の判定情報とを対応付けて記憶する記憶部140と、ユーザコードと印刷データとを含むジョブを受信する通信部130と、受信した印刷データを第1の印刷速度を有する第1の印刷モード又は第1の印刷速度よりも高速な第2の印刷速度を有する第2の印刷モードで記録媒体に印刷を行うプリンタエンジン160と、受信ジョブに含まれるユーザコードに対応付けられている第1の判定情報とユーザを特定する第2の判定情報とに基づいて第2の判定情報によって特定されるユーザか否かを判定する判定部121と、第2の判定情報によって特定されるユーザがユーザコードによって特定されるユーザであると判定した場合、第1の印刷モードから第2の印刷モードに切り替える切替部123と、を備えた。
前記判定手段は、前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザであると判定した後、前記フレーム内のユーザの顔画像の領域が第1の領域以上あるか否かにより、前記フレーム内のユーザが接近したか否かの接近判定を行い、
前記切替手段は、ユーザが接近したと判定した場合、前記第1の印刷モードから前記第2の印刷モードに切り替える、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
ユーザを特定するためのユーザコードと、当該ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定するための第1の判定情報と、を対応付けて記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記ユーザコードと印刷に係る印刷データとを含むジョブを受信するジョブ受信ステップと、
前記ジョブ受信ステップにおいて受信した前記ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、第1の印刷速度を有する第1の印刷モード、又は、当該第1の印刷速度よりも高速な第2の印刷速度を有する第2の印刷モード、で記録媒体に前記印刷を行う印刷ステップと、
前記ジョブ受信ステップにおいて受信した前記ジョブに含まれるユーザコードに対応付けられている前記第1の判定情報と、ユーザを特定するための第2の判定情報と、に基づいて、当該第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザであると判定した場合、前記第1の印刷モードから前記第2の印刷モードに切り替える切替ステップと、
を備えた、
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、ターボ印刷のモード指定は、ユーザが印刷開始前に指定するものである。このため、ユーザがターボ印刷のモード指定を行わずに印刷を開始すると、早く印刷を終えたくても印刷を完了するまで通常の印刷速度で印刷を行ってしまう。
このため、印刷の待ち時間を減らしたいユーザにとって利便性が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、この発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、印刷の待ち時間を効率的に減らす場合に好適な印刷装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明の印刷装置は、
ユーザを特定するためのユーザコードと、当該ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定するための第1の判定情報と、を対応付けて記憶している記憶手段と、
前記ユーザコードと印刷に係る印刷データとを含むジョブを受信するジョブ受信手段と、
前記ジョブ受信手段が受信した前記ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、第1の印刷速度を有する第1の印刷モード、又は、当該第1の印刷速度よりも高速な第2の印刷速度を有する第2の印刷モード、で記録媒体に前記印刷を行う印刷手段と、
前記ジョブ受信手段が受信した前記ジョブに含まれる前記ユーザコードに対応付けられている前記第1の判定情報と、ユーザを特定するための第2の判定情報と、に基づいて、当該第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザであると判定した場合、前記第1の印刷モードから前記第2の印刷モードに切り替える切替手段と、
を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するため、この発明の印刷方法は、
ユーザを特定するためのユーザコードと、当該ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定するための第1の判定情報と、を対応付けて記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記ユーザコードと印刷に係る印刷データとを含むジョブを受信するジョブ受信ステップと、
前記ジョブ受信ステップにおいて受信した前記ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、第1の印刷速度を有する第1の印刷モード、又は、当該第1の印刷速度よりも高速な第2の印刷速度を有する第2の印刷モード、で記録媒体に前記印刷を行う印刷ステップと、
前記ジョブ受信ステップにおいて受信した前記ジョブに含まれるユーザコードに対応付けられている前記第1の判定情報と、ユーザを特定するための第2の判定情報と、に基づいて、当該第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザであると判定した場合、前記第1の印刷モードから前記第2の印刷モードに切り替える切替ステップと、
を備えた、
ことを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するため、この発明のプログラムは、
コンピュータに、
ユーザを特定するためのユーザコードと、当該ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定するための第1の判定情報と、を対応付けて記憶させる記憶処理と、
前記ユーザコードと印刷に係る印刷データとを含むジョブを受信させるジョブ受信処理と、
前記ジョブ受信処理で受信した前記ジョブに含まれる前記ユーザコードに対応付けられている前記第1の判定情報と、ユーザを特定するための第2の判定情報と、に基づいて、当該第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定させる判定処理と、
前記判定処理により前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザであると判定した場合、第1の印刷速度を有する第1の印刷モードから当該第1の印刷速度よりも高速な第2の印刷速度を有する第2の印刷モードに切り替えさせる切替処理と、
を行わせる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷の待ち時間を効率的に減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、印刷装置100は、カメラ110を備える。
この印刷装置100は、第1の印刷速度を有する第1の印刷モードと、その第1の印刷速度よりも高速の第2の印刷速度を有する第2の印刷モードと、を備える。
【0012】
カメラ110は、印刷装置100上に撮影向きを調整可能に設置された、CCDなどの撮像デバイスを備える撮像部である。なお、カメラ110は、撮像手段として機能する。
なお、この実施形態では、一例として、第1の印刷速度は38ppm(page per minutes:1分間当たりの印刷可能枚数)であり、第2の印刷速度は50ppmであるものとする。
【0013】
図2に示すように、印刷装置100は、カメラ110以外に、制御部120、通信部130、記憶部140、入力部150及びプリンタエンジン160を備える。
【0014】
制御部120は、CPU、ROM、RAMなどから構成される。制御部120のCPUは、ROMに記憶されている後述するモード切替処理のプログラムを読み出して実行することにより、上記モード切替処理に係る各機能(判定部121、待ち時間算出部122及びモード切替部123)を実現する。
【0015】
通信部130は、LAN又はUSBを介して外部のPCと通信を行う。例えば、PCから送信された印刷ジョブを受信する。なお、通信部130は、ジョブ受信手段として機能する。
【0016】
記憶部140は、HDDなどの不揮発性メモリである。この記憶部140は、後述する顔画像テーブルや顔画像を記憶する。なお、記憶部140は、記憶手段として機能する。
【0017】
入力部150は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネルと、印刷に係る各種操作ボタンと、を備えるオペレーションパネルである。
【0018】
プリンタエンジン160は、紙などの記録媒体に印刷を行うための各種機構(給紙、転写、定着、排紙などの機構)である。なお、プリンタエンジン160は、印刷手段として機能する。
【0019】
この実施形態において、予めユーザは、PCからユーザ自身を特定するユーザコードと自身の顔画像とを印刷装置100に送信する。印刷装置100の通信部130は、ユーザコードと顔画像とを受信する。印刷装置100の制御部120は、受信したユーザコードと顔画像とを対応付けて
図3に示す顔画像テーブルを生成し、記憶部140に記憶する。
【0020】
例えば、顔画像テーブルのユーザコードAに対応付けられた顔画像A1は、
図4の正面視で撮ったユーザコードAのユーザの顔画像である。なお、顔画像A1は、ユーザコードAのユーザか否かを判定するための第1の判定情報として機能する。
【0021】
また、予めユーザ又は印刷装置100の管理者は、入力部150から印刷を待つことが可能な待ち可能時間を入力する。印刷装置100の制御部120は、入力された待ち可能時間を受け付けて、記憶部140に記憶する。この記憶された待ち可能時間は、後述する印刷装置100のモード切替処理が行われる都度用いられる。なお、入力部150は、待ち可能時間受付手段として機能する。
【0022】
以上の顔画像テーブルと待ち可能時間との記憶が印刷開始前に必要な前提となる。印刷開始にあたっては、ユーザは、PCにインストールされた印刷装置100のプリンタドライバから、印刷に係る印刷データとユーザコードとを含む印刷ジョブを印刷装置100に送信する。
【0023】
図2に戻って、制御部120の判定部121は、第1の印刷モードで印刷開始後に、通信部130が受信した印刷ジョブに含まれるユーザコードに対応する顔画像に基づいて、そのユーザコードのユーザか否かを判定する。なお、判定部121は、判定手段として機能する。
【0024】
具体的には、判定部121は、カメラ110により撮像したフレームF内のユーザの顔画像と(
図5参照)、印刷ジョブに含まれるユーザコードに対応する顔画像と(
図4参照)、が一致するか否かでユーザコードのユーザか否かを判定する。なお、カメラ110により撮像したフレームF内のユーザの顔画像は、ユーザコードAのユーザか否かを判定するための第2の判定情報として機能する。
【0025】
この判定にあたっては、一般的な顔認証の技術を用いて判定を行う。例えば、顔画像A1の特徴点(例えば、目、まゆ、口、鼻などの顔のパーツ)のバランスを記憶しておき、そのバランスの比率を遠近に応じて変化させてフレームFから抽出した顔画像と比較を行う。
【0026】
次に、判定部121は、ユーザコードのユーザであると判定した後、フレームF内のユーザの顔画像の領域が
図5の破線で示す第1の領域P以上あるか否かにより、フレームF内のユーザが印刷装置100に接近したか否かの接近判定を行う。
【0027】
この接近判定を容易に行うために、第1の領域Pの大きさはユーザが予め送信した顔画像の領域の大きさと同じにするとよい。この場合、第1の領域Pはユーザが印刷装置100に接近したと判定する基準となるため、予め送信される顔画像はある程度近い距離(例えば、1m)から撮ったものを記憶しておく。
【0028】
判定部121は、
図6に示すようにユーザの顔画像の領域が第1の領域P以上になると、ユーザが印刷装置100に接近したと判定する。
次に、待ち時間算出部122は、判定部121によりユーザが接近していると判定した場合、残り待ち時間を求める。
【0029】
具体的には、待ち時間算出部122は、印刷ジョブに含まれる印刷データに基づいて、印刷する必要のある全ページ数を求める。そして、待ち時間算出部122は、全ページ数と印刷済みページ数とから残りページ数を求め、求めた残りページ数と第1の印刷モードの印刷速度とから残り待ち時間を求める。なお、待ち時間算出部122は、残り待ち時間算出手段として機能する。
【0030】
次に、モード切替部123は、待ち時間算出部122により求めた残り待ち時間と、記憶部140が記憶する待ち可能時間と、を比較して、残り待ち時間が待ち可能時間以上の場合、第1の印刷モードから第2の印刷モードに切り替える。なお、モード切替部123は、切替手段として機能する。
【0031】
次に、この第2の印刷モードに切り替えるモード切替処理について
図7を参照しながら説明する。このモード切替処理は、印刷装置100の通信部130が印刷ジョブを受信して、その印刷ジョブに含まれるユーザコードが顔画像テーブルに含まれる場合に開始される。また、制御部120は、印刷ジョブを受信するとカメラ110をオンにして撮像を開始させる。
【0032】
まず、制御部120は、第1の印刷モードで印刷を開始する(ステップS11)。具体的には、制御部120は、プリンタエンジン160を適宜制御して、印刷ジョブに含まれる印刷データを第1の印刷モードで記録媒体に印刷し始める。
【0033】
次に、制御部120は、フレームFから顔画像を抽出する(ステップS12)。具体的には、制御部120は、撮像中のカメラ110のフレームF内に顔画像があるか否かをリアルタイムでモニタリングしておき、顔画像があればその顔画像を抽出する。
【0034】
次に、判定部121は、抽出した顔画像が、印刷ジョブに含まれるユーザコードに対応する顔画像と一致するか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、判定部121は、印刷ジョブに含まれるユーザコードに対応する顔画像を顔画像テーブルから読み出す。そして、判定部121は、読み出した顔画像と、近づいてくるユーザの顔画像と、が一致するか否かを判定することで、近づいてくるユーザが印刷ジョブに含まれるユーザコードのユーザか否かを判定する。
【0035】
ここで、判定部121は、ユーザが正面以外から近づいてくるような場合であっても、画像処理によって顔認証を行う。例えば、ユーザが斜めから近づいてくるような場合、フレームFに斜めに写るユーザの顔画像を正面視になるように画像処理によって角度補正を行い、読み出した正面視の顔画像と比較して顔認証を行う。また、判定部121は、フレームF内から複数の顔画像を抽出した場合であっても、同時又は順時、顔認証を行う。
【0036】
ここで、近づいてくるユーザが印刷ジョブを送信した者でない場合など顔画像が一致しない場合(ステップS13;No)、顔画像が一致するまで第1の印刷モードで印刷データの印刷を行い(ステップS12、13及び17のループ)、第1の印刷モードで印刷データを全て印刷すると(ステップS17;Yes)、処理を終了する。
【0037】
一方、顔画像が一致した場合(ステップS13;Yes)、判定部121は、顔画像の領域は、第1の領域P以上か否かを判定する(ステップS14)。具体的には、判定部121は、顔画像の輪郭に含まれる画素数の集合からなる面積が、
図5の破線で示す第1の領域Pの面積以上か否か判定する。これにより、判定部121は、ユーザの接近判定を行う。
【0038】
ここで、顔画像の領域が第1の領域P以上でない場合(ステップS14;No)、判定部121は、ユーザが印刷装置100に接近していないと判定し、接近するまで第1の印刷モードで印刷データの印刷を行う(ステップS12、13、14及び17のループ)。ユーザが接近する前に印刷データが全て印刷された場合(ステップS17;Yes)、処理を終了する。
【0039】
一方、ユーザが近づいてきて顔画像の領域が第1の領域P以上になると(ステップS14;Yes)、判定部121は、ユーザが接近したと判定する。次に、モード切替部123は、残り待ち時間が待ち可能時間以上か否かを判定する(ステップS15)。具体的には、モード切替部123は、待ち時間算出部122により求めた残り待ち時間と、記憶部140が記憶する待ち可能時間と、を比較して、残り待ち時間が待ち可能時間以上か否かを判定する。
【0040】
ここで、残り待ち時間が待ち可能時間以上でない場合(ステップS15;No)、すなわちユーザが待たなければならない残り待ち時間が待ち可能時間未満の場合、第2の印刷モードに切り替えずに第1の印刷モードのまま印刷データの印刷を続行し(ステップS12、13、14、15及び17のループ)、印刷データを全て印刷すると(ステップS17;Yes)、処理を終了する。
【0041】
一方、残り待ち時間が待ち可能時間以上の場合(ステップS15;Yes)、すなわち待ち可能時間よりも長い時間待たなければならない場合、モード切替部123は、第1の印刷モードから第2の印刷モードに切り替える(ステップS16)。そして、第2の印刷モードで印刷データを全て印刷し終えるまで印刷を行い(ステップS18;No)、印刷データを全て印刷すると(ステップS18;Yes)、処理を終了する。
【0042】
なお、このモード切替処理の開始にあたって、印刷ジョブに含まれるユーザコードが顔画像テーブルに含まれない場合、あるいは印刷ジョブにユーザコードが含まれない場合、顔画像による比較ができないので、印刷装置100は、このモード切替処理を行わずに第1の印刷モードで印刷を行う。
【0043】
以上のモード切替処理をより具体例に説明する。
一例として、ユーザのユーザコードはA、そのユーザの顔画像はA1、待ち可能時間は1分を設定した場面を想定する。
【0044】
ユーザは、PCのプリンタドライバにより印刷したい印刷データを選択するとともに、自身のユーザコードAを含めて印刷ジョブを印刷装置100に送信する。印刷ジョブを受信した印刷装置100は、ユーザコードAが
図3の顔画像テーブルに含まれるので、カメラ110をオンにしてモード切替処理を開始する。
【0045】
印刷ジョブを送信したユーザが印刷装置100に向かって近づいていくと、印刷装置100は、フレームFからユーザの顔画像A1を抽出して(ステップS12)、その顔画像A1が印刷ジョブに含まれるユーザコードAと対応する顔画像A1と一致すると判定する(ステップS13;Yes)。
【0046】
ユーザがさらに印刷装置に近づくと(
図6参照)、印刷装置100は、ユーザが接近したと判定して(ステップS14;Yes)、残り待ち時間が待ち可能時間以上か否かを判定する(ステップS15)。残り待ち時間が2分だとすると待ち可能時間は1分なので、印刷装置100は、第2の印刷モードに切り替えて印刷データを全て印刷して(ステップS16及び18)、処理を終了する。
【0047】
以上のモード切替処理によれば、予め自身の顔画像とユーザコードとを印刷装置100に送信しておいたユーザが、自身のユーザコードを含む印刷ジョブを送信して印刷装置100に接近した場合、残り待ち時間が待ち可能時間よりも長いと自動で第2の印刷モードに切り替える。このためモード指定せずに印刷を開始した場合であっても、待ち時間が長いと自動で第2の印刷モードに切り替わるので、印刷の待ち時間を減らしたいユーザにとって利便性がよい。一方で、待ち時間がユーザが待てる時間内であれば自動モード切替を行わないので、消費電力が第2の印刷モードよりも低い第1の印刷モードで印刷を続行できる。従って、印刷の待ち時間を効率的に減らすことができる。
【0048】
なお、このモード切替処理において、ステップS15の処理は必須ではない。例えば、ステップS14の判定部121による接近判定により、ユーザが接近したと判定すると、第2の印刷モードに切り替えてもよい。また、ステップS14の接近判定を行わずに、判定部121が顔画像が一致したと判定すると(ステップS13;Yes)、すなわち、抽出した顔画像が印刷ジョブに含まれるユーザコードのユーザの顔画像であると判定すると、第2の印刷モードに切り替えてもよい。
【0049】
また、待ち可能時間は、ユーザ又は印刷装置100の管理者が入力部150より入力するようにしたが、ユーザがPCのプリンタドライバから待ち可能時間を含めて印刷ジョブを送信してもよい。この場合、記憶部140に記憶された待ち可能時間に優先して、ユーザが印刷ジョブに含めた待ち可能時間が残り待ち時間との比較に用いられる。これにより、ジョブ単位でユーザ個人の意図に沿った待ち可能時間を残り待ち時間と比較することができるので、より効率的に印刷の待ち時間を減らすことができる。
【0050】
(変形例)
以上で実施形態の説明を終了するが、印刷装置100の具体的な構成や
図7に示したモード切替処理の内容が上述の実施形態で説明したものに限らないことはもちろんである。
【0051】
例えば、上述した実施形態のモード切替処理においては、ステップS15において残り待ち時間が待ち可能時間以上か否かを判定するようにしたがこれに限らない。例えば、ステップS15に代えて、受信済みの印刷ジョブ数が第1の数以上か否かを判定してもよい。具体的には、制御部120は、通信部130が受信した印刷ジョブであって印刷未実行の印刷ジョブの数をカウントする。そして、判定部121により、そのカウントした印刷ジョブ数が第1の数以上か否かを判定して、印刷ジョブ数が第1の数以上であれば、モード切替部123は、第1の印刷モードから第2の印刷モードに切り替える。これにより、受信済みの印刷ジョブの混み具合に応じて第2の印刷モードに切り替えることができるので、効率的に印刷の待ち時間を減らすことができる。
【0052】
また、ステップS15に代えて、ユーザの接近速度が速いか否かを判定してもよい。具体的には、判定部121は、カメラ110により撮像した複数のフレームそれぞれに写る顔画像の領域の違いに基づいて、そのユーザの接近速度が速いか否かを判定する。例えば、最初のフレームに写る顔画像の領域と次のフレームに写る顔画像の領域との差が大きければ、接近速度は速い。そして、判定部121により、ユーザが接近したと判定し、且つ、そのユーザの接近速度が速いと判定した場合、モード切替部123は、第1の印刷モードから第2の印刷モードに切り替える。ユーザの接近速度が早ければ、ユーザは急いでいると考えられるので、ユーザの状況に応じて効率的に印刷の待ち時間を減らすことができる。なお、判定部121は、接近速度判定手段として機能する。
【0053】
また、上述した実施形態においては、顔認証によりユーザ判定と接近判定とを行うようにしたがこれに限らない。要は、ユーザ判定と接近判定とができればどのような手法を用いてもよい。例えば、顔認証に代えて、非接触のカード認証によりユーザ判定と接近判定を行ってもよい。この場合、印刷装置100は、カメラ110に代えて、ユーザが所持する非接触読み取り式のICカードからカードIDを読み取る読取手段であるカードリーダを備える。また、印刷装置100は、顔画像テーブルに代えて、予めユーザコードとカードIDとを対応付けたテーブルを記憶しておく。なお、テーブルに記載されているカードIDは、ユーザコードのユーザか否かを判定するための第1の判定情報として機能する。また、カードリーダが読み取ったユーザのカードIDは、ユーザコードのユーザか否かを判定するための第2の判定情報として機能する。印刷装置100の判定部121は、送信された印刷ジョブに含まれるユーザコードと対応するカードIDが、近づいてくるユーザの所持するICカードのカードIDと一致するか否かでユーザ判定を行う。また、判定部121は、ICカードからの電波の強さに基づいてユーザの接近判定を行う。
【0054】
また、上述した実施形態のモード切替処理における顔認証に係るステップS12乃至S15の処理は必須ではない。例えば、第1の印刷モードで印刷開始後(ステップS11)、印刷装置100の備えるタイマなどにより第1の時刻を経過しているか否かを判定して、経過していれば第2の印刷モードに切り替えてもよい。これにより、例えば、終業時刻である17時半の30分前の17時を第1の時刻として設定することにより、印刷装置100を使用する複数のユーザの業務時間にあわせて効率的に印刷の待ち時間を減らすことができる。
【0055】
また、上述したモード切替処理の様々なバリエーションは、矛盾しない範囲内で自由に組み合わせてよいことはもちろんである。
また、上述したモード切替処理は、様々な印刷装置100に適用できる。例えば、レーザープリンタやインクジェットプリンタなどに適用できる。
【0056】
また、この発明の印刷装置100のモード切替処理は、通常のPC等のコンピュータによっても実施することができる。
具体的には、上記実施形態では、モード切替処理に係る各機能を実現するためのプログラムが、記憶部140に予め記憶されているものとして説明した。しかし、
図2の各部の機能を実現させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)及びMO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の各部の機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、コンピュータがダウンロード等することができるようにしてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態をとることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とに含まれる。以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0058】
(付記1)
ユーザを特定するためのユーザコードと、当該ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定するための第1の判定情報と、を対応付けて記憶している記憶手段と、
前記ユーザコードと印刷に係る印刷データとを含むジョブを受信するジョブ受信手段と、
前記ジョブ受信手段が受信した前記ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、第1の印刷速度を有する第1の印刷モード、又は、当該第1の印刷速度よりも高速な第2の印刷速度を有する第2の印刷モード、で記録媒体に前記印刷を行う印刷手段と、
前記ジョブ受信手段が受信した前記ジョブに含まれる前記ユーザコードに対応付けられている前記第1の判定情報と、ユーザを特定するための第2の判定情報と、に基づいて、当該第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザであると判定した場合、前記第1の印刷モードから前記第2の印刷モードに切り替える切替手段と、
を備えた、
ことを特徴とする印刷装置。
【0059】
(付記2)
撮像手段をさらに備え、
前記第1の判定情報は、前記ジョブに含まれるユーザコードに対応付けられている顔画像であり、
前記第2の判定情報は、前記撮像手段により撮像したフレーム内のユーザの顔画像であり、
前記判定手段は、前記第1の判定情報と前記第2の判定情報とが一致するか否かで、前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定する、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0060】
(付記3)
前記判定手段は、前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザであると判定した後、前記フレーム内のユーザの顔画像の領域が第1の領域以上あるか否かにより、前記フレーム内のユーザが接近したか否かの接近判定を行い、
前記切替手段は、ユーザが接近したと判定した場合、前記第1の印刷モードから前記第2の印刷モードに切り替える、
ことを特徴とする付記2に記載の印刷装置。
【0061】
(付記4)
ユーザが所持する非接触読み取り式のカードのカード識別情報を読み取る読取手段をさらに備え、
前記第1の判定情報は、前記ジョブに含まれるユーザコードに対応付けられているカード識別情報であり、
前記第2の判定情報は、前記読取手段が読み取った前記カードのカード識別情報であり、
前記判定手段は、前記第1の判定情報と前記第2の判定情報とが一致するか否かで、前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定する、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0062】
(付記5)
ユーザを特定するためのユーザコードと、当該ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定するための第1の判定情報と、を対応付けて記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記ユーザコードと印刷に係る印刷データとを含むジョブを受信するジョブ受信ステップと、
前記ジョブ受信ステップにおいて受信した前記ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、第1の印刷速度を有する第1の印刷モード、又は、当該第1の印刷速度よりも高速な第2の印刷速度を有する第2の印刷モード、で記録媒体に前記印刷を行う印刷ステップと、
前記ジョブ受信ステップにおいて受信した前記ジョブに含まれるユーザコードに対応付けられている前記第1の判定情報と、ユーザを特定するための第2の判定情報と、に基づいて、当該第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザであると判定した場合、前記第1の印刷モードから前記第2の印刷モードに切り替える切替ステップと、
を備えた、
ことを特徴とする印刷方法。
【0063】
(付記6)
コンピュータに、
ユーザを特定するためのユーザコードと、当該ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定するための第1の判定情報と、を対応付けて記憶させる記憶処理と、
前記ユーザコードと印刷に係る印刷データとを含むジョブを受信させるジョブ受信処理と、
前記ジョブ受信処理で受信した前記ジョブに含まれる前記ユーザコードに対応付けられている前記第1の判定情報と、ユーザを特定するための第2の判定情報と、に基づいて、当該第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザか否かを判定させる判定処理と、
前記判定処理により前記第2の判定情報によって特定されるユーザが前記ユーザコードによって特定されるユーザであると判定した場合、第1の印刷速度を有する第1の印刷モードから当該第1の印刷速度よりも高速な第2の印刷速度を有する第2の印刷モードに切り替えさせる切替処理と、
を行わせる、
ことを特徴とするプログラム。