(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-135036(P2015-135036A)
(43)【公開日】2015年7月27日
(54)【発明の名称】建築用すきま微調整スペーサー
(51)【国際特許分類】
E04G 21/18 20060101AFI20150701BHJP
【FI】
E04G21/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-19794(P2014-19794)
(22)【出願日】2014年1月17日
(71)【出願人】
【識別番号】506145599
【氏名又は名称】山本 愼吾
(71)【出願人】
【識別番号】509141073
【氏名又は名称】中島 晴二
(71)【出願人】
【識別番号】509141109
【氏名又は名称】中島 信夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 愼吾
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174DA14
2E174DA40
(57)【要約】
【課題】
図1に示す形状において、柱や間柱等に胴縁等を固定する場合に微妙なすきまの微調整が必要な場合において、1枚で数種類の厚みの微調整が可能で、
図2に示すが如く、この形状の2枚の表面を交差させスライドさせる事により、より広範囲なすきまの微調整が可能な形状の建築用すきま微調整スペーサーの提供。
【解決手段】
図1の1に示す形状において、階段状の平面の1面を各々厚みの異なる平面を設ける、この1面の中央部にそれぞれ
図1の4の空洞を設けて釘やビス等を貫通させる事を可能とする、
図1の2はそれぞれの厚みを目視出来るミリ数を示す事によりすきまの厚みを計算出来る、
図1の3は微調整時に周囲の障害物等がある場合において、容易に折り曲げや切断が可能な窪みを設けた形状。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材やプラスチック等で一体化した形状であり、階段状に各々の厚みの平面を連続させ、この平面の各々の厚みの中心部に釘やビス等を貫通させる目的の空洞を設ける、この形状の裏面には各々の厚みの接点部分を折り曲げ及び切断が可能な溝を設ける、及び階段状の各々の平面には厚みを示す単位を示し、容易にそれぞれの厚みを目視することが可能な特徴を持つ建築用すきま微調整スペーサー。
【請求項2】
請求項1の形状の2枚の表面を交差させてスライドすることにより、この2枚の中央部の空間はそれぞれ同じ位置に収まるように一体化させた形状であり、より広範囲の厚みのすきま微調整が可能となる構造の請求項1の建築用すきま微調整スペーサー。
【請求項3】
使用する目的物の使用状況においては階段状の段数、及び各々の平面の厚みや幅及び長さを使用目的に準じて変更する事が可能な形状の請求項1の建築用すきま微調整スペーサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、木造住宅用に構築した柱や間柱等に垂木や胴縁等を固定させる目的において生じるさまざまな間隔のすきまを水平に密着固定する事が可能であり、併せてこの本考案の特長を生かし通気工法によるエアホール胴縁の強度の弱点を損なわせる事なく通気層を設ける事を可能とした建築用すきま微調整スペーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
木造住宅の構造では建物の柱や間柱に胴縁等を水平及び垂直に固定してボード仕上げ等をしている。この際、建物の柱や間柱は新築工事の時には比較的少ないのであるが、特に増改築工事等においては長年の経年変化によるたわみや傾きなどの微妙な凸凹が生じており、ボード仕上げ等をする目的で使用する胴縁等を水平及び垂直を維持する為にそれぞれの接点部分において微妙なすきまが生じている。この隙間を水平及び垂直に固定する目的において、従来から使用されている三角型スペーサーが広く利用されているが、形状が三角形なので、理論的には柱と胴縁等のすきまの微調整が可能であるが、柱と胴縁等のすきまに全平面に密着させる事は不可能な構造である為、釘打ちやビス止めの固定時点において外れやすく又長年の温度差や湿度による脱落及び振動等による外れも多く非常に不安定な三角型スペーサーであった。
【0003】
この不安定な欠点を持つ三角型スペーサーを使用せず、それぞれ厚みの違うベニヤ片等をあらかじめ数種類作成しておき、そのベニヤ片等を数枚重ねてすきまの調整をしているのが現状であるが、数ミリ単位の微調整を確実に平面密着させる工程において目的のミリ単位の微調整が困難であり、多くの作業時間を生じさせている。又、このそれぞれの厚みの違うベニヤ片等を施工前に作成する工程においても多くの無駄な作業時間を生じさせている。
【0004】
新築工事においても、ボード仕上げ等の下地材として柱や間柱に胴縁等を水平垂直に固定していく場合において、微妙なすきまが生じる場合がある、この場合において、従来の三角スペーサーや数種類の厚みの板を数枚重ね合わせてすきまの微調整をしている。ミリ単位のすきまを微調整させる目的としては非常に作業工程の無駄が多いのが現実である。又、増改築工事においては長年の経年変化により柱や間柱のたわみや傾きが多い、ボード仕上げ材等の下地材としての胴縁等を柱や間柱に水平垂直に固定する場合、多量のスペーサーが必要となり多くの作業工程を求められる。
【0005】
本考案の建築用微調整スペーサーは、従来の三角型スペーサーやさまざまな厚みの数種類のベニヤ片等を使用せず、すきまの微調整が可能であり、二枚を互いに交差させてスライドする事でより多くのすきま微調整が可能な特徴を持つ。
【0006】
住宅外装材として、近年サイディング外装材が多く使われているが、この下地材に使われている胴縁には通気胴縁と言う加工された製品がある、この通気胴縁は結露防止を目的として結露による木材の腐食やカビの発生を防止する目的において加工されたものであり、胴縁の数箇所を通気目的において切り欠いてある為、胴縁本来の強度が弱くなる欠点がある。
【0007】
本案の建築用微調整スペーサーを使用すれば、強度の弱い横胴縁を使用せずに水平及び垂直の微調整を行うと共に、構造用合板とサイディング外装材のすきまを適切な空気層を設ける事が可能となる。
【0008】
木造建築の屋根葺き替え工事においても、下地材としてアスファルトルーフィングの上に桟木を使用する場合において、結露防止を目的とした通気層を設けることが望ましい。
【0009】
本考案のすきま微調整スペーサーを使用する事により、アスファルトルーフィングと桟木のすきまを適切なる通気層を設ける事が可能であり、及び桟木の水平の微調整も可能な二面性の特長を持つ形状である。
【0010】
マンションなどの増改築工事で畳の部屋をフローリング仕上げに改装する場合において、その畳下にはスタイロフオーム等の防湿材が設置されており、その床部はコンクリートの場合が多い、フローリング仕上げを目的として、タルキ等の下地材をコンクリート床面に水平に取り付け固定していく場合においても、コンクリート床面には微妙な凹凸があり、この水平面を微調整すると共にタルキ等の下地材とコンクリート床面の結露による木材の腐食やカビ等が発生しにくい空気層を設ける事が望ましい。
【0011】
本考案のすきま微調整スペーサーを使用する事により、コンクリート床面とタルキ等のすきまを適切なる通気層を設ける事が可能であり、及びタルキ等の水平の微調整も可能な二面性の特質を持つ形状である。
【0012】
マンションなどの増改築工事においてボード下地材等を撤去した場合においてその壁面はコンクリートの場合が多い、新たに旧壁面の下地材を造作する場合において、そのコンクリート壁面に胴縁等を固定する場合に水平及び垂直の微妙な凹凸があり、このすきまを水平及び垂直に微調整する事が可能な形状であると共にコンクリート壁面と胴縁のすきまを結露による木材の腐食及びカビの発生を防止する目的としての空気層を設ける事が可能な二面性の特徴を持つ形状の建築用すきま微調整スペーサーである。
【0012】
図1に示す一体化した階段状の形状においては、1枚で1ミリから5ミリまで、すきまの微調整が可能な構造であるが、
図2に示すが如く2枚の表面を交差させてスライドさせる事により、6ミリから10ミリまで、すきまの微調整が可能な構造となり、合わせてこの2枚の空洞部はどちらも平面状の中央部に収まるので、釘やビス等で平面状に固定が可能となり、3枚を重ねる事により、11ミリから15ミリまで、すきまの微調整も可能な形状である。
【0013】
従来の微調整スベーサーとしては、三角型スペーサーがある、この三角型スペーサーは、すきまの微調整は可能ではあるが、部材と部材の接点が平面に収まる形状でないため、釘やビスで固定する時点においても外れたりして目的のすきま微調整が困難であった、またこの三角型スペーサーは接点が平面でないため、長年の温度差による収縮や振動等により外れやすく、本来のスペーサーとしての役目を果たす形状でなかった。
【0014】
現状使用されている微調整スペーサーとしては、それぞれ厚みの違うぺニヤ片等を数枚重ね合わせて、微調整スペーサーとして使用しているが、このスペーサーを現場の施工前に多量に数種類作る作業時間に手間がかかる、及び目的のすきま微調整に手数がかかるなどの欠点があった。
【0015】
本考案の建築用すきま微調整スペーサーは、それらの欠点等を改良したものであり、部材と部材のすきまを平面状に密着固定させる事が可能であり、2枚を交差させ重ね合わせても、釘やビス等で固定する中央部の空間は同じ位置に収まる形状である。
【0016】
図1に示すが如く、階段状に設けた厚みの各々の形状は表面と裏面が平面状であり、部材と部材のすきまの全面を密着させる事を可能とした形状であるため、強力に密着固定可能な形状である、又
図2に示すが如くこのスペーサーを2枚交差させて重ね合わせても、どの段数も平面状に収まり、すきまの密着固定が2枚を使用した場合においても可能な特徴を持つ形状である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】すきま微調整が可能な建築用すきま微調整スペーサーの斜視図
【
図3】柱及び間柱に胴縁等のすきまを本考案のスペーサーを使用した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本考案の建築用すきま微調整スペーサーの形状は、その材質が木材においても多量の生産が可能な形状であり、又材質がプラスチックでも金型成型により多量の成型が可能である
【0019】
この考案の試作品においては、木材加工及びプラスチック金型成型加工においてそのどちらも試作品を作成した、試験的においてそのどちらも実際に使用して目的通りの優れた長所を確認した。
【0020】
図1に示す形状は階段状に5段のそれぞれの厚みを一体化させて示しているが、現場に適応した形状の各々の厚みや段数を求められる場合において、その段数の増減や各々の厚みの増減を使用目的に適した形状に作成する事が可能である。
【0021】
図1に示す形状は階段状に5段のそれぞれの厚みを一体化させて示しているが、現場に適応した形状の各々の幅及び長さを求められる場合において、使用目的に適した寸法に作成する事が可能である。
【符号の説明】
【0019】
図1の1は本体の一体化した基本的な形状
図1の2はそれぞれの厚みを示す数値
図1の3は折り曲げ又は切断が可能な切り込み溝
図1の4は釘やビスを打ち込み固定させる目的の空洞部分
図3の1は柱
図3の2は間柱
図3の3は胴縁
図3の4は本考案の建築用すきま微調整スペーサー