【解決手段】本発明の地中熱利用システム1は、循環液がその凍結温度に達した又は近づいたとき、凍結防止運転を開始する。凍結防止運転では、熱源側循環ポンプ7を稼働させて、熱源側循環液を循環させる。これにより、循環液は地中の地中熱と熱交換されて高温になり、熱源側循環液又は負荷側循環液凍結が防止される。また、負荷側循環液が凍結温度に近づくと、凍結防止運転では、熱源側循環ポンプ7、ヒートポンプ装置4、負荷側循環ポンプ12を稼働させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかながら、特許文献5に示されている地中熱ヒートポンプ装置は、目標温度を設定しているものの、温度が下がり続けると限界があり、氷点下で循環液の水分が凍結する問題を根本的に解決できない。地中熱利用システムが長時間運転していない時に外気温が氷点下になると、熱源側循環部の循環水が凍結し、そのまま運転を開始すると凍結の影響で熱源側循環ポンプの流量が低下する。その結果、地中熱利用システムのヒートポンプ装置にエラーが発生して運転が停止する。
【0012】
この循環水が凍結すると、これを解氷するまでに、熱源側循環ポンプの稼働復旧に時間がかかる。言い換えると、地中熱利用システムの利用を停止せざるをえず、その再開には、熱源側循環ポンプの稼働復旧までに待たなければならない。また、最悪の場合は、この凍結により熱源側循環部の配管が破損する恐れがあり、もし破損したら地中熱利用システムの利用を完全に停止し、配管の取り換え工事をしなければならない。
【0013】
この凍結を防止するためには、循環液に凍結防止剤を入れ、その凍結温度を更に下げる方法もあるが、このような不凍液はコストがかかることと、不凍液として使用できる成分が限られるため配管の材質が限定される問題がある。また、不凍液は水に比べて熱効率が悪い。更に、地中熱利用システムの従来の制御系統は、上述の通り、多数の制御盤からなり、システムが複雑になり、製造コストも高くなっている。よって、地中熱利用システムを制御する簡単な構成で制御する制御盤が望まれている。
【0014】
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、循環液が冷点下でも凍結しないように制御する地中熱利用システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明の地中熱利用システムは、
ヒートポンプと、
地中熱と熱交換するために地中に設置された地中熱交換器と前記ヒートポンプの熱源側熱交換器の流路を熱源側配管で環状に接続したもので、熱源側循環液が熱源側循環手段によって循環する熱源側循環回路と、
負荷装置と前記ヒートポンプの負荷側熱交換器の流路を負荷側配管で環状に接続したもので、負荷側循環液が負荷側循環手段によって循環する負荷側循環回路からなり、
前記ヒートポンプは、前記熱源側循環回路と前記負荷側循環回路の間に熱交換をする
地中熱利用システムであって、
更に、
前記熱源側配管の途中に前記熱源側循環液の温度を計測するための手段である熱源側温度測定手段と、
前記熱源側配管の途中に前記熱源側循環液を循環させるための手段である熱源側循環ポンプと、
前記地中熱利用システムの全体の制御を行うための制御盤と
を備え、
前記熱源側温度測定手段で測定された前記熱源側循環液の温度(T1
OUT、T1
IN)が、前記熱源側循環液が凍結する恐れがある凍結温度に近づいたことを示す凍結設定温度以下になったとき、前記熱源側循環液の温度を上昇させて凍結を防止するための凍結防止運転を行い、
前記凍結防止運転は、前記熱源側循環ポンプを稼働させて前記熱源側循環液を循環させて前記地中熱と熱交換させて前記熱源側循環液の温度(T1
OUT、T1
IN)を上昇させる運転であり、
前記凍結防止運転は、前記熱源側循環液の温度(T1
OUT、T1
IN)が凍結防止設定温度(T
h)以上になるまでに、継続させることを特徴とする。
【0016】
本発明の地中熱利用システムは、
ヒートポンプと、
地中熱と熱交換するために地中に設置された地中熱交換器と前記ヒートポンプの熱源側熱交換器の流路を熱源側配管で環状に接続したもので、熱源側循環液が熱源側循環手段によって循環する熱源側循環回路と、
負荷装置と前記ヒートポンプの負荷側熱交換器の流路を負荷側配管で環状に接続したもので、負荷側循環液が負荷側循環手段によって循環する負荷側循環回路からなり、
前記ヒートポンプは、前記熱源側循環回路と前記負荷側循環回路の間に熱交換をする
地中熱利用システムであって、
更に、
前記負荷側配管の途中に前記負荷側循環液の温度を計測するための手段である負荷側温度測定手段と、
前記負荷側配管の途中に前記負荷側循環液を循環させるための手段である負荷側循環ポンプと、
前記地中熱利用システムの全体の制御を行うための制御盤と
を備え、
前記負荷側温度測定手段で測定された前記負荷側循環液の温度(T2
OUT、T2
IN)が、前記負荷側循環液が凍結する恐れがある凍結温度に近づいたことを示す凍結設定温度以下になったとき、前記負荷側循環液の温度を上昇させて凍結を防止するための凍結防止運転を行い、
前記凍結防止運転は、前記熱源側循環ポンプ、前記ヒートポンプ装置、及び前記熱源側循環ポンプを稼働させて前記負荷側循環液を循環させて前記地中熱と熱交換させて前記負荷側循環液の温度(T2
OUT、T2
IN)を上昇させる運転であり、
前記凍結防止運転は、前記負荷側循環液の温度(T2
OUT、T2
IN)が凍結防止設定温度以上になるまでに、継続させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の地中熱利用システムは、前記熱源側配管の地上部分の付近の温度を測定するための外気温測定手段を備え、前記凍結防止運転は、前記外気温測定手段で測定した外気温が前記熱源側凍結設定温度以下になったとき、行うと良い。
更に、本発明の地中熱利用システムは、前記負荷側配管の地上部分の付近の温度を測定するための外気温測定手段を備え、前記凍結防止運転は、前記外気温測定手段で測定した外気温が前記凍結設定温度以下になったとき、行うと良い。
【0018】
前記制御盤は、天気予報を配信するネットワーク又は天気予報配信装置に接続するための機能を有し、前記制御盤は、前記地中熱利用システムが設置された設置場所の前記天気予報を前記ネットワーク又は前記天気予報配信装置から取得する機能を有し、前記制御盤は、前記天気予報が示す前記設置場所の温度が前記凍結設定温度に付近及び、前記前記天気予報が示す前記設置場所の風力が所定値以上の場合、前記凍結設定温度を所定値で下げる機能を有すると良い。
【0019】
前記凍結防止運転は、その開始から所定の凍結防止運転時間(t
p)が経過するまでに継続させて停止すると良い。
前記凍結防止設定温度は、前記地中熱の温度と前記凍結温度の中間値であると良い。
前記凍結防止運転は、前記地中熱利用システムが停止してから所定時間経過後行うと良い。
【0020】
前記凍結防止運転中に前記負荷装置を稼働させる場合、前記凍結防止運転を停止させて、前記負荷装置を稼働させ、従って、前記地中熱利用システムを通常稼働させると良い。
前記凍結防止運転時間(t
p)は3分以上15分以下であると良い。
前記凍結防止設定温度(T
h)は、10℃以上前記地中熱の温度未満であると良い。
前記制御盤は、管理者が操作する又は前記管理者に情報提供する管理電子計算機に前記ネットワークを経由して接続され、前記制御盤は、前記管理電子計算機からの指示に従って、前記凍結設定温度を所定値で下げて設定する機能を有すると良い。
【0021】
本発明の地中熱利用システムは、
ヒートポンプと、
地中熱と熱交換するために地中に設置された地中熱交換器と前記ヒートポンプの熱源側熱交換器の流路を熱源側配管で環状に接続したもので、熱源側循環液が熱源側循環手段によって循環する熱源側循環回路と、
負荷装置と前記ヒートポンプの負荷側熱交換器の流路を負荷側配管で環状に接続したもので、負荷側循環液が負荷側循環手段によって循環する負荷側循環回路からなり、
前記ヒートポンプは、前記熱源側循環回路と前記負荷側循環回路の間に熱交換をする
地中熱利用システムであって、
1つの前記熱源側循環回路と、1つの前記負荷側循環回路と、1つの前記ヒートポンプとからの1組の前記地中熱利用システムを2組以上に備え、
前記地中熱利用システムそれぞれは、
前記熱源側配管の途中に前記熱源側循環液の温度を計測するための手段である熱源側温度測定手段と、
前記熱源側配管の途中に前記熱源側循環液を循環させるための手段である熱源側循環ポンプと、
前記負荷側配管の途中に前記負荷側循環液の温度を計測するための手段である負荷側温度測定手段と、
前記負荷側配管の途中に前記負荷側循環液を循環させるための手段である負荷側循環ポンプと、
前記地中熱利用システムの全体の制御を統合して行うための制御盤と
を備え、
前記熱源側温度測定手段で測定された前記熱源側循環液の温度(T1
OUT、T1
IN)、又は、前記負荷側温度測定手段で測定された前記負荷側循環液の温度(T2
OUT、T2
IN)が、前記熱源側循環液又は前記負荷側循環液が凍結する恐れがある凍結温度に近づいたことを示す凍結設定温度以下になったとき、前記熱源側循環液又は前記負荷側循環液の温度を上昇させて凍結を防止するための凍結防止運転を行い、
前記凍結防止運転は、前記熱源側循環液が前記凍結設定温度以下のとき、該熱源側温度測定手段が属する前記地中熱利用システムのみの前記熱源側循環ポンプを稼働させて前記熱源側循環液を循環させて前記地中熱と熱交換させて前記熱源側循環液の温度(T1
OUT、T1
IN)を上昇させる運転であり、
前記凍結防止運転は、前記負荷側循環液が前記凍結設定温度以下のとき、該負荷側温度測定手段が属する前記地中熱利用システムのみの前記熱源側循環ポンプ、前記ヒートポンプ装置、及び前記熱源側循環ポンプを稼働させて前記熱源側循環液を循環させて前記地中熱と熱交換させて前記負荷側循環液の温度(T2
OUT、T2
IN)を上昇させる運転であり、
前記凍結防止運転は、前記熱源側循環液の温度(T1
OUT、T1
IN)又は前記負荷側循環液の温度(T2
OUT、T2
IN)が凍結防止設定温度(T
h)以上になるまでに、継続させる
ことを特徴とする。
【0022】
前記制御盤は、天気予報を配信するネットワーク又は天気予報配信装置に接続するための機能を有し、前記制御盤は、前記地中熱利用システムが設置された設置場所の前記天気予報を前記ネットワーク又は前記天気予報配信装置から取得する機能を有し、前記制御盤は、前記天気予報が示す前記設置場所の温度が前記凍結設定温度に付近及び、前記前記天気予報が示す前記設置場所の風力が所定値以上の場合、前記凍結設定温度を所定値で下げる機能を有すると良い。
【0023】
前記地中熱利用システムそれぞれは、前記熱源側配管又は前記負荷側配管の地上部分の付近の温度を測定するための外気温測定手段を備え、前記凍結防止運転は、前記外気温測定手段で測定した外気温が前記熱源側凍結設定温度以下になったとき、行うと良い。
前記凍結防止運転は、その開始から所定の凍結防止運転時間(t
p)が経過するまでに継続させて停止すると良い。
前記凍結防止設定温度は、前記地中熱の温度と前記凍結温度の中間値であると良い。
【0024】
前記凍結防止運転は、前記地中熱利用システムが停止してから所定時間経過後行うと良い。
前記凍結防止運転中に、前記凍結防止運転をしている前記地中熱利用システムの前記負荷装置を稼働させる場合、前記凍結防止運転を停止させて、前記負荷装置を稼働させ、従って、前記地中熱利用システムを通常稼働させると良い。
前記制御盤は、管理者が操作する又は前記管理者に情報提供する管理電子計算機に前記ネットワークを経由して接続され、前記制御盤は、前記管理電子計算機からの指示に従って、前記凍結設定温度を所定値で下げて設定する機能を有すると良い。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、次の効果が奏される。
本発明の地中熱利用システムによると、循環液がその凍結温度に達した又は近づいたとき、地中熱利用システムの地中熱側の循環液を循環させて、循環液を地中熱と熱交換させて高温にすることで、熱源側又は負荷側の循環液の凍結を防止することができた。
【0026】
本発明の地中熱利用システムは、熱源側循環路の循環液を監視し、凍結の可能性がある温度未満になったら短時間で、熱源側循環ポンプを運転させ、熱源側循環路又は負荷側十管路の循環液を安全な温度まで上昇させる凍結防止運転を行うことによって、循環液の凍結を防止した。これにより、温度が下がって凍結防止運転が再開するまでに、数時間かかるため、従来の凍結防止方法より電力使用量は少ない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の地中熱利用システム1の概要を示す概念図である。地中熱利用システム1は、大まかに、熱源側循環部2と負荷側循環部3から構成されている。熱源側循環部2と負荷側循環部3の境目には、ヒートポンプ装置4が接続されている。熱源側循環部2は、地中熱交換器5、熱源側循環回路6、熱源側循環ポンプ7、温度計8、温度計9、ヒートポンプ装置4等からなる。
【0029】
負荷側循環部3は、負荷装置10、負荷側循環回路11、負荷側循環ポンプ12、温度計13、温度計14、ヒートポンプ装置4等からなる。また、地中熱利用システム1は、システム全体の動作状況を監視し、制御するための制御装置15も備えている。以下、地中熱利用システム1を構成する各構成部について詳細に説明する。熱源側循環回路6は、その中を循環水が循環する循環回路であり、地中とヒートポンプ装置4の間に設置されたものである。熱源側循環回路6は、プラスチック、金属等の材質で作られた配管で構成されている。
【0030】
地中熱交換器5は、地下で地中熱の授受を行う装置であり、熱源側循環回路6を循環する循環水を、地中の熱で、熱交換できるものであれば既知の任意の熱交換器を使用することができる。例えば、地中熱交換器5は、熱源側循環回路6の一部になった、配管から構成される。熱源側循環ポンプ7は、熱源側循環回路6を循環する循環水を循環させるための回転速度可変のポンプである。地中熱交換器5は、地中から循環水を介して地中熱を採熱するものである。その熱を帯びた循環水は、地中熱循環ポンプ7によりヒートポンプ装置4に供給される。
【0031】
温度計8と温度計9は、熱源側循環回路6内を循環する循環水の温度を計測するための計器である。温度計8は、ヒートポンプ装置4から吐出される循環水の温度T1
OUTを計測する計器であり、熱源側循環回路6の内のヒートポンプ装置4の吐出側に接続された配管6aに設置されている。温度計9は、地中熱交換器5からヒートポンプ装置4に供給される循環水の温度T1
INを計測する計器であり、熱源側循環回路6の内のヒートポンプ装置4の供給側に接続された配管6bに設置されている。
【0032】
負荷装置10は、本発明の地中熱利用システム1によって稼働し、地中熱を利用する暖房器、又は、地中熱を放熱源とする冷房器等の熱負荷機器を意味する。負荷側循環回路11は、その中を循環水が循環するための循環回路であり、ヒートポンプ装置4と負荷装置10の間に設置されたものである。負荷側循環ポンプ12は、負荷側循環回路11内を循環する循環水を循環させる回転速度可変のポンプである。負荷側循環回路11は、ヒートポンプ装置4から熱交換で熱を帯びた循環水が負荷側循環ポンプ12により循環させられ負荷装置10に供給される。
【0033】
温度計13と温度計14は、負荷側循環回路11内を循環する循環水の温度を計測するための計器である。温度計13は、ヒートポンプ装置4から負荷装置10側へ吐出される循環水の温度T2
OUTを計測する計器であり、負荷側循環回路11の内のヒートポンプ装置4の吐出側に接続された配管に設置されている。温度計14は、ヒートポンプ装置4に供給される循環水の温度T2
INを計測する計器であり、負荷側循環回路11の内のヒートポンプ装置4の供給側に接続された配管に設置されている。
【0034】
図1において、熱源側循環回路6と負荷側循環回路11を循環する循環水の流れ方向を矢印6cと矢印11cで示している。ヒートポンプ装置4は、熱を低温部分から高温部分へ移動させる装置である。地中の温度は、外気と比べて夏は冷たく、冬は温かい。地中熱を利用するシステムにおいて、ヒートポンプ装置4は、夏の間は地中を放熱源として利用し、冬の間は地中を採熱源として利用する。後述するが、ヒートポンプ装置4は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器とそれらを結ぶ配管からなり、ヒートポンプ装置4内を循環する冷媒が圧縮・凝縮・膨張・蒸発の4過程を繰り返し、循環することで、熱を低温のところから高温のところへ移動させる装置である。
【0035】
制御装置15は、本実施の形態の地中熱利用システム1の全体を監視し、制御するための装置である。制御装置15は、
図2に示すように、制御盤20を有する。制御装置15は、ユーザインターフェース手段として、リモートコントローラ30を備える。制御盤20は、温度計8、温度計9、温度計13、温度計14と接続されており、これらの計器で測定したデータを受信し、熱源側循環回路6と負荷側循環回路11を循環するそれぞれの循環水の温度を把握する。
【0036】
更に、制御盤20は、熱源側循環ポンプ7と負荷側循環ポンプ12に接続されており、これらのポンプの動作を制御する。例えば、熱源側循環ポンプ7と負荷側循環ポンプ12の、運転開始、運転停止、運転速度、運転方向等を指示する制御信号を、制御盤20から熱源側循環ポンプ7と負荷側循環ポンプ12へ送信し、熱源側循環ポンプ7と負荷側循環ポンプ12はこれらの制御信号に従って稼働する。地中熱利用システム1は、熱源側循環回路6の循環水の流量を計測するための熱源側流量計16と、負荷側循環回路11の循環水の流量を計測するための負荷側流量計17を備える。
【0037】
また、地中熱利用システム1は、外気温を測定するための外気温センサー21、負荷装置10が設置されている場所の温度を計測するための室温センサー22を有する。ヒートポンプ装置4は電源が電源44から供給される。電源44は
図2に示した例では200Vに成っている。これは、ヒートポンプ装置4が備えている熱源側循環ポンプ7と負荷側循環ポンプ12は、高い交流電圧が印加されていると運転効率が良いからであり、通常は、規格化された電圧100V、110Vの数倍の電圧を用いるので、200V仕様のポンプに限定するものではない。
【0038】
制御盤20へは、電源23から電源が供給されている。制御盤20は、各計器と接続され、それぞれに電源を供給し、その測定データ受信し、各ポンプへ制御信号を送信する。制御盤20は、中央処理装置、メモリ、各計器へのインターフェース等を備えた電子装置であり、これらの構成部品は5V等の小さい電圧で稼働する。そのために、図示しないが、制御盤20は、電源23の電源を5V等の利用電源に変換する変圧器を内蔵する。
【0039】
制御盤20は、それ単独で稼働し、動作することができるが、監視用電子計算機25に接続することができる。制御盤20は単独で稼働する場合は、その設定や制御を行うためにディスプレイ(図示せず。)、入力装置(図示せず。)、出力装置(図示せず。)が必要である。制御盤20は、監視用電子計算機25に接続され、監視用電子計算機25から制御盤20の制御が行うことができる。制御盤20は、無線又は有線のインターフェース手段によって、監視用電子計算機25に直接接続、又は、
図2に図示したように無線又は有線のネットワーク21を介して監視用電子計算機25に接続される。
【0040】
監視用電子計算機25は、制御盤20に接続されて、制御盤20の動作に関するデータを制御盤20から受信して、制御盤20を制御するための信号を、制御盤20へ送信する。監視用電子計算機25は、ディスプレイ、入力装置、出力装置、中央処理装置、メモリ等を備えた汎用の任意の電子計算機である。監視用電子計算機25は、そのディスプレイには、制御盤20の動作状況を表示し、地中熱利用システム1の管理者がこれを見て、制御盤20の動作状況を把握し、必要であれば、地中熱利用システム1の運用に必要なデータを入力する。
【0041】
図2に示すように負荷装置10は、電源54から電源が供給される。負荷装置10は、もっとも簡単な構成では、例えば、
図7に図示したように配管80とファン81からなるものである。負荷装置10の配管80は、負荷側循環回路11の一部を構成するものである。負荷装置10のファン81は、配管80の近傍に設置され、その周囲に空気の流れをつくるためのものである。これにより、負荷装置10の周囲の空気が配管80の熱と熱交換し、負荷装置10の周囲の空気が暖まる。
【0042】
〔通常の動作フロー〕
図1を参照しながら、地中熱利用システム1の通常の動作フローを説明する。まず、熱源側循環ポンプ7の稼働によって、熱源側循環回路6を循環している循環水は、ヒートポンプ装置4から配管6aに排出され、配管6を流れながら地中の地中熱交換器5で、地中の温度と同じになるように地中熱で熱交換されて、配管6bからヒートポンプ装置4へ流入する。
【0043】
熱源側循環回路6の地下の部分は、通常は、数十mと長い配管からなり、この長い配管を流れる循環水は地中熱の温度とほぼ同じになるまでに、地中熱と熱交換される。熱源側循環回路6の循環水は、ヒートポンプ装置4内の循環水と熱交換される。地中熱利用システム1の冬季の稼働を想定すると、ヒートポンプ装置4内の冷えた冷媒と熱交換され冷えた熱源側循環回路6の循環水は、熱源側循環回路6を流れて、地中熱と熱交換されて温度が上がる。
【0044】
地中熱は、通常、地下数メーター以下になると年中13〜20℃ぐらいで安定している。温泉地帯等では、その温泉の温度によるが、地中熱は、100℃近くまでに高温になることがある。このように、地中熱で温度上がった熱源側循環回路6の循環水は、再び、ヒートポンプ装置4へ流入する。この稼働時には、制御盤20は、温度計16、温度計17、外気温センサー21、熱源流量計16で測定されたデータを常時受信している。地中熱利用システム1の通常の利用だと、ヒートポンプ措置4が屋外に設置されることが多い。
【0045】
例えば、一般家庭用に利用すると、ヒートポンプ措置4は通常は屋外に設置される。また、熱源側循環回路6の内、地上の部分は屋外に配管される。この配管は、外気温が零下になると循環水が凍る恐れがある。ヒートポンプ装置4は、熱源側循環回路6と負荷側循環回路11の間に効率よく熱交換する装置である。その構造は、
図7に図示しており、その構造と動作について後述する。
【0046】
負荷側循環回路11は、ヒートポンプ装置4で熱交換された負荷側循環回路11の循環水は、負荷側循環回路11の配管を流れて負荷装置10へ供給され、負荷装置10内を流れてから負荷側循環回路11の配管を流れながらヒートポンプ装置4へ流入する。負荷側循環部3の稼働時、制御盤20は、温度計13、温度計14、室温センサー22、負荷側流量計17で測定されたデータを常時受信している。リモートコントローラ30は、負荷装置10を稼働又は停止するための機器である。
【0047】
リモートコントローラ30は負荷装置10が設置されている場所にいる利用者が操作することが通常である。冬季の場合、利用者は、負荷装置10が設置されている場所の温度が下がり暖房が必要なとき、リモートコントローラ30から負荷装置10を稼働させる。リモートコントローラ30は、制御盤20へ直接信号を送信することができる。しかし、本発明のシステムを利用する利用者は、基本的に負荷装置10の付近の滞在又は勤務することが多い。
【0048】
そのため、リモートコントローラ30の受信機(図示せず。)は、負荷装置10に、又はその周辺に設置され、そこから制御盤20へ接続されている。リモートコントローラ30のこの制御信号は、制御盤20へ直接送信、又は、負荷装置10を経由して制御盤20が受信する。制御盤20は、負荷装置10を稼働させるための制御信号を受信すると、負荷側循環ポンプ12と、熱源側ポンプ7、そして、ヒートポンプ装置4のポンプ等を稼働させて、地中熱利用システム1の通常の暖房運転を開始させる。
【0049】
このとき、制御盤20は、温度計8、9、13、14、21、22から測定データを受信し、各種ポンプ7、12等の流量を調整しながら、地中熱利用システム1の最適運転をする。利用者は、リモートコントローラ30を操作し、負荷装置10を停止させた場合、リモートコントローラ30のこの停止制御信号は、制御盤20へ直接送信、又は、負荷装置10を経由して制御盤20が受信することができる。制御盤20は、負荷装置10を停止させるための停止制御信号を受信すると、負荷側ポンプ12と、熱源側ポンプ7、そして、ヒートポンプ装置4のポンプ等を停止させて、地中熱利用システム1の通常の運転を停止させる。
【0050】
このとき、負荷側ポンプ12、熱源側ポンプ7、ヒートポンプ装置4の内部機器を直ちに停止するか、循環水の流量を段階的に小さくして、最終的に停止させるかは、地中熱利用システム1の利用環境によって最適化されるものである。この最適化された運転時は、制御盤20は、温度計8、9、13、14、21、及び22から測定データを受信し、各種ポンプ7、12等の流量を調整しながら、地中熱利用システム1の最適運転をする。
【0051】
〔凍結防止運転の例1〕
図3は、地中熱利用システム1の熱源側循環水が凍結することを防止するための運転例を示すフローチャートである。本発明の地中熱利用システム1は、外気温が所定の温度以下になると、次のステップの動作をして、熱源側循環水が凍結することを防止する。この設定された所定の温度を、設定温度T
fとする。設定温度T
fは、地中熱利用システム1の熱源側循環水が凍結する恐れがある場合、熱源側循環水の凍結を防止するために、地中熱利用システム1の凍結防止運転を開始するための予め決めた設定温度である。
【0052】
この設定温度T
fは、循環水が凍り始める温度より高い温度である。例えば、循環水が水の場合は、水の凍る温度は0℃付近なので、設定温度T
fは0℃より高い温度、例えば、1℃、3℃、5℃等のように設定される。熱源側循環回路6の地上部分を断熱材で被覆し、外気温の影響をできるだけ少なくする特に、急激な外気温の変化の影響を遮断するために断熱材で被覆した構造にする。外気温が循環水の凍結温度より下がっている場合、ヒートポンプ装置4が運転停止をしていると、循環水が凍結し易くなる。
【0053】
ヒートポンプ装置4が運転すると、熱源側循環回路6を循環水が循環し、地中の熱でこの循環水が常に高温になり、従って、熱源側循環回路6の地上部分は常に高温状態になる。仮に、ヒートポンプ装置4が運転を停止すると、熱源側循環回路6を循環水が循環しなくなり、熱源側循環回路6の地上部分は外気温で常に冷える。そして、外気温が循環水の凍結温度以下になると、循環水が凍る。このとき、地中熱利用システム1は、熱源側循環水の凍結防止のための運転を開始する(ステップ10)。
【0054】
地中熱利用システム1の凍結防止運転が開始すると、まずは、ヒートポンプ装置4が運転しているか否かを確認する(ステップ11)。ヒートポンプ装置4が運転している場合は、上述の通常の動作フローへ移動する(ステップ11→ステップ18)。ヒートポンプ装置4が停止している場合は、ヒートポンプ装置4が停止した後、どのぐらい時間が経過しているかを確認する(ステップ12)。ヒートポンプ装置4が停止した後、予め設定された設定時間T
sが経過していない場合は、通常の動作フローへ移動する(ステップ11→ステップ18)。
【0055】
ヒートポンプ装置4の停止後、設定時間T
sが経過している場合、温度計8の測定温度T1
OUTを示すデータを温度計8から取得し、設定温度T
fと比較する(ステップ13)。測定温度T1
OUTが設定温度T
fより以下の場合は、熱源側ポンプ7を稼働させて、熱源側循環回路6の中を循環水を循環させる(ステップ13→ステップ15)。温度計8の測定温度T1
OUTが設定温度T
fより高い場合、温度計9の測定温度T1
INを取得し、設定温度T
fと比較する(ステップ14)。
【0056】
温度計9の測定温度T1
INが設定温度T
f以下の場合は、熱源側ポンプ7を稼働させて、熱源側循環回路6の中を循環水を循環させる(ステップ14→ステップ15)。温度計9の測定温度T1
INが設定温度T
fより高い場合、熱源側循環水の凍結防止の運転が必要なしと判断されて、所定時間が経過したのちステップ11から再開始する(ステップ14→ステップ11)。ステップ15で熱源側ポンプ7が稼働を開始すると(ステップ15)、予め設定された時間t
pの間に運転する。
【0057】
言い換えると、熱源側の循環水の凍結防止の運転は、予め設定された時間t
pで行われる(ステップ16)。よって、熱源側ポンプ7が稼働開始から時間t
pが経過するまでに、熱源側ポンプ7を稼働させ、時間t
pが経過したら熱源側ポンプ7の運転を停止する(ステップ16→ステップ17)。そして、熱源側循環水の凍結防止の運転が一時停止され、所定時間が経過したのちステップ11から再開始する(ステップ17→ステップ11)。
【0058】
この熱源側循環水の凍結防止の運転は、熱源側ポンプ7を稼働させ、循環水を熱源側循環回路6を循環させ、これにより、循環水が地中熱で熱交換されて高温になる。従って、循環水が凍結することを防止する。上述のこの熱源側循環水の凍結防止の運転が開始する温度を示す設定温度T
f、熱源側循環水の凍結防止の運転の時間t
pは、管理者が予め設定する値である。設定温度T
fと時間t
pは、外気温と地中温度と連動する値である。
【0059】
地中温度は、基本的に一定であるので、設定温度T
fと時間t
pは主に外気温と連動して設定される。一例として示すと、外気温が凍結の恐れがある温度3℃、地中熱の温度が17℃、熱源側の循環水が水の場合、熱源側循環水の凍結防止の運転の時間t
pは3〜10分、好ましくは約6分あれば、熱源側循環水の温度が約15℃まで上昇する。また、別の例を示すと、外気温が零下10℃、地中熱の温度が17℃、熱源側の循環水が水の場合は、熱源側循環水の凍結防止の運転の時間t
pは3〜10分あれば十分である。
【0060】
更に別の例を示すと、外気温が零下20℃、地中熱の温度が17℃、熱源側の循環水が水の場合は、熱源側循環水の凍結防止の運転の時間t
pは5〜15分あれば十分である。地中熱利用システム1の熱源側循環水の凍結防止の運転が行われているとき、負荷装置10を稼働させる必要がある場合がある。このときは、地中熱利用システム1の熱源側循環水の凍結防止の運転を直ちに停止させて、通常の動作フローに切り替えると良い。地中熱利用システム1の通常の動作フローのときは、熱源側の循環水が常に循環しており、凍結することがない。
【0061】
〔凍結防止運転の例2〕
図4は、地中熱利用システム1の熱源側循環水が凍結することを防止するための他の運転例を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、
図3と基本的に同じであるが、設定時間t
pを設定せず、温度計9の測定温度T1
INを基準している。ステップ10〜ステップ15までの動作は、上述の
図3のフローチャートと同じであるので、その説明は省略する。
【0062】
ステップ15で熱源側ポンプ7が稼働を開始すると(ステップ15)、温度計9の測定温度T1
INが予め設定された温度T
hより高くなったか否かを確認する(ステップ26)。言い換えると、熱源側循環水の凍結防止の運転は、熱源側循環水が予め設定された温度T
h以上になるまでに行われる(ステップ16)。よって、熱源側循環水が温度T
h以上になると、熱源側ポンプ7の運転を停止する(ステップ26→ステップ17)。そして、熱源側循環水の凍結防止の運転が一時停止され、所定時間が経過したのちステップ11から再開始する(ステップ17→ステップ11)。
【0063】
この温度T
hは、管理者が予め設定する値で、通常は前述した設定温度T
fより高い温度であり、地中の温度と同じかそれより低い温度である。温度T
hは、主に外気温と連動して設定される。この温度T
hの値は、設定温度T
fと地中の温度の中間値であると、設定し易く制御し易い。というのは、設定温度T
fは循環水の特性で一意的に決まり、地中の温度は年間を通してほぼ同じ値であるので、温度T
hはほぼ一義的に決まる。また、温度T
hは15℃、10℃等のように温度T
fより高い温度で設定することもできる。
【0064】
〔凍結防止運転の例3〕
また、
図4のフローチャートで、熱源側循環水の凍結防止運転の継続は、温度計9の温度を基準している。温度計9の替わりに温度計8の測定温度を用いることもできる。この場合は、温度計8の測定温度が温度T
hになるまでに、熱源側ポンプ7を継続して稼働させる。その他の制御は同じであるので、その制御の詳細な説明は省略する。
【0065】
また、
図4のフローチャートでは、熱源側循環水の凍結防止運転の継続時間を、温度計9の測定温度T1
INを基準している。ステップ26において、上述したように温度計9の替わりに温度計8の測定温度T1
OUTを用いる。この場合は、温度計8の測定温度T1
OUTが温度T
hになるまでに、熱源側ポンプ7を継続して稼働させる。その他の制御は同一であるので、その詳細な説明は省略する。
【0066】
〔凍結防止運転の例4〕
図5は、地中熱利用システム1の負荷側循環水が凍結することを防止するための運転例を示すフローチャートである。地中熱利用システム1は、外気温が所定の設定温度T
f以下になると、次のステップの動作をして、負荷側循環水が凍結することを防止する。この設定温度T
fは、循環水が凍り始める温度より高い温度である。例えば、循環水が水の場合は、水の凍る温度は0℃付近なので、設定温度T
fは0℃より高い温度、例えば、1℃、3℃、5℃等のように設定される。
【0067】
ヒートポンプ装置4は、屋外に設置されることが多い。この場合は、ヒートポンプ装置4に接続された負荷側循環回路11の一部は、屋外に配管されることがあり、外気温が低下すると凍結する恐れがある。負荷側循環回路11の屋外部分は、断熱材等で被覆し、外気温の影響をできるだけ、特に急激な温度変化の影響を遮断する構造にする。外気温が循環水の凍結温度より下がっている場合、ヒートポンプ装置4が運転停止をしていると、循環水が凍結する可能性が高い。
【0068】
地中熱利用システム1は、熱源側循環水の凍結防止の運転を開始する(ステップ30)。地中熱利用システム1は、熱源側循環水の凍結防止運転を開始すると、先ず、ヒートポンプ装置4が運転しているか否かを確認する(ステップ31)。ヒートポンプ装置4が運転している場合は、上述の通常の動作フローへ移動する(ステップ31→ステップ40)。ヒートポンプ装置4が停止している場合は、ヒートポンプ装置4が停止した後どのぐらい時間が経過しているか否かを確認する(ステップ32)。
【0069】
ヒートポンプ装置4が停止した後予め設定された設定時間T
sが経過していない場合は、通常の動作フローへ移動する(ステップ32→ステップ40)。ヒートポンプ装置4の停止後、設定時間T
sが経過している場合、温度計13の測定温度T2
OUTを設定温度T
fと比較する(ステップ33)。温度計13の測定温度T2
OUTが設定温度T
fより以下の場合は、負荷側ポンプ12を稼働させて、負荷側循環回路11の中の循環水を循環させる(ステップ33→ステップ35)。
【0070】
このとき、熱源側ポンプ7とヒートポンプ装置4も稼働する(ステップ36及びステップ37)。通常の動作フローと同じ動作と同じである。温度計13の測定温度が設定温度T
fより高い場合、温度計14の測定温度T2
INを設定温度T
fと比較する(ステップ34)。温度計14の測定温度T2
INが設定温度T
f以下の場合は、負荷側ポンプ12を稼働させて、負荷側循環回路11の中の循環水を循環させる(ステップ34→ステップ35)。このとき、熱源側ポンプ7とヒートポンプ装置4も稼働する(ステップ36及びステップ37)。
【0071】
この稼働は、通常運転時の動作フローの動作と同一である。温度計14の測定温度T2
INが設定温度T
fより高い場合、負荷側循環水の凍結防止のための運転は必要なしと判断されて、所定時間が経過したのちステップ31から再開始する(ステップ34→ステップ31)。ステップ35で、負荷側ポンプ12を稼働させて負荷側循環回路11の中の循環水を循環させて、同時に、ヒートポンプ装置4、熱源側ポンプ7の運転を開始させる(ステップ36、37)。そして、これらの装置が稼働を開始すると、予め設定された時間t
pの間のみ運転する(ステップ38)。
【0072】
言い換えると、負荷側の循環水の凍結防止の運転は、予め設定された時間t
pで行われる(ステップ38)。よって、負荷側ポンプ12が稼働開始から時間t
pが経過するまでに、負荷側ポンプ12、ヒートポンプ装置4、熱源側ポンプ7を稼働させ、時間t
pが経過したらそれらの運転を停止する(ステップ38→ステップ39)。そして、負荷側循環水の凍結防止の運転が一時停止され、所定時間が経過したのちステップ31から再開始する(ステップ39→ステップ31)。
【0073】
この熱源側循環水の凍結防止の運転は、循環水が地中の熱で熱交換されて高温になり、循環水が凍結することを防止する。上述のこの熱源側循環水の凍結防止のための運転を開始する温度を示す設定温度T
f、熱源側循環水の凍結防止の運転の時間t
pは、管理者が予め設定する値であり、上述の他の凍結防止運転の例1〜3の中で説明したのでここで省略する。しかし、一例を示すと、熱源側の循環水が水の場合、熱源側循環水の凍結防止の運転の時間t
pは3〜15分あれば、熱源側循環水の温度が約10℃以上に上昇する。
【0074】
〔凍結防止運転の例5〕
図6は、地中熱利用システム1の負荷側循環水が凍結することを防止するための他の運転例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートは、
図5と基本的に同じであるが、設定時間t
pを設定せず、温度計13又は温度計14の測定温度を基準している。ステップ31〜ステップ37までの動作は、上述の
図5のフローチャートと同一であるので、その説明は省略する。
【0075】
ステップ37の後、ステップ48で、温度計13の測定温度T2
OUT又は温度計14の測定温度T2
INが、予め設定された温度T
hより高くなったか否かを確認する(ステップ48)。負荷側循環水が温度T
h以上になると、負荷側ポンプ12、ヒートポンプ装置4、熱源側ポンプ7等の運転を停止する(ステップ48→ステップ39)。そして、所定時間が経過したのちステップ31から再開始する(ステップ39→ステップ31)。この温度T
hは、管理者が予め設定する値で、15℃、10℃等のように温度T
fより高い温度で設定することができる。
【0076】
〔循環水〕
熱源側循環回路6と負荷側循環回路11に用いる循環水は、水、二酸化炭素冷媒、HFC冷媒、エチレングリコールやプロピレングリコール等を添加した循環液等の既知の任意の冷媒を用いることができる。特に、水を熱源側循環回路6の循環水として利用すると、コストが安くすむ利点がある。また、手入れの時も、水道水を循環水として利用できるという利点がある。また、凍結温度も0℃付近であり、設定値T
f、T
h等を設定するとき設定し易く、分かりやすく、間違いも少なくなる。
【0077】
負荷側の循環水には、同じく、水、二酸化炭素冷媒、HFC冷媒、エチレングリコールやプロピレングリコール等を添加した循環液等の既知の任意の冷媒を用いることができる。特に、水を循環水として利用すると、コストが安くすむ利点がある。熱源側の地中熱交換器5は、配管式又はプレート式の熱交換器で構成されることができる。プレート式の地中熱交換器5は、複数の伝熱プレートが積層され、循環水を流通させる循環水流路と流体を流通させる流体流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されているものである。
【0078】
〔ヒートポンプ装置4の動作概要〕
ヒートポンプ装置4の動作の概要を、
図7を参照しながら説明する。
図7は、ヒートポンプ装置4の簡略を示す概念図である。
図7に示したように、ヒートポンプ装置4は、地中熱で高温になった温水の熱エネルギーを、負荷側循環回路3の水に移して温水にするための装置である。ヒートポンプ装置4は、圧縮機70、第2熱交換器73、膨張弁71、第1熱交換器72とこれらの機器をつなぐ冷媒路74からなる。
【0079】
これらの各機器は、圧縮機70、第2熱交換器73、膨張弁71、第1熱交換器72、圧縮機70の順にパイプ等の冷媒路74で接続され、その中を冷媒が流れている。これをヒートポンプ装置4の冷媒サイクルと言い、いわゆるカルノー冷凍サイクルを構成する機器であり、言い換えるとヒートポンプ式の動作原理そのものである。圧縮機70の吐出管は、冷媒路74を介して、第2熱交換器73に接続されている。第1熱交換器72は、冷媒サイクルから言えば、冷媒である液体を、熱源側の温水で加熱し気体とするため蒸発器である。
【0080】
圧縮機70は、冷媒サイクルを循環する冷媒を圧縮して、高温、高圧にするものである。圧縮機70は、蒸発器(第1熱交換器72)でガスとなった冷たい冷媒である気体を吸引して圧縮し、高温、高圧のガスとするものである。圧縮機70は、冷媒サイクルを循環する冷媒を高温、高圧にする働きをするものであれば、公知の任意の動作原理、任意の形状の圧縮機を利用できる。例えば、圧縮機70としては、ロータリー式コンプレッサー等を利用する。
【0081】
本実施の形態でいう第2熱交換器73は、冷媒サイクルでいうと凝縮器であり、圧縮機70から吐出された高温、高圧の冷媒ガスを負荷側の水で冷やして凝縮させ、液体とするものである。負荷側循環部3から言えば、第2熱交換器73は、負荷側循環部3の循環水を加熱し温水にするための熱交換器となる。第2熱交換器73で液体となった冷媒は、受液器(図示せず)に一時貯められる。膨張弁71は、高温、高圧の液体を膨張させて低温、低圧の冷媒とするものである。
【0082】
膨張弁71は、冷媒サイクルを循環する冷媒を低温低圧にする働きを有するものであれば、公知の任意の動作原理、任意の形状の膨張弁が利用できる。例えば、膨張弁71としては、電動膨張弁、エジェクタ等の噴出装置、又はキャピラリーチューブである。第1熱交換器72は、冷媒サイクルでいうと、膨張弁71の出口で低温、低圧の冷媒が、熱源側の温水から熱を奪って蒸発し、冷凍作用をする蒸発器である。冷媒は、圧縮機70、第2熱交換器73、膨張弁71、第1熱交換器72、そして、圧縮機70の順位に流れて循環する。
【0083】
ヒートポンプ装置4の冷媒としては、任意の冷媒を用いることができるが、超臨界で使用する超臨界冷媒を用いることが好ましい。例えば、冷媒として、炭酸ガスCO
2、代替フロン(HFC:ハイドロフルオロカーボン類)、アンモニア等が利用できる。第2熱交換器73から排出され、負荷側循環回路11を流れる温水は、負荷装置10で冷却される。
【0084】
〔負荷装置〕
図7に図示したように、負荷装置10は、温水の熱エネルギーを利用できるものであれば任意の装置を用いることができる、本例では、もっとも簡単な装置である空気暖房機を例に説明する。負荷装置10の暖房器は、配管80とファン81からなる。ファン81は、モータ82によって回転駆動し、周囲の空気の流れをつくる。この空気は、温水が流れている配管80の間を流れて通過するとき、温水と熱交換され加熱される。
【0085】
この温水は空気に熱を奪われて温度が低下し水になる。本例のヒートポンプ装置4は、第2熱交換器73の余剰熱を利用して、負荷側の水を加熱することができるが、これは本発明の趣旨ではないので詳細な構造やその動作については省略する。第2熱交換器73と第1熱交換器72の構造は、ヒートポンプ装置に用いられる既知の任意の構造にすることができる。例えば、熱源側の循環路6と、負荷側循環回路11に、ヒートポンプ装置4の冷媒路74を巻き付けて効率よく熱交換できるようにする。
【0086】
しかし、第2熱交換器73と第1熱交換器72(
図7にない)の構造は、本発明の趣旨ではないので詳細な構造やその動作については省略する。冷媒路74を流れる冷媒の流れを逆方向にすれは、負荷側の熱で水が高温になる、これを、ヒートポンプ装置4を介して、地中に放熱する装置になる。このときの動作は、冷媒の流れが逆方向になるものは基本的に同じである。詳細な説明は省略する。
【0087】
〔制御盤の構成例〕
図8は、制御盤20の構成例を図示しているブロック図である。制御盤20は、地中熱利用システム1の全体の制御を行うための装置である。制御盤20は、計算機100を備える。また、制御盤20は、入力装置105、出力装置107、補助記憶装置109、通信手段111等を備える。計算機100、それに内蔵された主記憶装置101、中央処理ユニット(CPU)102、第1入力インターフェース103、出力インターフェース106、補助記憶装置用インターフェース108、通信インターフェース110等を備える。
【0088】
主記憶装置101、CPU102、各種インターフェースは、バス103で互いに接続されて、このバス103を経由して、互いにデータの送受信を行う。主記憶装置101は、RAM等の記憶装置である。CPU102は、計算機100の動作を制御するもので、主記憶装置101に格納されたプログラムによって、そのプログラムの命令を順序処理し実行しながら、計算機100の動作を制御する。マウス、キーボード、タッチパネル、入力ボタン等の入力装置105は、第1入力インターフェース104に接続される。
【0089】
ディスプレイ、タッチパネル式ディスプレイ等の出力装置107は、出力インターフェース106に接続される。計算機100は、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置109を有する。補助記憶装置109には、制御アプリケーションプログラムやユーザデータ等が格納される。計算機100において、オペレーティングシステムは、通常、補助記憶装置109から呼び出されて、主記憶装置101に展開されて、CPU102によって処理されることで動作する。
【0090】
制御アプリケーションプログラムは、上述の凍結防止運転の例1〜5に示す制御、
図3〜6に示すフローチャートに従って、地中熱利用システム1の制御を行うものであれば、機械言語で記述されたプログラム、オペレーティングシステム上に動作するアプリケーションプログラム、組み込みプログラム等の任意の動作方式のプログラムであっても良い。計算機100は、ハードウェア資源が十分な性能をもっているときは、組み込み系のオペレーティングシステムで動作する。
【0091】
この場合、ウェブブラウザ等のアプリケーションプログラムも、通常、補助記憶装置109から呼び出されて、主記憶装置101に展開されて、動作する。通信手段111は、計算機100を他の電子計算機、ネットワーク21、ネットワーク21に接続するための装置に接続するためのデバイスである。通信手段111はネットワークカードからなり、有線又は無線のネットワーク21に接続するためのものである。計算機100は、地中熱利用システム1の温度計、流量計等のデバイスから測定データを取得するための第2入力インターフェース112、第3入力インターフェース113を備える。
【0092】
第2入力インターフェース112は、温度計8、9、13、14、外気温センサー21、室温センサー22等に接続されて、これらの温度計から測定データを入力するものである。第2入力インターフェース112は、地中熱利用システム1の全ての温度計から測定データを取得するものであり、温度計と所定の時間間隔で接続されて切り替えながら測定データを取得するものであると良い。
【0093】
第3入力インターフェース113は、熱源側流量計16、負荷側流量計17と接続され、測定データを取得するものである。第3入力インターフェース113は、地中熱利用システム1の全ての流量計から測定データを取得するものであり、流量計と所定の時間間隔で接続されて切り替えながら測定データを取得するものである。計算機100は、各ポンプ7、12に接続されて、その制御を行うためのポンプインターフェース117を有する。
【0094】
ポンプインターフェース117からは、ポンプ7、12の運転開始を示し信号、運転停止を示す信号、運転速度を示す信号を出力する。また、ポンプインターフェース117からは、ヒートポンプ4の運転開始を示し信号、運転停止を示す信号を出力する。ポンプインターフェース117は、地中熱利用システム1の全てのポンプと接続されて、接続を切り替えながら制御するものである。地中熱利用システム1は、システム全体の使用電力を測定するための電力計116を有する。
【0095】
制御盤20は電力計用ポート115を、計算機100は電力計用ポート115用の第4入力インターフェース114を備え、電力計116で測定されたデータは、電力計用ポート115、第4入力インターフェース114を介して計算機100に取り込まれる。また、電力計116は、通信機能を有する場合は、ネットワーク21又は通信手段111を介して計算機100に接続され、測定データを計算機100に送信することができる。リモートコントローラ30は、入力装置105、出力装置107に接続されて動作する。
【0096】
又は、図示しないが、リモートコントローラ30専用のインターフェースを計算機100に備えることができる。計算機100は、図示しないが、計算機100に動作に必要なクロックを発生するクロック発生器、電源用インターフェース等を内蔵する。これらの動作については、汎用の動作なのでその説明を省略する。計算機100は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)を使用することができる。そのインターフェースの種類や動作は、本発明の趣旨ではないので、その詳細な説明は省略する。
【0097】
〔第2の実施の形態〕
以下、本発明の第2の実施の形態を、
図9を参照しながら説明する。本発明の第2の実施の形態の地中熱利用システムは、複数の熱源側循環部、複数の負荷側循環部、複数のヒートポンプ装置を有する。一組の熱源側循環部、負荷側循環部、及びヒートポンプ装置は、独立したシステムとして動作する。上述の第1の実施の形態は、一組の熱源側循環部、負荷側循環部及びヒートポンプ装置の例である。
【0098】
図9には、地中熱利用システムの例として3組のシステムからなる例を示しており、それは第1装置1−1、第2装置1−2、第3装置1−3である。制御装置15は、共通の装置であり、第1装置1−1、第2装置1−2、第3装置1−3全てを制御する。
図9の中では、分かりやすくするために、
図1に図示したものと同じ装置を同じ参照番号を利用し、その参照番号に副番号付けて区別している。循環液の凍結防止運転は、第1装置1−1、第2装置1−2、第3装置1−3のように装置ごとに行う。
【0099】
例えば、熱源側の循環路6−1、6−2、6−3を全て監視し、凍結可能性がある装置のみに凍結防止運転を行う。例えば、熱源側の循環路6−2の場合、温度計8−2で測定した温度が凍結温度の設定温度T
fになったとき凍結防止運転を行う。このとき、熱源側循環ポンプ7−2を稼働させて、凍結防止運転を行う。その他の、第1装置1−1、第3装置1−3については、監視するが、温度計8−1、8−2で測定した温度が凍結温度の設定温度T
fになっていないとき凍結防止運転を行わない。
【0100】
負荷側も同じく、凍結の可能性がある装置のみに凍結防止運転を行う。制御装置15は、第1装置1−1、第2装置1−2、第3装置1−3の全ての装置を監視し、制御を行う。本実施の形態においては、3装置のみを例示したが、原理的に、n装置までが制御可能である。本発明の第2の実施の形態の地中熱利用システムにおいて、各温度計、ポンプ、流量計は、全て制御装置15の制御盤に接続されて、制御される。
【0101】
図8に図示した制御盤20の第2入力インターフェースに外気温、室温、循環路の温度を測定する温度計を含む全ての温度計、第3入力インターフェースに全ての流量計、ポンプインターフェースに全てのポンプが接続される。また、電力計116は、地中熱利用システムの全体、及び/又は、地中熱利用システムを構成する装置ごとにその消費電力を計測するものである。リモートコントローラは、図示しないが、地中熱利用システムを構成する装置ごとに備え、全てのリモートコントローラは入力装置105、出力装置107に接続されて動作する。
【0102】
本第2の実施の形態の地中熱利用システムは、多数の装置から構成されるので、その構成のヒートポンプ装置、負荷循環回路の一部が室内、一部が屋外に設置されることができる。室内の場合は、その室内温度が、年間通して、循環液の凍結温度までに下がらない場合は、負荷側の凍結防止運転をする必要がないので、その分は、負荷側の温度計を監視せず、制御盤20から制御しなくても済む。
【0103】
〔第3の実施の形態〕
以下、本発明の第3の実施の形態を説明する。本第2の実施の形態は、上述の第1又は第2の実施の形態と基本的に同じである。以下は、第3の実施の形態は、上述の第1又は2の実施の形態と異なる部分のみを説明する。更に、風が強いと、外気温が実施より寒く感じる。物理的には、強い風を物体に当てれば、その物体の温度が下がる。これも、本発明の地上の循環路についても言える。
【0104】
熱源側の温度計8、9で測定した温度は、熱源側循環水の温度である。凍結防止運転が始まる設定温度T
fは、熱源側循環水の凍結温度より高温に設定される。通常は、この設定温度T
fは、凍結温度よりやや高温であれば、必要以上にエネルギーを使わなくて済む。例えば、この設定温度T
fは、凍結温度より2〜3℃高温に設定する。風が強いときは、熱源側循環水の温度が、外気温センサー21で測定した温度より下がっている。この下がり幅は、風の強さによる、0.1℃から1℃、場合によって2℃、3℃の温度差がある。
【0105】
熱源側循環水が水の場合は、1気圧のとき0℃が凍結温度である。設定温度T
fが3℃で設定されていれば、風が強いときは、熱源側循環水が凍結する可能性がある。このような風が強い期間は、地中熱利用システム1の設置場所によるが、システムの稼働期間全体の中でごくわずかである。そのため、風が強いときを前提にして、設定温度T
fを高くすれば、その分エネルギー損失があり、地中熱利用システム1の運用コスト、つまり電気代がかかる。
【0106】
監視用電子計算機22は、通常は、インターネット等のネットワークに接続され、気象庁等の公的機関、民間事業所、防災機関等が提供する気象情報にアクセスすることができる。このアクセス情報を利用すれば、地中熱利用システム1が設置されている場所の気象情報を取得することができる。監視用電子計算機22の気象情報を利用して、所定の風力以上の日、場合によって時間帯、を計算することができる。監視用電子計算機22は、制御盤20に接続されており、制御盤20の制御ができ、これを通じて、設定温度T
fの初期値の設定もできるものである。
【0107】
よって、監視用電子計算機22は、所定の風力以上の日、時間帯があると、その所定の風力以上の日、時間帯に限って、設定温度T
fを上げる指令を制御盤20へ送信する。そして、所定の風力以上の日、時間帯が過ぎるか、そのような予報が無くなれば、監視用電子計算機22は、設定温度T
fを元の値にする指令を制御盤20へ送信するか、新たに前の設定温度T
fを指定して初期化する指令を制御盤20へ送信する。制御盤20は、監視用電子計算機22から受信した指令に指定された値で設定温度T
fを初期化する。
【0108】
所定の風力以上の日、時間帯のとき、設定温度T
fの値は、熱源側循環水の凍結温度より4℃以上10℃以下、好ましく4℃以上6℃以下に設定すると良い。ここで、記述した所定の風力以上の値、これは循環水の温度を実際より下げる効果がある風力であり、通常は、風速10m/s以上、好ましくは15m/s以上の強風である。
【0109】
監視用電子計算機22は、このように気象情報にアクセス機能、地中熱利用システム1の設置場所に関するデータを受信又は設定する機能、気象情報を分析し、該設置場所に所定の風速以上の情報を取得する機能、制御盤に設定温度T
fを所定値に変更する指令を送信する機能を備えた専用のアプリケーションプログラムを備える。無論、監視用電子計算機22又は制御盤20を、管理者が直接操作して、設定温度T
fを設定することができる。上述のように、本発明の第1〜3の実施形態では、地中熱交換器5を地中に設置し、地中熱を採熱している。
【0110】
〔その他〕
しかし、地中熱交換器5を井戸の中に、又は、温泉に設置し、地中熱によって温められた井戸又は温泉の水から採熱することも可能であり、本発明の範囲内に入る。負荷装置10は、屋内の室内の空気を加熱する暖房器、床式暖房機に利用することができるほか、負荷側の循環路の循環水に冷水を用い、それをヒートポンプ装置4で加熱した温水を貯湯タンクに格納することができる。この貯湯タンク内の温水は、給湯等に使用するとことができる。
【0111】
上述のように、本発明の第1〜3の実施形態の説明では、ヒートポンプ装置4の循環液の凍結防止運転を説明しなかったが、ヒートポンプ装置4の循環液が凍結する恐れがある場合は、同じく凍結防止対策を取る。ヒートポンプ装置4は循環液として不凍液を利用するので、通常の使用では凍結防止運転が必要ない。
【0112】
仮に、ヒートポンプ装置4の循環液が凍結する恐れがある場合、ヒートポンプ装置4の循環路に温度計を設置し、ヒートポンプ装置4の循環液の温度を監視する。ヒートポンプ装置4の循環液が凍結防止温度に達したとき、ヒートポンプ装置4を稼働させて凍結防止運転を行う。このとき、熱源側のポンプ7又は負荷側のポンプ12を稼働させても良い。